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ネット、妨害電波、「サイバーメス」で国防総省が国土防衛用対ドローン対抗技術を評価中(Breaking Defense)


fortem net captureフォートレスのDroneHunterが地面に浮かび上がり、捕獲したsUASが下の網にぶら下がっている。(マイケル・マロー/Breaking Defense

「無人航空機は、軍事施設やその他の重要なインフラにとって、安全とセキュリティ上のリスクとなる」、(米北部方面軍司令官グレゴリー・ギロット大将)

コロラド州フォートカーソンにて

百ヤード離れた空中をホバリングする小型クアッドコプター型ドローンは肉眼ではほとんど見えないが、小さいからと言って地上作戦に対する脅威の度合いが低くなるわけではない。

 センサーが感知し、防衛要員が自らのドローン(こちらは網を装備)を派遣した。数分後、コロラド上空で、味方のドローンが侵入者を捕獲し、パラシュートを開き、両機が無事に地面に降り立った。

 今回は、実際の脅威ではなく、デモンストレーションだ。これは、米軍北部司令部(NORTHCOM)が、ウクライナや中東の戦場だけでなく、本国にある米軍基地周辺にも存在感を増している小型無人航空機(sUAS)への対策を模索するために実施している一連のデモンストレーションの一部。ペンタゴンは、軍事施設への侵入が疑われる無人機をここ数年で数百件記録しており、その多くは趣味で飛ばしている人によるものと考えられている。

 10月に2週間にわたって実施された「ファルコン・ピーク」演習では、網は、UASを停止させるための非運動性および低運動性の戦術のひとつに過ぎない。この陸軍基地では、軍当局が民間人の移動を保護する規制によって選択肢が限られていることを強調するシナリオにおいて、防衛産業企業がドローンを撃墜する装備を持ち込んだ。

 「あらゆる兆候から見て、無人機は軍事施設やその他の重要なインフラにとって、当面の間は安全とセキュリティのリスクをもたらすでしょう。これらのリスクを軽減するには、国土における無人機の潜在的な脅威を検知、追跡、対処する能力、調整、法的権限をさらに発展させるために、連邦政府の全省庁および機関、州、地域、部族、領土コミュニティ、議会が一体となって取り組む必要があります」と、NORTHCOMの最高司令官グレゴリー・ギヨット大将は述べた。

 NORTHCOMの配資料によると、業界からファルコン・ピークに参加した代表企業は、LeidosTeledyne FLIRTrakka SystemsD-Fend solutionsHGH USAFortem TechnologiesICRがあがっている。また、米国防総省(DoD)が実戦配備したシステムも持ち込まれた。NORTHCOMの広報担当によると、この演習に参加した「すべての関係者」は、業界であれ米国防総省であれ、「sUASを検知、追跡、識別しなければならなかった」という。ドローンの脅威を軽減または阻止する追加能力を持っていたのは、参加者の「一部」だけだった。

 シャイアンマウンテンの麓近く、フォートカーソンのアゴニーヒルと呼ばれる地域にある道路沿いに、各ベンダーが自社システムを設置し、ファルコンピークの期間中、デモを行った。実際の試験では、対無人機システムが基地周囲を模したエリアに設置され、「レッド」チームが操縦する敵対システムを追跡し、可能な場合は排除する任務が課せられた。

「何かを撃つ前に、それを見る必要がある」

無人機侵入への対抗策として、まず必要なのは、無人機の侵入を認識することであり、そのためには、小型無人機を検知できる最先端のセンサー技術が必要となる。

 「中・大型無人機の検知・追跡能力には自信があります」と、カーソン基地訪問に先立って行われた記者団との座談会でギヨット大将は語りった。「今回のデモの目的は、小型UASの探知・追跡能力を向上させることです」と彼は付け加えた。

 ファルコン・ピークのために、テルダインFLIRはワシントンで開催されたAUSAエキスポでデビューしたばかりのCerberus XLシステムを持ちこんだ。同社プレスリリースによると、Cerberus XLは、レーダー、電子光学/赤外線、無線周波数(RF)センサーを融合し、無人機を検出・追跡するとある。

 そのデータは、無人機を撃墜する各種サードパーティ製エフェクターに送られ、無人機を撃墜する。別のデモンストレーションでは、無人機が使用するデータリンクを妨害し、GPSへのアクセスを拒否する妨害電波に接続する、と米太平洋軍の配布資料には記載されている。(ただし本誌は、その動作を確認していない。) 

 Teledyne FLIRの米空軍プログラム担当ディレクターであるスティーブ・ペドロッティは、ファルコン・ピークの会場で取材に応じ、このイベントは素晴らしい機会だったとしながらも、政府が要件を明確化することを期待していると述べた。

 ペドロッティは、「無人機と対無人機技術は急速に変化しており、このサイクルはまだ初期段階にある」と述べた。「そのため、要件を明確化することが役立ちます」。

 ファルコン・ピークは、業界にとって自社の技術が十分通用するかどうかを確かめる機会であるだけでなく、既存の国防総省システムを改善するチャンスでもあった。 NORTHCOMの配布資料によると、小型無人機防御システム(SUADS)と思われるシステムも参加しており、配布資料には、電子光学/赤外線センサーを使用して無人機を感知すると記載されている。

 「何かを撃つ前に、それを見つけなければなりません」と、NORTHCOMの小型無人航空機対策副テストディレクターであるジェイソン・メイズは記者団に語った。

 「だからこそ、それらのシステムがこれまで見たことのないようなプロファイルを提示し、検知の観点からそれらのシステムを打ち負かすことができるかどうかを確認したいのです。そうすれば、軍は、ここまでは本当に良くやっているが、まだそこまでには至っていないと理解するでしょう」と彼は続けた。「つまり、その分野が宿題になるのです」。



無人機を撃墜する

無人機が発見された場合、それを撃墜する方法は数多くある。空から撃ち落とすという選択肢は、現在の政策では米国内での使用はほとんど禁止されている。

 非運動面では、サイバーおよび電子戦がある。ドローンをハックして無効化するか乗っ取るか、あるいは通信やナビゲーション信号を妨害または偽装して、作戦の最中に「喪失」させる。(ナビゲーションの混乱などの戦術は、民間人の移動に混乱が生じれば一般市民に危険が及ぶ可能性があるため、ファルコン・ピークでは連邦航空局と緊密に調整する必要があった。) 

 ファルコン・ピークで説明された例として、ICRの「システム・オブ・システムズ」と呼ばれるTMXと、同社が開発した特定のサイバーツール「Bullet」がある。

 同社のUAS対策部門のエグゼクティブ・ディレクターであるマイク・パウエルによると、Bulletは「サイバーメスRFシステム」のように動作し、敵対的なデバイスのダウンリンクを悪用して、それを乗っ取るというものだ。

 「痕跡は残りません。目に見えることはありません。1機ずつドローンを狙う非常に小さな信号です」と彼は述べた。「秒単位でドローンを操作できます。ですから30秒もあれば、このシステムで小型のドローン群を制御し、指定エリアに着陸させたり、離陸地点に戻したり、ローターを停止させそのまま地上に落下させることができます」 (Bulletの技術は、本誌取材時にはデモされていない。)

 それでも、パウェル氏は、進化し続ける無人機技術を踏まえた上で、Bulletの戦術に課題があることを認めている。例えば、ウクライナでは激しい信号干渉が戦況を左右しており、双方の無人機が標的に到達するのに苦労することがよくある。そして今、より新しいシステムが増加しており、GPSではなく機体に搭載された地図に従って標的を見つける無人機のように、干渉に対する耐性を持つものもある。

 そのアプローチは、電子による無人機の乗っ取りを不可能にするわけではないにしても、より困難にする。特に、無人機は検知可能な信号を発信しないため、優れたレーダーが必要だとパウェルは強調した。また、無人機を撃墜するには別の手段が必要となる。

 「RFシグネチャ(無線周波数特性)が存在しない。侵入できる対象がない」とパウェルは述べた。「それが最も難しい問題です」 。

 本誌はファルコン・ピークのデモで電子戦やサイバー技術を目撃することはできず、NORTHCOMの広報担当者は、その戦術はイベント中に使用されたものの、「具体的な数、種類、システムは機密事項だ」と述べた。

 低運動領域では、冒頭で言及したネットを装備したFortem TechnologiesのDroneHunterがある。本誌含むメディアが目撃した同システムのデモでは、地域にいる他の人々への危険を最小限に抑えながら、sUASの脅威を排除する、非侵襲的で二次被害の少ない方法を成功裏に実演したように見えた。

 同社のソリューションエンジニアリング担当上級副社長であるスペンサー・プロウスは、DroneHunterは他のシステムと統合することも、単独で動作することも可能であり、約5キログラムの牽引能力を誇ると説明した。迎撃した機体が小型であれば、DroneHunterは捕獲した標的を基地まで引きずって戻すこともできる。また、本誌が目撃したように、標的が大きすぎる場合にはパラシュートでそのまま地上に降ろすことも可能だ。

 LeidosのAirShieldもデモの一部を担当し、同軸無人誘導自律回転翼機(CUGAR)と呼ばれる紡錘形の無人機迎撃機を披露した。これは、ジェンダー・リベラル・パーティーで見られるような紙テープを無人機に投げつけて無力化するよう設計されている。しかし、デモでは、紙テープは一度も発射されなかった。司会を努めた同社のメイズは、標的の無人機はメンテナンス中であると説明した。敵の装備が故障することもあるのだ。 

 ネット捕捉やストリーマーのような能力は、ホビー用システムと同様に、sUASを撃墜する可能性を秘めているとメイズは述べた。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻で注目されているFPV(First Person View)システムのような高速で機敏なドローンには、この技術では課題がある。

 安定したプロファイルを持つ低速のホビー用ドローンには非常に優れています」とメイズは、低速のホビー用ドローンに対処する能力について述べた。「FPVドローンなど高速の無人機、時速150~200マイルのレース用ドローン、あるいは非常に機敏に動くように装備されたドローンになると、ドローンの機敏さに、システム自体がついていくことができません」。


Leidos CUGAR

Leidos社のCUGARエフェクターはファルコン・ピークの参加者の頭上でホバリングする。(マイケル・マロー/Breaking Defense)


対応がいつも求められる問題

軍は、レーザーやマイクロ波などの兵器を導入する可能性も含め、適切なガードレールを設置することで無人機排除の選択肢を拡大できるか検討している。これは、米国内での小型無人機への対処というニーズにより適切に対応できる政策変更を推進するものであり、政府間での重要な取り組みであり、本誌も今後追うテーマとなる。

 しかし、結局のところ、新しいテクノロジーの複雑さ以外に、UAS対策の問題は、広くは文化的な問題となる。例えば、海兵隊は、すべての分隊にUASに対する防御能力を装備する計画を宣言している。そして、新戦術やテクノロジーには、教義の変更が必要となる。また、任務実行部隊による支持も必要だ。

 「ドクトリンや戦術、技術、手順を変えるには時間がかかります。文化や風土を変えるにも時間がかかります」と、国防総省の小型無人機統合対策室の上級下士官アドバイザーであるデメトリウス・ジョンソン曹長は、新しい対無人機文化のタイムラインについて尋ねられた際に記者団に語った。

 「これは比較的新しい脅威です。そして、その脅威は進化し続けています。脅威が進化するたびに、私たちは白紙に戻って、原則や戦術を変えなければなりません」と彼は述べた。「これは継続的な取り組みであり、終わりが見えることはないでしょう」。 ■


Nets, jamming and ‘cyber scalpels’: Pentagon weighs homeland counter-drone tech in mountain tests

By   Michael Marrow

on November 20, 2024 at 1:52 PM

https://breakingdefense.com/2024/11/nets-jamming-and-cyber-scalpels-pentagon-weighs-homeland-counter-drone-tech-in-mountain-tests/


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