2016年11月9日水曜日

★トランプの外交政策で国際秩序はこう変わる



現時点でトランプ候補はあと数名で勝利、クリントン候補は結果を受け入れられず敗北宣言を拒んでいます。米国民が下した審判は明らかです。民主国家として結果を受け入れた上で新しい思考の指導者を迎え入れ、21世紀型の国際秩序を作り上げるべきなのです。既得権に目を奪われた層は悲惨な目にあうでしょうが、未来を創るという観点で新しい歴史が始まります。

Trump’s Foreign Policy Could Change the Entire International System

NOVEMBER 7, 2016

先週のことだが、ブルッキングス研究所で米外交政策を専門とするトーマス・ライトがツイッターで米大統領選挙で大胆な書き込みをした。「ドイツの1932年国政選挙に次ぐ重要な選挙になる」とし、アドルフ・ヒトラーの台頭を許したドイツ事例に言及している。「この選挙ほど国際秩序を崩す結果を産んだ選挙はかつてなかった。世界経済や地政学でも同じだ」

選挙戦ではドナルド・トランプの外交政策観を一貫性がない、知見がないとの批判が相次いだが、ライトはこの点を真剣にとらえイデオロギーと歴史の観点から考察している。ライトはトランプの誇張気味の発言(「オバマがISISを生んだ)とトランプの固有の信念は分けて考えている。トランプの公的発言で国際関係に関するものを1980年代から眺めたライトはトランプは一貫した世界観を有しておりアメリカが超大国になってからの主要政党の大統領選挙候補の中では他に匹敵する対象がない存在と結論づけた。

トランプの孤立主義には3つの構成部分があるとライトは結論づけた。1)米主導同盟関係への疑念 2)自由貿易への反対姿勢 3)権威主義 だという。ライトの見方ではこの3つをトランプ政権が政策に反映すれば、リベラルな国際秩序として第二次大戦後に米国が作り上げた秩序が崩れる。これに対してヒラリー・クリントンの方が従来通りの大統領候補路線であり、秩序維持を掲げている。では本選挙前日になりライトはなぜ1930年代と比較するのか。

だがそこまで深刻な結果になるのだろうか。Googleの検索結果から「生涯最大に重要な選挙」は四年ごとにやってくるのはがわかる。クリントン支持派がトランプ当選で終末の日が来るとまで行っているのと比べるとトランプ指示派はクリントンが当選した場合について遥かに穏健な言い回しをしている。選挙の「重要性」とは政治上の力の行使だ。さらに「米主導の国際秩序」とは具体的には何を意味するのだろうか。なぜそれを温存することに価値があるのか。こういった疑問をライトにぶつけてみたところ、トランプの世界観についてこれ以上のものはないという説明を聞くことができた。またトランプ政権で世界がどう変わるかも理解できた。以下ライトとの対話から一部編集した上で再録する。


ツイッターで世界にとって1932年のドイツ総選挙に次ぐ重要な選挙としたが、理由は。

ライト:まずトランプをナチ・ドイツと同じとは言っていない。だが過去のドイツ選挙結果は世界大国の行動に大きな影響を与えた。今回の大統領選挙で特徴的なのはトランプには米外交政策で従来とは違う見方があることで、世界でのアメリカの役割でも同様で、米外交政策が劇的に変わる可能性がある。世界はアメリカの国力と意向を中心に編成されているので、大きな混乱が発生するだろう。そこで歴史を遡り現状維持の動きをひっくり返した選挙を見てみた。明らかに当時のほうが深刻な結果を産んでいる。

20世紀にはアメリカでも重要な大統領選挙があった。フランクリン・ローズベルトやハリー・トルーマン、ドワイト・アイゼンハワーが今日の国際関係を形成してきたのではないか。またソ連崩壊後に初めてロシアが1991年に実施した自由選挙があった。2000年の大統領選挙ではジョージ・W・ブッシュが当選し、イラク戦争に踏み切っている。米ロ二大大国だけでもこういう事例があるが。

ロシアの例はさておき、米国のこれまでの大統領選挙ではすべて米戦略、米外交政策の枠組みの中に留まっている。二大政党が合意した範囲内だった。たしかにトルーマン以降は米国のグローバルな役割、同盟関係、秩序を守るための制度、冷戦時はソ連封じ込めで合意形成されていた。実施面では差異があったが中核的な原則では合意されていた。

今回の大統領選挙は想定がなかった可能性を選択する機会で、一方が従来通りの戦略と秩序を引き続き堅持すると主張し、他方がすべてをひっくり返し、ぜんぜん違う可能性を実施すると言っている。第2次大戦前にもどれば当時の大統領候補はトランプと同じ主張を外交政策で主張していた。つまり孤立主義だ。

トランプ外交を一言で言うとどうなるか。また従来と異なるのはなぜか。

トランプがまだ観点を固めていない分野がたくさんあるし、一部矛盾もあるが、中核は本人のこれまでの経験に基づく理屈抜きの信念でその点ではぶれはない。まずトランプは米国が構築してきた同盟関係に反対している。次に自由貿易に反対し、むしろ重商主義国際経済の仕組みを支持する。三番目に、本人は権威に基づく秩序が大好きで、特にロシアに親近感を覚えている。この3つは1980年代から本人が主張し続けており、政治面で代償を払いながらも一貫して主張している。

問題は当選後に主張を緩和するのか放棄するのかだ。70歳という本人の年齢を考えると30年間ずっと同じ信念を抱いていながら、いきなり別方向に変わる可能性はないだろう。

今触れた3つの信念についてもう少し説明願う。まず米主導の同盟関係への反対だ。根拠は何か。
1987年に本人が掲載したニューヨーク・タイムズ、ボストン・グローブ、ワシントン・ポスト三大紙の全面広告がある。米外交政策、国防政策で意見を述べている。日本、サウジアラビア他への不満が表明し、米国には各国防衛の義務があるのに各国は米国を利用して自国防衛の費用負担を軽減しているというものだった。同じ事を何度も取材で答えており、今回の選挙戦でも前面に出ている。

だがトランプが各国に負担増を求めるのか、同盟そのものを廃棄するつもりなのかが問題だ。私自身は全面廃棄に傾くと見る。理由はいくつかある。まず本人は米国にはアジアへの軍事的関与に戦略的な権益はないと主張している。NATOの当初の役割は陳腐化したとも発言している。そうなると米軍の前方配備にも意味がないと言いかねない。また他国が支払えば米国も対応すると言っている。支払いを口にすると他国もGDP2パーセント相当まで負担増すべきと言っているのかと思いがちだが、実はトランプが費用というときは米軍プレゼンス維持の費用を言っているのだ。太平洋軍司令部を維持する費用であり、第7艦隊を日本や韓国に配備する費用であり、米陸軍を欧州に駐留させる費用だ。また各同盟関係維持のために米国が負担する費用を数兆ドルと講演で述べている。数兆ドルというと数千億ドル規模を何年も続ける規模だ。

ドイツや日本へ行って年間数千億ドルの負担を要求すれば、各国の財政負担を超えるし、従うこともできないだろう。そうなれば米国の安全保障を一方的に凍結するか各国支援はできないと口実になる。1980年代から米国がクウェートを防衛するのなら同国の石油利益の25%を米国に支払うべきと発言している。米国の庇護があって初めて存続できるのがクウェートだとまで言っている。これは米帝国主義の論理だ。オバマ政権の費用共有発言とこれを混同していなならない。この2つは質的に全く異なる。

では二番目の重商主義敵経済制度とはどういう意味なのか。

本人は自由貿易に反対していないと言っているが、米国の貿易協定内容を本人が支持したとの記録はない。「どんな大統領になるのか」と聞かれて本人はレーガンとは異なると答えているのは、貿易政策が理由で、19世紀末や20世紀初頭のように経済を考えているようだ。貿易協定に反対した実績があり、関税等制裁措置を口にしている。メキシコ系住民からの本国送金を止めるとか、経済的な圧力を加えるといっている。貿易協定には反対と言いつつ、アメリカに有利な内容なら「公平」に対応すると言っている。これが重商主義の定義だ。

三番目の権威主義への傾きとは。その根拠があるのか。

1990年から本人はロシアへ数回旅行し、当時のゴルバチョフに失望し、弱い指導者との印象を持った。ゴルバチョフが中国の天安門事件と同様の行動を取れるかとの質問に、強い力を見せつけるのが肝要と答えているその後、本人は専制主義指導者をたたえている、今年の選挙戦では金正恩やサダム・フセインを口にしている。民主主義の重要性や海外でのイベラル主義の意味については全く口にしていない。

プーチンの資質についても同様だ。世界政治の舞台ではロシアについてなんでも批判的に発言するのが一番無難だ。だが本人はプーチンの人格について批判的な発言もしておらず、ロシアの現体制やロシアの外交政策でも同様だ。ロシアを批判しないことで政治的な代償も払い、自身の信念を示している。自身を強い男性だと信じ同様に強い相手とやりあうことを望んでいるようだ。世界を仕切ることであり、米国の立ち位置を確保することだろう。国際秩序の悲惨さや民主主義の脆弱さよりもそちらを優先する。

ロシア寄り、プーチン寄りの姿勢は本人が好む専制主義的傾向が理由なのか。

ある程度まで本人の価値観は専制主義にあるが、同時に米国がNATO構成国としてヨーロッパに駐留する理由はないと見ており、ヨーロッパはロシアからの防衛を自分ですべきと見ている。背景に同盟各国を良く思っていないことがあるのだろう。プーチンはこのことを口にしており、「ロシアができるのになぜこちらがしなくてはいけないのか」というようなものだ。

本人の世界観は一貫していると思う。一度もこの点で疑念を呈していないからだ。各戦略や韓国、その他で技術的な疑問をもっているが本人には方向性は認識されている。

この点を過小評価している。本人は三十年間一貫した発言をしている。トランプは勉強不足との批判があるが、たしかにそうだ。だが厳密に言うと自分の信念を重視するあまりおかしな発言をして笑いものになることがあるが、真意は自分なりに深く長い間考えた結果であり、自分自身で実証済みの考えだと思っている。

同盟関係の軽視、重商主義的経済観、専制主義好みの三点から見ると第二次大戦後の大統領候補で類似の例はあっただろうか。

思いつかない。一番近いのは1992年のパット・ブキャナンだが、候補指名を受けていない。1940年代末のロバート・タフトは戦前の継続の色彩が強いものの、もっと均衡のとれた考え方をしていた。専制主義とはいえず、重商主義でもなかった。同盟関係には反対していたが、政治的には主流派だった。比較なら1940年代のチャールズ・リンドバーグではないか。

ただし同じような主張は長い間残ってきた。今回は政界がこういう主張を封じていないことだ。いかに過激と思われても一定の限度内での話だった。トランプは初めてその制約を乗り越えている。また政界の主流派なら望ましくない・無責任と言われたくないため選択を躊躇するのにトランプは寝た子を覚ましてしまった。

今年の選挙では「米主導の国際秩序」の言葉がよく聞かれる。「ドナルド・トランプも第二次大戦後の米主導国際秩序で国際平和と繁栄が続いた事実を受け入れるのでは」との期待があり、筆者もそう書いたが、よく考えると理解しにくい用語でもある。この言葉の意味をどう捉えているか。

その意味として一般には1940年代末に創設された制度で米国の加わる同盟関係であり、世界各地の前方配備軍事基地であり、開かれた西側経済であり、いまや開かれた世界経済であり、各種取り決めの仕組みで不完全ながら国家の動きを統制するものだ。総合すれば、1991年までは西側で機能していたが、その後グローバル規模に拡大され、まだ完全にグローバルではないが、今日の世界政治を構成する原則だ。またこの秩序はアメリカの国力と外交政策が基礎であり、各国がこうあって欲しいと願うものだが、米国が脱退すれば維持継続は困難となる。米国が抜けたNATOが今のまま続けられるか極めて疑問だ。

トランプはこの秩序の中心部分を解体して事態を危機に陥らせるだろう。ヨーロッパやアジアの安全保障体制は変更となる。グローバル経済も変化する。トランプが主張を退けて共和党主流派の外交プロを閣僚に迎えれば、そうはならない。だが本人の言葉通りなら実現の可能性はある。

そこで1930年代との類似性が出てくる。現在の秩序は1940年代末前には存在せず、1930年代から40年代にかけては大戦争の時代だった。秩序が崩壊したのが1930年代であり、東側の秩序はひと足早く1989年から1991年に崩壊している。

米大統領が一方的に義務を放棄する事態は考えられるのか。議会には超党派コンセンサスに執着する議員が多数いるはずだが。

残念ながら可能性はある。理由はいろいろある。まず大統領制について回る抑制と均衡は国内政策に適用される。外交政策ではさほど効力がない。一部あるが、宣戦布告など限定的なもので近年は減衰している。一般的に大統領の外交面での選択肢の幅は広い。トランプは国内政策で行き詰まり、外交政策に目を転じる可能性がある。なぜならそここそ本人が留意する分野であり、行動の自由も大きいからだ。

二番目に公約で何かをする代わりに実行しないとしている。同盟各国が支払いに応じなければ同盟関係を反故にするとまで言っている。議会は条約解消をさせないように動けるが、議会から自身ガイジの価値がない同盟の維持を求められるおぼえはないし、バルト沿海諸国がロシアの攻撃を受けた場合でも米国が開戦に追いやられることはなく、あるいはバルト沿海諸国を訪問することもなく、NATOの第五条で各国が防衛されているということもないとする。なにもしないことで逆に達成できることがあるのだ。

同盟関係のよりどころは抑止力だ。攻撃を受ければ軍事支援に駆けつける公約は効果がある。これを定めたのがNATOの第五条規定だが、内容はあいまいだ。第五条ではいかなる妥当な方法でも攻撃を受けた加盟国を助けに行くとしている。だが次代大統領が「これを侵略国を強く譴責することと解釈する」と言い出す可能性がある。トランプはバルト海諸国防衛のため対ロシア戦を始める義務はないと見ている。一度この点を疑問にすれば、抑止力の意味が全体として変容してしまう。

国際秩序が変わることでアメリカの日常生活も同時に変わるだろうか。

現在の前提を可能としてきた仕組みを解体すれば世界各地で悪影響が発生し、一部は終焉を迎えるだろう。だが確証はない。同盟関係が明日解体されても、ロシアがすぐにバルト海諸国になだれ込むと断言できないだろう。確かに歴史事例からこう考えることは可能だろうし、他国の意図を評価する必要はある。

だが今後10年を超える期間に渡り、世界が一層危険な場所になりそうで、国家間紛争が発生する可能性が増えるだろう。また修正主義も台頭するだろう。既存国境線を変える動きや自国の利益だけを考えた保護主義も発生するだろう。安全保障面では競合が増えて、米国も脚を引っ張られる可能性がある。仮に米国がヨーロッパを支援しない、アジアから手を引くといえば、20世紀初頭の歴史のようにものごとの収拾がつかなくなり米国も悪影響を受ける。

またグローバル経済も急降下するだろう。深刻な不況が発生する。なぜなら米国がグローバル経済の開放度を裏書きしなくなるからだ。トランプの立場では米経済を好況にするために他国を悪化させることになる。だが戦後70余年の経験から見れば反対だ。米国並びに各国の経済を好況にするためにこそ、グローバル経済がうまく運営されなければならない。

米国が主導しないと国際秩序は本当に崩壊するだろうか。NATO、国連、世界貿易機関等々が米国不在で機能を失うだろうか。

誰かが重荷を担わないといけないとしても手を挙げるものがいるだろうか。1990年代や2000年代中頃にはヨーロッパが重荷を負担する、中国がもっと開放的な国家になり秩序を維持するとのもっともらしく聞こえる話をしていた。だがこの五年ほどでヨーロッパの分断は進行し弱体化し、世界問題に関わる余裕がなくなり、一方で中国は一層専制国家になった。米国の関与以外に他の選択肢はないし、しなkれば米国以外の国が手を上げてくるだろう。米国が関与を深めれば、他国もパートナーとして一層の負担をしてくれるだろう。

他国の義務を論じることで注意がそらされそうだが、大事な点は我々は他国に何を期待しているのか、という点だ。ヨーロッパはもっと負担が必要だと言うのは良いがあくまでも現実的にだ。米軍がヨーロッパから完全撤退したら例えばフランスはどうなるか。フランスが今以上に国際的に関与する国、リベラルな国になる可能性もあるが、右よりになり国民戦線のマリーヌ・ルペンが大統領に当選する可能性の方が高い。するとフランスに国粋主義の政権が誕生してしまう。もし米国が抜ければ、国内事情が悪化する国が多数あり、各国は警戒し保護主義に傾き、もっと国家主義に走るだろう。

この秩序体制を米国は主導していけるのだろうか。

最重要なのが同盟関係だ。安全保障の仕組みを通常兵器や核の傘で支え、北東アジアやヨーロッパで一定の確実性を提供し、地政学上の事実を作り上げることだ。また軍事的に現状維持を変更することを困難にしておくことだ。経済面では海上交通路を開かれた形にし、開かれたグローバル経済体制を資本の自由移動、一定の規則の下で運用することだ。貿易面ではWTO他多数の多国間関係は米国が一方的に手を引けば運用不可能となるだろう。

価値面では米国、ヨーロッパ、アジア一部民主国家がそれぞれ民主体制を支持し人権含む基準を維持すれば大きな効果が生まれる。

現状で秩序はどこまで有効だろうか。フィリピンやトルコとの米同盟関係はここにきて弱体化している。ニューヨーク・タイムズは自由貿易を支持する機運の中で世界貿易は減少傾向と指摘している。ヨーロッパの連帯は英国のEU脱退投票結果で揺らいでいる。秩序は米国の主導下でも空中分解しているのではないか。

課題はあるが、制御可能だと思う。歴史の観点では米国や同盟国、さらに同様の目標を共有できる国と一緒に対応できる範囲にある。金融危機を経て経済環境が悪化している中でナショナリズムが強くなっているが、最悪の場合と比較すればこれでもまだ穏やかな方だと思う。■



F-15C/Eに新型電子戦装備を搭載し2040年代まで現役で共用させようとする米空軍



Air Force Pushes New F-15 Electronic Warfare Suite Forward to EMD Stage

By: Valerie Insinna, November 4, 2016 (Photo Credit: US Air Force)
WASHINGTON — 米空軍が進めるF-15CおよびF-15Eの電子戦能力向上策が技術開発製造段階(EMD)に進んだ。
空軍がボーイングに総額478百万ドル契約でイーグル・パッシブ/アクティブ警報残存性向上装備(EPAWSS)の開発段階を引き上げた。EMD段階は2020年までとし、同社はEPAWSSの設計とともにリスク低減策を進める。ペンタゴンが契約交付に際し発表した。
ボーイングはEPAWSSの各システムを製造し、実験室テストのあとでフライトテストを2018年末に開始する。ボーイング広報ランディ・ジャクソンがDefense Newsに伝えた。
EPAWSSの搭載対象は合計400機を超えるF-15CとF-15Eで、ボーイングは主契約企業として協力企業BAEシステムズとともに昨年選定されていた。
BAEによればEPAWSSは完全デジタルの電子戦装備でF-15に状況認識能力を高め、自機防御を高性能電子対抗措置、レーダー波警告、チャフ・フレア運用能力の向上で実現する。同装備はF-15が1980年代から搭載中の戦術電子戦装備に交代する。
EPAWSSはボーイング提案のF-15C改修パッケージの中核で2040年代まで有効な航空優勢戦闘機として供用させるもの。
レイクンハース英空軍基地に駐留する第48戦闘航空団司令を務めたことがあるロバート・ノヴォトニー大佐はDefense Newsに7月にF-15にはもっと高性能技術が必要だと述べていた。どんな性能が必要なのかと尋ねられた大佐はEPAWSSが特に重要な性能向上手段だと説明していた。「改修策の中でもEPAWSSが特に重要です。F-15に搭載が望まれる装備ですが他機種でも同様で、みんなEPAWSSをほしがっていますよ」■


2016年11月8日火曜日

★★インドUS-2導入決定の報道は誤り 



一部筋がインドのUS-2導入が決まったと伝えていましたが、実はまだコンセンサスがとれていないようです。新明和工業は最後までインドに振り回されそうです。

Vol 7 Issue 45, Nov 04, 2016 - Nov 10, 2016.

DAC clears blacklisting policy, no decision on US-2 planes

08-Nov-2016
New Delhi
Posted 07 Nov 2016

インド国防調達協議会(DAC)(座長国防相マノハル・パリカール)が11月7日一部ブラックリスト企業の解除とともに821億ルピー相当の調達を認可した。
協議の席上、US-2水陸両用機が話題となったが決定に至らなかったと消息筋が述べた。以下略



2016年11月7日月曜日

ロシアはなぜシリアで乱暴な無差別爆撃を実施しているのか


シリアで何が起きているのか正確に把握している方は日本では少ないのではないでしょうか。なじみがない話ではありますが、遠い地とのんきに構えている余裕は実はないのですが。やりたい放題のロシアに各国はなんら手を売っていないというのが現実です。この事態を生んだのもオバマ政権の失策です。
War Is Boring
Russian Su-25 attack planes take off from Hmeymim air base in Syria. Russian Ministry of Defense photo

Does the Russian Air Force Even Know What Is Going On in Syria?

The Kremlin either has poor military intelligence or different — and far more disturbing — priorities in mind

by TOM COOPER

ロシアはシリア介入を始めた昨年から一貫して無差別に住民を標的としている。シリア政府への反抗勢力を一掃する戦略目標なのは明白だ。
  1. ロシアは同じ戦法をチェチェンで実施ずみで、今度はシリアというわけだ。公共施設、学校、病院、食料貯蔵所、給水施設を巧妙かつ継続して空爆し、敵対勢力の統治効果を減衰させ、地元住民に恐怖感を煽り居住地を離れさせ、反乱勢力の力を下げるねらいがある。
  2. ただしロシアの「価値減衰」戦術が2016年10月ほど激烈に行ってきたことはなかった。
  3. 同月にアルカイダ系列のジャバト・アル・ファタ(JAF)勢力がアレッポに移動してきた。さらにJAF勢力が補給品をトルコ国境付近から運送してきたがロシア機の姿はどこにもなかった。
  4. 10月25日になり自由シリア軍の中央師団がイドリブからアレッポに移動したが空爆はさして心配でなかった。
  5. 一方、ロシア航空宇宙軍VKSはアレッポ東方やイドリブの市町村を集中爆撃し、市民に多数の死傷者が発生した。
  6. 10月26日、JAFがアレッポ西方のシリア軍陣地を攻撃しはじめ、275千名の一般市民、11千名の戦闘員の包囲状況を解放しようとすると、ロシア機がイドリブで学校を空爆し、少なくとも22名の学童、教員6名が死亡する一回の空爆でシリア最悪の記録となった。
A Russian air force Su-24M over Hass, Oct. 26, 2016.
  1. シリアアラブ共和国の空軍はこれとはちがう行動をしている。小学校爆撃の同日にSyAAFは自由シリア軍集団の司令部をホム自治区で空爆している。
  2. その結果、自由シリア軍のショキ・アヨブ・アボ・イブラヒム大佐、副官ファイサル・アウド中佐も含む指導層が死亡した。
  3. 10月26日には興味深い写真がインターネット上で浮上し、アサド派のアレッポ軍区司令官ザイド・サレ少将が悪名高い民兵組織砂漠のタカの指揮官モハマド・ジャバと写っている。
  4. 二人の背後には地図があり、シリア軍がJAFの現在位置とアレッポ西方からアルアサド地区への展開作戦を情報収集しているのが分かる。
Major-General Zaid Saleh (centre) with Mohammad Jaber (left)
  1. ロシア軍はどこまで正確で有益な戦場の状況の情報収集をシリアで行っているのだろうか。
  2. 正しく信頼できる情報こそいかなる戦闘で成功要件となる。そのためロシアも努力している。
  3. まずロシアは偵察衛星を使い、シリアの戦場を監視していると公表している。ロシア軍の日刊紙ではシリアではロシア軍は「ネットワーク中心の戦闘」として情報収集と高度通信技術を応用して迅速に敵を突き止め撃破する原則で実施しているとする。
  4. ロシアが構築したシリア内の「ネットワーク」にはイリューシンIl-20M偵察機一機がまずフメイミン基地にあり、70機近くの偵察ドローンが大きいものはヤコブレフ・プチェラ-1から小型のオリアン-10、エレコン-3SVやグラナット-4まで配備されている。
  5. またスパイ機としてツボレフTu-214Rがあり、ロシア最高性能の偵察機といわれる。クレムリンが地上配備の前線航空指揮官を配備しているのはまちがいない。
  6. だが問題がある。VKSが繰り返し、シリア反抗勢力の指揮命令所や司令官の排除に失敗している。ジャバト・アル・ファタやイスラム国対象の作戦も失敗している。
  7. 2016年2月にはTu-214Rがアレッポ上空を飛行したが、イスラム国の大部隊が砂漠を横断しカン・ナシルとアレッポを結ぶ道路に近づくのを探知できなかった。
  8. この失敗により聖戦主義武装勢力が政府軍少数部隊を壊滅させ、その他2万名のシリア政府軍部隊やイラン革命防衛隊向けの補給線が一週間近く切断された。
  9. 一方でシリア政権に近い筋は反乱勢力指導部への空爆はSyAAFが実施しているのであり、ロシアVKSの関与はないと強調している。
  10. シリア空軍情報部は空爆実施に先駆け情報を入手し無線で爆撃機乗員に伝えているがVKS機は目標を変更していない。
  11. 同筋によればロシア情報集能力はシリア国内で不足しており、SyAAFへSu-22M-4Kに使用後40年経過のKKR-1カメラポッドを搭載して送るようロシア空軍が要望しているという。
  12. このためロシアの情報収集能力への疑問が生まれている。ロシアはシリアで何の情報を集めているのか。イスラム国については大した情報は集めていないようで空爆実施は2016年10月は十数回にも満たない。■
  13. シリア国内の主要反乱勢力についての情報収集力が十分でないことは明らかだし、アルカイダ系列のJFSでも同様だ。
  14. クレムリンが考えるネットワーク中心戦はこれから姿をあらわすのかもしれないが、実は全く違う意味に解釈しているのかもしれない。■

2016年11月6日日曜日

★★航空機搭載レーザー兵器の開発はここまで進んでいる



航空機搭載レーザー装備の開発はかなり進んでいるようです。技術に遅れを取る中ロはこれに警戒してくるはずですね。技術漏えいが発生しないよう高度の保安体制が必要です。実現すれば戦闘の様相は大きく変わります。

The National Interest


Northrop Grumman Is Building Laser Weapons to Save America's Future Fighter Aircraft from Missile Attacks

November 4, 2016


ノースロップ・グラマンが開発中のレーザー兵器は次世代戦闘機を敵ミサイルから防御するのが目的で米空軍研究所AFRLが契約交付している。

  1. 同社はビーム制御部分を開発製造し、AFRLが自機防御高エネルギーレーザー実証事業Self-Protect High Energy Laser Demonstrator (SHiELD)の高度技術実証(ATD)として今年8月に契約交付うけた。SHiELDはポッド搭載のレーザー兵器実証装置で指向性エネルギーを防御につかう。
  2. 「ノースロップ・グラマンが中心のチームで革新的なビーム照準を実証済みのビーム制御技術に組み込んで空軍が求めるレーザー兵器の性能を現行並びに次世代の機材に織り込みたい」とノースロップ・グラマン・エアロスペースシステムズが声明を発表している。
  3. SHiELDでのノースロップの役割は重要なビーム制御にある。ビーム制御装置により飛行中の大気状況を把握したうえでレーザーのゆがみを補正する。また飛来する目標を捕捉追尾し、レーザー照準をする機能で、その後にレーザービームを「成形」し焦点を目標に合わせる。具体的にはミサイルや敵機本体を想定する。
  4. ノースロップの担当部分はSHiELDタレット研究の空中効果部分(略称STRAFE)でAFRLは最終的にSTRAFEビーム制御装置をレーザー発生装置、電源、冷却装置と一体にすることだ。AFRLはその他要素部分を別契約で開発中だ。
  5. AFRLはSHiELDをポッドに収めて高度防空体制でも機体の残存性を大幅に上げようと考えている。そこでSHiELDを戦術航空機に搭載し超音速飛行中にコンセプトの有効性を確認したいとする。フライトテストはすべて順調なら2019年にはじまる。
  6. SHiELD実証が成功すれば、空軍は実戦用装置を既存の第四世代戦闘機各型向けに開発し、残存性を高める。SHiELD技術は米海軍の機材にも有効に活用されるはずだ。
  7. また次世代の侵攻制空機材としてロッキード・マーティンF-22ラプターの後継機になる機体にもSHiELDを搭載し、ここでは最初から機体内部にとりつける。ポッド型のSHiELDは第五世代機F-22やF-35にはステルス性能を損なうため望ましくない。同様にノースロップ・グラマンのB-2スピリット、B-21レイダー爆撃機にも搭載するのは困難だろう。
  8. それでも指向性エネルギー兵器とは大きな可能性があることがわかっているものの、レーガン政権の時代から実現に困難が実感されている技術である。それが10年後には実用化されようとしているわけである。
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.
Image: Northrop Grumman.

第五世代機に装着できず、第四世代機の防御性を引き上げるのであれば、ステルス性能が無駄になりますね。「常識」で考えればレーザー発生に必要な電源その他の大きさから言って現在の戦闘機サイズでは搭載は困難と思っていましたが、なんらかのブレイクスルーがあった、あるいはこれからあることを期待しているのでしょうか。それとも大型戦闘航空機の構想でこそ実現するものなのでしょうか。



2016年11月5日土曜日

緊急 大統領選挙投票日にニューヨーク州等で同時テロ襲撃の可能性


オオカミ少年といわれようとも誤報に終われば良いのですが、大統領選挙投票日にテロ襲撃が発生すれば大混乱です。また正しい投票が行われなくなれば政治的空白も生まれかねません。なぜアルカイダなのかも不明ですが、くれぐれも誤報であることを祈るばかりです。11月8日は大変な厳戒体制での投票日になるでしょう。

Report: U.S. Intel Warning of Possible Terror Attacks on Monday

Members of al Qaeda-linked Fatah al-Sham Front in Syria / AP
Members of al Qaeda-linked Fatah al-Sham Front in Syria / AP
     
November 4, 2016 10:29 am
アルカイダが米国内3つの州で投票日前を狙ってテロ攻撃を計画していると米情報機関が警告を出したとCBSニュースが報道している。
ニューヨーク、テキサス、ヴァージニアで可能性があると情報筋がCBSニュースに語っているが詳細には言及していない。
「対テロ、国土防衛関係諸機関は高度の警戒態勢にあり、米本土で攻撃が実行されても有効に対抗できる」とFBI高官がCBSニュースで語っている。「FBIは各組織と連携し情報の評価、共有を毎日行っており、今後も法執行機関と情報機関間の連携を維持強化し公衆の安全を脅かす可能性のある脅威を探知、排除していく」
関係機関は今回の脅威を真剣に受け止めているが、各情報機関は真偽を確認しようとしている。対テロ専門家は警戒して待機中だ。
CBSニュースは来週火曜日に大統領選挙当日が近づく中で連邦法執行機関が最悪のシナリオ複数を想定していると伝えている。大きなイベントや休暇期間ではテロ攻撃の危険性がたえずあると関係者は注意を促している。
現地警察は投票所が「一匹狼」型の攻撃の標的になると警戒し、テロ集団と関係なくても思想上の影響を受けた個人が犯行に及ぶかもと見ている。■


RC-135はイスラム国戦闘員排除にこう役立っている




War Is Boring
The U.S. Air Force’s Biggest Spy Planes Are Hunting Islamic State Fighters
RC-135 Rivet Joints spot terrorist radios, phones and scoop up chatter
by JOSEPH TREVITHICK
  1. 米空軍最大ののスパイ機部隊がイスラム国戦闘員の所在を探り出している。イラク、クルド両部隊がモスル市から戦闘員を排除しつつある中でのミッションだ。
  2. 2016年10月21日に少なくとも一機のRC-135V/Wリヴェットジョイントがアル・ウデイド空軍基地(カタール)を離陸し、イラクあるいはシリアへ向かった。ボーイング707旅客機が原型の同機は空中給油なしで4000マイル飛行できる。
  3. 「同機は20カ国が参加する連合軍航空兵力にリアルタイムで現場情報を提供する」と公式説明文にある。別の説明文では「ほぼリアルタイム、現場での電子戦支援、情報収集、解析、伝達能力を提供する」とある。.
  4. 地上戦でイスラム国が劣勢になる中で戦闘員が密かに逃亡するのを防ぐのは重要だ。
  5. リヴェットジョイントは中東では最初の湾岸戦争以来ほぼ常駐しサダム・フセイン軍の監視、飛行禁止地帯の執行に携わってきた。
  6. 2003年の米主導連合軍のイラク侵攻ではRC-135が後方からサダム部隊や反乱分子との戦闘を支えた。2011年に米地上軍が撤退したが、その後もイラクの戦闘員の動向を監視してきた。
Above, at top and below — an RC-135V/W Rivet Joint prepares to take off and eventually departs Al Udeid Air Base in Qatar on Oct. 21, 2016. U.S. Air Force photos
  1. 2014年にイスラム国がシリアからイラクへ侵攻し、イラク政府軍を敗退させた。イラク、クルド人部隊がモスル攻略を開始した今年10月にはリヴェットジョイントが再びその能力を発揮している。
  2. 米空軍第55飛行隊(ネブラスカ州オファット空軍基地)は17機を運用し、世界各地に機材を派遣している。
  3. RC-135乗員は最大30名でパイロット、航法士以外に情報専門員、飛行中の故障に対応する機器修理要員が搭乗する。アンテナ多数をつけた同機の主な任務は戦場上空あるいは近隣を弧を描く飛行パターンで飛び敵通信を探知することにある。
  4. さらに発信元を特定し、情報を基地に送る。2011には新たに戦術データ・リンク(TDL)が搭載され、各部隊と情報同調が簡単になった。
  5. 「RC-135W/Vリヴェットジョイントは」新装備で「有効な機材になった」と空軍史は述べている。同機は「TDL搭載で性能を向上した」 War Is Boring は情報公開法により年次報告書の写しを入手した。
  6. イスラム国戦闘員は民生通信手段やインターネット携帯電話を多用しており、同機は所在を容易に突き止められる。
  7. 「携帯電話、トランシーバー方式、インターネット、電子メールを多用している」とペンタゴンの広報官クリストファー・ガーヴァー米陸軍大佐は2016年6月8日に報道陣に述べた。「戦場でもインターネットを使っている」 「そのため通信手段の排除として携帯電話中継塔を狙っている」
  8. 戦闘員の所在を突き止めること以外に情報要員は今後の攻撃に役立つ追加データも集めている。傍受した通信内容は押収した文書や機器類からの情報と合わせて戦闘員への作戦に有効利用されている。
  9. 「傍受や監視対象が特定できてもあえて攻撃しない場合がある」とガーヴァー大佐は述べ、「破壊すれば情報が取れなくなる」ためだという。
  10. またリヴェットジョイント部隊が敵通信を妨害しているとの報道もある。2016年5月には匿名情報源からとしてデイリー・メイル紙が英国のエアシーカー部隊(リヴェットジョイントの英空軍制式名称)がリビア国内のイスラム国戦闘員の通信を秘密のうちに妨害していると報道している。
  11. ただし「エアシーカーをジャミング機材と考えるとテレビの『怪しい伝説』ではないが誤りとなる」とロバート・ホプキンズ(前RC-135パイロット)が語っている。
  12. 「ジャミングには大量の電源出力が必要で発電に大量の空間と重量が必要となる。がリヴェットジョイントでは余裕がない」
  13. ただしリヴェットジョイントの強力なセンサーで他の機材を正しく誘導することが可能だろう。米海軍、海兵隊、空軍はイスラム国の通信妨害に専用機材を送り込む。
  14. とはいえRC-135は航空作戦に強力な支援を提供する。英空軍がエアシーカー1号機を取得したのは2015年だが、ただちにイラク、シリア上空に同機を派遣している。
  15. 「英軍のエアシーカー最新号機はイラク、シリア上空でまもなく活動開始する。米軍を除けばこれだけの能力を有する国はない」と英国防相マイケル・ファロンは2015年に述べている。
  16. 米空軍のリヴェットジョイント各機は今後もイスラム国に対する優位性をペンタゴンに提供する。あるいは中東で別の勢力が出現しても当面は優位性確保に役立つだろう。■


2016年11月4日金曜日

★★トランプ大統領で米国防政策はこうなる



投票数で勝っても選挙人で多数を獲得できなければトランプ候補は当選できないのですが、ここに来て同候補に明らかに勢いがついており予想外の結果が生まれそうな気配です。トランプ大統領になって国防政策はどうなるのか、共和党の重鎮の考え方に耳を傾けてみましょう。このとおりならかなり期待できる国防政策が期待できそうです。選挙戦は人格攻撃など低劣になっていますが、冷静な思考が裏で動いいていることにホッとします。日本も一層の防衛支出を求められるのは避けられないでしょう。

Top Trump Military Advisers Detail GOP Candidate's Defense Plan



2016年大統領選挙で国防問題は主要争点になっていない。予算制限法の制約が予算強制削減措置とともに解除された場合を想定し、両陣営ともに国防政策では一般的な言及にとどめているのが現状で、その中でクリントン候補が政策面にやや詳しく触れている程度だ。トランプ候補は本人が軍の「惨状」と呼ぶ状況の再建に重点を置いている。だが両候補ともに各論となるとわずかしか明らかにしていない。
一般投票まで一週間となった今、共和党の軍事問題政策の重鎮二名からトランプ当選で国防がどうなるかが見えてきた。アラバマ州選出上院議員ジェフ・セッションズは上院軍事委員会に所属しトランプ政権誕生の暁には国防長官就任が濃厚と言われている。ランディ・フォーブス下院議員はヴァージニア州選出で下院海洋権力小委員会委員長だが来年1月で議員を退く。予備選に勝てなかったためだ。だがフォーブスは海軍問題での知見の豊かさで知られ、海軍長官候補のひとりた。
先週金曜日にこの両名がDefense Newsへトランプ政権のペンタゴン方針について語った。
政権発足早速とりかかる主要政策は何か
セッションズ:トランプは米国は力による平和を推し進めるべきとする。軍の戦力が低下していると見ており、再建が必要だ。予算強制削減がその原因だ。アメリカの国益を第一におくべきだ。
国益の中核部分に焦点を合わせる。同盟関係の再構築、新規友邦国もあり、外交政策はもっと現実的にして、頭の中だけで有効な政策目標は求めていかない。結果が悪くなるだけで人命が犠牲となり、財源にも悪い。これまで巨額の投入をしながら肝心の我が国や我が国が助けるべき人々に恩恵がなかった。
軍関係でトランプがまず最初に行うのはISIS撃滅だ。就任30日以内に軍に作戦案を作らせるといっている。軍事行動以外にサイバー、金融、情報宣伝、外交の各手段を駆使しISISを壊滅させる。ISISは米国にとって直接の脅威だ。わが国を攻撃すると公言している。また攻撃を実施したものを祝福している。真正面から対決して敗退させるべき敵だ。
トランプは繰り返しアメリカの道を誇らしく思うと発言している。世界に対して謝罪こそしないが、成果は祝う。移民問題は安全保障問題との認識で、米国に脅威となる人物は入国させないと発言した。
また国内エネルギー生産を拡大すると発言しており、雇用を作るだけでなく、富の海外流出を防ぐ。また危険な海外地帯への依存度を減らす。
サイバー能力をてこ入れし向上させると具体的に発言している。わが方には防御、攻撃双方の手段がある。サイバー攻撃を受けるだけの立場に甘んじ反撃しないままというのは受け入れがたい。
国防総省の主な支出項目を検討している。トランプの提案は陸軍の増強だ。現在の48万名体制を54万名に拡大する。
SessionsAlabama Senator Jeff Sessions pledges his commitment to Republican candidate for President Donald J Trump before he speaks to supporters at a rally at Ambridge Area Senior High School on October 10, 2016 in Ambridge, Pennsylvania.Photo Credit: Photo by Jeff Swensen/Getty Images
その理由は?
セッションズ; まだお話しできる段階ではないが海軍に現在の水準より引き上げる余地がある。トランプはアメリカのプレゼンスを各地で示すべく海軍力拡張を主張している。ランディ、君はコメントしたいだろう
フォーブス: 質問は「当選翌日になにをするのか」だったよね。
全体的な話だ。合衆国大統領は単に案を実施する立場ではない。大統領は議会とともに、政策立案者とともに案を前進させるのが役目だ。なぜこのことが重要かというとクリントン候補はオバマの取った道筋と同じ方向を目指すといっている。つまり若干手直しするものの路線を継承するということだ。
だがトランプ大統領は最初の数日間で国際国防戦略を国防総省の下で、国家安全保障会議の下でなく作るといっている。明らかに仕事の進め方が変わる。世界各地で活動は、この八年間は国家安全保障会議が筋書きを書いてきた。八年前と比較して今の方がよくなっている国はどこにもない。
二番目に誰が当選するにせよ、安全保障会議では戦略が生まれてこない。 アイゼンハワー大統領除き、これができた大統領はない。だが次の大統領が誰にせよ、現在の想定を超えた規模の危険や脅威に直面するはずだ。そこでペンタゴンが選択肢を示す戦略を大統領に示すことが鍵となる。
トランプ大統領とクリントン大統領の違いはトランプなら我が国の能力や装備を元の方向に戻し大統領としての選択の幅が広がることだ。クリントン候補の言葉をそのまま受ければ、基本的にオバマ政権を継承すると言っているので、こう聞きたい。2007年には戦闘司令官の求める兵力艦船数の90%を充足していたのが今年は42%しか実現していないのを継続するのだろうか。歴史始まって以来の小規模かつ高機齢の空軍でいいのか。陸軍が45万人体制に縮小するのを認めるのか。トランプ大統領は軍の能力、勢力を再建する。
346ないし350隻が必要だ。なぜなら隻数、戦力をともに増やすことで脅威発生時の次期大統領に選択肢が広がれば、単に成功するだけでなく、アメリカ国民の生命を保護することができるからだ。
セッションズ: 海兵隊は18万名まで縮小しており、トランプは20万名まで拡充する提案だ。米大統領の信頼度が歴史的な水準まで減少している今日では米国が国防支出を放棄していると見られてもおかしくない。言葉だけでこの流れを変えるのは不可能だ。
トランプ構想では艦船数を増やし、兵力や機数を高水準で維持する。言葉だけでなく世界に対して米国の力を理解させる。平和の維持につながる。
2012年大統領選のロムニー候補には海軍拡充案が詳細な内容であったと記憶している。今、350隻と言ったが、どんな艦種を想定しているのか。現在は272隻で合計308隻規模だ。では追加する42隻はどんな構成になるのか。航空母艦はもっと必要なのか。
フォーブス:まず発言を思い出してもらいたい。米国には新国防戦略を国防総省主体で必要だ。ここからご質問の内容に答える。現政権が手がけてこなかった内容だ。現政権が生んだのは12ページの国防戦略指針だけだ。バカげた話だ。.
つぎに方向性の違いがおわかりだろう。トランプ候補は巡洋艦の重要性を強調している。現政権は11隻ある巡洋艦をすべて撤去しようとしている。巡洋艦、駆逐艦を十分揃えて360度全方位の対応が可能だ。巡洋艦の近代化改装は続けるべきだ。トランプ大統領は現在の大統領と反対のことを口にしている。巡洋艦が必要だ。
空母がもっと必要なのか反対なのかを断言できる人はいないと思う。だが潜水艦はもっと必要だ。10年間で41隻まで縮小すれば中国の半分となり、受け入れられない。20201年に攻撃型潜水艦が一隻加わるが、トランプ大統領は明らかに潜水艦を強化していくだろう。
セッションズ:フォーブス議員のいうように、巡洋艦の近代化とくにミサイル防衛能力は必須だ。トランプ候補が予算強制削減措置は国防総省では停止すべきと発言していることに注意喚起したい。世界が数年前よりずっと危険な場所になっていることを認めるべきだ。我が方も増強すべきだ。
トランプ候補はイラン、北朝鮮へのミサイル防衛措置の強化もはっきり主張している。また北朝鮮が核爆弾を有し、イランも短期間で核兵器開発する能力がある。両国はミサイル開発も進めている。米国のミサイル防衛の性能と有効性を向上していくべきだ。
Forbes
U.S. Rep. Randy Forbes, R-Va., speaks to a reporter after a news conference March 1, 2013 on Capitol Hill in Washington, DC.Photo Credit: Photo by Alex Wong/Getty Images
予算強制削減措置に触れているが、予算管理法と議会内の政治力学で連邦予算の支出規模が宣言されているはず。今後どうすべきと見ているのか。350隻、ミサイル防衛、海兵隊増員、戦闘機追加を言及している。すべて実現すれば相当の支出増になる。
セッションズ: 支出増の必要は疑う余地はない。予算に関連してきた当事者としては断腸の思いだが、予算強制削減の水準のままではいられないのだ。トランプ大統領はオバマ大統領やヒラリー・クリントンと違う選択をする。国防支出を増やしながら他の費目も同様に増額させるのは賢明な策ではない。
世界規模で危機状況にあるのだ。世界各地で自体は悪化している。だからこそ強くあるべきで支出を増やす必要がある。国家安全保障にそれほど関係しない費目に支出する必要はない。全費目を増額する必要もない。新大統領は現政権の政策方向とは全く違う立場を明確に示すだろう。
矛盾しないか。一方で強力な軍事力を主張し、他方で例えばロシアに強硬態度を取らないとし同盟各国への要求を増やすという。トランプ大統領は太平洋重視の姿勢を守らないのか。
セッションズ:ロシアとの関係は現政権下で著しく悪化したのであって、ヒラリー・クリントンが国務長官だった時点の話だ。逆転できるかわからない。努力はする。わが国の国益の観点で見る。米ロ両国は今より協調できるはずだ。中国は大幅に自己主張を強めている。日本は中国機の侵入に対応して航空機を発進させている。両大国がともに世界尾の大きな懸念材料になっている。
国防支出増はこれから出現する脅威に対応するもので、次から次に脅威が生まれているようにみえる。こちらが想定したとおりにはならない。また同盟各国も応分の負担増は必要だ。各国の支出内容を指示するのは容易ではないが、重要なことは確かだ。GDP比2%台の国防支出をしているNATO加盟国は五カ国にすぎない。これに対し米国は3.6%でもっと増えるかもしれないのだ。
各国に要望するのは当然だ。真剣な議論が必要となる。ドナルド・トランプはこのやり方を熟知している。しっかりと腰を下ろして要求する。これでわが国の予算以外でも必要な措置がとれる。
フォーブス: 二つの点で対立が生まれないようにする必要がある。一つはトランプ候補には自国の国防力は他国の意図の上に構築するべきものではないとわかっていることた。そんな意向など48時間もあればすぐ変わる。なんといっても軍の能力と装備の上に構築すべきものである。
このことを主張するのはトランプ候補だけではない。統合参謀本部議長があり、前の統合参謀本部議長や上下両院の軍事委員会の過去の委員長も同じ意見だ。米国がこれ以上の軍事力削減に進めば、ロシアや中国のような国が元気づくだけでこちらに追いつけると感じる。トランプ候補の政見は各国との協調を狙う。強い国防力と国防装備、能力の拡充は一層協調的な関係につながり競合勢力は国防体制の支出追加ができなくなる。
セッションズ: もう一つの争点は核兵器だ。あまりにも急激に削減すれば他国は米国と同等に競合できると過信しかねない。このことを心配している。世界は米国が二級軍事力になってほしいとは表いない。他国に先を越されては困る。核兵器で世界の平和を維持することに意味がある。
またこのこともお伝えしたい。ドナルド・トランプは戦争をしたいわけではない。戦争は悪、破壊、死、富の浪費だと見ている。シリアで何が起こったのか、リビアの国民の苦境もみている。エジプトはイスラム同胞団の被害からまだ回復していない。イラクはこれから復興という段階だ。ヒラリー・クリントンは軍の助言を無視して無理やり撤兵を押し通した。今やイラクでは自国領土の奪回に必死になっているがそもそも軍が撤退した後の2011年に平和の元で選出された政府が機能していたときの領土奪回だ。
太平洋重視政策への質問に答えていない。大西洋から太平洋への部隊移動の流れを止めるのか。
セッションズ:太平洋重視に向かうと思う、太平洋での立場を強化することは賛成だ。ランディはこの問題をもっと深く研究していると思うがどうか。
フォーブス:現政権が構造変化に手を付けたといっているが、全く新規の政策ではない。変化は前から始まっていた。世界の貿易量の三分の二が行き交う地域を単純に見ることはできない。世界の有力海軍国や陸軍部隊がこの地域に関心を払っている。
現政権が見過ごしていることがある。アジア太平洋にもう一度焦点を合わせれば良いと見ている。中東やその他地域には力を入れないとする。トランプ候補には米国はバスケットから卵一つだけを抜き取れないとわかっている。世界全体を防衛する能力と装備が必要だ。
アジア太平洋で大規模な軍事力が必要な点では変更ないが、世界の他の地域から能力装備を抜き取って来るのは認められない。その選択肢はだめだ。
一つの問題が核戦力の近代化改修だ。トランプ大統領が誕生すれば核の三本柱の再強化を提唱し、弾道ミサイル潜水艦、大陸間弾道弾、爆撃機の充実に動くのか。ロシアへの姿勢を強硬にする可能性はあるだろうか。核近代化の狙いの一つがロシアへの姿勢だ。2人はロシアとの関係改善を主張されているが。
セッションズ: ロシアは大規模市民防空演習を行い核攻撃での生き残りを訓練している。核兵器近代化で先に行っており、実際の攻撃計画も整備している。きわめて危険で面倒な関係にほかならない。相手側にはこちらが核兵器近代化を断固として進める姿勢を見せつける必要があろう。
オバマ政権はこの点を承知しているが、まだ完了していない。十分な予算をかき集めていない。核兵器の一部にはまだ真空管を使っているような状況だ。対応は必須だ。
トランプ候補は最新鋭ミサイル防衛が必要と訴える。これはどんな意味があるのか。どの装備を更改するのか。
セッションズ; まず弾道ミサイル防衛装備がある。すでに迎撃ミサイルの誘導装置で技術が確立されている。開発は今後も続けて既存のミサイルに取り付ける必要がある。
東海岸に防衛ラインが必要なのか決める必要がある。東海岸にレーダー基地は必要だろう。これは今後も続ける。技術を進歩させて敵より先に立っている必要がある。費用は膨大ではない。予算計上は今後も妥当規模を維持して新型装備の展開の勢いを維持すべきだ。
北朝鮮にどう対応するのか。同国は兵器開発を続け韓国、日本を攻撃する能力を整備中でゆくゆくは米国も標的に入れるだろう。韓国、日本にミサイル防衛装備をもっと設置するのか。
セッションズ: 太平洋の同盟各国と一緒に作業して米国が各国のパートナーであると理解させ、日本、韓国を覆うミサイル防衛の傘には両国の負担を求めるべきだろう。トランプ候補は中国は北朝鮮の危険な状態打開でもっと活躍すべきだと繰り返し主張している。
もう少し哲学的レベルで話をすれば、政治の話題になるのが事実であることは確かだ。韓国の状況はオバマ政権誕生時より悪化している。中国との関係はもっと悪くなった。ロシアはずば抜けて悪い。パキスタンも悪化、イランも悪化している。リピアも同様。リビア難民がヨーロッパを目指している。シリアも大規模な惨状だ。イラクは国土奪回に向かっている。エジプトでは軍が介入して国政選挙になったのは幸いとはいえ脆弱でやはり以前より悪化している。オバマ政権とヒラリー・クリントンは国務長官として状況の回復にほとんど寄与していない。ISISがのさばっている。ほぼ世界の各地で挑戦を受けている状況だ。
ドナルド・トランプがこの状況にどう対応するつもりなのかを紹介してしまったのは間違いだと思う。こぼれたミルクは相当の量でわが国の信用度を回復して安定した世界を取り戻す方法を見つけなくてはならない。
国防産業が考慮すべき点はなんだろうか。ドナルド・トランプは大企業は覚悟しておけと述べている。大企業の利益を減らして成果を実現しようとしているのか。
セッションズ:間違いない。米国政府は最低価格で調達して不良欠陥もないことを期待している。国防契約企業各社が納期どおりで予算通りに製造することを監視していく必要がある。
フォーブス: 覚えておいてもらいたいのは国防契約企業各社の予測可能性だ。戦略さえ与えれば守る様になる。予測可能性が生まれれば必要な事業を展開できるはずだ。
もうひとつ学んでいるのは相手は国家だけではないことだ。非国家勢力がどんな兵器を入手しているかが気になる。米国への脅威となるからだ。■