Defense Newsが伝えるAIについての記事です。忠実なるウィングマンやヴァルキリーなどの機体はあくまでもハードウェア主体の装備で、操縦制御や作戦実施をし、有人機とやりとりするAIをスカイボーグと呼ぶことにしたようです。Sky +Cyborg ということでしょうか。新語辞典でもまだカバーしていない言葉を皆さんと共有しましたね。
Introducing Skyborg, your new AI wingman
これからのウィングマン、スカイボーグ登場
XQ-58Aヴァルキリー長距離亜音速実証機が2019年3月5日にアリゾナ州ユマで初飛行に成功した。 (DoD)
「お前ならいつでも俺のウィングマンにしてやるぜ」、『トップガン』のアイスマンのせりふは人工知能版のマーヴェリックにむけられそうだ。
空軍研究開発本部AFRLがこれをスカイボーグ Skyborg 事業で実現させようとしている。
ウィル・ローパー空軍次官補(調達・技術・兵站担当)が想定するAIウィングマンのスカイボーグはパイロットと訓練で学習して技を磨き、パイロットのニーズに応え生身の人間では処理が困難な脅威に真正面から取り組む存在になる。
開発はまだ初期段階でAFRLは学界とAIの構築作業中だ。だがローパーによれば実現に向けた予算は確保済みで空軍はスカイボーグを無人機のボーイングQF-16、クレイトスのXQ-58ヴァルキリーやBQM標的機に統合する。ただし、今後の話だ。
「実験で終わらせるつもりはない。正式な事業にしたい」とローバーは報道陣に3月13日語った。「数年以内に実用に耐えるか本格的実証でみてみたい。もっとはやく実施させたい」
ローパーはスカイボーグをR2-D2になぞらえた。スターウォーズでルーク・スカイウォーカーがX-Wing機を操縦する際の助手だ。またワトソンの名もあげた。IBM開発のAIでクイズ番組でチャンピオンよりすぐれた回答をした。
スカイボーグを低コストで消耗品扱いのヴァルキリーに統合すれば、パイロットは敵機だらけの空域に無人機を送り込み、自分は危険から距離を置ける。AIは脅威へ人間より迅速反応できる。
あるいはアップルのSiriのようにコックピットでパイロットの指示に音声対応させるのも可能とローバーは言う。
「初期段階では映画のようなすごい光景は期待できませんが、これまでの常識を一変させますよ」
実証内容は未定だ。スカイボーグについてローパーはシミュレーターで生身のパイロットと訓練させたいとする。またAIを無人機に搭載し飛行中に各種物体をどこまで認識できデータをパイロットに伝えられるかを見たいという。
とはいえローバーも生身のパイロットが消えるとは見ていない。
「パイロットはむしろ重要になります。機体操縦だけでなくパイロットに求められる範囲が増えます。操縦しながら無人機部隊の司令塔になればパイロットは仕事に熱中するはず」という。
スカイボーグの進展で解決すべき課題が空軍で増えるとローパーは見る。
その一つがどこまでの責任をAIウィングマンに期待していいのか。どんなミッションを与えるべきかだ。兵装運用の決定を自律的にさせていいのか。稼働期間を通じたシステムの学習に変更を許していいのか。
「ひとつずつ答えをだしていきたい」とローパーは述べ、スカイボーグのテスト結果からペンタゴンも自律運用をどこまでの容認できるかわかるので答えが出ない問題ではないという。
「戦闘投入し二律背反する事態を解決できるAIは現時点では存在しない」とし、「実現すれば、技術の進歩に政策面で追いつくのが難しくなり、政策がなければ現場でバラバラな決断してしまう」
もう一つの課題にスカイボーグ事業が本格化したら空軍内のどの部署が統括するのかという点がある。機体のソフトウェアは通常は該当機種の担当部署が受け持つ。だがスカイボーグがQF-16に搭載されてQF-16担当にまかせると空軍がデータを別用途に使おうとすれば不都合になるというのだ。
こうした課題を空軍は中国との競争を念頭に解決しリスク低減の必要がある。中国も人工知能を最重要分野にしている。
「将来は凄い世界になります。今までにない技術が登場しますので既存の調達のしくみでは対応困難な初期段階を乗り越える必要があります」「第一線使用を開始すれば全く新しい機会が生まれるでしょう」■
「AI」「スカイボーグ」と聞いて映画ターミネーターの「スカイネット」を真っ先に想像しました。くれぐれも、暴走して制御できないAIは止めてくださいね。映画の世界観のレベルになるには未だ時間がかかりそうですが、戦闘機のAIの暴走でも十分困った事態になりますから。。。
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