ミシガン州デトロイトにあるジェネラル・モーターズ(GM)本社。GMは2003年に防衛事業を分社化したが、その後、同事業を再編した。(Shutterstock/Jonathan Weiss)
ジェネラル・モーターズがミサイル事業に参入?
Is General Motors Entering the Missile Business?
The National Interest
2026年6月20日
執筆:ピーター・スシウ
https://nationalinterest.org/blog/buzz/general-motors-entering-missile-business-ps-062026
ジェネラル・モーターズはミサイル部品の製造でロッキード・マーティンと提携するようだ
米国最大の自動車メーカーと世界最大の防衛請負業者が提携交渉を行っている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』によると、ジェネラル・モーターズは、ロッキード・マーティンが「兵器生産を強化する」のに役立つ「汎用部品」の供給業者になる可能性が出てきた。
それぞれの業界を代表する両企業の間では、まだ合意には至っておらず、「提携の枠組み」は今後変更される可能性もある。とはいえ、ジェネラル・モーターズの軍事部門GMディフェンスとロッキード・マーティンの提携の目的は、主に先進的なミサイルを中心とした兵器システムの生産量を3倍、あるいは4倍に増やすことにあるとみられる。
GMディフェンスの本社はワシントンD.C.にあり、ロッキード・マーティンの本社は近隣のメリーランド州ベセスダにある。
GMとロッキード・マーティンの提携でミサイル生産が増加する可能性
ロシアのミサイルやドローンからウクライナを守る武器をワシントンが供給した結果、米国の防空兵器の備蓄は大幅に減少している。イランでの紛争により、これらの備蓄はさらに減少しており、ロッキード・マーティンをはじめとする防衛企業は、兵器の補充に数年、あるいはそれ以上の時間がかかる可能性があると警告している。
ロッキード・マーティンは米国の主要同盟国やパートナー国に対し、ペイトリオットPAC-3迎撃ミサイルの納期を保証できないと警告した。この警告は、同社がすでにPAC-3ミサイルの年間生産量を、2025年の年間約650基から2030年までに年間2,000基へと増産するために巨額の投資を行うと発表していたにもかかわらず出されたものである。
4月、米国政府はロッキード・マーティンに、米軍の備蓄を補充するPAC-3の生産・納入契約として47億6000万ドルの契約を交付した。しかし、ミサイルの製造に2年以上かかる可能性があるという点が、主要な問題となったままだ。
同じく4月、トランプ政権は「アーセナル・オブ・フリーダム」プログラムを開始し、米国の防衛産業基盤の積極的な再構築を呼びかけた。この取り組みの目的は、単にミサイルの生産量を増やすことだけでなく、米軍の再武装を可能にするサプライヤーや請負業者のネットワークを構築することにある。ピート・ヘグセス国防長官が主導するこの取り組みでは、官僚的な手続きを排除して、迅速なイノベーションと製造を促進することを目指している。
およそ1世紀にわたり米国の産業力の屋台骨を支え、第二次世界大戦中に戦車や航空機を用いてナチス・ドイツを打ち負かす一助となった米国の自動車産業は、「「アーセナル・オブ・フリーダム」プロジェクトで中心となることはほぼ確実だった。ジェネラル・モーターズ(GM)は、自動車に関連する広大なサプライチェーン網を統括しており、米国の防衛ニーズにも理にかなった存在である。
ジェネラル・モーターズは以前から防衛分野に注力していた
20年以上前の2003年、歴史的にGMと無関係だったジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズが、デトロイトの自動車メーカーであるGMの「GMディフェンス」事業を11億ドルで買収し、これにより自動車製造大手の同社による防衛事業は事実上終焉を迎えた。
2017年、ジェネラル・モーターズは軍事分野に再参入し、「GMディフェンス」部門を再発足させた。過去9年間、GMディフェンスとジェネラル・ダイナミクス・ランド・システムズは積極的に提携し、米陸軍の「オプション有人戦闘車両(OMFV)」を含む主要な防衛プロジェクトで協力してきた。
同社で最新の事業部門でありながら、最も急成長している事業部門でもあるGMディフェンスが、再び米軍向け車両を製造する可能性があると推測されてきた。今や、同社は航空宇宙・防衛企業ロッキード・マーティンを支援し、同社向けに重要部品を製造することも可能になった。
「この瞬間が特に重要である理由は、国が必要としているのが優れた技術だけではないからだ。製造能力、規模拡大能力、そして確実な納入能力も必要とされている」と、GMディフェンスはCNBCの記者との電話会見で述べた。「これこそがGMが貢献できる点だ。当社全体として、先進的なエンジニアリング、デジタル開発、サプライチェーン管理、そして大規模製造における豊富な経験を持っている。」
ロッキード・マーティンは、GMディフェンスが具体的にどのようなプロジェクトに関与する可能性があるかについて明らかにしていないが、同社幹部は、これが成長につながる可能性があると述べた。
「我々は共に、重要な3分野にわたる機会を模索していく。生産体制の整備と拡張可能な製造環境の構築、サプライチェーンの強化とレジリエンス(回復力)を高める方法の特定、そして効率の向上と納期短縮に寄与する先進的な製造・設計手法の適用だ」と、ロッキード・マーティンの最高執行責任者(COO)フランク・セント・ジョンは説明した。
セント・ジョンは記者団に対し、同社はすでに20カ所の施設や供給拠点に90億ドル以上を投資しており、こうした取り組みは2030年まで継続されると語った。同様に、GMも研究開発に最大70億ドルを投資している。
「製造業に深いルーツを持つ2社が手を組み、防衛産業基盤のスピード、規模、レジリエンスの拡大に貢献することで、米国はより強くなる」。「だからこそ、ロッキード・マーティンとGMは今回の提携を発表するのだ」■
著者について:ピーター・スシウ
ピーター・スシウは 寄稿し、ジャーナリズムのキャリア30年以上にわたり、数十の新聞、雑誌、ウェブサイトに記事を寄せてきた。彼は定期的に軍事装備、銃器の歴史、サイバーセキュリティ、政治、国際情勢について執筆している。ピーターはまた、 寄稿ライターとして『フォーブス』および 『クリアランス・ジョブズ』にも執筆している。ミシガン州を拠点としている。Twitterでは @PeterSuciuをフォローできる。