2015年9月3日木曜日

★米空軍>LRS-B設計2案はすでにテスト実施済みで完成度高いと判明


まもなくと言われ続けてきたLRS-B受注企業の選定も本当にまもなくのようです。ここにきて空軍から意図的に次期爆撃機の情報が開示されてきました。すべて真実であればLRS-Bの開発課程はこれまでと相当違うようで、しかも両案とも完成度が高いので選択はむずかしそうですね。一方で新型機の開発調達で相当の失敗が続いていますので、今回の案件が成功すれば、空軍も自信をつけるでしょうね。ゲイツ元長官の置き土産としても高く評価されるのではないでしょうか。

LRS-B Details Emerge: Major Testing, Risk Reduction Complete

By Aaron Mehta11:26 a.m. EDT September 2, 2015

635570048174454101-AIR-BTN-New-bomber(Photo: Northrop Grumman)
WASHINGTON — 米空軍向け次期爆撃機で採用を狙う設計二案はすでに空軍が相当のテストを行っており、これまで理解されていたよりも完成度が高いことがわかった。ペンタゴンが契約の交付前にここまで行うのは異例だ。
各設計案にはかなり高度なステルス性能があり、B-2から相当の改善となっており、核兵器運用の認証は将来取得し、任意で有人操縦となる。
長距離打撃爆撃機(LRS-B)は空軍にとって三大調達案件の最上位とされ、これまで秘密のベールに覆われてきた。空軍は二案から選択を迫られる。ノースロップ・グラマン案とボーイング=ロッキード・マーティン共同案だ。契約交付はまもなくと見られ、9月中だろう。
9月1日に空軍は外部関係者を招いた会合を開催し、新情報を開示している。同会合について詳しい関係者2名から空軍が設計二案をかなりの範囲でテストずみであることがわかってきた。
そのうちひとつの筋から空軍関係者が両案とも「非常に完成度が高い」と述べ、風洞テストや生存性テストを実施し全角度から設計案の評価が進んでいると明らかにしたとのこと。ただし両案で実機飛行は行っていないと両方の筋が述べた。
要求性能は2013年5月に最終版とされたと同上筋は言う。そのあとで二社の設計チームは開発テストを開始し、空軍はリスク低減策に注力している。
二人目の筋は空軍のブリーフィング担当者が二社の設計案は大きく異なり、エンジン、電子戦装備、通信システムなどのサブシステムでも類似性はないと発言していたという。サブシステムの契約企業名は発注先が決まっても公表されないと二人目の筋は見ている。
「EMD(技術製造開発段階)以前でここまで完成度の高い事案はなかった」と一人目の筋は言う。「これまでと全く違う。すでに数年間をテストに使っている」
一人目の筋は空軍関係者からリスク軽減策が「アクセスパネルまで全てに対して」実施されたとの発言があったという。
「リスク軽減が実施されている。設計案は技術的に完成度が高い」と空軍関係者が発言している。また「航空機製造でここまで完成度が高い例は見たことがない」とも述べているという。
調達プロセス初期でここまでのテストを実施するのは異例で、その理由として事業が迅速戦力整備室Rapid Capabilities Office (RCO)の担当であるためであるという。同室は空軍調達部内でX-37B宇宙機など極秘事業を担当している。
その名称どおり、RCOは空軍の通常の調達手順と異なる形で業務を進める部署で技術調達で裁量を与えられている。同室に事業を任せる決定は2011年に当時のロバート・ゲイツ国防長官が下したもので、開発中止になった次世代爆撃機事業の問題点を分析した結果だ。
RCOが関与したことでこれまで空軍が長く主張してきた次期爆撃機には既存技術を流用するとの説明が微妙になる。一部観測筋は空軍が既存民生技術を使って機体価格を抑えると見ているが、RCOには一般人が聞いたこともない技術を自由に扱える権限がある。
「EMDで想定するより三年先を行っています」と一人目の筋は解説する。「EMDにもっていくために通常より高い技術の完成度を求め、その代償を提供することにしたのです。これがRCO方式ですね」
空軍の説明者からは発注先選定の時期、選定方法では詳細説明はなかった。ただし、同機開発の今後を示す情報を開示している。
  • 契約は二部構成でEMD契約では実費プラス奨励金方式となり、低率初期生産段階の5ロット分は固定価格で奨励金はなしで21機を生産する。
  • 契約交付とともに空軍は開発コストの詳細を共有する。運用コスト維持コストの試算はマイルストーンC後に出る。
  • The bomber design will have a robust electronic attack element on board
  • 爆撃機には強力な電子攻撃装備が搭載される。
  • 核攻撃運用の認定は最初はないが、その後核攻撃用ソフトウェアとハードウェアを1号機用に製造する。認証手続には生産機材5機を同一仕様としソフトウェアが必要なので、十分な機数が製造されテスト業務に割り振る事が可能となってから始まる。
  • 構想では任意有人操縦となっているが、初飛行は有人操縦で行い、初期生産機体に無人操縦装置を組み込むのか、後日追加するのかは不明。一人目の筋は無人操縦設定は「当面の優先課題」ではないという。
  • 空軍はオープンアーキテクチャ方式の採用にこだわっており、将来の性能向上を安価に行う事を狙う
双方の筋は空軍関係者がB-2と比べ相当のステルス性があるとしており、B-2設計当時は入手不能だった生産素材画素の背景にあるという。
機体寸法については空軍説明者はあきらかに口にしたくなかったようだ。ただしUCLASSでは小さすぎ、B-2では大きすぎると明確に示している。
「発言と身のしぐさからB-2より小さいとわかる」と一人目の筋は言う。「機体の大きさはエンジン技術に左右されているようだ」
2番目の筋もこれに同意見だが、小型機だからといって航続距離が短くなるとは限らないという。ただし空軍がペイロードを航続距離のため犠牲にすれば。空軍の説明者はペイロード総重量の関係よりも同機が多様な兵器を搭載できる事のほうが重要だとしている。
三番目の筋は同上会合には参加していないが、同機に詳しく、設計案はB-2と比較すると「ペイロードは2割減、航続距離も2割減」だろうとする。同筋はどちらの企業が受注するにせよ、形状は全翼機形状でボーイング、ノースロップがそれぞれ作成したUCLASS設計案に類似しているとする。
総合すると各筋で一致するのは会合で参加者は米空軍は今回の爆撃機開発を予想をくつがえすほど巧妙に運営していることがわかったという。議会がすでに同機事業になみなみならぬ関心を示しているのでこの点は重要だ。
「空軍は実力を発揮してやろうと決意しており、実際にそれに成功していると見る」と二人目の筋は言う。「うまく運営されていると思う。コスト問題を深く意識し、むしろそれを真正面からとりあげようとしている」■



黒海>ウクライナも参加して海軍演習Sea Breeze開幕、ロシアの動きは


力づくで現状を変更して既成事実化していく勢力に対して西側は一致して反対の姿勢を示していますが、伝統的に自国領土が侵攻されると恐怖心を抱くロシアは過剰反応しがちなので、今回の演習でも事故が発生しないことを祈るばかりです。なおドネツク共和国というのはロシアの表現であると今回知りました。ロシア官製メディアには注意しないといけませんね。

U.S., Ukraine Exercise Sea Breeze Begins in Black Sea, Russia Promises to Observe

September 1, 2015 12:51 PM

Guided-missile destroyer USS Donald Cook (DDG-75) transits the Bosphorus Strait en route to the Black Sea on Aug. 28, 2015. US Navy Photo
誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クック(DDG-75)がボスフォラス海峡を通過し、黒海に入るところ。2015年8月28日撮影。US Navy Photo

米国とウクライナが正式に二週間の海軍演習を8月31日に開始し、黒海を中心に今年のシー・ブリーズ Sea Breeze演習の一部とする。
  1. ロシア軍は11ヶ国参加の同演習を注視するとし、クリバク級誘導ミサイルフリゲート艦ラドニLadny で米誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クック(DDG-75)を追尾させている。米駆逐艦は先週黒海に入ったとロシア通信社インターファックスが報じている。
  2. ロシアのクリミア半島編入(2014年)をめぐり、ロシア国境近くのウクライナで内戦も続く中でロシアと西側諸国が緊張を高めている。
  3. ロシア下院 State Duma は紛争中のウクライナ支援を続ける米ーNATO側は挑発的と非難。
  4. 「今回の多国間演習は米およびNATOがウクライナ軍の戦闘能力、戦略的立場をあからさまに強化する一環であると見るべきだ」と下院軍事委員会のフランツ・クリンツェヴィッチ議員 Franz Klintsevichはロシア国営通信RIAノーヴォスティに語っている。「ドンバス地区で続く戦闘でウクライナ側に強力な兵器を供与するのと同じ効果がある」
  5. ウクライナ首相アルセニー・ヤツェニュクArseniy Yatsenyukは開始式で同演習で地域の安全が高まると述べた。
  6. クリミア半島併合を受けNATOと米軍は黒海内でプレゼンスをほぼ常時維持しており、ロシア軍との低レベル衝突が数件発生している。駆逐艦クックは2014年4月にロシア戦闘機編隊による嫌がらせを受けているし、カナダはHMCSトロント(FFH-333)の直上をロシア偵察機、戦闘機が飛行したと2014年9月に抗議している。.
  7. 米第六艦隊によれば演習は1997年から実施しており、今回は「海上阻止行動で海上の安全を確保する」ことに水上部分の主眼を置くという。これ以外に対潜戦(ASW)や小舟艇襲撃への対策も演習する。
  8. 「各国海軍部隊が協力して行動することで実効性が増す。11ヶ国がここに集まり、ともに安定を維持するため行動する」と第六艦隊司令官ジェイムズ・フォッゴIII中将が声明文を発表した。「これだけの規模で各国が参集したのは今日の課題に対して一致団結して対処せんとするなみなみならぬ決意のあらわれだ」
  9. 演習は9月12日までの予定。■

2015年9月2日水曜日

USSロナルド・レーガンが横須賀に向け移動中


かなりセコい話ですが米海軍が空母三隻の間で乗員を交換して人員の各地移動を極力減らして出費を節約するという話です。同型艦とは言えこれだけの人員交換が簡単に実施できるということは艦のシステム化が進んでおり、艦を替えても違和感なく日常の業務が行える環境ができているということですね。

Carrier USS Ronald Reagan Leaves for Japan Starting Second Phase of 3-Carrier Crew Swap

August 31, 2015 11:28 AM

USS George Washington (CVN-73) and USS Ronald Reagan (CVN-76) transit the Pacific Ocean prior to conducting a hull-swap on Aug, 7, 2015. US Navy Photo
USSジョージ・ワシントン(CVN-73)とUSSロナルド・レーガン(CVN-76)、乗員交換の前に太平洋上を航行中。. US Navy Photo

本日、USSロナルド・レーガン(CVN-76)はサンディエゴから新たな母港横須賀に出港する。

  1. レーガンが米第7艦隊の前方配備空母部隊に加わる一方、USSジョージ・ワシントン(CVN-73)が中間大補修でニューポート・ニューズに向かい、USSセオドア・ローズヴェルト(CVN-71)がノーフォークからサンディエゴに母港を移動する。

  1. ワシントンは8月上旬にサンディエゴに到着しレーガンと10日間の乗員交換を行っている。ワシントンは2008年から日本に配備されていた。

  1. レーガンはこれまでも太平洋で広範な作戦を実施しており、2011年の津波被害のあとに日本を救援している。

  1. 「西海岸配備の中で最新鋭の空母を派遣し、インド・アジア・太平洋地区内の同盟国の安全、安心、繁栄を支援する」とマイク・シューメーカー中将(海軍航空部隊司令官)は声明文を発表している。「艦と受入国の間に4年前に築かれた強い絆はこれからも続く」

  1. だがレーガン乗組員の大部分はカリフォーニアに残り、ワシントンの乗員が同艦を日本へ移動させる。

  1. ローズヴェルトがカリフォーニアに到着すれば今度はレーガンの乗員が乗組み、ローズヴェルト乗員がワシントンをヴァージニアまで回航し、同艦は燃料交換他複雑な補修作業(RCOH) を同州で受けることになる。

  1. この空母間のやりくりは乗員の移動を極力避けて費用対効果が高い方法として考えだされた。

  1. 「各艦乗員のおよそ三分の二は母港を変更せず、三分の一は同じ艦にとどまり、原子炉関係、航空機運用部門、各部幹部や先任海曹がこの中に含まれれる」と海軍は発表している。

  1. この方式で海軍は移動関連予算を41百万ドル節約できると見ている。■

★U-2後継機はUQ-2あるいはRQ-X名称でロッキード社内で検討中の模様



ロッキード社内では着々とU-2後継機の開発が進んでいる様子ですね。社内資金だけで行っているとは思えませんが(空軍以外に予算を提供できる組織がありますね)、肝心の空軍はこのところ予算先細り状態の中で思考が停止している模様なのでなかなか決断ができていないのではないでしょうか。ともかく続報としてロッキード社内の考え方の一端が伺えるので掲載します。

Lockheed Pitches UQ-2 or RQ-X for Future Spy Missions

by BRENDAN MCGARRY on AUGUST 28, 2015

A U-2 Dragon Lady, from Beale Air Force Base, Calif., prepares to land at RAF Fairford, United Kingdom, June 9, 2015. U-2 pilots have a small margin of space to effectively land the plane without causing damage to the aircraft. (U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Jarad A. Denton/Released)

U-2ドラゴン・レイディの公表から60年たち、ロッキード・マーティンは後継機づくりのピッチを上げている。次期スパイ機は UQ-2またはRQ-Xの名称で呼ばれている。
世界最大の防衛企業である同社はパームデール(カリフォーニア州)にあるスカンクワークス高度技術事業所内で後継機について記者団と意見交換をしている。ここはU-2のみならず、SR-71ブラックバード偵察機、F-117ナイトホークステルス攻撃機やF-22ラプターステルス戦闘機の誕生の地でもある。.
  1. UQ-2またはRQ-Xと呼ばれる同機はすでに社内では機体の設計案が広く知られており、U-2と同等のセンサー類を搭載し、F118エンジンで高度70,000フィートを飛び、新型低視認性機体と航続距離が伸びるとフライト・グローバルでジェイムズ・ドリュー記者が書いている。
  2. 「低視認型U-2だと思ってください」とスコット・ウィンステッド(ロッキード、U-2戦略開発マネージャー)が広報資料で語っている。「現在のU-2と似ていますが、低視認性と長期飛行時間が実現します」
  3. 同社広報のデイナ・キャロルはMilitary.com宛電子メールでより詳しく説明している。
  4. 「現在のU-2は当初よりペイロードが増え、飛行速度も早くなり、より高高度(7万フィート以上)を飛び他のISR機材に優っています。このため目標地点全体を把握し、国境線の向こうを覗き込み、データの中身は大変すぐれています。同じ性能をより安く提供し、他の高高度飛行ISR機材では相手になりません。
  5. 「ただしU-2が2019年に全機退役すると、高高度飛行可能で奥深くまで偵察でき長距離長時間を飛行できるステルス機が必要になります。新型装備の装着が楽でしかも敵の技術進歩に対抗できる機材が必要です。これだけの要求内容を満たす機材は現時点では存在せず、現行機材がこの内容に近い性能を持っているにすぎません」(キャロル)
  6. 「そこで現行ISR機材から最良の部分を取り込むことを考えています。次世代ISR機はステルス性が加わりU-2と異なる形になり、選択的に有人操縦とし、出力も翼幅も増えます。次世代機の航続距離、生存性、滞空時間は大幅に増えます。選択的有人操縦にするのはエンジン出力を増やすことの代償です」
  7. 同社にとって技術開発よりも空軍当局や議会に新型機の必要性を理解させるほうが難易度が高くなるだろう。
  8. 空軍はU-2およそ30機を全廃すれば、その後10年間で予算20億ドルを節約できると考えている。その代わりにノースロップ・グラマンのRQ-4グローバルホーク無人機を運用する予定だ。
  9. ロッキードはくりかえしU-2退役を遅らせるよう説得を試みてきた結果、U-2はSR-71退役後も飛行を続けている。
  10. 実際に空軍首脳陣はドラゴン・レイディの比類なき性能を賞賛してきた。例として昨年に空軍トップからU-2を無人機で代替させる案は時期尚早との発言がでている。当面は機体からセンサーやカメラを積み替えてやりくりできるというのだ。
  11. グローバル・ホークのブロック30機材に最新鋭カメラを搭載できない理由は何かと問われ、空軍副参謀総長ラリー・スペンサー大将は「コストが相当に高くなる」と答えている。試算結果を示していないが、解決策は「U-2搭載のセンサーを外してブロック30の無人機に積み替える」ことだという。
  12. その一ヶ月後にカーティス・「マイク」・スカパロッティ陸軍大将(在韓米軍司令官)がU-2のほうが北朝鮮軍の攻撃の兆候を正確に伝えてくれると議会で証言している。「U-2は早期警戒機としてグローバルホークのブロック30より優れている」
  13. ロッキードが軍関係者を新型で高高度飛行・長時間滞空が可能な機体開発の必要に目覚めさせても同じことを議会メンバーに行う必要がある。議会は国防予算全体を危険に導く自動予算カットの撤回に反対している。
  14. そこでキャロルが指摘するのは議会はU-2は代替機種が揃うまで退役させないと2012年に明言しており、グローバルホークの性能をU-2並にするのは20億から40億ドルかかるとも発言している点だ。
  15. 「将来にISRギャップが生じるとして、現行機種が現時点の要求をこなしているのに別の機材に資金を投入してやっとそこそこの水準にする必要があるのでしょうか。限られた予算は将来のISRギャップ対策として、現行2機種より高い水準の新型機材を今から開発すべきではないでしょうか」
  16. 「U-2は比類なき性能を発揮し、今後も大きな改修なしで2045年以降も運用可能です。次世代ISR機材が利用可能になるまで現行機種を一緒に使いこなす必要があります」■


携帯レーザーでドローン墜落させる実験に成功


今年の夏はDE指向性エネルギー技術の進展ぶりを示すニュースが多かったですね。さらにここまで小型化しつつ威力が出てきた(照準技術の進歩?)ことになると、高価な攻撃手段が安価に(数ドル?数十セント?)撃破することも夢でなくなり、数で勝負を挑む某国の戦術思想が破綻する可能性も出てくるわけです。公表されている技術がここまでなら、闇の世界ではもっと進歩があるのではないかと頼もしく思えますね。

Portable Laser Weapon Melts Flying Drone

by BRENDAN MCGARRY on SEPTEMBER 1, 2015

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ボーイングが新型携帯レーザー兵器が飛行中の無人機に熱で穴を開け、最終的に墜落させる動画が公開した。
  1. 同社の小型レーザー兵器システム部門はポイント・マグー演習地(カリフォーニア州)で機種不詳の無人機(UAV)を「戦術」距離から攻撃する実証を行ったとYouTube上で解説している。
  2. 「溶接トーチを目標に向けるようでしたが、実際には距離は数百メートルです」とボーイング技術者はビデオで解説している。「レーザー照射からおよそ15秒で無人機が飛べなくなりました」
  3. 携帯レーザーは出力2キロワットで装置四点で構成。水冷冷却装置、バッテリー電源、レーザー発射部分と最近改良を受けた照準部分と同社は説明。操作は一人で可能で、実戦化の一歩手前まで来た、と同社は述べている。
  4. ペンタゴンは指向性エネルギー兵器の実用化になみなみならぬ関心を示してきた。
  5. 空軍とペンタゴン研究開発部門Darpaは今夏から150キロワット級電気レーザーの地上テストを、ロケット弾、迫撃砲弾、車両、地対空ミサイルを標的にホワイトサンズミサイル射撃施設(ニューメキシコ州)で展開中だ。このプロジェクトはDLWS(レーザー兵器実証システム)と呼称され、Darpaが開発した高エネルギー液体レーザー地域防衛システム(Hellads)が原型。
  6. その前には空中発射レーザー事業があり、メガワット級化学(酸素ヨウ素)レーザーをボーイング747-400貨物機に取り付けテストは成功している。だが装置は巨大で機内全部を必要とし、調達は2009年に中止されている。価格と実用性が疑問視されていた。■

ビデオは下をクリックしてご覧ください。

2015年9月1日火曜日

☆★ステルス機に有効な空対空ミサイルの新誘導方式を日本が開発中



武器三原則の緩和で日本の防衛技術が各国に注目されるようになってきました。記事でいうところの技術はいまいちよくわからないのですが、効果があると実証されれば大きな価値を生むでしょうね。また開発コストが安いのも日本製防衛装備の魅力になるのではないでしょうか。(全部が全部そうだとは思いませんが) 実用化に成功すれば今度は技術情報の保安があらためて必要ですね。

Japan Working On Anti-Stealth Missile Guidance

Japan plans missile-guidance system to optimize flightpaths and detect difficult targets
Aug 24, 2015 Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

標的の動きを予測して対応するミサイル誘導方式の開発が日本で進んでいる。ステルス機に有効な手段だ。目標がどこに進むかを計算してこれまでより長い距離から、低視認性機体を捕捉し、ミサイルの飛行経路を最適化する。防衛省技術研究本部(TRDI)が開発している。
  1. TRDIは空対空、地対空の両面で技術を開発中で、中国やロシアがステルス機を開発中であることを意識している。
  2. 実際にどんな技術で探知性能を引き上げるかは説明がないが、シーカーの走査範囲が狭まればそれだけ探知が成功する可能性が高くなるという発想がもとのようだ。敵機の次の動きが正確に予測できれば最終段階の誘導でセンサーの探知成功が確実になる。探査範囲が狭まれるからだ。TRDIはアクティブレーダー方式ミサイルにこの技術を導入するようだ。
  3. プロジェクトは2013年に開始され、2017年末までに完結する予定とTRDIは説明。基本となる誘導装置一型は4月に審査を受けており、地上試験が2015年遅くに始まる。これが誘導装置二型開発につながる。地上試験は2017年にかけて増加し、「物理的再現テスト」も行う。システムの中核部分は「目標運動予測フィルター技術」および「目標運動予測による誘導航法技術」だという。
標的機の動きを予測することで発射するミサイルはこれまでより短い軌跡で標的に飛翔することが可能。
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  1. 探知精度の向上とは別に日本はミサイルをより短い軌跡で誘導して結果的に速度を上げる事を狙っている。
  2. 1940年代50年代に登場した初期の空対空ミサイルや地対空ミサイルは標的にねらいをあわせるだけのものだった。だが標的は移動するのでミサイルも円弧軌跡で追尾している。ここに比例航法技術 proportional navigation が導入されたことでミサイルは目標がそのまま飛行を続ける地点、速度に飛ぶこととなったが、目標がコースや速度を変えればミサイルも軌跡を変えざるを得ずエネルギー損失、有効距離が短くなり、交戦時間が長くなった。
  3. TRDIの新システムは旋回する標的の予想地点を把握できる点で一歩先をゆくものだ。理想的にはミサイルは標的の速度変化に合わせた調節が必要だが、TRDIはこの点は説明していない。
  4. 標的機がミサイル発射機の前方にあり、両機が高度12,000メートル(40,000 ft.) で飛行している場合、標的移動予想技術によりミサイルの迎撃飛行時間は従来の15.0秒から12パーセント減り、13.2秒となるとTRDIは説明する。
  5. ミサイルシーカーと誘導方式の技術は固く秘匿されている。ヨーロッパのミサイルメーカーMBDAは2013年から空対空ミサイルの有効性を高めるべく目標の動きを予測する技術開発に取り組んでいる。詳細は不明だが開発中のアルゴリズムはミサイルの命中度を上げ、離脱のタイミングをパイロットによりよく伝えるものと言われる。
  6. ただしTRDIの新誘導方式ではミサイル発射機や地上発射機の役目は明確ではない。
  7. 新技術の導入が見込まれるのは日本が開発中のNSAM(中距離地対空ミサイル)およびNAAM(現行三菱電機製AAM-4Bの後継タイプとなる中距離空対空ミサイル)だろう。AAM-4Bの最新型にはアクティブ電子スキャンアレイ(AESA)方式のシーカーが搭載されている。AESAでステルス機への有効度が高まるのは同じアンテナで大出力が発信できるからだが、さらにガリウムヒ素トランジスターを使ったレーダー開発に日本は取り組んでおり、実用化されれば出力は更に伸びる。
  8. 目標の位置予測でAESAレーダーはビームとスキャン範囲を即座に変更し、新しい予測位置に柔軟に対応できる。おそらく予測位置の精度がスキャン範囲を自由に制御するのだろう。
  9. TRDIはNSAM用の発射制御装置では標的のレーダー情報以外にネットワーク化された各レーダーから統合したデータからも情報を引き出す機能を実現しようとしている。構想図でTRDIは従来方式ではレーダー2基を使っても標的を見失うことがあるが、新方式では各地の各種レーダーを投入したネットワーク化で捕捉追跡が可能だとしている。センサーの元データは圧縮してネットワークに流すとTRDIは説明している。なお、NAAMについては情報が公表されていない。■


PLA>3日の軍事パレードで注目すべき装備品はこれだ


今週北京で開かれる軍事パレードに首脳が参加する国は西側の基準から見て「あれ」なところばかりですが、国連事務総長が参列するというのはどう考えても価値判断を疑わられる決断ですね。それはいいとしてハードウェアでどんなものが出てくるのか「チャイナウォッチャー」には興味が尽きないようです。

Big Week for China Watchers

by BRENDAN MCGARRY on AUGUST 31, 2015

J-31 stealth fighter (Photo: Xinhuanet Photo/Chinanews.com)
中国ウォッチャーが注目すべきイベントが今週にある。木曜日に人民解放軍が日本降伏70周年を記念した大規模軍事パレードを実施する。
パレードと平行して台湾からはスプラトリー諸島での軍事施設工事が完了次第中国が南シナ海で防空識別圏ADIZを宣言するとの観測がある。
PLAはパレードで最新兵器を展示する見込みで、銃火器、ミサイル、戦車から戦闘機など500点が現れるとCNNは見ている。その中で注目に値する装備は以下のとおり。

戦闘機
中国による第五世代ステルス機成都J-20双発戦闘機、瀋陽J-31双発多用途攻撃危機、J-18垂直離着陸機の登場が予想される。このうちJ-20は長距離機でF-22を盗用した設計と伝えられている。就役は2018年の予定。J-31は輸出も視野に入れた多用途機で2019年に第一線に配備される。J-18は航空母艦用に開発された垂直離着陸機だ。
弾道ミサイル
パレードに初登場すると見られるミサイルには東風DF-15B短距離弾道ミサイル、DF-16およびDF-21C中距離弾道ミサイル、DF-26中距離弾道ミサイル、DF-31AとDF-5Bの大陸間弾道ミサイル、DF-10対地攻撃巡航ミサイルがあるとJane'sは伝えている。今月に入りPLAが液体燃料型DF-5Bを開発中との観測が浮上している。同ミサイルはこれまでで最長の有効射程を有するといわれ、地球上いかなる地点も攻撃対象にできるといわれる。
対潜哨戒機
日本、台湾と領土をめぐり対立中の中国にとって海上監視機の役割がこれまでに増して重要になっている。米軍はP-3CからP-8Aポセイドンに機種転換中であり、日本も国産P-1を各国に売り込む構えだ。そこで中国が陝西Y-8/Y-9対潜哨戒機をパレードに加わるか注目だ。同機はソ連時代のアントノフAn-12四発機を原型とする。■


2015年8月30日日曜日

PLAN>ロシアと日本海沿岸で揚陸演習を実施


今回の演習はあまり報じられていませんが、規模からいって尖閣諸島を相当し指揮したものであることは明らかです。安保法案で机上の空論が先走りしがちな我が国ですが、こうした日本のまわりの不穏な動きにも都度注意していく必要がありますね。

China, Russia Land 400 Marines in First Joint Pacific Amphibious Exercise

By: Sam LaGrone
August 26, 2015 5:35 PM • Updated: August 27, 2015 7:19 AM

Chinese amphibious warship Changbaishan deploys what appear to be several ZBD-05 infantry fighting vehicles as part of Joint Sea 2015 on Aug. 25, 2015. Chinese MoD Photo
中露共同演習で中国海軍の揚陸艦長白山がZBD-05らしき歩兵戦闘車両を展開している。2015年8月25日撮影。Chinese MoD Photo

中国とロシアが初の合同上陸演習を行い、陸戦隊400名をロシア領太平洋沿岸に揚陸させた。日本本土から300マイルほどの地点。中国国防省が水曜日に写真含め公表した。

  1. 以前から人民解放軍海軍(PLAN)とロシア海軍は揚陸演習を実施しているが、中国が海外領土に部隊を上陸させたのは今回がはじめて。なお演習名はJoint Sea 2015 IIと中国国防省が発表。
  2. PLANは約200名の陸戦隊をタイプ071揚陸艦長白山Changbaishanからロシア領太平洋沿岸に上陸させた。8月25日に実施したとしている。
  3. 中国国防省発表の画像ではZBD-05歩兵戦闘車両が数台見られる。同車両は米海兵隊が調達を取り消した遠征戦闘車両(EFV)に外観が類似している。
  4. 揚陸演習では中国は航空戦力も動員しパラシュート、ヘリコプターで海岸に兵員を上陸させた。また戦闘機も動員し空中援護も実施している。
  5. 中国国防省はロシア側の動員部隊については空挺部隊除き言及していない。
  6. PLANが動員した装備と戦術は米海兵隊の部隊上陸方法と類似しており、敵部隊を海上と空から同時に包囲する考え方も同じだ。
  7. 揚陸作戦用の装備は軍でも複雑なものだが比較的安価な誘導兵器が世界各地に拡散していることを考慮しなければならない。米海軍・海兵隊は揚陸作戦を水平線の向こうから、海岸から実施し艦船を守るよう求めている。
  8. 演習では洋上作戦基地として長白山が海岸から視認出来る範囲に配置したことで演習の難易度が下がったが、排水量2万トンの同艦は有事であれば相当のリスクを覚悟しなければならないだろう。
  9. 中国は今回の演習は特定の国を想定したものではないとするが、PLAは台湾侵攻を想定した訓練をこれまでも行っている。また日本が実効支配する尖閣諸島を迅速に占拠支配する訓練も実施している。
  10. 中ロ両国は軍事協力の強化を昨年末に発表しており、両国関係者によれば米による軍事力拡張・政治影響力拡大ヘ対抗するものだという。
  11. 以下は8月26日に中国国防省が発表した全文。
  12. 「中国海軍が初の海外における揚陸演習を火曜日に実施した。これはロシアと実施中の海軍演習の一環。
  13. 演習地点はロシア領クレルク岬地帯でJoint Sea-2015 (II)演習の一環として実施。演習期間8月20日から28日まで。
  14. 両国海軍は揚陸装備および400名以上の陸戦隊を展開し、各種手段で海浜への上陸を行った。落下傘降下、ヘリコプターからロープでの降下に加え各種揚陸装甲車両や上陸用舟艇を使った。
  15. 「初めて戦車、装甲車両を上陸させ、兵員は直接海外領土の演習地に長期航海を経て揚陸させた」と演習の中国側責任者Lian Yangが述べている。
  16. 「このような演習でわが方の装備品の性能を完全に試することができ、現地の気象状況や地形条件に適合しているか見ることができた」
  17. 中国陸戦隊の100名以上の隊員を直接演習地の海浜に14両の水陸両用装甲車両で運んだ。中国揚陸艦長白山から発進し、同艦は海浜から一キロ以上離れた地点に投錨した。
  18. 「上陸は隊員が海水に濡れることなく行われ、実際の戦闘状況での上陸作戦の要求内容に合致するものだ」(Liang)
  19. それとは別に24名の隊員はヘリコプターからロープ降下している。また中国揚陸艦云雾山Yunwushan からは装甲車両6両と陸戦隊員26名が上陸地点に到着した。
  20. 中国空軍も参加しJ-10、JH-7それぞれ2機が中国国内から発進し、ロシア領空を横断し演習地にかけつけた。
  21. 演習の成功で両国海軍が高いレベルで協力できると実証された。中ロあわせて20隻以上の艦船が今回の演習に参加し、今年に入って両国が共同演習を行うのは二回目で27日に終了の予定だ。第一回目は地中海で、中国は初の参加となった。(引用終わり)」■

2015年8月29日土曜日

★モスクワ航空ショー>T-50戦闘機が機体制御能力を披瀝、その他装備話題



Russia's T-50 Fighter Shows Off New Moves At MAKS Airshow

Aug 25, 2015  Bill Sweetman | Aerospace Daily & Defense Report
 Sukhoi’s T-50 stealth fighterSukhoi
ZHUKOVSKY, Russia – スホイT-50ステルス戦闘機がMAKSモスクワ航空ショーで飛行展示され、Su-27から続く伝統を見せつけ、前回2013年のショーで控えめな展示に終始していたのと好対照だ。
  1. 同機はSu-35Sと同様の飛行パターンを示し、そのひとつに「ベル」としてハイアルファ減速のあとに超低速180度旋回で飛行方向を反対にする飛行を披瀝している。また降下しながら水平きりもみに近い旋回をしており、垂直上昇能力や低速での機体制御性能を見せつけている。
  2. ショーではMiG1.44がやっと地上展示された。同機は元々1980年代の設計で初飛行が2000年2月まで遅れ、その後キャンセルされている。一機しかない試作機はジューコフスキーにあるグロモフ飛行研究所に保管されていたもの。サトルンAL-41F双発は各40,000 lb. 近い推力で、史上最も強力な推進力を有する戦闘機で超音速巡航飛行に高い機動性を組み合わせた設計だった。「ベリヤコフ(当時MiG設計局を率いていたロスティスラフ・ベリヤコフ)は空軍の要求内容を全て受け入れたが、1980年代当時でも無尽蔵に予算がつく時代が終わりに来ているのは明らかだった」とMiG設計陣の一人が回想している。
  3. ショーで初めて判明する情報が多いが、戦術ミサイル企業体Tactical Missiles Corporation は新型空対地ミサイル、グロム(雷鳴)二種を発表している。グロム-1 Grom-1 (輸出型はE1)はロケット推進式、グロム-2は滑空兵器だ。ともに折りたたみ式主翼を備える。Kh-59MK2と判別される兵器にはジェットエンジンが搭載されているようで、Kh-59M(AS-19カズー Kazoo)の弾頭と誘導システムを流用しているが、まったくの新型で側面が平面の機体となっており、T-50兵装庫に収まる設計だろう。
  4. またオートバザ-M Autobaza-M  パッシブ位置判別システムが登場した。JSFディフェンスシステムズ  JSF Defense Systems,が製造元だ。これは二年前にも模型が展示されていた。また地上配備型ジャマー装備でKRET社KRET (Concern Radio-Electronic Technology)の各種製品が展示されていた。■


2015年8月28日金曜日

米空軍>A-10後継機を検討か、でもそのまま実現するとは思えません



混迷していますが、水面下ではA-10後継機を目指す動きがあるようです。ただし原資がないと先に進めないということでT-Xと一緒にすれば良い、という主張ですが、こうなると前から話題に出ているテキストロン・エアランドの常識を破る小型機スコーピオンが注目されないかなあと思いますが、いかがでしょうか。

Amid Pressure To Keep A-10 Alive, USAF Explores Close-Air Support's Future

By Lara Seligman7:08 p.m. EDT August 25, 2015
WASHINGTON — 米空軍はA-10温存を求める圧力と厳しい予算削減の中で近接航空支援(CAS)の将来像を検討中だ。
  1. A-10退役を目指す空軍の動きを憂慮する議会は代替機種の手当がないことを問題視している。空軍の主張はA-10を全機退役させれば今後5年間で42億ドルの予算節約になるというもの。これに対しA-10擁護派は地上部隊を見殺しにするつもりかと空軍に食って掛かっている。
  2. 広がる懸念の声に空軍はついに将来型のCAS機材の開発案があることを示した。航空戦闘軍団の2015年戦略方針がCAS機材の「開発可能性」を求めている。
  3. 「バランスのとれたCAS能力がすべての機材で必要で、将来のCAS機材の開発をめざすべきである。またCASの伝統の火を消してはならない」と同案にあり、8月10日に公表されている。
  4. 空軍関係者からはA-10後継機をA-Xとして検討中であるとの方向性が示されている。ACC司令官ホーク・カーライル大将は「検討中だ」と空軍協会主催シンポジウムで2月に記者団に答えている。
  5. 「将来の戦力構造を考えると抜けがないようにウェポンシステムが必要になり、まさしく現在進行中だ。すべての方向性を検討している」(カーライル)
  6. 一方で空軍は3月にCASミッションを考える会議に各軍を招いた。
  7. 空軍が将来のCAS機材開発にあたる一方で専門家の中にはA-10が開発された1970年代と今日ではミッション内容が大幅に変わっていることに注意喚起している。現在の空軍は爆撃機やF-35のような戦闘機をCASに投入し、高性能センサー技術でパイロットの状況認識を助けている。MQ-1プレデター、MQ-9リーパーのようなUAVもパイロットを危険な状況に投入せずとも任務を補完できる。
  8. 「精密爆弾の時代に近接航空支援の概念は大きく変わっています」というのはダグ・バーキー(ミッチェル航空宇宙研究所専務理事)だ。「鍵となるのは攻撃対象と攻撃のタイミングを認識することで、これがないとあてずっぽうに投下するだけに終わってしまう」
  9. これに対し現在の技術を使えば空軍はCASミッションを新型多用途機材で効果的に実施できる、情報を駆使してパイロットに戦闘空間を明確に示せるというのがレベッカ・グラント(IRIS研究所主宰)だ。
  10. 「近接航空支援の本質は情報の駆使といってよいでしょう。誰が地上にいるのか、誰が何を必要とするのか、状況はどう進展しているのか。上空を飛ぶパイロットが下を覗いてわかることではありません。まだそんなことをしているとすれば第二次世界大戦から進展がないことになります。今日では通用しません」
  11. A-10は航空優勢が完全に確立されている条件で有効に機能する。イラクやアフガニスタンが好例とバーキーは指摘するが、これより厳しい空域では残存が厳しくなり、アジア太平洋での地上戦に投入されても使い道がない、とバーキーは指摘する。
  12. そこで空軍がめざすA-10後継機種は多様なミッションをこなす機材にすべきだとマーク・ガンジンガー(戦略予算評価センター主席研究員)は指摘する。
  13. 「将来を見越し空軍がどんな環境で作戦展開を迫られるかを考えると、単一ミッションしかこなせない機種では全く意味を成さないと思います。多様なミッションを実施できる機材が必要です」
  14. ただし複数の巨額プロジェクトが控えており、空軍にはA-10後継機にあてる予算の確保は難しい。予算環境が好転すれば、空軍は安価な次世代機で近接航空支援を陸上部隊に提供できるだろうが、現時点では現実性が乏しい観測だ。空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将は今年春に以下発言している。
  15. 「近い将来に低脅威環境で投入できるCAS機材が必要だ。ただし予算があれば」とウェルシュ大将はワシントンで語っていた。「今は予算がないが、現行機種より効率のよい新型機が必要となるのは確実といってよい。より大きな火力を搭載し低脅威度の中で運用可能な機体だ」
  16. 予算にもう一機種をねじこむのは空軍には難題だ。すでに新型爆撃機、練習機、共用監視目標攻撃レーダーいシステム機(J-STAR)があるとガンジンガーは指摘する。
  17. そこで考えられるのがT-XとA-Xの共通化で練習機にCASミッション能力を付与することだとガンジンガーは言う。
  18. 「多用途機となるでしょう。軽攻撃、近接航空支援、に加え練習機にもなるのです。空軍はT-Xを先に推進することを決めていますからA-10後継機開発費用もまかなえるでしょう。」
  19. 短期的には予算環境の大幅な好転がない限り、空軍がA-10後継機開発に乗り出すことはないと見る専門家が大多数だ。なんといっても2020年代は大幅に支出増となる。その間は厳しい装備のやりくりをしながら技術進歩をにらみつつA-10後継機種の検討が続くのだろう。)■


2015年8月26日水曜日

中国海軍、入隊勧誘ビデオに見える内部事情



人民解放軍が党の軍隊であり、極めて閉鎖性の強い組織であることに注意が必要です。またその中でどんな考えが涵養されているのか、その考えが行動に現れていること(例 射撃レーダーを海上自衛隊機に照射)にも注意が必要です。下に紹介されているビデオは今見られるのかわかりませんが、尖閣諸島が出てくるなど不穏な内容であることも明らかで、9月3日の「抗日戦勝利」(日本が降伏文書に調印した日ですが、中国を代表していたのは国民党政府でした)にあわせて公開されたのは間違いないでしょう。たかがPRとはいえ、日本政府は尖閣諸島のシーンの挿入に抗議しないのでしょうか。追記 このビデオをご覧になりたい方は下をクリックしてください。https://www.youtube.com/watch?v=YPZgfKkYID4

Chinese Navy: ‘So Long As It Is Blue, There We Will Be On Guard’
By Colin Clark on August 21, 2015 at 2:39 PM

WASHINGTON: 中国軍部が『地球のいかなる地点であれ、外洋すべてがわが海軍の守備範囲だ』との興味深いが意味の重い宣言をしている。

  1. これは人民解放軍海軍(PLAN)の入隊勧誘ビデオで紹介されている文言だ。「きれいに作られており、琴線に触れる内容」とディーン・チェン(ヘリテージ財団で著名な中国軍事問題専門家)が語る。「世論形成の戦いでもある」 ビデオを製作したのは人民解放軍の政治総局で、政治忠誠心、心理戦また人員関連すべてを担当する部局だ。
  2. 「中国(PRC)の外洋海軍がシーレーン防衛だけが目的だろうか。中国防衛も重要任務だと思う」とチェンは見る。中国は伝統的に陸上を重視してきたが、世界各地の海洋パトロールにも乗り出しており、西側の英米が経済政治上の権益を守ってきたのと同じ行動に出ている。「中国の経済重心は沿岸部に移っており、もはや中国本土と世界の間に緩衝地帯は存在しない」
  3. PRビデオでは尖閣諸島の現在の映像も入っている他50年代らしき戦闘映像もあり、ビデオの副題たる『全ての領土へ一歩たりとも踏み入れさせない』の意味が出てくる。愛国的中国市民向けとともに日本へのメッセージと受け止められる他、周辺各国に対してもPRCが領土と主張する場所で妥協の余地がないと言っているようだ。
  4. だがこのリクルート広報の真の狙いはPLANにとって望ましい人材の確保にある。その点で興味深い内部事情がある。.
  5. チェンによれば中国はプロ意識の高い軍の構築をめざしてきたが、実際は徴兵制度に頼っているのが真相だ。「中国は技術志向の軍を整備しようとしている」とチェンは指摘し、これまで30年間一貫した軍の目標だとする。
  6. その中でゆくゆく下士官となり中国軍を支える人材候補の勧誘が重要だ。今回の広報では士官候補生として、必要な技術を有しているが、軍務を職業とは真剣に考えない層も狙う。
  7. チェンは現在の徴兵制ではプロ意識の高い軍を構築することは「根本的に困難」と指摘する。「将校が全員共産党員で下士官が非党員なら、下士官は将校と連携できない」
  8. ビデオにはアメリカの勧誘ビデオさながらの場面もある。水兵が子どもが描いたらしい絵をじっと見つめる場面だ。チェンは「軍務への勧誘」を訴える要素もビデオ中にあると指摘する。『才能を花開かせる機会だ』との説明があり、ハイテク装備が全編で示される。また女性も写っている
  9. 愛国心に訴える必要もある。『強靭な祖国には強力な海軍が必要だ』とし、ビデオの最後には水兵の一隊が行進する。『海軍は君を必要とする。一緒に栄光ある国家再興の目標を実現しよう』 再興とは習近平主席の提唱する政策目標で、中国をもう一度活力ある強力な国家に復帰させる事を意味する。■


2015年8月25日火曜日

朝鮮半島緊張>B-2をグアムへ展開させる米空軍


非常時になれば誰が頼りになるのか韓国の皆さんにも理解できることだと思います。緊張緩和に向かっていると報じられていますが、ミニ潜水艦の行方はまだ不明ですし、世界経済の混乱を北指導部がどう見るかによっては不測の事態が発生することも想定されます。



B-2s to deploy to Guam in support of South Korea

By Phillip Swarts, Staff writer5:38 p.m. EDT August 24, 2015

635760338503381834-photo-B-2-credit-AF(Photo: Bobbie Garcia/Air Force)
米空軍はB-2爆撃機3機をグアムに通常の定期ローテーションとして派遣し、韓国支援にあたらせると空軍参謀総長マーク・ウォルシュ大将が24日発表した。
  1. 「B-2三機をアンダーセン空軍基地に展開する作業が進行中だ。韓国では引き続き米空軍兵員を配備し、不測の事態に備え警戒態勢をとらせている」
  2. ウェルシュはB-2の現地到着予定は作戦上の機微情報だとして言明を避けた。
  3. 空軍は兵力投射の手段として爆撃機をに太平洋地区に定期的派遣しており、事態急変に備えている。2013年にはB-2を直接韓国領空内に移動飛行させ北朝鮮を威嚇している。
  4. ウェルシュ大将の発表は南北朝鮮代表が緊張緩和のため会談を始めたタイミングで行われた。韓国陸軍兵士が両国間の非武装地帯で地雷で負傷して緊張が高まっていた。
  5. ウェルシュ大将は朝鮮半島の状況に大きな変化はないと見ていると述べた。「韓国に関し心配なことは多々あるが、全く新規の事態はないと見る」と記者会見で述べた。
  6. ウェルシュは北朝鮮のミサイル能力について都度情報に目を通しているわけではないと述べたが、通常弾頭・核弾頭付きミサイルはペンタゴンが非常に憂慮している要素だ。
  7. 「たしかにあの国はハワイや太平洋の米軍施設に到達可能なミサイルがあるのでこれを一番心配している。十分な注意を払っており、毎日注意を怠ることはない」■