2011年8月27日土曜日

ペンタゴンの中国軍事評価報告へ早速中国が反論

China Denounces U.S. Report, Defends Military

aviationweek.com Aug 26, 201 
By Chris Buckley/Reuters
BEIJING

ペンタゴンから中国の軍事装備近代化は域内安定が損なうとする報告が出されたことに対し、26日に中国から反論が発表され、米国による中国軍評価は誇張され、「根拠のない疑い」に満ちたものと一蹴している。
  1. 今年に入ってからの米中間では意見対立の応酬が目立つが、バイデン副大統領の訪中で協力関係、親善が確認されたばかりだった。ただし軍部の疑心暗鬼が両国間緊張の理由であり、米国防総省の報告内容に中国が露骨に反応したこと自体がこのことを裏付けている。
  2. 中国国防省はロイター宛にファックスで「強く遺憾とし、決然と反論する」とのコメントを送付してきた。ペンタゴン報告書では中国の軍事装備近代化は2020年目標に着実に向かっていると評価している。
  3. 「技術進歩に伴い、中国が軍装備の開発および性能向上をめざすのはきわめて自然なことである」とあわせてコメントしている。
  4. 米国防総省の毎年の中国軍事力評価報告では中国軍事力の拡張に懸念を示し、特に台湾との格差の拡大を取り上げている。
  5. 同報告では対艦弾道ミサイルの打ち上げ、空母建造計画が緒についたこと、国産ステルス戦闘機開発も取り上げている。
  6. また2010年に発生したサイバー攻撃で米政府のコンピュータ網も被害を受けているが、その発生源が中国と判明したことも記述している。
  7. こ れに対し中国国防省は「いわゆる本土から台湾への軍事脅威を誇張している」とペンタゴン報告書に反論している。同報告書は「根拠のない疑いを中国の宇宙空 間およびインターネット安全保障政策に抱いている」ともしている。「米報告書は事実をねじまげており、全体として詮索に耐えられない内容だ」
  8. 中国の2011年度国防予算は6,011億元(915億ドル 7兆円)で前年比12.7%増とされるが、実際の支出規模はこれよりもはるかに大きいと見る専門家が多い。これに対し米国某予算は2012年に5,530億ドルとなる見込みだ。
  9. ペンタゴン報告書が中国軍事力に懸念を示すのは毎年のことで、これ自体で両国間の広範な関係を損ねるものではない。ただし米中関係の最大の不安要因が台湾であり、中台間の緊張がやや緩和していると言っても大きな変化はない。
  10. 米国が台湾向け軍事装備の売却をしたことから2010年は人民解放軍は米軍との関係維持に及び腰となり、中国政府からの非難も表明されていた。
  11. マ イケル・シーファー国防次官補はオバマ政権は台湾への追加軍事装備売却は未定だと論評している。この件に詳しい消息筋は8月初旬にロイターに対して米国が 66機のロッキード・マーティンF-16C/D新造機を売却する可能性は少ない、と見ているが、最終決定は未定だと伝えてきた。

2011年8月26日金曜日

ロシア空軍の機材更新計画の近況 T-50 Su-34など



Large Su-34 Fleet In Russian Aircraft Plan

aviationweek.com Aug 24, 2011

長年軽視されてきた空軍部隊を再活性化するには資金力だけでは十分ではない。これがロシア軍が得つつある手痛い教訓だ。
  1. 過去二年間に投入された資金で航空産業が恩恵を受けているのは間違いないが、同時に新しい問題も浮上してしまった。たとえば空軍機材の更新予定をいかに実現するかだ。
  2. ロシア空軍司令官アレクサンダー・ゼーリン上級大将Col. Gen. Alexander Zelinによると空軍はSu-34を5飛行隊配備することをめざしている。合計120機規模だ。
  3. た だし、ゼーリン大将の関心はSu-35配備の方だ。同機はロシア最新の戦闘機で機材更新計画の中核を担うとともにT-50導入までのつなぎとして重要だ。 Su-35は開発遅延に苦しみ、試作三号機が地上で全損事故にあったこともあるが、Su-35そのものがロシア空軍の性能要求を満足させられないのではと いう懸念があるのも事実だ。同機は国内配備の予算が形状できなかった時点で輸出用として当初設計された経緯がある。
  4. T- 50がロシア空軍の最高優先順位プロジェクトとして位置づけれれているためにSu-35にはさらにプレシャーがかかっている。現在T-50は試作機2機が 納入済みでユナイテッド・エアクラフトコーポレーションUnited Aircraft Corp. (UAC) 社長ミハイル・ポゴシアンMikhail Pogosyan は年内にさらに二機を納入するという。計画ではT-50の本格生産前製作は2013年で、量産仕様の機体は2014年ないし2015年に完成するという。 ただし、軍関係者はT-50のこれら計画が予定通り実現するとは見ておらず、Su-35を一刻も早く第一線配備し、装備不足を解消すべきだとする。
  5. 多 くの側面でSu-35はT-50への橋渡しとなる技術が盛り込まれている。両機種はアーティクル117Sエンジンを採用しており、レーダー技術も同様だ。 Su-35のイルビス-Eレーダーの有効半径は350から400キロメートルで3平方メートルのレーダー特性の物体を捕捉できる。また電子式、機械式双方 でスキャンできる。30個までの目標を同時に補足でき、8個に同時に交戦ができる。
  6. Su- 35に搭載する目標捕捉用のレーザーはT-50にも応用さえる。T-50にはより大型のアーティクル110KSポッド(UOMZ社製)が搭載される予定だ が、同機の低視認性を犠牲にすることになろう。これに対しSu-35では機内に装備しており、レーダー断面積も小さく、T-50もこの方式に変更となる可 能性がある。さらにロシア空軍はSu-30SMを28機購入する計画で、ロシア国内生産装備の採用という伝統を破りタレスサフラン製の西側装備を搭載す る。Su-30SMはインド空軍に売却したSu-30MKIのロシア空軍仕様機だ。Su-30SMの契約は未成立だが、オプションで12機追加し、ロシア 海軍航空隊用の機材を確保するという予測もある。
  7. その他ゼーリン大将はIl-476輸送機は2013年から配備開始と見ているが、実際の同機開発状況から見て、これが前倒しになる可能性はない。
  8. そ の他機材更新で心配となるのがTu-22M爆撃機(海軍航空隊)で運航は空軍に移管されようとしている。エンジン部品の老朽化で同機のメンテナンスは悪夢となって おり、重要部品の再生産が求められている。ゼーリン大将は部品供給の目処がつけば再び海軍に同機部隊を移管するという。
  9. た だし、ロシアの新鋭機材導入にも限界がある。空軍が軽量第5世代戦闘機を購入するという機体がMiGはじめ各社にあるが、実現の可能性は少ないようだ。 ゼーリン大将はMiG-35取得の可能性のほうが高いと見ており、同機も当初インド用に開発された機材だ。ただし、同大将はあくまでもT-50が第一であ るとこの期待にくぎをさしている。

2011年8月24日水曜日

中国がサイバー攻撃をしている証拠を自ら放映

Chinese TV Clip Reveals Cyberattack On U.S.

aviaonweek.com Aug 23, 2011

中国国内でテレビ放映されたドキュメンタリー番組で中国軍による米国内の宗教カルト組織へのサイバー攻撃との説明のシーンがあったが、これが米国の情報機関ならびに防衛産業関係者の関心を呼んでおり、YouTubeでも見ることができる。

  1. このテレビ番組を見た国家安全保証局のサイバー戦専門官は中国政府にとって困惑の種となると論評。8月23日現在では中国CCTVのウェブサイトでも同一内容を公開していた。
  2. 本件を報道したのはニューヨークのEpoch Timesで、法輪功支援者が運営する新聞。法輪功は中国共産党への批判姿勢のため弾圧の対象になっている。 .
  3. 同番組は7月15日に放映されたもの。軍事大学の場面でコンピュータ画面に法輪功他の米国内の目標へのサイバー攻撃の状況が確認できたと同紙は報道している。
  4. 番組は中国の軍事戦略の優秀さを賞賛し、米国をサイバー空間の憎き侵略者として糾弾するものだったが、中国からサイバー攻撃がしかけられている場面が写ってしまった格好だ。
  5. 肝心の画像は6秒間にわたり見ることができる。特別製の中国語ソフトウェアでサイバー攻撃を法輪功のウェブサイトに対して行っている。米国の大学のIPアドレスを改ざんしたものを使っていた。
  6. 同番組で搭乗した中国の学校は人民解放軍PLAの電気技術大学であると判明。同紙の報道ではこのビデオはPLAがサイバー攻撃のコードを作成し、中国の反政府勢力を標的にしていることの証拠だとする。
  7. ソ フトの表示で「攻撃対象を選択」となっている。138.26.72.17とあり、目標として選択されている。このソフトウェアに組み込まれているのは「法 輪功ウェブサイトのリスト」で、プルダウンリストに多数の法輪功関連サイトが見られる。画面ではコンピュータ操作員はMinghui.orgを選択してい るが、これは法輪功の精神鍛錬の中心となるウェブサイト。このIPアドレスはアラバマ大学のものであると判明している。その後、このドキュメンタリーでは 「攻撃」ボタンが押されているのが写ってからカメラが移動している。

2011年8月21日日曜日

国防支出削減出の米議会の動向を注視しましょう


U.S. Defense Budget Faces Decimation Decade

aviationweek.com Aug 19, 2011

辞書では“decimate” とは1割減にする意味だが、これがまさしく今からの10年間の米国防支出で発生する可能性があり、今のところ米政府は総額で最高24億ドルを削減し、財政赤字の削減に繋げたい動きだ。
  1. ぎ りぎりで妥結した今回の赤字削減策は正式には2011年予算管理法案と呼ばれており、オバマ大統領の署名で法成立となるが、国防関係の巨大プロ ジェクト、かねてから議論を読んでいたプロジェクトが狙い撃ちになり一層多くの予算が削減となる、または厳しい予算管理の対象となろう。その中でもまっさきにア ナリストたちがあげるのがロッキード・マーティンの共用打撃戦闘機であり、ロッキード・マーティンとオースタルAustalによる沿海域戦闘艦であり、ベ ル/ボーイングのV-22ティルトローター機だ。
  2. そ の他の計画も無傷ではすまないだろうが、予算規模が小さかったり、まだ開発段階でしかない案件はすぐには影響をうけない。また、同じ国防関係でも逆に予算 計上が増額になる特殊分野もあり、例としてはサイバー安全保障、無人機、ミサイル防衛、長距離攻撃能力や指揮命令通信・情報収集監視偵察(C4ISR)が あるが、かつてのような潜在的だが確認ができていない相手方脅威に対して優越性を確保する名目で巨額の国防調達支出が認められ国防戦略が形成される時代は 終わった。アナリスト陣は米軍の任務役割はこれから変化していくと見ており、その理由に財政赤字削減が好むと好まざると出てくるのであり、そのために 調達内容も変わらざるをえない。
  3. 法案では最低3,300億ドルの削減をめざしているが、ペンタゴンは次年度からの10年間でおそらくその二倍の金額の削減幅を提供することになろう。加えて数百億ドルの削減がその他国防関連部門として情報関連、国土保安、退役軍人関係からひねり出されるだろう。
  4. 民 間アナリストは最悪のシナリオとしてペンタゴン予算は8,500億ドル減となるとする。新法案でも実際の削減策はこれから協議して決めることになってお り、これ以上の削減もありうる。中立系のシンクタンクによると新法が完全に施行されると、あるいは議会が連邦予算を1.5兆ドル追加削減する合意ができ ないと、ペンタゴンの2013年の予算水準は2007年度と同規模になり、これが3から8ヶ年継続するという。
  5. こ れにより国防産業大手企業、中小メーカーともに今後の10年間の業績にも悪影響がでるとのムーディのレポートがある。実際にはペンタゴン予算支出の大部分は運用、メンテナンス関連および人件費であり、「不釣合いな規模の」削減が投資的な支出に発生する「可能性が高い」とムーディは見ている。その 対象は調達、研究開発、試験評価だという。
  6. 国防関連の各案件の先行きを一層暗くするのが議会内のいわゆるスーパー委員会の存在だ。予算管理法の第二段階で個別具体的な削減策を模索する役割を果たす。委員人事が先週末に発 表されているが、業界の声を代弁してくれそうな議員が見当たらない。航空宇宙産業連盟や下院軍事委員会ノ共和党議員のロビー活動は無駄に終わった観ががあ る。共和党下院院内総務ミッチ・マッコネル議員Mitch McCon­nell(ケンタッキー州)はオハイオの共和党一年生議員ロブ・ポートマンRob Portmanを指名しているが、ブッシュ前政権の予算局長としての経験を重視してのためだ。
  7. マッ コネルはもうひとりジョン・キルJon Kyl(共和 アリゾナ州)も指名している。同議員は昨年に新Start核軍縮条約でロシアとの交渉でオバマ政権への反対の陣頭に立った人物で戦略ミサイ ル防衛及び核兵器整備を提唱している。ただキルは任期終了で再選はめざさないという。パット・トゥーメイPat Toomey(共和 ペンシルベニア州)が三番目の選択だ。
  8. この人選についてマッコネルは削減対象で重要なのは社会保障と税だとしているが、国防はそこから外している。
  9. 興味深いのは下院議長ジョン・ベイナー議員John Boehner(共和 オハイオ州)が自党内のタカ派軍事委員会からの人選の訴えを重視していないことだ。
  10. こ うなると国防関係の最強の支援者は民主党からとなる。ハリー・レイドHarry Reid上院院内総務(民主  ネヴァダ州)はパティ・マレイ議員Patty Murray(ワシントン州)を上院歳出委員会国防小委員会所属から指名した。同議員は選挙区のボーイングの強力な支援者として知られる。この他に 2004年に大統領選に敗れて以来国防関連では慎重な姿勢のジョン・ケリー議員 John Kerry(マサチューセッツ州)と上院財政委員会委員長マックス・ボーカス議員Max Baucus(モンタナ州)を指名している。
  11. 新 しく発足する委員会はまず法案を議会審議に乗せることを11月23日までに完了の上、上下両院で同法案の通過を12月23日までにすませるのが役目だ。議 会あるいは同委員会がこの予定表通りに動かないと、両党にとって受け入れがたい内容の予算削減が自動的に成立してしまう。その反面、議会、大統領双方に受 け入れられない内容になれば同委員会は別の内容で予算管理法の求める内容とは異なるものを議会通過させるかもしれない。または一層多くの赤字削減内容を盛 り込む可能性もある。ただし、大統領選挙の日程と昨今の世論調査結果を見ると国民は直近の予算論争に嫌気を見せており、実際には今言った2つの可能性も実 際にはワシントンでは議論の対象になっていない。
コ メント:後半は議会内の話題ですが、国防予算がこれから10年間厳しい状況になると、日本の安全保障にも当然影響が出てきますね。今後の10年間に予測さ れるアジア太平洋の変化はエネルギー供給と中国の影響力拡大ですが、この中で米軍はプレゼンスをどこまで維持できるのか、日本は同盟国としてどれだけ補完 するのか。いろいろ緊張要因が高まっている韓国との関係をどうするのか、インド、シンガポールとの共同シーレーン確保は検討しないのか、さらに一層グロー バル化をすすめる日本の経済をどう守っていくのか、安全保障でいきなり大きな課題を突きつけられる可能性があると思わざるを得ません。冷静な議論のために ますます国外の動向を注視剃る必要がありましょう。

UAV・有人機一体の航空安全確保は可能か


UAV Collision Bolsters Sense-And-Avoid Systems

aviationweek.com Aug 18, 2011

米陸軍で試験運用がはじまった地上配備の探知回避装置があれば、8月15日アフガニスタンで発生したC-130ハーキュリーズ輸送機とRQ-7シャドウ無人機の空中衝突事故は発生しなかったかもしれない。
  1. ただしソフトウェアの不具合とFAAの業務停止により陸軍のレーダー組み込み式GASAA(地上配備探知回避装置)のテスト運航は遅れている。テスト地点はジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズのエルミラージュ訓練センター(カリフォルニア州)であり、ここはMQ-1グレイイーグルUAVの支援にも使われている。
  2. このシステムは三箇所の空港のレーダーにより実験空域に侵入する無人機を追跡するものだ。
  3. 実はGBSAAを使用した夜間訓練飛行は合計3回も4月に行われていたが、三回目のフライトでソフトウエア不具合が発生し、テストは中止になっていた。この不具合は解決されたが、FAAノ業務一時中止によりテスト再開ができなかったものだ。
  4. これまで完了したテストの合計時間は11時間で、FAAが関与するテストはあと28時間必要で、その後実際の運用が認可される。このためにはテスト場にFAA係官3名の同席が必要で、業務再開後の業務多忙なFAAにはハードルが高い。
  5. 今回の事故調査から判明したのはレーダーは飛行中の全機を捉えていたが、回避システムのシミュレート経路からレーダーの想定外メッセージが発生していた。米陸軍はその後有人機を使用しタテスト結果からソフトウェアを改良している。
  6. 陸軍関係者はFAAとのミーティングを経て、8月からのテスト再開を目論んでいたが、FAAの業務停止がこれを阻んだ。その後FAAの業務再開で打ち合わせも再開したが、GBSAAのテスト再開の目処はたっていない。
  7. FAAは無人機を一般航空路出飛行する認可申請多数の処理に追われているが、GBSAAテストの認可には高い優先順位がついていないようだ。
  8. さて、アフガニスタンでRQ-7と衝突したC-130は無事着陸しているが、損傷は現場で修復可能だという。ただ今回の事件で手続き処理を超えた次元で積極的な衝突回避の必要性があらためて認識されている。
  9. 事故調査は進行中だが、RQ-7シャドウは予定通りの空域出予定通りの任務についていた。同機は滑走路から4,500フィート地点を保持していたのは航空管制ノ指示通りであったが、C-130がそこを通過した際に想定どおりの手順を守っていなかったと考えられている。

2011年8月18日木曜日

F-35取得に自信を持つ韓国空軍の根拠はどこにあるのか


South Korea Thinks F-35 Can Meet Schedule

aviationweek.com Aug 16, 2011

韓国空軍はF-X第三期時期戦闘機選定の検討過程でF-35ライトニング含む西側メーカーすべての対象機を評価し、2016年の第一線配備をめざすが、ロッキード・マーティンに傾いているようだ。
韓国空軍は三番目にして最新の対象機スホイPAK FAについてはそれより劣る評価をしている。韓国F-Xの調達数は60機の予定。
  1. ユーロファイター・タイフーンは現時点ですでに第一線配備されており、選考の要件を満たしていると空軍は見る。その他ではF-35とボーイングF-15SEサイレントイーグルは共に開発を終了していないものの要求期限に間に合うと考えている。
  2. この観点はF-35でより重要となる。ボーイングのF-15SEの改良点は大部分がフライバイワイヤーの飛行制御であり、一体型燃料タンク、尾翼形状の変更のため2016年より以前に達成は可能だ。
  3. これに対して韓国空軍の観点はこれまで開発日程の遅延を繰り返しており要求日程に間に合わせるのが大変と思われてきたF-35への懸念を一蹴するものだ。
  4. 米空軍でさえF-35Aの運用開始は2018年以降と見ている。初期作戦能力獲得の定義は米空軍のほうが厳しい内容になっている。
  5. 韓国空軍の評価が非現実的だとしても、その評価の内容はF-35が完全に要求内容を満たしているとでもいわんばかりに調達を進めるものだ。また同国空軍がF-35には規則を曲げるのであれば、F-35を偏重しているように見える。
  6. その一方でF-Xフェーズ3そのものが先送りになり、ロッキード・マーティンに時間の猶予が生じる可能性もある。これまでも同社は韓国向けに2016年に機体引渡しは可能と言ってきたが、作戦能力が確立されるのとは意味が違う。
  7. 上述の内部資料によると、PAK FAが同じ時期に運用可能となる可能性については何も言及されていない。競争に最後に参入した同機の日程について賛否を明らかにしていないことから、同機が当て馬として遣われている可能性がある。

2011年8月13日土曜日

不確実性に悩む英国のF-35導入計画

Vagaries Continue To Cloud U.K. F-35 Agenda

aviationweek.com Aug 12, 2011

大幅に開発日程が遅れた上にコスト超過も重なり、英国防省の定めた調達決定方針も財政の現実と計画の不確実さの前に頓挫しかけている。
  1. しかし、F-35B短距離離陸垂直着陸(Stovl)型に替えて空母運用型を調達する案が出たが、英政府はどうも運用コストをきちんと把握していないようだ。調達にこだわるあまり、計画の資金繰りの裏付けを軽視することで、財政再建の原則にも自ら反することになりそうだ。
  2. 英国防省は不確実な事項の数点については道筋を付ける努力をしているものの、今後の計画の作成が完全な形になるのは数年先の事になりそうだ。
  3. 空 母艦載型(CV)への変更により、国防省は万が一空母への回収が中断された事態を想定して空中給油能力の確保が必要となっている。英国からロッキード・ マーティンに対してF-35C同士の宮中給油モードの実現可能性の検討依頼が出されている。JSF開発の原則では関係国は独自の能力を開発する際には自国 資金を準備することになっている。米国はF/A-18E/Fスーパーホーネットに空母艦載給油機の役割を実現させているので、英国は自国仕様の技術検討は 自国で資金を供出する義務がある。
  4. 米 国の国防関係者によるとこの改修にともなう技術検討と費用見積りは「今年後半」に揃うという。だが英国が製作決定に要する時間はもっと長くなるかもしれな い。英国防装備調達・支援・技術担当大臣ピーター・ラフPeter Luffは国会で「将来の艦載機用の空中給油任務で最も費用対効果が高い実現手段」をいかにして実現するかの評価検討結果は2012年3月ごろに結果が出 ると発言している。
  5. も う一つ不明確なのがF-35Cを選択した場合の空母運用だ。F-35Cに切り替えるのはもともと運用性能を向上させるのが目的なのだが、実際には欠点もあ る。そのひとつがアムジャド・フセインAmjad Hussein海軍少将(空母攻撃任務担当)により議会証言で明らかになった。固定翼機の運用と強襲隊の水陸両用作戦の実施を両立することにリスクがある というのである。
  6. 同中将によると「航空機発艦とヘリコプター発進の間に相当の時間間隔が必要となる可能性がある」とのことで、「その結果、装備の機能発揮が限定されるかもしれない」
  7. その限定の度合いは不明だが、フセイン少将は強襲隊発進を犠牲にするわけにいかないという。
  8. 別 の進行中の話はJSFテスト用に購入の3機のF-35のうち一機をB型からC型に変更することだ。ただこれには米国議会の承認が必要だ。F-35Cの一機 は第六低率初期生産LRIPロット出購入予定の機体でこれを英国がLRIP4で資金を供出したF-35Bと交換することになるためだ。
  9. こ れについてペンタゴンは「今回提案されている案は両国にとって利益が生まれる内容だ。米国にはStovl型が予定より24ヶ月早く入手でき、技術成熟度運 用テストが実施できるし、英国にとってはCV運用テストの費用そのものを支出しなくてもいいので、LRIP6日程で完成形のCV機体による運用テストが充 実する」と論評している。
  10. こ の案が実施されても米国の納税者には財政上の負担は生じない。「英国がLRIP4Stovl機の改修費用を負担してLRIP6仕様にアップグレードする。 さらに英国はCV型機の飛行テスト用計器の装備費用も負担し、英国のみの仕様要求にともなう費用も支出する」とペンタゴンは言う。英国防省関係者は変更で 発生する費用はすでに予算計上してあると強調する。
  11. 英政府は先月に国防近代化予算の追加を計上している。30億ポンド(49億ドル)を2015年以降に支出し、その代償に配備部隊の削減を伴うが、F-35初期取得を実現する。これにより国防支出は実質1%増加する。
  12. 準 備する予算全額がF-35用ではないものの、リアム・フォックスLiam Fox国防相によると同機購入の頭金となるほか、予定で14機の追加CH-47チヌーク、3機のRC-135リベットジョイント情報収集機他の装備を調達 するという。この期間内で何機のF-35を調達sルウのかは発表されていない。また、この予算は空母クイーン・エリザベスの艤装にも使われる。国防省は 10年間にわたる調達計画を9月に発表すると公約している。
コメント 英国もかなり苦労しているようですね。F-35によりひょっとすると西側の空軍戦力整備は10年から20年遅れてしまうことになるのかもしれません。これでほくそ笑むのは誰でしょうか。