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中国経済に危機が迫り、世界経済への影響は必至だ

 



米連邦準備制度理事会(FRB)が注意を払うべき 深刻な問題を中国経済は抱えている


19FortyFive


ジェローム・パウエル率いる連邦準備制度理事会(FRB)の気になる特徴は、米国中心になっているかということだ。FRBはデータに依存した金利政策をとる際、世界経済全般や特に中国の経済動向にはほとんど言及しない。世界第2位の経済大国で、最近まで成長の主要な原動力であった中国が深刻な経済危機に陥った今、このことはなおさら驚くべきことである。また、中国がデフレの危機に瀕しているように見え、国際商品価格の著しい軟化を引き起こしていることも驚きである。


中国経済の危機 

中国経済の現在の不調の核心は、習近平国家主席のもとでの一連の重大な経済政策の誤りである。過ちには、信用に煽られた住宅市場や輸出主導の経済成長モデルへの過度の依存が含まれる。また、経済的に悲惨なCOVID許容度ゼロ政策や、投資家の信頼を損ねた重要なハイテク部門への高圧的な締め付けも含まれる。

 また、中国が一人っ子政策の経済的代償で人口減少が拍車をかけていることも問題だ。さらに、トランプ政権とバイデン政権のもとで、米国との経済関係が悪化している。また、米国や欧州の企業が中国のサプライチェーン依存度を下げようと真剣に取り組んでいることも、参考にはならない。

 中国の経済的問題の深さは、中国が住宅産業と輸出産業で経験している困難が浮き彫りにしている。ハーバード大学のケネス・ロゴフの研究によると、住宅分野は中国経済のほぼ30%を占めている。

 一方、IMFの推定によれば、中国の輸出はGDPのほぼ20%を占めている。これは、少なくとも中国経済の半分が深刻な問題を抱えていることを意味している。

 国際決済銀行(BIS)は、過去10年間に中国が住宅・信用市場のバブルを経験し、その規模は1990年代の失われた10年間に日本が経験したバブルに匹敵するものであったと頻繁に指摘している。中国の主要都市では、所得に対する住宅価格がロンドンやニューヨークを上回るようになり、一方、非金融民間部門に対する信用はGDPの100%という驚異的な伸びを示した。こうしたバブルが崩壊の兆しを見せている。

 過去1年間で、カントリーワイドを筆頭に、多くの中国の不動産開発業者が貸し倒れを起こした。一方、住宅価格はこの1年で着実に下落し、住宅着工件数は深刻な低迷に陥っている。地方政府は土地売却の不振で財政難に陥っており、住宅市場は文字通り何百万戸もの空き家を抱えている。 中国の人口が減少している現在、住宅と信用市場の難局を打開するために中国がどのように成長できるかは難しい。

 住宅市場がつまずくと同時に、中国の輸出エンジンも失速しているように見える。最新の経済データによれば、過去1年間で中国の輸出は14%減少した。

 すべては、米国と世界経済が、中国経済の急成長によって経済の減速に対抗する重しを提供するために、これまでのように中国経済をあてにすることができないことを示唆している。確かに、わが国経済が中国に直接さらされる機会は限られているが、中国のアジア・パートナー、オーストラリア、ドイツ、商品輸出国である新興市場経済諸国はそうではない。これらの国々はすべて、中国の貿易と強いつながりがある。

 中国経済の減速がこれらの国に悪影響を及ぼせば、世界経済環境の悪化を通じて、わが国経済も間接的に影響を受けることになる。


インフレへの支援?

しかし、中国経済が現在抱えている問題のプラス面は、世界経済に必要なインフレ緩和をもたらす可能性があることだ。中国の生産者物価が急速に下落し、通貨安が進行しているため、中国の輸出価格の下落が予想される。 さらに重要なことは、中国経済の低迷は、国際商品価格全般、特に原油価格のさらなる軟化につながると予想されることだ。 

 中国経済の大幅な減速は、連邦準備制度理事会(FRB)にとって基本的な問題を提起している。世界第2位の経済大国である中国が、近い将来、世界経済全体にデフレ圧力を輸出しかねない兆候を見せている今、FRBは積極的な利上げ政策を堅持することで、金融政策の行き過ぎを招かないだろうか。■


The Federal Reserve Must Pay Attention: China's Economy Is In Serious Trouble - 19FortyFive

By

Desmond Lachman


About the Author, Desmond Lachman 

Desmond Lachman is a senior fellow at the American Enterprise Institute. He was a deputy director in the International Monetary Fund’s Policy Development and Review Department and the chief emerging market economic strategist at Salomon Smith Barney.


コメント

  1. ぼたんのちから2023年8月30日 9:05

    中国の似非資本主義が崩壊の危機に直面しているのかもしれない。中国経済は、資本主義の衣を纏った社会主義(これも外来の仮の姿)である。歴代のCCP指導部、及び習は、経済の手綱を握り、経済を国民の支配の道具とし、さらに覇権獲得の野心実現の大きな武器としようとしてきた。
    中国は、グローバリズムを逆手に取り、補助金により安価にさせた商品を大量に輸出し、他国の産業を駆逐することまでも過去から行っている。そのような隠微な世界経済支配政策の化けの皮が剝がされるのは、皮肉なことに中国製の武漢肺炎流行により恣意的な輸出制限を行ったからだ。
    しかし、習は、やり過ぎた。世界の工場としての中国はまだ良いとしても、GDPを伸長させ、米国を凌駕すれば、経済覇権が得られると浅はかな考えから、無理やり固定資産投資によるGDP増加を目論んだ。それはGDPの4割まで膨らんだ。その結果、人の済まない住居、乗客のいない高速鉄道や、車が走らない道路が増えることになる。これは正しく現代の「大躍進」だ。
    また、習は、経済政策にも腕を揮い、民間会社を苛め、債務過剰の不動産会社を締め付け、スパイ防止法により投資環境を著しく悪化させ、見事に不況への道を驀進している。これで中国経済が発展する可能性は、ごく狭くなったと考える。さらに現在の中国経済の傾向は、不可逆的なものであると推定する。
    以上のような中国経済の状況であったとしても、近い将来の急激な崩壊にはならないと考える。それは、中国経済が真正資本主義でなく、統制経済であるからであり、その統制は、時間が経つにつれ暴力的なものになり、習は「血と蜂蜜のプー」になる。
    そして最大の問題が、習が台湾侵攻と(日)米中戦争を決断するかどうかである。追い詰められた習が、対外的な冒険に打って出るようなことが無いと言えない。なにしろ習の目標は「中華の復興」であり、その中にはアヘン戦争の屈辱を晴らすことがあり、まだ達成できていないからである。またさらに日清戦争の屈辱も晴らしてはいない。

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