2014年9月25日木曜日

インド海軍の原子力空母建造計画

インドの空母建造計画には今後も注意が必要ですね。中国の台頭が背景にあるのですが。原子力空母となればインド洋から西太平洋(むしろインドの国益を考えるとアフリカ東海岸か)を作戦地域と想定しているのでしょうか。隣国パキスタンは中国との結びつきを強めるでしょうね。

India Weighing Nuclear Powered Carrier

By: Sam LaGrone
Published: September 24, 2014 4:16 PM
Updated: September 24, 2014 4:17 PM
An artist's conception of INS Vikrant, India's first domestically-built carrier India is weighing constructing its second carrier with nuclear power. Indian Navy Image
インド初の国産空母となるINSヴィクラント想像図。インドは二番艦に原子力水深の採用を検討している。Indian Navy Image


インドは国産空母二番艦に原子力推進採用を検討中、と23日にインド通信社Press Trust of India (PTI)が伝えた。

  1. 設計作業が進行中で原子力推進は選択肢のひとつと海軍設計局長アトゥル・サクセナ少将Rear Admiral Atul Saxenaが報道に反応している。
.
  1. インド初の国産空母は4万トンのINSヴィクラントVikrant でコチン造船所で建造中だ。ジェネラルエレクトリックLM-2500ガスタービン動力を採用。

  1. 二番艦ヴィシャル Vishal は65千トンと大型化し、コンセプト設計段階にあると同少将は言う。同艦では動力源および航空機発進回収システムで選択肢があるとインド関係者が発言していた。
.
  1. 原子力推進では技術難易度が上がるが、作戦上の柔軟性は高まるとエリック・ワーサイムEric Wertheim (Naval Institute’s Combat Fleets of the World 編者)がUSNI Newsに語っている。「原子力を採用すれば自艦用の燃料を積み込む必要がなく、艦内スペースに余裕ができます」 また弾薬類・航空機燃料の搭載量が増え、洋上作戦時の補給作業も簡略化できる。

  1. ただしインドが原子力艦船を実用化するには課題も残る。「かなり難易度が高く、インドが早期に能力を獲得できるか半信半疑ですね」(ワーサイム)

  1. だがインド上層部は強気に出ている。7月にはナレンドラ・モディ新首相がINSヴィクラント完成に必要な31.8億ドル予算を認可した。首相はロシア製空母INSヴィクラマディチャVikramadityaも視察している。

  1. ヴィクラントは2013年完成予定が、建造が遅れ就役は2018年予定になっている。最終的にインドは空母戦闘群(CBG)x3を編成する。

  1. インドが空母部隊を整備する背景には中国の軍拡とくに人民解放軍海軍(PLAN)の装備増加がある。中国も国産空母を建造中で、4隻を整備する計画と言われる。

  1. インド海軍が運航中の空母2隻はいずれも非国産でロシア製INSヴィクラマーディチャと旧英国空母ハーミズのINSヴィラート Viraatがある。■

2014年9月24日水曜日

★★★シリア空爆にF-22が投入された背景を考えてみよう



F-22がISIS攻撃に投入されたニュースの続編です。もう少しくわしく伝えていますのでご参考に。

Analysis: Long Road for F-22's First Combat Mission

Sep. 23, 2014 - 04:00PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments
Arctic Thunder
F-22ラプターが兵装庫の中を見せて飛行している。本年7月撮影。ラプターは22日にシリア上空で初の戦闘作戦を実施した。 (Staff Sgt. Jared Becker / US Air Force)

WASHINGTONロッキード・マーティンF-22ラプターが初の戦闘作戦に投入され運用で大きな一歩となった。
  1. 空軍がラプターがシリア空襲に投入された事実を確認し、イスラム国(IS)他の過激派を目標に夜間攻撃を合衆国と湾岸諸国同盟国連合軍の一部として実施。
  2. F-22が戦闘に投入されてこなかった理由に機数が少ないこともあった。当初ペンタゴンは同機を大量導入する予定だったが、当時のロバート・ゲイツ国防長官が生産終了を強硬に求めたため小規模調達になった経緯がある。最終機が生産ラインを離れたのは2011年12月で187機が調達された。

  1. ペンタゴンの報道会見ではウィリアム・メイヴィル陸軍中将Army Lt. Gen. William Mayville(統合参謀本部作戦部長)からF-22がISの指揮命令施設(場所ラカーRaqqah )に精密誘導爆弾攻撃を加えたと確認した。

  1. F-22はAIM-120高性能中距離空対空ミサイル6発またはAIM-120を2発とGBU-32共用直接攻撃爆弾2発の組み合わせで空対地攻撃が可能。機体内部には20 mm機関砲とAIM-9サイドワインダーミサイルを搭載している。

  1. メイヴィル中将は空爆は今後も続くと発表しているのでラプターが再度投入される可能性は高い。バラク・オバマ大統領も軍事行動は数日から数週間程度続くとの見通しを発言している。

  1. ISISへの米空軍の作戦内容開示は小規模で、その理由として運用基地を抱える各国が同じイスラム教徒に対する攻撃へ基地を提供していることに神経質になっている。反対に米海軍は空母運用でもあり、イラク上空での作戦の映像を多数公開している。またトマホークミサイル発射の映像も公開している。

  1. F-22運用にも各国は神経質になっている。2013年に一般公開された地図データではF-22部隊がアラブ首長国連邦内のアル・ダフラ基地に駐留していると判明してしまった。このこと自体がイランに対する脅威と受け止められている。米空軍はF-22がイランF-4を迎撃した事実を確認している。

  1. だが空軍が同機を第一回目の攻撃に投入した理由は不明だ。メイヴィル中将はラプター投入を「目標に対して求めた効果から、また稼働可能な機体から最適選択を考えた」とし、「攻撃目標は多岐にわたり、機体よりも効果を優先し、そのあとで機材を選択した」という。ではその効果とは何を意味するのか。

  1. 一つの可能性は攻撃に参加した米軍機や同盟国軍機の護衛だ。シリアのバシャル・アル・アサド大統領の指揮下にある空軍が迎撃に向かうことも想定されていた。
.
  1. 二番目にISIS支配地域も対象とするシリアの防空体制に侵入、脱出するのにF-22が必要だったのかもしれない。ペンタゴンはシリア防空網は高水準と評価しており、シリア内戦時に米軍がアサド政権側を攻撃できない理由とされていた。

  1. あるいは主力攻撃隊の到着前にF-22が電子戦を.実施した可能性がある。これもシリア防空体制と関連している。

  1. 国防総省関係者からF-22の能力は情報収集監視偵察(ISR)機材として認識しているとの発言があった。「エイビオニクス統合化とセンサー類一式でISR機材にもなり、単なる攻撃機ではありません」と同関係者は発言。「戦闘を正確に理解できるとともに僚機へ情報提供が可能です。進行中の事態を明確に把握できます」

  1. 「F-22には優れた戦闘時ISR能力があり、レーダーやセンサーで戦闘がどんな状況にあるのか情報収集を豊富におこなうことができます」とレベッカ・グラントRebecca Grant 現IRIS研究所所長、前ペンタゴン勤務も言う。

  1. グラントが注目するのは合成開口レーダーで高解像度画像を集め、地上の動きを動画撮影するのは今回のような作戦では重宝されるはずという。データ収集以外に目標確認、さらに同じ空域の僚機に伝えることが可能。

  1. F-22の性能には目を見張るものがあるが、ラプター初陣は同機をシリア方面に展開した航空機材の一つとして使っただけのようだと同上関係者は語る。

  1. もっと簡単に言えば、ペンタゴンがF-22を世界有数の戦略地点に配備したのには理由があり、これまで投入してこなかったが、今は考え方に変化が生じたということだ。

  1. F-22を実戦に投入し知見を得る機会ができたので空軍は疑いなく満足なはずだ。だが空軍はラプター後継機開発準備に入っており、正式開発開始は2018年といわれる。

  1. 「今のうちに後継機に必要な性能水準を検討する必要があります。20年後にF-22も機齢30年になりますから」と航空戦闘軍団で航空優勢基本性能検討チーム長をつとめるトム・コグリトア大佐 Col. Tom Coglitore, air superiority core function team chief at Air Combat Command がDefense Newsに語っている。「各機に連日何回も8から9Gをかけていますから、相当のストレスになっているはずです」■

F-22開発のあしどり

1991年8月23日: ロッキード・マーティンにF-22契約交付
1997年9月7日: 初飛行実施
2005年12月15日: 初期作戦能力獲得
2006年1月21日: 初の作戦運用で Operation Noble Eagleに参加.
2011年12月13日: F-22最終号機が生産ラインを離れる
2013年5月13日: UAEのアルダフラ空軍F-22の駐機が衛星画像で確認された。イランから飛行距離6分の地点。
2013年9月17日: 空軍協会総会で参謀総長マーク・ウェルシュ大将からF-22がイランF-4迎撃した事実を発表。
在籍機数: 187



F-22初の実戦はISIS対地攻撃になった



F-22’s Takes First Shot Against Ground, Not Air, Target

Sep 23, 2014Amy Butler | AWIN First
F-22が攻撃した目標 攻撃前(左)と攻撃命中後(右) Defense Department

米空軍で最も高価な装備F-22が初の実戦に投入された。
  1. 9月23日早朝にISISの目標を攻撃したと空軍中央軍報道官エドワード・ショルティス中佐 Lt. Col. Edward Sholtis が明らかにした。
  2. F-22はこれまで制空戦闘機としては無駄に高価な機体と批判されていたので、今回は皮肉な実戦デビューになった。対地攻撃能力の追加は就役後に開発されてきた。
  3. 攻撃は三波構成で、米軍及び同盟軍は計22の目標に200発近くを投下したと国防関係者が明かした。このうち9割近くは精密誘導爆弾を使用。
  4. F-22は第二波に参加、その他F-15,F-16、B-1、無人機が投入された。
  5. F-22は指揮統制司令所を目標にGPS誘導の精密爆弾を投下したと、統合参謀本部作戦部長のウィリアム・メイヴィル中将Lt. Gen. William Mayville, director of operations for the Joint Staffがペンタゴン報道陣に説明した。中将は兵器の種類で言及を避けたが、1,000-lbの共用直接攻撃弾あるいは250-lb.の小口径爆弾の可能性が高い。
  6. F-22が何機投入されたか不明。なお、F-22はアラブ首長国連邦のアル・ダフラ Al Dhafra 空軍基地に配備中で今後も作戦に備えている。
  7. F-22の初期作戦能力獲得は2005年で、完全作戦能力は翌年に達成。ステルス性能が高いF-22は探知されずに敵空域に侵入し、搭載センサー類で戦闘空域の情報収集が可能。
  8. 第一波攻撃で米海軍USSアーレイ・バークとUSSフィリピン・シーが40発以上のトマホーク巡航ミサイルを発射している。第三波では住宅地区へ精密兵器が投入されISISの訓練・補給センターを攻撃。空母USSジョージ・H・W・ブッシュから発進したF/A-18がGPS誘導兵器を投下したとメイヴィル中将が発表している。■

2014年9月23日火曜日

航空自衛隊E-2Cホークアイ後継機を国産化へ



Report: Japan Wants Its Own Early-Warning Planes

Sep. 21, 2014 - 11:56AM   |  
By AGENCE FRANCE-PRESSE   |   Comments
Cope North
アンダーセン空軍基地(グアム)でE-2Cホークアイを誘導する航空自衛隊員。防衛省はホークアイ後継機は国産機材とする考えで高性能レーダー開発を2020年代中頃に実現しようとしている。 (Staff Sgt. Jacob N. Bailey / US Air Force)

TOKYO — 日本の防衛省は早期警戒管制機を国産開発し、中国及びロシアの空軍が活動を強化している状況に対応したいと考えているとの報道が21日に出た。
防衛省は平成27年度事業で80百万円の調査開発研究予算を要求していると読売新聞が報じている。
記事によれば高性能監視レーダーを2020年代中頃までに開発し、米国製E-2Cホークアイの後継機を配備する案があるという。
領空に近づく外国機に対応した自衛隊の緊急発進は昨年度は800回超となり、大半は中国とロシアから飛来したもの。これは冷戦終結後で最大の回数だという。
また中国が昨年11月に「防空識別圏」を東シナ海上空に設定したことで軍事衝突のおそれも大きくなっており、日本の防空識別圏との一部重複があること、両国の主張が別れる島嶼部分の上空に設定されていることがその原因だ。
日曜日の報道の背景には武器輸出の自主規制を解除や、安倍晋三首相が外交、防衛両面で積極的に動き経済不振が長年続く状況を変えたいとする動きがある。
記事に対する防衛省のコメントは得られていない。


2014年9月22日月曜日

新型無人機トライトンの実用テスト開始近づく


トライトンはグローバルホークの海上型ですが、要求性能がずいぶん違うようです。米海軍は同機テスト機材を大回りで西海岸から東海岸まで回送してきました。無人機運用は有人機前提の航空管制であらたな問題を引き起こしそうです。日本もグローバルホークを導入すれば同じ課題に直面しますね。




Triton Arrives At Pax River For New Round of Testing

By: Dave Majumdar
Published: September 18, 2014 2:18 PM
Updated: September 18, 2014 2:18 PM
MQ-4C Triton unmanned aircraft system lands at Naval Air Station Patuxent River, Md. on Sept. 18, 2014. US Navy Photo
MQ-4C トライトン無人航空システムがパタクセントリヴァー海軍航空基地に9月18日着陸した。 US Navy Photo

パタクセントリヴァー海軍航空基地(メリーランド州)にノースロップ・グラマンMQ-4Cトライトンがテスト実施のため到着した。同機は大陸横断飛行し9月18日到達した。

  1. ノースロップのパームデール施設(カリフォーニア州)を離陸しおよそ11時間で3,290海里を飛行した。

  1. MQ-4Cの到着で、海軍はテスト内容を任務想定したより実践的なものに移行し、ミッションシステム系統を検分する。

  1. 「同機のテストは今後数年間が重要となり、世界中どの地点でも海上の動きを探知し戦闘部隊に情報提供することをめざす」とマット・ウィンター少将(海軍航空システムズ無人機打撃兵器開発部門)Rear Adm. Mat Winter, the Naval Air Systems Command’s program executive office for unmanned aviation and strike weapons (PEO (U&W))が文書で発表した。

  1. トライトンはパタクセント基地まで遠回りルートで飛行し、南方の合衆国国境地帯上空から、メキシコ湾、フロリダ半島を横断し大西洋に出てからチェサピーク湾を目指した。飛行中の高度は5万フィートを維持し、民間機の飛行帯を避けた。

  1. この飛行経路は連邦航空局が無人機の飛行を領空内では正式な認証がないままでは認めていないためだ。

  1. 「海軍の大型無人機を国内横断飛行させるには関連機関多数と調整が必要だった」とトライトン事業の責任者ジム・ホーク大佐Capt. Jim Hokeが述べている。

  1. NAVAIRはトライトンのフライトをパタクセントリヴァー基地で今後数週間のうちに開始し、ミッションシステム系統および相互運用を検証する。

  1. 海軍はトライトン3機のテスト部隊を2,000時間飛行させ、2017年に初期作戦能力を獲得する。■

2014年9月20日土曜日

ロシア、中国の新型爆撃機開発の現況


西側との対決姿勢を示すロシアが軍事装備の拡充を図っているのは周知のとおりですが、伝統的な長距離航空戦力でも進展が生まれつつあるようです。中国はもっと秘密のベールに覆われていますが、空母と合わせ長距離爆撃機の開発を進めているのは間違いないようです。これに対し米空軍のLRS-Bが本当に開発できるのか、F-35で相当計画が狂っている各国の防空体制が中ロの新型機に対抗できるのか、今行われている投資が2020年代意向の航空戦力図を決定することになるのでしょうね。





Future Bombers Under Study In China And Russia

China may follow Russia in bomber developments
Sep 18, 2014Bill Sweetman and Richard D. Fisher | Aviation Week & Space Technology


Long-Range Plans
ラドゥガKh-101/-102ALCMは全長が大きく、Tu-95の爆弾倉に入りきらず主翼下パイロンに装着する。
VIA INTERNET

米空軍の長距離打撃爆撃機(LRS-B)開発が来年にも本格実施を目指す中、ロシア、中国も次期爆撃機を開発中。このうちロシアのPAK-DA(perspektivnyi aviatsionnyi kompleks dal’ney aviatsii、次期長距離航空システム)は1977年のツボレフTu-160以来となる新型爆撃機、他方、中国は初の国産爆撃機の実現を狙う。
  1. PAK-DAはユナイテッドエアクラフトUnited Aircraft Corp. (UAC) 傘下のツボレフが開発にあたる。ツボレフは第二次世界大戦終結後のロシア長距離爆撃機のほぼすべてを手がけてきた。開発の正式決定は2007年。新型爆撃機が登場するまで既存機種の改修が進められる。

  1. 亜音速全翼機あるいはブレンデッドウィング形式の機体にステルス性能を加えた案が2012年初頭に提出されている。実現すればロシア初の全方位高性能ステルス機となり、1997年就役のB-2と同等の基本性能を手に入れることになる。

  1. PAK-DA製造の最終決定は昨年末で、作業開始は2014年。UACにPAK-DAの設計、製造契約が交付され初飛行は2019年を予定。最終組み立てはUACのカザン Kazan 工場。2023年までに公試を終え、2023年から25年の間に就役、とロシア報道が伝える。エンジンはユナイテッドエンジンUnited Engine CorpのJSCクズネツォフ部門JSC KuznetsovがTu-160搭載のNK-32アフターバーナー付きターボファンを原型に開発する。

  1. それ以上のPAK-DA情報はほとんどないが、ロシア爆撃機部隊の構成やミッション内容から推測は可能だ。
.
  1. 現有の長距離爆撃機部隊はTu-160(13機)、Tu-95MS(63機))と減衰中のTu-22Mバックファイヤーで構成。このうちTu-22M3は戦域レベルの陸上攻撃任務で小型だが使い勝手の良いスホイSu-34に切り替え中。

  1. Tu-160近代化改修を2020年までに完了しTu-160Mになるとロシア国防省が2012年に発表。Tu-95も改修を受けてTu-95MSM名称に変更している。ともに大規模な改修で新型レーダーや電子戦装備、計器・データ処理で改良を受けた。機体寿命の延長、エンジンの寿命も長くなった。2010年試算で80億ルーブル(220百万ドル)を2020年まで投入する。NK-32エンジンは2016年までに完成し、PAK-DAのエンジンの基礎となる。

  1. 両型とも長距離空中発射巡航ミサイル(ALCM)を搭載する。ロシアは二型式のALCMを開発中でタクティカルミサイル企業Tactical Missiles Corp.のラドゥガ事業部Raduga divisionが一手にとりくんでいる。このうちKh-555は通常弾頭だが80年代のKh-55核弾頭を改良し、慣性誘導、レーダー地形参照誘導、赤外線誘導を組み合わせる。

  1. これに対し新型で大型のKh-101/102(通常弾頭/核弾頭型)の生産が本格化しており、Tu-160は機体内部に12発、Tu-95MSは主翼下に計8発搭載する。ALCMでは最大で発射時重量は 5,300 lb.と推定。ターボファン動力であるのはKh-55と共通。ロシアの長距離巡航ミサイル在庫は850発。

  1. PAK-DA登場後も改修済み旧型爆撃機は10年ないし15年使用される見込みだ。一方PAK-DAは敵地侵攻任務に投入されるだろう。

  1. 新型爆撃機のエンジンをNK-32原型に開発するとの発表があったこと、ロシア爆撃機は空中給油への依存度が米国より低いことから、機体寸法は大型と推測できる。NK-32は3軸・低バイパス比エンジンでミリタリー推力は31,000-lb、アフターバーナー使用時55,000-lb.。PAK-DA用はアフターバーナーを省き、バイパス比をわずかに上げる。エンジン4発だと重量200トンとなり、B-2およびLRS-Bの推定寸法を上回り兵装搭載量と航続距離が大きくなるだろう。

  1. これに対して中国も新型爆撃機を開発中と伝えられている。人民解放軍空軍 (Plaaf) と海軍航空隊(PLAN-AF)が今でもソ連時代のTu-16を使用し続けているため中国は世界クラスの戦略爆撃機の製造に真剣でないと思われがちだ。Tu-16は中国には1959年から導入され西安航空機 Xian Aircraft Corp. (XAC) が轟炸六型(爆撃機6型、H-6)として製造。ただし改良を加えつつ製造継続していることから長距離空軍力への中国の関心度が推し量られる。

  1. 中国政府、人民解放軍(PLA)双方も今後の爆撃機開発について何も語っていないが、漏れ伝わる情報を総合すると新型爆撃機が開発中なのは明らかだ。H-20の名称で2025年までに登場するとのアジア某国政府の情報もある。

  1. H-20の登場時期は中国が目指す二つの戦略目標と一貫性がある。まず「第一列島線」と呼ぶ日本、台湾、フィリピンを結ぶ線に米国が接近するのを拒否する役目が新型爆撃機に期待できる。二番目に兵力投射の手段となり、中国空母部隊を補完し揚陸能力を整備する海軍を助ける事になる。

  1. これまでも次世代爆撃機の噂は非公式な筋から流れていたが、ノースロップ・グラマンB-2がベルグラードで中国大使館を誤爆した1999年5月が開発開始の契機といわれる。中国がB-2情報をノースロップ・グラマン技術者ノシル・ゴワディア Noshir Gowadia からどれだけ入手したか不明だ。ゴワディアは2011年に軍事機密を中国に渡した罪で刑期32年の有罪判決を受けた。

  1. この新型爆撃機でも西安航空機が主契約企業となっる可能性が高い。ロシア、米国の新型機と同様にH-20も亜音速低探知性の「全翼機」形状となるだろう。
  1. 興味深い情報が人民解放軍の研究部門から出ている。中国報道ではPlaafのWu Guohui大佐(国防大学National Defense University 准教授)がステルス爆撃機が「国家の関心を再度呼び起こし」て「中国は爆撃機が弱体だったが今後は長距離打撃機開発をめざす」と発言しているのだ。
.
  1. また同大学の准教授Fu Guangwenは2013年に中国の爆撃機開発の障害はエンジン、素材だという。一方で、新型機は第二列島線のグアム、南シナ海、インドを標的にし、ステルス性で侵入が容易になり、「情報対決」つまりサイバー電子戦に対応し、核・非核両用対応、と発言している。

  1. 新型爆撃機の設計は2008年に開始ずみとの報道が2014年1月にSina.comから出ている。報道では機体は全翼機形式で米西海岸が攻撃目標になる。

  1. 2013年にB-2に酷似した想像図が中国の技術報に出ている。2014年初めにはコウモリの翼形状のラジコン機がテストされている場面が流出している。中国が次世代軍用機の形式を真剣に検討中なのは明らかで、情報漏出は意図的な国内、海外向けだろう。

  1. このうち上記のラジコン機は長距離無人航空機 (UCAV) の想定かもしれず、中国が長距離無人攻撃機を開発している可能性を示す。メディアが大々的に全翼機「利剣」LiJian(瀋陽航空機 南昌Hongdu航空機共同開発)のデビューを2013年11月に報じている。ボーイングX-45Cと形状、寸法が酷似した利剣は両社から今後登場する大型UCAVの魁だろう。ロシア、米国に追随し西安航空機がH-20の無人機版を開発する可能性もある。

  1. また中国は超音速中距離爆撃機にも関心を示しているのが2013年に低視認性双発形状のモデル機が登場したことでうかがえる。実現すれば全長25メートルから30メートルで1950年代のコンヴェアB-58(西側では最大規模の超音速爆撃機)とほぼ同寸。しかし開発が進行中なのか不明で、過去の競作で不採択案なのか、予算がつかなかった案件なのか不詳。

  1. PAK-DAは合衆国内地点を目標とする戦略的野心作だが、中国の新型機が同様の想定とは考えにくい。とはいえ、長距離飛行し生存可能性高い機体で大量のミサイル搭載により中国の近隣地区の敵陸上基地や海軍部隊には大きな脅威になる。超音速ステルス戦闘機J-20の存在も考慮する必要がある。

  1. 一方でPLAはH-6新型の開発と既存各型改修も進めている。ロシアからTu-22M3購入を断られて、H-6の大幅改修に迫られた背景がある。
.
  1. H-6Kはロシアが提供した推力26,500-lb.のUEC-サトゥルンD-30KP-2ターボファンを搭載し、1950年代のターボジェットから3割近く出力が増えている一方、高バイパス比 (2.24:1) で燃料消費効率が向上。戦闘行動半径は3,500 km と言われる。機首に新型レドームとし、電子光学式目標捕捉センサーを搭載。グラスコックピットに改装し、主翼下のパイロン6つは射程1,500-2,000-kmのCJ-10/KD-20 対地攻撃巡航ミサイルを搭載する。また精密誘導爆弾も中国国内企業4社が製造中で運用可能だ。

  1. 旧型H-6も改修中。空軍のH-6G三個連隊には新型超音速ラムジェット式YJ-12対艦ミサイルの配備が始まる。射程400 kmとみられる。さらに旧式のH-6MもCJ-10/KD-20 対地巡航ミサイル運用能力を付加されている。先出のアジア某国政府筋によるとPLAにはH-6が130機配備されているが、2020年には180機になるという。つまりH-6Kの生産が今後も続くということだ。

  1. PLA戦略爆撃部隊の将来は空中給油能力の整備に大きく左右される。今年3月から4月にかけてPlaafはイリューシンIl-76MD三機を取得してウクライナでIl-78給油機に改修している。各機には給油用ロシア製ドローグ・ホースシステム3組があり、旧式H-6U給油機(推定24機)は1組搭載で搭載燃料重量も小さいことから大きな進展になる。

  1. 将来は西安Y-20大型輸送機を改造した給油機も登場するだろう。ロシアとの間でワイドボディ輸送機開発の話もあり、この改装版になるかもしれない。
.
  1. ただし今後の大型機へ対応するには給油効率を上げる必要があり、中国もフライングブーム給油方式の採用を検討するはずだ。2013年の学会発表として西工大 Northwest Polytechnical Universit yから北斗 Beidou 航法衛星の発信信号に光学システムを組み合わせホース・ドローグあるいはフライングブーム式の空中給油を自動制御する方法が提案されている。■



2014年9月19日金曜日

インド・ロシア共同開発で新型第五世代戦闘機開発へ

インドとロシアの第五世代戦闘機共同開発ですが、思惑通り進むのか興味津々ですね。
ロシアが狙うのはインドのエイビオニクス等高度技術のようですが、果たしてどうでしょうか。
交渉事ではタフそうな両国ですから途中で意見が衝突しそうな気もします。




Indo-Russian Jet Program Finally Moves Forward

Sep. 15, 2014 - 02:50PM   |  
By VIVEK RAGHUVANSHI   |   Comments
RUSSIA-AEROSPACE-MAKS-2013
第五世代戦闘機をロシアのT-50を基にインドとロシアが共同開発する。写真は2013年モスクワ上空を飛行する同型機。 (KIRILL KUDRYAVTSEV/ / AFP/Getty Images)
NEW DELHI — インドとロシアが第五世代戦闘航空機Fifth Generational Fighter Aircraft (FGFA) 共同開発で残っていた課題を解決したと在印ロシア外交筋が述べている。計画では200機を300億ドルで生産する。
  1. 課題がすべて解決したとインド国防省は認めておらず、両国間の作業分担率で合意できていなかった。
  2. ただナレンドラ・モディ首相Prime Minister Narendra Modi とウラジミール・プーチン大統領がこの問題を7月にブラジルで協議したことを外務省が認めており、FGFA事業の前進を確認していると消息筋が追加している。
  3. 2010年に初期設計合意がインド国営ヒンドゥスタン・アエロノーティクス・リミテド Hindustan Aeronautics Ltd. (HAL) とスホイ設計局の間で成立しており、FGFAを共同生産するとしていた。ただしこの最終版で生産を開始する予定だったが、インド空軍から設計案の承認が取れず、一方で両国の間で作業分担の合意が取れず棚上げになっていた。
  4. インドは分担率を25パーセント以上に引き上げる変更を求めている。両国は295百万ドルを投入ずみ。
  5. 上記ロシア外交官によればインドの作業比率はインド産業界の成熟に伴い40%まで増加し、高度技術の機体搭載が期待されるという。
  6. インドとロシアは今年末までに最終合意にサインする予定と外務省は説明している。ロシアもインド空軍の要求内容を認め、複座機体とすることを認めているといわれる。試作型は単座機となる。
  7. HALとスホイ設計局はシステム、サブシステムをそれぞれ整理中とHAL関係者が述べている。合意内容ではインド、ロシアは共同で推力方向変更システムを開発し、HALはミッションソフトウェアおよびハードウェア、エイビオニクス一式を供給する。
  8. インド開発の視界外有効射程ミサイル、アストラはインド国防研究開発機構 Defence Research and Development Organisation が開発中で、インド・ロシア共同開発のBrahMos超音速巡航ミサイルも別にある。これらをFGFAに搭載するのがインド空軍の目論見だ。
  9. スホイ設計局とHALの案はロシアのT-50を改良するもので、同機はまだ試作段階にある。T-50試作機あ計4機でテスト飛行回数は300回を上回っている。
  10. インド空軍としてはFGFA試作機一号機を2016年までに取得し、公試を実施し、2018年19年に一機ずつ引き渡しを受けるというもの。量産は2021年までに開始する。
  11. インドが第五世代機開発に参入したことからロシアにも恩恵が出てくる。インド空軍は「本来ならFGFAの設計段階から参画したかったが、インドのFGFA開発がロシアの第五世代機開発の資金になっているようだ」としている。
  12. インド外務省関係者によればプーチンーモディ合意ができたことで事業が迅速に進み、技術上の課題がHALとスホイ設計局間で整理できたことで両国はともに利益を享受できるとする。 ■

2014年9月18日木曜日

★★日本も陸上配備イージス導入か。海自イージス艦も性能改修へ



イージスはヨーロッパ向けに陸上配備の整備計画も進んでおり、日本も導入したいというのが今回の背景でしょう。なお、いつもながら防衛省の使っている「護衛艦」は駆逐艦と訳しています。ちゃんとDDGとなっていますからね。



Report: Japan Interested in Aegis Ashore for Ballistic Missile Defense

By: Sam LaGrone
September 16, 2014 1:23 PM
 The deckhouse for the Aegis Ashore system at the Pacific Missile Range Facility. This is the test asset for the Aegis Ashore system on Jan. 8, 2014. US Navy Photo
テスト用のイージス陸上型の指令制御建家が太平洋ミサイル試射場内に設置されている。 Jan. 8, 2014. US Navy Photo


防衛省がロッキード・マーティンのイージス陸上型 Aegis Ashore 弾道ミサイル防衛装備調達に関心を示していると毎日新聞が報道している。

  1. 記事では平成27年度に防衛省は数千万円規模の研究費を要求する。イージス陸上型はロッキード・マーティンのSPY-1Dレーダーとレイセオンのスタンダードミサイル-3を組み合わせる。

  1. 防衛省は導入済みの艦船搭載SM-3に加え、地上発射型SM-3で弾道ミサイル防衛(BMD)の実効性を上げる意向、と記事は伝えている。

  1. USNI Newsはロッキード・マーティンと米ミサイル防衛庁(MDA)に問い合わせたが、同記事について双方から言及がなかった。

  1. 日本関連で実施中なのはレイセオンの陸軍・海軍共用レーダー監視BMDレーダ(AN/TPY-2) が唯一の事例とMDA報道官はUSNI Newsに述べている。

  1. 日本はこんごう級イージス搭載誘導ミサイル駆逐艦4隻にSM-3を搭載し、長距離弾道ミサイルに対応しているほか、ロッキード・マーティンのペイトリオット性能向上型 (PAC-3) 移動式地上発射迎撃ミサイルを極地防衛用に運営している。さらにイージス艦を2018年までに8隻に増強する予定と報じられている。
.
  1. 「大量のミサイルが同時に飛来すればPAC3では対応しきれないとの懸念がある」と記事は伝えている。

Japanese Aegis Destroyer JS Kongo (DDG-173) launches a SM-3 in 2007. U.S. Navy Photo
こんごう (DDG-173) のSM-3発射 (2007年)US Navy Photo

  1. ただし、こんごう級のイージスBMD装備は旧式化しており、BMD対応と防空戦を同時に実施できない欠陥がある。

  1. そこで一部艦船をベイスライン9仕様に改修し、BMDと対空対応(AAW)を同時に行えるようにする計画がある。

  1. イージス陸上型はベイスライン9で作動してもAAW装備は付随していないが、日米海軍艦艇で運用中のイージス装備が似通っていることから、将来的には能力拡大の余地があるとみられる。

  1. 「艦艇用イージス装備を流用することで、AAW以外に最終飛行段階や中間飛行段階防衛も可能だ」とジェフ・ウェストン海軍大佐Capt. Jeff Weston(陸上イージス計画主幹)が昨年行われたUSNI News取材で答えている。ウェストン大佐は米国向け陸上イージスはBMDを中心に対応する、とも述べている。

  1. ただし日本向けのイージス陸上型にAAW能力を追加し、BMDと同時に防空作戦を複数目標向けに行う可能性が出てくるだろう。■