2013年1月19日土曜日

海兵隊用F-35Bだけ現在飛行停止中

Pentagon Grounds Marine Corps Model Of F-35 Fighter Jet
By Reuters

 
aviationweek.com January 18, 2013
Credit: DoD


ペンタゴン及び米海軍はロッキード・マーティンF-35の海兵隊用機材の運用を一時中止する命令を発した。これは今週水曜日にエグリン空軍基地(フロリダ州)の訓練飛行中に発生したインシデントのため。
  1. ペンタゴンのF-35計画室からは今回の措置の対象はF-35B合計25機全機だとし、空軍のA型、海軍のC型は対象外だと発表した。B型も地上での運転は継続する。
  2. 運行停止の原因となったインシデントとはB型の排気システムの不良に関連した推進系の問題で離陸前に発生したもの。同機のパイロットは離陸を断念していると同計画室が文書で発表した。これに伴うパイロット、地上要員の損害はない。
  3. 今回のインシデントはペンタゴンのテスト評価部長が18ページの報告書を発表し、一連の問題点を詳しく述べ、総額3,960億ドルで開発中の同機で「成熟度が不足している」ことを明らかにした直後に発生してしまった。
  4. プラットアンドホイットニー社スポークスマンは初期段階の点検で推進線がエンジン格納部分後部で外れていたことが見つかったと発表した。
  5. この機構はA型C型では使用されていないので飛行はそのまま許可されている。
  6. 「プラットアンドホイットニーとロールスロイスの合同チームが今回のインシデントの根本原因を調査中でロッキード・マーティンおよびF-35共用戦闘機開発室と密な連絡をしながら問題解決に取り組んでいます」とプラットアンドホイットニー社から文章による発表があった。
  7. それによると今回発生した事例は以前はみつかっていないという。

2013年1月18日金曜日

日米防衛協力ガイドライン改定と変化した防衛環境


U.S., Japan Review Defense Guidelines Amid Tension With China
By Reuters
aviationweek.com January 17, 2013

日米両国は17日より防衛協力ガイドラインの改訂作業を開始した。これは15年ぶりの見直しとなり、阿部首相が中国との領土をめぐる対立、北朝鮮のミサイル・各開発問題に直面しているさ中での作業となる。

  1. 今回のガイドライン見直しはタカ派の安部首相が先月の総選挙の結果誕生したさなかでの作業となり、日本国内外で日本、米双方の部隊を共同運用するルール作りがねらいだ。
  2. 「自衛隊の役割と米軍の役割を10年15年先の安全保障環境を見越して検討したい」と防衛省関係者は語っている。
  3. 今回の見直しはこの15年間で大きな変化が既に選考していたため急ぎ求められていた。
  4. 北朝鮮のミサイル・核開発に加え、南シナ海では日中双方が艦船、航空機を動員する緊張が高まっている。
  5. 今回の見直し作業はまず実務レベルが東京ではじまった。一年以上かけて完成させるタイミングが米国が外交安全保障の軸足をアジア太平洋に移す時期とちょうど一致することになる。
  6. 安部政権が集団安全保障を権利として行使できるように憲法解釈を変更するかが広く関心をもたれる点、と戦略国際研究所Center for Strategic and International Studiesの主任研究員ニコラス・シェチェニNicholas Szechenyiは解説する。
  7. 「その決断を下した場合は自衛隊と米軍部隊の共同作戦は大きく変化します」 日本では集団自衛権とは日本に攻撃が及ばない場合に同盟国が攻撃を受けると想定し同盟軍とともに防衛作戦を展開することと解釈している。
  8. しかし歴代の日本政府は平和憲法下ではこの権利の行使は禁止されていると解釈してきており、日米の防衛協力関係でひとつの弱点になっている。阿部首相はこの解釈を変え、この権利の行使が可能になるよう希望している。
  9. ただし防衛省からは進行中の作業で集団的防衛権が検討されているかについては何も言及がない。■


2013年1月17日木曜日

新国防長官ヘイゲル氏と新CIA長官ブレナン氏

Obama To Nominate Hagel, Brennan For Top National Security Posts

By Reuters

aviationweek.com January 07, 2013

バラク・オバマ大統領は1月7日に共和党員チャック・ヘイゲルChuck Hagel(写真左)を次期国防長官に、ホワイトハウスで対テロ顧問のジョン・ブレナンJohn Brennan(写真右)をCIA長官に任命することを明らかにした。
  1. .ヘイゲルは一匹狼の元上院議員でベトナム戦争従軍で叙勲を受けており、レオン・パネッタに代わりペンタゴンのトップとなる。この人事は上院での承認ではヘイゲルのこれまでのイラン、イスラエルに関する投票記録を理由に批判があることから難航しそうだ。ブレナンはCIA勤務経験があり、退任したデイビッド・ペトレアス将軍David Petraeuの後任となる。
  2. この二人の任命人事は先のジョン・ケリー上院議員Senator John Kerryの国務長官人事とともに第二期オバマ政権の中で生じた閣僚の退任を埋めるもので、アフガニスタンでの戦域縮小、イラン各問題への対応、ペンタゴン予算削減と言った難題を乗り切るものだ。正式な発表はまもなくある予定。
  3. ヘイゲルはベトナム戦争従軍の後ネブラスカ州より上院議員に統制し、2008年までの任期を務めた。共和党内部からの批判が根強くあるのはイスラエルの利益に逆行する本人の姿勢が理由で、イランに対する制裁案でも反対票を投じており、「ユダヤ人ロビー」がワシントンにあるとの発言も反感を買っている。ヘイゲルは米軍兵力規模についても批判的である。ただし、ホワイトハウスはそのような批判を乗り越えて民主党が多数派を占める上院でもヘイゲルの人事は承認受ける見込みありと見ている。
  4. 退役陸軍大将スタンリー・マクリスタルRetired Army General Stanley McChrystalはNBCの「トゥディ」でヘイゲルのこれまでの発言をもって本人を不適切とするべきではないと発言。「オバマ大統領が信頼を寄せるのであればヘイゲル上院議員には経験があるということでしょう。たしかに一角の人物であります。」と発言。マククリスタルはアフガニスタンで最高位の将官出会ったが、2010年に退役。「信頼の度合い、人間関係の強さが関係者の間でどれだけ強いのかが一番重要な要素です」
  5. ブレナンは2008年よりオバマ政権の対テロ作戦の筆頭顧問を務めている。「ブレナンの経歴と並はずれた業績記録により非常に優秀なCIA長官になると見ています。ブレナンは大統領の全幅の信頼を得ています。」とある政府高官は語っている。
  6. .「これまでの四年間で大統領とは毎日顔を合わせていますし、一番厳しい決断を下した際も大統領の側にいました。ビン・ラディン襲撃の開始を決断したときもそうです」と同高官は語っている。■


2013年1月15日火曜日

ロッキード新CEOが語る同社の今後の方向性

Face-To-Face With Lockheed Martin’s New CEO

By Anthony L. Velocci, Jr. , Joseph C. Anselmo


December 31, 2012
Lockheed Martin

ロッ キード・マーティンからクリストファー・キュバシックChristopher Kubasik が新CEOに2013年1月に就任すると発表があったのは昨年5月。マリリン・ヒューソンMarillyn Hewsonは社長兼最高業務責任者に就任することになった。ヒューソンの同社での職歴の長さからNo.2の地位に据えるのはキュバシックが51歳で今後 もCEO職にとどまる可能性が高いこともあり、賢明な選択と写った。だが、ロッキード・マーティンがその案を昨年11月にひっくり返したのはキュバシック が「親密すぎる個人関係」を部下と持ったことで退任を迫られたため。結果、ヒューソンがCEOに就任し、退任するロバート・スティーブンスと交代したが、 準備には53日しかなかった。ヒューソンは12月に本誌のワシントン支局を訪問し、まもなく退任するAW&ST主筆アンソニー・L・ヴェロッチ Anthony L. Velocci, Jrおよび次期主筆ジョセフ・C・アンセルモ Joseph C. Anselmoと新CEO就任の心境とともにロッキード・マーティンを防衛産業を取り巻く厳しい環境の中でどのように成長を継続させるつもりなのかを語っ た。


AW&ST 1月1日付でのCEO就任は青天の霹靂だったのでは。

ヒュー ソン: 実際には1月末で当社在籍30年であり準備はすすめてきたつもり。その間にトップは19人変わり、当社主要事業四分野のうち三つに従事し、本社に 6年間いた。当社で最大規模の事業である電子システムズを運営してきており、その際に最高経営責任者の仕事と同等の職責を果たしてきたのも事実。当社の戦 略策定に直接関与しており、その間会長兼CEOボブ・スティーブンスBob StevensやCFOブルース・タナーBruce Tannerと一緒にいた。昨年4月に社長件COO職になった際に、クリスがCEOに指名され、私はその補佐を務め最も成功したCEOの下で働いた。とい うことで4月以来準備はしてきた。先月になり交代の作業があったのは事実ですが、準備はできていた。

国防部門はスティーブンスのCEOのもとでうまく運営されてきた。今後は市場が厳しさを増す中でCEOに就任するのは大変では。

. 当社のポートフォリオを眺めてみると、当社製品・サービスの需要が底堅いことがわかる。戦術航空機、回転翼機、国防・民生衛星、オライオン宇宙カプセル、 サイバーセキュリティ、不正規戦対応、陸上車両がある。米国初め国防予算が減る中でこれまでと同じ順調な売上の伸びが期待できないことは認めるが、同時に 国防予算が伸びている国もあるのも事実。現時点で当社の売上17%が国際市場によるもので、米国外の売上を今後数年間の間に20%に増やすことをめざす。 成長が高い中東、アジア太平洋に加え、英国やオーストラリアもある。今後も現在のビジネスサイクルにより成長を図る会社として在り続ける。

20%というのは控えめすぎるのでは?

そ れ以上を目指すが、国内でも当社製品・サービスへの需要があることは事実。新国防戦略がパネッタ長官から発表されているのでその内容を見ると当社の製品 ポートフォリオの方向性が正しいと確信できる。F-35は戦闘機の他の機種の多くに影響を与える存在だが、米国および国際共同開発国に他に得がたい性能を 提供する。当社にとっても同機は大きな存在である。

F-35に関しては現時点で予算を210億ドル懲戒しており、予定よりも8年間遅れているのが現状だが
.同機の開発は史上最大規模かつ複雑になっている。飛行テストは極めて順調に進行中。生産量をひきあげており、避ける事ができない技術問題も克服しつつある状況。ソフトウェアも含めて克服できない課題はない。経験の学習効果が出てきたのでコストも下げる方向に動いている。

F-35用のソフトウェアではどんな形で関与しているのか

ソフトウェア開発とテストはずっと見てきた。ソフトウェアでは数回に渡るアップグレードも行なってきた。ちょうど数カ月前に最新版を納入したばかりだ。ブロック2Bの開発日程は共用開発室と連携して作成したが、次のソフトウェアは1月に納入できるめどがついた。

カナダとオーストラリアが費用と遅延を理由に同機導入を再考する動きがあるとの報道があるが、両国に対しては計画に残るように希望しているのか

カ ナダとオーストラリアは賢明で経験豊富な購入相手very smart, savvy buyersだ。両国ともいつも「自分たちが求める要求内容は実現されているか、必要なのは何か」と問題意識が強い。F-35なら他では得られない性能を 提供できる。開発は順調に進んでおり、コストも引き下げられる。ということで率直に言って両国にとって同機は最良の選択だと思う。

両国が残ると自信があるということ?

ええ、両国が求める性能を提供できる機体である。カナダが評価手順を進めれば、F-35が残ることは間違いない。オーストラリアからはまだF-35導入を断念するとは聞いていない。両国ともタイミングの問題だろう。

ロッキード・マーティンはリスク管理を強めるべきではないか

リ スク管理はすでによく構想されており、プログラム管理と早期警戒信号についても同様だ。当社の手順を検討してもらえるのなら外部の方でも歓迎したい。プロ グラムの大部分は順調に進捗しており、その過程で技術課題、費用、日程管理等全ては現場から社長まですべて把握できるようにしている。各プログラムを総合 すると今まで以上の成果が出ている。

貴社は存在が圧倒的に大きい共用打撃戦闘機に焦点をあわせたために非難をあびているのか
. 当社の責任は各プログラムで良い成果を出すことで、これができないとなれば、底入れが必要になる。この点では全面的に責任を取る。当社が手がける事業では 要求水準を実現できない場合には社内資源をそこに投入して不具合を治す。その過程で一貫して当社は顧客とともに現状を直視していく。

1983 年にまだ二十代の技術者としてロッキードでのキャリアをマリエッタ(ジョージア州)で開始した時点でに国防大手メーカーの女性社長に就任する日が来ると想 像できたか、またジェネラル・ダイナミクスのフィービー・ノバコビックPhebe Novakovicとともに女性二名で女性進出を妨げてきたガラス天井をぶち破る日が来ると想像できたか
ロッ キード入社の頃、上級生産技術者としてそんなことは想像もしていなかった。入社自体に興奮していたのだ。愛国者の家庭で育った自分にとって、父は第二次大 戦中は陸軍省勤務、母は陸軍婦人部隊で看護婦だったが、兄はベトナム戦争に参戦しており、自分自身でも愛国者の伝統をロッキード入社で感じていたものだ。 面接に行った際に生産ラインから当社の製品が完成してくるのが見えた。C-130とC-141で、ちょうどC-5B契約がとれたばかりであったので、当時 は女性が国防メーカーの経営にそもそも当たるべきかなどとは考えていなかった。当社には価値観が定まっており、技術革新に興奮し畏怖していたのが現実で あった。

航空宇宙国防産業 A&D industryにはもっと女性を登用するべきだとの考えがあるが、同意するか。

当 社主要4分野のうち3つで女性が切り盛りしており、当社の従業員の25%が女性である。おっしゃるとおり、30年前にはここまで多くなかった。軍や国防産 業で女性の存在が大きくなっている。職業人として経験を積み、業績を残し、昇進し仕事の競争に勝つことが肝要だ。自分自身も仕事の口を競争で勝ち取った し、他の多くの同僚も同じだ。これは男性か女性かの問題ではない。これが自分の見方であるが、自分自身の場合は相当早い段階で管理職になり、入社18ヶ月 後に主任になっていた。

ボブ・スティーブンスとの違いをどう出して自分のカラーを示すのか

当 社ではトップもリーダーシップチームとして動いており、ボブがどうのこうのとかその他のわれわれが一歩下がって行動するわけではない。たしかにボブは包括 的なリーダーであり、社内で一緒になり動いている。ひとつちがいがあるとすれば航空宇宙産業の置かれている環境だろう。当社ではチームとして当社の成長を 維持する方向に焦点を合わせている。変化していく環境の中での路線の選択だ。どの分野に力を入れるべきか。どの分野から撤退すべきか、という選択だ。

この30年間で直面した最大の課題は何ったのか
管 理職として最初の仕事はスタッフの25%をレイオフすることだった。というのも業務がそれ以上拡大できなくなったためだ。自分にとって断腸の思いであった ことを今でも思い出す。各自の目の前に座りもうあなたの仕事なもうない、と告げたのだ。しかも成績が悪いからでなく、事業環境が悪くなったためだった。こ のことから次の動きを見越して成長拡大を一貫して求めることの重要性が理解できた。当社の看板プロジェクトを担当していた際のこと、これは大統領選用ヘリ コプターの事例で結局計画取りやめになったことがある。その際には1,000名の整理を迫られた。今はこの事業が再び拡大してきており、MH-60Rヘリ を同じニューヨーク州オウェゴで生産しており、今年は33機を納入する。

ロッキード・マーティンが現状のR&D投資を維持できると見ているか、反対に縮小の可能性は
コ ストについてはすべての側面から検討している。過去三年間で焦点を合わせてきたのは大型支出、管理費用および事業所だ。三年前の従業員数は14万6千名 だったが、今は12万名だ。昨年末まで電子製品システム事業を担当していたが、今でもこの職責を維持している、というのは社内の階層を減らし、社内カンパ ニー三社をひとつに統合したから。組織の平準化でコストを下げる効果が出ている。現在も社員教育には力を入れており、R&D投資により事業拡大が 続けられるようにしている。■

Marillyn Hewson マリリン・ヒューソン
社長就任2012年11月、CEO就任2013年1月1日
年齢 59最
出生地 カンザス州ジャンクション・シティ
学歴 アラバマ大学 経営管理学士号、修士号
職歴 旧ロッキードコーポレーションに1983年に上級産業技術者として入社し、19階層を昇進する中で電子システムズ業務で業務最高責任者、執行副社長を経験。

2013年1月14日月曜日

インドの次期空中給油機にA330MRTT

Airbus Military Prevails In Indian Tanker Selection



aviationweek.com January 07, 2013

エアバス・ミリタリーはインド空軍向け空中給油機選定に同社が優先入札業者preferred bidder に選ばれたと認めた。
  1. インドは総額10億ドルで合計6機の購入を検討してきた。インドが選んだのはエアバスA330多用途給油輸送機 multirole tanker transport (MRTT)でロシア製イリューシンIl-78給油機は選外となった。
  2. エアバス・ミリタリーは同機は「合意形成から51ヶ月以内に納入」と発表。
  3. イ ンドにおける優先入札業者の位置づけは機体選定と財務上の契約決定を分離していることに特徴がある。エアバス・ミリタリーは契約調印がいつになるか不明と しているが、インド政府が予算削減を新年に発表したことで調達手順が遅れることになるかもしれない。インド政府の削減策は経済不振を理由に国防予算を当初 の386億ドルから5%カットするもの。
  4. エアバス・ミリタリーによると選定の決定となったのは同機が各種の戦闘機に空中給油可能なこととヒマラヤ高地Lehにあるインド空軍基地からの運用が可能であることだという。
  5. インドの導入決定でA330 MRTTの運用国は計5カ国になり、オーストラリア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、英国にインドが加わることになる。■


F-15Eストライクイーグル後継機種を考える

What will replace the F-15E Strike Eagle?

DEW Line, FlightGlobal http://www.flightglobal.com/blogs/the-dewline/
By Dave Majumdar on December 17, 2012 12:54 AM

米空軍はF-15Eストライクイーグル多目的戦闘機を2030年代まで運用したいと考えているが、その後継機種については明確な案はないようだ。
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  1. ストライクイーグルは米空軍の運用する機材の中では最優秀な多目的戦闘攻撃機であるといえる。航続距離、ペイロード、運用ミッションの幅広さでF-15Eの右に出る機体はない。ロッキード・マーティンF-22ラプターはF-15Cの後継機種として企画されているが、ストライクイーグルは対象外だ。ロッキードF-35はフェアチャイルド・リパブリックA-10とロッキードF-16の代替機として想定されているが、結局ストライクイーグルの航続距離やペイロードに匹敵する性能はない。2030年代までに米空軍はF-15Eのミッションを代行できる機材の配備に迫られる。
  2. 業 界筋ではF-35派生型がF-15E後継機種になるとの観測が強い。F-35の航続距離を伸ばすことは可能だ。すでにその検討も進んでいる。特に空軍研究 所が進める適応型エンジンテクノロジー開発Adaptive Engine Technology Development (AETD)の成果としてエンジンの燃料消費がプラットアンドホイットニーのF135エンジンより35%以上改善されればその効果は大きい。F-35複座型の開発も可能だろう。また同機のペイロードを増加させる選択肢もある。
  3. し かし、そこまで自信を持てないアナリストがいることも事実だ。F-35改修は大掛かりな投資になると見ている。FB-22開発案ではラプターを大幅に再設 計することで可能としていた。ただし、実現していたとしてFB-22の航続距離がどうなっていたか疑問だ。F-22のアキレス腱は航続距離だ。おそらく F-16をわずかに上回る程度だっただろう。別の例はボーイングF/A-18E/Fスーパーホーネットで、原型のA型からD型までと比較すると全く新しい 機体になっている。

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  1. 第六世代機とする選択肢もある。米空軍と米海軍はそれぞれF-X、F/A-XXと呼称する機体の形状を検討を開始している。他の選択肢は無人機を有人機で 運ぶもので、その母機として長距離打撃爆撃機 Long Range Strike Bomber (LRS-B)が想定され、これは接近阻止領域侵入拒否の環境への対応となる。
  2. ど の案にせよ2010年代末までに真剣に検討する必要があり、新型機の開発、就役に長期間の日程が必要であることを考慮すべきだ。とはいえ、米空軍にとって 各種の開発計画があり資源の取り合いになる中では、LRS-Bの配備機数を増やして一部任務を肩代わりさせる案が必要だろう。LRS-Bが現行想定の 80-100機程度が250-300機規模に拡大されれば、現有の爆撃機部隊全てに加えF-15Eの代替も視野に入ってくる。
  3. それでも予想外の事態はありうる。米空軍がグルームレイクでどんな機材を開発しても敵領土の奥深くへ侵入する役割を部分的に埋めるだけにおわるだろう。しかもこれは深侵攻型攻撃・ISR機材が本当に存在すると仮定してのことだ。レキシントン研究所Lexington Instituteのダン・ゴアDan Goureが指摘するように闇の世界で開発中の機材には極端なハイテクが応用される代わりに極端なまで高価な買い物extremely expensive boutique itemsになる。そうなるとこのシナリオは成立しないと見るのが妥当だ。
  4. どちらにせよストライクイーグル後継機種開発の計画では一定数の機材を生産する必要がある。米空軍がてがける各計画では想定を大幅に下回る機数しか調達で きない傾向、しかも25年も後になってやっと出てくるしくみのようだ。このままだと米空軍の第一線機材は危険なほど縮小しそうで、敵方が性能向上した機材 を揃えるのに対しわが方は旧式機で対応する事態になりかねない。■



2013年1月13日日曜日

防衛メーカーも国防予算削減への対応を開始

       

Arms Makers Lament Uncertainty, Urge Clarity To Make Investments



aviationweek.com January 11, 2013

国防予算を巡る状況が厳しさを増す中で米国防産業各社はコストを削減する一方で新技術への投資を継続する構えだが、ペンタゴンに対しては要求内容をもっと明確に提示して欲しいとの要望を持っている。
  1. .リアン・カレット(ボーイング垂 直飛行製品部門副社長兼主幹)Leanne Caret, vice president and general manager of Boeing Co’s vertical lift divisionは国防総省と主要メーカー各社との開かれた形での対話を重要視しており、各社が入札できる新規計画が少なくなっているからこそこれが必要 だと主張する。
  2. 「社内投資を精査し、者の生き残りを図ることがどうしても必要です。」と米陸軍協会主催の航空機会議で発言している。
  3. カレット副社長は軍指導部に対して産業界にもっと率直に対応するよう求めており、軍の求める内容とともに予算状況の現実を伝えてもらいたいとする。この形での対話が困難になることも承知のうえだ。
  4. ボーイング、シコルスキー・エアクラフト(ユナイテッドテクノロジーズの一部門)および兵装メーカー各社は追加削減がペンタゴン予算で現実のものになると見てすでに準備をしており、昨年末に5,000億ドルを国防予算から今後10年間に渡り削減する案を議会が葬らなかったことで覚悟を決めている。
  5. 各社幹部は国防予算を巡る状況が見えてこないこと、新規調達が遅れることで従業員雇用を削減しており、社内投資も抑制していると同様に発言している。
  6. .レオン・パネッタ国防長官は先週木曜日に民間人従業員雇用を凍結、保守点検作業を先送り、その他支出を削減する指示を米軍の各部門に対し出しており、すでに実行中の4,870億ドルとは別の追加削減の可能性が現実のものになりつつあると認めている。
  7. ヘリコプター部門では状況は特に暗いものになっており、この10年間で複数の計画が取り消しになっている他、スタートが先送りになっているものもあり、熟練従業員や重要な設計能力の喪失への懸念が高まっている。
  8. とくに今週になり陸軍から新型武装ヘリの調達決定が今春まで先送りになり、入札は2014年まで実施されないとの発言が出たことでヘリコプターメーカー各社が落胆している。
  9. これとは別の空軍の新型救難ヘリ案件は最初は業界に期待を持たせるニュースだったが、結局シコルスキー単独入札になり、競合各社は参加を見送ったのだが、入札ルールがシコルスキーを優遇する内容だったとの不平が出ている。
  10. サ ミル・メータ(シコルスキー軍用製品部門社長)Samir Mehta, president of military systems at Sikorskyによると同社は50百万ドルを投じて新型X2ヘリコプターを開発中で、最高速のヘリとなるが、さらに同技術を応用した大型軍用ヘリの試作 機S-97にも大型投資をしている。
  11. た だし同社も新型ヘリコプター各機に対する投資額で上限があり、グループ内の財務資源で取り合いになっていることに加え、ペンタゴンから出てくる計画内容が 不確定性を含んでいることを指摘する。「自社でできることにも限界があります。確約がほしいし、軍の要求内容が前向きになっていることを確認していきたい と思います。」
  12. メータによると各社とも海外政府とともに民間部門からの発注への期待が大きくなっており、これでヘリコプター部門の技術開発をつなぐ一助としたいと考えている。
  13. スティーブ・マンツSteve Mundtは退役陸軍将校で現在はEADS北 米部門に勤務しているが、業界会合に政府出席者が減っていることを問題視すべきと主張している。これは政府通達で実施されていることで実際にAUSA主催 会議などで政府は参加を見送っている。「私たちは攻撃を受けています。議会政治によりあるいはその他の要素により業界と省関係者が顔を合わせることができ ないのは許されないことです」
  14. マンツの矛先はペンタゴンの調達手続きに時間がかかっていること、型式証明の処理が面倒になっていることにも向けられ、新技術への投資は今後は民間部門や海外の顧客からの発注に依存することになってしまうと警鐘を鳴らす。
  15. マンツはペンタゴンに対して新型武器開発への予算支出を止めることのないよう求めており、予算削減の圧力の中でも案件が少なくなっても「波及効果」が米国の産業基盤に出る効果は蒸しすべきでない、とし投資効果や雇用にも影響が出ると主張している。
  16. メータもこれと同じ意見で、巨大メーカー各社はペンタゴン予算削減下でも生き残りは可能だが、中小業者ではそうもいかず国防ビジネスから撤退し民間需要に軸足を移すメーカーが出てくるだろうという意見だ。
  17. 「サ プライヤー各社のためにも戦っているのであり、各社の優れた技術や能力を活用できるようにしたいのだが、聞こえてくるニュースは国防調達の機能不全だった り投資判断が予測不可能となっていることばかりで、各社もリスクをわざわざ選択する意欲は減退しているのです」という。
  18. .マイク・ペターズ(ハンティントンインガルス産 業社長)Mike Petters, chief executive of Huntington Ingalls Industries Incはこれとは別の機会に報道陣に対して航空母艦他艦艇向けの各部品を製造する中小メーカー数千社の行方に対して懸念を持っていることを明らかにしてい る。
  19. 1 年以上も不確実な状況に置かれたメーカーの多くで深刻な影響が出ており、一部部材では供給先が一社になっている事例もあるという。次期航空母艦建造の交渉 は今年中に完了する予定だが、その過程で撤退メーカーが実際に存在することが判明するだろうと同社長は発言している。■