2021年6月21日月曜日

NGADでやっとここまでわかってきた。戦闘機型では短距離版、長距離版で異なる機材が生まれる。さらにF-16後継機になれば、F-35Aの立場が微妙になりそう。

 

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  • NGAD concept

U.S. AIR FORCE

 

 

ここがポイント:NGAD戦闘機型は対地攻撃もこなしつつ、長距離型、短距離型の別機材として整備される。

 

空軍が実現を急ぐ次世代制空機は多用な機体構成となりその中で戦闘機型を中心に据え、多任務の実行を狙い、空中の脅威以外に対地攻撃にも対応する。空軍はインド太平洋向けに長距離仕様、ヨーロッパ戦域向きに短距離仕様の機材も同時に活用する予定だ。これが極秘扱のNGADで浮上した最新情報で、少なくとも一機の試作機がテスト飛行を開始している。

 

下院軍事委員会が開いた空軍の2022年度予算要求案に関する公聴会で情報が明るみに出た。出席したのは空軍参謀総長チャールズ・Q・ブラウンJr大将と空軍航空戦闘軍団司令のマーク・D・ケリー大将だった。

 

ブラウン大将はNGADで中心になる戦闘機仕様の機体は「各種システムのシステム」で制空任務につく想定と述べた。それだと空軍が求めるF-22ラプター・ステルス戦闘機の後継機イメージに符合する。ラプターは退役が決まり、2030年代から姿を消す予定だ。だが、空軍トップは新型戦闘機にも「マルチロール」機能が求められ、とくに対地攻撃能力が必要としている。

 

これはハイエンド制空任務に特化している現在のF-22のミッション内容と対照的だ。ラプターも対地攻撃弾を中東で運用した実績があるが、NGADでは接近阻止領域拒否(A2/AD)環境での戦闘運用も必要となり、対地攻撃と制空任務をこなせる機体にすることが理にかなっている。中でも高性能地対空ミサイルの破壊が重大になる。

 

ただし、空軍はF-22後継機には現行機より高い性能を求めている。航続距離の拡大だ。ラプターの弱点は戦闘行動半径で、対中国戦で問題となる。F-35でも航続距離不足は問題視されているものの、F-22よりは長い。中国のような互角戦力の相手との交戦を既存機材で行えば、給油機が不可欠となるが、給油機は脆弱で、USAFはこのことを認識している。そこで、NGADがF-22より相当長い航続距離を実現するのは当然だろう。

 

あわせて、ブラウン大将からはNGAD戦闘機型の兵装搭載量はF-22より相当増えるとの発言も出た。機内兵装庫を拡大し、小型弾薬類を搭載しつつ、忠実なるウィングマンとなる無人機編隊に兵装を重装備させることになる。内部兵装庫を活用すればレーダー断面積を減らしたままF-22はAIM-120を6本、あるいはAMRAAM2本とGBU-32共用直接攻撃弾(JDAM)(1,000ポンド)2発、またはAMRAAM2本と小直径爆弾(SDB)8発を搭載し、さらに短距離用サイドワインダーミサイルを機体側部に搭載する。NGADでは搭載量がこれ以上になる。

 

ケリー大将は空軍はNGAD戦闘機型を二機種で運用する案を検討中とし、ひとつは長距離重装備でインド太平洋でのミッション運用に最適化した機体とし、もうひとつは短距離型でヨーロッパでの運用に最適化するとした。

 

この発想には一長一短があり、考えてみる価値がある。「欧州型」NGADは小型とし購入価格、運用経費を抑えつつ、運用支援インフラも対応させていく。NGADが二型式になると、運用支援の兵たん活動で良い影響も悪い影響も発生する。二型式といっても共通性を高くすることが効果を生むのはF-35で証明済みが、必ずしもその通りにならない。モジュラー化に焦点をあてて課題を積極的に解決できるはずだが、機体のサブシステムが同一ならリスクを軽減し、共通性を増やせる。

 

空軍がNGADの「ローエンド」版を作り、センサーやステルス性能を劣化させるとは考えにくいが、可能性がないわけではない。もっともあり得るシナリオは高度モジュラー化を採用した設計で「一つの原設計から二型式を創る」効果が生まれそうだ。これが可能とするには主翼形状を別とし、胴体部分は共通化することだ。胴体はプラグで延長可能とする。モジュラー化をさらに進めると、拡大版あるいは縮小版の機体が可能となる。ただし、悪い側面としては各方面の戦闘で使い物にならない機材を生んでしまうことだ。インド太平洋地区司令官がヨーロッパに特化した機体で需要が満たせるだろうか。NGADが短時間で仕様を変更できる設計になっていれば話は別だ。

 

この発想はいわゆる「デジタルセンチュリーシリーズ」と重なるものがある。これを考案した当時の空軍次官補ウィル・ローパーは新型機を迅速開発し、5年おきに新型機を登場させる発想だ。この実現には困難がついて回ると思われるものの、NGADにも応用できる構想で、ケリー大将の発言が裏付けていると受け止められる。

 

NGADで新しく浮上した詳細からブラウン大将の構想がよりよく理解できる。ブラウンは酷使されているF-16多数の更新用に完全新型戦闘機の採用を提唱していた。空軍の将来機材構成検討のひとつとしてF-16に代わる「完全新型設計」があり、F-35Aの1,763機調達案を止めてもこれを実現すべきという意見がある。NGAD短距離版をもとに別の機体を作る案も現実味を帯びてきた。

 

そうなるとNGADをラプター後継機としてハイエンド交戦用に投入する以外に、対地攻撃もこなす短距離低ペイロード版をヨーロッパに投入する構想が理解可能となる。

 

同時に輸出も視野に入るはずだが、NGAD標準型の場合、話はややこしくなる。F-22を日本へ輸出する案で議会が高度技術の共有に抵抗を示し、関係者はいらいらさせられた。F-22/F-35ハイブリッド提案が日本向けにあったが、NGAD戦闘機型で二機種が生まれれば別の機会が生まれるはずだ。

 

「NGAD軽量版」がF-16後継機になれば、NGAD開発のみならず関連する各種システムでも効果が生まれる。兵装、通信体系、センサーシステム、また併用する無人機がここに含まれる。

 

そうなるとF-35の地位がさらに不安定となる。F-35を大量調達しコストを下げる狙いも完全新設計のF-16後継機の前に実現が怪しくなる。NGAD派生型となれば性能水準が下がるものの機体価格は低くなり、海外向けにも訴求力が生まれる。同時に対地攻撃もこなしながら厳しい空域での制空任務がNGADで可能となれば、もともとF-35で想定した任務をこなすことになり、F-35事業にまたもや難関が発生しそうだ。少なくとも米空軍内部では。

 

ただし、NGADで判明している内容がごくわずかであり、F-16後継機も同様で情報は皆無に近いままだ。NGADの詳細が次第に明らかになってくるだろうが、驚かされる内容が判明してもおかしくない。■


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The Air Force Might Make Two Distinct Versions Of Its Next Multirole Stealth Fighter

 

BY THOMAS NEWDICK JUNE 17, 2021

中国の新型通常型潜水艦039C型の姿がネットに流出

 China's New Stealth Submarine

Image Credit: TikTok Screenshot.

 

民解放軍海軍の最新型潜水艦の写真映像がソーシャルメディア上に掲載され、039C型元級と暫定的に呼ばれている。

 

15秒間の映像では新型艦がゆっくりとタグボート二隻により河川と思われる個所を通過する姿が見られる。

 

039型はPLAN通常型潜水艦で最高性能といわれ、通常型中国潜水艦の中心だ。039型もディーゼル電気推進方式を採用しているが、大気非依存型推進(AIP)を搭載する可能性がある。

 

判明している内容

 

093C型の推進機関の詳細は不明のままだが、海軍関係専門家の中には高性能AIP方式が搭載されていると見る向きがある。他の中国艦同様に密閉型スターリングエンジンで液体酸素とディーゼルを併用し、潜航中の発電で潜航時間を延長しながら敵の探知を逃れるのだろう。

 

同艦の特徴ですぐわかるのはセイル部分で、大きく膨らんでいる部分が上部にあるが、何らかのソナーアレイあるいは通信装置だろう。同艦には引き込み式曳航ソナーアレイも艦尾の潜舵付近にあり、ソナー探知範囲を大幅に伸ばすねらいがあるはずだ。

 

さらに暫定的に093C型という名称には先行する093型を意識したもので艦体には対艦巡航ミサイル用の垂直発射管は装備されていないが、魚雷発射管からのミサイル発射能力がついている可能性は高い。

 

輸出用なのか

 

093型が中国周辺国向け輸出に成功していることは特記すべきだ。タイ王国、パキスタンが輸出仕様の同型潜水艦を運用しているので、最新版もPLAN用というより輸出を意識しているのかもしれない。いずれにせよ、新型艦は従来の中国建造潜水艦から性能が向上している可能性がある。

 

とはいえ、今ある映像だけで全体像を把握するのは困難で、新型093型艦が中国通常型潜水艦で最高水準の性能を有しているかは今後判明するはずだ。■

 

 


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China’s New Type-039C Stealth Submarine: This Grainy Photo Says It All

 

ByCaleb Larson

 

Caleb Larson is a Defense Writer based in Europe. He holds a Master of Public Policy and covers U.S. and Russian security, European defense issues, and German politics and culture.



2021年6月20日日曜日

豪仏政治トップが後押ししアタック級調達はこのまま継続へ。安全保障で高い買い物になり、クアッド海軍力の整備でも足を引っ張ることにならないか。

 Attack Class Submarine : French President and Australian PM Confirm Their Partenship

アタック級潜水艦の想像図(render by Naval Group)

 

ランス大統領、オーストラリア首相が両国間の戦略提携関係の文脈でアタック級潜水艦事業の重要性をあらためて確認した。同潜水艦事業は複雑な様相を呈しているが、政治が事業継続を後押しする形になった。

 

オーストラリア首相スコット・モリソンがフランスを今週公式訪問した。フランス紙ル・フィガロはフランス大統領エマニュエル・マクロンの演説でインド太平洋の最前線に立つオーストラリアの苦境に触れたと伝えている。大統領は両国のきずなとともに近年の地域情勢の中で二国間関係の重要性を強調した。

 

その関連で大統領は戦略的な意義が強い潜水艦建造契約並びに技術移転事業でのフランスの関与に触れ、オーストラリアが域内での地位を強化しつつ政治面の自主を守る意味でも同事業が重要だと述べた。モリソン首相も価値観を共有する両国の親密さを強調しつつ、戦略提携関係を改めて確認した。

 

同事業について触れると、供用中のコリンズ級潜水艦の後継艦として2000年にSEA 1000プロジェクトとして始まった。12隻調達し、太平洋での運用に必要な長距離ミッションを実施可能な排水量4千トン、魚雷のほか機雷や対地攻撃巡航ミサイルを搭載する新型艦を想定した。

 

候補は2015年までにドイツの214型および新型の216型、日本のそうりゅう級にあわせフランスのショートフィン・バラクーダ級に絞られた。

 

このうちショートフィン・バラクーダがアタック級として採用され、フランス海軍の原潜バラクーダ級をディーゼル電気推進型に変え、オーストラリア向け設計とし、浮上時排水量4,500トン、全長97メートルで最新型ソナーを搭載し航続距離18千カイリを実現するとした。

 

現在はナヴァルグループと改称したDCNSが設計、建造にあたることになり、契約交付を受け、オーストラリア史上で最大の装備品整備事業となった。12隻のうち初号艦の引渡しを2030年代初頭に設定した。

 

しかし、オーストラリアは不満を2020年に公式に表明し、オーストラリア大蔵省は事業経費が500億オーストラリアドルに膨れ上がっていると公表したが、オーストラリア政府は価格上昇を2015年から把握していたといわれる。

 

コスト上昇と遅延に耐えかねナヴァルグループCEOのピエール・エリックが2021年2月から一カ月オーストラリアに乗り込んだほどだ。

 

その後、ナヴァルグループは価格は厳正に管理し、遅延はこれ以上発生させず、2030年代の引渡し開始を保証すると表明し、あわせて事業の6割分の作業をオーストラリア国内で実行するとした。

 

この合意形成後も事業失敗を懸念する声が絶えない。

 

直近では価格に加え中国との緊張の高まりを意識するオーストラリア政府が別の選択肢として、事業を解約し、より安価かつ早期に整備可能な潜水艦建造をドイツの214型で実現できないか検討している。

 

潜水艦各型の比較 (credit: H.I Sutton)

 

 

潜水艦アナリストとして有名なH・I・サットンは214型は高性能だがオーストラリアの要求水準を満たせないと論評している。主な懸念事項に航続距離があり、214型はバラクーダ級より全長65メートルと相当小さいことがある。大容量バッテリー搭載に艦内の容積が不足しており、初期設計を変更すれば高価格かつ複雑な作業になる。航続距離に加え、艦内魚雷搭載本数が12本ではバラクーダ級の24本に及ばず、オーストラリア海軍の要求を満せらられない。

 

だが、モリソン首相とマクロン大統領の共同発表を見る限り、別の潜水艦に変更する案は陽の目を見ることはないようだ。

 

そこで現有のコリンズ級の改修案が浮上している。

 

だが、コリンズ級改修構想は2016年国防白書にもあり、2020年度の国防戦略改訂で方針が確認済みなので、今回初めて出てきたわけではない。

 

改修でコリンズ級の供用期間が伸びてもオーストラリア海軍の要求水準と供用期間は共に満たせない。改修型各艦は新型艦導入の代わりにはならないが、アタック級の実現まで海軍戦力の増強は実現する。

 

既存コリンズ級には適正な予算計上を今後も続け、重要性能内容の向上、老朽化対策、維持に努めることでオーストラリアの潜水艦戦力の維持を図りつつ、将来の潜水艦各艦の供用開始に備える。コリンズ級では通信能力、センサー探知能力の向上も対象とする。(2016年度国防白書)

 

とはいえ、中国海軍の潜水艦部隊の増勢ぶりが早いことから、コリンズ級6隻の近代化改修が決まったもので、2016年時点は3隻のみを対象としていた。

 

トラブル続きのアタック級は現地メディアで絶えず批判の標的となっているが、フランス・オーストラリア両国の最高指導者が戦略的意義を認めたことで、事業継続に保証が付いたといえる。■

 

政治は美辞麗句を並べればその場をしのげるのですが、これからクアッドの有力な一翼を担うオーストラリア海軍なかんずく潜水艦部隊が本当に近代化されるのが2040年代あるいは2050年代になるのでは心配です。喜ぶのは中国でしょう。フランス案を採用したばかりに高い買い物になっていますね。オーストラリアこそ原子力推進を採用すべき国ではないでしょうか。

 

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Attack Class Submarine : French President and Australian PM Confirm Strong Partnership

Lorenzo Tual  19 Jun 2021

 


2021年6月19日土曜日

歴史に残らなかった機体23 グラマン-新明和の革新的すぎたASR-544-4がここにきて注目を集める理由-----インド太平洋で水陸両用輸送機が求められている

 

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Grumman:Shin Meiwa ASR-544-4

JOHN ALDAZ COLLECTION VIA TWITTER

 

 

 

グラマンと新明和がジェット飛行艇にエアクッション機能を付与した機体を提案していた

 

体重量70トンのジェット対潜哨戒機が穴ぼこだらけの滑走路や非整地、さらに氷上から運用できたら?グラマン-新明和共同提案のASR-544-4が実現していれば、日本のみならず他国にも多方面で活躍できる高性能対潜哨戒機になっていたはずだ。残念ながら冷戦時の同提案は実現しなかったが、その内容には相当の革新性があり、今も通用するものがある。

 

日米共同事業の背景にあったのはベルエアロシステムズが開発したエアクッション上陸艇システムACLSで、レイクLA-4軽揚陸機に応用された。

 


                        JOHN ALDAZ COLLECTION VIA TWITTER

                        グラマン/新明和の合作ASR-544-4に米海軍マーキングがついた姿

         

1960年代末から1970年代にかけ、各種機体にゴム舟艇のようなACLSを装着する試みがあり、いかなる地点でも運用が可能となると期待されていた。ACLSを装着した機体は真の水陸両用機として車輪付き降着装置、スキー、フロート、あるいは舟艇状の機体は不要となるはずだった。

 

ACLSは機体下部に空気膨張式バッグをつけ、地上ではエアクッション機となり、水上でも同様に機能する構想だった。圧縮空気で膨らませ、ゴムスカート内部につけた数千もの排出ノズルで空気の層を作り、機体を浮かせる構想だった。一体型の「ピロー」をブレーキとして使い着陸時の減速を図るしくみだった。機体が停止するとノズルをふさぎエアクッション効果を止める。

 

この構想を軍用機に応用するべく米国防総省はカナダの通商産業省、ベルと組んでデハビランドカナダのDHC-5バッファロー双発ターボプロップ短距離離陸機を選び、ACLSの実証を試みた。圧縮空気供給用にターボプロップエンジンを二基追加した同機はXC-8Aと呼称され、「パッファロー」の愛称がついた。同機はACLSを使った離陸に1975年3月に成功した。ただし、ACLSを完全膨張させ着陸をしたかは定かでない。とはいえ、最大の懸念事項はゴム製エアバッグの耐久性にあり、固い表面に触れて摩耗や裂傷しやすいと判明した。


                            BELL

                            XC-8A 「パッファロー」が ACLS で地上移動した

 

 

他方でACLSにグラマンと新明和が目を向け、海洋哨戒機の機能性を上げる手段として期待した。1973年にASR-544-4として出てきた機体は主に海上運用するものの、整地あるいは非整地滑走路での運用も想定した。

 

主翼全幅104フィートで優雅な後退角をつけ、同じく後退角付きのT字尾翼のASR-544-4には1950年代に登場したマーティンのジェット飛行艇試作機P6Mシーマスターを思わせるものがあった。エンジン搭載方法が画期的で、ターボファン二基を主翼上で機体近くに搭載し、三番目のエンジンを尾翼下部につけるというものだった。主翼上のエンジン排気は15度下に長し、離陸性能を向上させる狙いがあった。

 

機体全長は111フィートで乗員10名での運用を想定し、作業スペースとあわせ寝台、ギャレー、洗面所を設定した。ミッション装備として機首にレーダー、磁気異常探知機を翼端につけ、潜航中の潜水艦探知をねらった。さらに機内からソノブイを投下する。機体下部の兵装庫は二つあり、魚雷8本を搭載し、主翼下四か所に対艦ミサイルを搭載するはずだった。

 


                            JOHN ALDAZ COLLECTION VIA TWITTER

 

機体下部には長さ44フィート幅24フィートのACLSがつき、最大高は6.7フィートとなり、使用しない際には機体内に格納する構想だった。膨張用の空気は機体右側の専用エンジン二基が供給し、境界層制御に使うブリードエアも同時供給するはずだった。また、主翼上面にガスを供給して離陸着陸時の効果を助けるねらいもあった。静かな水面からの離昇は向かい風で21秒で完了すると試算され、1、700フィートの水面が必要とされた。

 

JOHN ALDAZ COLLECTION VIA TWITTER

ASR-544-4の機体下部には膨張時のACLSがつき、機体前方後方に兵装庫がつく

 

その他の性能ではミッション半径が1,400カイリ、最大離昇機内輸送量が12千ポンドと計算された。最大速力はマッハ0.9となり、プロペラ式の他機よりも早く移動できた。

GRUMMAN

ASR-544-4の三面図

GRUMMAN

グラマン新明和案の構造図

 

ASR-544-4で想定した性能水準の具体的な内容がはっきりしないが、1980年に供用開始の想定だった。まず海上自衛隊に新明和PS-1、US-1の後継機として対潜哨戒機ならびに救難捜索機とする想定だった。興味深いのはUS-1は水陸両用機で、PS-1は飛行艇として水面からの運用のみの設計となっていたことだ。各機には専用エンジンが付き、境界層制御をする想定で、ASR-544-4と似通っていた。

 

日本には水陸両用機や飛行艇の製造、運用の長い経験があり、さらに高性能機材が必要となるとみていた。ASR-544-4が正式採用され生産されていれば、当時供用中の陸上機S-2やP-2ネプチューンや初期の飛行艇にかわり活躍していただろう。ただし、そのネプチューンはその後P-3Cオライオンに交代している。

 

海上自衛隊では陸上運用の固定翼機と水陸両用機を併用し、後者ではさらに進歩した新明和US-2が生まれ、同機は短距離で離水する性能で注目の的だ。P-3は改修を受け、いまっも海上自衛隊に残るが徐々に国産四発ジェットの川崎P-1哨戒機に交代しつつある。.

 

ただし、米海軍での採用可能性となると話は別で、海軍はすでに1960年代の時点で水陸両用機の哨戒任務をあきらめており、ASR-544-4に任務を見つけられていたか疑わしい。製造も運用も高価につく機体になっていたはずだ。さらに型式の異なるエンジン五基を搭載する同機の保守点検は難題になっていたはずだ。ジェット水陸両用機ではロシアが唯一の運用例で、ベリエフBe-200がロシア海軍に昨年納入され、捜索救難用とで飛行している。同機の寸法はASR-544-とほぼ同じだが、機体構造は舟艇状で、降着装置は通常の車輪方式となっており、エアクッション方式は採用していない。

 

UNITED AIRCRAFT CORPORATION

ロシア海軍向けBe-200ES 水陸両用機の一号機

 

ASR-544-4の運用は降着装置がないことでさらに難しいものになっていただろう。PS-1と同様の移動用車輪が陸上で必要とされ、ACLSは空気を抜く。搭乗員の機内外への移動も独特の形となり、燃料補給や兵装搭載も大変だったはずだ。

 

結局ACLSは構想としてよかったが、実用にならなかったものの、米国はじめ一部で1990年代まで研究は続いていた。今日ではこの構想が飛行船の各種地形からの運用に提案されている。

 

興味を惹かれるのはACLSが現在再び注目されていることで、MC-130JコマンドーII多用途戦術輸送機の水陸両用型に採用の可能性があることだ。これまでもC-130にエアクッション効果の着陸方式を応用する検討があり、以前からの構想が今回は実現に向かうかもしれない。

 


LOCKHEED

ACLS-搭載型の C-130構想図

 

ASR-544-4の設計案は真の水陸両用機の実現につながる大胆な提案として今日でも輝いている。■


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An Air Cushion Patrol Seaplane Was Once In The Works With The US And Japan


2021年6月18日金曜日

台山原発への世界の懸念に環球時報が予想通りの反論。しかし、日本批判を潜り込ませ、かつその論調は低劣。やはりCCPの品格を反映しているのかな。

 環球時報は中共のプロパガンダ紙といわれますので、この記事、かなり長文です、は公式見解を意識して書かれているのでしょう。それにしてもなぜ日本に悪意のある書き方をするのか、理解に苦しみます。当然ながら今回の事態を米政府が注視していることはまったく記述がありません。西側の報道が間違うこともありますが、自由な報道は官製のお手盛り報道とは全く違う機能を果たします。さて、放射能レベルの上昇自体を軽視するような態度は理解に苦しみますね。

   

Photo:Xinhua

Photo:Xinhua

 

 

際原子力エナジー機関(IAEA)が中国原子力エナジー集団(CAEA)から台山原子力発電所に関する情報提供を受けたことを6月16日認め、放射線漏れは発生しておらず、環境への懸念もないとした。

 

CAEAからはIAEAに「発電所の一号機で小規模の燃料棒不良があり、同機原子炉冷却水で放射能が増加した」と伝えている。

 

CAEAはさらに原子力発電の稼働ではよくある事象であり、手順撮りに対処しているともIAEAへ伝えた。現場のモニタリング結果と専門家の評価によれば、同機の運転状況は一次冷却水の放射能レベルも含め正常状態の範囲内であるという。

 

台山原子力発電所周辺の放射線モニタリングは正常値のままで、同発電所からの放射能漏れが発生していないことを示していると中国生態環境省MEE)は6月16日発表し、放射能漏れと伝えたCNNを否定し、事態への懸念を払しょくした。

 

中国の最上級安全規制機関MEEは台山原発周辺で放射能許容限界の引き上げを認めたことはなく、ここでもCNN報道は事実と反すると同省は述べた。同原子力発電所の安全は保証付きと同省は発言。

 

一号機の一次冷却材中の体積あるいは重量あたり放射能量が運転中に上昇したが、安定運転の許容範囲内であると判明した。

 

一号機の冷却回路中の放射能レベル上昇は主に燃料棒破損に関連している。制御不可能な要素が燃料棒製造過程、輸送段階、現地投入段階に発生し、燃料棒の一部に損傷が発生するのは避けられない。また、原子力発電所の運転ではよく発生するとMEEは説明している。世界各地の原子力発電所多数で燃料棒破損は見つかっているが、運転に支障は生じていないことがデータからわかる。

 

台山発電所の一号機炉心には燃料棒が6万本あるが、破損したのは5本程度とみられ、全体の0.01パーセントにすぎず、設計上の燃料棒事故想定の0.25パーセントを大きく下回ると当局は説明。

 

さらに一号機の主要回路で放射能レベル上昇が発生したが放射能漏れ事故とは全く違う状況とMEEが強調している。原子炉冷却系統の圧力限界とならび放射能を封じ込める機能を果たす封じ込めシール材は要求に合致しており、放射能は外部に全く漏れていない。この二つの物理的な守りが安全を確保しているという。

 

CNNは14日月曜日に「中国安全当局が放射能探知の限界を引き上げている」とし、あたかも発電所が運転停止を逃れようとしているとの報道をした。その際に同発電所を共同運用するフランス企業フラマトムの書簡を引用し、「米エナジー省あてのものをCNNが入手した」と述べていた。

 

MEEはそうした主張を認めず、CNNが間違った報道をしたと述べた。

 

中国の国家核安全局が台山発電所周辺の許容放射能限界を引き上げた事実はない。逆に同局は原子炉冷却材から発生する不活性ガスの放射能レベルの上限を審査承認した。

 

こうした限界値は運転管理のため設定したもので、発電所外部のモニタリングとは無関係だと説明している。

 

中国国内に設置してあるリアルタイムの全国放射線環境データ評価システムのデータでは大気中の放射線量を計測しつつ、発電所周辺では大きな変化がないことを示している。

 

6月15日の大気中の放射能レベルは台山発電所周辺で155 nGy/hで基本的に安定しており、2020年第4四半期の平均値(10月は157.2 nGy/h、11月158.8 nGy/h 、12月160.9)と大差ない。

 

放射能漏れが発生すると大気中の線量が長期にわたり上昇する。例として2014年始めに一部観測所で数万nGy/hが記録されたが、2011年の福島原子事故の発生が原因という。

 

福島事故を受け中国政府は数回にわたり文書を発出し、それが現在の国内原子力発電所の安全レベル向上の中心となっている。

 

2011年の福島原発事故後で中国は新規原子力発電所の承認を停止した。2012年に安全院が原子力発電安全計画(2011-20年)を制定し、中長期の開発案が生まれた。こうした文書で原子力発電所建設が再開され、安全基準を引き上げている。新規原子力発電所では第三世代の安全基準を満たす必要がある。

 

2016年1月に中国は原子力緊急事態に関する白書を公開し、正しい原子力緊急事態の対象方法を法制度、機構面ともにシステムとして確立している。

 

今回の台山発電所は第三世代進化型原子炉技術をフランスから導入し、安全基準は既存の第二世代原子炉よりはるかに高くなっている。フランスのエナジー業界大手フランス電力(EDF)の運転炉よりも高い。アモイ大学のエナジー経済研究センター所長のLin Boquiangが解説してくれた。

 

「中国の原子力発電の基礎は安全であり、開発側としても安全は生命線となっている。仮に事故が発生すれば、損失は計り知れない」(Lin)

 

その中で日本政府の記事への反応ぶりを中国のネティズンは「ばかげている」とか「聖人ぶりすぎ」と評していることが注目される。福島原発の排水処理での無責任ぶりも念頭にあるようだ。

 

加藤勝信官房長官は15日記者会見で中国に「放射能漏れが発生しているとの報道に関し、透明性かつタイムリーな説明を世界に対して求めたい」と述べているものの、日本が設置したモニタリングポスト47か所でいずれも異常値は検出されていないとNHKが報道している。

 

「福島事故が世界最高レベルの原子力災害との事実を日本は忘れたのか。今後は他国の原子力発電の正常運転を妨害しようとしている。善悪を区別できず恥ずかしくないのか」とのコメントがSina Weiboに出た。

 

現時点で中国の各機関は外務省や今回の発電所を運営する中国広核能集団も含め台山発電所は正常に安全な運転を続けており、状況は安定していると述べている。

 

香港、マカオの当局は同発電所に近いこともあり、同発電所や周辺地区の環境データに何ら異常はないと発表している。

 

EDFは事故の可能性は排除し、放射能レベルは限度内だと14日月曜日発表した。

 

MEEは今後も台山発電所一号機の主回路内部の放射能レベルを注意深く見守り、現地監督指導を強化しつつ環境モニタリングで安全な運転を実現していくと発表した。また、今後もIAEAやフランス原子力安全規制当局と接触を保つという。■

 

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No leak at Taishan Nuclear Power Plant and no increase in environment radiation limits: China's Ministry of Ecology and Environment refutes CNN report

 

By Chen Shasha and Lu Yameng

Published: Jun 16, 2021 02:01 PM