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KC-10の退役が進んできた。最後の戦闘ミッションを終了し、24年9月に全機姿を消す。次期タンカーが決まらず、KC-135も稼働を続けざるを得ない中、中国を睨んで給油機の体制に不安が残る。

U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Alexander Frank


米空軍はKC-10エクステンダー・タンカーの退役を2024年9月までに完了する

 空中給油と空輸を提供してきた40年以上の後、米空軍のKC-10Aエクステンダーが最後の戦闘任務を飛行した。空軍は2020年からKC-10を廃棄処分場に送り始めたが、今回のマイルストーンは、同型機の引退がいよいよ間近に迫っていることを示している。

国防視覚情報配信サービス(DVIDS)が本日公開した写真には、10月5日にサウジアラビアのプリンス・スルタン空軍基地(PSAB)を出発するKC-10が写っている。添付されたキャプションによると、エクステンダーの離脱は、同基地における同型機の最後の戦闘配備を終了させた。

2023年10月5日、サウジアラビアのプリンス・スルタン基地(PSAB)でエクステンダー最後の戦闘配備を行い、出発を始めるKC-10に敬礼する米空軍兵士。米空軍撮影。アレクサンダー・フランク軍曹

The departure of the KC-10 at PSAB marked the end of the over 30 years of service for the type within the U.S. Air Forces Central (AFCENT) area of responsibility. <em>U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Alexander Frank</em>

PSABでのKC-10の離陸は、米空軍中央軍(AFCENT)担当区域内での同型機の30年以上にわたる任務の終わりを意味する。米空軍撮影:Tech. アレクサンダー・フランク軍曹

航空機動軍団(AMC)は、今回がKC-10の最後の戦闘配備であることを本誌に確認した。AMCのジェシカ・ブラウン報道官は、「40年近くにわたり、KC-10はアメリカのグローバル・リーチの確保に貢献してきた。KC-10は間もなく母国へ再配備される予定です」。

KC-10の経歴には、PSABを含む米空軍中央部(AFCENT)の責任範囲内で過ごした30年以上が含まれる。その間、KC-10は不朽の自由作戦とイラクの自由作戦を含む様々な軍事作戦の支援で重要な役割を果たした。

以前のDVIDSメディアリリースでは、10月3日、PSABに帰還する最後の戦闘出撃に参加したKC-10の画像を提供した。問題の航空機は、第378航空遠征航空団内の暫定部隊である第908遠征空中給油飛行隊(EARS)に配属されていた。

第908飛行隊の不活性化式典は、その後10月4日にPSABで行われた。

KC-10の退役への歩みは続いている。9月15日現在、37機のKC-10がボーンヤードに置かれている。

オランダもKDC-10を2機受領し、現在は商業空中給油分野のパイオニアであるオメガ・エアが運用している。

A former Royal Netherlands Air Force KDC-10 refuels an F-35 Joint Strike Fighter.&nbsp;<em>Omega Air</em>

F-35統合打撃戦闘機に給油する旧オランダ空軍のKDC-10。オメガ・エア

2020年7月、私たちは最初のKC-10がアリゾナ州デービスモンサン空軍基地の焼却場に送られたことを報告した。

空軍は当初、KC-135ストラトタンカー・ファミリーを補完する「ヘビー・タンカー」としてKC-10を購入し、DC-10-30CFをベースにした設計を選択した。特に、長距離を飛行する大型の満載輸送機への給油に必要であった。

KC-135と比較すると、KC-10の追加燃料タンクはほぼ2倍の積載量、356,000ポンドの航空燃料を搭載できる。ストラトタンカーとは異なり、KC-10Aはブームに加えてホース・アンド・ドロキュー・システムも内蔵しているため、米海軍機や海兵隊機、また他のオペレーターが飛行するプローブ装備のレシーバーにも容易に燃料を補給できる。

KC-10は主な給油任務のほかに、貨物輸送という重要な任務も担っており、ハンヴィーなどの軽車両を含むさまざまな貨物を運ぶことができる。

しかし、数十年にわたる運用がKC-10フリートに負担をかけ始めた。2018年5月、フライトデッキで煙が発生し、乗員は避難を余儀なくされた。脱出用スライドが作動しなかったことから、安全システムの別の不具合が明らかになり、全機に影響を及ぼした。

このような事故がKC-10の運命を決定づけた。軍内部を含む抵抗にもかかわらず、議会は結局、空軍の退役計画を認めた。現状では、2024年9月までに最後の1機が退役する。

KC-10の当面の後継機は、問題の多いKC-46ペガサスで、ペガサスの納入は続いている。一方、KC-Xとして選定されたKC-46は、KC-135の後継機と目されていた。

KC-46は退役するKC-10の一部も置き換えるが、空軍の将来のタンカー・フリートの構成については疑問が残ったままだ。

空軍はKC-46を179機購入しており、最後の機体は2029年に引き渡される。KC-46は暫定的な能力を提供する想定で、将来の先進的な空中給油機(設計の中心要素として生存性を強調する可能性が高い)を調達する。

Lockheed Martin concept artwork of a future blended wing-body tanker design offering a certain degree of stealth. <em>Lockheed Martin</em>

ロッキード・マーティンが描いた、ある程度のステルス性を備えた将来の混合翼ボディ・タンカーのコンセプト・アートワーク。ロッキード・マーティン

ブリッジ・タンカーは、140~160機購入が検討されていたが、現在は75機に削減された。今回もKC-46が候補に挙がっているが、人気の高いエアバスA330マルチロール・タンカー・トランスポート(MRTT)をベースにしたロッキード・マーチンのLMXTや、請負業者ベースのリース・ソリューションなど、他の候補もある。

かつてのオランダのKDC-10のように、空軍が退役KC-10を民間企業が引き取り、米軍に売却する可能性さえある。しかし法的・規制的ハードルが乗り越えられないことが判明しており、このような提案は実現しなかった。ただし、この分野でも最近進展があり、メトレア所有のKC-135Rタンカーが今年6月の訓練で初めて米空軍機に給油した。

民間の航空宇宙企業であるメトレアは、同社のKC-135Rがレゾリュート・ハンター23-2演習で空軍に空中給油支援を提供したというプレスリリースで、このマイルストーンを発表した。レゾリュート・ハンターは米海軍主導の年2回の演習で、「国防総省唯一の戦闘管理・指揮統制・情報・監視・偵察(BMC2ISR)専用演習である」と同軍は発表している。空軍と諸外国の空軍は、ネバダ州にある海軍ファロン基地(NASファロン)から行われるこのイベントに日常的に参加している。

タンカーとKC-46の追加により、空軍は既存のKC-135の半分以上の代替をカバーするが、それでもストラトタンカーのかなりの部分が残る。米軍は将来起こりうる太平洋での戦争に備え、タンカー能力はこれまで以上に必要となると見ている。そのことを考えれば、今、空軍のタンカーを退役させるのは、厳密な必要性がない限り、時期尚早かもしれない。

全体として、空軍の将来のタンカー・フリートがどのようなものになるのか、また、老朽化したKC-135フリートの縮小が続く中、機数が空中給油ニーズの高まりに応えられるのかどうかについては、多くの疑問が残る。はっきりしているのは、KC-10の最終的な退役で、一年弱後に最後の機体が惜しまれつつ退役することになる。■

KC-10 Extender Has Flown Its Last Combat Mission | The Drive

BYTHOMAS NEWDICK|PUBLISHED OCT 5, 2023 2:13 PM EDT

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