スキップしてメイン コンテンツに移動

主張 西側がウクライナへ直接介入すべき時が来た。ロシアを勝利させても次のウクライナが生まれるだけ。核の恫喝を許してはならない。

 


オーストラリアASPIのサイトで興味深い主張を見つけたのでご紹介します。ウクライナに装備品だけ送れば良い、とするバイデンの政策が根本的に間違っていることがわかります。プーチンがいるかぎり自由世界は脅威にさらされ、ウクライナを失えば更に脅威が広がります。「平和主義」「外交」で解決ができる事態ではないと見るべきでしょう。


米は熱い経済戦争をロシアに仕掛けている。ルビコンを渡った欧米はウクライナを武装させ、ウラジーミル・プーチン政権排除を明確に狙う経済封鎖でロシア経済の破壊をめざしている(破壊は現実となる)。経済攻勢の一環として、西側諸国はロシアの中央銀行準備金を凍結し、ロシアから約4000億米ドル(ロシアの2021年GDPの20%以上)を押収した。

 

 

戦争とは、別の手段による政治の継続であり、西側は手段を十分に使いこなしている。

 

しかし、西側諸国が戦略を変更しない限り、今回の戦争は、西側の敗北に終わる運命だ。理由は簡単で、核武装した相手が核のレッドラインを宣言し、これをそのとおり受け入れれば、経済戦争は実行できない。

 

ウクライナが崩壊し、ロシアが核の脅威に裏打ちされたまま経済戦争に対応すれば、西側はロシアのハッタリに応じるか、敗北を選択するか、いずれにせよ恐ろしい結果をすべて受け入れなければならない。そのため、西側諸国が今後不可避となる対立でロシアの核ハッタリに対抗する気があるなら、ウクライナを第二のホロドモルというべき大虐殺から救うため今こそ軍事介入するのが唯一の選択肢だ。

 

欧米の経済封鎖は、ロシア経済を破綻させる。ポール・クルーグマンは「ロシアは大恐慌レベルの不況に向かっているようだ」と書き、JPモルガンは1998年債務危機に匹敵する暴落を予測している。制裁がもたらすロシア経済全体への甚大な打撃は、痛みを伴い現れるだろう。例えば、Twitterのスレッドでは、制裁体制でロシアの民間航空がほぼ消滅すると示唆されている。西側諸国の対ロシア経済戦争がもたらす壊滅的な結果は、数十年にわたってロシア国民全員に影響を与えるだろう。

 

しかし、制裁がロシア経済全体に与える影響でロシアのウクライナ征服を防ぐことはできない。有用な役割はあるが。その時、プーチンは自ら条件で勝利したことになる。プーチンは、核攻撃の脅しにより、西側諸国が傍観したと判断する。制裁によって、ロシアは中国に頼らざるを得なくなり、その場合はロシアが中国のベラルーシになることも理解できるはずだ。

 

プーチンは反応を迫られる。そして、反応とは、西側との直接対決にならざるを得ない。そのとき、欧米は経済戦争を終わらせ、ロシアのウクライナ征服を認めることでプーチンをなだめるか、プーチンのハッタリに対抗するか、どちらかの選択を迫られる。

 

敗北を選択した場合は、ロシアとの衝突リスクを減らせるのが西側の利点となる。しかし、敗北を選択すれば、甚大な悪影響が生じ、いずれロシアとの対立から逃れることはできず、より悪い条件での対立となる。

 

敗北を選べば、西側諸国が膨大な外交・政治資本を投じた国に対してロシアが残忍な戦争を成功させたことになる。敵対政権がここから導き出す教訓は、核兵器の脅しに直面すれば、欧米は直接干渉しないということである。したがって、敗北は、核拡散と残忍な征服を助長してしまう。この組み合わせから、西側と西側の思想に敵対的な世界が生まれる。

 

敗北の選択はプーチンの勝利になる。ウクライナを征服し、西側諸国の外交、政治、経済を制圧することになるのだ。プーチンは、「冷戦の終焉を再現し、現在の欧州・大西洋安全保障体制を見直し、旧ワルシャワ条約機構諸国における勢力圏を再構築する」以上の野望を抱いている。ウクライナ戦争に勝利し、西側諸国に屈辱を与えても、プーチンのロシアは、ウクライナにとどまるつもりはない。

 

敗北の選択は、次の対決を準備することにほかならない。次回の対決でロシアは再び、西側がレッドラインを超えれば、核攻撃すると脅すだろう。

 

レッドラインとは何だろうか。第一に、ロシアは戦争に負けることはないし、第二に、敵はロシアの繁栄を脅かしてはならない(「ロシアのフィギュアスケーターは薬物検査を受けてはならない」というのがこのあとに続く)。

 

レッドラインは、相手が信じれば、相手の行動に対効果を与えることになる。しかし、こうしたレッドラインは信頼に足るものではない。米国が核兵器を持つのは、まさに核の威圧に屈しないようにするためだ。2018年の核態勢見直しで、『潜在的な敵対者は、...いかなる核のエスカレーションもその目的を達成できず、かえって自らに受け入れがたい結果をもたらすことを認識しなければならない』としている。

 

ロシアは、1990年代にチェチェンの首都グロズヌイで行った戦術を繰り返すことで、ウクライナ戦争に勝とうとしている。ロシアは、殺人と恐怖で、ウクライナ国民を服従させようとしている。西側諸国は十分な軍事力をもって、ロシア侵攻を確実に失敗に終わらせる戦争に直接介入し、この恐怖を防ぐことができる。ロシアは、核の脅威で圧倒的に強力な西側諸国を屈服させようとしている。

 

ウクライナでプーチンが勝利しても、平和にならない。それどころか、プーチンは西側と確実に対峙してくる。iいずれ西側は、プーチンの核のハッタリに対抗することになる。であれば、今こそ核のハッタリに対抗しウクライナを救おうではないか。■

 

The case for direct military intervention in Ukraine | The Strategist

15 Mar 2022|Kevin R. JamesRussia–Ukraine war

コメント

  1. ぼたんのちから2022年3月17日 9:55

    この記事の意見に賛同する人々は多いのかもしれないが、米国やNATOが直接ウクライナ戦争に介入した方が、ロシアの核兵器使用の可能性は著しく高まり、その結果、今以上の大きな被害を受けるのはウクライナになる。あるいは、核の応酬により第3次世界大戦となる可能性もある。
    ウクライナ戦争は、米国、ロシア、そしてウクライナの間でボタンの掛け違いのような相手の意図の誤認と打算から始まり、互いに戦争にならないと考えていたと思える。そして信じ難いことに、誰も真剣に戦争を回避しようと考えなかったのだろう。その結果がこの現出した悲劇だ。
    そうだからと言って、新たなリスクを引き起こすようなウクライナ戦争介入の必要があるのか、極めて疑問だ。今西側国家ができることは、武器援助と義勇兵の送り出しくらいなものだ。そして、可能ならば、ロシア軍をウクライナの外側に追い出すことで満足しなければならない。
    結論として、この記事はとんでもない扇動記事と思えるのだが。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM