台湾、ウクライナと東西の同時危機が一番恐ろしいシナリオですが、本邦ネットのニュースはあまりにも断片的なので読者には背景がわからないままです。短い報道もいいのですが、重要問題については情報量の多い記事が欲しいですね。(新聞には頼りませんが)
2021年11月9日撮影の衛星画像で、ロシア=ウクライナ国境から北約160マイルの訓練地に展開する、戦車、自走砲多数、その他の軍事装備を含むロシア地上軍が判別できた Satellite image ©2021 Maxar Technologies.
米情報機関はロシアがウクライナ侵攻を正当化するため展開すると見ている
ホワイトハウスも記者会見で懸念を1月13日表明
ウクライナ防衛省もロシアが侵攻の理由付けを模索している懸念
米情報機関はロシアがウクライナ東部でサボタージュ要員を潜り込ませており、国籍を不明のまま活動させることで対ウクライナ軍事行動を正当化するとみている。CNNが1月14日に匿名米政府関係者の発言として先に伝えた。
「ロシアが工作員を配置しており、国籍を偽装しウクライナ東部で活動させようとしているとの情報がある」と匿名筋はワシントンポストに語り、さらに「工作員は都市戦訓練を受けており、爆発物で妨害工作を展開する」とした。
これが発生すればロシアに10万名近くの部隊を展開する口実となる。現在ロシア軍はウクライナ国境沿い各地に展開している。
別の匿名筋はPoliticoに対し工作員は「数週間にわたり」作戦を展開し、その後攻撃に移るとし、「2014年のクリミアと同じ展開だ」とした。
この説明に重なるのがホワイトハウス安全保障担当補佐官ジェイク・サリバンが1月13日に説明した次の内容だ。
「ロシアは侵攻の口実づくりをはじめており、妨害工作、情報操作を通じウクライナが東部ウクライナでロシア軍攻撃を画策していると非難している。
「同じ展開は2014年にあった」とし、クリミア侵攻・併合時のロシアの動きに言及した。「今回も同じ手口で準備している」
ウクライナ防衛省も同様の発言で、「侵略国家の部隊に同調する勢力へ挑発行動準備の指令が下っている」と1月13日にCNNに語った。
NATO協議は不調に終わり、ロシア侵攻の恐れが強まる
ウクライナ侵攻の口実をロシアが模索中との警告の一方で米国NATOとの協議は失敗し、ロシア政府関係者は「忍耐が切れた」とまで発言している。
ロシアと西側の外交交渉に決定的突破口は生まていない。米ロ両国は1月10日に会談し、その後ロシア外交団はNATOと12日に会談し、さらに13日にヨーロッパ安全保障協力機構での協議が続いた。
だが週の終わりにロシアは拘束力のついた保証を引き続き求め、米NATOは拒否し、双方で悲観的な見方が強まった
水曜日の会談を終え、NATO事務局長イエンス・ストルテンベルグは「ヨーロッパで新たな武力衝突が発生する危険が現実」になっていると報道会見で述べた。
ロシアの要求の一つにウクライナ、ジョージア両国のNATO加盟阻止があるが、NATOは来るものを拒まずとの方針には交渉の余地がないとする。ロシアの最上位外交官はロシアの要求内容に対する西側の文書回答を来週までに求めていると述べた。
米側はウクライナ領内への軍部隊の侵入は大規模経済制裁につながるとロシアへ警告している。
この関連で上院民主党がロシア侵攻の場合はプーチン大統領含むロシア指導部を制裁対象にする法案を13日提案した。これに対しクレムリンもプーチン自身が制裁対象になれば米ロ関係は決定的に決裂すると反応した。
クレムリンの主張はロシアにウクライナ侵攻の予定はないのに西側指導層が極端な猜疑心を示しているというものだ。
「2014年にウクライナ侵攻したのはロシアであり、1万4000人近いウクライナ人の命を奪ったウクライナ東部の戦争を煽り続けているのもロシアであり、そして今、ウクライナのみならず全欧州とわが方に新たな危機をもたらしているのはロシアだ」と、米国代表団代表をつとめたウェンディ・シャーマン国務副長官は2日の記者会見で述べている。
シャーマンは、「エスカレーション回避と外交、あるいは対立と結果のいずれかの厳しい選択に迫られるのはロシアだ」と付け加えた。■
US Intel Suggests Russia Planning False-Flag Operation in Ukraine
Ryan Pickrell and John Haltiwanger
当初の予想と裏腹に、プーチンは強硬な姿勢を維持している。何故か?
返信削除バイデン、及びNATOは、昨年、ウクライナがNATOに加盟していないことを理由に派兵の対象外と明言した。これは、本来、曖昧にしておくべきことかもしれなかった。
この発言は、今ならばロシアがウクライナに侵攻しても米・NATOが介入せず、また、将来ウクライナがNATOに加盟すると、手出しができ難くなるとともに、米・NATOにロシアの柔らかい下腹を常に脅かされるならば、それに対処するために侵攻するのは今しかなく、経済損失より安全保障が勝ると、プーチンの判断を誘導したのかもしれない。
さらに、米国は、たとえ侵攻が起きても米、及びNATO加盟国に戦火は及ばず、痛むのは露軍と露経済、及びプーチンの支持率ならば、それも悪くなく、また、ロシアの再分解も展望できると考えているのかもしれない。
交渉の落としどころが見えず、プーチンは引くに引けない立場に一層追い込まれたようだ。火遊びはもう止めにすべきだろう。