2018年5月8日火曜日

今度はタイフーン戦闘機ほぼ全機が稼働できない状態。大丈夫か、ドイツの国防体制


ヨーロッパで経済がうまく行っている最右翼のドイツがこの状態ではNATOも機能しませんね。国防費のGNP比引き上げを執拗に迫るトランプ政権にたいしてドイツの新たな連立政権は自壊してしまうかもしれません。ここでも左翼が足を引っ張るということでしょうか。日本も他山の石とすべきでしょう。

Germany has a 'massive problem' that has reportedly knocked almost all of its Eurofighter Typhoon fighter jets out of commission ドイツの「大規模問題」でユーロファイター・タイフーン戦闘機ほぼ全機が供用不能状態に

May. 4, 2018, 6:23 PM
German Air Force Eurofighter Typhoon takes-off during the air policing scramble in Amari air base, Estonia, March 2, 2017. REUTERS/Ints Kalninsエストニア・アマリ基地を離陸するドイツのユーロファイター・タイフーン March 2, 2017.Thomson Reuters
  • ドイツ軍のユーロファイター・タイフーンの大部分が戦闘投入不可能の状態と伝えられる
  • ドイツ軍装備が稼働できなくなる事例はこの他にも発生している
  • ドイツ国防軍にはこの問題が付きまとっており、同国政府では国防予算増額で問題解決すべきかの議論が巻き起こっている



ドイツ空軍が解決を迫られる「大規模問題」のため128機あるユーロファイター・タイフーン戦闘機のうち戦闘投入可能なのは4機しかないとドイツのスピーゲルが5月2日に伝えている。
ドイツ技術陣は同機搭載のDASS防衛システム(防御用の警告装備)で冷却液が主翼端ポッドから漏れているのが見つかったことを危惧している。ポッドにはセンサーが内蔵されており、このの問題は半年前にはじめて見つかっていた。
問題の核心は特定部品「グリースニップル」で冷却機能そのものを司るものだ。技術陣は不良ポッドを交換したとスピーゲルが伝えているが、同部分のメーカーはオーナーが変わり、再認証が必要なため供給が間に合わないのだという。
この装備がないと同機はミッション実施が不可能だ。記事によればタイフーンでミッション出撃可能なのは10機しかないという。
ドイツ空軍のユーロファイター稼働率問題に輪をかけているのが空戦ミサイルの不足だ。このため空対空戦に投入可能なのは4機しかないとスピーゲルは報道している。
German air force Eurofighter Typhoonドイツ空軍所属ユーロファイター・タイフーンがアラスカのエイルソン空軍基地をタキシーしている。June 11, 2012.Tech Sgt. Michael Holzworth
この記事がドイツ国内の論争に火をつけた。
国防相報道官ホルガー・ニューマン大佐は自衛装備用の部品問題はあるものの空軍は要求に応じた行動は可能と述べるとともに部品問題は早期解決できるとしている。
「あと数週間数か月でこの問題は制御可能となるよう希望している」と大佐は述べながらユーロファイターで何機が稼働状態にあるのか言及を拒んだ。国防省からは供給問題で戦闘機の稼働状況に悪影響が生まれるとだけ発言があり、それ以上の説明はない。
この問題に詳しい筋によればルフトヴァッフェで稼働状態にあるユーロファイターは10機しかないとの記事を否定しつつ、各地で供用中の機体が少なくとも14機あると説明。
Germany German troops soldiers Bundeswehrドイツ陸軍部隊が空軍のエアバスA400M機にヤーゲル空軍基地で搭乗中。December 10, 2015.REUTERS/Fabian Bimmer
同機の即応状態についてのドイツ政府説明も誤解を招くものとスピーゲルにある。
ルフトヴァッフェはユーロファイター全機を飛行可能と判定しており、自衛装備が機能しない機体もここに含めていると記事は指摘。
各機は訓練用途には投入可能だがNATO作戦へは投入不可能だ。東ヨーロッパ上空の警備活動が最近展開されている。
ドイツは自国装備のユーロファイター82機をNATOの高度即応部隊(HRF)ならびに低速応部隊(FLR)に登録している。
各部隊はNATO指揮下に入る部隊でこのうちHRFの戦闘機は戦闘開始日から90日間稼働可能となる。FLRは91日から180日にかけ稼働する概念だ。
だがスピーゲルによれば現時点で作戦要請がないためドイツは現状でもNATOの求める義務を果たしていると言い訳できるとある。
「現時点ではミッションがないため装備の大部分が即応態勢にあると言える」と内部筋がスピーゲルに語っている。
装備品の不足とハードウェア問題
ドイツ軍の即応体制をめぐる問題はユーロファイターだけではない。別の機種でも問題が発生している
German air force Tornado fighter jet Ursula von der Leyenドイツ国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンがトーネード戦闘機の前に立った。ドイツ-デンマーク国境近くのヤーゲル空軍基地を2016年8月17日に訪問した。REUTERS/Fabian Bimmer
スピーゲルが目にした報告書ではトーネード戦闘機がNATO作戦に加わることができないとあり、NATO制式敵味方識別装置の不足のためだという。
その他ドイツ空軍へ16機納入されたA400M輸送機のうち稼働可能機材な2月時点で5機しかなかった。海軍では6隻の潜水艦のうち戦闘可能な艦は一隻もなかった。フリゲート艦15隻で完全に戦闘可能なのは9隻のみだ。陸軍では戦車244両のうち稼働可能は95両しかない。
原因にドイツの国防予算が冷戦終結後に一貫して削減されてきたことがある。
ドイツ政府は2011年に非対称戦対応に本腰を入れるため部隊を削減した。以後ドイツ軍は規模縮小し、将校21千名分が欠員のままでこれも即応態勢に影を落としている。ロシアのウクライナ介入で通常戦に関心が集まり、この傾向に歯止めがかかったがそれでも廃棄した装備品の再補充が完了していない。

「ドイツは孤立する」

Germany German army soldiers troops Bundeswehr Angela Merkelドイツ軍隊員を訪問したアンヘラ・メルケル首相December 7, 2015.REUTERS/Fabian Bimmer

ドイツ国防予算は新たに誕生したアンヘラ・メルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の保守連立政権で真っ先に論争の種となった。
CDUの連立相手社会民主党(SDP)出身の蔵相オラフ・ショルツが提出した2018年度の国防予算では国防省要求の半額しか予算計上しておらず、かわりに国内対策や負債追加防止策に予算を増やしている。
これに対し国防相ウルスラ・フォン・デアレイエンおよび開発相ゲール・ミューラーは書面で予算案に抗議している。フォン・デレイエン国防相はこれまでの海外展開に主眼を置く姿勢からドイツ軍の中心を国内海外の治安安全保障に移したいとの意向だ。
予算めぐる意見の衝突はCDUとSDP間の国防戦略観の違いを反映している。

「ドイツは国内問題に気をとられ孤立しつつある。SPD内の左翼がこの動きの原因だ」とドイツ外交協議会のアナリスト、クリスチャン・モーリングでDefense Newsにこう語ってくれた。■

2018年5月7日月曜日

動き始めたB-52エンジン換装

エンジン換装とは簡単にいかないのか、完全に新エンジンに変わるのがこれから16年後というのはいかにも長期間にわたる事業ですね。それだけ統合が大変なのか、いったん主翼に手を付けるとあちこち機体をいじることになるのか。とはいえエンジン換装したB-52がさらに供用期間を延ばすことになれば大きな見ものですね。

Aerospace Daily & Defense Report

USAF Nuke Chief Not Expecting Easy B-52 Engine Upgrade B-52エンジン換装作業を楽観視していないUSAF核戦力部門長

May 1, 2018James Drew | Aerospace Daily & Defense Report

米空軍ジャック・ワインステイン中将によればB-52Hのエンジン換装に「慎重ながら楽観視」しているという。: U.S. Air Force

空軍がボーイングB-52Hのエンジン換装に向かう中、空軍上層部はこれが簡単な作業ではないことを十分認識している。
ボーイングから1960年、61年に納入されたストラトフォートレスはほぼ60年間にわたり核戦略爆撃機の中心の座についてきた。エンジンカウリングで亀裂が見つかり主翼内の配線をし直す作業で驚くような現象が多々見つかるはずだ。
「古屋を大改修すると壁の後ろにアスペストが見つかることがよくあるでしょう」と語るのはジャック・ワインステイン中将 Lt. Gen. Jack Weinstein(戦略抑止力・核兵器担当空軍参謀次長)だ。「エンジン換装が簡単に進むと断言するつもりはありません。換装方法の選定や最良の方法の模索など仕事は多いです」
ここ数年間にわたり空軍はエンジンメーカー各社と連絡しB-52Hが搭載するプラットアンドホイットニーTF33-103八基換装の可能性を探ってきた。一時はエンジン四発案を検討したが非現実的と判明した。
そこでTF33-103を同じ八発の新型で信頼性が高く燃料消費が優れたビジネスジェット用エンジンを民生部門から調達する。この案は技術的には可能だが機体と兵装は再認証が必要となる。
これは理論上は有望だがエンジン換装は言うは易く行うは難しだ。空軍でこれまで最大規模のエンジン換装はKC-135Rストラトタンカー(CFMインターナショナルCFM-56)とロッキード・マーティンC-5Mスーパーギャラクシー(ジェネラルエレクトリックCF6)だった。ボーイングが415機のストラトタンカーに新エンジンを搭載し、ロッキードは52機のエンジン換装を行った。
ノースロップ・グラマンB-21「レイダー」ステルス爆撃機が実戦配備される2020年代から30年代までB-52は爆撃機の主力機種の座に留まる。空軍は同機は2050年代まで現役のままにできると見ている。
GEエイヴィエーションからはTF33にかわり同社のパスポートあるいはCF34ターボファンへの換装提案があり、ロールスロイスはBR700ファミリーのうちガルフストリームG650ビジネスジェット搭載のBR725を提示するはずだ。
プラットアンドホイットニーの説明ではTF33の維持とあわせて部品改修によりエンジンの効率・信頼性・整備性の向上が可能とある。同社はTF33は「2030年代以降は運用不能」との空軍見解を否定している。
だが空軍がTF33の稼働期間延長を決めたが同社からは新型PW815(ガルフストリームG600に搭載)を提示するだろう。ジェネラルアトミックス・エアロノーティカルシステムズもPW815を米海軍向けMQ-25スティングレイ競作で採用しており、軍用型式証明取得まで半分来ている。
「なぜ稼働期間延長しない決定をしたのか。民生産業を見ればエンジンは無期限に稼働しており、信頼性も抜群だ。双発機で太平洋や大西洋上空を飛べるのもエンジンの信頼性が理由だ」とワインステイン中将がワシントンンのミッチェル空軍力研究所で5月1日に講演している。「B-52のエンジン換装ともなると簡単にはいかない。作業量が多いのです」
「B-52エンジン換装は長年にわたり検討している。慎重ながら楽観視できるのは立派な助っ人がいるからです。調達部門の重鎮ウィル・ローパーはきわめて有能ですし、この事業に配置した人員も才能豊かです」
空軍はボーイングあるいは別の主契約企業とエンジン換装を進めるようだ。合計650基のエンジンが必要となり、在籍中B-52の76機のエンジン全部を交換する。まずフライトテスト用二機分に20基が必要となる。

空軍の大日程ではまず10機のエンジン換装を2026年度に開始することとしており、同年にB-21レイダーも稼働開始する。残るB-52の64機には2028年から2034年にかけ換装作業が続く。■

2018年5月6日日曜日

★★F-22生産再開研究の米空軍検討内容が明らかになった

虫が良すぎる、とはこのことでしょう。今回の提案はロッキードから出てきたものですが、米空軍が積極的に動いているわけではなく、実現すればおこぼれにあずかろう、ぐらいの気持ちではないですか。しかし総理官邸あたりで勘違いしてこの構想に色気を出せば本当に実現してしまうかもしれません。筆者としては一気に第六世代機を時間かけても国内開発してもらいたいと考えるのですが。その間はF-15を追加発注してもいいと思いますよ。皆さんはいかがお考えでしょうか。



Here’s The F-22 Production Restart Study The USAF Has Kept Secret For Over A Year

これが米空軍が一年間以上秘密にしていたF-22生産再開検討の内容だ

We finally see the study that was oddly classified on arrival and it has new relevance based on Japan's desire for a new stealth fighter. 

完成直後に封印されていた検討内容をついに目にすることができた。日本が新型ステルス戦闘機を模索する中で意味がある内容だ。

TYLER ROGOWAY/AUTHOR


F-22生産をわずか187機で終了させのは国防調達上で大きく物議を生んだ決断で熱い議論を引き起こした。今日ではUSAF将官含みこの決断は近視眼的過ぎたと信じる向きが多く、そもそもどうしてこの決定が生まれたのかを本誌はいまだに真実を追い求めている。だがF-22の追加機数が必要との声の前に2016年初頭に米議会が動きUSAFに生産再開の検討を求めるに至った。作業は2016年末に完成し、考察内容の一部はオープンに議論されたものの報告書自体は機密扱いにされていた。今までは。
空軍は37千ドルを投じて検討作業を完了させたが、本誌は情報の自由法により同報告書写しを入手した。内容はほぼ原文のままだが分析は深くなく2011年のRAND検討内容を基にした結論となっている。今回その本文を煮詰めて要点と知見にまとめてみた。
RANDによる2011年考察をもとに空軍はF-22を194機追加生産をした場合で費用試算と想定を行っている。
  • 経常外の初期コストは2016年ドル価値で98.69億ドルで2018年価値では100億ドルに相当する。
  • ここに含まれるのは生産施設の再整備に約2.28億ドル、部品・材料の再確保に12.18億ドル、57.68億ドルが主要サブシステムの再設計、11.56億ドルがその他「再開コスト」、14.98億ドルが「追加政府関連費用」とある。
  • 「再設計」が必要なサブシステム4つとはAN/APG-77低被探知 (LPI) レーダー、F119エンジンでともに現在生産が終了している。さらにソフトウェア一式に加え記述を省かれているものがあり、生産再開時に問題が見つかった際の対応なのだろう。
  • 電子戦装備、通信、航法、敵味方識別も交換あるいは他装備で代替が必要だ。
  • 2011年当時のRAND検討内容では一機当たり費用を2.66億ドルと試算していたが、これは75機調達の想定だった。
  • 空軍は194機調達した場合の単価を2.16億ドルと見ている。
  • 最終号機の完成時点では2.06億ドルに下がる可能性がある。
  • 空軍が最初の100機を調達すると単価は大きく下がり始める。
  • 調達総費用は400-420億ドルで事業経費合計は503億ドルとなる。
空軍はF-22関連の生産施設は約95パーセントが稼働可能な状態にあるとしているが、実際には生産施設は物理的に存在しないかF-35のような別の事業にロッキード・マーティンが使用している。2011年報告書の後で空軍は「主要生産設備」をシエラ陸軍補給処(カリフォーニア州)で保管し、補給部品製造の必要が生まれた際に備えている。
F119エンジンのメーカーだったプラットアンドホイットニーも軸足を共用打撃戦闘機用のF135エンジンに移している。ただしF135の原型はある程度までF119である。
空軍からは生産再開すればF-35用予算が犠牲になると繰り返し懸念が出ている。ただし、報告書では共用打撃戦闘機用の部品やサプライチェーンやインフラの流用を新規製造分のF-22支援に使えば費用軽減効果が生れるのに空軍は考慮していないと指摘している。
空軍は同時にF-22輸出仕様の開発は「技術的に可能」とし、費用負担を肩代わりさせれば単価はさらに下がると見ている。これに対し報告書では別の空軍内部検討(2010年)を引用しこの場合の経費合計を提示している。空軍はF-22全型式の輸出認可を得る課題に再度触れている。報告書では輸出を差し止めた関係米政府機関名の記述があるが空軍の事前検閲で見えなくなっている。
報告書にある経常外生産再開経費100億ドルとはいかにも高額に写る。だがB-21レイダーステルス爆撃機の半額程度だ。さらに報告書では機体単価について100機生産した後に下がり、最終号機は2.06億ドルになるとある。だがF-35のようにその他の大型国防事業の例では生産量が増えた場合にもっと大幅に単価が下がっており、報告書は整合性が弱い。
研究費用は含めず開発費用は含めた機体単価を見ると実際に生産されたF-22の最終60機は平均1.37億ドルで同時期に平行生産されていたF-35A単価に近かった。当時の空軍参謀長マイケル・モスレー大将はロバート・ゲイツ国防長官のF-22生産中止を承服できず失職したが以下述べている。 
「なにも一千機必要だったわけではなく、いまでも必要ではない。だが適正規模が必要だ。...納入最終機は87百万ドルだった...さらに複数年度契約が成立していれば85百万ドルまで下がっていただろう...85百万ドルでこれだけの性能の機体はほかにない」
そうなると生産再開でさらなる価格引き下げ効果が期待できそうで、報告書の見方と異なる。F-22が新型戦闘機でこれから生産に入る機体ではなくすでに完成した機体であることを考慮すべきだ。ただし報告書は別の言い方をしている。
またウェポンシステム各種の費用でもいろいろな計算で導入不可能と思える水準になっており要注意だ。実際にはF-22の支出実績は700億ドルでうち300億ドルが研究開発含む経常外支出だった。実際には300億ドルでF-22のようなシステムを開発しておきながら少数機しか作らないのは財務上割が合わない。
現時点でF-22生産再開に巨額予算を投じることに合理性はない。それだけの予算はUSAFが目指す「侵攻型制空」機材構想や高性能無人戦闘航空機に投入すべきだ。
だが別の国が、たとえば日本が生産再開の経常外費用負担に応じれば、ペンタゴンもこんなにうれしい話はないはずだ。
日本がF-22同様の第五世代戦闘機の設計開発をラプター生産再開費用より安く達成できるとは信じがたい。さらに日本は機体を5年程度で入手できるのであり数十年待つ必要がない。これだけの事業であり、リスク分散のためにもイスラエルやオーストラリアからもF-22新規生産機材で飛行隊編成の希望が出るはずだ。
だが報告書ではF-22に投じる予算はF-35事業から拠出すると何度も強調しており、海外国内問わず同機調達再開の可能性は低いと言わざるを得ない。■
Contact the editor: Tyler@thedrive.com

2018年5月5日土曜日

2060年までの供用を目指す米海兵隊のオスプレイ改修策とは。米海軍向けCOD用オスプレイの開発状況

真っ先に導入した海兵隊でもオスプレイの稼働率が低いのは驚きですね。整備、補給体制含め運用に違いがあるのでしょう。それだけに後から導入する米海軍は有利かも知れません。日本も陸自が少数機導入するのは運用に習熟する意味があるはずで後年度に導入規模を増やす布石なのでしょう。オスプレイの性能が今後どこまで拡大できるのかが見ものですが、ベルは新型ティルトローターも開発中です。


Marine Corps to Fly Osprey to 2060 - Preps Aircraft for Future Wars 

米海兵隊はオスプレイを2060年まで供用すべく機体改良で将来の戦場に備える

By Kris Osborn - Warrior Maven
海兵隊はMV-22オスプレイでセンサー改修と兵装追加の大規模改修と稼働率向上で機材の運用範囲を広げつつ稼働供用期間を2060年まで延長する。
「MV-22Bオスプレイは少なくとも今後40年使い続ける予定」と海兵隊航空部門広報官サラ・バーンズ大尉がWarior Mavenに語ってくれた。
原型機登場から20年経過したオスプレイは前例のない形で実戦配備、ミッション範囲や作戦投入が拡大している。
海兵隊も同機の改修と稼働率向上で苦労してきたことを認めている。この課題に輪をかけたのが2007年以来強まっている戦闘部隊司令からの同機への要請だと海兵隊関係者は指摘。
「整備訓練課程の内容、習熟化、標準化のペースが要求水準に見合っていなかった。現時点の整備要員の充足度では要求通りの作業ができない。現在のV-22稼働維持の仕組みでは機体の稼働率の維持向上が不可能だ。大幅に手直しが必要だ」と海兵隊は2018年度航空戦力運用案で述べている。「補給処での整備では要望に応えられない」
シナリオでは海兵隊は共通仕様即応率近代化Common Configuration, Readiness and Modernization (CC-RAM)構想を実施するとあり、バーンズ大尉によれば「全体でのミッション実行率を最低75パーセントにするのが目的」という。
海兵隊によればオスプレイ近代化改修構想は輸送力、速力、多様な運用能力を生かしながら性能を向上させることだという。ロケット弾、ミサイル他の武装でエスコートミッションを敵地内や高度脅威環境で実施可能にすることも含まれる。
その他センサーの高性能化、ナビゲーション、接続のデジタル化、高速化、ホバリング能力の強化、貨物取扱ではペイロード強化、次世代エイビオニクス、ミサイル小火器への防御力強化が改修内容だ。
2018年版の航空戦力運用案ではCC-RAMの対象にV-22の75機を想定し、マルチスペクトラムセンサー、コンピューター、赤外線運用技術、発電機、降着装置制御の改良をめざす。
オスプレイ近代化改修で海兵隊は戦闘統制システムとしてデジタル相互運用(DI)の搭載を進めている。ここにデータリンク、相互無線交信、イリジウム用アンテナを含み戦闘関連情報やC4ISR情報をリアルタイムで海兵隊部隊間で飛行中、ミッション中に共有する。
さらにオスプレイは給油機ミッションでも開発が進んでいる。海兵隊は主力機F/A-18やF-35Cへの給油を狙う。またCH-53E/KやAV-8B、他のV-22への空中給油も可能となる。
「空中給油能力は2019年にシステムとして利用可能となる。海兵隊の運用する機材すべてに給油可能でおよそ1万ポンドを移送可能」と2018年度の海兵隊航空戦力運用案が述べている。
オスプレイはティルトローター構造のためヘリコプター同様にホバリングモードで接近偵察したり、部隊や装備を垂直着陸で移動できる。航空機モードに切り替えれば固定翼機並みの速度で飛行できる。燃料満載で450カイリ飛行可能と海兵隊は説明。最大速度は280ノットで海兵隊員数名と機内搭載車両一両を輸送できる。
オスプレイが搭載可能な海兵隊機内搭載車両
Marine Corps Photo By: Pfc. Alvin Pujols

海兵隊はV-22近代化では進行中の次世代垂直輸送機事業で開発された新技術も導入すると明かしている。おそらく新型軽量複合材他化各種兵装、C4ISR装備や標的技術が含まれるのだろう。
また急速に進む人口知能技術もV-22改修で採用されるだろう。アルゴリズム改良でセンサーのデータや標的情報、航法情報を飛行中に活用することになるだろう。
こうした改良でオスプレイの実効力が今後も維持できる見込みだが、課題がないわけではない。海兵隊では補給処へのサプライチェーンが必要時に機能できるか、さらに今後長きにわたり維持できるのかが懸念されている。また新型機導入の前に既存機種の改修がどこまで可能かも問題だ。
そこで興味を引くのが空軍のB-52と陸軍のチヌークの事例で、大規模改修で機体はともにこれまで数十年間にわたり戦力を維持してきた。空軍はB-52を2050年代まで、陸軍はチヌークを2060年代まで100年間飛ばす予定になっている。
共通するのは機体の補強で長期供用を可能としていることだ。オスプレイはB-52やチヌークより新しい機体だが同様の対応が必要だろう。ここにバーンズ大尉がCC-RAMで「共通仕様」を強調する理由があり、既存機体でも新技術を都度導入できるようにする。この方法はDoDの調達事業全体で実行されており、システムを共通標準で設計し近代化が効率よく進むよう考慮している。
だが既存機体の近代化にも限界があることは広く知られており、どうしても新型機が必要となる。このため陸軍は将来型垂直輸送機事業を強く進めているのであり、ティルトローターも新世代に進化しようとしている。さらに新型機は新装備やC4ISR技術、センサー、自衛システム、エイビオニクスの搭載で有利だ。機体そのものがレーダー反射を減らす特性を発揮することが期待されている。
海軍のオスプレイ
並行して米海軍はCVM-22Bオスプレイの実現を急いでおり、数年内に姿を現す。重要な空母輸送任務 (COD) に供用中のC-2の退役が迫ってきたことからオスプレイの重要性が一段と増している。
海軍仕様のオスプレイは追加燃料タンクにより航続距離を1,150マイルへ増やす。これ以外に無線装備を一新し水平線越し通信が可能となり、機内案内放送も追加される。
海軍版オスプレイの供用開始は2020年代初頭の見込みでVIP輸送や人道救難ミッション含む現在C-2が行うミッションすべてを引き継ぎ、空母へ糧食、交換部品、装備を補給する。

海軍版オスプレイはC-2以上のミッションをこなす。ヘリコプターとしてあるいはティルトローターとして空母着艦すればC-2の着艦手順より簡単だ。発艦にカタパルトは不要でティルトローター機の性能余裕は大きくなる。■

2018年5月4日金曜日

ジブチで発生したレーザー照射による飛行妨害で米国が中国に正式に抗議

中国のジブチ基地から強力なレーザー光線が照射されパイロットの視力に障害が発生したという事案ですが、外交ルートで米国が抗議したということは尋常ではありません。中国も公式説明を求められますが、共産党の軍隊である解放軍はおそらく政府省庁の外交部にはろくな情報も与えないので事件は解明できないでしょう。こうした透明性の欠如が中国の大きな問題です。

 

US warns China after lasers injure American pilots in Africa

BY ELLEN MITCHELL - 05/03/18 01:51 PM EDT 394

国が中国に公式警告文を送付した。ジブチの中国軍基地が米軍機にレーザーで妨害を加えたためで米パイロット二名が軽傷を負ったとペンタゴンが説明。
国防総省広報官デイナ・ホワイトが5月3日報道陣に「非常に真剣な事件数件」がここ数週間にわたり発生しているが中国の関与は確実と米国が見ていると語った。
「軽傷二件が発生しています。わが方の航空要員に深刻な脅威になっています。中国政府へ外交経路で通告しました。また中国側による調査の実施を求めています」
米政府は一連の事件のため航空要員にジブチ国内の特定空域での飛行に注意を喚起している。
「うち一件ではC-130乗員が眼球に軽微な損傷をうけ、軍事用レーザー照射を浴びたのが原因で、照射は近隣の中国基地からだったと報告している」(ホワイト報道官)
同様の事例は「二件以上10件以下あり、いずれも高出力レーザーでパイロットの集中力を妨害している。いずれも以前から発生していたが、ここ数週間で急に頻度が増えている」という。
「米国は懸念せざるを得ない....深刻な事態であり非常に深刻に受け止めている」
ペンタゴンはジブチのキャンプ・レモニエにおよそ4千名を駐留させており、アフリカでゆいいつの恒久的米軍基地となっている。米軍はソマリア、イエメン空爆を同基地から発進させている。
一方で初の海外軍事拠点となった中国基地はキャンプ・レモニエから数マイル北に位置する。
先月は海兵隊AV-8Bハリアーがジブチ・アンボウリ国際空港で墜落しておりパイロットは機外脱出した。その数時間後に同じく海兵隊のCH-53スーパースタリオンヘリコプターが着陸時に機体を損傷している。

両件ともジブチ沿岸で毎年開催されるアリゲーター・ダガー揚陸作戦演習で発生しており、事故原因は調査中だ。■

2018年5月3日木曜日

P-8のテコ入れで対潜哨戒機市場の優位性を狙うボーイングにP-1は対抗できるのか

実績がないから日本製の防衛装備は海外販売できないといわれます。でもP-8も新型機ですよね。要は性能と比べたコスト優位性が決め手なのでしょう。何千機も製造している旅客機を原型にしたポセイドンに勝負するのはなかなか大変ですね。採用国が生まれ、実際に稼働するまでP-1は孤高の存在ですが、あきらめず頑張ってもらいたいものです。


Boeing plans affordability changes for new wave of P-8 orders

販売増を見越してP-8の価格競争力強化を狙うボーイング

03 MAY, 2018
SOURCE: FLIGHTGLOBAL.COM
BY: STEPHEN TRIMBLE
SEATTLE

ボーイングはP-8ポセイドンの通算100号機をワシントン州レントンで組み立て中で、さらに数十機の新規受注を見込み、機体設計と製造工程の見直しで製造費を狙う。
「あと100機製造となるのでは」と対潜哨戒機P-8の原型737-800A事業の副主幹カール・ラングは言う。
これまでの引渡し実績はテスト用8機と作戦仕様84機のP-8Aが米海軍に、インド海軍向け8機、オーストラリア空軍仕様が7機となっている。
ノルウェー、英国もそれぞれ導入を決めている。米海軍は最低でも111機分の調達予算を確保しているが、すでに117機導入が認められている。
ボーイングは各国の追加受注を期待しており、P-8A納入が200機を超えれば75機以上が米国外の発注となるとラングは見ている。
国外の対潜哨戒機には各種機材が混在している。ロッキードP-3C、ブレゲー・アトランティーク、イリューシンIl-38が稼働中だ。
ボーイングがP-8ポセイドン開発を開始したのは14年前でその後競合機種が姿を現している。川崎重工は四発P-1を新規開発し納入を開始。同機にはP-3Cの影響が強い。Saabはボンバルディア・グローバル6000を原型にソードフィッシュをUAE向けに開発中だ。エアバスはA321neoをフランス・ドイツ両国向けに開発すると先月発表した。
レントン工場でのボーイングの課題はP-8の競争力維持だがハードルは高くなってきた。現時点で旅客型737NGの最終号機は2019年の引渡し予定で、その後レントン工場では新型エンジンに換装し大幅に改修した737 Maxへ生産切り替えが終わるまで米海軍向けだけとなる。同社はP-8生産に全力を注入するという。
ただし最盛期に月産40機納入した同工場の費用効率で低下が避けられない。P-8は月産わずか1.5機なのだ。
そこでP-8Aの競争力維持のためボーイングは同機の生産コスト見直しを進めている。レントンでは同機の「将来型生産システム」開発が進んでいる。
その狙いは機体設計と生産システムの見直しでP-8生産コストを引き下げつつ737NG生産の縮小でコスト上昇を防止することとラングは言う。■