「F-35のコストで第6世代戦闘機はありえない」と述べる防衛産業関係者は、F-35やF-15に対し、第6世代戦闘機の設計パラメータ、素材、機体規模には「明確な違い」があり、コスト上昇は当然と説明しているが、空軍当局は発想そのものを変えようとしている。実現すれば、NGADの輸出仕様につながるかもしれない。
米空軍が第6世代戦闘機を見直す中、空軍トップは、1機あたりの価格をF-35レベルまで下げたいと考えていると述べた。
アナリストや防衛産業関係者がBreaking Defenseに語ったところによると、問題は、有人戦闘機とドローンがどのように連携していくかを完全に再構築しない限り、現実的ではない、あるいは不可能になるかもしれないということだ。
空軍は、有人次世代航空優勢(NGAD)戦闘機の最終的な単価目標をまだ設定していないが、フランク・ケンドール空軍長官は、F-35は空軍が1機あたりに支払いたい金額の「上限」を表していると述べ、F-15EXは「ほぼ」同じ価格カテゴリーだと付け加えた。「しかし、もっと低くしたい」と長官は今週、航空宇宙軍協会の航空宇宙・サイバー会議で記者団に語った。
CCA(戦闘共同航空機)の統合を開始し、CCAにミッション機器や能力機能を移管すれば、それらを制御する有人機のコンセプトは違ってくる。業界関係者にとって、ケンドール発言は、有人NGAD戦闘機に対する空軍の当初のビジョンからの大きな脱却を意味する。
「それは実現しない」とある防衛産業関係者は本誌に語り、F-35やF-15のような旧式だが大量生産された機体に対して、第6世代戦闘機のコスト上昇をもたらす設計パラメータ、素材、機体サイズには「明確な違い」があると付け加えた。
現在、ロッキード・マーティンF-35の単価は約8000万ドルから1億ドルで、F-15EXは約9000万ドルである。逆に、ケンドールが当初見積もったNGADの単価は、1機あたり約3億ドルであった。
空軍がF-35やF-15EXと同程度の価格で、オプションで搭乗可能な第6世代戦闘機を配備したいのであれば、レーダーやその他のセンサー、データリンクなど、航空機の主要なミッション・システムのほとんどを取り外し、戦闘機の近くを飛ぶCCAに搭載するのが唯一妥当な選択肢である、と2人目の業界関係者は言う。
そうすることで、第6世代戦闘機の航続距離、ステルス性の向上、空力性能の最適化に集中することが可能になるが、いくつかの大きな欠点がある、と同関係者は言う。 まず、NGAD戦闘機のミッション・システムを分離することでコストを削減できても、これらすべての属性に関連する「かなり大きな」費用がかかる、と同関係者は言う。また、戦闘機はミッション能力をCCAに依存することになるため、ドローンも同レベルのステルス性と航続距離を持つ必要があり、CCAの単価も上昇する可能性がある。 さらに重要なこととして、NGADのパイロットは、データリンクや電子戦システムのような極めて必要なサブシステムをホストするCCAの生存に大きく依存することになる。
要するに、戦闘機からCCAにシステムをオフロードするということは、この2つを切り離すことのできない1つのパッケージとして見なければならないということだ。
「キャデラックの価格でロールスロイスを望むのは自然なことだ」とティールグループのシニアアナリスト、ジェレマイア・ガートラーは言う。「問題は、そのどちらかを手に入れるか、フランケンカーを手に入れるかだ」 NGADを "静かにやめる" 航空宇宙企業は、超秘密のNGADプログラムへの関与を確認することは許されていないが、本誌は、ロッキード・マーティンとボーイングが、空軍がこの夏にプログラムを一時停止する前にNGAD契約を争っていたと理解している。(ノースロップ・グラマンのキャシー・ウォーデン最高経営責任者(CEO)は昨年、ノースロップはもはやNGADに参戦するつもりはないと認めたが、空軍がどのように競争を再開するかによって、同社はその決断を見直す可能性があると語っている)。
ケンドール発言について質問されたロッキードは、同社のスカンクワークス先端開発部門は、緊急の国家安全保障上の要件を満たすために、革新的かつ費用対効果の高いソリューションを提供することに長けていると述べ、「NGADの要件についてより詳しく知るにつれて、ニーズを満たすために何が必要かを評価します」と同社は声明で述べた。 ボーイングはコメントを拒否している。
AeroDynamic Advisories社の航空宇宙アナリストであるリチャード・アブーラフィアは、ケンドールコメントではコスト的要素に焦点が当てられているため、NGADのような "スーパー戦闘機 "はもはや必要なく、能力を細分化し、それらをネットワーク化することに関心があるという、より重要な空軍の認識が埋もれてしまっていると述べた。
次世代スーパー戦闘機から手を引くという考えは、空軍のDNAに反するものだ。「あらゆる軍事シナリオにおいて、その有用性に疑いの余地はない。欠点はまったくない。NGADのミッション要件の一部をCCAにオフロードすることは「常に計画されていた」ことだが、「空軍は、以前の評価よりも多くのことが可能であることを学んだ可能性がある」と、バイロン・カランは火曜日の投資家向けメモで述べた。
カランは、低コストが強調されているのは、NGADのコンセプトがF-35よりも製造とアップグレードが容易でなければならないことを示唆していると付け加えた。
ケンドールが望む水準まで価格下げることができたと仮定すると、1つの大きな利点が生まれるとカランは指摘した。1機あたりの価格を大幅に下げ、最も機密性が高い輸出規制対象のシステムの一部をオフボードにすれば、海外販売に門戸を開く可能性があるという。
以前、本誌取材に対し、NGADの3億ドルという価格帯は輸出顧客にとって手の届かないものだと語る専門家がいた。空軍はNGADを同盟国やパートナーに販売する意志を示したことはないが、1億ドル程度まで下がれば、第6世代ジェット機はF-35と同じ土俵に立つことになる。
(現在、米同盟国によって開発中の第6世代戦闘機は独仏チームによるもの、イギリス、イタリア、日本によるものの2型式ある)■
Sixth-generation fighter at F-35 costs? ‘That’s not going to happen,’ industry predicts
“That’s not going to happen,” one defense industry official told Breaking Defense, adding that there are “distinct differences” in design parameters, materials and fleet sizes that drive higher costs for a sixth-generation fighter versus older, more prolific jets like the F-35 and F-15.
on September 20, 2024 at 1:08 PM
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。