2015年5月11日月曜日

北朝鮮の潜水艦発射ミサイル実験は本物か



週末に気になるニュースが入ってきました。北朝鮮が言っているような弾道ミサイルの水中発射の事実は確認されていませんが、本当なら大変なことです。ひきつづき注視していく必要がありますね。国連制裁や日本独自の制裁など関係ないのですね。

N. Korea Test-fires Submarine-launched Ballistic Missile

Agence France-Presse12:45 p.m. EDT May 10, 2015

NKOREA-MILITARY-MISSILE-TEST(Photo: AFP)
SEOUL, South Korea — 北朝鮮が5月9日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)実験に成功したと発表した。生存性の高い核第二撃能力につながる技術である。
  1. 最高指導者の金正恩 Kim Jong-Unが試射を自ら査察し、「世界級の戦略兵器」だと新開発ミサイルを評したと国営通信社朝鮮通信KCNAが伝えている。
  2. ただし今回のSLBMテストは確認されていない。SLBM試射は北朝鮮に弾道ミサイル技術の使用を禁じた国連制裁に違反する。
  3. SLBM技術を実用化した場合は北朝鮮の核脅威は新段階に移り、朝鮮半島から遠隔地への攻撃能力や、核攻撃を受けた際の報復力となる。
  4. 今年早々の衛星画像によれば北朝鮮潜水艦の司令塔に二発の垂直発射管が米分析で確認されている。弾道ミサイルあるいは巡航ミサイル運用の想定だ。
  5. 北朝鮮の潜水艦部隊で一部の艦に水中発射型ミサイルを搭載する試験を行っていると以前から見られていた。
  6. 韓国国防省は昨年9月に情報分析結果から北朝鮮が潜水艦用垂直発射管を開発中と発表があり、ゴルフ級潜水艦(排水量3,000トン)を改装し中距離弾道ミサイルの運用をねらっているとしていた。
  7. ジョンズ・ホプキンズ大の米韓研究所も同様の分析結果が出したがSLBM技術には非常に高額な予算が必要で、開発に「数ヶ年」が必要としていた。
  8. 「北朝鮮が言うとおりなら、予測よりはるかに早く実現したことになる」と国際危機研究所International Crisis Group (ソウル)の朝鮮専門家ダン・ピンクストンDan Pinkstonは言う。「SLBM能力が整備されると北朝鮮の報復能力の信頼度が高まりますが、海外情報分析を待ちたいと思います」.
  9. 上記朝鮮通信によれば潜水艦は発射深度から発射命令を待ってミサイル発射をしたという。ミサイルは空中に飛んだと通信社は伝える。
  10. 報道ではミサイルの大きさ、射程距離を伝えないばかりか、発射地点、発射時間も不明だ。
  11. ミサイル側面の赤字は"bukgeungsong"と書いてあるようで「北星」あるいは「北極星」(ポラリス)の意味だ。
  12. ただし北朝鮮は軍事関連画像を改ざんすることがあり、今回の配信写真も真偽を直ちに確認できない。
  13. 今回のテストは2012年の人工衛星打ち上げと同等の「おおいなる成功」だと金正恩が述べている。衛星打ち上げは弾道ミサイルテストの偽装だと国際社会から非難され、国連による制裁強化につながった。
  14. 北朝鮮が弾道ミサイル開発を進めているのは疑いはないが、どこまで開発が進んでいるかで専門家の意見は二分化されている。
  15. 再突入技術の実験は行っていないが大陸間弾道弾で必要となる技術だ。核弾頭の小型化技術でも意見がわかれている。■


2015年5月10日日曜日

★エアバス>A400Mがスペインで墜落



事故原因の究明が望まれます。トラブルが続くA400M開発がこれでまた遅れるのでしょうか。それにしても新造機が初飛行で墜落するというのは製造上の問題があったのではないでしょうか。
追記 事故は離陸直後に発生しています。ターミナル4を参照してください。

Airbus A400M Crashes During Test Flight

May 9, 2015 Tony Osborne | Aerospace Daily & Defense Report
Tony Osborne

5月9日エアバスA400M軍事輸送機がスペインで完成後の初飛行時に墜落し、搭乗していたテスト要員が死亡した。
  1. A400Mで初の死亡事故となった。同機はセビリアのサンパブロ空港(同機の最終組立工場に隣接)を離陸し、空港近隣の工場地帯付近に墜落した。現地時間午後1時の出来事だった。
  2. エアバスは搭乗6名のうち2名は救助され病院へ緊急搬送されたと確認した。重症であるといわれる。乗員はスペイン国籍のエアバス・ディフェンスアンドスペース社員。
  3. エアバス・ディフェンスアンドスペースによれば事故機MSN23はトルコ空軍向けの機体で来月に納入予定だった。同機は地上テストを終了し、初の飛行テストのため離陸したもの。
  4. 英国防省からは保有するA400M2機の運行を直ちに停止し、事故原因の究明を待つとの声明がでている。
  5. A400Mでは戦術運用能力の開発が遅れる中で全体日程を再編成するさなかで今回の事故が発生したためエアバス・ディフェンスアンドスペースには微妙な問題になっている。

(参考) Airbus Military A400M Fast Facts
Type : Cargo/Transport/Refueling
Crew : 2+1
Wing Span (Feet) : 139.1
Maximum Length (Feet) : 148
Maximum Height (Feet) : 48.3
Wing Area (Square Feet) : 2,384
Empty Weight (Pounds) : 169,000
Gross Weight (Pounds) : 300,900
Powerplant Number, Make & Model : 4 X TP-400-D6 turboprop/11,000 shp. Performance Typical for Primary Mission : M 0.7
Loading Typical for Primary Mission : 81,500 lb. cargo or 90,000 lb. transferable fuel
Source: Aviation Week Intelligence Network


2015年5月9日土曜日

★An-178輸送機が初飛行に成功



C-2輸送機の開発が遅れる間にアントノフからこんな機体が登場しました。ロシアとの関係が険悪なウクライナの同社はどこにこの機体を売り込むつもりなのでしょうか。

Antonov begins An-178 flight trials

Gareth Jennings, London - IHS Jane's Defence Weekly
07 May 2015


アントノフAn-178新型輸送機が5月7日に初飛行に成功し飛行テストを開始した。同機開発の発表から5年が経過している。
初飛行はキエフ-アントノフ空港(ゴストメル)(ウクライナ)を離陸しおよそ1時間滞空した。詳細は公表されていない。また今後の飛行テスト予定、量産計画、軍への納入でも情報はない。
An-178は双発ジェット機でAn-12「カブ」、An-26「カール」、An-32「クライン」各機の後継機種となる。An-178はAn-158リージョナルジェット旅客機に後部貨物扉をつけた構造で、機体前部、操縦席、前脚が共通になっている。.
IHS Jane's All The World AircraftによればAN-178の貨物室はランプ含み16.65m全長、貨物室床の全幅が2.745mで面積は40 m²、容積は125 m³ で、翼幅が28.84mで全長32.95m、全高10.14m。
ペイロードは最大18トンで貨物満載時の航続距離は1,000 km、巡航速度は445ノット。運用には2,500 m滑走路が必要だ。


中国フリゲート艦が黒海へ入る>ロシアへの販売が目的?


ロシア海軍艦艇の建造ペースが遅いことは知っていましたが、ここまで深刻なのでしょうか。また中ロの海軍艦艇でも装備品は相互運用ができる共通項が多いのでしょうか。考え方の違う艦艇を艦隊に導入することでロシア海軍が却って困る事態にならないのでしょうか。夫、ちょっと気が早すぎました。まだ中国艦艇を正式にロシアが導入すると決めたわけではありませんでした。中国のねらいはロシアへの売却よりも他の途上国への販売促進にあるのでしょうね。

Two Chinese Warships Enter Black Sea, Reports Link Visit to Possible Chinese Frigate Sale to Russia

By: Sam LaGrone
May 5, 2015 1:38 PM

Chinese frigate 547 Linyi passing through Bosphorus on May 4, 2015. Photo by Nurderen Özbek via Bosphorus Naval News
中国のフリゲート艦Liny i臨沂がボスポラス海峡を5月4日に通過し黒海に入った。
Photo by Nurderen Özbek via Bosphorus Naval News

人民解放軍海軍(PLAN)の誘導ミサイルフリゲート艦2隻が5月4日に黒海に入った。USNI Newsがボスポラス海峡を通過する両艦の画像を入手した。

  1. 二隻の目的地はノボロシスクで習近平 Xi Jinping 主席が第二次大戦ヨーロッパ戦勝記念式典でモスクワ入りする前に到着するとロシア国営通信が報じている。
  2. 二艦はタイプ54AJiangkai II 江凱II型フリゲート艦(各4,000トン)のLinyi臨沂とWeifang濰坊でロシアとの初の地中海共同訓練に5月に参加すると発表があったばかりだ。
  3. 江凱II型フリゲート艦はともに北方艦隊所属でこれに艦隊給油艦が海賊対策についているアデン湾から派遣される。
  4. これとは別に台湾紙China Timesは艦艇派遣には江凱II型の売り込みを狙う意図があるとロシアの国防専門家アレキサンダー・モヅゴヴォイAlexander Mozgovoy の解説を引用している。
Chinese frigate Weifang crossing into the Black Sea on May 4, 2015. Photo by Nurderen Özbek via Bosphorus Naval News
中国フリゲート艦Weifang 濰坊が黒海に入ろうとしている。5月4日 Photo by Nurderen Özbek via Bosphorus Naval News

  1. モズゴヴォイの解説では江凱II型の購入はロシアでフリゲート艦の老朽化が進む中で国産のセルゲイ・ゴルシコフ(プロジェクト22350、排水量4,500トン)が実戦化するまでのつなぎの意味があるという。
  2. 中国にとってはロシアから受注を取れれば、武器輸出に弾みがつく。中国はフリゲート三隻をアルジェリアへ、ミサイル防空システムをトルコへ、無人航空機をアフリカへ販売するのに成功しているとストックホルム国際平和研究所がまとめている。
  3. 潜水艦建造ではロシアは米国に次ぐ実力があるとみられるが、水上艦の建造能力は冷戦終結後に大きく低下している。.
  4. 例としてセルゲイ・ゴルシコフ級一号艦の就役では建造開始から足掛け7年をかけている。
  5. 海軍専門家エリック・ワーサイムは中国製艦船の購入はロシアが自国の建造能力の不足を認めることになると指摘する。
  6. 「ロシアの建艦能力が話題になるだろう。小国海軍でも自国で建造できる国がある。誘導ミサイルフリゲートでも例がある」と指摘するワーサイム(米海軍協会編世界の戦闘艦船の著者)は「導入が実現すればロシア造船産業の面目がつぶれる事態だ」と言い切る。■

2015年5月8日金曜日

★レーザーやレイルガンでソウル防衛は可能か?



「韓国へのTHAADミサイル配備」の続編です。考察を加えれば加えるほどミサイル防衛は完全ではない、であれば積極的な攻撃で数を減らしてしまえ、という展開です。やはり防衛だけでは勝てない、ということでしょうか。北朝鮮にとっては一番怖いのは先制攻撃を受けることではないでしょうか。とはいうものの、北朝鮮の攻撃で韓国、日本の一部都市部が消滅することが起こらないように祈るしかありません。そもそもそんな攻撃をすることで北朝鮮にとっても何も得になりませんが、軍事論理の世界ではやはり考えておくべき想定なのでしょうね。

Save Our Seoul: Can Lasers & Rail Guns Protect Korea?


By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 07, 2015 at 12:33 PM
Experimental Navy laser海軍のレーザー試験装置
WASHINGTON:  ミサイルが1,000発を阻止できるだろうか。現時点のミサイル防衛では不可能。今の想定は不良国家の小規模発射に対応すること。だが中国の第二砲兵隊ミサイル部隊はともかく、北朝鮮でさえ大量のミサイルを発射して迎撃ミサイルを圧倒できる。
  1. このため軍、産業界、学界で阻止方法の確立に懸命になっている。レーザーのように弾薬切れのない兵器もあるが、北朝鮮の脅威は新兵器にとっても高難易度の対象だ。
  2. 北朝鮮はまだ米西海岸攻撃はできないが、弾道ミサイルはすでに1,000発近く確保しており、韓国や日本各地が攻撃射程に入る。大部分は通常弾頭だが、専門家の多くが北朝鮮はすでに核弾頭の搭載が「技術的に可能」と見ていると核問題交渉にあたってきたジョエル・ウィット Joel Wit が述べている。
  3. 核搭載ミサイルはたくさん飛来するミサイルの一部かもしれないが、瞬時に区別できず数に限りがある迎撃ミサイルを振り向けていいか判断できない。いってみれば高性能爆発物のわらの山の中から核の針をさがすようなものだ。さらに財政が苦しい北朝鮮にとって経済的な理由もある。通常弾頭付きスカッド・ミサイルの生産コストは迎撃ミサイルよりはるかに安価だ。ではレーザーやレイルガンのような新技術でこの状況を打破できるだろうか。
Navy rail gun test海軍のレイルガン試験風景
  1. 専門家の半数は可能と見る。ただし、ある程度までであり、正しい戦術を使った場合に限る。
  2. 「指向性エネルギー兵器には大きな可能性がありますが、まだ構想段階です」と語るのはペンタゴンで戦略を練ってきたヴァン・ジャクソンVan Jackson だ。ウィットともに38 Northの報道陣向け朝食会で講演した。
  3. 「長期的には有望な技術になる」と Aerospace Corporation のジョン・シリング John Schiling  も同意する。(Aerospace Corporationは全米有数の安全保障関連宇宙技術者や情報部門経験者多数が勤務する国の宝のような組織である) 「米国は新技術を近距離戦術用に投入しようとしており、レーザー兵器で海軍艦艇の防御や短距離ロケット弾の迎撃を想定しています」 これでは韓国の都市部を防衛するには範囲が小さい。「北朝鮮の戦略級ミサイルへの対向手段はなにも開発していないのが現状です」
  4. なぜレーザーやレイルガンが近距離でしか有効な兵器にならないのか。ペンタゴンの予算方針だけが理由ではない。中心は物理法則だ。
  5. レーザーの根本的な問題は光線であることだ。光は直線移動する。目視できれば全てに命中するが、見えなければ不可能。反対にミサイルや砲弾は弧を描き水平線を長距離移動するので、見えない目標だといえる。(レーザー光線の方向を変更できるのは高性能ミラーを正しく配置した場合か、太陽と同等の強い重力場だけで、両方とも戦場での利用は期待できない) 巡航ミサイルのように低高度で飛行する目標は10マイルほどに接近するまで水平線に隠れるが、地形やレーザー発射台をどこまで高くできるかでこれは変わる。したがってレーザー兵器には物理的な成約がついてまわり、広範囲の防御は不可能だ。
  6. さらにレーザーの破壊効果は高熱で実現するが、巡航ミサイルや戦術弾道ミサイルの破壊には300ないし500キロワット級のレーザーが必要で、完成はまだ数年かかる。長距離弾道ミサイルの場合は宇宙空間から大気圏に突入するため弾頭部分は再突入時の高熱に耐える設計なのでレーザー光線の強度などへのかっぱなのだ。
  7. ではレイルガンはどうか。レイルガンはマッハ7で飛ぶ23ポンドの金属部材で破壊効果を期待する。また水平線の向こうにも発射できる。ただし局地防衛限定だ。海軍の構想では100マイル先の静止目標なら攻撃できるが、移動目標では不可。また目標の移動速度が高くなれば難易度が高くなる。レイルガンは迎撃ミサイルと違い一度発射したら方位変更ができないので目標が回避したら対応できない。ブライアン・クラーク Brian Clark (退役海軍士官)の試算ではレイルガンを飛来するミサイルへの迎撃に投入した場合の実用射程は20から40マイルにすぎないという。
  8. 「レーザーやレイルガンは短距離の拠点防衛手段」とマーク・ガンジンガー Mark Gunzinger も語る。ガンジンガーとクラークは戦略予算評価センター Center for Strategic and Budgetary Assessments の研究員だ。「電動兵器と迎撃ミサイルは補完関係」
  9. 国土全体の防衛には射程距離を伸ばす必要がある。「比較的少数の核ミサイルが北朝鮮から大規模標的に発射された場合は射程の長い海軍のSM-3が理想的な手段」とクラークは述べる。「たしかに高価格だが、発射陣地一つから数発の発射で広大な国土をミサイル攻撃から守ることができる」
Navy cruiser Lake Erie launches SM-3 IB missile 575519537757ad8b1368733557巡洋艦レイク・エリーがSM-3IB迎撃ミサイルを発射
  1. 米軍の関心はならず者国家がごく少数のミサイルを発射する場合に向けられ、一斉大量発射は想定外とクラークとガンジンガーは言う。北朝鮮が在庫1,000発の中からミサイル100発を韓国に短時間で発射したら、防衛側は高性能・高価格の迎撃ミサイルを撃ち尽くしてしまう。核弾頭つきミサイルは数発かもしれないが、区別不能だ。一発でも迎撃に失敗すれば広島以来の惨事になる。
  2. これだからミサイル防衛の効果を信じる専門家は少ない。「成功可能性80パーセントで通常兵器搭載ミサイルに対応できれば港湾設備や基地の防衛には有効でしょう」とグレッグ・シールマン Greg Thielmann (元国務省、兵器制御協会)が語る。「でも5発中一発が核弾頭で大都市上空で爆発したら手遅れです」
  3. 4発のミサイルが発射され4発とも核弾頭ならどうなるか。ミサイル防衛の成功率はせいぜい50%とクラークは算出している。「攻撃側は一つの目標に7発のミサイルを発射すれば95%の確率で目標に命中させられる」という。ソ連ならそうしただろうが、北朝鮮の保有する核兵器はまだ数が足りない。いまのところは。このため複数目標に多数の核弾頭を発射できない。
  4. シールマンは安心していない。核攻撃から国民の大部分を守れる方法が多分では民主体制では受け入れがたい。「主要都市が核攻撃で消滅する可能性を真剣に考えるべきでしょう。攻撃側も初回攻撃核報復攻撃をを覚悟する必要があります」 そうなると平和の維持に最良の選択は相互抑止力だという。
  5. 抑止が機能しなければミサイル防衛は戦時には有益な選択だ。だが平時の政治ではどれを調達しどこに配備するかの選択はひどく面倒になる。大量のミサイルを撃墜する唯一の手段はレーザーやレイルガンだけだ。だが有効範囲は限定される。長距離ミサイルを迎撃する唯一の手段は迎撃ミサイルだが、迎撃ミサイルの在庫は少ししかない。このジレンマからどの装備を重点的に調達するのか、どこを防衛するのかの選択に迫られる。
  6. 「イスラエルは人口集中地区や防空シェルター配置地区は局地防衛で守り、広大な地区は弾道ミサイル防衛で対応するが、人口密度が低い地区では防御態勢を低くしている」か全く配置していない、とクラークは言う。ヒズボラが発射する通常型弾頭ならこれで政治的に受け入れられるが、核兵器への対応ではこうはいかない。
  7. 大量ミサイル発射への最良の対応策は効果的な攻撃を与えることだ。ミサイル意外に補給処や指揮命令系統(C2)を攻撃する。「C2攻撃は北朝鮮のように硬直した階層構造の指揮命令系統の目標にはとても効果的」とガンジンガーは言う。
  8. 「歴史が参考になるのなら、ミサイル防衛とミサイル施設の疑いのある施設や指揮命令施設への圧倒的攻撃を組み合わせるのが良い」とアンドリュー・クレピネヴィッチAndrew Krepinevich (CSBA理事長)も認める。「第一次湾岸戦争での『大スカッド狩り』は面白い事例だ。TEL(ミサイル発射台搭載車両)で破壊が確認できた事例はひとつもなかったが、スカッド狩りがはじまるとイラクはそれまでの統制のとれた一斉発射を個別無調整発射に切り替えた。土砂降りが小雨になったようなものだ」 発射台は破壊できなかったが、ミサイル退避に集中させ結果として以前のような効果的な攻撃はできなくなったという。
  9. 米軍がスカッドを狙った際には航空機と特殊部隊を投入した。北朝鮮の領空や領土への侵入はイラクより難易度が高いだろう。代わりに遠隔地の重爆撃機や海軍艦艇からから巡航ミサイルを発射すればよい。
  10. 米軍は陸上発射式の巡航ミサイルを保有せず、MLRSのような短距離ロケットがあるが、これでは北朝鮮には到達しないとCSBAは分析している。米陸軍は長距離攻撃手段を開発すべきとCSBAは考える。
  11. 「長距離地対地ミサイルが攻撃手段の鍵となり、敵の攻撃能力を削ぐ手段となる」とクラークは言う。「長距離航空攻撃を補完し複数の脅威発生源へ対応できます」
  12. こちらが別の手段を講じ、多用な対応策を準備すれば、敵の対応はもっと難しくなる。攻撃を加えても敵のミサイルを全て破壊できない。また発射されたミサイル全数を空中で破壊することも不可能だ。攻撃力で敵のミサイルの数を防空体制で対応ができる規模までに落とす事が必要だ。そんな必要が発生しないよう祈ろう。■


ホルムズ海峡・拿捕事件>商船解放、米海軍護衛体制は解除

本件はこれで一件落着でしょうか。イラン革命防衛隊=宗教指導層にとってはイランの実力を西側に示したという威信高揚の意味があったのではないでしょうか。原油価格がやや高くなったのはこの事件の影響と見ていますが、このあとで下落すればホルムズ海峡にどれだけ世界がピリピリしているかがわかりますね。

Iran Releases Maersk Tigris

By: Sam LaGrone
May 7, 2015 10:34 AM

An undated image of M/V Maersk Tigris
An undated image of M/V Maersk Tigris

イラン政府は貨物船M/Vマースク・ティグリスを解放した。同船はイラン革命防衛隊海軍(IRGCN)がホルムズ海峡で4月28日に拿捕していた。イラン政府とマースク海運が5月7日に発表。

  1. 同船は現在バンダルアバスから移動中と国防総省関係者がUSNI Newsに述べた。
  2. イランがマーシャル船籍の同船を拿捕したのはマースク社とイラン民間企業間で10百万ドル超の貨物紛失をめぐる十年近くにわたる係争事件が理由と説明。.
  3. イラン港湾海運機構とマースク海運は合意に達し、同船を解放することになったとイラン国営IRNA通信が報道した。
  4. マースクからは「今回の解放はイラン当局との対話と問題の貨物をめぐる事情説明書を提示した結果」との声明が発表された。「今後も対話継続し貨物問題の完全解決を目指す」
  5. I拿捕した時点でイランと米国間には核問題をめぐり微妙な状況が存在した。
  6. マースク・ティグリス拿捕発生後、またIRGCNが別の米国船籍MVマースク・ケンジントンの妨害の試みに失敗しており、米海軍は米国および英国船籍の船舶をホルムズ海峡通過で護衛していた。米海軍は護衛を今週初めに取りやめた。
  7. 拿捕には政治的理由がないとイランはいうが、IRGCNによる捕獲では周囲を取り囲んだのが国際航路上であり、船首に向け発砲しており異様な行為だ。
  8. 「債権者が請求権を行使して船舶を差し押さえることはよくある。船舶が停泊中に発生する例があり、船主側が警備員を配備して航行できるようにすることが多い。」と海事法弁護士ブルース・ポールセンがUSNI Newsに解説している。
  9. 「警備員を置かない場合は乗組員を帰還させ貨物を降ろし、船舶は港湾に引き止め、訴訟あるいは競売にかける。船舶差し押さえ事例はたくさん扱っているが、今回のような拿捕の例はいままでなかった」.
  10. IRGCNは正規外軍部隊とは別の組織であるが、イラン中央組織と近く、イスラム信仰の防護を任務としている。 ■

2015年5月7日木曜日

韓国へのTHAADミサイル迎撃システム配備は焦眉の急


今日の韓国は日本から見ていて不安になる状況です。AIIB問題でも躊躇なく中国の主張を受け入れ参加を表明しました。とくに国際政治に国民感情を持ち込んだことで一層混乱をしているように写ります。文中にあるようにミサイル防衛装備の主目的が韓国国内の米軍基地の防護にあるのは明らかですが、だからといって国民を防衛しない新ミサイル防衛装備を受け付けないとすれば、米軍の抑止力効果を減じることに自ら手を貸すことになり、北朝鮮・中国の利に叶うことになるのがわからないのでしょうか。 

Save Our Seoul: South Korea Needs THAAD ASAP For Missile Defense

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on May 06, 2015 at 4:00 AM
WASHINGTON: 現在の北朝鮮に米国を核攻撃する能力はない。しかし年少の独裁者金正恩 Kim Jong-unの手元には約1千発の弾道ミサイルがあり、韓国はもちろん日本へも核攻撃が可能だ。一斉発射された場合、朝鮮半島内のミサイル防衛は「悲痛なほど能力不足」を露呈するとペンタゴンの戦略専門家ヴァン・ジャクソン Van Jackson は述べている。このシナリオでは陸軍のペイトリオットと海軍のイージス艦では韓国内の米軍基地の防衛は不可能であり、同盟各国の都市部については言うまでもない。
  1. 北朝鮮で軍備増強が続く中で「ますます危機的状況に近づいており、この流れを止められるものはいない」とジャクソンは見る。
  2. そのため韓国内でミサイル防衛体制を整備する必要があるとジャクソンは言う。ジョエル・ウィット Joel Wit (国務省で朝鮮問題調整官をつとめた)とジョン・シリング John Schiling (Aerospace Corporationで科学主任)が 38 Northのプレス向け朝食会でジャクソンに加わった。解決策として第一段階はTHAAD部隊を展開し、ペイトリオットより長距離で有効なレーダーや迎撃手段を持ち込むこと。長期的にはこの三名の専門家はレーザー兵器やレイルガンも威力を発揮する可能性があるが、あくまでも隙間的な使い方であり、まだ実用の域に達していないと指摘した。
  3. THAAD配備の可能性を言うだけで韓国では物議を醸しており、中国の威嚇があることをジャクソンも認める。しかし、ソウルで「韓国のダボス会議」と称されるAsan Plenumから帰国したばかりのジャクソン(新しいアメリカの安全保障を考えるセンター上席研究員)によるとTHAADをめぐる政治力学は変わりつつあるという
  4. 「韓国はTHAADの受け入れに六か月前より前向き」とジャクソンは言う。これは米国外交が実を結んだのではなく、(実際に米国はまだ配備の提案もしていない)、中国があまりにも高圧的な態度を示したためだ。中国は露骨にTHAAD配備させないよう韓国に働きかけており、反動で韓国は以前より同ミサイル配備を受け入れやすくなっている。
  5. とはいうもののジャクソンも「大きなきっかけがないと韓国もTHAAD配備を申し出てこないだろう」とみており、例として北による第四回核実験を想定している。北朝鮮の挑発的な動きは予測がつかず、その分だけ大きなきっかけになるかもしれない。
  6. だが北朝鮮と中国はTHAAD配備を挑発的な動きととらえないか。地域内軍拡を引き起こし中国やロシアが米国製ミサイル防衛を打ち負かす新兵器の開発にすすむのではないか、との質問が会場から出た。
  7. 「その事態はすでに発生している」とジャクソンは中国やロシアが極超音速兵器の研究をしている事実を指摘した。両国の軍事装備への投資の前提は西側との軍事衝突発生だ。韓国でミサイル防衛を強化してもこの前提への影響は僅少だろう。
  8. ただシリングは中国と朝鮮半島を舞台にした軍拡になれば、米国と韓国には勝ち目がないという。「中国は北朝鮮に低性能ミサイル部品を大量かつ迅速に搬送するでしょう。THAADやペイトリオット増備のペースを上回るはずです」 また北朝鮮は闇市場から旧式ロシア技術を輸入していることもあり、「第二砲兵隊(ミサイル部隊)増強に走るか、その双方を実施するだろう」
  9. 中国は米国によるミサイル防衛を不安定要素と見ている。Asan Plenumの席上で中国側参加者はTHAADは攻撃手段で脅威とみており、北朝鮮国内を飛び越え中国領土まで射程に収めることを問題していたとジャクソンは言う。技術的には正しいが、議論がずれている。THAADのレーダーや迎撃ミサイルは飛来するミサイルへの対応策であり、地上攻撃やスパイ活動はできない。
  10. 「THAADで中国をのぞき見することはできない」とジャクソンは言い、「中国はXバンドレーダーで今までは不可能だった監視活動ができるといわんばかりだ」
  11. THAAD迎撃ミサイルは理論的には中国機も目標にできる。ミサイル防衛システムは防空用途にも使えるのが普通だが、仮に軍事休戦ライン上から発射しても、中国の領土奥深くへ到達できない。
  12. “The impression I have, the impression that many of the South Koreans shared, the impression that the Chinese gave, was that pressuring South Korea to not allow the deployment of THAAD had nothing to do with military operations,” Jackson said. Instead, he said, the Chinese were worried about the political significance of THAAD as barometer of US-South Korean relations: “The deployment of THAAD is an indicator that the alliance is still functioning.”
  13. THAADが米韓関係のバロメータになることを中国が心配しているという。「THAAD配備になれば同盟関係が今も健在ということになる」 ウィットも「米韓同盟の強化につながる要素を中国が支持するはずがない」という。
  14. それでも中国は北朝鮮の軍備増強を問題視している。ジャクソンは会議で中国側参加者と話してみて、「北朝鮮による核ミサイル開発を非常に問題視している」ことがわかったという。ただし中国側は米国が外交的解決に専念すべしと考えており、軍事抑止力ましてや先制攻撃に出ないことを期待している。
  15. ただし北朝鮮向け外交で成果が少なすぎるという欲求不満が数十年に渡り続いている。北朝鮮外務省には交渉の権限がわずかしかなく、軍部には外部との折衝の経験も能力も不足しているとウィットは指摘する。ウィットは北朝鮮との交渉経験が豊かだ。
  16. 一方で危機的状況はゆっくりながら増大している。「最近は進展がないことには驚かされるほどだ」とシリングは共著者ヘンリー・カンと「北朝鮮の核兵器運搬システム」“The Future of North Korean Nuclear Delivery Systems.”の中で著している。北朝鮮のミサイル技術改良は近い関係だったイランやパキスタンと切り離されて久しい。
  17. そこで北朝鮮の兵器体系は旧ソ連の技術に依存している。保有ミサイルのほとんどが1960年代のスカッドを発展させたものだ。ノドン(「スーパースカッド」)は韓国全土と日本の大部分を射程に収めている。本体サイズが小さく洞穴などに隠して空爆を生き延びる事が可能だ。現時点でも核兵器を搭載できる可能性がある。
  18. だが北朝鮮が開発中の兵器はもっと強力だ。
  • テポドンとして知られる銀河Unhaは4回の打ち上げで成功は一回のみだが、全世界に核兵器を落とす可能性がある。ただ液体燃料搭載に数日かかり、発射前に警戒が可能。北朝鮮のミサイルは液体燃料式が大部分で発射直前に燃料を搭載する必要がある。米国の固体燃料式ミサイルではサイロの中に数年間保管できる。
  • ムスダンはソ連時代の潜水艦発射型ミサイルをトラック搭載ミサイルに改良したもので推定射程距離は1,500ないし2,000マイルとグアムを狙うことが可能とシリングは見ているが、試射は一度もない。
  • KN-08は次世代ミサイルとしてテポドンとムスダンの最良の部分を利用していると言われる。その開発意図は移動発射台搭載用に小型化しながら射程5,625マイルを実現し、米国西海岸を射程に収めることだ。ただしKN-08の試射は実現していない。実際に大陸間弾道弾をテストする空間的余裕は北朝鮮国内には存在しない。実施するとすれば海洋に向けて飛ばし、待機する艦船がデータを集めるしか方法がない。
  • また北朝鮮が潜水艦発射型ミサイルの入手に走っているとの報道がある。ただし水中発射を成功させるのは困難で北朝鮮の潜水艦には航続距離の点で限界があり、米国を攻撃できる地点までの航行は無理だ。

  1. 短期的には未検証かつ信頼性の低いミサイルが極少数の米国に届くかもしれない。それでも核弾頭が付いているとしたら十分に米国を混乱させることに成功するだろう。ただしその程度の脅威だと現時点の米防衛体制が想定範囲内にあることは確かだ。
  2. 対照的に韓国のミサイル防衛を制圧することは今でも十分に可能で、今後悪化する一方だ。この流れを覆す新しいミサイル防衛のモデルは成立するだろうか。この質問への専門家の見解を明日以降の記事で紹介する。■

2015年5月6日水曜日

★オスプレイ>日本向け売却案の概要、17機で総額30億ドル



Pentagon Notifies Congress of Potential $3 Billion V-22 Osprey Sale to Japan

By: Sam LaGrone
May 5, 2015 5:33 PM
Japanese ship Shimokita operates U.S Marine V-22 Osprey aircraft near San Diego Calif. in 2013. US Navy Photo
サンディエゴ沖合で米海兵隊V-22を運用する海上自衛隊輸送艦しもきた、2013年 US Navy Photo

米議会へ日本向けV-22(ベル=ボーイング製)ティルトローター17機の販売(支援装備含み総額30億ドル)を5月5日に通知したと国防安全保障協力庁(DSCA)から発表が出た。

  1. DSCA(ディスカ)声明文では自衛隊地上部隊の活動範囲が広がり、米軍との共同作戦が一層強まると解説している。
  2. 「日本は輸送能力を強化して防衛、特殊作戦の用途への対応向上を目指している。今回提示のV-22BブロックCオスプレイ機の売却で陸上自衛隊の災害人道救援活動および揚陸作戦能力が大幅に強化される」(声明文)
  3. 「今回の売却で同盟国日本にも相応の負担を求めるとともに米軍との相互運用能力が高まる。日本にとって同機の部隊編入は容易に実施可能」(同上)
  4. 売却案には暗視ゴーグル、レーダー各種、予備部品、訓練機材が一式に含まれる。
  5. 日本がオスプレイ調達の検討に入ったのは2013年のことで中期防衛計画の改定で米海兵隊をモデルとした揚陸強襲能力の拡充を求める一環とFlight Globalが1月に報じていた。.
  6. 日本が二隻建造するいずも級ヘリコプター空母の一号艦が就役した。V-22の母艦としては理想的だ。米海兵隊はひゅうが級DDHで2013年にV-22運用試験を行っている。
  7. 有償軍事援助では国内向け調達と異なる手続きが必要となる。.米議会が売却案を承認し、日本側が販売条件を受け入れてはじめて企業側が最終的な販売条件を認め納期を決定する、というのが国務省による説明だ。
  8. ベル=ボーイング関係者はUSNI Newsの照会に対してコメントを出していない。■


2015年5月5日火曜日

難民流入に困るヨーロッパの対策は漁船の破壊か




Europe Weighs Bombing Migrant Boats

By Tom Kington5:10 p.m. EDT May 2, 2015

635660006467741120-470973252(Photo: Dan Kitwood/Getty)
ROME —ヨーロッパ指導層の間で異例の軍事作戦を実施すべきか慎重な検討が続いている。不法移民が乗り込む前に小舟艇を攻撃する案だ。.
検討はリビアの密輸業者が700名もの移民を地中海で溺死させたことがきっかけだ。
4月18日に発生したこの悲劇で密輸業者取締りの機運がヨーロッパ各国で高まった。昨年だけで17万人がリビアからイタリアに送られ、戦争と貧困を逃れヨーロッパを新天地にしようと押し寄せている。
漁船が過積載で転覆する事件は多発しており、ゴムボートも海上で空気が抜けることがある。今年だけで溺死した犠牲者は1,600名にのぼりっており、昨年の死亡3,400名を超えるのは必至だ。
世論に押されたEUは海上捜索救難活動の強化策を打ち出し、「違法業者が使用する舟艇の捕獲・破壊活動を体系的に行う」としている。
EU首脳部は4月23日緊急会合を開き、密輸業者排除の方法を検討する点で合意した。あるいは英国のデイビッド・キャメロン首相がいうように、「ギャング壊滅」に向かうかもしれないが、イタリアのマテオ・レンツィ首相は「小舟艇の捕獲・破壊」を述べている。
イタリア国防相ロベルタ・ピノッティ Roberta Pinotti は「密輸業者がどこにボートを置いているか把握しているし、集結地点もわかっている」とし、「そこに軍事作戦を展開すべきだ」
イタリア国防筋によればイタリアは無人機でリビアで人身密輸業者を監視しており、活動状況を把握しているという。リビアではNATO空爆でカダフィが2011年に権力を失って以降無政府状態になっている。
英仏両国は国連安全保障委員会決議をもってリビア領海内で行動を開始したいとするが、EU外相フェデリカ・モゲニ Federica Mogherini が4月28日に国連本部を訪問して打診している。
外部筋によれば小舟艇攻撃のタイミングがリスキーだという。業者が地元漁船を調達し、移民を乗せるまでに実施する必要があるのだ。
国連事務総長潘 基文 Ban Ki-moon が早速異議を唱えた。攻撃案は「妥当性を欠く」というのだ。「漁業収入はリビアに重要だ」とし、「漁船を攻撃すれば同国民の経済に広範な影響が出る」
ただ総長もリビア内戦終結の政治的解決策に「ほかに選択肢がなく」密輸業者を一掃する方法がないことを認める。
ただイタリア空軍トップをつとめたレオナルド・トリカリコ退役大将は軍事攻撃作戦を強く支持しており、UAVから発射する兵器で小舟艇を攻撃するのは「簡単」だという。「イタリアにはリビア情報は豊富にある」
イタリアのリビア国内情報源は石油と貿易上のつながりによるもの。
イタリアが運用するUAVは偵察用だけだが、トリカリコによればイタリア空軍は武装無人機の運用訓練を行っており、作戦実施の場合は米国から借り上げればよいという。
付随的被害を回避するため、精密誘導不活性弾薬の使用を同大将は提言する。これだとボートに正確に穴をあけても爆発させることはない。

ただしこれに対して別の意見を表明するイタリア軍の退役司令官もいる。密輸業者からボートを取り上げるのは実効性がないというのだ。
「どこまで事前に作戦を立ててもあくまでも外国領土内で軍事力を使うことになるのです」とヴィンチェンツォ・カンポリーニ退役大将 retired Gen. Vincenzo Camporini (前参謀本部長、現在はIAI副社長)は言う。
「さらに精密誘導兵器を民間に向けて使用するには地上で誰かが誘導しないといけませんが、実施は考えにくいですね。人間の盾の問題もあります。さらに米国がUAVを貸与してくれるとは思えません」
カンポリーニによれば唯一の解決策はリビア政府の実効支配の回復だという。「ただし部族レベルで分裂している現状からこれは考えにくく、リビアが第二のソマリアになるかもしれない」という。
「軍事的には効果があるとはいえ、空爆は政治上は全くの愚策」だという。■


2015年5月4日月曜日

米印防衛協力>スコーピオン最初の購入国はインドになりそう ただし商談は高難易度


日米にとってインドは重要な安全保障のパートナーになりそうですが、うーん、インドの官僚制度としたたかな態度に米側も相当苦労している様子ですね。US-2輸出でも日本は相当覚悟するべきではないでしょうか。スコーピオンに関心を示していた亡国とはインドだったのですね。

Carter to offer Scorpion to India under joint development plan

Rahul Bedi, New Delhi and James Hardy, London - IHS Jane's Defence Weekly
30 April 2015

  
Industry sources in India say the US may offer the Textron
アシュトン・カーター国防長官は6月にインドを2日間訪問し、二国間戦略防衛協力のレベルを引き上げるとインド国防関係者がIHS Jane'sに明らかにした
  1. カーター長官は10か年の米印防衛枠組み協定に調印し、防衛貿易技術協力構想Defence Trade and Technology Initiative (DTTI)の早期実施でも合意形成し、二国間共同開発・生産をインドで進める。
  2. DTTIはカーターが国防副長官時代から進めてきたもので、米国はテクストロン・エアランドのスコーピオン軽攻撃偵察情報収集機をインドに提示するものとみられる。同機はインド空軍採用を目指し開発中。
  3. インド空軍司令官アルプ・ラハ Arup Raha 自身がスコーピオンに関心を示したといわれ、複座の同機は中間ジェット練習機(IJT)としても使える。インド空軍(IAF)でIJT機種が不足しているのはヒンドゥスタン・エアロノーティクス・リミテッド(HAL)のシターラ機開発が2005年から進んでいないため。
  4. 2014年のファンボロ航空ショーでテクストロン関係者からIHA Jane’sにスコーピオンの機体単価は20百万ドル未満、一時間当たり飛行費用は3千ドルとの説明があった。あわせて海外向けに2千機の販売目標があると述べていた。ただインドへの販売可能性についてはコメントを避けていた。
  5. バラク・オバマ大統領は1月のインド訪問の際に防衛枠組み合意を共同軍事演習や相互運用性の実現、情報の共有、対テロ対策、海洋監視協力で引き上げると認めていた。
  6. あわせて両国の軍部、防衛関係者高級レベルの相互訪問の頻度を引き上げる。
  7. 駐インド米国大使リチャード・ラフル・ヴァーマ Richard Rahul Vermaによれば両国は77項目のフォローアップをしているという。各項目はオバマ訪印を機にまとめられたもの。「再構成あるいは新規の30項目と別に30項目の対話をしている」というが、詳細は語らなかった。
  8. 関係者によればカーター訪印時にはDTTI枠組みで米国が約束した先行事例4項目の技術内容の進捗を検討するという。
  9. その対象のひとつはエアロヴァイロンメントRQ-11レイヴン無人機の共同開発、共同生産で、ロッキード・マーティンC-130J-30輸送機も対象だという。.
  10. 残る二つは機動性電気ハイブリッド動力mobile electric hybrid power systems (MEHPS)と核・生物・化学戦対応の戦闘服だという。
  11. 今年に入り作業部会がふたつ結成されており、航空機エンジン開発と電磁航空機発進システム(EMALS)が題材で長官訪問の機会に進捗を点検する
  12. カーターからはインド側に総額25億ドルの装備調達契約の早期締結を求める方向で、ボーイングAH-64Eアパッチ22機、ボーイングCH-47Fチヌーク15機がその内容。調達交渉は2013年末にすでに終わっている。.
  13. ボーイングは6月末までは両機種の価格据え置きを認めているがその後は無理との連絡がIAFに入っているとみられる。業界筋によればボーイングが価格据え置きで商談を維持するのはこれで9回目だという。
  14. インドの防衛調達手順Defense Procurement Procedure (DPP)では交渉集結案件で価格改定が発生した場合は入札やり直しとなる。■