ロシア軍がウクライナで予想外の失態ぶりを示している。侵攻開始から三ヶ月が経過したが、当初の目標はひとつも達成できていない。
プーチン大統領はロシア軍の実力を誇示しつづけて、ウクライナ東部への攻勢をしかける中で各部隊は期待どおりの働きを示していない。
新しいアップグレード版F-22のコンセプト図。センサーポッド、ステルス形状外部燃料タンク、新型空対空ミサイルがわかる。Credit: U.S. Air Force
米空軍の戦闘機部隊の新たな長期ビジョンが徐々に明らかになり、議会が承認すれば、戦術航空機材の構成が大きく変化する可能性が出てきた。
フランク・ケンドール空軍長官は次世代航空支配(NGAD)プログラムで今後10年間に調達する第6世代戦闘機は、単価「数億ドル」で、自律制御システムの無人機の前衛と2030年代に就役すると4月26日、下院軍事委員会(HASC)で、発言した。
NGAD戦闘機のコストは 「数億ドル」
F-15EX調達は80機へ縮小
空軍は、200機以上残るF-15C/Dの短期的な代替機としてボーイングF-15EX戦闘機を最低144機購入するトランプ政権時代の原案をほぼ半減させ、2024会計年度にイーグルIIを80機発注し調達計画を打ち切る予定だ。
ロッキード・マーチンF-35Aは、F-15C/Dの代替機として唯一可能性がある機体だが、空軍は代わりに、今後2年間で同機の発注計画を34機削減し、2024年度のF-15EX調達完了後に発注を拡大させるとしている。一方、運用開始から33年たつF-15Eは、戦闘機再編で影響を受けない。
最後に、空軍は戦闘機の削減を、残る機材の大規模なアップグレードで相殺できると考えている。
議論を呼んだのは、空軍が今後5年間でフェアチャイルド・リパブリックA-10をすべて退役させる計画で、ロッキードF-22のうち実戦に耐えられない33機を退役させる案だ。
そのかわり、空軍は大規模なアップグレードに資金を投じたいとする。ロッキードF-16の600機以上は、ノースロップ・グラマンのAPG-83アクティブ電子走査アレイレーダーやノースロップ・グラマンの次世代電子戦装備などで、ブロック70/72標準にアップグレードされる。
一方、150機近くあるF-22の残存機体にも新装備の導入が予定されている。航空戦闘軍団のトップであるマーク・ケリー大将Gen. Mark Kellyは、2007年に行われたF-22で初の公開デモンストレーションを記念して、4月27日にツイートし、いくつかのオプションを暗示した。
ケリー大将のツイートには、外板翼のパイロンにポッドを取り付け、赤外線捜索・追跡センサー、低レーダー断面燃料タンク、次世代空対空ミサイルを搭載したF-22のコンセプト画像があった。F-22は今年、ロッキードの長距離AIM-260 Joint Advanced Tactical Missileを初めて運用するが、空軍当局者は4月27日の公聴会で、同兵器はまだ開発中と述べた。
こうした戦闘機材の入れ替えで、2027年度までに戦闘機の定数は16%削減され、現在2,138機ある戦闘機は今後5年間で1,792機まで削減される。
空軍幹部は、NGADやF-35ブロック4などの新しい戦闘機の能力で、退役機を賄おうとしている。この戦略は、議会の抵抗を受けることが多い。実際、5年間で数百機を退役させる提案だったが、2022年度の空軍の航空機の総在庫は、2018年度実績とほぼ同じになっている。
同時に、ケンドール長官はF-35のエンジン換装を提案している。プラット・アンド・ホイットニーF135エンジンは仕様を満たしているが、ブロック4の電子アップグレードは、電力と熱管理システムで対応できなくなる危険性がある。プラットは、コンプレッサーの排気を搭載電子機器の冷却に利用する推力43,000ポンドのエンジンを設計した。しかし、2016年のブロック3Fの電子機器は、2倍のブリードエアのオフテイクを必要とする。新設計コアプロセッサー含むブロック4アップグレードでは、コンプレッサーから47kWのオフテイクが必要になる。
議会が空軍案を承認すればボーイングF-15EX調達は80機で終了する。Credit: Tech. Sgt. John Raven/U.S. Air Force
空軍は、F135をアップグレードするか、先進エンジン技術開発プログラムの製品に換装するかで議論している。候補には、GEエイビエーションのXA100またはプラットのXA101ターボファンがあり、バイパス・フローの適応制御を特徴とし、F135との比較で最低2倍の冷却能力を提供する。
戦術航空機材構成が再構築される中、空軍指導部は、極秘のNGADプログラムに関する公開討論を若干広げた。
NGADプラットフォームは、DARPAの下で2015年に始まったAerospace Innovation Initiativeの名称の技術実証プログラムで構築され、2020年までに飛行実証機少なくとも1機を製造している。
ただし、プログラム内容は、時代とともに変化している。2018年まで、ボーイング、ロッキード、ノースロップグラマンなど元請け企業は、有人型第6世代戦闘機のコンセプトを披露し、低周波レーダーから隠し続けるのが難しい垂直制御面を廃した高度ステルス性が特徴の航空機を開発していた。
しかし、NGADの開発は、2018年に包括的な見直しが始まると、遅れているように見えた。2019年の長期予算計画文書によると、空軍は2023年度予定だった年間約15〜20億ドルの支出規模の約30億ドルへの拡大を延期し、エンジニアリングおよび製造開発フェーズ開始を示唆していた。
空軍の参謀総長を務めたデビッド・ゴールドファイン大将(退役)は、有人型「第6世代戦闘機」がNGADシステム構成に含まれるか確認を一貫して拒否していた。その代わりゴールドファインは、NGADプログラムでは重要技術5点を開発し、単独機材にまとめる意図はないと繰り返し述べていた。この発言は、NGADファミリーの中心に侵攻型制空戦闘機があることを否定しなかったが、肯定するものでもなかった。
しかし、空軍の新指導部は、こうした曖昧さを解消している。HASCに提出された文書で、ケンドール長官と空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウン・ジュニア大将の共同声明は明確だ。「本システム・ファミリーは、第6世代の有人機、無人戦闘機、費用対効果の高いセンサー、武器、通信システムの組み合わせを含む」。
ケンドール長官は、2030年代にNGADを実戦配備する期待があると述べたが、民主党ドナルド・ノークロスRep. Donald Norcross (D-N.J.)とビッキー・ハーツラーRep. Vicky Hartzler (R-Mo.)(共和党)の下院議員二名は、プログラムの遅れを取り上げた。その後4月27日のHASC戦術空陸軍小委員会公聴会でハーツラー議員の質問に答えて、空軍の計画・プログラム担当副参謀長デイヴィッド・ネイホム中将 Lt. Gen. David Nahomは、大日程は大きく変わっておらず、プログラムは順調と述べた。
NGADの開発スケジュールに関するヒントは、空軍が新しく発表した5カ年支出計画にある。13億6000万ドルのステップアップが2025年度に計画されており、2024年度の16億6000万ドル支出計画から30億2000万ドルへ予算増となる。
NGADプログラムの中心となる第6世代戦闘機は、最も高価な戦術機となる予想だ。ケンドール長官が挙げた1機「数億ドル」という価格は、侵攻型制空機の単価を約3億ドルと推定した米議会予算局の2018年予測に沿ったものだ。
ここまで機体価格が高くなるため、空軍は戦闘機部隊構成を別のアプローチに移行させようとしている。
「将来に向けて手頃な価格のミックスが必要であり、問題はどうこれを実現するかだ」「そのため、より安価で攻撃能力を持つ無人戦闘機構想を導入する」(ケンドール長官)。
一方、空軍では、戦闘飛行隊を有人・無人機でどう構成するかを議論している。新しく出てきた連携型戦闘航空機材「Collaborative Combat Aircraft」(旧称忠実なるウィングマン「Loyal Wingman」)は、スカイボーグやボーイング社のMQ-28ゴーストバット Ghost Bat(オーストラリア)などで開発された自律技術を基に構築される。ただし、これは「かなり先の話」とブラウン大将は発言。
ケンドール長官は、無人機の単価は有人機の約半分とはいえ150百万ドル以上になると予想していると述べた。空軍が短期的にF-15、F-16、F-35とNGADの4機種の混合構成に焦点を当てるのはそのためだ。■
New Leadership Reimagines US Air Force Fighter Fleet Structure | Aviation Week Network
Steve Trimble Brian Everstine April 29, 2022
Steve covers military aviation, missiles and space for the Aviation Week Network, based in Washington DC.
改行が正しく出来ていないので、読めない。
返信削除このサイトを運営しているプラットホームの問題だろうね。