2012年9月1日土曜日

LEMV次回フライトの準備にとりかかるノースロップ・グラマン

Northrop Preps LEMV Airship For Next Flight

aviationweek.com August 27, 2012

ノースロップ・グラマンの長時間飛行多目的情報収集機Long Endurance Multi-intelligenc Vehicle (LEMV)の初飛行が実施されたことで、米陸軍の期待と必要性には底堅いものが裏付けられた。
8月8日の初飛行を完了したハイブリッド飛行船はレイクハースト基地(ニュージャージー州)のハンガー内で機体内外部を点検中だ。
  1. 平 行しノースロップはペイロード用の配線を設置中で、飛行テストの途中で作業は完成する予定だ。「初飛行はペイロードなしだったが、機体には必要なハードポ イントはすでについており、ペイロードベイもあります」 ノースロップ・グラマンのアラン・メツガーAlan Metzger,(LEMV担当副社長)は語る。「有人飛行モードで必要な装備も全部搭載済みです」
  2. . 初飛行で三項目を達成できたとメツガーはいう。離陸、上昇および機体操作など基本機能、着陸だ。「滞空時間は90分で大きな問題は見当たりませんでした」  ただし初飛行には空気より重い同飛行船は垂直離陸に搭載するエンジンvectoring thrustersを使用している。
  3. ハイブリッド飛行船としてLEMVは空力特性、浮力、エンジン推進を組み合わせる。空気より重いため離着陸時には制御が容易だ。ペイロード満載の場合は短距離の滑走で離陸するが、メツガーによるとレイクハーストではハンガーが近接しているため滑走に制約があるという。
  4. 動力にはセンチュリオンエアクラフトエンジンCenturion Aircraft Engines のターボディーゼル4基を前後二基ずつ搭載する。各エンジンに発電機があり、必要な電力を供給する。
  5. .LEMVは無人モードで高度22,000フィートで連続21日間飛行でき、合計2,750ポンドの情報収集監視偵察(ISR)装置を搭載できる。
  6. レ イクハーストで有人操縦飛行を10回から15回実施するとメツガーは説明しており、その後ペイロード搭載した無人飛行テストに入るという。遠隔操縦システ ムはまだ完成していないが、「初飛行では無人操縦ソフトウェアを利用しており、そのデータからシミュレーションに活用できる」という。
  7. LEMVはノースロップの既存無人機のシステムを流用しており、「90%は他の機体の再利用」とのこと。AAI Corp.が同機運用のための地上操作ステーションを製作しており、SAICからフルモーションビデオ映像技術を提供受けている。
  8. ノー スロップが2010年6月に154百万ドル相当の契約を交付された際にはLEMVの飛行を12ないし13ヶ月以内に実施し、アフガニスタンで運用を18ヶ 月以内に開始することになっていた。「システムが予想よりも複雑でした。大きさではA380に匹敵しますが、回転エンジンを装備しています。コンセプトか ら初飛行までは25ヶ月でした。これでも驚くべき成果なのですがね」
  9. 陸 軍情報参謀副部長メアリー・レジェ中将Lt. Gen. Mary Legere, Army deputy chief of staff for intelligenceによると初飛行で「25ヶ月間の重労働」が報われる形がノースロップと飛行船設計でパートナーの英国企業ハイブリッドエアヴィー クルズHybrid Air Vehicles、および「偉大なる中小企業各社が一緒となり、パワーポイントのプレゼン内容から長時間監視機材の必要性を理解し、実現にこぎつけた」と 評した。
  10. 遅延の原因は追加設計と制作上の問題および初飛行準備に影響を与えた悪天候だという。「堅牢性を高め、一部は二重三重に冗長性をもたせました。機内の装置類で追加設計が必要となり、配線、統合、テストが追加されました」(メツガー)
  11. .ノースロップの契約はオプションも入れると517百万ドルに増える可能性がある。オプションであと2機の製作が可能だ。「陸軍式の調達戦略では一号機をまず作り、『技術的可能性』をチェックすること。このチェックは満足させれたと思っています」(メツガー)
  12. 「陸軍の想定は高度2万フィート上昇し、相当の搭載物を二三週間滞空させる発想です。第一号機は要求水準の数点で満足させられません。二号機では改良を加え、三号機ではすべてがいまくいくでしょう。機体構造には今後の変更点を生かす余地を残しています」
  13. ノースロップは陸軍と共同して同機の性能向上ロードマップを作成中だ。
  14. 「センサー類の統合作業が残っていますが、楽観視しています。この機体の性能は実戦でのニーズに答え、情報収集結果をいっそう有効に活用する途を開くと感じています」(レジェ中将)
  15. LEMV は国防総省のISRタスクフォースの構想を陸軍が採用したものと同中将は説明する。「地域紛争で地上部隊が戦略ISR手段の予約が取れない状況に直面する かも知れず、また陸軍だけで長時間にわたり交戦する可能性があるので、持続的情報収集手段を求めているわけです」■


2012年8月30日木曜日

オーストラリア空軍 F-35導入前にF/A-18をE-18仕様に改修

Australia To Convert Super Hornets To Electronic-Attack Growlers

aviationweek.com August 23, 2012

オーストラリアは運用中のボーイングF/A-18Fの半数に電子攻撃装備を導入する。
  1. 改修作業の予算規模は14.4億ドルで改修機の就役は2018年の予想。
  2. .オーストラリア空軍が運用しているのは複座F/A-18F24機でこのうち12機をEA-18Gグラウラー仕様に転換させる。オーストラリア国防省によるとこの改修によりオーストラリアに敵航空機・地上軍・海上艦艇ののレーダー・通信機器を妨害する能力が入手できる。
  3. 改修では主翼端に電子支援アンテナを、機首に電子攻撃装置をとりつけ、ALQ-99ジャミングポッドを装着する。さらにAGM-88HARM対レーダーミサイルを搭載した想像図が国防省から発表されている。
  4. 今のところスーパーホーネットを米国外で運用しているのはオーストラリアだけであり、米海軍除くとグラウラーを運用するのもオーストラリアが初となる。
  5. オーストラリアはF-35A導入後もスーパーホーネットを一部運用することになる。
  6. . 同国政府は合計72機購入するF-35のうち、まず14機を導入する決定をしており、最初の2機は2014年納入され米国内で運用テストに供される。残る 12機は2015年から17年にかけて納入される予定だったが、現時点で二年間の遅延となる見込みとオーストラリアの国防物資調達機構Defense Materiel Organization (DMO)は発表している。
  7. .F-35開発生産の全体進捗状況のリスク評価が今年末に政府で検討の運びとなっており、その結果により未承認分の58機のF-35の予算が決定される。
  8. その先には四個目の飛行隊となるF-35調達があり、全体機数は100機体制となるが、この決定はF/A-18の退役日程次第だが、2015年より先のことになるとDMOは見ている。■


2012年8月28日火曜日

オスプレイ事故の詳細説明が日本側調査団に海兵隊中将が自ら行なっています

Japan Sends Osprey Assessment Team As Investigation Clears Aircraft


aviationweek.com August 23, 2012

海兵隊によるV-22オスプレイの日本での運用開始を前に日本からの評価チームが派遣された。
  1. 「日 本側評価チームは当地でシミュレーターを見た後、実際にV-22に搭乗しました」と海兵隊航空副本部長ロバート・シュマイドル中将Lt. Gen. Robert E. Schmidle Jr., deputy commandant for Marine Corps aviationが説明している。
  2. .オスプレイが目立つ形で事故を発生させていることから日本は同機の国内配備に懸念を有しており、同中将は日本側に海兵隊による4月11日事故の調査結果を自ら説明したという。
  3. .同事故では2名死亡しており、調査結果では機体ならびに原材料上の問題は見つかっておらず、同機の安全性そのものに対する疑問は出ていないと同中将は先週の記者会見で発言している。
  4. ただし、墜落になったのは一連の事象が発生したためと明らかにしている。「同機はモロッコ国内の施設より飛来し、海兵隊員を輸送する途中だった」と説明。
  5. 事故当時、風は機体前方から吹いており、同機は通常は風の方向へ離陸するが、飛行場には人員、車両、構造物があるためパイロットは方向を変え、追い風で離陸して危険を低減しようとした。同機は地上25フィートで浮揚し、パイロットは機体の方向を変更した。
  6. 「これで追い風になり、パイロットはエンジンナセルを回転させようとしました。ナセルが前方を向いた段階で、機体は前方にピッチし、風が後方から強くなり、機体に悪影響を与え、機首が下がりました」
  7. 「この時点で操縦桿が十分に動かなくなり、水平安定板を十分に上げるこおtができず、機首を上げることができなくなりました。機体は地面に突っ込みました」
  8. 「もしナセルを急速に下げる代わりに前進速度が確保されるまでそのままなセルを保持していれば、風力を乗り越えて通常飛行が可能だったはずですが、パイロットはその時点でその考えはなかったのです」
  9. 「当時の状況は非常に複雑な要素がからみあっており、結果として事故発生になりました。強風が吹いており、風速は15から27ノットの間でした」
  10. 同機の飛行に制限が加わるのは「ナセルを移動する際の速度または機体角度は対気速度に依存する。今回の事例ではナセル移動の速度を大幅に減らす必要があり、ぜんぜん動かせないわけではないが、もっと遅くする必要がある」
  11. 海兵隊はシミュレータ訓練でパイロットへの教育内容の変更をすることで今回の事例のような墜落を防止しようとしている。
  12. .海兵隊としてはオスプレイの安全性を日本に十分強調したいところだ。■

この記事への読者コメントが面白いのでご紹介します

carloさんより
シュ マイドルによると一連の出来事が発生し墜落につながった、と言うくだりには同意できる。たしかに海兵隊員を搬送したことが事故につながった。むしろ機械構 造的な不良が墜落の原因であったらと思う。パイロットがコントロールをわずかに早くしたために、機首が地面に接触した、というよりも見栄えがよい。この点 を詳しく知るにはGoogleでV-22PUWSSを検索されたい。日本側は報道されていないV-22事故事例複数を知っている。http+//www.g2mil.com/V-22Amishaps.htm

LoSulさんより 
これはこれはインターネットでしつこくV-22をこきおろしているCarlton Meyerご本人ですよね。サインをおねがいしたいところだ。サイトには沢山の人が着ているのかな

サ イドスリップでピッチアップが起こったと主張しているがちょっとヒステリー気味では。同機はその時点で追い風をうけていたのはわかっているはず。 PUWSSが発生したのは向かい風によりローターのストリームチューブが水平安定板に打ちあたったためですよ。追い風はこれを緩和する効果があったので は。このため自動制御システムは補正効果のため機首を5度下げている。パイロットはこの状況を正確に把握しており、そもそも訓練で追い風を避けるよう学ん でいる。NATOPS海軍航空訓練運用手順標準書でもこの点は明示していますよ。

あ なたはここらは全部ご存知のはず。わかっていながらパイロットの失敗を針でつつくように追い風、低高度で失敗に気づく時間的余裕がないことを強調してい る。事故当時の状況ではスピンするしかなかったのに「機首から地面に突っ込んだ」とは? いいですか、パイロット両名は前席にいて助かっているんですよ

あんたはオスプレイを貶めることに使命感を感じているようですが、CH-53の使用期間全体で300名以上が命を落としていることはご存じないの?

2012年8月27日月曜日

F-35 海兵隊がパイロット訓練を開始

US Marines To Start F-35 Training At Florida Air Base

By Reuters

aviationweek.com August 23, 2012

米海兵隊パイロットのF-35共用打撃戦闘機訓練はフロリダでまもなく開始となる。同機に対する海兵隊の期待を改めて浮き彫りにするかたちになった。

  1. ロッキード・マーティンはF-35B短距離離陸垂直着陸型10機を納入ずみで、全機エグリン空軍基地(フロリダ州)に配備されている。
  2. .テストパイロットによるF-35B習熟飛行は同基地ですでに5月から開始しており、飛行回数は200回近くになっているが、フライトには速度等制約がついている。例として垂直着陸の実施は認められていない。
  3. 今のところ同機パイロットはシミュレーター訓練と座学しかできないが、配備前には実機による訓練と保守点検の実施が欠かせない。
  4. そ こでパイロットの飛行訓練を開始する決定が出たと、内部筋が明らかにしてくれた。また、この決定は難航するF-35に対する海兵隊の信頼を示すもので、海 兵隊上層部はかねてから運用中の戦闘機老朽化を懸念していたため、同機の運用実用性の評価手続きを省略する決定をした。一方、空軍はこの手続きを作業中 で、その後でパイロット養成飛行訓練を開始する。
  5. 「海 兵隊は同機をなるべく早く実戦配備することを最優先とし、お役所的な手続きで遅れさせられるのを嫌っているのでしょう」と解説するのはシンクタンク、レキ シントン研究所Lexington InstituteのCOOであるローレン・トンプソンLoren Thompsonだ。
  6. ハリヤーおよび旧型F/A-18の機体寿命を考えるとF-35の配備は海兵隊にとって待ったなしの課題であるとトンプソンは説明する。
  7. . 空軍・海兵隊向けのF-35パイロット訓練は本来一年前に開始の予定だったものの、ペンタゴンにより同機の寄稿およびソフトウェアの成熟度に疑問ありとし て先送りになっていたものだ。それを指示したのが試験評価を取り仕切るマイケル・ギルモアMichael Gilmore運用試験評価局長director of operational test and evaluationだ。ギルモアは海兵隊が運用実用評価を省略する決定をしたことについてコメントを拒否している。
  8. .なお、ロッキード・マーティンが現在段階で予測する開発総費用は3,960億ドル(約31兆円)。一方、プロジェクトの成否を握るのが英国のBAEシステムズであり、ノースロップ・グラマンやユナイテッドテクノジーズも契約企業として参加している。
  9. 海兵隊が真っ先に同機の初期作戦能力獲得を宣言する可能性が高い。海兵隊がソフトウェアの改修を待つ予定がない一方、他軍はこれを必要条件としているためだ。
  10. 海軍向けF-35C艦載型も再設計の拘束フックテストをレイクハースト基地(ニュージャージー州)で成功させている。テストに詳しい筋からは概ねテストは成功したものの、空母に安全に着艦するためにはまだ改良が必要だとのコメントが入ってきた。■

コメント なるほどもう待っていられない、というのが海兵隊の意識でしょうか。それをやってしまうのが海兵隊らしいところですね。一方で、C型の空母運用にはまだ時間がかかりそうですね。

2012年8月26日日曜日

11月に共和党大統領が実現すると国防予算はどうなるか

How Romney, Ryan Differ on Defense Spending


aviationweek.com August 20, 2012

. 国防予算支出で大統領・副大統領候補選出が濃厚なミット・ロムニー Mitt Romneyとポール・ライアンPaul Ryanの二人の考え方が共和党の中でも違いが目立つ。航空宇宙・国防政策の内容を分析している専門家にはライアンという選択そのものが国防産業にとって 先が思いやられる移行が共和党内ですでに起こってしまったことの証拠と見られている。

  1. ライアンと言う選択で「国防タカ派から予算タカ派への移行が完成した」とみるのはティールグループTeal Groupの航空宇宙担当アナリスト、リチャード・アボウラフィアRichard Aboulafiaだ。
  2. 業界が資金を提供しているレキシントン研究所Lexington Instituteのローレン・トンプソンLoren Thompsonは国家安全保障に危急の脅威がない一方、国防支出が膨らんでいるためにこの移行となったと見る。
  3. 「ライアンの予算構想の裏に流れているのは主要国防プログラムの規模縮小が必要とする考え方です。これが実現しないと増税か国防力削減のいずれかを選択せざるをえなくなります」
  4. ロ ムニーの選挙運動ではヘリテージ財団が前回2008年大統領選の際に作成した公約案を再度取り上げている。GDPの4%を国防支出にまわすべき、と言うの がその内容。ライアンによる下院共和党の予算案は大幅な国防予算削減は求めていないものの、ロムニー構想と比べると4年間で16億ドルも少ないとリベラル 派のケイトウ研究所のクリストファー・プレブルChristopher Preble副理事長(国防・外交政策研究)は言う。
  5. この相違は共和党内部の意見対立そのものの反映で、ブッシュ前政権時から延々と続く国内問題に焦点をあわせるべきかの議論である。ただ10年たってもアフガニスタン駐留は解消しておらず、国防タカ派は記録的な規模の国防支出を継続させている。
  6. .ロムニー・ライアン間では支出規模での違いがめだつ。ライアン案では1,580億ドルの追加支出を国防関連で認めながら来年1月想定で5,040億ドルを予算削減のみ実施分罰則として取り上げようとする。
  7. .「ライアンが予算に詳しいという印象を与えたいのであれば、それで手に入る資金をどこに使うのかを説明する必要があります」と言うプレブルは国防予算1兆ドル削減をかれこれ10年間主張している。
  8. ロムニー陣営からはむしろオバマ政権への攻勢を強め、大統領が予算削減を進めているように見せかけようとしているとの非難を強めている。
  9. 「オ バマ大統領は退役軍人現役軍人に冷たい。大幅予算削減で海軍は1916年以降で最小規模になる。陸軍は1940年以後で最小規模になる。空軍も大幅縮小 だ。」と本誌にメールを送付してきた。」ロムニー知事とポール・ライアンは国防体制の維持保全で共通の姿勢。ロムニー案は大統領の削減方針を逆転させ、わ が軍を再建させる。またライアン下院議員提案の予算案では国防予算の強制執行停止をさせないこととオバマ案の国防予算削減には反対している。
  10. ライアンは国防分野で実績はわずかしかない。それでも共和党も民主党も実績がなくてもそれなりのものを作ってしまうのである。
  11. . 「国防に詳しくない人にはこういうことは珍しくない」と断言するのは全国安全保障ネットワークNational Security Networkを主宰するヘザー・ハーバートHeather Hurlburtだ。全国的な関心が過去に経歴のない候補者に寄せらると共和党は新保守派のイメージをうちだしてくるという。
  12. . ジェイムズ・ジェイ・カラファーノJames Jay Carafano, a defense analystは保守派ヘリテージ財団 Heritage Foundationで国防アナリストを務めており、ライアンの国防支出に対する姿勢はロムニーに近く、さらに候補者指名のずっと前に形成されていること を指摘する。昨今の経済情勢を考慮するとライアンの予算案で国防支出を温存するのは相当のことだという。
  13. カラファーノは米国は国防予算削減または増税のどちらかを選択スべきだとする考え方を一蹴する。「これで心臓発作と脳動脈瘤のどちらで死にたいですかと聞くようなものだ」
  14. 国 防にGDP4%をあてるべきかで米国が苦しんでいるたった一つの理由は国家財政がちゃんとしていないからにすぎない、とカラファーノは解説する。敵性な投 資を国防分野に続ければ、ペンタゴンは攻撃型航空戦力を再編成し、第五世代戦闘機による近代化、海軍の艦船数増加をいずれも実現できるのだという。
  15. カラファーノ以外にも国防タカ派は2011年にライアンがアレクサンダー・ハミルトン協会Alexander Hamilton Societyで行ったスピーチを同議員が保守派が大切に考える論点全てを優先的に考えている証拠だとする。つまり、軍事、外交両面の政策での重要点を財政赤字を削減しつつ、大切な価値観をを守りながら実現できるというのだ。
  16. 「財政政策と外交政策は衝突コースに入っているが、適正規模の予算を維持できければわが国は世界大国の地位を自ら落とす選択肢を取ることになります」とライアンは発言している。強力な国防と財政再建の両立は可能と付け加えていた。
  17. . ライアンの信望するサプライサイド経済哲学は共和党の実力者グローバー・ノーキストGrover Norquist(アメリカ税制改革運動Americans for Tax Reform会長)と一致するもので、ノーキストは小さな政府が最終的には経済拡大につながると主張している。
  18. ノー キストの外交政策への姿勢は国防支出の維持を求める向きと対立する。ノーキストはこれまでも共和党内で増税を戒め、ジョージ・W・ブッシュ前大統領の 2000年大統領選挙の基本線に回帰するよう各候補に求めてきた。「外交政策は国内政策にも影響を与える。前政権の考え方に戻るべきです。もし政府が勝手 に特定の戦闘に集中するあるいは占領統治を決めてしまうと、他にまわす余裕はなくなってしまいます」
  19. ノー キストが言っているのは議員連中と話していみると、国防予算のこれ以上の削減に反対しているものがいる、ただし少数にとどまっているのは良いこととする。 また、反対派は赤字対策議論の中心議員ではないと見る。「増税を口にしている共和党議員はほんのわずかで任期終わりで再選を求めていないのか、再選できる かわからない議員でしょう」
  20. リ ンゼイ・グラハム上院議員Sen. Lindsey Graham(共和、サウスカロライナ)、ジョン・マケイン上院議員Sen. John McCain(共和、アリゾナ)、バック・マッケオン下院議員Rep. Buck McKeon(共、カリフォーニア)が国防予算削減の拡大を求めて動いている。特にグラハムは税控除等の抜け穴を塞ぐことで税収増を測れば増税は回避でき ると堂々と主張している。
  21. これに対しノーキストは税制改革論者に「今は対立している」議員は国防予算では何もできないと言っているのと同じだと見ている。この税制改革論者の一人が今回副大統領候補になっているのだが。
  22. しかしハーバートは副大統領候補の選択は航空宇宙国防産業に何ら影響を与えないと見ている。「予算が下がることはだれにもわかっています。うまく下がるのか、愚かにも急降下してしまうのかが問題でしょう」■


2012年8月25日土曜日

シリア軍事介入の可能性、航空作戦で想定される事態について

The Cost of a Syrian Intervention

by Daniel Trombly
US Naval Institute website August 22, 2012
                                       
リビアの事例と同様の形でシリア軍事介入を行うと航空機の投入数は6倍必要とマサチューセッツ工科大学が行った最新の分析が示している。
                   
  1. リ ビアへの軍事介入「オデッセイの夜明け作戦」Odyssey Dawn は2011年3月開始され、当初は軍事介入の新しいモデルになると見られていた。比較的迅速に、被害なく、低コストで沖合いと空中から軍事力を敵対勢力に 投入し、抵抗勢力を保護することがベンガジで始まった。現在シリアの内戦状態は激化しており、政界にも軍事行動を求めるグラハム、マケイン、リーバーマン 各上院議員の声が高まっているが、再び航空戦、沿岸戦でシリア抵抗勢力を防御し現政権を転覆させることは可能だろうか。
  2. MIT 後期博士課程のブライアン・ハガティーBrian Haggerty,が公表資料からの分析結果を発表しており、シリア防空網を制圧すべく航空戦を展開し、安全地帯確保を実現するには何が必要となるかを示 している。作戦は実施可能だが、リスク低減のために大規模展開が必要で、すくなくとも戦術攻撃機191機の投入が必要で、(オデッセーの夜明け作戦時の6 倍規模)これ以外に数倍の爆撃機、巡航ミサイルの動員となると言う。
  3. シ リアが保有する統合防空網ntegrated air defense system (IADS) の存在を念頭にマーティン・デンプシー大将(統合参謀本部議長)は防空体制が中東地域で比較的整備されているシリアをリビアと比較している。シリアはこれ までにもアメリカの空軍力に対抗したことがあり、レバノン紛争(1982年)およびシリア原子炉攻撃(2007年)の経験からイスラエルもシリア防空体制 の制圧・破壊の必要性を認識している。
  4. 一 方でIHS Jane'sのサム・オコナーSam O’Connorのように適切な投入をすれば米国同盟国側がシリアのIADSを制圧しその後の航空優勢の確保は十分可能だと見るアナリストもいる。シリア 政府首脳を標的とした直接攻撃や安全地帯を確保してシリア軍に手出しできなくする構想もある。
  5. リ ビアのIADSはソ連時代の老朽装備で海岸線に配備されていた。西側と関係修復してもリビアは防空体制の近代化に重点投資しなかった。これに対しシリアは イスラエル空軍に対抗し、トルコ国境の緊張を意識し、アメリカからの攻撃も想定したIADSで、対象空域は広範かつ装備は近代的で威力が大きい。
  6. ハ ガティ分析で敵防空網制圧suppression of enemy air defenses (SEAD)の対象で抽出した目標は合計450箇所で、うちC2(指令所)・早期警戒施設が20箇所、地対空ミサイル(SAM)陣地150箇所、航空機掩 体施設205箇所、その他航空基地関連目標32および地対地、地対艦ミサイル陣地である。リビアではSAM陣地は31箇所のみであったし、うち数箇所はす でに反乱勢力が占拠していた。航空基地も5箇所のみが攻撃対象に過ぎず、選択肢はTLAM(トマホーク地上攻撃巡航ミサイル)がSEADにぴったりと見え るが、制約もある。
  7. ま ずTLAMの在庫が制約となる。とくにリビアで使用した後である。2011年3月19日までに米英で約100発のTLAMを水上艦船と潜水艦から発射して いる。この一週間後にまた100発が使用された。レイセオンはこの補充用にTLAM361発の生産を2012年度内までに完了する契約を交付されている。 二番目にTLAMが航空機掩体施設のような強化目標にはかならずしも効果的ではないのだ。ハガティが指摘するように爆撃機(B-2あるいはSAM制圧完了 していればB-1BまたはB-52も投入可能)からシリア空軍を地上で撃破するには精密爆弾を多数投下する必要がある。
  8. 開戦当初にTLAM攻撃、戦略爆撃機、電子戦専用機、SEADミッション用戦術機を投入すると米軍の役割が大きくなり、その後の戦闘でも大量の攻撃用機体の動員に加え米海軍の空母も必要となろう。リビアではこれは不要だった。
  9. ハガティ試算では残る200余の目標に攻撃機を向かわせると最低191機必要で、その他105機の支援が必要。この規模はコソボ紛争のアライド・フォース作戦と同規模だが、シリアのIADS攻撃には電子戦(EW)他専用機材をもっと投入する必要がある。
  10. 対 照的にリビアで米国はF-15E10機、F-16CJ8機でSEADを実施している。NATO軍からF-16が28機、カナダ・スペインのF-18 合計11機、ラファール8機、ミラージュ4機、トーネード10機が加わった。米空軍はさらにB-2を3機、B-1 は2機の爆撃機も投入している。NATOがシリアに介入すれば規模はこれより大きくなるのは必至で爆撃機、TLAM、戦術攻撃機が増えるだろう。軍事介入 はまだ可能性の粋を脱していないが、複雑な要素がからみあっている。
  11. リ ビア作戦時の武器在庫レベルの減り方について報道に誇張があったかもしれないが、デンマークのような小国が任務出撃回数増加に耐え切れず米英仏に肩代わり を求めてくる可能性がある。幸いにも今回はトルコが参戦すると見られ、F-16の配備数で世界第三位の同国への期待は大きい。ただし国境を接するトルコが シリアに権益を感じるのは当然としても参戦する政治的決断が出るかは不明だ。
  12. フ ランスはじめとする欧州各国にはリビア介入に乗り気だったが、シリアでは熱意が感じられない。SEADで高い運用力を有するドイツは参加しない見込みだ。 その他主要国の英、仏、伊も航空支援の提供には積極的ではない。とはいえ、第一段階であるシリアIADSの無力化は大規模作戦になりそうで、リビア事例を 規模で上回り、コソボ作戦よりも戦術面で複雑になる。
  13. まだ大事な問題が残っている。第一段階のSEAD作戦は攻撃作戦の道を開くのが目的で、シリア政府を標的にする、または「安全地帯」の実現を現政権支配下の軍に強制させる、またはその両方がねらいだ。その成否はSEAD攻撃にシリアがまずどう反応するかにかかっている。
  14. もしシリアにIADSを分散配置したり、作動を遅らせる賢明さがあれば、連合軍の航空作戦の自由度は大幅に減るだろう。実際にこれはセルビアが1999年に実施している。巧妙に隠されたSAMがあるとその後の攻撃も活発に実施できず、結果介入側に犠牲者が増える。
  15. そ こで識者の中には対テロ作戦で無人機(UAV)が有効に利用されていることから、シリア戦にも投入するべきだと主張するものがいるが、過去の事例から SEADがまず重要な意味を持ってくることが明白だ。UAVは武装集団からの攻撃に極めて弱体であり、対空装備をもたず、相手が十分な装備で対応すれば、 すべての利点は消え去る。1999年に米空軍がMQ-1プレデター5機をセルビアに派遣したが、3機が撃墜されており、4機目は墜落している。リビアでは SEAD作戦が終了してからプレデターが投入されている。その理由として戦闘用UAVは有人機よりも攻撃に弱いためだ。
  16. シ リアも無敵とは言いがたいが、ハガティ分析はまず突破口を開かないと次の作戦が実施できないことをあらためて想起させてくれる。米国および同盟国が自由に 空域アクセスできることが軍事行動の前提だ。IADSを制圧し、制空権が確立するために必要な代価を考えると、シリアでSEADの実行の労を惜しんでいる 余裕はないはずだ。決して勝利をおさめられないわけではないものの、冷静に考えるとシリア航空戦は簡単に決着がつくとは思えない。

Daniel Trombly is an analyst and writer on international affairs and strategy. He blogs at Abu Muqawama and Slouching Toward Columbia.
                               

2012年8月22日水曜日

PAK FA T-50の実用化はインド・ロシア合作で進める

India And Russia To Ink R&D Phase Of T-50 Program


aviationweek.com August 21, 2012

イ ンドとロシアはまもなく契約書を取り交わし総額110億ドル以上で共同研究開発をT-50で進めることとなる。インドへ試作機1号機が2014年までに供 与され、インド西部マハラシュトラ州のオジャールOjhar空軍基地で公試を重点的に実施する。その後二号機が2017年、三号機が2019年にそれぞれ 加わる。

  1. 「同機の実戦配備を2022年までに実現したい」とインド空軍参謀総長N.A.K.ブラウン大将Air Chief Marshal N.A.K. Browneが発言したとPTI通信社が配信した。同大将は8月初めににロシアを訪問している。
  2. . 同機はヒンドゥスタン航空機Hindustan Aeronautics Ltd.とスホイ設計局Sukhoi Design Bureau of Russiaの共同事業として次期多任務戦闘機erspective Multi-Role Fighter (PMF)と呼称されており、ロシアのPAK FAを原型とするものだ。インドは2030年までに200機を300億ドルで調達する予定。MiG-29およびSu-30MKIフランカーHの後継機とす る。
  3. 関 係者によるとヒンドゥスタンとロシアのロソボロクスポートRosoboronexport 間で予備設計(PD)契約が2010年12月に結ばれており、HALとSDB合同でPMF開発を295百万ドルで進めることも合意されていると関係者が明 らかにしており、PDに18ヶ月かけたあと本設計および開発工程は別契約になり、PD完了直前までに交渉、署名を完結させるという。
  4. 今のところ想定されている研究開発契約は110億ドル相当で両国で折半するという。
  5. 三機のT-50試作機がPAK FAとして開発テスト中で、四号機が今年後半にテスト部隊に加わるという(ロシア国防省)
  6. SDBは新型搭載レーダーシステムのテストを開始している。Xバンドのアクティブフェイズドアレイ式でT-50試作三号機が搭載しているといい、安定した作動で性能は既存の高性能レーダーとそん色ないとのこと。
  7. ところでT-50.試作一号機が初飛行したのは2010年1月でそれ以降にインド空軍から40件以上の設計変更を指摘している。
  8. T-50の性能諸元は依然極秘のままだが、報道を総合すると高度ステルス性能に加え超音速巡航飛行、制御系とエイビオニクスの統合があるという。
  9. ”ただし、インド空軍関係者によると共同開発のPMFの原型がロシアのFGFA技術実証機であり、インド空軍のスペックで基本構造とシステム構成に手を加えているのだという。
  10. インドは単座機と複座機をともに開発予定で後者は訓練と特殊任務に使用する想定だ。
  11. インド国防省は最終的に200機から250機を生産することになり、全部あわせるとインド史上最大の国防装備調達になると見ている。
  12. インドは技術者、テストパイロットをロシア国内とオジャールに駐在させて研究開発を進め、そののちHALが生産を開始する。■