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主張 中国共産党(パーティ)は100周年を迎えたが、パーティは終わりの時間が来る。

 

CCP BirthdayImage: Creative Commons

7月1日の創立100周年を迎え、中国共産党(CCP)が祝賀色に染まっている。この機会に映画、音楽、演劇、結婚式典に加えもちろん花火も打ち上げられ、ここぞとばかりの多彩な催しが展開している。

一方で内務省は「非合法」の非営利組織として宗教団体などの全国取り締まりを展開することで100周年の「良き環境」を実現している。

党の公式歴史を「歪める」あるいは「名誉を汚す」ものに待ち受ける結果を当局が警告している。インターネットを取り締まる中国サイバースペース管理局からは「歴史を冷笑するもの」を告発する専用ウェブサイトとホットラインが公表されており、「傑出した社会主義価値観の優秀性を否定する」ものをあぶりだせ、とある。

反対意見に厳しく臨む姿勢は社会を堅固に保ちつつ国民の忠誠心を強化する必要を認める中国首脳部の意識を反映している。

習近平は社会全般を管理するのを断念すれば共産党の統治は分解するとこれまでも警告しており、民間部門、学校、報道機関も例外ではないとしてきた。党の各種機関が全国並びに各地方で党史の学習会を開催している。中国軍でも百周年を利用し党と習近平への「絶対的忠誠心」を強化していると述べている。

一党独裁が70年続いても自由思想は根絶されていないことは明らかだ。

ここに関連するのが他国での共産党統治の実績を見てのCCPの歴史的使命だ。同党は1921年にマルクスレーニン主義を公式思想として創立された。1949年7月1日に共産党軍事組織が勝利に近づく中、毛沢東が歴史的演説「人民民主独裁体制について」を発表した。生命、自由、幸福の追求の命題の代わりに毛は「社会主義並び共産主義社会」では「階級、国家権力、複数政党を廃絶する」と公言し、私有企業の国有化、農業の共同化を「偉大な輝かしい社会主義国家」ロシアを念頭に推し進めると述べ、とくに「人民による民主独裁体制」による「強力な国家制度」に特に触れた。ここにCCPの創立時の価値観がある。

この価値観に中国国民多数はともかく欧米にも共鳴したものが多数出現したことに驚くしかない。知名度の高い層も加わっていた。だがこれはそもそも最初から間違っており、早くもこれを予知していたものもある。共産主義が逆に絶対的貧困を中国に生んだ。文化大革命で「数千万名がいわれのない罪状で迫害され、職業を追われ、精神を破壊され、身体的障害を受け、挙句の果ては殺害された」のである。毛の統治下での不自然な死亡例は15百万から80百万に上ったとの推計がある。これ自体は理解を超えたとてつもない規模だ。欧米の左翼陣営には毛沢東が共産主義の説く未来を信じ込んでいると映っていた。だが共産思想を現実のものにして不幸な結果や死を招いた。

毛が1976年に死亡すると中国は大変化に舵を切り、地方経済で自由売買市場や個人所有農地が出現した。毛の古くからの同志鄧小平は自身も文化大革命の犠牲となり、30年にわたる狂乱の時代から学んでいた。そこで、「中国の特色ある社会主義」と呼ぶ政策の実現をめざした。これは自由な流通、集団農園の解体、「責任ある体制」を農業、企業民営化、国際貿易、居留地移動の自由に求めるものだった。

その後30年で中国の変容ぶりは世界史上でもっとも傑出した出来事になった。10億人以上の国民が独裁体制から「コネ社会の資本主義」による生活に変わったのだ。制度は完璧とは言えないが、800百万人を貧困から脱出させたのは事実だ。

公式な思想はどうであれ、中国はマルクス主義国家とはとても言えない。ただし、レーニン主義は変わっていない。CCPは中国を鉄の統制で統治している。政治面で反対意見は許されず、司法は独立しておらず、報道の自由もない。習近平主席はさらに権威主義を強め、自らと取り巻きに毛時代を上回る権力集中を実現した。習近平は自身と党の権力を強大化しただけでなく、同時に党をイデオロギー面で強化している。党員資格の新方針では「CCP加入の条件に『マルクス主義ならびに中国の特色ある社会主義を信じること』を基本基準とする。このため党員は『政治面の要求内容を最上段に据える』ことを求めらえ、党の方針やイデオロギーを最優先事項としている」(Jude Blanchette and Evan S. Medeiros)

中国の経済改革は1976年に始まり、これまで貧困を大幅に減らし、経済成長を高め、中国に世界最大級の企業を生んだ。禁煙の中国は地域内のみならず世界規模でこれまでより大きな役割を果たすようになっている。だが中国が直面する課題は多い。経済成長の減速、急激な人口の高齢化、世界各地から示される敵意等だ。中国は過去二世紀の教訓に逆らおうとしている。教訓とは自由体制がより繁栄し安定するという事実だ。習主席が党による締め付けを強化しているが長期的には失敗する。中国共産も例外でなく、独裁体制が永続することはないのである。■

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The Chinese Communist Party Is 100 Years Old. But the ‘Party’ Won’t Last Forever.

ByDavid Boez

 

David Boaz is the executive vice president of the Cato Institute and has played a key role in the development of the Cato Institute and the libertarian movement. He is the author of The Libertarian Mind: A Manifesto for Freedom and the editor of The Libertarian Reader.

 

コメント

  1. ぼたんのちから2021年7月3日 10:38

    記事のタイトルで、CCPは永続しないと書いてあるが、記事の内容ではなぜ永続しないのか、理由がよく分からない。筆者は、元パンダハガーのように見え、鄧時代の郷愁に浸りたいように思える。
    個人的もCCPは長続きしないと考えるが、その理由を述べたい。
    CCP中国は、今や中華帝国となった。「中華の復興」は、中華帝国の復元であり、習を皇帝とし、紅二代を貴族とし、党員を通じて人民を支配する帝国である。
    CCPは、人民の思想を、習を教祖とした共産主義の教義でなく、民族主義に大きく舵を切った。民族主義の高揚はCCPの思惑を超えて暴走するかもしれず、これは危険な賭けでもある。共産主義の教義は、党員向けのプロパガンダであり、信仰であり、この面でCCPは、巨大な教団のように見える。
    CCPが最も恐怖する人民の不満の発露は、監視と暴力、思想教育で徹底的に封止するが、最後の手段は、PLAによる弾圧である。PLAの位置付けが今もってCCPの私兵である理由がそこにある。CCPは、現在も「権力は銃口から生まれ」「最良の人民は死者」と考えている。よって今後中国社会の動乱が起きると、結果は悲惨なものになりそうだ。
    中国経済は、既に最盛期を過ぎている。今後、中国経済は、粉飾された数値とは裏腹に停滞し、減衰すると見込まれる。
    中国の外交は、異常な「戦狼外交」に陥っているが、これはCCP指導部の反映であり、CCP指導部が敵対的な姿勢を強めている証である。この状態は当面続くだろう。他方、「一帯一路」政策は、反米・反西側国家を引き寄せ、朝貢させるものであるが、これも行き詰まりを見せている。
    このようにCCP中国の状況を見てみると、いずれも長続きしないものであるように思える。
    CCP中国の終焉がどのようなものになるか予測はできないが、習が危険な冒険に出る可能性があることは注目しなければならない。
    それは台湾侵攻である。台湾併合は習の宿願であり、PLAの著しい増強はそのためのものである。習の台湾侵攻を思いとどまる理性が、どれほどあるかは謎だが、CCP100年演説等を見ると、権力確立の最終目標のように見え、CCP紅二代政権の継続のために不可欠と考えているかもしれない。
    そして、現在明らかになりつつある武漢肺炎流行の原因と、それに続く国際的な責任追及は、習の責任を問うことになり、追い詰められた習は、戦争の引き金を引くかもしれない。
    この状況下、日本は、抑止力を強く発現する必要があると言うことであり、近い将来、正念場を迎えることになると予測する。

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