スキップしてメイン コンテンツに移動

ドイツ軍事力の退潮、今度はパイロット訓練時間数が不足の原因は結局国防予算の不足



Germany’s Pilots Don’t Have Enough Warplanes to Fly 

ドイツ空軍パイロットの訓練機材が足りない

August 10, 2019  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarStealth

イツ空軍パイロットの飛行時間が不足しNATOの求める訓練水準を満たせない状態になっている。
訓練教程の不備ではない。原因はルフトバッフェに飛行可能な機材数の不足だ。
「ルフトバッフェパイロットのほぼ半数がNATO目標の年間180飛行時間を満たしていない。機材が整備問題で飛行できないためだ」と英国のテレグラフ紙が伝えている。空軍パイロット875名中で要求される飛行時間に達したのは512名のみとドイツ関係者が官報で明らかにしている。Advertisement
「ルフトバッフェは低調な状態」とインゴ・ゲルハルツ中将(ドイツ空軍参謀長)が先月発言。「交換部品の不足あるいは機材整備が終わらず機材が地上待機状態のままだ」
ドイツ軍といえば第二次大戦中は大いに恐れられ、冷戦中も一目置かれる存在だったが、ここ数年は予算カットでかろうじて機能している状態だ。2018年夏にはユーロファイター128機中で稼働可能機材はわずか10機、交換部品不足が原因とされていた。2019年2月には「ユーロファイター全128機中で39機のみ、旧型トーネード93機では26機が戦闘任務あるいは訓練に投入できる状態だった」とテレグラフ紙は伝えている。
「今度はパイロットが空軍に愛想をつかして除隊が止まらない。昨年上半期は6名が辞職したが、5年前は年間で11名退職だった」
冷戦終結後のドイツ軍事力で退潮が止まらない。問題は予算だ。ドイツの国防費はGDPの1.3%とNATO目標の2パーセントに届いていない。(加盟国で目標を達成している国は少ない)
2018年にはドイツ潜水艦部隊が航行できない状態になり、新型ヘリコプターや輸送機が飛行不能となり、装甲車両が第一線から除去された。状況はとても悪くロシアがバルト海諸国侵攻に踏み切れば、ドイツは部隊動員と輸送に一ヶ月費やしても現地救援に送れるのは装甲旅団一個のみと米国は分析している。
とはいえ訓練不足のドイツパイロットを放置できない。米国やイスラエルの空軍部隊が75年にわたり数々の成功を収めてきた背景には訓練を十分に受けた航空要員の存在があった。アナリストの中には今日のロシア軍パイロットは西側諸国より訓練時間が少ないと見る向きがある。ドイツ空軍パイロットの訓練時間がこのままだとNATOの対ロシア優位性が消失しかねない。
皮肉にもナチ時代の旧ルフトバッフェの崩壊を招いたのが訓練不足だった。1939年当時のドイツパイロットは200時間の訓練を経て戦闘任務に赴いた。これは対戦国の水準を大きく上回っていた。だが1944年になると燃料不足で訓練に支障をきたし機体喪失も増え、パイロットは50ないし100時間の飛行訓練で戦闘に駆り出された。その時点で英米パイロットは300時間超の訓練を受けていた。ソ連では100時間程度だった。
その結果、悪循環が生まれ、パイロット不足のためルフトバッフェは訓練不足のパイロットを投入せざるを得なくなり、すぐに戦死あるいは損傷し、一層多くの新人が戦場に駆り出された。■


Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.

コメント

  1. ぼたんのちから2019年8月12日 1:17

    ドイツの軍備に対する予算削減は、欧州での戦争が起きるわけがないと予測してのことだ。つまりロシアの脅威は限定的と考えているのだろう。
    しかし、ロシアは、ウクライナのクリミア半島併合や内戦、ジョージア侵攻やシリア内戦への介入を起こす極めて攻撃的な国家だ。これらのロシアの侵略や軍事介入についてドイツの見解や評価を聞きたいものだ。
    独軍の弱体化は、新たな危機をもたらすかもしれない。独軍はNATOで中欧・東欧防衛の主要戦力を担う役目があるが、ドイツ政府は無責任にもその役割を放棄しているように見える。
    記事のロシアのバルト沿岸諸国侵攻は実際の脅威であるが、NATOの強力な支援が無いとプーチンが判断すれば、侵攻は現実になるだろう。
    しかし、老い先短いプーチンの野望はこれに留まらないかもしれない。
    例えば、米中経済戦争が軍事的衝突を引き起こすようになり、日本も巻き込まれる米中戦争が起きて国際的混乱が高まると、旧ソ連圏の復活を目指すプーチンは、この状況に乗じて東欧のみならず中欧も占領しようとするかもしれない。そうなると弱体化した独軍の抵抗する力は弱く、ドイツまでロシア軍に占領されるだろう。
    これはドイツにとって最悪のシナリオであるが、ドイツの行っていることは残念ながらこの破局に向かっているように思える。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM