2020年6月21日日曜日

イージス・アショア事業で日米の認識の差が深刻な問題に発展しないか心配です

米ミサイル防衛庁(MDA)、日本の防衛省(MoD)、米海軍が見守る中、
USSジョン・ボール・ジョーンズ(DDG-53)がハワイ西の沖合でスタンダード
ミサイル-3(SM-3)ブロックIIAの初発射に成功した。2月3日 MDA photo.

国軍部はスタンダードミサイル3ブロックIIA弾道ミサイル迎撃手段の開発は完了し、生産に移る状態と認識している。共同開発国の日本が陸上配備弾道ミサイル防衛施設で方向転換しても影響は出ないという。


日本はイージス・アショアBMD施設2箇所を設置する計画だった。今週に入り日本政府はSM-3ブロックIIAのロケットブースターが陸上に安全に落下し一般市民に損害を与えないと確信できないため計画を再考すると発表。


共同通信は「防衛省はロケットブースターは演習場付近に落下すると2018年8月から説明しており、付近住民の生命に危害がないとしてきた。だが米国との協議から近隣自治体の安全は保証できず、ソフトウェア改良のみでは技術課題が解決できないとの結論に至った」と伝えた。


USNI Newsはロケットブースター問題はSM-3ブロックIIA限定ではなく、イージス・アショアで運用する装備で共通の問題と認識している。


ミサイル防衛庁長官ジョン・ヒル海軍中将のSM-3ブロックIIAへの自信は十分だ。


「日本政府が問題提起したが、当方は日本と密接に連絡しながら懸念内容の解決に努力する」とイージス・アショアに言及した。


「SM-3共同開発とは別問題だ。有償海外援助の別問題だ。開発は完了している。SM-3ブロックIIAは生産段階に移る。あくまでも別問題だ。イージス・アショアで威力が強化される。日本側と協力の上、事業再開に向かいたい」


二箇所新設の計画が頓挫したことから地域大でBMD体制へ影響が出るかを問われ、ヒル長官は「日本政府に別の選択肢も近く生まれると見ている。また、くりかえすが、一時停止であり、一部に懸念もあるが日本と協力しつつ実現をめざす。米国防衛の観点では....日本が建設すればわが国が利用し、建設しないならわが国として別の選択肢をさがすだけだ」


ただし長官はイージス・アショアの決定は日本政府のものとしてこれ以上の質問に対応しなかった。


イージス・アショアで最初に完工したルーマニアではSM-3ブロックIBミサイルを供用中だ。ポーランド施設は新型IIAを使う。スタンダードミサイルのメーカー、レイセオンは以下説明している。


「ブロックIIAはヨーロッパ向けミサイル防衛装備の中心である。ポーランドに展開し欧州向け段階別適応型アプローチ事業のフェイズ3が完成する」「日本との協力では、レイセオン・ミサイル&ディフェンスが次世代のSM-3ブロックIIA迎撃弾を開発中である。同型は特徴が2つある。ロケットモーターが大型化し、弾道ミサイルの脅威から広範囲を守り、大型弾頭にも対応できる。迎撃ミサイルの運動性弾頭は大型化され、探査・識別・捕捉・追尾の各機能が充実し、今後登場する高性能脅威にも対応する」■



この記事は以下を再構成したものです。

MDA Director Says SM-3 Block IIA Ready for Production, Unrelated to Japan's Decision to Back Out of Aegis Ashore



June 19, 2020 12:24 PM • Updated: June 19, 2020 6:25 PM


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June 15, 2020
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日本のイージス・アショア導入は中止になったわけではない

本がイージス・アショア導入の2番目の予定地でも作業を止めたことで米国がめざす太平洋ミサイル防衛ネットワークの構築が打撃を受ける。
6月15日に河野太郎防衛相が突如発表し、発射後のロケット筐体を近隣住宅地に落下させない方策を米政府・ロッキード・マーティン双方が提示できなかったためと説明。▶イージス・アショアは秋田県、山口県の各陸上自衛隊基地に設置の予定だった。▶「費用と日程を考慮の上、イージス・アショア導入を停止した」と河野防衛相は述べたが日本は2年前に導入決定していた。「当面はイージス艦で対応する」
事業規模21億ドルの同装備導入は今回の発表前からもたつきを示しており、秋田では現地の反対の声を受けて導入は白紙に戻すと日本政府は述べ、2025年の同時稼働開始は危うくなっていた。▶今回、二番目の設置場所でも作業が止まり、事業再開となっても目標達成は不可能だ。
ロッキード・マーティン広報は「当社は米ミサイル防衛庁(MDA)、日本防衛省と緊密に動き、イージス・アショア装備の実現を予定通り予算内で目指す。日本政府の懸念を解消したい」と声明を発表した。▶日本政府は今後も続け候補地を模索する。条件のひとつが人口密度が低い地点をみつけることだが、評価作業がいつ完了するか不明だ。
問題が浮上したのはSM-3ブロックIIAミサイルのソフトウェア改良が不十分と判明したためだ。▶構想ではブースター分離方法を変え破片等が住宅地に落下させないはずだった。▶SM-3ブロックIIAは日米共同開発事業で河野防衛相は日本は10億ドル近くを開発に支出ずみとも発言した。▶両国は同ミサイルの試験で協力しており、日本には2021年にイージス駆逐艦8隻体制を求め、うち4隻にSM-3ブロックIIA運用能力を付与する。
「日本の想定脅威が米国政府の考えとずれている証拠だ」と新アメリカ安全保障センターのアナリスト、エリック・ソーヤーズが述べた。▶「戦略面で見れば海上自衛隊の中心任務はミサイル防衛となる。数に限りがあるイージス艦を待機させ本土防空任務に投入するのでは得策と言えない。日本に最善の策は固定陸上ミサイル防衛基地の活用であり、艦船は別任務にあてることだ」(ソーヤーズ)
今回の日本政府の決定はイージス・アショアの世界展開を後退させる別の要素になった▶MDAはポーランドで建設中のイージス・アショアで工程の遅れを認め、完工時期を2年遅らせる。▶このため2021年に追加費用96百万ドルが発生する。ポーランドでの遅れによりイランの中距離弾道ミサイルの追尾迎撃を目指すヨーロッパの対応能力に影響が生まれ、ルーマニア国内の別の基地と合わせ多重的防護措置の実現も遅れる。▶これに対しMDA広報官マーク・ライトは米陸軍工兵隊とMDAがポーランドで努力中で「運用能力の開始」は2022年より先送りしないと述べたが、詳細には触れていない。■
この記事は以下を再構成したものです。

on June 15, 2020 at 1:31 PM

2020年6月20日土曜日

F-22対イラン空軍F-14の交戦が実現すればこうなる

ランへの全面作戦が現実になれば、イラン空軍の撃滅が必要となる。イラン空軍は米国製機材を供用中で、なかでもグラマンF-14トムキャットが老兵ながら健在だ。帝政イラン空軍が同型機を1979年のイラン革命前に80機調達し、79機が納入された。イランはヒューズ(現レイセオン)AIM-54Aフィーニックス長距離準アクティブ/アクティブレーダー誘導空対空ミサイル714発を入手した。同ミサイルの射程は100カイリ程度だ。

F-14Aは1960年代末の開発時に米国戦闘機で最高性能とうたわれていた。米海軍での供用は1974年からでAWG-9長距離パルスドップラーレーダーを搭載し115カイリ以内の探知能力があり、米製レーダーで初のスキャンモード追尾が可能となり、複数標的の撃破能力が実現した。6機に同時対処できた。理論上はトムキャットで艦隊防空能力が実現したが、実際は海軍の広報資料どおりではなかった。

イランはトムキャットに新型エイビオニクスと新型兵装を導入し性能向上させたが、飛行可能なのは20機程度だろう。イランにはMiG-29が20機あるが、トムキャットは最高性能の機体のままだ。開戦となれば、イラン防空の第一線はF-14が担うはずだ。

ステルス性能を有するロッキード・マーティンF-22Aラプター制空戦闘機が米攻撃部隊の先陣を飛ぶのは確実だろう。旧式F-14に対し、ラプターは技術面で優れ、最高水準のセンサー能力を有する。

F-22はステルスと長時間超音速飛行性能の上に統合エイビオニクスと高機動性も加わる。搭載するノースロップ・グラマンAN/APG-77 (V)1アクティブ電子スキャンアレイレーダーとALR-94パッシブ電子支援装備によりF-14を先に探知でき、トムキャットにはF-22が付近にいることに気づかない。

ラプターがF-14を先に探知し交戦許可が下りていればレイセオンAIM-120D AMRRAMミサイル(射程96カイリといわれる)を発射するだろう。その時点でF-22はマッハ1.5超、高度50千フィートを飛行している。F-14編隊は攻撃を受けたと分かる前に空から一掃される。

AMRAAMを打ち尽くすとラプター編隊は視界内交戦に移り、ステルス性能を活用し1000フィートまで探知されず接近し、レイセオンAIM-9Xサイドワインダーまたは20mmヴァルカン砲でF-14を撃破する。レッドフラッグやノーザンエッジ演習でのF-22は機関砲の有効射程まで気づかれずに接近しており、ステルス性能を発揮している

だが、尋常ではない状況でF-14とのドッグファイトに巻き込まれるF-22が出る。その場合、米パイロットがよほどの悪運に見舞われたり、誤った選択をしないかぎり、ラプターはトムキャットを楽々駆逐するはずだ。ラプターには高機動性を活かした旋回性能があり、毎秒30度を維持できるといわれる。ラプターの推力には余裕があり、AIM-9Xミサイルを高機動操縦中に発射すれば事態はF-22に一方的に有利となる。生まれたばかりのアザラシを撲殺するようなものだ。

もちろん以上はイラン指導部が米国との対決という愚かな選択に進んだ場合の想定に過ぎない。イランが米国と開戦すれば、非対称戦術を取るはずで、空中戦は避けるのが賢明だろう。■

この記事は以下を再構成したものです。
June 19, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: F-22F-14MilitaryTechnologyTrump

2020年6月18日木曜日

米海軍向け金造製品のデータねつ造が発覚。日立建機の米子会社が関与!

米メーカーで試験結果をねつ造し、潜水艦向け鉄鋼製品が品質の要求水準以下だった結果を隠そうとした事件が発生。その会社は日立グループの米子会社!


司法省(DoJ)の発表によると、米企業ブラッケンBradken Inc. (日立建機の米子会社)が10.9百万ドルの支払いに応じ、同社が基準未満の鉄鋼部品を製造販売したとの訴えに対応するという。同社製品は米海軍の潜水艦に使われている。

不正とされる内容には200回を超える製造回数分の鉄鋼製品が関係し、エレクトリックボートカンパニーおよびニューポート・ニューズ造船所に供給されており、潜水艦向け鋳造品で相当の比率におよぶという。

潜水艦の艦名は言及されていないが両社がヴァージニア級、コロンビア級の各艦をが建造しているのは事実だ。また今回の発覚で米潜水艦の建造日程に遅れが発生するかは不明だ。

ブラッケン(本社カンザスシティ)は海軍向け高張力鋼のトップメーカーで、基準以下の製品を潜水艦向けに納入していた。同社に長く勤務する社員が実験データをねつ造した。素材は同社の鋳造所(ワシントン州タコマ)で製造され、潜水艦船体用の鋼鉄鋳造を行っていた。海軍は鉄鋼製品に一定の強度および靭性を要求し、一定の条件で破断がないよう求めている。

DoJによる公訴資料によれば、同社のタコマ鋳造所は30年の長きに渡り、試験不合格かつ海軍基準に満たない鋳造製品を作り続け、冶金部長エレイン・トーマスがテスト結果をねつ造し基準不合格の事実を隠していた。トーマスのねつ造は製造200回分をこえ、海軍向けに製造したブラッケンの鋳造品で相当の比率に及ぶという。

ブラッケン経営陣はねつ造の事実を2017年に知ったとされるが、検察側は同社は社内調査結果を海軍に伝えた際に人的エラーによる誤差と伝え、ねつ造に言及しなかった。このため海軍で問題の全体像把握が遅れ、基準以下の製品が潜水艦に使用されたリスクの軽減策の検討も遅れたという。

DoJと和解できたことでブラッケンも申立を認めることにした。

「ブラッケンは海軍の潜水艦乗員のみならず潜水艦運用を危険にさらした」とブライアン・モラン検事は主張。「同社経営陣はデータねつ造を見つけたが、海軍に正しく伝えず、ねつ造の事実も伝えなかった」

「政府向け事業社でねつ造などあってはならないことで、ましてや事実が判明したなら政府にすべて明かすべきである。海軍は潜水艦の安全運用をめざし各種手段をとっている。そうした対策で調達費用や保守管理費が高くなる。社内手続きを改善し、同業他社にねつ造を見抜けなかった社内制度の不足点をもれなく伝えることで同社とは和解できた。こうした対策で軍の調達制度が向上すると期待したい」

トーマスは米国政府への詐欺罪で訴追された。同人は試験部門で40年にわたり勤務しており、冶金分野では全国的な有名人物で2014年には鉄鋼製造学会から表彰され、世界クラスの専門家で内容が高度な原子力推進用の鋳造技術開発での功績を認めた。

当局による尋問で本人はテスト資料の差し替えは認めたもののねつ造は意図的ではなかったと述べている。その後、テスト不合格になった鋳造製品は出荷していないとも述べた。トーマスはタコマの連邦裁判所での初審に2020年6月30日出廷する。

和解により立検手続きを遅らせる一方でブラッケンは社内品質管理手順を総点検しテスト業務の統括ポストを設ける。さらにどこが間違っていたかを詳細にまとめた報告を業界に公表し、政府向け事業者各社への教育効果を狙う。

「社内統制が不適切のため問題を早期発見できなかったのは遺憾だが、問題の社員が独自に行なったことだ」とブラッケンは今週月曜日に発表。またDoJと和解できたことにも満足しているという。

ブラッケンが今回の同意を守れば、政府は3年経過後に訴追を見送る。■

この記事は以下を再構成したものです。

June 17, 2020  Topic: Security  Region: Americas  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsSubmarinesNavy
The Department of Justice alleges that the director of metallurgy falsified test results to hide the fact that the steel had failed quality tests. 
Peter Suciu is a Michigan-based writer who has contributed to more than four dozen magazines, newspapers and websites. He is the author of several books on military headgear including A Gallery of Military Headdress, which is available on Amazon.com. 

2020年6月17日水曜日

北朝鮮のケソン連絡事務所爆破は自暴自棄な心理の反映に過ぎない



朝鮮が6月16日に南北連絡事務所を爆破し、ソウルと連絡を断つ姿勢を強烈に示した。南朝鮮国防相は北が南に軍事行動を実施しても、配下の軍部隊は「強力な対応」の準備が整っていると強調。ただし北による今回の行動は侵攻を狙ったものではなく、自らが感じている恐怖と弱点を顕にした格好だ。

米政府は北の教条的態度に直接反応し「軍事オプション」を口にすべきではない。なんといってもこちら側陣営の通常兵力、核兵力は圧倒的に強力であり、北への抑止力になっている。

6月に入り、北朝鮮は挑発的な脅かしを繰り返している。南朝鮮との連絡を断絶したのは最新の動きだ。理由は明白だ。制裁が北朝鮮に苦痛を与えており、経済面で救援策を必死に求めている。南朝鮮の文在寅大統領は米韓両国の軍事力が圧倒的に強力で抑止力となり北による侵攻を食い止めていることがよくわかっている。

北のほうこそこの事実を承知しているはずで、金正恩は米韓同盟を相手に開戦するリスクを絶対に負いたくないはずだ。自身の生命があやうくなるためだ。といってワシントンの専門家は北朝鮮に関し警句の声をあげるのをやめるわけにいかない。北を警戒するのが米国の通常の態度だ。

2004年7月の上院公聴会でジェイムズ・ケリー東アジア太平洋問題担当国務次官補はこう発言していた。クリントン政権での「合意された枠組み」合意は北朝鮮の核兵器開発開始を止められなかった。ブッシュ政権で目標は検証可能かつ不可逆的な北朝鮮核開発の停止以外になかった。

ブッシュの政策は失敗に終わった。わずか二年後に北朝鮮が初の核兵器実験を行ったためだ。2016年9月には第5回目の核実験実施に踏み切り、「米国は北朝鮮を核兵器保有国家として絶対に認めない」とオバマ政権が出した声明文でも平壌を止めることができず、そのわずか一年後に第六回目で最大規模の実験が実施された。

トランプ大統領は2017年に初の国連演説でクリントン、ブッシュ、オバマの歴代大統領と同様の圧力を北朝鮮にかけ「非核化が唯一受け入れられる将来の姿」と述べるとともに、「必要に迫られたら」「北朝鮮を完全に破壊する」とした。その警告から3年が経つが、ワシントンは同じ目標を追い求めている。北朝鮮の完全非核化だ。

トランプは金正恩との首脳会談2回と非武装地帯でのミニサミット会談をこなしたものの、米北朝鮮関係に改善の兆しは生まれなかった。理由はブッシュ、オバマの前政権と同じくトランプも北朝鮮の完全な非核化を第一に求めているためだ。

したがって米国のもっと大きな目的は現実に目を向け、今も将来も不必要な開戦を避けることだ。北朝鮮に対する通常・核兵力の優位性を維持することでこれが可能となり、文大統領と密接に調整しつつ緊張緩和を図ることだ。

平和とともに北朝鮮との関係を正常化するため、さらに南北朝鮮の経済関係を強化することで開戦リスクが着実に減る。結果として朝鮮半島で非核化の実現が目標であることに変わりないが、実現はさらに先となる覚悟が必要だ。

「予防的戦争」というひどい道を選択すればすべて無駄になる。今ある通常兵力・核兵力をあてにすれば、たとえ長時間かかっても平和が実現できるはずである。■


この記事は以下を再構成したものです。


June 16, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaSouth KoreaKaesongMilitaryTechnology


Daniel L. Davis is a Senior Fellow for Defense Priorities and a former Lt. Col. in the U.S. Army who retired in 2015 after 21 years, including four combat deployments. Follow him @DanielLDavis1.

重武装機構想を巡り意見がまとまらない米空軍




palletized munitions exiting aircraft今年1月にユタ試験場でMC-130JからのCleaver弾薬投下実験は成功した。Credit: U.S. Air Force



空軍の短期優先事項として「重武装機」が急浮上しているが、機材選定で結論がまとまらず、このままだと指揮命令系統やノースロップ・グラマンB-21事業にも影響が出てくる恐れがある。

  • 空軍研究本部が新型Cleaver弾薬の実証実験に成功
  • 「重武装機」試作作業の予算を検討中

ロッキードC-130、ボーイングC-17の母機から新型長距離弾を発射する案を空軍戦闘統合能力実現事業 (AFWIC) 室が短期解決策として提示している。

一方、空軍グローバル打撃軍団 (AFGSC)はミッションに最適化させた新型機の開発を主張している。

空軍協会のシンクタンク、ミッチェル研究所はともに支持しない。このたびAviation Weekは公表前の同研究所による資料を入手した。次期航空宇宙コンセプト性能評価部長のマーク・ガンジンガー退役大佐が編纂し、費用対効果が一番高いのはB-21の調達増と主張している。

B-21の最低100機調達では長距離打撃手段が不足するとの見解で関係部署すべてが一致している。B-21はノースロップB-2(20機)とロックウェルB-1B(62機)と交代し、ボーイングB-52(75機)と併用する。

「爆撃機部隊の規模をどこまで拡大しても、統合軍が必要する規模に達しないことはわかっている」とクリントン・ハイノート少将(AFWIC
副司令)は述べている。

空軍最新の爆撃機必要機数は最低220機の推定とAFGSC司令官ティモシー・レイ大将は4月に報道陣に語っていた。

ミッチェル研究所による分析では空軍の爆撃機数はB-2とB-1B退役に伴い、2032年に120機程度まで縮小となる。

元爆撃機パイロットのガンジンガーはB-21の発注規模は2040年までに120機と予測。75機のB-52とあわせても空軍が求める最小規模に30機不足する。この差を埋める策として現行輸送機に長距離弾を搭載する、新型機を開発する、あるいはB-21を追加発注するの各案があり、意見がまとまらないまま内部議論が続いている。

根底に費用対効果と能力のふたつがある。ステルス爆撃機のB-21Aは重武装機より高価格だが、敵目標に接近できるので攻撃には安価な無動力兵器が使える。反面、B-21Aは開発初期段階にあり、ノースロップがまとまった機数の納入に10年以上かかる恐れもある。

重武装機構想は1970年代以降、各種が検討されてきた。ジミー・カーター政権時代にロックウェルB-1Aが候補となり、国防総省は巡航ミサイル母機としてボーイング747改装案を検討した。

同構想が30年後に再浮上した。2006年に議会予算局がボーイングC-17に超音速巡航ミサイルを搭載する案を検討したが、敵地侵攻が可能な爆撃機より低効果の上、C-17の追加発注で35億ドルが必要とわかった。

その四年後にB-21Aの要求水準が定まると、空軍はRand社に研究委託し、侵攻型爆撃機と重武装機構想の費用比較を行った。侵攻型爆撃機導入のほうが重武装機へ予算投入するより安上がりになるという結論だった。

空軍がノースロップにB-21Aの開発契約を交付したのは2015年10月だったが、議論は未決着だ。ウィル・ローパーは国防長官付き戦略戦力開発室長として2016年2月に重武装機構想を発表し、ロッキードC-130に似た機体がパレットに載せた弾薬を展開する様子を示していた。

翌年ローパーは調達・技術・兵站担当の空軍次官補に就任し、重武装機構想は空軍研究本部(AFRL)に渡された。1月に、AFRLはパレット化した弾薬の投下試験をMC-130Jで初めて実施した。拡大距離貨物投下消耗扱い空中装備Cargo Launch Expendable Air Vehicles with Extended Range (Cleaver)としてパレット6枚に異なる弾薬を乗せた。その後のテストでC-17からの投下が試された。

MC-130J air-drop test2006年のテストでC-17から重量50千ポンドのロケットを投下する能力が実証された。このロケットは極超音速滑空体の空中発射に使われる。Credit: Steve Zapka/U.S. Air Force

Cleaverテストの結果からAFRLはC-130、C-17ともに投入可能と結論づけ、C-17でロケット空中発射も実証した。2006年にC-17から極超音速加速滑空体用のミサイルも空中投下した。同機はミサイル防衛庁でも中距離弾道ミサイル想定の標的投下に使われ、ミサイル迎撃テストで役目を果たした。

AFWICはC-130やC-17へ長距離兵器を搭載するのが望ましいとしており、その理由に攻撃性能を飛躍的に伸ばせるからとする。
「性能がすべてであり、長距離攻撃能力に実効性を持たせるよう配慮が必要だ。輸送機の活用で攻撃力の強化が実現できると確信している」(ハイノート)

この考え方に全員が賛同しているわけではない。レイ大将は爆撃機部隊総司令官としてC-17を攻撃用それとも輸送用に選択する場面を司令官に与えたくないと報道陣に述べた。

「輸送機をここで使えば輸送任務と競合になる。重武装機は完全新設計で経済合理性をもたせ開発して爆撃機不足を解消する方がよい」(レイ)

ハイノート、レイの両名で既存機、新型機で意見が割れるが、ステルス性能がない機材は不適だと主張する向きもある。

長距離ミサイル導入を進めるよりB-21なら標的に接近でき、短距離射程で直接攻撃手段を使える。その場合の攻撃弾には推進用の燃料も機構も不要なので小型化できる。

「サイズが重要だ。出撃規模が縮小しており運べる兵器の数も減っている」とガンジンガーはミッチェル研究所報告書で指摘。

ガンジンガーは重武装機で搭載する長距離弾と爆撃機で運用するより安価かつ精密誘導可能な爆弾の比較もしている。中国やロシアと開戦となれば標的リストは長大となる。

「一発百万ドル超の長距離スタンドオフミサイルを何万発も発射する負担に耐えきれない」とガンジンガーは報告書で指摘している。■

この記事は以下を再構成したものです。


Steve Trimble June 02, 2020

2020年6月16日火曜日

F/A-18スーパーホーネットの新型ブロックIIIが初飛行

Boeing
ーイングはF/A-18スーパーホーネットの新型ブロックIIIの初飛行を実施した。


ボーイングはYoutubueの自社チャンネルに映像を公開し、複座のF/A-18F (F287)の初飛行を示した。

飛行テスト用二機が米海軍に近日中に引き渡される。パイロットがブロックIIIに習熟したあとで空母運用テストがはじまる。実戦用機材は2021年から引き渡し開始となる。

ブロックIIIの初飛行と入れ違いにF/A-18E/FブロックII仕様の最終引き渡しが4月にあった。

ブロックIIIの改良点に機体構造、センサー能力向上、データスループットの拡張、新型赤外線探索追跡センサー、一体型燃料タンクがあり、後者は飛行距離を拡大するがF287機体には未装着だ。

2019年3月にボーイングはブロックIII仕様のスーパーホーネット78機の製造契約を40億ドルで交付された。作業は米海軍のブロックII機材をブロックIIIに改装するもので、耐用期間を6千時間から1万時間に延長する。作業は三年で完了する。

オーストラリアでもスーパーホーネットブロックII24機が供用中だが、ブロックIII性能改修は未決だ。

ボーイングはクウェイト向けスーパーホーネット28機の製造契約を4月に受注した。ドイツはF/A-18E/Fを30機調達し、核兵器を搭載させる。ドイツは同機の電子戦用途機材EA-18Gグラウラーも15機導入する。

スーパーホーネットはカナダ、フィンランド、インドでも戦闘機選定の候補に残っている。■

この記事は以下を再構成したものです。

Block III Super Hornet conducts maiden sortie

By Greg Waldron11 June 2020