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米議会調査局がまとめた日米関係の現況。米議員はこうしたブリーフィングを受けている。対して、我が国国会議員には? 星条旗と旭日旗の合体は格好いいですね。

 


 

米議会調査局が2021年4月6日議会に提出した日米関係に関する報告書の要旨を紹介する。

 

From the report

 

日本は米国の外交政策上の種々の面で重要なパートナーで、域内の安全保障もその一つで、中国の軍事力近代化への保険から北朝鮮の脅威への対抗まで幅広い課題に対応する。日米軍事同盟は1952年に生まれ、米軍は日本領土内に駐留を許されており、現在はおよそ54千名規模になっている。これが米軍部隊の東アジアにおける「前方配備」だ。両国は二国間並びに多国間枠組みを活用して科学技術、保健医療、エナジー、農業など多様な問題で提携している。

 

両国首脳部が一新された中、両国は相互関係を再確認し、新たな取り組みに迅速に取り組んでいる。そのひとつがオーストラリア、インドを巻き込む「クアッド」枠組みで、ほかにも気候変動やエナジー分野と幅広い。トランプ大統領、安部首相時代は個人間の共感への依存が強かったが、バイデン大統領・菅首相は従来型の枠組み中心に復帰しそうだ。菅首相は外交政策の継続性を守ると述べ、バイデン大統領は二国間関係の再整備で北朝鮮非核化や中国の海洋進出、人権蹂躙や新経済秩序樹立をめざす対外投資の動きへの対応をめざす。2021年の両国はコロナウィルス流行の抑制を優先しながら経済回復を優先するとみられ、両国とも外交面へ注力できなくなりそうだ。

 

これまでも米日防衛協力は進化改良されており、折々の安全保障課題に対応してきた。北朝鮮ミサイル脅威、日中で島しょ部をめぐる対立もその例だ。こうした進展の半面で、より自主的な防衛体制を目指す動きが日本に現れ、米軍の防衛へ依存度を減らしたい意向が現れている。さらに普天間基地の移設問題の実施が懸念事項で、負担割合の交渉も2022年に先送りとなっていることも懸念事項だ。米軍駐留部隊の経費負担を定めた五か年合意が2021年4月に失効するが、両国は交渉を来年まで延期する合意ができている。

 

米国の貿易相手国として日本は四番目の規模である。米国向け直接投資では日本企業は第二位の規模で、米国債では日本が最大保有国になっている。トランプ政権が米貿易赤字を再度とりあげ、両国の貿易面での緊張が高まった。2020年1月に限定的な合意が発効し、関税引き下げやデジタル貿易への対応が始まった。トランプ政権が公約したものの実行に移していなかった日本との貿易交渉についてバイデン政権から重要視する姿勢は出ていないものの、議会内には実行を求める声がある。バイデン政権は日本含む同盟国と共同で中国の経済面での挑戦に対応する姿勢を重視している。

 

日本政界では自由民主党の多数体制が崩壊する兆候はない。ただし、菅首相には党内で対抗勢力が現れる可能性がある。なかでも2021年夏のオリンピック開催が世界規模のコロナウィルス流行の中で最大の課題になろう。■

 

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(報告書全文は hereからダウンロードできます。)

 

Report to Congress on Japan-US Relations - USNI News

Report to Congress on Japan-U.S. Relations

April 9, 2021 5:34 AM


コメント

  1. ぼたんのちから2021年4月16日 1:28

    新たな冷戦の状況が明確になりつつある時に、日米首脳会談の主要議題となる対中政策に係わる合意は極めて重要なものになると思われる。過去の米ソ冷戦の正面は欧州であり、NATOが対ソ主力であったが、新冷戦の正面は東アジアであり、特に日本の関与が重要となる地域であり、日本を主要勢力とするQUADが対中抑制力とならざるを得ない。
    米国は、対テロ戦争に長年埋没し、軍事力を低下させてしまい、単独で、中国を抑止できなくなってしまっている。記事の米議会調査局レポートで、異例なほど日本を持ち上げるのは、日本の地域安定への寄与を期待したものと考える。
    日本は、益々戦狼外交を進め、軍事力を肥大化させる中国に対し、日中関係が良好と見えたとしても、否応なしに対抗せざるを得ないのであり、また、戦争を抑止するため地域の友好国とも相互安全保障が必要になるかもしれない。日本はそのための大戦略を打ち出すべきである。
    また、日本は同時に冷戦後の戦略も考えておくべきだろう。新冷戦の終結は、CCP政権の崩壊による可能性が高いとしても、その後の政権が民主的で国際関係において協調的であるとは限らない。中国の多くの国民を統率するためには、今以上の独裁国家になる可能性の方が高いかもしれない。

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