2020年6月15日月曜日

歴史に残らなかった機体17 ノースロップF-89は核武装の全天候迎撃機だった

Wikimedia Commons



天候双発機のノースロップF-89スコーピオンは航空防衛軍団専用に設計された初のジェット迎撃機だった。▶直線翼で複座の同機にはレーダー操作員がパイロットを誘導し、昼夜問わず敵機を捕捉撃破する構想だった。▶アリソンJ35エンジン(推力8千ポンド)にアフターバーナーを付けた。巡航速度は465mphでアフターバーナーを作動させ630mphを出し、航続距離は1千マイル、実用上昇限度は45千フィートだった。▶
F-89の初飛行は1948年8月で米空軍向け納入は1950年7月に始まった。▶合計1,050機が製造され、1960年代末まで現役だった。▶迎撃機としてソ連の核爆撃機が米国本土に侵入する前に撃墜する役目だった。
▶F-89には当時最先端の兵装が搭載され、はじめて機関銃を全廃した戦闘機となり、ヒューズ製ファルコン空対空誘導ミサイルを採用した。▶ミサイルは敵機にレーダー照準を合わせると自動発射する仕様だった。

F-89Jでさらに威力を高め空対空核兵器を初めて搭載した機体となった。▶これがジーニーロケットで、1957年7月にネヴァダ試験場上空で核弾頭付きジーニーを試射している。▶MB-1ジーニーはその後AIR-2Aに改称され、「ディンドン」の愛称がつき、全長3メートルの本体に1.5キロトンのW25を弾頭に付けた。▶ジーニーはその後、対地攻撃用通常兵器に改装された。▶ただし、改装作業が完了した時点でF-4ファントムはじめ新鋭機がF-89スコーピオンにかわり供用開始していた。▶それでも1960年代初頭にスコーピオンはジーニーとの組み合わせで供用中だった。

F-89Jは350機がそろい、航空防衛軍団で初の核装備迎撃機となった。▶1950年代末から州軍へ移譲が始まり、核兵器は撤去され、最後の機体の退役は1969年7月だった。■

この記事は以下を再構成したものです。


June 13, 2020  Topic: Security  Region: Americas  

2020年6月14日日曜日

地球温暖化でアラスカの地政学的意義に注目

ラスカがニュースに出る頻度が増えている。ほぼ毎日のように北米空域に向かうロシア爆撃機に米空軍戦闘機がスクランブル出撃している。太平洋地区で初のF-35共用打撃戦闘機飛行隊はアラスカのイールソン空軍基地で今春運用開始した。サウスダコタからB-1Bランサーがベーリング海ヘ飛びカムチャツカ半島をかすめる経路をとり、日本領空まで超長距離飛行した。その他事例もあり、実ににぎやかな状態だ。

空軍は一連の動きをペンタゴンの目指す「動的戦力展開」“dynamic force employment” モデルの一環とし、通常は本国近くにある部隊を予想を超えた頻度で遠隔地に派遣する構想で、米軍が大規模戦力を遠隔地点へ展開する能力を有するのを敵想定国に示す意味がある。平時の戦略競合は他のドメインでも展開している。情報、サイバー、経済の各分野だ。

戦略競合関係とは軍事力で相対的な強み弱みを会話するようなものだ。双方が戦略的に優位だと示し、有事には勝てないと他方に信じ込ませようとする。パンデミックが一段落し競合が復活する中、戦略競合は相手を動揺させる言葉の応酬に似ている。

アラスカは太平洋と北極海の交わる一等地であり、超大国間の言葉の応酬の舞台となっている。その手段が空軍力と海軍力である。そのためこの地区の重要性が増している。

地政学者ニコラス・スピクマンが指摘するのは地政学上の地域区分が地理上の区分けと異なることだ。地理はほぼ固定しているが地政学では時に応じ変化し、競合国の衰亡に左右される。北極海方面では物理面政治面で同時進行で変化している点で他と異なる。地球物理上で文字通り姿を変えつつある。米海軍の海洋学予測では温暖化で毎年数週間だけ新しい海上航路が生まれその後再び氷結すると見ていた。北方水路はロシア沿岸に2025年まで毎年6週間にわたり通航可能となるというのが海軍の予測だ。北西通路がカナダ北方からアラスカ沿岸に伸び、通行可能となるのは間欠的だ。驚くべき変化は年間二三週間だけだが北極点を通る北極横断通路があらわれることだ。

海上交通で新しい可能性が生まれると経済面軍事面で意味がある。気温上昇の経済効果はすぐ現れる。北極海を経由すれば東アジアと西欧で所要日数が4割短くなる。海上移動の費用が減ればサプライチェーン全体に朗報だ。ロシアにとってこの意味は大きい。北極を中心に部隊移動が容易になればたとえ年間数週間だけとはいえロシア海軍は歓迎するはずだ。大西洋、インド洋、太平洋を経由する長期間の部隊移動が気候変動で不要となる。ロシアの視点では状況が有利になる。ニューノーマルの活用をロシアが急ぐのは無理もない。

温暖化はアラスカ周辺で地政学的変化を生んでいる。まず、アラスカはベーリング海峡をはさみシベリアに隣接し、太平洋と北極海が交差している。大西洋から東方へはアクセス地点が多数ある。ベーリング海峡は北極への西からのアクセスとして唯一の存在なので重要度が高い。また両大国がそれぞれの領土を防護しており、通航可能な海路は狭い。 

地政学ではアジアの「第一列島線」は日本北部から台湾を通り、フィリピン、インドネシアまでとしている。東アジアや東南アジア問題というと南に目が向きがちで、最北部は地政学で注目を浴びてこなかった。

アリューシャン列島はアラスカ州の一部で最北部の列島線を構成しており、北米本土とカムチャツカ半島を結ぶ位置にある。アリューシャン列島線は南からベーリング海峡をつなぎ、米軍は同地を通過する海上交通ににらみをきかすことができる。日本帝国海軍は第二次大戦中にアリューシャンの地政学的重要性に注目した。山本五十六海軍大将はアリューシャンを左側面と位置づけ、ミッドウェイを南方の戦場とした。側面防御のため山本はアッツ島、キスカ島の占領を命じた。

次に、シベリアと同様にアラスカからもベーリング海峡の通航が監視できる。NATOは北極海全体での動きに警戒を強めている。半ば閉鎖された海域で大国間の競合が生まれるのは異例だ。地中海で大国が覇権を争ってきた。ペロポネス戦争でアテネとスパルタがエーゲ海で、ポエニ戦争でローマとカルタゴが、16世紀にはオットマン帝国と西方各国が対抗した事実がある。地域勢力だった米国はカリブ海、メキシコ湾で隣国を圧倒した。中国は南シナ海で対立を深めている。北極海とアラスカの地政学を歴史や海洋地理に照らし合わせると次に発生する事態とその対処方法が見えてくる。

そうなると新しい世界が北方に生まれつつある事態にわが国指導層はアラスカとどんな準備をすべきか。戦略専門家の意見で2つの見方がある。まずアルフレッド・セイヤー・マハンは海上権力の構成要素を三点とした。各国を海に向かわせる原動力は交易だ。交易が生む富が海上交易路を守る海軍力の整備につながる。商船と軍艦がモノと兵力を各海域を移動させる。積み荷の荷降ろしや補給のため港湾施設が本国以外にも必要となる。海洋国家にはマハンが呼ぶ「海上権力の連鎖」が必要となり、つながりが強固なほどよい。政界、経済界の指導層はこの連鎖を強固に保つべきであり無視は許されない。
二番目にマハンの跡をついで海軍大学校で教鞭をとったJ.C.ワイリーだ。軍事戦略の究極目標を「武力を備えた人員を現場に配置しておくこと」とした。任意の地点で任意の対象を優秀な火力で制圧することを意味する。ヒトは陸上で生活するので戦争は陸上で雌雄を決する。海軍、空軍は地上部隊の勝利を支える存在だ。だが、ワイリーも海軍士官であり兵力を海上に移すことをよしとしていた。戦いの舞台となる海域や空域を制圧するため十分な規模の火力を投入し敵を圧倒する必要がある。火砲やミサイルを操作する水兵や搭乗員をワイリーの方程式に投入すると北極海戦略が見えてくる。防衛体制の強化が必須だ。

こうした高い知見からアラスカをめぐる方針決定で行動指針が見えてくる。まず海上輸送だ。米国には北極海での運用可能な船舶が必要だ。砕氷艦は北極海水路の利用可能性を広げる。米沿岸警備隊の砕氷艦は数隻のみだが寒冷地運用に長けている。同時に予算規模があまりにも低く懸念される。トランプ政権で砕氷艦の新規建造案があり、原子力推進となると思われるが、これは出発点にすぎない。もっと大きな点がある。現行の巡視艇でこれから出現する北方海域を監視するのではなく、議会・政権は沿岸警備隊の艦艇数を増やすことに尽力し、戦略的優先順位に予算を割り当てるべきだ。、目標は北氷洋でロシア、中国に対抗できる部隊の編成だ。

基地は別の話だ。ここ数年のロシアは北方沿岸沿いに施設構築を活発に行ない、艦船航空機による北極海監視体制を高めようとしている。マハン流の考え方が背景にある。民間と軍の艦船は修理補給のため北方に基地が必要だ。海軍沿岸警備隊ともに監視地点に無期限に艦船を貼り付けられず兵站補給地点が必要だ。重要海域を補給や装填のため離れれば勝利は収められない。そのため新規の港湾施設で支援する必要がある。

最後に同盟国だ。NATO戦略では欧州同盟各国はロシアを警戒し東方に目を向けている。北米では大西洋でヨーロッパからロシアに抜ける緊急事態へ注意を払っている。温暖化でNATOも垂直方向の戦略が必要となり、北極海に面する同盟各国は北方海域での国益防衛を迫られる。アラスカでいうと米国カナダの各レベル指導層と協力協調して海洋戦略の調整を図るべきだ。ワシントン、カリフォーニア、ヴァージニアからジュノーの指導層も地政学の現状で学ぶものは多い。州政府レベルにも海洋権力の影響が入ってくるのである。■

この記事は以下を再構成したものです。


June 13, 2020  
Topic: Security  

James Holmes is J. C. Wylie Chair of Maritime Strategy at the Naval War College and the author, most recently, of A Brief Guide to Maritime Strategy. The views voiced here are his alone.

2020年6月13日土曜日

NGADとデジタルセンチュリーシリーズ、画期的な機体開発を目指す米空軍の新しい動向


 

ボーイングが発表した空軍向け次世代戦闘機の構想図。 (Boeing)

空軍は次世代戦闘機開発事業の仕様を今夏に決定する。空軍調達トップが明らかにした。結果次第で事業の推進あるいは中止が決まる。
空軍は次世代戦闘機開発を大幅に方向転換する。次世代制空機(NGAD)と知られる同機は、空軍調達を統括するウィル・ローパーが「デジタルセンチュリーシリーズ」と呼んでいる。
昨年9月、ローパーは事業の最優先事項は調達戦略にあり、デジタルセンチュリーシリーズを技術的に実施可能なのかを実証することだとDefense Newsに対し説明。従来型開発手法より安価に実施できる構造の確保も必要と述べていた。
企画はほぼ完成したと、ローパーは今週火曜日にミッチェル航空宇宙研究所主催のイベントで述べた。
「NGADをデジタルセンチュリーシリーズに組み込んだ調達案が今夏に完成する。ここで大日程等は詳しく語れないが前例のない動きとなるのは確実だ」
デジタルセンチュリーシリーズは空軍が当初想定した第6世代戦闘機構想の侵攻制空機材(PCA)と大きく異なり、ネットワークでつないだ各種システムの一部として、無人機、センサー類、他機材を10年かけて試作化する構想だ。
デジタルセンチュリーシリーズの事業モデルでは新技術を応用した新型戦闘機を防衛産業複数社に数年で完成させる。空軍は契約企業を絞り込み、少数生産させ再び同じ工程を開始する。各社には新型機の設計製造の機会が常時保証される。全て実施しても5年とかからないとローパーは述べた。
昨年10月にはデイル・ホワイト大佐が高性能機材開発室長に任命され、NGADとあわせデジタルセンチュリーシリーズ調達構想を統括することんあった。同室は今年6月に戦闘機・高性能機材事業推進室に改組され、ホワイトは准将昇進が内定している。
空軍は2021年度予算に10億ドル要求し、NGAD事業を進める。前年の予算実績は9.05億ドルだった。だが、今後予算は増加の気配がある。
ローパーはデジタルセンチュリーシリーズで同機開発を進めた場合は既存手法より経費増を予想している。複数企業が同時並行で設計、試作機製作を短時間ですすめるためだ。ただし、機材の維持経費や回収経費は低く抑えられると見ている。.
調達効果が理論通りに実証されれば、議会も予算計上を認めるはずだ。
「機材の供用期間が重要な変数だ。何年だったらいいのか。数年ではないのは明らかだが30年でもいいのか。まずそこを検討している。同時に性能改修の規模も検討中だ。費用がどこまでかかるか、デジタル手法で簡素化できないか。その後、強力な戦闘機の年間経費を総合して算出し、デジタルセンチュリーシリーズが既存機種より経済的になるか見定める」
「そのとおりになら、大きな効果が出る。データを示し、『中国対抗機材』として単に優れているだけでなく、産業界の視点でも良い結果を出すからだ。従来型と同等あるいは安くなれば、同事業を強力に推進する」とローパーは述べた。■
この記事は以下を再構成したものです。

This summer could be a make or break moment for US Air Force’s next fighter program

By: Valerie Insinna   


2020年6月12日金曜日

次期空軍参謀総長ブラウン大将はどんな人物? インド太平洋の知見が豊かで対中国戦略に最適



Gen. Charles Brown

空軍参謀総長チャールズ・ブラウン大将は太平洋地区で経験を積んでおり、これが空軍のみならず国防長官周辺にも貴重な財産となるはずだ。国防総省は仮想敵国をこれまでのロシアから中国へ変更しているといわれる。


「中国が脅威だと改めて伝えている」と内部筋はブラウンが太平洋空軍司令だったことに触れている。上院はブラウン人事を98対0で承認した。▶「戦士であり指導者として深い知見をインド太平洋地区で有している。歴史上重要なこの時期に空軍参謀総長に就任したのは完璧な人事だ」とミッチェル研究所で空軍戦力の専門家であるマーク・ガンジンガーが評した。


ブラウンは空軍入隊は1984年で戦闘機パイロットとして受勲した。2018年にPACAFトップに就任したが当時から中国を「確実に増強している脅威」と評していた。▶共同作戦の意義を深く理解しており、空軍を共同運用に適応させてきたと別の評がある。▶「共同作戦の意義をどの司令官より深く理解していると思う。空軍組織内を変革し、効率と効果を重視した形で共同作戦に適合させていくだろう」と同上筋は評す。


初の黒人参謀総長を迎える空軍だが、ブラウン人事が上院で全会一致で承認されたことも強いメッセージを送ったと見ている。時あたかも人種間で騒擾状態が広がっている。今回の騒動は5月25日にジョージ・フロイドがミネアポリス警察の手で死亡したのがきっかけだ。▶興味を惹かれるのはブラウンの父はヴィエトナム戦に若輩士官として参戦しており、その時期にも社会は人種対立をめぐり不安定となっていた。▶ブラウンはツイッターに感動的な映像を掲載し、フロイドの死と自身の人種偏見について語っている。「人種問題を考えると自分自身の経験では単純に自由と平等を祝えない」という。▶米軍は全体としては全国平均より遥かに人種的に多様な構成になっている。国勢調査では人口の13%がアフリカ系国民だが、DoD統計の2018年版では現役隊員の17%が黒人である。ただし将校は9%に過ぎない。


複数筋からブラウンは多数が尊敬する人物との声がある。「本人に背景説明したことがある者...によれば好奇心豊かで知性的で質問を返してくるが威圧的な態度はない」▶「空軍、宇宙軍のみならず各軍の諸氏とともにブラウン大将、シャリーン夫人に祝辞を送りたい」と空軍長官バーバラ・バレットは声明文を発表。「ゴールドフェイン大将並びにドーン夫人が任期中の4年で示した輝かしい業績の伝統を守っていくブラウン大将の卓越した指導力、作戦経験、世界規模の知見は空軍の近代化とともに今後の国家安全保障上の課題に対応しわが国の防衛に不可欠だと自ら証明するだろう」


ブラウンは前任者と同様の最上位の優先事項に取り組むものと見られる。つまり全ドメイン指揮統制機能の開発で各センサーと各発射装置を各軍全体で接続し5つのドメイン全部でこれを実現することだ。陸、海、空、宇宙、サイバー空間だ。▶ゴールドフェインは全ドメイン指揮統制機能を強く主張し、高性能戦闘管理システムの開発を進めていた。
▶ただし、上院審問会に先立ち、ブラウン大将はこの問題をめぐり空軍の役割を検討する機能の立ち上げにゴールドフェインよりも前向きであると述べていた。ブラウンは宇宙軍創設に触れ、各軍で長距離打撃戦力や基地防衛能力の整備で重複があり、役割検討は有益だと述べた。
「ブラウン大将は画期的な指導力を発揮し今日複雑さを増している戦略環境を明確に理解できる人物だ」と宇宙作戦部長ジェイ・レイモンド大将Chief of Space Operations, Gen. Jay Raymondが空軍省で声明を発表した。「本人は各ドメインを通じた指導力の発揮の重要さをはっきりと理解しており、戦闘場面となる宇宙でとくにこの意義は大きい。ブラウン大将の任命承認にわくわくしている。これ以上のチームメイトはいない」


ブラウンは8月6日式典で正式にゴールドフェインの後任として就任する。▶「ブラウン大将は真っ正直な人物....経験、能力、熱情があり、偉大な空軍参謀総長になれる。正しい時期に正しい人事となった」とミッチェル研究所長デイヴィッド・デプチュラも感想を述べている。■


この記事は以下を再構成したものです。

CQ Brown Brings Pacific Focus; Keen Interest In Joint Ops

Gen. Brown co-wrote an article in Air and Space Power Journal pressing for better integration of Air Components into Combatant Command operations.


on June 10, 2020 at 4:01 AM

2020年6月11日木曜日

台湾海峡上空で、台湾機がPRC機を追い払う。その前に米海軍機が台湾島を南北縦断飛行していた

USN

湾空軍戦闘機が中国のSu-30フランカー編隊を「追い払った」。中国機が短時間ながら台湾の防空識別圏に入ったためだ。この事件は米海軍のC-40クリッパー人員輸送機が台湾西海岸上空という異例の航路を飛行した後に発生している。台湾を中国の主権が及ぶ領土とみなす北京政府から見れば反発を呼ぶのは必至のフライトだ。

台湾国防部の発表では事件は2020年6月9日に台湾党南西部で発生した。台湾の声明文では機種不明の台湾空軍戦闘機部隊が中国のフランカー編隊を迎撃し、強制排除する前に空域を去るよう警告したとある。

中国軍用機が台湾島周辺を飛行する事例がここ数年増える傾向にあるが、台湾の蔡英文総統は台湾機は中国軍用機が台湾海峡の「中間線」を超え進入した場合は「強制排除」を辞さないと発言していた。中間線が事実上の台湾とPRCの境界線となっており、後者は台湾を不可分の領土の一部とみなしている。

ROCAF
台湾空軍のF-16A/B戦闘機。台湾国防部は6月9日発生した中国のSu-30迎撃に投入された機種を明示していない。


人民解放軍は台湾南東部から先の南シナ海で新鋭空母山東も動員し大規模演習を展開しており、台湾へ無言の圧力をかけていると見る専門家も多い。北京政府からは台湾が正式に独立をめざせば、軍事力行使も辞さないとの発言が繰り返し出ている。PLA最大の陸上軍事演習地ズリヘに台湾総統府の正確な模型があり、台湾外交部など実寸大の建物も再現されている。

北京と台北の言葉の応酬は蔡総統再選で熱くなっていたが、二期目の任期開始でまた加熱してきた。蔡総統は政治面で大陸から一層距離を取ると公言。国民の支持を頼りに同総統は米トランプ政権と強い関係を維持している。前例のない規模の武器購入が成立しており、F-16C/Dのブロック70機材は一例だ。北京から見ればこれは「レッドライン」を超えることになる。

米国はPRCを中国で唯一の合法政権と認めているが、台湾との関係維持を権利として主張し、最終的解決までの間は台湾防衛を助けるとしている。そのため中台間で緊張が高まると米軍は航行の自由パトロール(FONOP)を強化し、台湾海峡を艦船、航空機に通過させ、米国の台湾支援を誇示している。

C-40Aフライトが台湾とPRCの戦闘機部隊の緊張を生み出した格好だが、クリッパーは台湾領空を通過しており、米軍機の常として危険は冒していない。

USN

これと同じ米海軍C-40Aが台湾上空を6月9日に通過飛行した。機体マニアはオンラインフライト追跡ソフトでC-40Aが嘉手納航空基地から台湾へ向かい、その後南東部へ移動したことを気づいた。機体は海軍機体番号169036で海軍予備隊補給支援飛行隊61(VR-61)の所属でワシントン州ウィドベイアイランド海軍航空基地に配属されており、台湾島の北部から台北近くを飛行し、海岸線沿いに南方へ移動した。

CNV7642(C-40A 169036) is flying over West coast line of Taiwan.
It's a rare flight course...🤔
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フライト追跡データを見ると、機体はさらに南方へ移動し、タイのウタパオ空港に着陸している。その後、同空港からグアムに移動したようだ。
It seems they flew a little inland from the coastline of Taiwan.🤔
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CNV7642(C-40A 169036) is approaching to U-Tapao AB Thailand.
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ADS-B EXCHANGE
A full look at the recorded flight tracking data regarding the Navy C-40A's flight on June 9.

台湾島上空を飛行し台湾の事実上の独立を示す効果とともに、台湾が自国空域を実行支配していることを改めて示し、FONOPSの一部にもなった。現地紙 Taiwan Times は台湾国防部報道官Shih Shun Wenの発言として「わが軍が台湾空域を完全に統制しており、現状は通常の状態であると言える」を伝えている。ただし、報道官はC-40Aが台湾西海岸上空を飛行したことでは確認を避けた。台湾の China Times はクリッパーがChing Chuan Kang 航空基地(台中市)に緊急着陸したと伝えたが、裏付けとなる証拠はない。

今回のC-40Aフライトに先立ち、太平洋で前例のない航空活動が展開されていることに注目すべきだ。一つには米空軍B-1B爆撃機編隊が長距離展開したが、中国へのメッセージであることはあきらかだ。

近い将来に台北と北京の緊張が消える兆候はない。両国関係は今年になりCOVID-19大流行でとげとげしさをましており、PRCは台湾当局による国際的舞台での活動を阻止し、香港では数ヶ月に渡り住民の反対運動が続いている。蔡英文政権は香港住民を支援する方策を模索するとし、北京政府が香港で国家治安法を施行するのに対抗している。

台湾海峡を挟む両当事者に米国が加わり、近い将来に空の上で予想外の対峙やFONOPSがいっそう激しくなりそうだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

Taiwanese Fighters Drive Off Chinese Jets After Navy Transport Plane Flies Over The Island

The unusual flight certainly caught the attention of Beijing, which appears to be more focused on Taiwan's independence than ever before.




2020年6月10日水曜日

FB-22が実現していればこんな機体になっていた.....



F-22ラプターは世界最高性能のステルス戦闘機だ。米空軍での供用は15年前から始まったが、生産機数は190機に満たず、冷戦終結後の予算削減の犠牲になった。だが生産規模は当初はもっと多くする想定で、ロッキード・マーティンは派生機種として爆撃機型を設計し、FB-22の名称がついたが、結局実現しなかった。

開発費用、生産費用を低く抑えようと同社はF-22の原設計や部品を可能な限り流用しようとした。胴体部はやや延長され、コパイロット兼航法士の席を確保したが、外観上で違いを見つけるのは難しかった。▶一つ変更されたのが主翼だった。主翼面積は大幅に拡張され、デルタ翼形状になったことで長距離飛行性能を実現した。いわゆるウェットウィングで燃料を内部搭載できた。航続距離はF-22の三倍超の3千キロとなった。それでもB-2の11千キロより相当短い。

FB-22もステルス機であり、F-22の水準を上回ったはずだ。特筆すべき技術開発はF-22で兵装を機体、主翼の下に装着しながらステルス性を維持する点だ。▶ステルス機のF-22やF-35は兵装を機内搭載するのが常だ。そのための機内兵装庫に搭載し、機体のレーダー探知を避ける。だがFB-22では兵装を収めたステルスポッドを主翼下に搭載しステルス度の劣化を防ぐ設計だった。

機内兵装庫は大型化され、FB-22はF-22の4倍もの兵装を搭載できた。250ポンド小直径爆弾なら35発でF-22は8発だ。最大5千ポンドまでと大重量の武装も運用でき、各種ミッションに投入されただろう。▶実現していてもFB-22の作戦行動半径は通常の爆撃機より短いままだったはずだ。▶開発は2006年に正式に打ち切られた。F-22爆撃機型構想はここに終わりを告げた。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 9, 2020  Topic: History  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: FB-22F-22StealthStealth BomberU.S. Air ForceMilitaryDefense

Meet the FB-22 Stealth Bomber that Never Was

You’ve heard of the F-22 Raptor—but what about the bomber that Lockheed designed using the same airframe?