ヨーロッパ各国が自国の利益を振りかざし、次々と細かい注文を付けながら、米国製より優秀な機体になると就役前から自慢していた事業がこのテイタラクです。エアバスの業績の足を引っ張る事業になっています。このままではまずいとやっと妥協に動いてきたようですが、A400Mの前途は明るいとは言えないようです。ロイターが特ダネとして伝えています。
Exclusive: Europe's A400M army plane may see some features axed独占記事 - A400M輸送機で一部性能を切り捨てに
An aerial view of an Airbus A400M aircraft during the 52nd Paris Air Show at Le Bourget Airport near Paris, France, June 21, 2017. REUTERS/Pascal Rossignol
ヨーロッパが目指す新型軍用輸送機は当初想定の性能を実現できないことになった。A400M導入各国はエアバスとの交渉で実現が難しい一部性能は盛り込まないことを容認したためだ。
先週エアバスとNATO7か国間で合意に至った文書をロイターは見ることに成功し、それによると同社は購入国と個別交渉で付加的機能一部を省略できるとある。
米国製機材へ優位性を実現するはずだった機能の一部が実現できないことを購入国側が初めて認めたことをこの「合意確認書」は意味する。
合意では納期の新規交渉も意味する。
その反面、エアバスは「A400M事業で必要な支援、資源すべて」を投入すると誓うが、ヨーロッパ最大の防衛装備事業は慢性的に遅延し当初予算から200億ユーロ(245億ドル)超過している。
当事国のベルギー、英国、フランス、ドイツ、ルクセンブルグ、スペイン、トルコにコメントを求めたがいずれも回答を留保している。エアバスは機密交渉のためコメントはできないと回答。
複雑な付随機能の内容は不明だが、仕様内容から外されると見られる。
内容を知る消息筋は匿名条件で各国は要求内容すべてを求めるより部分的でも前進するほうが得策と納得したという。「つまり妥協したということだ。一部性能を実現しないまま納入される」
2010年には購入各国からの35億ユーロ拠出で事業頓挫が救われたが同機の極秘防御装備での問題は解決されておらず、空挺部隊用投下装備、ヘリコプター用給油装備でも問題が残ったままだ。
業界筋は購入国があまりにも過剰な期待をしたことが開発上の問題を起こしたと非難する。一部は自国の雇用確保が理由だった。だが最大の導入国のドイツは一貫してエアバスが約束通りに仕事していないと批判していた。
輸送機のはずだがA400Mには高性能地形回避技術が搭載され、ヨーロッパで最大に複雑な機材になった。フランスはアフリカ運用の実績を評価していた。
先週の交渉でエアバスは「SOC3」仕様で今後の機材を納入すると述べており、低空飛行性能もその一部だという。また生産済み機体は二段階で2027年4月までに改修していくという。
一方でエアバスは遅延で生じた損害を賠償する義務があり、第4四半期業績に悪影響を与えそうだ。
エアバスは2月15日の業績発表でA400M関連の損金に対応した新規項目を加えるとしており、これまでも同機関連で70億ユーロを償却処理している。
ただし今回の合意では導入国にエアバス宛支払いを凍結する根拠となっていた条項が改訂され、かわりに「適切な報奨策の仕組み」を導入すると改定されている。■
フランスがC-130の導入を決定、A400Mには何か致命的な問題がありそう。
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