2023年10月14日土曜日

イスラエル=ハマスの戦いで注目すべき点:どこまで拡大する?イランは関与している?ウクライナ戦への影響は?ピンボケな中国の外交対応など

 Palestinian civil defense crews try to extinguish fire in a house that was hit by an Israeli airstrike in Khan Younis, southern Gaza Strip.

Palestinian civil defense crews try to extinguish fire in a house that was hit by an Israeli airstrike in Khan Younis, southern Gaza Strip, Sunday Oct. 8, 2023. | Yousef Masoud/AP




イスラエルとハマスの戦いの見どころ

地域戦争の脅威から中国の奇妙な外交まで




ョー・バイデン政権は中東に平穏をもたらし、もっと厄介な相手、中国に集中しようとしてきた。その戦略が、今週末のパレスチナ過激派ハマスによるイスラエルへの衝撃的な奇襲攻撃で危機に瀕している。

 イスラエルの報復が拡大すれば、より広範な地域での戦争の可能性が迫り、バイデンは注意をより強く向けざるを得ない。すでに数百名もの人々が亡くなっている。バイデンチームは、北京にむけた注意力をさらに狭めることになる。すでにロシアのウクライナ戦争で引き伸ばされている。

 中東では大きな成功を収めたと信じていたホワイトハウスにとって、これはフラストレーションが溜まる動きだ。(斬新とは言い難い: 歴代の大統領が中東問題で頭を悩ませてきた)。イエメンでの戦争を凍結させ、イスラエルと敵対してきたアラブ諸国と外交、経済、その他の関係を築くのを支援する取り組みを前進させた。バイデンチームはこの戦略について、地域の「統合」を促進するものと説明してきたが、紛争により崩壊の危機に瀕している。

 しかし、まだ始まったばかりで、答えよりも疑問の方が多い。以下は、ワシントンをはじめとする国家安全保障の専門家たちが考えていることである:


どこまで拡大するのか?

現在、イスラエルとハマスの戦いは、より広範な戦争に発展する可能性を秘めている。

 ハマスとしては、イランの後ろ盾やアラブ諸国の同情的な政府が直接援助に来てくれることを切望しているかもしれない。レバノンを拠点とするヒズボラ含む他の武装集団は、人手を提供したり、他の場所での暴力に拍車をかける瞬間をとらえるかもしれない。日曜日には、ヒズボラがイスラエル軍に迫撃砲を撃ち込んだという報告もあった。

 戦闘はまた、ハマスが支配するガザ地区からヨルダン川西岸にまで広がる可能性がある。そこでは、イスラエルがパレスチナ人の主張する土地に入植地多数を建設しているため、パレスチナ人とイスラエル人の間の緊張が高まっている。

 しかし、それぞれの政府やグループには、ワシントンとの関係を危険にさらしたくない、明確な終局の見えない戦争に血と財宝を費やしたくないなど、争いを避ける動機もある。

 アメリカ政府関係者は、戦闘を封じ込めようと躍起だ。バイデンは土曜日、「イスラエルに敵対するいかなる勢力も、この状況を有利に進めようとしないように」と警告した。一方、バイデンの側近は電話をかけまくっている。

 この問題に詳しいある米政府高官は、他の高官と同様、デリケートな問題を議論するために匿名を使った。

 イスラエルは、他の敵対勢力に関与しないよう警告した。「イスラエルに対する戦闘の場の拡大は、イスラエルによる断固とした致命的な行動を含む、特に厳しい対応で迎えられるだろう」とイスラエル政府高官は語った。


イランが悪いのか?

ワシントン内外のタカ派は、ハマス攻撃の真犯人はテヘランだと早合点している。イランは長い間ハマスに資金的、軍事的に援助してきた。

 ハマスのスポークスマンは、イランが週末の攻撃を支援したと語ったと報じられ、イラン政府高官もこれを支持している。日曜日の『ウォールストリート・ジャーナル』は、ハマスとヒズボラの幹部の発言を引用し、イランの治安当局者が攻撃計画を手助けしたと伝えている。

 しかし、ハマスはテヘランから一定の独立性を保っており、米政府高官はまだイランを非難していない。

 現時点では、イランがこのテロに直接関与したことを示すものは何もない。

 ただしイランが何の影響も受けずに立ち去るという意味ではない。例えば、米国はハマスへの一般的な支援を理由に、テヘランに新たな制裁を課す可能性がある。


サウジとイスラエルのダンスは終わるのか?

ハマスの攻撃は、米国が支援する和平イニシアチブを脅かすもので、サウジアラビアは米国の安全保障やその他の便宜と引き換えにイスラエルとの国交を正常化することになる。

 しかし、この計画が頓挫したと言うのは時期尚早だ。

 ハマスの攻撃を受けて、サウジアラビアをはじめとするアラブ諸国は、イスラエルよりもパレスチナに同情的な声明を発表した。しかし、この直接的な反応は、サウジアラビア、イスラエル、米国が壮大な和平合意を作り上げる要素を凌駕するものではない。

 サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、過去のサウジ指導者ほどパレスチナ危機に固執していない。イスラエルと同様、彼はハマスの主要な支援者であるイランを自国の脅威と見なしている。サウジアラビアとイスラエルはすでに非公式にイラン問題で協力関係にある。

 イスラエルはすでにバーレーン、アラブ首長国連邦、モロッコと外交正常化協定を結んでいる。イスラム教の聖地があるサウジアラビアと同様の協定を結ぶことには、経済面を含め多くのインセンティブがある。

 米国にとっては、テロ対策からエネルギー政策に至るまで、中東に平穏をもたらす要素はすべて歓迎する。もうひとつの大きな要因は、中東で拡大する中国の影響力を相殺したいワシントンの願望である。

「中国はただ現れただけではない」。バイデン政権高官は先週、ハマスの攻撃前にPOLITICOに語った。同高官は、米国がサウジアラビアにどのような安全保障を提供するかなど、グランドバーゲンの詳細については明言を避けた。

 同高官はまた、パレスチナ人が参加しているとも述べた。

 「彼らはプロセスの一部になりたがっている。「パレスチナ国家がない限り、アラブ国家がイスラエルと関係を正常化するプロセスには決して関与しないというのが彼らの方針だった」。

 この政府関係者は、どのパレスチナ人か明言しなかったが、おそらくパレスチナ自治政府関係者を指しているのだろう。

 ヨルダン川西岸地区を統治するパレスチナ自治政府は、ハマスの対抗勢力としては弱く、現在もイスラエルを煽動している。しかし、その運命は新たな戦闘で左右されるかもしれない。結局のところ、ある元国務省高官は、「これが終わったとき、ガザ支配は誰がするのかという問題が残る」と指摘する。


イスラエルはなぜ予測できなかったのか?

イスラエルの諜報機関、あるいはアメリカの諜報機関が事前に察知することなく、ここまで洗練された、多方面にわたるハマスの攻撃がどのようにして起こり得たのか、という明白な疑問に即答はない。

 民主主義防衛財団のジョナサン・シャンツァーは、「諜報活動の失態で何らかの調査委員会が開かれるだろう」と予測した。

 シャンツァーによれば、イスラエルにおける従来の考え方は、ハマスは "戦術的"な脅威であり、深刻ではあるが、イスラエルの存続を危うくするような脅威ではなかったという。しかし、イスラエルはハマスがイランの助けを得て、より戦略的な脅威へと進化したことを十分に理解していなかったのかもしれない、とシャンツァーは言う。

 イスラエルは2021年に11日間に渡ってハマスと戦い、ガザの過激派組織の標的多数を破壊し、少なくとも260人のパレスチナ人と12人のイスラエル人の死者を出した。その戦いは、ハマスの能力に十分なダメージを与える前に、あまりにも早く終わってしまったのだろうか?

 当時、米国はイスラエルに作戦期間を制限するよう説得する努力を惜しまなかった。イスラエルも、攻撃できる標的数が少ない地点に達していた、とシャンツァーは言う。

 イスラエルが地上侵攻を行う可能性があること、ハマスが多数の人質を拘束していることなどから、今回の戦闘は11日間よりはるかに長く続く可能性がある。


ウクライナへの影響は?

アメリカはすでにイスラエルへの軍事装備、軍需品、その他資源の提供を強化している。また、イスラエル付近に艦艇や航空機を配備し、支援を表明している。

 この動きは、ロシアの侵攻と戦うウクライナに対し、ワシントンが軍事的・経済的援助を続けるべきかどうかをめぐる党派間の争いが続く中で生まれた。

 ウクライナ支援の継続に不安を募らす共和党議員も、すぐにイスラエル支援に賛成する発言をした。(後者は、共和党支持層の多くを占める福音主義キリスト教徒にとって最重要課題である)。

 今のところ、米政府高官は、軍事面でイスラエルを援助してもウクライナ援助に影響はないと主張している。多くの場合、関係するシステムが異なるためだ。

 ウクライナは、アメリカが自分たちをどのように扱うのかに失望しているかもしれない。イスラエルがウクライナにできる限りの支援を提供せず、両国の関係を冷え込ませていることも助けにならない。

 イスラエルは、ロシアの攻撃からウクライナの市民と軍事拠点を守るために、防空システム「アイアンドーム」をウクライナに送ることを拒否している。


中国の役割は?

今年初め、中国当局はイスラエル人とパレスチナ人の和平交渉に乗り出す意思があると述べた。これは、サウジアラビアとイランの国交回復に中国が果たした成功に続くものだ。

 しかし、今回の暴力事件に対する中国の反応は、イスラエルを一時的に不愉快にさせるかもしれない。

 中国外務省は日曜日の声明で、イスラエルとパレスチナ(ハマスやパレスチナ人ではなく、この言葉を使った)は「冷静さを保ち、自制を行使し、市民を保護し、事態の悪化を避けるために、敵対行為を直ちに終わらせるべきだ」と述べた。そして、2国家による解決を求めた。

 イスラエル人にとって、これは腹立たしい。今回の攻撃は、彼らがこの50年間で経験した最悪の暴力であることは間違いない。イスラエルが長期的な和平への道を開くことを期待して入植地を解体した後、その領土を掌握した重武装集団によるものだ。

 イスラエルは、ハマスに反撃する権利があると感じている。

 在北京イスラエル大使館のユヴァル・ワクスは、中国の声明に失望を表明した。ロイター通信によると、ワクスは記者団に対し、「人々が殺害され、路上で虐殺されているときに、2国家解決策を呼びかけている場合ではない」と語った。

 とはいえ、中国は同地域で重要さを増しており、イスラエルやサウジアラビア、イランがすぐに敬遠することはないだろう。■


6 things national security experts are watching in the Israel-Hamas conflict - POLITICO

By NAHAL TOOSI

10/08/2023 06:06 PM EDT


警告 西側民主体制は中国による選挙干渉を排除しなければ制度が機能しなくなる日が来る----カナダ、ニュージーランド、米国....日本は大丈夫か

 



西側諸国は中国による選挙干渉に備えるべきだ


 アメリカと同盟国は、包括的かつ多次元的な中国からの挑戦に直面している。この非友好的な競争の1つの軸は、自由民主主義国の投票箱だ。北京が西側同盟国全体の民主主義システムを弱体化させようとしている証拠は増える一方だ。

 カナダはNATOの創設メンバーであり、北米防空のパートナーであり、米国にとって最も重要な商業的・政治的関係国である。北京はカナダの政治機構を包括的に攻撃したようだ:2019年と2021年の連邦選挙に干渉し、自由党の少数派政権を誕生させようとした疑惑、議会で中国共産党(中共)を批判するトーリー党のマイケル・チョン影の外務大臣や新民主主義党のジェニー・クワンなどを標的にした疑惑;2022年のバンクーバー地方選挙で「柔軟な政治家の幹部を作る」努力を行ったとされ、特に衝撃的だったのは、同年にブリティッシュコロンビア州ポートコキットラムの反中共市長ブラッド・ウェストの対立候補を擁立しようとしたとされることだ。

 こうしたスキャンダルは、カナダ情報局からの匿名リークの結果であり、ジャスティン・トルドー首相の自由党政権は足元をすくわれた。トルドー首相の対応が遅々として進まず、最終的に9.11委員会のような公開調査委員会の招集が必要となるまで半年以上かかった。「カナダの2019年と2021年の選挙への影響を確認するために、中国、ロシア、その他の外国または非国家主体による干渉を調査・評価すること」、「カナダの民主的プロセスを直接的または間接的に標的とするあらゆる形態の外国からの干渉をカナダ政府が検知、抑止、対抗できるようにするために、関連する連邦省庁、組織構造、統治プロセスの能力を調査・評価すること」である。カナダは今後、中国共産党の選挙スパイ行為について、切実に必要とされている公的な清算に乗り出すことになる。

 米国のその他同盟国も、北京が支援する干渉の脅威と直面している。ニュージーランド安全保障情報局(NZSIS)は8月、「ニュージーランドの脅威環境に関するNZSISの統合分析に一般市民が......アクセスできるようにする」という前例のない報告書を公表した。 まとめると、中国の政治・選挙干渉は当分の間、継続的な懸念であり続けるだろう。

 少なくとも、アメリカとその民主的同盟国は、「選挙干渉の主張を迅速かつ冷静に審査する安全弁を開発」し、「すべての干渉の主張を迅速に審査し、不正を行った者を特定」しなければならないということだ。カナダの公的調査が、最終的にその一端を示すことを期待するしかない。しかし、こうした安全弁の開発は最初の一歩に過ぎず、中国が西側の民主的な選挙に対して次に打つ手を阻むための真の戦略を考案するための手段に過ぎない。

 フィリップ・ボビットは2008年の著書『テロと合意』(Terror and Consent)で、21世紀のグローバル化、ネットワーク化された非対称戦争との闘いを、需要と供給の概念を用いて類推し、「テロリズムに関するほとんどの分析的研究は......テロリストを動機づける特徴や原因といった......需要サイドに焦点を当てている」一方で、その需要曲線を押し下げることに焦点を当てた戦略には、そのようなアプローチに付随するすべての「報復要件」を伴う抑止戦略が必要であると指摘した。ボビットは、この焦点は「テロの供給側」、つまり悪意ある行為者が利用できるリスクや標的を減らす方法を無視していると主張した。

 しかし、中国やその他の敵対国による秘密裏の選挙干渉への対応となると、話は反転し、そのような奇策の影響に対して市民社会を硬化させることによって、いかに供給をコントロールするかに焦点が当てられるようだ。カナダでは特に、米国の外国代理人登録法に似た外国代理人登録制度が数年前から提案されている。公的調査が「選挙干渉の供給側」にまで踏み込み、登録の是非やその他の「供給」問題について勧告を出すのは間違いない。

 しかし、公的調査や、中華人民共和国の選挙スパイ活動に対して行われるその他調査は、需要を減らすという問題にも取り組むべきである。外国の干渉に対するサプライサイド戦略の欠点は、行き過ぎる危険性だ。アメリカの歴史を振り返れば、1798年や1918年の扇動行為も、1950年代の国内反共弾圧も、正当かつ十分な理由があって好意的に記憶されているわけではない。自由民主主義が最もよく機能するのは、「公共の問題に関する討論は、妨げられることなく、堅固で、広く開かれたものでなければならないという原則に対する国民の深いコミットメント」が維持されているときである。

 そのためには、中国や他の干渉国家に対して、政治活動家の共謀、カナダの政治システムへの資金洗浄、候補者リクルートへの関与は、機能的には重要インフラへの攻撃と同等であることを示すなどして、欧米の選挙へのさらなる、そして将来的な干渉に対する抑止力を回復させる方法を検討すべきである。結局のところ、選挙の完全性は、橋や通信システムの完全性と同じ価値があるかもしれない。そのような道を歩むのであれば、敵対勢力にどのようにレッドラインを伝えることができるか、また、どのような対応が相応の対応と考えられるかについても調査すべきだ。結局のところ、中国には、カナダ人(あるいは他の誰であれ)が報復を実行できるような、同じような民衆の選挙がないのだ。

 その結果、このような会話は最終的に、潜在的な中国の選挙介入という脅威のもと、すべての西側政府を巻き込む必要がある。ボビット教授がテロリズムの文脈で指摘したことは、このような状況でも当てはまるだろう: "グローバルでネットワーク化されたエージェントに関して......ある標的国の効果的な抑止政策は、単に同盟国に攻撃をそらすだけである"。そして、中国が2020年のアメリカ選挙への実質的な介入を検討したが、最終的には断念したことが公に報道されている。■


The West Must Prepare for Chinese Election Interference | The National Interest


by Zac Morgan

September 23, 2023 



ザック・モーガンは、憲法修正第1条と選挙資金法を専門とする弁護士。以前はInstitute for Free Speechに勤務し、現在は連邦選挙管理委員会のアレン・ディッカーソン委員の顧問弁護士を務めている。本記事で述べられている見解は彼自身のものであり、米国政府の公式見解を示すものではない。


イスラエル防空の要、アイアンドームはどこまで機能しているのか。ハマスの飽和攻撃はどこまで威力を発揮したのか。各国の防空体制の整備にも参考となる事例となった。


イスラエルのアイアンドームの迎撃性能は過剰か、誇大か、それとも想定通りに機能しているのか?

週の土曜日、パレスチナのテロリスト集団ハマスがイスラエルに数千発のロケット弾とともに陸海空からの攻撃を仕掛けた。イスラエルで世界的に有名な防空システム「アイアンドーム」にとって、ロケット弾攻撃は目新しいものではないが、ロケット弾が国内に打ち込まれ続けるなか、すべての飛来兵器が阻止されているわけではないことがすぐに明らかになった。

現代の防空は、侵入してくる脅威をすべて阻止できる盾のような役割を果たしているという一般的な認識は、現実ではない。防空は極めて複雑な事業であり、世界で最も優れたシステムでさえ、すべてを阻止することはできない。

アイアンドームとは?

Iron Dome interceptor missile


アイアンドーム迎撃ミサイル。(レイセオン)


イスラエルのアイアンドームは、イスラエルのラファエル、エルタ・システムズ、mプレスト・システムズの3社によって開発された移動式の短距離ミサイル防衛システムで、ヒズボラ(レバノン)やハマス(ガザ地区)がしばしば発射する短距離ロケットや大砲による攻撃を迎撃することに特化している。2007年に開発が始まり、2011年に運用が開始された。

他の多くの防空システムと同様、アイアンドーム・バッテリーは、戦闘管理システム、火器管制レーダー・アレイ、3~4基の発射台を含む複数の独立したコンポーネントで構成され、それぞれに最大20基のタミール・ミサイル迎撃ミサイルを搭載する。

アイアンドームは45マイル先までのミサイルを迎撃できる。しかし、この紛争ではイスラエル軍にとって距離は役に立たない。ハマスが本部を置き、イスラエルに対する攻撃のほとんど行っているガザ地区は、テルアビブとエルサレムからそれぞれ約37マイルと47マイル離れている。つまり、アイアンドームが着弾した弾丸を迎撃できるのは、発射から120秒以内であることが多い。これは極めて短い時間であり、対抗するには不断の警戒と優れた能力が必要となる。

しかし、アイアンドームは単独で作動するわけではない。その代わり、イスラエル防空の3層のシステム・アプローチのうち、低高度部分を構成している。「ダビデのスリング」は、アイアンドームよりやや高い高度と長い射程に重点を置いており、さらにもう1つのシステム「アロー」は長距離防衛の役割を果たしている。

アイアンドームはどのようにイスラエルを守っているのか?

アイアンドーム発射台(ウィキメディア・コモンズ)

イスラエルは、ロケット弾や同様の攻撃への短距離防衛のために、少なくとも10基のアイアンドーム・バッテリーを維持している。これらの砲台は、人口密集地や貴重なインフラの周辺に戦略的に配置されている。各砲台は約60平方マイルをカバーするが、イスラエルの総面積は約600平方マイルに過ぎない。

アイアンドームのレーダー・アレイは、飛来する標的を検知すると、人工知能アルゴリズムでその軌道を迅速に判断し、交戦するかどうかを評価する。イスラエルの迎撃ミサイル「タミール」の価格は1発2万ドルから10万ドル程度だが、ハマスが発射するDIYロケットは1発わずか300ドル程度である。

やってくる標的が市民やインフラにとって脅威となる場合、システムは標的の軌道上の迎撃ポイントを計算し、そのポイントに向けてタミールミサイルを発射する。

イスラエルが主張するアイアンドームの成功率は非常に高く、85%から90%の間であることが多い。しかし、この数字はイスラエルがロケット弾、迫撃砲、ドローンの85%から90%を迎撃しているという意味ではなく、イスラエルが正当な脅威とみなす標的の85%から90%を迎撃することに成功しているという意味である。

飽和点に達した

アイアンドームは高性能かもしれないが、どんな防空システムも無敵ではない。多くの人は、このようなシステムの能力を過大に期待し、その結果、迎撃に失敗した場合はシステム自体の失敗とみなしている。防空システムには制約があり、なかでもハマスが今回利用した飽和点が最も顕著なものだ。

防空システムは、圧倒される前に、一度に多くの脅威を追跡し、標的を定め、迎撃することしかできない。その限界を飽和点と呼ぶ。ガザから何千発ものロケット弾が打ち込まれる中、イスラエルのアイアンドーム・バッテリーは、システム自体の物理的限界のため、ロケット弾が迎撃されずに通過する飽和点にしばしば達していた。

また、パレスチナ戦闘員はアイアンドームを研究し、その弱点を理解するのに何年もかけた。たとえば、イスラエル軍が防空砲台に弾を装填するまでの時間を計算できた。システムの飽和点とそれらの窓を利用して、ハマスがアイアンドームを貫通し、その傘から弾薬を入手することに成功した。 

とはいえ、結局のところ、アイアンドームの誇大広告に偽りなしということだ。ハマスのテロリストたちがイスラエルに何千発ものミサイルやロケット弾を打ち込み続けている現在、アイアンドームが罪のない市民多数の生死を分けている。■

Was Israel's Iron Dome overwhelmed, overhyped, or right on target? | Sandboxx

  • BY SANDBOXX

  • OCTOBER 12, 202


Editor’s Note: This piece was written by Alex Hollings and Stavros Atlamazoglou

 

2023年10月13日金曜日

ハマスによるイスラエル襲撃は秩序を欠いた世界の序曲になるのか世界が注目。(だが日本では関心がもりあがらないのはなぜ?)

 

シムチャトッラー戦争

ハマスによるイスラエル攻撃は、中東だけでなく世界にとって分水嶺となる

8月上旬、筆者はガザ地区からわずか2キロのイスラエル南部のキブツ、クファル・アザを訪れた。ここは、ハマスのロケット弾や迫撃砲による攻撃が迫っていることを知らせる拡声器が鳴り響くと、住民が数秒で避難を迫られるコミュニティだ。住民の一人チェン・コトラー・アブラハムさんは、筆者たちを自宅に招き、レモネードをふるまい、ロケット弾の残骸を見せてくれた。重苦しい会話とは裏腹に、クファル・アザの生活はごく普通に見えた。子どもたちは集団で遊び、大人たちは庭いじりをしていた。

この記事を書いている時点で、私が会った人々の多くが亡くなっている可能性がある。

多くの人が思い出すように、イスラエルは50年前、最も神聖な日のひとつであるヨム・キプールに不意打ちを食らった。その後に起こった戦争は、イスラエルの歴史上最も激しい戦いのひとつであり、その影響は今日でも中東を形作っている。半世紀を経た今も、歴史は繰り返さないまでも、韻を踏む厳しいものである。今日、シムチャト・トーラの祝日に、世界中のユダヤ人が毎年恒例のトーラ朗読を終え、お祝いのダンスを踊っていたとき、ハマスがガザ地区からイスラエルに前例のない大規模な奇襲攻撃を仕掛けた。

この作戦は世界中に衝撃を与えた。これはイスラエルとハマスの対立やテロリストによる大胆な攻撃の単なるエピソードではなく、中東の地政学的景観を再構築しかねない分水嶺となる瞬間なのだ。

ヨム・キプール戦争の再来

事態は展開中だが、これまでの展開は衝撃的だった。ハマスが5,000発以上のロケット弾を発射し、イスラエルのアイアンドーム・システムを圧倒した。二つの軍事基地(レイムとケレム・シャローム)を含む、ガザ国境近くの複数のイスラエル人コミュニティは、ロケット弾の恐怖だけでなく、地上からの侵入にも直面した。何十人ものイスラエル市民が自宅やコミュニティで殺害され、これらの凶悪な行為の生々しい記録が、ぞっとするようなプロパガンダとしてソーシャルメディアに出回っている。その一方で、イスラエル軍将兵を含む未確定数のイスラエル市民と兵士が誘拐され、ガザに連れ去られたと伝えられ、恐怖の雰囲気を増幅させている。この攻撃は、ユダヤ人の神とのつながり、ひいてはイスラエルの土地との歴史的なつながりの重要な部分であるトーラーを祝うために捧げられたユダヤ教の宗教的祝日に行われたものであり、軍事的な作戦以上の象徴的なジェスチャーである。

しかし、国家主体が関与する通常の紛争であったヨム・キプール戦争とは異なり、今回のシムチャト・トーラの攻撃は、近年のイスラエル・パレスチナ紛争を特徴づけるよ非対称戦で特徴づけられる: ハマスの戦闘員がパラグライダーでガザから飛び立ち、イスラエルの入植地に降下したり、ドローンが車両や見張り台に爆弾を投下したりした。

なぜ今なのか?なぜこの日なのか?

答えは地政学にある。ハマスの攻撃は、イスラエルに苦痛を与えるという明白な目的のほかに、イスラエルと他のイスラム・アラブ諸国、特にサウジアラビアとの間に芽生えつつある和解を「拒否する」ことが目的だ。まだ始まったばかりとはいえ、中東の地政学において、サウジアラビアとイスラエルの最近の関係融和は画期的な変化である。何十年もの間、イスラエルとアラブ諸国は対立関係にあった。しかし、共通の懸念、特に米国のこの地域からの軍事撤退とイランの影響力拡大に対する懸念が、かつての敵対関係から両国の姿勢を再考させている。

ハマス自身にとっても、今回の攻撃はさまざまな理由によるものだ。同グループは長い間、パレスチナの大義の妥協なき前衛として自らを位置づけてきたが、近年は正当性が疑問視され、地域内で影響力が弱まっている。さらに、イスラエルとアラブ諸国の正常化を示唆するいかなるものも、裏切りであり、パレスチナの大義に対する死刑宣告とみなされている。今回の大胆かつ大規模な攻撃で、多数の人質を取ったことで、ハマスが戦闘組織としての回復力と能力を証明し、政治的ライバルであるパレスチナ自治政府を追い詰めただけでなく、アラブ諸国をスポットライトの下に置いた。さらに、1973年の紛争はアラブ人の精神において象徴的な地位を占めている。1973年紛争は、イスラエルの軍事力に対し、アラブ軍が一時的にせよ威厳を取り戻した瞬間とみなされている。この象徴的な日を選ぶことで、ハマスの狙いは、過去の栄光の記憶を呼び起こしながら、アラブ世界を自分たちの大義に結集させることにある。

この戦略にはもう一つの側面がある。シムチャト・トーラーに攻撃することで、ハマスがユダヤ国家の精神的な物語に挑戦しているのだ。彼らは身体だけでなく魂も狙い、神聖な契約を祝う民衆の精神に水を差そうとした。この行為は、根深いイデオロギー的な戦いが繰り広げられていることを明らかにしている。

動きと反撃

イスラエルが報復と拉致された市民の捜索を開始するにつれ、中東が再び大規模な紛争の危機に瀕していることが明らかになってきた。事態の深刻さを強調する動きとして、イスラエルは大規模反撃を許可した。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は国民向けテレビ演説で、「イスラエル国民よ、我々は戦争状態にある」と宣言した。作戦でもなく、戦闘でもなく、戦争だ!」。ヨアヴ・ギャラント国防相は、「今後50年間のガザの現実を変える。全力で活動する」と述べた。手袋を外す時が来たようだ。

イスラエルは何年もの間、ガザ占領の本格作戦の開始をためらってきた。主な理由は、膨大な軍事費、国際的な影響、そしてそのような攻撃が引き起こすかもしれない人道上の懸念である。しかし、今回の攻撃の規模と大胆さは、エルサレムの計算を変えたかもしれない。強硬な右派で構成されるネタニヤフ連立政権は、ハマスの壊滅以外は認めないだろう。さらに、イスラエルの政治的・軍事的体制は現在、自国の評判と威信を回復する必要に迫られていると感じている。ハマスの作戦の規模と大胆さは、イスラエルと、ある程度はアメリカによる大規模な諜報活動の失敗について、憂慮すべき疑問を投げかける。この規模の作戦であれば、計画は数週間、いや数カ月に及んだはずだ。イスラエルの防衛体制は、どうして目の前に吹き荒れる嵐を見逃したのだろうか?

同時に、イスラエルが取るいかなる行動も、外交的利益を守ることを考慮に入れなければならない。目先の戦争に勝っても、イスラエルがますます強くなるイランを相手に、この地域で孤立したままでは、長期的にはあまり意味がない。

アラブ世界、特にイスラエルとの関係改善を追求してきた湾岸諸国の政府は、厄介な状況にある。現在、湾岸諸国は非エスカレーション(UAE)を求めたり(オマーン)、自制を求めたり(サウジアラビア、クウェート、カタール)、イスラエルのパレスチナ占領を非難している。ハマスの攻撃に対するイスラエルの過去の対応が何らかの指針になるのであれば、イスラエルの対応で数千人の死傷者を出す、大規模で恐ろしいものになるだろう。特にガザのような人口密集地での市街戦は、困難がつきまとう。この状況で民間人の犠牲を避けることは事実上不可能であり、特に誘拐されたイスラエル人とともにハマスに人間の盾として利用されればなおさらだ。湾岸諸国は国内政治上、多くの同胞アラブ・イスラム教徒の死に対応するのは難しいだろう。

特にサウジアラビアは不安定だ。リヤドが最近イスラエルに接近しているのは、イスラエルの技術にアクセスしたいという願望とともに、イランに対する共通の懸念が背景にある。イスラエルとの安定した関係は、テヘランの地域的野心に対する防波堤となりうる。しかし、パレスチナの大義に対する根強い歴史的支持を持つ同国は、国民を疎外することなく潮流を乗り切るのは難しい。

一方、ヒズボラをはじめイランの代理勢力は、状況を「評価」し、境界線を試している。イスラエルが弱っているように見えるなら、これらのグループもレバノンや、シリア経由でイスラエルを攻撃する可能性が高い。そうなれば、イスラエル軍にとって第二前線となり、広範な地域戦争が勃発する可能性もある。

イスラエルの作戦は、ハマスに権力と影響力を奪われつつあるパレスチナ自治政府にとって諸刃の剣となる。一方では、ハマスの弱体化や排除によって、パレスチナ政治におけるパレスチナ自治政府の優位性が回復する可能性がある。他方、イスラエルの侵攻によってガザに大規模な人道的危機が発生すれば、間違いなく反イスラエル感情が煽られ、自国の状況はより厳しくなる。

伝統的にイスラエルの強固な同盟国であるアメリカも、不安定な状況にある。ワシントンがこの攻撃を予測できなかったことは、その諜報能力、特にシグナル・インテリジェンスに問題があることを物語っている。バイデン政権は非難を浴びるだろう。ほんの数日前、ジェイク・サリバン国家安全保障顧問は、「中東地域は今日、過去20年間で最も静かだ」と主張していた。同日、セマフォーは、イランが米国の外交機構の奥深くまで達する重要な影響力ネットワークを構築していたことを明らかにした。最後に、5人のアメリカ人人質と引き換えに60億ドルをイランに釈放するという政権の決定は、今後厳しい批判にさらされることになるだろう。イスラエルを支援せよという圧力は計り知れず、海外の紛争を支援することにすでに飽き飽きしている国民にとって、すでに微妙な状況を複雑化させるだろう。

おそらく最も不利なのはガザ市民であろう。ハマスの支配下で、長年にわたる封鎖と紛争、そして苦しみに耐えてきた。中東全体と同様に、彼らの未来は、今後数週間の地域的、世界的な大国の選択と行動次第に大きく左右される。

分裂の危機 

筆者が2ヶ月前に訪れたキブツ、クファル・アザがどうなっているか想像もつかない。最新の道によれば、焼け焦げたコミュニティの中で、赤ん坊が一人、生きて発見されたという。

同様に、中東で次に何が起こるかを確認するのは難しい。イスラエルがガザを占領し、ハマスを抹殺する意向を表明したことで、アラブ世界は岐路に立たされている。イスラエルの行動を非難し、最近の外交的な暖かさを頓挫させるリスクを冒すのか。それとも、ハマス殲滅をより安定した中東への道筋とみなし、イスラエルの動きを黙認してでも支持するのか。どちらの選択をするにしても、地政学的に大きな意味を持つ。しかし、イスラエルとパレスチナの現況は解決されようとしているように感じられる。

西側の政策立案者が本当に恐れているのは西側主導のルールに基づいた世界秩序が、崩壊しつつあるという感覚だ。国家に課せられていたこれまでの制約は、もはやそれほどのものではなくなっている。ウクライナでの戦争、アゼルバイジャンによるカラバフ・アルメニア分離独立国家の武力奪還、台湾をめぐる緊張の高まり、バルカン半島の不安定化、アフリカでの軍事クーデター、その他無数の出来事はすべて、この傾向の厳しい前兆である。次はどのドミノが倒れるのだろうか?

シムチャトーラー戦争は単なる小競り合いではない。来るべき無秩序な時代の到来を告げる、大きな意味を持つターニングポイントなのだ。世界は固唾をのんで見守っている。■

The Simchat Torah War | The National Interest

by Carlos Roa 

October 8, 2023  Topic: Israel-Palestine  Region: Middle East  Tags: IsraelPalestineHamasBenjamin NetanyahuIsrael-Arab War

Carlos Roa is a contributing editor and former executive editor for The National Interest.


大型ドローンが空中で小型ドローンを発進、回収するテストに成功。ドローン母機が近い将来登場しそうだ。

 

General Atomics

MQ-20 Avengerドローンが空中で小型ドローンを発射・回収するAerial Recovery Systemをテストした

General Atomics Aeronautical Systems(GA-ASI)は、ステルス性の高いMQ-20 Avengerを使用し、大型無人航空機から小型ドローンを空中で発射・回収する想定で開発したシステムの飛行デモンストレーションを開始した。この種の航空機が将来の紛争でどのように採用されるかを示している。

このコンセプトを同社は小型無人航空機システム/空中発射効果物用空中回収システム(SUAS/ALE)と呼ぶ。しかしこれまでは、主に非ステルス性のGA-ASI MQ-9 ReaperとMQ-1C Gray Eagleに関連していた。

GA-ASIのメディア・リリースによれば、2023年9月20日にユタ州ダグウェイ試験場上空でシステム・デモンストレーションが行われた。このデモでは、同社のジェットエンジン搭載のアベンジャーで大型のエクステンデッドレンジ・バージョンの1機から牽引ロープが空中で展開・格納された。

An MQ-20 Avenger trails the towline and smart end feature during the test last month. <em>GA-ASI </em>

先月のテストでは、MQ-20アベンジャーがトウラインとスマートエンド機能を牽引した。GA-ASI

GA-ASIが「スマート・エンド機能」と説明する、より大型のドローン母機とのワイヤレス・リンクを含む牽引索そのものが取り付けられていた。

GA-ASIはこの試験について次のような詳細を発表した:

「デモでは、GA-ASIのスマートエンド機能を搭載したBreeze-Easternホイストがアベンジャーのペイロードベイに組み込まれた。飛行中、牽引ロープはアベンジャーから離れ、空中回収に最適な距離まで展開された。スマートエンド機能はワイヤレスでその位置をアベンジャーに送信し、データを近くのSUAS/ALEに送信し空中回収できることを確認した。

スマート・エンド機能は、ドローンの空中発射/回収のための機械的インターフェースとして機能するだけでなく、ビーコンも備え、小型ドローンとの相対的な位置を示す手がかりを提供する。元々、GA-ASIはこのコンセプトを自社のドローンSparrowhawkの発射と回収に特化して設計したが、現在は他社のドローンにも活用できることを示唆している。

仕組みとしては、SUAS/ALEドローンはスマートエンド機能との相対位置を正確に計算することができる。曳航線まで飛行すると、曳航線を捕捉するために飛行する。曳航線に固定されると、SUAS/ALEは翼をたたみ、エンジンを切る。そして、ポッド付きホイストを使いドローン母機に巻き取る。

「グループ5の無人航空機から空中発射されたUASを統合することは、GA-ASIが開拓している相対航法技術、複雑な曳航線解析、複数機制御の進歩のおかげでもある。我々は、この技術で現在の有人・無人システムから長距離キルチェーンが実現し、高度にまで競合する環境での作戦を支援できることに興奮している」。

この文脈では、グループ5の無人機は、1,320ポンド以上の重量を持ち、通常、任意の速度で、18,000フィート以上の高さで動作する。このカテゴリーには、GA-ASIのMQ-9リーパーとMQ-1Cグレイ・イーグル、そして発射・回収システムの試験で使用されたアベンジャーが含まれる。

An MQ-9 Reaper sits on the runway during sunset at Creech Air Force Base, Nevada. <em>U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Lauren Silverthorne</em>

ネバダ州クリーチ空軍基地の日没時、滑走路に置かれたMQ-9リーパー。米空軍撮影:二等軍曹ローレン・シルバーソーン

GA-ASIからの最新リリースは、最終的に使用されるSUAS/ALEドローン(またはドローン)の詳細を提供していないが、同社からの今日のツイートは、このシステムが「スパローホークのような小型の無人航空機を飛行中に回収し、再配置することを可能にする」と述べている。コンピュータ・シミュレーションでは、以下のように、スパローホークがアベンジャーから発進し、回収される様子も示されている:

Testing a hoist designed to capture and then manipulate a Sparrowhawk drone. <em>GA-ASI </em>

Sparrowhawkドローンを捕獲し、操作するために設計されたホイストのテスト。GA-ASI

Sparrowhawkドローンは大きな主翼が特徴で、発射前に主翼と平行に収納され、その後90度スイングして展開位置になる。また、このドローンはV字尾翼を持ち、最近のコンセプトアートでは、環状ナセル内に外付けされたエンジンが描かれている。

The General Atomics Sparrowhawk, which is designed to be both launched and recovered in mid-air, under the wing of an MQ-9.&nbsp;<em>GA-ASI</em>

ジェネラル・アトミクスのスパローホークは、MQ-9の翼の下で、空中での発射と回収の両方ができるように設計されている。GA-ASI


SUAS/ALEの実験では、今のところ、小型ドローンを大型母船から発射したり、飛行中に回収したりはしていないが、このコンセプトは最終的に、ドローンを放ち、空中で捕獲して基地に持ち帰る能力以上のものを提供することを約束している。

ジェネラル・アトミクスによれば、このコンセプトが完全に実現すれば、小型SUAS/ALEは再展開の前に燃料補給、再充電、再武装が可能になるはずだという。しかし、アベンジャーやリーパーのようなドローンが、飛行中の小型ドローンをどのように再武装するのかは明らかではない。このような将来の開発は、有人機を含むより大きな母船を使用する構想と一致している。しかし、再充電/再給油が可能であれば、同じSUAS/ALEドローンは、より長い耐久性を持つ母艦が飛行する1回のミッションで、複数回の出撃を行うことができるだろう。

コンセプトを拡大し、GA-ASIはまた、アベンジャーまたはリーパー・ドローンが 「永続的で広大なグリッド」のSUAS/ALEのネットワークのための「移動指揮管制所」として機能することを計画している。これらのドローンチームの任務には、偵察、電子攻撃、敵防空網の制圧、通信経路の確立、全領域の共同移動指揮統制などが含まれる。

さらに、SUAS/ALEを発射・回収するアベンジャー・ドローンやリーパー・ドローンの耐久力は限られているが、小型ドローンは「一度に数日から数週間」滞空する可能性があり、その地域に到着すると他の母船にピックアップされる。大型ドローンは、必要に応じ燃料、バッテリー、武器(実際に実現可能であれば)を供給する。

アベンジャーがコンセプトの一部として登場した前の2021年に、GA-ASIの戦略的コミュニケーション&マーケティング担当ディレクターC.マーク・ブリンクリーは、SUAS/ALEがどのように使用されるかの典型的なシナリオをThe War Zoneに提示した:

「当社の大型(無人)航空機は、これらの小型UASシステムを作戦地域まで輸送し、潜在的な標的を特定するのに必要な長距離センサーを提供する。一旦特定すれば、小型UASが急降下して詳しく観察し、IDを提供し、敵対行為者を追跡する。そのデータはMQ-9やMQ-1Cに戻され、MQ-9やMQ-1Cから情報を必要とする世界中のどこにでも送信するのに必要な堅牢な通信スイートを利用する。チームとして、大型/小型UASのコンボは、将来の戦闘スペクトル全体で、ターゲティング、インテリジェンス、偵察、ネットワーキングの重要な要素になるだろう」。

潜在的な代替SUAS/ALEペイロードに関しては、2021年にGA-ASIがリーパーサイズのドローンから空中で発射されるように設計された別の小型ドローン設計のコンセプトアートを発表した。この無名ドローンは、スパローホークのようなV字尾翼と飛び出し翼の構成を特徴としているが、推進システムが異なり、プロペラが前面に取り付けられている。

このドローンは、前述のスパローホークも含む、「小型UASファミリー」の一部と説明されている。

過去にGA-ASIは、Gray EagleドローンをAgile-Launch Tactically Integrated Unmanned System(ALTIUS)600ドローンの発射プラットフォームとしてテストしたこともある。米陸軍は、独自のALE(Air Launch Effects)プログラムで、ALTIUS 600を積極的に使用している。

ジェネラル・アトミクスのAir-Launched Effectsプログラムと同様に、陸軍のALEプログラムでは、大型の有人または無人航空機から発射可能で、ネットワーク化された群として連携し、情報、監視、偵察(ISR)、電子攻撃、デコイ、攻撃など、さまざまな任務を遂行できる小型無人機ファミリーの開発を計画している。

空軍もALTIUS-600の空中発射モードでの使用を模索しており、少なくとも1機はXQ-58Aバルキリーの内部ペイロードベイから投下されている。

ALTIUS-600は飛行中に他の航空機によって回収されることは意図されていない。

An XQ-58A Valkyrie demonstrates the separation of the ALTIUS-600 small unmanned aircraft system in a test at the U.S. Army Yuma Proving Ground test range, Arizona, March 26, 2021. <em>U.S. Air Force courtesy photo</em>

2021年3月26日、アリゾナ州、米陸軍ユマ試験場での試験で、ALTIUS-600小型無人航空機システムの分離を実演するXQ-58Aバルキリー。米空軍提供写真

GA-ASIがAerial Recovery System試験の後期段階で関与するSUAS/ALEドローンの種類が何であれ、このコンセプトが特にハイエンドタイプの紛争に対する解決策をもたらすことが大いに期待されていることに留意することが重要である。

MQ-9やMQ-1Cのようなドローンの生存性は、将来の紛争環境はおろか、かなり寛容な空域でさえ疑わしいかもしれないが、小型ドローンを発射し、回収する能力は、そのようなシナリオでも役割を果たすために重要であると考えられている。

「小型UASを採用することで、リーパーとグレイイーグルのオペレーターは、対アクセス・エリア拒否(A2/AD)防空網に侵入、崩壊、悪用し、全領域での作戦の支援が可能になる」とGA-ASIは2021年にウォーゾーンに語った。「一方で、これらの小型UASがより大きなスタンドオフ効果を産み、戦術地対空ミサイルの運動範囲外に置くことによって、大型機の生存性を高める」。

同時に、米軍はリーパーやグレイ・イーグル含む無人偵察機の生存性を高める他の方法を検討している。レーダー警告受信機を内蔵した新型防御ポッド、分散開口赤外線対策(DAIRCM)システム、さらにデコイ・フレア、チャフ、拡張可能な無線周波数デコイBriteCloudを放出する対策ディスペンサーなどである。

しかし、SUAS/ALEドローン用の空中回収システムをステルス性の高いMQ-20 Avengerドローンに移行する最新のテストでは、母機の生存性、そしてシステム全体の潜在的な能力が桁違いに向上している。アベンジャーをSUAS/ALEのプラットフォームとすることで、敵の防衛網の届かないところから小型ドローンを発射し、非ステルス性のリーパーや同様のドローンに新たな役割を見出すだけでなく、このコンセプトにまったく新しいミッションの可能性が広がる。生存性の高いアベンジャーは、リスクの高い環境で小型ドローンを発射し、回収することも考えられる。

GA-ASIは、大型ドローンからの小型ドローンの発射と回収の研究を始めたばかりかもしれないが、同社は明らかにこのコンセプトと、将来の紛争シナリオで米軍に提供できる機能に多くの期待を寄せている。まだ多くのハードルが残るが、ジェネラル・アトミックスがこのコンセプトをどう進めていくのか興味を感じる。■

MQ-20 Avenger Tests Recovery Line For Grabbing Smaller Drones Mid-Flight

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED OCT 10, 2023 5:49 PM EDT

THE WAR ZONE