スキップしてメイン コンテンツに移動

新興企業リージェントが提唱する画期的な輸送機「シーグライダー」に米海兵隊も注目し、開発資金を拠出。太平洋戦線での補給活動を支える手段になるのか注目。(FlightGlobal)

Regent seaglider USMC

Source: Regent


リージェント、「シーグライダー」コンセプトで初の軍用契約を獲得

米軍は、海上ロジスティクスを改善するため実験的な飛行艇型の地面効果機の可能性を探っている。

 

米海兵隊(USMC)は、ロードアイランド州の新興企業リージェントRegentと契約し、同社の「シーグライダー」コンセプトを実証する。このコンセプトは、ハイドロフォイル船とウイング・イン・グラウンド・エフェクト航空機の要素を組み合わせ、低高度で水上を高速移動する。

 リージェントは米海兵隊との475万ドルの契約を交わしたと10月18日発表した。

 リージェントは地面効果で主翼をつけたシーグライダーを商業用に開発することに主眼を置いているが、インド太平洋地域における軍事用ロジスティクスも提案している。

 「インド太平洋におけるアイランド・ホッピング能力のニーズの高まりに対応する技術を迅速に実用化することは、リージェントにとって最も重要なことです」と、共同設立者で最高経営責任者のビリー・タルハイマーは言う。

 リージェントが "シーグライダー "と呼ぶ同機は、海上のみで運航される全電動式で、ハイドロフォイルで水面から離着陸し、水面から数メートル上空で地上効果飛行に移行する。

 この高度では、船の翼と地表の間に空気のクッションが形成されるときに発生する地面効果として知られる効率向上現象の恩恵を受ける。民間領域では、このハイブリッドな移動形態がどのように規制され、認証されるのかで疑問を投げかけている。

 リージェントは、シーグライダーコンセプトは、船舶のメンテナンスの手間がかからず、航空機のスピードが出るが、ヘリコプターや従来の航空機の長時間のパイロット訓練や防空上の脆弱性はないと主張している。

 リージェントによれば、米海兵隊の実証プログラムの目標は、機体、フォイル、翼搭載の各操作モードにおける能力を検証することである。この試験は、機体レベルの認証要件に情報を提供し、国防総省に軍事作戦における機体の可能性を評価する機会を提供する。

 リージェントによれば、このプログラムは、実物大のシーグライダー・プロトタイプを含む実戦演習で最高潮に達するという。

 最近まで、リージェントは商用機としての開発に専念していた。実際、同社は、フェリー運航会社や航空会社から80億ドル相当の仮注文と確定注文を獲得している。

 リージェントは以前、シーグライダー・プロトタイプの4分の1スケールの技術実証機を運航していた。

 国防分野への参入は2022年に始まった。米軍が水上機やその他の海上機体がインド太平洋地域での作戦をどのように改善できるかを真剣に検討し始めたからだ。

 タルハイマーは4月のFlightGlobalインタビューで、「太平洋、島嶼チェーン、沿岸戦闘、高速ロジスティクス、沿岸および群島環境での競合ロジスティクスに焦点を当てていることから、国家防衛戦略がどこに向かっているのか見極めた」という。「当社の製品は任務に完璧に適している」。

 米海兵隊は、実証実験に資金を提供することで同社の見立てに同意しているようだ。

 米海兵隊はすでに、シコルスキーCH-53K大型ヘリコプターやベル・ボーイングV-22オスプレイ・ティルトローターを使い人員や貨物を長距離輸送する能力を持っているが、これらの航空機は防空ミサイルに弱く、適切な着陸帯やジェット燃料の利用可能性などの物理的制約に制限を受ける。

 タルハイマーは、「これは海兵隊が認識している能力格差だ」と言う。リージェントのシーグライダーはそのギャップを埋めるのに適している、と彼は主張する。「柔軟性、滑走路の独立性、船舶への積み下ろしの容易さを備えながら、航空機の速度を得ることができる」。

 リージェントによれば、シーグライダーは時速156kt(290km)で巡航でき、充電1回で156nm(290km)の航続距離、人員12人、貨物1,587kgまで積載できる。■


Regent lands first military contract for ‘seaglider’ concept | News | Flight Global

By Ryan Finnerty20 October 2023


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM