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主張 米国の対中戦略に日本の力は欠かせない存在だ

 National Interestはどうしちゃったんでしょう。最近はめぼしい論文が減っているようです。今回は日米関係で正論を展開していあmすが、筆者はなんと現役学部生とのことで驚きです。日本にここまで正論を展開できる学部生が何人いるのかわかりませんが、優秀な方であることは確かなようですね。


アメリカの対中戦略に力を与える日本


日米同盟は太平洋の地政学的秩序の礎であり、両国は二国間関係の強化に取り組みその地位を維持するべき時に来た



年12月、岸田文雄首相は国家安全保障会議(NSS)を発表し、2027年までに防衛費をGDPの2%まで増やし、日本を世界第3位の軍事大国とすると約束した。多くの論者は、これを中国の侵略やロシアのウクライナ侵攻への動きと見ているが、日本が意図的かつ積極的にインド太平洋地域の新たなビジョンを打ち出そうとしていることをNSSが示している。「主要な国際的アクターとして、日本は同盟国や志を同じくする国々と協力し、特にインド太平洋地域における国際関係の新たなバランスを達成する」。


この目標を追求するため、日本は韓国との貿易紛争を終結させ、防衛関係を正常化させる新しい外交姿勢を実施した。さらに、NSSは米国との協力強化を求めている:「日本は、戦略レベルにおける二国間の協調を確保しつつ、外交、防衛、経済を含むあらゆる分野において日米同盟を強化するため、米国と協調して取り組む」。


要するに、NSSは、日本がアジアで積極的なプレーヤーになることを目指し、米国との協力強化が両国の繁栄を維持する鍵であると強調している。


日本が防衛支出を増やし、防衛協力を積極的に行えば、アメリカの戦略に大きな恩恵となる。戦略国際問題研究所が最近行ったウォーゲームによれば、日本に関する楽観的なシナリオの変更はすべて、台湾防衛の成功に向けた「大きな変化」をもたらす。その結果、同論文は米国の指導者たちに「日本との軍事的・外交的関係を深めることを優先する」よう勧告した。特に、日米両軍の作戦上の連携は、「日本軍との経験を持つ参加者」から特に重要視された。しかし、日米間の戦略的協力の強化は、軍事分野に限定されるべきではない。日本は、アメリカの広範な戦略目標を達成する上で重要な役割を果たせるのだ


バイデン政権下で、中国の一帯一路構想(BRI)に対抗するアメリカの構想がG7に提案されたが、軌道に乗らなかった。この失敗の一因となった問題のひとつは、あるアナリストによれば、「政策戦略や提供メカニズムに対する理解が乏しい」ことだ。つまり、アメリカの対応は資金不足だけでなく、約束したプロジェクトを実際に実現できない支離滅裂な組織構造やビジョンにも苦しめられているのだ。


一方、日本には開発資金を提供し、外交政策目標を推進するシステムがすでにある。外務省の下部組織で政府開発援助(ODA)を代表し資金支出する国際協力機構(JICA)である。1974年に設立されたもので、中国のBRIにインスピレーションを与えたことは間違いない。開発プロジェクトに資金を提供するだけでなく、海外に人材を派遣し、開発途上国で人材を育成する。1954年以来、海外に派遣された専門家は延べ197,000人、受け入れた研修生は649,000人にのぼる。現在のアメリカの政治的現実や、ウクライナ戦争のためにヨーロッパが「壮大な新しいプロジェクト」を作る意欲に欠けているのを考えれば、新しいシステムをゼロから作るより、確立ずみの日本のシステムと協調する方が賢明だ。


アメリカの戦略のもうひとつの柱は、CHIPS法やBuild America, Buy America法といった産業政策指向の法案の成立が示すように、産業基盤の再構築だ。この課題の重要な部分は、産業部門の人材の質と量を向上させることである。製造業では人材不足が続いており、この傾向が続けば、2030年までに200万人の未就職者が発生する予想がある。バイ・アメリカン法により、特に建設業界で重要商品の国内サプライヤーを見つけるのが苦しくなっている。業界関係者によれば、ドッククレーン、トラック、ボートリフト、および同様の機器では国内メーカーが存在しないという。さらに、最近アリゾナ州に建設された台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング社(TSMC)のチップ工場は、莫大な建設費(台湾の10倍)と有資格者不足のため、「...TSMCや台湾にはほとんど利益をもたらしていない」という。


一方、日本はこれらの分野で強力な製造基盤を持つが、デザインの才能に欠け、新規企業の年間平均参入率は経済協力開発機構(OECD)で最下位である。アメリカのベンチャー・キャピタルのエコシステムが依然として世界最大で、チップ・デザインの人材需要の43%を占めているのを考えれば、人材交流や企業協力を進めるのが両国にとり最善の利益となるだろう。


すでにこれは主要産業で起こっている:日本を半導体産業の最先端に戻すべく設立された日本のラピダスは、米ハイテク大手IBMと提携し、IBMの2nmチップ設計を製造している。しかし、焦点は専門化(アメリカがチップ設計を提供し、日本が製造する)だけであってはならない。例えば、ジョー・バイデン大統領は、バイ・アメリカ法の修正案を通過させるだろう。修正案では、日本企業がエンジニアをアメリカに派遣する(その機器を製造するためのベストプラクティスを現在の企業に教える)か、アメリカに合弁会社を設立する(その機器を製造する)ことと引き換えに、アメリカが現在製造できない機器の一時的な免除を認めている。


後者は、はるかに友好的ではない条件ではあるが、以前にも行われたことがある。1980年代にトヨタがアメリカの自動車市場に急速に拡大した後、議会は日本政府との間で輸出自主規制を実施し、アメリカへの自動車輸出をアメリカ市場の22%に制限した。この措置は、日本への輸入関税の脅威が迫っていたことに加え、トヨタが米国で自動車を生産するため米国の自動車製造大手ジェネラルモーターズ(GM)と合弁会社を設立することを促し、ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング設立につながった。その目的は、トヨタがアメリカで工場運営を学ぶ一方、GMがトヨタ生産方式を導入し品質を高める方法を学ぶことだった。このベンチャー事業は、両社にとって非常に有益だと証明された: ホワイトハウスの自動車タスクフォースによれば、GMの調達・生産システムは「世界トップクラスであり、日本の自動車メーカーのシステムと同程度に効率的」だという。もし、GM側の自暴自棄とトヨタ側の強要がミックスされた結果でこの結果が得られたのであれば、アメリカと日本の利害が明確に一致している今日、さらなる高みに到達するだろう。


文化的なレベルでは、アメリカのアナリストが日本側アナリストと対中対応で真剣に協力すれば、より効果的な中国戦略をもたらすだろう。日米は激動の歴史を共有しているため、日本の外交官は、中国が大国として台頭した結果生じた問題に関して、先手を打っていた。昨年初め、元駐米日本大使の佐々江賢一郎は、『エコノミスト』誌で次のように述べている:「私たちは米国に警告した。これは日中間の小さな区分けされた問題ではなく、この地域で大国が成長する兆しなのだ」。残念ながら当時、この警告は耳に入らなかった。東京大学のある中国専門家は、同じ記事でこう嘆いている:「15年前、私が(欧米の同僚に)中国のマイナス面を話すと、右翼的で中国嫌いの日本人学者として扱われたものだ」。


これは変えなければならない。理想を言えば、アメリカは日本を理解し、中国と協力するため、中国とほぼ同数の人員を割くべきである。日米同盟は現在の太平洋における地政学的秩序の礎石であり、その地位を維持するために両国は二国間関係の強化に取り組むべき時なのだ。■



How Japan Can Power America’s China Strategy | The National Interest

July 27, 2023  Topic: Japan 

Siddhartha Kazi is an undergraduate student studying Industrial Engineering at Texas A&M University.

Image: Shutterstock.


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