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いずも級の空母改修策は成功するか

Japan's Naval Future: 'New' Aircraft Carriers Armed with F-35s 日本の海軍力に「新」空母加わりF-35を運用へ

December 2, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanF-35MilitaryTechnologyWorldAircraft Carrier
本政府からいずも級ヘリコプター空母二隻を改修しF-35BライトニングIIステルス戦闘機の運用を目指すとの発表が2018年11月27日あった。.
2015年のいずも就航以来出ていた観測をこの発表が裏付ける結果になった。「これほどの装備を各種目的に活用するのは当然だ」と岩屋毅防衛相は報道陣に語っている。「本件の研究開発を進める」
関連報道で日本がF-35の100機追加調達を検討中とある。日本は2011年に第一陣としてA型の42機導入を決めたが今回は垂直着艦可能なB型を導入する。
ヘリコプター空母二隻の空母改装は生易しい仕事ではない。いずも級は航空母艦としては小型だ。さらに日本は第二次大戦後は艦艇からの固定翼機運用の経験がなくパイロットや支援要員の育成が必要だ。
だが小型艦で固定翼機運用に成功しているイタリアの例もある。オーストラリアでも保有中の小型航空機運用艦を改装すべきか議論が続いている。
.日本の現行憲法は攻撃作戦行動を禁じている。長年に渡り日本の指導層はこの条項の解釈として日本の海軍部隊では空母保有ができないとしてきた。
そこで海上自衛隊は空母保有禁止を受けて「ヘリコプター駆逐艦」だと説明し水上艦に機体格納庫や大型飛行甲板を装備してきた。
いずも級は「ヘリコプター駆逐艦」の域を拡大した。主要兵装を搭載せず、飛行甲板は艦首から艦尾まで全長におよぶ いずも・かが両艦はこれまでヘリコプターのみ運用している。
.全長814フィート、排水量27千トンのいずも級は空母としては小型だ。米海軍の超大型空母は全長1千フィート、排水量100千トンを誇る。AV-8BハリヤーやF-35の運用に供用される空母は850フィート、41千トンの艦容になっている。
だが日本より小型艦を運用する国もある。タイのチャクリ・ナルエべトは全長600フィートで排水量は11,500トンで第一世代ハリヤーを運用していた。
艦容と機能両面でいずも級に一番近いのはイタリアの旗艦カボール(全長800フィート、排水量30千トン)で通常はハリヤー5機を搭載する。イタリアもF-35Bを導入し現存するハリヤー10機と交代させる。
ロッキード・マーティンはF-35Bをハリヤーと同程度の広さの甲板で運用できる設計としている。F-35とハリヤーでは甲板上で必要な面積はほぼ同じだが、F-35では整備の作業量が多い。また排熱がハリヤーより大きく、飛行甲板に特殊耐熱被膜が必要となる。
.いずもの飛行甲板の再作業は容易だろう。むしろ艦内改修で飛行要員向け区画を作るほうが難しい。その他燃料、兵装等F-35分遣隊用の装備が必要だ。
オーストラリアはキャンベラ級強襲揚陸艦をF-35用に改修する検討をしており、全長760フィート、排水量30千トンの同艦もいずもとほぼ同じだが、同国専門家はこの作業は実施可能としている。
「30年以上に渡り英米両国はAV-8Bやシーハリアーを小型艦から運用し大きな効果を上げてきた」と元英海軍技術士官スティーブ・ジョージが記している。
「自分の経験では目に見える形での海軍航空兵力の展開能力のかぎは装備ではなく、必要とされる海軍航空運用の腕を磨くことだ」
日本にとって幸運なのは米海軍との強い同盟関係だ。日本がいずもにF-35を搭載すれば海上自衛隊艦隊は同機の艦上運用で知見を有する米側とともにパイロット含む要員の訓練が可能となる。

David Axe edits  War Is Boring  . He is the author of the new graphic novels MACHETE SQUAD and THE STAN.

コメント

  1. ぼたんのちから2018年12月9日 23:18

    近年の仮想敵国の長距離対艦ミサイル性能の向上は、攻撃型空母の活動範囲をより遠くへ押しやることになり、射程は艦載機の行動範囲を越えるようになるだろう。ミサイルは、航空機発射のみならず、潜水艦発射、及び弾道ミサイルがある。このことは攻撃型空母の価値を著しく減じることになる。リスクを冒して目標により近づくためには、警戒機や哨戒機のカバーが不可欠であり、また、海上、海中の直衛艦もより多く必要とする。
    日本にこのような攻撃型空母部隊を編成する力は、近い将来も含め、限定的な防衛費と人員の下ではあり得ないだろう。
    ではどのような「空母」が日本にとって最善であるか考えてみると、F-35B専用「空母」でなく、F-35Bを離着艦でき、燃料と弾薬を補充し、ごく簡単な整備ができるだけで良いのではと考える。F-35Bの特徴の一つは基地が無くても運用可能であることであり、その分散配置は仮想敵国の奇襲攻撃の多くを回避できるだろう。日本の「空母」は、F-35Bの退避場所となり、継戦能力を高める、移動する基地となる。このように考えると、いずも型のみならず、ひゅうが型も改造する価値があるのではなかろうか。
    記事冒頭の写真は驚きました。ひゅうが型へのF-35Bの着艦ですね。

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  2. F-35を飛行可能な状態に整備し任務に応じ弾薬を装備させ燃料を供給する。
    まさにそれが攻撃型空母そのものな訳ですが、航続距離が短い以上艦船が接近せねばならないしそんな的を単艦で任務を行わせる訳にはいかないのだから追付する護衛艦が必要となりましょう。
    そこまで見越して尚空母運用メリットがあるのか?人員、資金共に限りある中それだけのリソースを割いて唯一のF-35bのペイロードに期待出来るのか、甚だ疑問です。
    F-35bに疑問がある訳でも空母運用を否定する訳でもありませんが、米海軍の様に大型空母と別用途で運用する小型空母と海自の展開する用途に空母以上に必要なものがあるのでは、と考えざるを得ません。

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  3. 加えてもう1つ、現在極めて高い対潜能力は陸上基地だけで無く対潜航空機材を空母でも運用してあるからであり、これは活動領域が拡大すればより隻数が必要となる事は周知の事実だと思います。
    これは当然ながら米海軍と大きく住み分け出来ており、我が国の防衛は勿論米軍の対潜能力のプレゼンスを補う上でも役割を果たしています。
    そこまで見越した上で別途機材を、F-35b用にするという事は機材のみならず人員も別に整備員が必要となりますから対潜能力を付与する事は現実的では無いでしょう。
    F-35bを空母運用以外も出来る上で尚空母に拘る理由が理解出来ません。
    空中給油能力もアメリカの様に量的に高いとは言えないにもかかわらずです。

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  4. こりゃ練習空母だね。次の強襲揚陸艦搭乗員訓練が目的。自衛隊は空母慣らしを行っている。
    ヘリ母艦(はるな型)→2飛行甲板(おおすみ型)→空母型ヘリコプター母艦(ひゅうが)→強襲揚陸艦→空母
    の流れで整備。最終的な空母保有を目指している可能性があるね。

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  5. F-35B が活動する場所は沖縄周辺なんだから、「いずも」は英国と同じ運用だろうね。
    移動する"洋上の空軍基地"として燃料と武装の補給をメインとして動く。

    英国はF-35を空軍も海軍も「B型」しか導入しない。理由はクイーン・エリザベス空母
    を海上に浮かぶ補給航空基地として扱う戦略を取っている為。同じことはイタリアでも
    空軍にもF-35B を導入する。イタリア軽空母を"洋上の補給空軍基地"の扱いだし。

    航空自衛隊が沖縄にF-35Bを2個飛行隊40機を配備して、「いずも」が沖縄より南東
    で動いて洋上の補給支援基地としての使用だろう。

    自衛隊の早期警戒機 E-3 と E-2Dが沖縄周辺で活動して、ネットワークでF-35Bの
    グラスコックピットに敵機の位置を映し出しす。ここでF-35Bのネットワークが生きてくる。

    イージス艦が搭載する最新SM-6(RIM-174 SBTインクリメント1)ミサイルを、F-35Bが
    使えるしね。F-35Bはステルス性を生かして、後方の護衛艦が搭載する百発以上のミ
    サイルを使って目標攻撃ができる。

    最新SM-6は射程370kmで対空、対巡航ミサイル、対艦にも使える。対艦にはマッハ
    3.5の運動エネルギーで3300トンの船の撃沈に成功。SM-6はネットワーク誘導な
    のでF-35Bで目標を攻撃できる。F-35Bは自分を守る対空ミサイルだけを搭載すれ
    ばよい。重要なのが護衛艦とF-35Bのネットワークを中継するE-2Dの(CEC)機能。
    護衛艦とF-35Bで直にネットワークも可能だがF-35Bが水平線の下に隠れると切れる。

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