2026年6月5日金曜日

米国が中国への姿勢を変えつつあり、日本はじめアジア各国は対中姿勢を再検討中

 

トランプが後退する中、アジア各国は中国への向き合い方を模索中

Asia reckons with China as Trump pulls back

欧州に対する米国の取引主義的な姿勢が、アジアにも波及してきた

「富裕国の防衛費を米国が負担する時代は終わった」(ピート・ヘグセス国防長官は) | Ezra Acayan/Getty Images

https://www.politico.com/news/2026/05/31/singapore-trump-china-hegseus-allies-00943832

シンガポール発 — 世界舞台からの米国の後退が現実のものとなった。米国は、中国の急増する軍事力に対して、地域の同盟国が自力で対処するようますます強く求めている。

シンガポールで開催された今年のIISSシャングリラ・ダイアログでトランプ流の「強引な外交」への転換が露わになった。同会議はこれまで米国とそのパートナー国が中国に対する不満を表明し、北京に対して統一戦線を張る場だった。

しかし今年はトランプ政権当局者は、米国が西半球に焦点を当て、国防費を自国負担するよう同盟国に対し強く求めているのと同様に、アジアが地域で主導権を握る必要があると強調した。これは欧州に対する米国の「タフ・ラブ」的アプローチを反映したものだ。

「米国が富裕国の防衛費を補助する時代は終わった」と、ピート・ヘグセス国防長官は基調演説で述べ、同盟国に対し、国防費をGDPの3.5%に引き上げることで「リスクを分担する」よう促した。

一方で長官は北京についてはほとんど言及せず、同地域が中国に対して抱く「正当な懸念」を認めるにとどまった。そのため、米国の同盟国も沈黙を守った。各国は独自の道を切り拓こうと試みつつ、中国の影響力拡大に対する防護を米国にもはや頼れなくなった未来を見据えているのだ。

「これは非常に微妙なバランスを要する問題であり、誰もがこれが永遠に続くわけではないと理解している」と、ある地域当局者は語った。この記事のために取材に応じた他の関係者と同様、この当局者も同盟関係について率直な見解を述べるため匿名を条件とした。「誰もが依然として、同盟国としての米国への信頼を口にするが、密室では『米国不在の地域』という構想への検討が真剣なものになっている」

小泉進次郎防衛相は、中国の同職と会談したいと述べ、東京による歴史的な防衛費増額は特定の国を標的としたものではないと語った。同地域で最も熱心な中国批判派の一人フィリピンのギルベルト・テオドロ・ジュニア国防相は、大勢の中国メディア記者団を避けるため、厨房の脇をすり抜けて逃げた。また、オランダのディラン・イェシルゴズ=ゼゲリウス国防相は、「国際ルールが破られること」を懸念していると述べたが、誰がそれを破ったかについては言及しなかった。

東南アジア諸国は、ただ単にトラブルを避けたいだけだった。「世界にはすでに十分な問題がある」と、シンガポールのチャン・チュンシン国防相は語った。「もし(この地域が)トラブルに巻き込まれずに済めば、他と一線を画すことになるだろう。」 また、ヒマラヤで中国兵と白兵戦を繰り広げてわずか数年後、インドは北京との関係修復に注力していると、同国に駐在するある欧州外交官は述べた。

ヘグセスを擁護する者たちは、トランプ政権は依然として現状維持を堅持していると主張した――中国による島嶼建設に非公式に抗議し、軍備管理交渉の再開を試み、そして確かに台湾を擁護している――たとえ公には言わなくても。「そうしたことについては慎重に対応するつもりだ」と、トランプ氏の盟友パット・ハリガン下院議員(共和党、ノースカロライナ州選出)は述べた。

46カ国の政府高官たちは、3日間にわたり、米国の冷淡な発言とシンガポールの酷暑に耐え抜いたが、多くは足元の地盤が揺らいでいるという感覚を抱いて会場を後にした。

「同盟国、特にオーストラリアと日本は、米国が顧みなかった安全保障上の空白を埋めるべく協力し、自らの責任を果たそうと最善を尽くしているようだ」と、シンガポール国立大学のイアン・チョン教授は述べた。「他国は法の支配や制度について大言壮語しているものの、米国に説明責任を求めもせず、中国に対しても要求を突きつけていない」

アジアの一握りの条約同盟国との間で米国が築いてきた、いわゆる「ハブ・アンド・スポーク」関係は、順風満帆な時期でさえも混乱を極めていた。しかし、代表団が80件もの二国間会談に取り組む中、NATOの欧州最高位の軍人であるイタリアのジュゼッペ・カヴォ・ドラゴーネ提督がパネルディスカッションで述べたように、世界が「分断されつつある」という感覚が表明された。

一部の同盟国は、米国を再び結束の輪に引き戻すことに必死だった。小泉防衛相は、ヘグセス発言を受けて、同地域に対する米国のより確固たるコミットメントを示すよう公に求めた。

オーストラリアがAUKUS同盟(米国、英国、オーストラリアによる潜水艦技術やその他の先進装備を共有する三カ国協定)向けの水中ドローン支援装備に関する公式発表を公表した動きは、「不安の表れ」だと、ある地域当局者は述べた。

他の関係者は、特に中国軍で続く混乱を踏まえ、アジア諸国に対し時間稼ぎをするよう促した。中国は2年連続で国防相を会合に派遣しなかった。

欧州の当局者らは「レジリエンス(回復力)」を説いた。これは、米軍が即座に、あるいは全く支援に来ない場合でも、自力で社会を守る際の合言葉である。

「誰もがトランプ政権下での台湾に対する米国の行動には保証がないと認識している」と、ある元地域当局者は述べた。その雰囲気は、「人民解放軍(PLA)で粛清が続いていることで、習近平がまだPLAの実行能力に自信を持っていないことが明らかになったことに感謝している」というものだった。

しかし、北京での粛清で中国の軍高官100人近くが巻き込まれたとはいえ、台頭する超大国が会議で威圧的な態度を示すのを止めるには至らなかった。

ヘグセスと小泉両名は中国との直接対話を求めたが、シンガポールに姿を見せた中国の学者や下級将校たちは、その好意に応えなかった。

ある中国の学者は、ヘグセス長官の目の前で、韓国駐留の米軍最高位の四つ星将軍に対し、米国の同盟国である韓国がアジアにおいて中国を狙った「短剣」であるという最近の発言について、直接詰め寄った。また、ある中国軍将校は小泉大臣に対し、第二次世界大戦の犠牲者への謝罪を要求した。

高級なプライベートクラブやバドミントンコートが溢れる世界有数の富裕国において、横柄さを増す一方の中国は、礼儀正しく振る舞うことに全く注意を払っていなかった。

「中国自身、外交上の礼儀を遵守する義務を感じていない」と、ある元米国政府高官は述べた。「『戦狼外交』ではないとしても、『ふざけるな』外交だ」■

アフリカでのテロ組織の拡大をCSISが警告。米アフリカ軍は縮小中。アフリカへ対する安全保障の関心は低いままということでしょうか。アルカイダ、ISなどひそかに勢力を強めていることが心配なのですが

 

米国が撤退中のアフリカでテロ脅威が高まっているとCSISが警告

Experts warn terrorism threat is rising in Africa as US pulls back

https://www.defensenews.com/news/pentagon-congress/2026/06/03/experts-warn-terrorism-threat-is-rising-in-africa-as-us-pulls-back/

2011年2月17日(木)ソマリアのモガディシュ郊外で行われた軍事演習中、武器を携え行進するアル・シャバブ戦闘員。(AP通信/モハメド・シェイク・ノール、アーカイブ)

略国際問題研究所(CSIS)は年次リスク分析報告書で、アフリカの「ホーン地域」から「サヘル地域」に至るまで、ジハード主義勢力の戦線が勢力を拡大していると警告している。

「2026年世界テロ脅威評価(Global Terrorism Threat Assessment 2026)」は、アルカイダやイスラム国(IS)の関連組織の能力が高まっていることを挙げ、同大陸におけるテロリズムを「最大の不確実性」と位置づけた。

「中東のテロ組織と異なり、アフリカのテロ組織のほとんどは疑いようもなく勢力を拡大している」と著者らは記し、戦闘部隊の規模拡大、資金力の増大、そして広大な地域を移動する能力を指摘した。

また、多くの組織が無人航空機システムや人工知能を活用し、殺傷能力を高めている。

「新たな能力は、国際テロリストにとって新たな活動形態、支援手段、そして動機付けをもたらすもので、国家側にも新技術を活用する新たな対応が求められる」と報告書は述べている。「技術革新のペースが加速していることを踏まえれば、テロリストと対テロ部隊が今後どのように対峙していくか、その未来はますます不透明になっている。」

同報告書は、ソマリアを拠点とするアルカイダ系組織「アル・シャバブ」を、アフリカで最も能力が高く、おそらく最大規模のテロ組織であり、米国に対する攻撃意図が最も明確に示されていると分類している。ただし、著者らは、この組織が米国本土に対する差し迫った脅威であると断定するまでには至っていない。

「アル・シャバブは地域的な目標に注力しているようであり、アフリカのテロ組織が米国本土に対して大量殺戮攻撃を仕掛ける可能性は依然として低い」と著者らは記している。

一方、紛争データを収集する非営利団体ACLEDの記録によると、2025年の11月までに発生したISISの活動のほぼ80%がアフリカで発生しており、前年比で50%の増加となっている。

この急増の中心が、イスラム国西アフリカ州(ISWAP)である。サヘル地域に拠点を置くこの強力な反政府勢力ネットワークは、アフリカ大陸におけるアル・シャバブの支配に対する最大の脅威で、同地域のイスラム国各支部間の情報収集や後方支援の調整拠点としての役割をますます強めている。

「ISWAPは最近、国際的なイスラム国組織が派遣した指導員による外部支援も受けており、これにより無人航空機(UAS)の運用、高度な爆発物の組み立て、および軍事戦術におけるISWAPの能力が強化されている」と著者らは記している。

トランプ政権は最近、アフリカにおける対テロ戦略を以下の2つの戦域に集中させている。一つは、米アフリカ軍(AFRICOM)が空爆とドローン攻撃を強化しているソマリアで、もう一つは、ワシントンが現地のパートナーと共に一連の空爆を開始し、訓練活動を支援するために少数の米軍要員を派遣しているナイジェリアである。

しかし、こうした動きは、米国がアフリカにおける軍事プレゼンスを75%削減した中で起こっている。

AFRICOMのダグヴィン・アンダーソン司令官は5月、議員らに対し、米国および同盟軍の撤退がアフリカ大陸に「情報上のブラックホール」を生み出したと述べた。アンダーソン司令官はまた、自身の指揮下にある部隊が「必要最小限の資源」で活動しており、兵力の縮小が危機への対応能力を損なっていると強調した。■

ターニャ・ヌーリーについて

ターニャ・ヌーリーは、『ミリタリー・タイムズ』および『ディフェンス・ニュース』の記者であり、ホワイトハウスと国防総省を主な取材対象としている。

AUKUS 米国はオーストラリアに現在供用中のヴァージニア級SSN3隻を売却する案に変更

 

オーストラリア向け「ヴァージニア」級潜水艦3隻を売却案は新型1隻・就役中2隻から就役中3隻に変更

U.S. Will Sell 3 In-service Virginia Subs to Australia Instead of 1 New, 2 In-service

https://news.usni.org/2026/06/01/u-s-will-sell-3-in-service-ヴァージニア- subs-to-australia-instead-of-1-new-2-in-service

2025年2月25日、オーストラリア・西オーストラリア州のHMASスターリングにて、ヴァージニア級高速攻撃型潜水艦USSミネソタ(SSN 783)に配属された乗組員が係留作業を行っている。米海軍写真

国は、就役中のヴァージニア級潜水艦3隻をオーストラリアに対し、売却する方針を固めた。これは当初計画されていた「新型1隻と就役中2隻のヴァージニア級潜水艦の取得」からの方針転換で、米豪両国は土曜日これを発表した。

ピート・ヘグセス米国防長官、リチャード・マールズ豪国防相、ジョン・ヒーリー英国防相は、シンガポールで開催された国際戦略研究所(IISS)主催のシャングリラ・ダイアローグの場外で行われたAUKUS国防相会合において、AUKUSの調達計画の修正を発表した。

「副首相および各国防長官は、オーストラリアによるヴァージニア級潜水艦(VCS)の取得を合理化し、サプライチェーン管理、運用および保守要件を簡素化し、コスト効率を最大化するという提案されたアプローチを歓迎した。このアプローチにより、オーストラリアは、新造艦と就役中VCSを組み合わせた構成に代わり、就役中VCSを3隻取得することが可能となる」と、発表後に発行された共同声明には記されている。

この3カ国間合意に基づき、オーストラリアが自国の原子力潜水艦能力を構築・維持するため必要な国内インフラと人材を育成する間、米国は2030年代からオーストラリアに対し、ヴァージニア級攻撃型潜水艦を売却する予定であった。以前の合意条件では、オーストラリアは新型のブロックVII型潜水艦1隻と、すでに米海軍で就役しているブロックIV型ヴァージニア級潜水艦2隻を購入する予定だった。さらに、英国とオーストラリアの共同事業である「SSN AUKUS」と呼ばれる新型原子力潜水艦の設計が、2040年代に就役する予定となっている。

日曜日の記者会見で、マールズ大臣は、条件変更の決定は、オーストラリアの将来の潜水艦運用を簡素化するために行われたと述べた。オーストラリアは当初、現役のコリンズ級潜水艦の就役期間を延長し、中古のヴァージニア級潜水艦2隻、新造のヴァージニア級1隻、そしてSSN-AUKUS潜水艦と共に運用する計画だった。これを実行すれば、オーストラリアは将来的に4種類の潜水艦を運用することになる。

記者会見の議事録によると、マールズ大臣は「潜水艦艦隊の運用という点で、かなり複雑になってしまう」と述べた。

マールズ代位jんによれば、中古潜水艦3隻の取得は、ヴァージニア級潜水艦3隻を取得するよりも簡素で費用対効果の高い道筋となるという。総コスト削減額はわずかだが、歓迎すべきことだと同氏は述べた。

「我々がこの件について考えているのは、プログラムの総コストがGDPの約0.15%に相当するという点だ。これが最も有用な考え方である。我々がここで行っている取り組みの全期間を通じて、その計算式を根本的に変えるものではないが、助けにはなる。間違いなく助けになる」とマールズ大臣は述べた。

海軍当局者は、オーストラリアにヴァージニア級潜水艦を売却するためには、米国の産業基盤が年間2.33隻の攻撃型潜水艦を建造すると同時に、コロンビア級核弾道ミサイル潜水艦を毎年1隻建造しなければならないと繰り返し述べている。現在、米国の産業基盤では年間約1.3隻の攻撃型潜水艦が建造されている。USNI Newsが以前報じたように、ダリル・コードル海軍作戦部長は5月12日、議会に対し、年間2隻の潜水艦納入目標が2032年に達成されるとの見通しを明らかにした。

しかし、マールズ大臣は、自身とヘグセス氏は生産ペースが改善していると確信していると述べた。

2024年、ジェネラル・ダイナミクス・エレクトリック・ボート社で建造中のヴァージニア級潜水艦。EB写真

「米国の産業基盤における課題については十分に認識している。しかし、2023年に最適な進路が発表された当初から、そのことは承知していた。だからこそ、生産率の向上を支援するため、米国の産業基盤に対して財政的支援を行っているのだ」とマールズ大臣は述べた。

さらに、オーストラリア技術者たちは現在、原子力潜水艦の整備に従事するため米国で訓練を受けている。マールズ大臣によると、約200人のオーストラリア人が真珠湾に滞在し、米海軍向けのヴァージニア級潜水艦の就役に向けた作業に従事しているという。

マールズ大臣は、2027年の発足に向け順調に進む「潜水艦ローテーション・フォース・ウェスト(Submarine Rotation Force-West)」の設立の重要性について語った。「潜水艦ローテーション・フォース・ウェスト」の下で原子力潜水艦(英国から1隻、米国から最大4隻)が、西オーストラリア州のHMASスターリング海軍基地に輪番配備されることになる。

「これらすべてを総合すると、2020年代初頭にはヴァージニア級潜水艦をオーストラリアに移管する余地が生まれるだろうという確信が持てる」とマールズ大臣は述べた。

土曜日の共同声明では、無人潜水機(UUV)プログラムも発表された。これはAUKUS第2の柱(Pillar II)に基づく初のプログラムであり、各国の防衛部門の知見を結集して、世界中の安全保障を支える先進的な軍事能力を開発するものである。このUUVプログラムは、3カ国すべてのUUV艦隊に配備可能なセンサーや兵器システムなどのペイロード開発を支援する。納入は2027年に開始される予定だ。

「本プロジェクトは、AUKUSパートナー各国の、重要な国家海底インフラの保護能力、最先端の監視・偵察・攻撃能力の展開能力、後方支援作戦の遂行能力を大幅に強化し、対潜水艦戦・対水上戦、機雷対策、電子戦、および競合する沿岸域での機動における優位性を高めることを目的としている」と声明には記されている。

米国防総省のファクトシートによると、このプログラムは2段階のアプローチで進められる。第1段階では、相互交換可能かつ各パートナー国によって統合可能な国家ペイロードが開発される。各国の開発は、ペイロードが提供する効果の種類ごとに異なる焦点を当てる。第2段階では、AUKUSパートナー国が共同で、次世代ペイロードを含む3カ国共通のペイロードおよび基盤技術を開発・生産する。■

ジルハン・マハジル

ジルハン・マハジルは、マレーシアのクアラルンプールを拠点とするフリーランスの防衛ジャーナリスト兼アナリストである。1998年以降、彼が執筆し、現在も寄稿している出版物には、『ディフェンス・レビュー・アジア』、『ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー』、『ネイビー・インターナショナル』、『インターナショナル・ディフェンス・レビュー』、『アジアン・ディフェンス・ジャーナル』、『ディフェンス・ヘリコプター』、『アジアン・ミリタリー・レビュー』、『アジア・パシフィック・ディフェンス・レポーター』などがある。


ウクライナが有利になってきたのは、ドローン無人システムを巧みに運用する能力によるもの。戦場の常識がかわりつつあるが、まだ日本メディアはロシアの敗北を認めたくないようだ

 Ukrainian President Volodymyr Zelenskyy inspects a drone with German Federal Chancellor Friedrich Merz at an exhibition of German-Ukrainian products in the Federal Chancellery on April 14, 2026.

2026年4月14日、ドイツ連邦首相府で開催された独・ウクライナ製品展示会にて、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、フリードリヒ・メルツ独連邦首相と共にドローンを視察している。Michael Kappeler/picture alliance via Getty Images

ロボット導入でウクライナは「生き残る」段階を乗り越え、「勝利」が現実の選択肢となってきた

Thanks largely to robots, Ukraine is now talking about winning, not just surviving


ウクライナの無人・自律システム、適応する姿勢が、ロシアの優位性を無力化している

https://www.defenseone.com/technology/2026/06/ukraine-robots-winning/413902/?oref=d1-homepage-river


チェコ共和国・プラハ– 4年前には考えられなかったことを口にする欧州の当局者やアナリストたちが増えつつある。ウクライナはロシアとの過酷な戦争を単に生き延びているだけでなく、ある意味で勢いを増しており、勝利への道筋さえ見えているかもしれない、と。

これはまだ見出しには表れていないが、先週末にウクライナ周辺でロシアのドローンやミサイルが集中攻撃を仕掛けた件などでの詳細、例えば90パーセントが迎撃されたといった点に表れている。

長期的な傾向がウクライナに有利に傾いており、核心的な理由は、AIとロボティクスへの並々ならぬ注力にある。

戦争という試練の中で、ウクライナは領土を維持し、さらには奪還さえできるドローンや地上ロボットを開発してきた。物資補給ロボットや医療搬送車両のように、人間が完全に制御するものもある。しかし、空中ドローンに搭載される誘導システムから最高レベルの意思決定支援に至るまで、数十種類のAI製品によって一部の側面が制御されるケースが増えている。例えば「TFL-1」モジュールは、人間が標的を選択した後、片道飛行ドローンが自律的に機能できるようにし、ジャミングやその他の防御手段に対する脆弱性を低減する。製造元のウクライナ企業The Fourth Lawによると、TFL-1を搭載することでドローンの命中確率は4倍になるという。

技術と同様に重要なのが新戦術だ。実験に異例なまでの自由度を与えられたウクライナの戦闘員たちは、「1年以上前」から、空挺部隊と地上部隊による統合兵科攻撃など、ロボットを前面に押し出した歩兵戦術の概念を開発し始めた。「我々はこれを大規模に導入し始めている」と、国内外の安全保障に関する調整機関であるウクライナ国家安全保障・国防会議のダヴィド・アロイアン副事務局長はインタビューで語った。

ウクライナとパートナー諸国はロシアのドローンに対する高度に自律的な防衛のための新たな構想も急速に推進中で、ISRセンサーとAIを組み合わせ、より短時間で、より確実に敵ドローンを検知・識別しようとしている。

「すべてのシステムが相互に、さらに人間と連携している」とアロイアンは説明した。これにより、必要に応じ起動される迎撃ドローンを各地に配置した分散型ネットワークが構築される。「いずれは、迎撃の承認を担当する要員は10人程度になるだろう。そして、システムが自動的に標的へ直行するようになる」

人間オペレーターも分散配置される。「すべてをキーウやリヴィウ、あるいは他国の都市から制御することが可能だ」と彼は語った。

ウクライナの優位性は、兵器や戦術だけにとどまらない。ロシアや、さらにはキーウを支援する西側諸国を上回り、自律型戦争を軸に教義、調達、補給システムを再構築する意欲がウクライナにはある。

この流れに乗れない国は破滅のリスクを負う、とウクライナ有数のドローンメーカーの代表者が、当地で開催されたGLOBSEC会議で警告した。

「ヨーロッパの我々を恐怖に陥れるべきなのは、ウクライナに起きたこと(つまりロシアによるシャヘド・ドローンの集中攻撃)ではない」と、スワーマーのCEOセルヒー・クプリエンコは述べた。

その代わりに、クプリエンコは、平均的な軍事力(この場合はウクライナ)が、いかに迅速に、精密かつ壊滅的で長距離の打撃能力を身につけたかという点こそが、人々を恐怖に陥れると語った。

クプリエンコは、衛星画像など一部防衛技術分野において「我々は文字通り10年、あるいは20年遅れている」と認めた。にもかかわらず、ウクライナはわずか2年前には乗り越えられないと思われていた能力曲線を登り切った。他の国々も同様だと彼は語った。

「答えは常にAIソリューションにあり、官僚機構内の日常業務にさえAIを統合することにある」と彼は語った。

ウクライナはまた、ロシアの脅威に対抗できる防衛産業を発展させた。その成功は戦場だけでなく、ウクライナ国内で、あるいはウクライナと共同で開発された防衛製品に可能性を見出す増加する海外投資家の数にも反映されている。

「我々は2022年以降進化してきた。産業も、そして防衛体制も同様だ。現在、我々は[大量のドローン]資産だけでなく、エコシステムを構築するために必要なあらゆるもの——部品や生産、訓練、改造などを含めて——を提供できる」とアロイアンは述べた。

攻撃用ドローン万歳

ウクライナの攻撃用ドローンは、他のいかなる要因よりも、ロシアの主要な優位性——経済的に困窮した若年男性の大規模な人口と、死の代償を軽視する傾向——に対抗するのに役立っている。ウラジーミル・プーチン大統領は、前払いボーナスや保険給付で数十万人を動員しており、これはウクライナの戦場で数的優位をもたらすとともに、「低迷するロシア経済に相当の刺激」となっている、と海外在住の経済学者ウラジスラフ・イノゼムツェフは記している。同氏はこのシステムを「デスノミクス(死の経済学)」と呼んでいる。

しかし、兵士を補充できる速度よりも速くドローンが殺戮してしまうなら、人海戦術は無力となる――そして、まさにその状況になっていると、戦争研究所(Institute for the Study of War)は今週記した。

「ウクライナによる中距離および前線でのドローン攻撃作戦の成功は、ロシアが人員を前線へ輸送し、前線の陣地へ物資を供給・維持する能力を制限している」とISWは記した。プーチンは今や、「ますます疲弊するロシア国民に対し、5年目に突入する戦争を支持するだけでなく、すでに100万人以上の犠牲者を出している戦争への強制動員を受け入れるよう説得しなければならない」。

ウクライナによる深部攻撃能力は戦況を一変させている。ロシア領内の奥深くにある石油インフラはもはや安全ではなく、ホワイトハウスが制裁緩和をどうしようと、キーウはモスクワの輸出収入に影響力を行使できるようになった。さらに屈辱的なことに、ドローンの脅威により、プーチンは今月の恒例の戦勝記念日パレードを、ソ連風の戦車やミサイルの整列なしで行わざるを得なかった。

「信じてほしい。我々は50年間ソ連の占領下にあった。戦勝記念日パレードがいかに重要か、我々は知っている」と、エストニアのマルグス・ツァクナ外相はGLOBSECで語った。「プーチンは初めて、このパレードを執り行うことができなかった。これはまさに、見せかけが崩れ去ったということだ。そしてプーチンは、我々だけでなく、ロシア国民にも面目を失いつつある。」

「プーチンは、ウクライナは5日間で解決する問題だと思っていた。率直に言えば、我々も『5日で終わりだ』と言っていた」と、ルクセンブルクのザビエル・ベッテル副首相は述べた。「実際、ウクライナ人の粘り強さは、私たち全員にとって大きな驚きでした。」

情勢の急変

ウクライナの展望がいかに劇的に変化したかを理解するには、3月時点で国家情報局長(ODNI)だったタルシ・ガバードが、米情報機関はロシアが紛争で「優位に立っている」と見なしていたと証言した事実を想起すればよい。

現在、ウクライナ当局者やその他の観測筋は、ウクライナを支援する諸外国の間で時期尚早な勝利意識が広まりつつあることを懸念し始めている。キーウは支援と武器の輸入に依存していることにかわりはない。先週、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、米国から高性能なペイトリオットミサイルの供与を確保するための政府の取り組みについて、引き続き「非常に粘り強く」取り組んでいると述べた。「(米国は)もっと迅速に行動すべきだと考えている」と、彼はスウェーデン訪問中に記者団に語った

しかし、一部の欧州諸国政府は、単にウクライナのためだけでなく、自国の利益のためにも、欧州の新たな防衛リーダーとのより深い関係を築くことに、これまで以上に意欲的だ。

「これは将来的に、欧州連合(EU)やNATOの拡大プロセスを意味する」とエストニアのツァフクナは述べた。「ウクライナに対する、そしてウクライナのための安全保障の保証を意味するだけでなく、その逆もまた然りだ。なぜなら、実際にはウクライナは現在、欧州最大の軍事大国で産業基盤も拡大しているからだ」

ウクライナ政府にとって、勝利宣言するには、単に戦闘行為の停止だけでは不十分だ。アロイアンは、2014年のクリミア侵攻後に見られたような再軍備を許さないよう、侵略国を「はるかに弱体化」させなければならないと述べた。

「停戦が成立するとしても、制裁解除には極めて厳しい条件と困難な交渉が伴い、その時期も不透明だ」と彼は述べた。そうでなければ、ロシアは「全面侵攻前の段階ですべての(軍事増強の)プロセスを再開するだろう」。

「現在、ロシアは経済の約30%を防衛産業に充てようとしている」が、これは過剰だと彼は指摘した。

20世紀末からロシアを率いてきたプーチンの失脚では不十分だろう。

「体制の変化は、単に外部からであってはならない。内部からのものでもあるべきだ」と彼は語った。

もしそれが実現すれば、功績の多くはウクライナのドローンの製造者や運用者に帰属することになるだろう。■


米海兵隊のAV-8BハリアーIIがついに退役し、長く続いた供用に幕。海兵隊はF-35B/Cの運用に注力する

 

A Marine AV-8B Harrier takes off from amphibious assault ship USS Tarawa (LHA 1) just before sunset. Tarawa, along with embarked 11th Marine Expeditionary Unit, is on a scheduled deployment to the Western Pacific in support of maritime security operations and the Global War on Terrorism.米海軍写真/二等兵曹 デビッド・ブランデンバーグ

米海兵隊のAV-8Bハリアーが夕陽に向け飛び去った

The USMC’s AV-8B Harrier Has Flown Off Into The Sunset


「ハリアー・サンダウン」式典は、50年以上にわたる海兵隊の垂直離着陸機運用に幕を下ろした

https://www.twz.com/air/marines-av-8-harrier-jump-jet-takes-its-final-bow

AV-8B ハリアーIIの紛れもない轟音は、40年以上にわたり米海兵隊航空部隊のサウンドトラックとなってきた。中東やアフガニスタンの砂漠から、海上の強襲揚陸艦の甲板に至るまで、短い滑走路からの離陸、過酷な前線基地での運用、そして垂直着陸が可能なこの機体は、米軍マークを掲げた戦闘機の中でも最も特徴的な機体の一つとなった。その前身である初代AV-8Aハリアーは、1971年に海兵隊に導入されて以来、米軍における「ジャンプジェット」の先駆けとなっていた。

その輝かしい時代は幕を閉じた。

A Marine plane captain, from Marine Attack Squadron 223, Cherry Point, North Carolina, observes pre-flight checks of an AV-8B Harrier at Gowen Field, Boise, Idaho, April 19, 2021. The checks are designed to operational check various flight controls of the aircraft.2021年4月、アイダホ州ボイシのゴーエン・フィールドにて、ノースカロライナ州チェリーポイントの第223海兵攻撃飛行隊所属の海兵隊機長が、AV-8Bの飛行前点検を見守る。米国空軍州兵、ジョシュア・C・オールマラス上級曹長撮影

本日の式典で、海兵隊はAV-8Bに公式に別れを告げた。最後の現役ハリアーII部隊「ブルドッグス」の海兵隊攻撃飛行隊第223飛行隊(VMA-223)が、ノースカロライナ州チェリーポイント海兵隊航空基地にて同機の退役を記念した。

行事で海兵隊航空史における輝かしい一章に幕を閉じた。ハリアーの退役は、単なる航空機の引退にとどまらない。それは、何世代にもわたり海兵隊の航空戦力を形作り、海兵隊の遠征部隊としての特性を確立するのに貢献した戦術概念の終焉を意味する。

2026年5月15日、第2海兵航空団第14海兵航空群第223海兵攻撃飛行隊所属の米海兵隊AV-8Bが、ノースカロライナ州の海岸上空を飛行している。米海兵隊写真:ランス・コーポラル・ペリー・ウッド

ハリアーは単なる攻撃機ではなかった。同機は飛行場が存在するか否かにかかわらず、海兵隊が戦う場所ならどこへでも航空戦力を投入するという、海兵隊の長年にわたる決意を具現化した。

ハリアーの物語は、AV-8が米軍に導入される前から始まっていた。英国のホーカー・シドレー・ハリアー垂直離着陸機を基に開発されたこの機体は、垂直・短距離離着陸(V/STOL)という画期的なコンセプトを中心に設計された。エンジンノズルの向きを変えることで、この機体は即席の場所や道路、損傷した飛行場、さらには小さな艦船の甲板からも離陸できた。冷戦時代、計画立案者たちが通常の滑走路が大規模な紛争にで真っ先に破壊される標的となることを懸念していた当時、このコンセプトには明らかな魅力があったが、V/STOL戦闘機として真の成功を収めたのはハリアーだけだった。

海兵隊は早い段階からこの構想を受け入れた。初代AV-8Aがコンセプトの実証を果たした一方、AV-8BハリアーIIはそれを真に有能な戦場攻撃機へと変貌させた。AV-8Bは、より大型の複合材製主翼、性能の向上、積載量の増加、そして大幅に強化されたエイビオニクスを特徴としていた。その後の改修で夜間攻撃能力やレーダー装備型AV-8Bプラスが導入され、21世紀に入っても現役としての価値を維持した。近年、海兵隊で現役の単座機はすべて、F/A-18A/Bホーネットから中古で流用されたAN/APG-65レーダーを装備した「レーダー機」となり強力な対空戦闘能力を獲得していた。

150719-N-NP779-003 INDIAN OCEAN (July 23, 2015) – Marine Sgt. Richard Szmygiel, from Oceanside, N.Y., and Marine Cpl. Erin Smith, from Spokane, Wash., VMA 311 ), work on a RADAR in the nose of an AV8B Harrier on the flight deck onboard forward-deployed amphibious assault ship USS Bonhomme Richard (LHD6). Bonhomme Richard is the lead ship of the Bonhomme Richard Expeditionary Strike Group and is on patrol in the U.S. 7th Fleet area of responsibility. (U.S Navy photo by Mass Communication Specialist 1st Class Ty C. Connors/ Released)水陸両用強襲揚陸艦「ボノム・リチャード」(LHD-6)の飛行甲板上で、AV-8Bの機首にあるレーダーの整備を行う海兵隊員たち。米海軍写真:マス・コミュニケーション・スペシャリスト1等兵 タイ・C・コナーズ/公開済み

ハリアーを傑出したものにしていたのは、ホバリング能力だけではなかった。その真価は柔軟性だった。海兵隊指揮官は、ハリアーを最前線の部隊の近くに配置することができ、それによって対応時間を短縮し、近接航空支援任務の有効性を高めた。この航空機は、強襲揚陸艦から作戦を展開する海兵隊遠征部隊にとって、うってつけの存在となった。その独自の能力により、固定翼戦術航空部隊が、従来の飛行場や空母から遠く離れた場所でも海兵隊に同行することが可能になったのである。

An AV-8B Harrier assigned to Marine Attack Squadron (VMA) 311 lands aboard the Tarawa-class amphibious assault ship USS Peleliu (LHA 5) as it steams through the South China Sea. Peleliu is the flaghsip of the Peleliu Expeditionary Strike Group and is on a scheduled deployment. (U.S. Navy photo/Petty Officer 2nd Class Scott Webb)2008年6月、南シナ海を航行中の強襲揚陸艦「ペリリュー」(LHA-5)に、海兵隊攻撃飛行隊第311飛行隊所属のAV-8Bが着艦する様子。米海軍写真/二等兵曹スコット・ウェッブ

ハリアーは瞬く間に実戦能力を証明した。

1991年の「砂漠の嵐作戦」において、海兵隊のハリアーは連合軍地上部隊を支援するため出撃を数千回行った。同機は過酷な条件下での飛行においても、高い作戦ペースを維持できる能力を実証した。その後の数十年間、ハリアーはバルカン半島、アフガニスタン、イラク、リビアでの任務やISISに対する作戦を含め、海兵隊のほぼすべての主要な戦闘作戦に参加した。

「デザート・シールド作戦」中、海兵隊のAV-8B 2機に対し、水陸両用強襲揚陸艦「ナッソー」(LHA-4)からの離陸準備として、最終離陸前点検が行われている。米国防総省

9.11以降の絶え間ない作戦展開の期間は、間違いなくハリアーにとって決定的な時期となった。AV-8Bは対反乱戦に極めて適していた。高度なターゲットポッドと精密誘導弾を装備した海兵隊のハリアーは、イラクやアフガニスタン上空で頻繁に見られる存在となり、地上部隊のすぐ近くで行動できる能力が特に高く評価された。

しかし、ハリアーが実戦で価値を証明し続けていた一方で、その将来はますます不透明になっていった。

Lt. Col. Thomas D. Gore, former commanding officer of Marine Attack Squadron 223, and a native of Tampa, Fla., pilots an AV-8B Harrier over the Kajaki Dam in Helmand province, Afghanistan, Nov. 20. From November 2011 to May 2012, VMA-223 provided close-air support for Marines and their Afghan and coalition partners conducting counterinsurgency operations in southwestern Afghanistan.

海兵隊第223攻撃飛行隊の元司令官、トーマス・D・ゴア中佐が、アフガニスタン・ヘルマンド州のカジャキダム上空でAV-8Bを操縦している。2011年11月から2012年5月にかけて、VMA-223はアフガニスタン南西部で対反乱作戦を展開する海兵隊およびアフガニスタン・連合軍パートナーに対し、近接航空支援を提供した。米国防総省

機体の老朽化、整備の負担、そして限られた発展の可能性が、命取りとなった。また、この機はパイロットへの負担も著しく大きく、安全かつ効率的に運用するためには独自の訓練カリキュラムが必要とされた。

高度な能力を持つ敵との将来の紛争における要求を見据え、海兵隊航空計画担当者は、次世代の垂直離着陸機には、第4世代攻撃機が提供できるものを超えるステルス性、高度なセンサー、ネットワーク戦能力、そして全体的な生存性が求められるとの結論に達した。

その答えがF-35B ライトニングIIだった。

ハリアーと同様、F-35Bは短距離離陸・垂直着陸能力を備えている。しかしハリアーと異なり、ステルス技術、センサーフュージョン、強力な電子戦システム、そして戦域全体で情報収集拠点として機能する能力を兼ね備えている。海兵隊航空部隊の指導者にとって、F-35Bは、ハリアーが切り拓いた遠征戦力の優位性を維持しつつ、戦闘能力を劇的に拡大する道筋を示した。

しかし注目すべきは、海兵隊が大型空母からも運用可能なF-35C型も調達している点である。

海兵隊のハリアー飛行隊は、次々とF-35Bへ転換を開始した。機体は退役し、整備員は再訓練を受け、パイロットは新しいプラットフォームへ移行した。このプロセスは、海兵隊が将来の紛争、特にインド太平洋地域での紛争に備えることに焦点を当てた、より広範な近代化の取り組みを進めるにつれて加速した。

ハリアーからの完全移行は、2022年の海兵隊航空計画に盛り込まれていた。『U.S. Marine Corps』

ハリアーの退役が近づく兆候は、ますます顕著になっていった。2024年、最後の2名の海兵隊パイロットがAV-8Bの資格訓練を修了し、海兵隊にハリアーパイロットとして認定された最後の飛行士となった。彼らの卒業は、「フライング・レザーネック」ことハリアー・コミュニティの終焉の始まりを告げるものだった。

2026年5月19日、ノースカロライナ州チェリーポイント海兵隊航空基地にて、第223海兵攻撃飛行隊所属のAV-8Bハリアー操縦士兼副官であるエリック・シーベ少佐と、同飛行隊の固定翼機整備士であるタチアナ・リオス軍曹が、記念飛行に参加した。写真:ブライアン・ジラルド一等兵(米国海兵隊)

作戦活動の最終章を飾ったのは、最後までハリアーの旗を掲げ続けたVMA-223だった。揚陸艦「イオージマ」(LHD-7)への展開は、海兵隊ハリアーにとって最後の作戦展開となった。

「イオージマ」水陸両用即応群(ARG)の一員として、第22海兵遠征部隊とそのハリアー機は、カリブ海で違法薬物を積載している疑いのある船舶に対する米国の攻撃作戦である「サザン・スピア作戦」に参加した。「イオージマ」ARGは、今年初めのヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の捕獲作戦でも同地域に展開していた。

飛行隊が任務を完了し、最後の機体が帰還すると、退役へのカウントダウンは最終段階に入った。

この機体を操縦し、整備してきた海兵隊員たちにとって、退役は複雑な心境を伴う。ハリアーは敬意を払うに値する機体だった。独特な飛行特性と垂直着陸運用には、パイロットに並外れた技能が求められた。整備員は、老朽化した機体を任務遂行可能な状態に保つため、休む間もなく働いた。しかし、そうした困難こそが、米軍において他に類を見ないこのプラットフォームを中心に、結束の固いコミュニティを築いたのだ。■