2009年7月11日土曜日

日本にF-22が必要な理由


Japan Outclassed, ......

aviationweek.com

Posted by David A. Fulghum at 7/9/2009 3:00 PM CDT

日本のF-15J部隊はかつては最新鋭だったが、Su-30MKKのような「中国の新世代機に追い越されている」と前統合参謀本部議長リチャード・マイヤース空軍大将(退役)は本誌に発言している。さらに中国の防空網にはロシア製長距離SA-10、SA-20対空ミサイルが配備されており、これを突破できるのは高速、高高度飛行が出来るステルス機ラプターだけだ。

防衛省はこの問題を十分研究しており、同機の販売が米議会で承認された場合に備え、少なくとも省内ではF-22導入の「十分説得力のある戦術的根拠」を完成させている。マイヤースの見方ではラプターの高度技術を「信じられないほど忠実な同盟国」日本に渡すことに米空軍内に抵抗があるとしても孤立して障壁にはならない。

この議論が切実なものとなっているのは日本の永く延びる島嶼領土で緊張が高まっているため。最も近いところでは中国からわずか125から150マイルしかない。この距離となるとF-15レーダーの有効範囲56マイルでは不十分だが、ラプターの高性能レーダーなら対応可能だ。中国の新世代機にはJ-10があり、レーダーで探知しにくい巡航ミサイルを発射できる。また、仮に島嶼のいずれかが占領された場合には日本にも精密爆撃能力が必要だ。

ラプターが実現する制空権があって米軍の活動が成功することはあきらかだ。また、海外の空軍部隊なかんずく日本へのF-22販売を承認することで好機が訪れる、特に日本は同機に米空軍向け一機あたり価格(142百万ドル)の二倍(290百万ドル)を払ってもよいとしているのだから。おなじくイスラエル空軍関係者もF-22なら一飛行隊分だけでも、どんなに高価で小規模部隊だけに維持管理が大変であっても抑止効果を考えれば費用を出すのは惜しくないと言っている。

2009年7月10日金曜日

北朝鮮によるサイバー攻撃

Cyber Attacks Increasing, Effects Minor

aviationweek.com 7月9日


ワシントンの合衆国政府機関少なくとも三つの省庁のウェブサイトを利用できなくしたサイバー攻撃は北朝鮮によるものと見られる。技術的には今回の攻撃は軽微の影響にとどまるものの、今後の政策立案、経済運営また軍事訓練上に大きな影響を与えそう。

「詳細については触れませんが、今回のサイバー攻撃が個人によるものなのか国家的な策謀なのか重大な懸念をもっております。これまでサイバー防衛に多大の投資をしてきました。今回の事件で軍上層部に共通の課題となりました。」(マイク・マレン統合参謀本部議長)

「この分野の専門技術者を増やす必要があります。2010年度予算では将来に向けて総合的な対策を講じます。そこには非正規戦闘向けの投資に加え、サイバー世界向けもあります。今後はこれに多大の関心を向ける必要があると考えます。」(マレン議長)

今回のサイバー攻撃は韓国と米国政府それぞれのウェブサイトが攻撃の対象となった。サイバー攻撃は一般市民にはまだよく知られていない。今回の攻撃対象サイトが消えたことで、異常に気づいた者はごく少数。サイバー戦の戦略価値は少なく実際の損害の可能性も低いことを意味する。

ただ今回の結果からサイバーテロは脅威ではないので無視していいというわけではない。ウェブサイト、データを保全し、ネットワークを脅威から守ることが重要だが、このためには各サイト、ネットワークの所有者、運営者による整然として継続的な努力が求められる。今回の北朝鮮による攻撃の対象に国防総省は入っていなかったが、「本省はサイバー世界を常に精査しております。警戒態勢を高め、異常事態には適正に反応していきます」(マレン議長)

7月4日独立記念日の週末からシークレットサービス、連邦公正取引委員会、財務省、運輸省のサイトが断続的にダウンし、今週に入ってもサービスが停止している。今回の攻撃の直接の効果は大きいとは見られないが、三日間たっても停止状態が継続しているのはサイバー戦では異例に長いとしていいだろう。

2009年7月9日木曜日

ラクイラサミット関連? イタリアの国防新支出計画あれこれ




Italian Parliament Approving Procurements

aviationweek.com 7月8日


イタリア議会は懸案の防衛装備取得および開発の各案件を承認した。
【軍用ミサイル調達】 AGM-88E発達型対放射線誘導ミサイルとラファエル製スパイク-ER対装甲兵器の取得が認められた。両方にMBDA(ヨーロッパのミサイルメーカー)が関与する。イタリア軍は両方で合計1,000基を購入予定。財政事情のため、アメリカ製AGM-88E購入は今年度より開始し、2020年までを予定しているが、総額は195百万ドル程度と小さなもの。AGM-88Eは空軍の第50飛行隊で運用中のトーネード電子戦闘偵察機型に装備する予定。

【電子装備】 ラファエルとは別に契約の対象となるイスラエルの企業が電子メーカーのエルビットだ。2009年から12年にかけてエルビットとイタリアのエレットロニカの共同開発でELT/572 誘導赤外線妨害装置の開発予算65百万ユーロが承認された。同システムはイタリア軍のエアバスA319CJ VIP専用機ならびにKC-767A空中給油機に装備される予定。

【グローバルホーク配備】 議会はイタリアのNATOによる連合地上監視(AGS)への参加を承認する見込み。承認されれば、シシリア島のシニョレラ基地がAGSの主力となるノースロップ・グラマンRQ-4Bグローバルホーク無人機の集中配備先となる。イタリアの負担額は総額の12%、177百万ユーロとなる。

【画像衛星】 同様に予算がついたのがヨーロッパ多国籍宇宙配備画像システム(Musis)だ。イタリアの分担額は605百万ユーロで、このうち、228百万ユーロが国防省予算で残りはイタリア宇宙局(ASI)予算に計上された。イタリアのハードウェア担当は第二世代コスモ-スカイメド衛星2基の打ち上げで、2014年に打ち上げ予定。ASIが前面に出ているが、Musisの要求内容の原案は国防省によるもの。コスモ-スカイメドの最新版はタレス・アレニア・スペースが開発中で、ベルギー、フランス、ドイツ、ギリシャとスペインがその他のMusisパートナーである。

【イタリアの通信衛星シラクル】 その他として地上管制局合計三箇所をシクラル衛星通信ネットワークの支援用に建設する予算が承認された。テレスパツィオが各局を建設し、シクラルの主管制センター(ローマ郊外のヴィニャ・ディ・ヴァレ)を補完する機能も与えられる。この建設費用は15百万ユーロで2011年に完成予定。

コメント: ちょっとなじみのない語句が続きますが、普段アメリカばかりに目を向けている間にイタリアも得意分野の衛星利用システムでかなりがんばっているようです。勉強になります。(写真は上からMusis コスモ-スカイメド AGM-88E です) 

2009年7月7日火曜日

北朝鮮のミサイル発射の余波は



やはり7月4日に北朝鮮は実行に移しました。唯一の救いは大型のミサイルは発射しなかったことですが、同国は10日までを警告期間としています。

Japan Considering THAAD Missile Defense

aviationweek.com 7月6日

日本が「高高度広域防衛システム」(THAAD)を第三番目のミサイル防衛手段として導入する検討をしているとの公式のリークが7月4日の北朝鮮によるR-17ロケットとノドンロケットの発射に反応したものであるのは明らか。この記事を掲載した毎日新聞はTHAAD配備を3から4群あれば日本の弾道弾防衛には十分と報道している。

ロッキード・マーティン製のTHAADの有効距離は秘密事項であるが、毎日新聞の取材源は「100キロメーター以上」と発言している。これに対し、同じくロッキード・マーティン製のPAC-3は約20Kmでこれが第二番目の防御手段となる。第一番目に配備されるのがレイセオン製SM-3で「こんごう」型護衛艦4隻にイージス弾道ミサイル防衛システムの一部として装備されている。

【スカッドの改良型か】 7月4日の発射合計7発のうち、3基はスカッドER、2基が別型式のR-17で3基がノドンであった。北朝鮮が今回発射したのはソ連時代のR-17(スカッド)ミサイルの長距離改良型だと韓国からの報道がある。通称スカッドERの射程距離は1,000Kmで日本のほとんどに到達可能と朝鮮日報が報じているが、取材源は政府筋と思われる。これまでスカッドERは750から800Km到達可能と思われていたので相当の改良だ。

【新たな脅威に】スカッドERが1,000キロの射程を有するということはノドン以外に北朝鮮が小型で安価な兵器として日本に脅威を与えるものの出現を意味する。北朝鮮の保有する弾道ミサイルはR-17派生型が大部分であり、同ミサイルの生産と運用に同国がどれだけ手馴れているかがわかる。また韓国国防省によると発射精度も向上している。これまでの発射には失敗も見られたが、「今回は改善が相当進んでいる」と同省は見ている。

この結果、北朝鮮は韓国の特定の目標に相当の損害を与えることが出来ると判明し、通常弾頭でも指揮所・滑走路を破壊できると韓国政府関係者は評価していると東亜日報が伝えている。日本にとっても脅威度が高いのは同じだ。

2009年7月5日日曜日

F-22 ロッキードがステルス性能を隠蔽と 同社元エンジニアが告発


Aviatonweekが独立記念日のお休みで配信が遅れていますので、代わりの記事をご紹介します。

Ex-F-22 engineer to sue Lockheed for stealth design
flightglobal.com 6月30日

F-117とB-2開発に参加したステルス技術者がロッキード・マーティンに対してF-22のステルス被覆に明らかに欠陥があるにもかかわらずその事実を秘匿しているとして訴訟を起こす。
【訴状内容】 ロッキードに1999年に解雇されたダロル・オルセンは連邦地裁カリフォルニア支部に訴訟手続きを求めている。オルセンの要求は解雇前の現状復帰と利子を含む給与相当分の支払い。また、ロッキードに対しては合衆国政府に対し発注済F-22合計183機に各50百万ドルの支払いを求めている。この金額は同社がごまかしたステルス性能に相当するとの主張。オルセンは同社に1979年入社後、スカンクワークスでF-117の複合材料の開発に従事したと訴状にある。1990年にノースロップに転籍しB-2の飛行テスト業務を担当。1995年にロッキードに戻り、F-22のステルス性能実現確保のため同社の材料・加工エンジニアリンググループ(ジョージア州マリエッタ)に参加した。
【F-22ステルス被膜の構造】オルセンの訴状によるとF-22は三層の被膜でレーダー特性を減衰させる設計という。一番下の被膜が機体表面を覆うと同時に第二層との接着を助ける。第二層は銀とポリウレタンを混合した伝導性のある被膜でレーダー波を発信源に跳ね返す効果がある。最上層の特性に熱発生を抑えることがあり、レーダー発見の危険性を下げる効果がある。「これら被膜の効果が低いと同機のその他ステルス効果が無効になる」と訴状が記述している。
【ロッキードの対応】オルセンによるとロッキードは米空軍にステルス被膜効果を誤って伝えたという。オルセンの上司は米空軍との会議で発言しないよう指示した。ロッキードが問題解決の成功を祝って開催した偽りの表彰式にも参加を拒否。また同社は米空軍の検査にも偽装工作を行ったと主張している。オルセンの解雇理由は「業務指示への不服従」となっている。ロッキードからのコメントは出ていない。
【実際に発生している事故】 2008年3月にF-22の一機二十台破損が発生している。同機エンジンナセル内部のステルス被膜の一部が剥離しF119エンジン(プラットアンドホイットニー製)に吸い込まれた。同年11月にジョン・ヤング国防次官(当時 調達・技術開発・装備担当)がF-22のステルス性に懸念ありと報道陣に伝えている。

コメント:どこまでが真実なのか、解雇されたエンジニアが今になって訴訟を起こすのはなぜなのか。公訴が認められれば事実関係を明らかにしなくてはなりませんが、情報公開が公共の利益にかなうのかどうか。看過できない事態に発展する可能性もありますが、これはエイプリルフールではありません。

2009年7月3日金曜日

北朝鮮の次のミサイル発射は間もなく?



N Korean Launches, Next Test Speculation

aviationweek.com 7月2日


北朝鮮が日本海に向けミサイル4発を発射したとの通信社報道をペンタゴンも米国時間7月2日に確認した。同国の行動は「依然として予測不可能」とペンタゴン報道官ブライアン・ホイットマンは発言したが、同日のミサイル発射は「予期していないわけではなかった」とのこと。

北朝鮮は先月に同国東沿岸に7月10日までの危険水域を宣言しており、これで同国が7月4日に再度発射に踏み切るのではという観測が強まった。2006年にも同日に実施しており、その際は中距離ミサイル複数と大陸間弾道弾一基を発射したが、後者は打ち上げ直後に失敗に終わっている。

【ハワイには発射されない】 北朝鮮のミサイルはハワイに向けて発射されるのではないかとの見方があるが、可能性は限りなく低いと見る専門家がデイビッド・ライト(憂慮する科学者同盟の副代表)。4月5日に衛星打ち上げに失敗したことから見て北朝鮮は再度人工衛星打ち上げを同じ打ち上げ機ウンハ(運搬)-2で行うのではとライトは見る。5月には同国は第二回目の核実験を行っており、規模は初回より拡大している。

【ロシアに注目?】 ウンハロケットは弾道ミサイルに改造されれば1トンのペイロードで合衆国本土にも到達する能力があると見られるが、その構成部品はおそらく北朝鮮国内の製品ではないとライトは見る。重要部品は国外おそらくロシアからの供給だろう。もしそうであれば、部品供給を絶たれれば北朝鮮のミサイル能力は著しく減少するだろう。オバマ大統領はモスクワでロシア側と会見に臨み、核軍縮、核拡散防止、欧州安全保障ならびにイラン・北朝鮮を話題とする。

サイバー戦とボーイングの関係


Embracing Cyberwar


AVIATION WEEK & SPACE TEHCNOLOGY/JUNE 22,2009/CYBERWARFARE


ボーイングの「非攻撃的な」デジタル戦闘

ボーイングが最近までに買収した企業は「サイバー関連」が多い。レイブンウィングRaven Wingは極秘機器とソフトウェアのメーカー、ケストレルエンタープライゼズ Kestrel Enterprisesは情報解析ソフトのメーカー、そしてデジタルレシーバーテクノロジーDigital Receiver Technologyがある。同社の製品はRC-135リベットジョイントに搭載されており、大量の無線交信の中から特定の情報を傍受することができる。ボーイングが目指しているのはインターネットの大量の情報の流れの中から、特定の信号や文言を拾い上げる技術で、また電力・燃料・水道といった重要な供給を制御するソフトのSCADAへの侵入・妨害だ。ボーイングは敵のネットワークに侵入する技術が理解できれば我が方の防衛も可能となると考える。実際にボーイングでこれを担当しているのは同社サイバーソリューション部門であり、情報保安システム部の中にある。同部を率いるのがスティーブン・オズワルド副社長兼情報保安システム部長である。

【最近の事例】「当社のサイバーソリューションの大部分は口外できないのです」と退役海軍提督・元宇宙飛行士の同部長は語る。しかし、同部にも関心を集める事例を提示してもらった。その中には昨年に短期間で終結したロシア軍のグルジア侵攻と2007年にシリアの防空網の裏をかきなんら妨害を受けずにウラニウム処理施設を爆撃したイスラエルの事例がある。沈黙の中にもオズワルドにはこの事業が成長していることに自信を持っていると見受けられた。「サイバー戦には終わりはありません。敵は改良を進めます。目標は急速に移動しています。攻撃は巧妙になります。私の仕事はまだ実績のない事例を心配することなのです」

【考えられる応用例】 同社の他部門とのつながりについては回答を得られなかったが、同社の航空機ラインアップを見ると、F-15E、F/A-18-E/F、EA-18Gはすべて長距離AESA(アクティブ電子スキャンアレイ)が搭載されており、このレーダーはソフトウェアの手直しで高出力マイクロ波兵器にもなる。エネルギービームあるいは悪意あるアルゴリズムを入れたデータを敵の防空網あるいは指揮命令系統のネットワークに接続したアンテナに向けると、目標のネットワークは混乱、偽データの混入、重要機密事項の流出、あるいはシステムの乗っ取りの事態に遭遇する。ボーイングは無人機の兵装庫に入るサイズの電子攻撃装置も製作しており、同様の攻撃効果をめざしている。無人機は敵発信源に接近して電子システムへの最大攻撃効果が期待でき、乗員の損害がまったくないためこの想定では好んで利用される。

【ウェポンシステムになるのか】 他にボーイングが関心を示している分野に無線周波数識別タグ、赤外線センサー、SCADAネットワーク、ZigBee無線通信、生体認証およびソフトウェアで制御する無線具術がある。以上のリストを見ると逆にサイバー攻撃の対象が理解できる。そこでボーイングは逆にシステムを防衛する手段を提供するわけだ。これとは別に同社が目をつけている分野に情報共有、ネットワーク上の状況認識、ユーザー間のサイバー統合ソリューションがある。これら全部をまとめると大きなウェポンシステムを構想していることがわかる。ただボーイングはサイバー攻撃に焦点をあてていないと公言。政府機関の権限だからという。また、サイバー兵器の開発の計画もないという。

【商品か有望な製品】ボーイングのサイバーセンターでは今後販売を開始したいという二つのツールの実演があった。保安監視インフラストラクチャアシステム(SMIS)とサイバーレインジ。前者はオープンアーキテクチャアでどのシステムにも適合し攻撃を意味するデジタル異常を発見し、脅威を分析し、攻撃の回避あるいは効果限定につながる解決策を提示する。SMISはすでにボーイング社内で利用中とバーバラ・ファスト(サイバーソリューションズ担当副社長)は語る。ファスト副社長は退役陸軍将官でイラクでは情報部門を統括。サイバーレインジとは迅速に再構成が可能なネットワークで商用販売が期待されている。防衛が必要なネットワークの複製を作り、「悪意ソフト」malwareでシステムを攻撃してみて防衛体制を確認し確実にする。「攻撃される側がシステムの知識をもっていれば、どんなサイバー攻撃でも対応は可能です」(オズワルド)

2009年7月2日木曜日

オスプレーへの疑問



Stop Work

AVIATION WEEK & SPACE TECHNOLOGY/6月29日号/WASHINGTON OUTLOOK

「オスプレーで苦労するのはもう終わりにしよう」と話すのは下院行政監督・改革委員会で委員長を務めるエドルファス・タウンズ議員(民主 ニューヨーク州)。会計検査院(GAO)が同機に批判的な報告書を発表したのを受け、同議員はティルトローター機の生産中止を求めている。ベル・ボーイングV-22はこれまでも苦境に立たされてきたが、GAO報告書が列挙した欠点の多くは海兵隊関係者も認めている内容。ただし、同機がアフガニスタンに投入されようとしている中、極暑あるいは調低温環境での性能や高地での運用での懸念があらためて議論を巻き起こしている。「オスプレーでは同機が出来ないというリストのほうが出来るというリストよりも長いではないですか。本日お聞きした内容であらためて高速長距離飛行のティルトローター機はまだ実用化されていないことがわかりました」(タウンズ議員)海兵隊幹部は同機の稼働率(イラクで62%)では反論していない。しかし、極限環境で性能を発揮できないとの見方には異議を唱えている。

2009年7月1日水曜日

グローバルホーク最新型の開発状況


Block 40 Global Hawk Faces Hurdles

aviationweek.com 6月26日

ノースロップ・グラマンはグローバルホークのブロック40一号機を6月25日同社パームデール工場でロールアウトした。現在同機の全体計画は順調ではない。国防長官官房および米空軍はブロック20/30分のグローバルホークの初期運用能力テスト・評価(IOT&E)の遅れを生む要因の解決を進めている。業界筋・政府筋はIOT&Eが8月開始・11月完了の予定が解決に9ヶ月かかるのではないかと見る。

【予算削減か】 他方、下院は2010年度予算案にグローバルホーク計画の削減を盛り込む検討をしている。空軍の概算要求は次年度に667.8百万ドルで機体生産をし、317.3百万ドルで研究開発を継続するもの。下院動議は次年度購入機数を5機から3機に減らす内容。ただ次年度予算が削減されるとさらに実戦配備は遅れる異なると関係筋は語る。

【求められる同機の能力】 計画が遅延してもグローバルホークの運用能力への期待は減っていない。ペンタゴンはグローバルホーク(ブロック20)2機に戦闘地域空中通信ノード(BACN)を追加搭載することとした。これはアフガニスタンとイラクの現地指揮官からの要請の応えて通信中継機能を加えるもの。イラク、アフガニスタンの現地指揮官は地上監視能力の不足に悩んでいる。

ペンタゴンの調達責任者アシュトン・カーターはロット8生産分としてブロック30(情報収集機材搭載)を2機、ブロック40(ノースロップ・グラマンとレイセオンによるMP-RTIPアクティブ電子スキャンレーダー搭載で地上監視能力を提供)を3機の生産をノースロップ・グラマンに発注した。カーターはブロック40のIOT&Eが32ヶ月遅延しているのはMP-RTIP開発の遅れが主な原因としている。同レーダーの作動モードのうち二つはテスト機上で作動テストが完了しているが、まだ残る二つのモードのテストが残っている。これは並行作動により各種データを同時に収集してレーダー効率を最大化する設計で、テストが完了するのは10年の第二四半期だと米空軍は説明する。

【調達コスト単価を引き上げている】 また、ペンタゴンの計算した平均調達単価(APUC)を航空機で見ると、2007年の90.8百万ドルが102.4百万ドルに上昇している。この単価に含まれるのは計画費用全部として試作、テスト、ハードウェアおよびソフトウェア、技術データ、管理費、支援・訓練装置等である。今年の上昇に一番寄与しているのがグローバルホークのセンサー類および予備部品であるという。

2009年6月30日火曜日

北朝鮮のミサイル発射に備える

Missile Mystery

AVIATION WEEK & SPACE TECHNOLOGY/6月22日号


北朝鮮の次回ミサイル発射実験の標的はハワイ、グアム、沖縄のいずれかになる可能性がある。あるいはまったく違う場所かもしれない。

日本の防衛省の分析は次回テポドン2号あるいは改良型ミサイルの実験は7月初めにも実施になると見ている。合衆国の情報機関関係者はその見方は完全に憶測に過ぎないとしている。

発射されても中国、ロシアを避けてそれ以外の場所となるとしか言いようがない。合衆国の空中および宇宙からの監視情報に基づくという日本側の分析では次回発射のミサイルは二段式あるいは三段式で、ハワイ、グアム、沖縄の三つの発射方向が考えられている。発射の日付も1996年に実際に発射された7月4日、あるいは金日成が死去した7月8日の可能性があるという。

自衛隊はSM-3ミサイル搭載のイージス護衛艦2隻を配置する計画で、あわせてペイトリオットPAC-3も地上配備する。ペイトリオットには長距離AESAレーダーがシステムに含まれている。

2009年6月29日月曜日

食い違う国防長官と議員の見解 次期給油機の例



Gates Resists Split Tanker, Lawmakers Urge

aviationweek.com 6月25日

ゲイツ国防長官はボーイングとノースロップ・グラマン-EADSからそれぞれの機体を調達する次期空中給油機の並行購入には依然反対の立場とペンタゴンのスポークスマンは24日明らかにした。

「長官はこれまでもこれからも並行購入には反対の立場です。長官の考え方は単一購入先からの調達で変更はありません。」

ジョン・マーサ下院議員(民主、ペンシルベイニア)は下院歳出委員会国防小委員会の委員長として総額350億ドルの新型給油機導入を二社に分割して発注することが最良の策であるとし、次回の競作で一社を採用すれば負けたほうからの抗議が再度発生し、実現が遅れるのを危惧すると取材記者団に説明。

マーサ議員はゲイツ長官と6月23日に、2010年度国防支出法案の準備状況を話し、契約を一社に与える選択肢も説明したという。だが、同議員は並行購入が「相当額の予算節約になる」と主張したという。同議員によればメーカーが二社となれば機体納入が早くなりアイゼンハワー時代の産物である現行機のメンテナンス費用が不要となるからだという。

「長官は耳を傾けていましたが、立場を明確にしませんでした。反対とは言っていませんでした」

ゲイツ長官が過去に両方のメーカーからの購入に踏み切り、生産、訓練、メンテナンスのすべてで費用が上昇することを避けたいと発言していた点に関し、同議員は「昨日長官からもらった手書きのメモがポケットにあります。長官がこれだけは妥協できないとしている点のリストです。またはホワイトハウスが譲れないという事項のリストですが、給油機はここにはいっていませんでした」

それでも国防総省スポークスマンはゲイツ長官が単一製造元にこだわっていると念押しをしている。二社並行調達を実現するには、国防総省は「当初予定機数より多くの給油機を購入する必要があり、そんな予算がどこにあるのか、相当な金額になる」としている。

コメント:ここでもゲイツ長官と議員の考え方が食い違っています。このままで割を食うのは老朽化が進むKC-135をまだ使わなければならない空軍部隊なのですが、ここではゲイツ長官の主張の方が筋が通っているように思えます。F-22では逆ですが。

2009年6月28日日曜日

F-22予算に大統領拒否権をちらつかせる


Obama threatens vetoes on F-22, F136 decisions
Flight International @flightglobal.com 6月25日

ロッキード・マーティンF-22の生産継続を求める議会決議ならびにF-35用にGE/ロールスロイスF136エンジンを代替エンジンとする予算計上を認める決議に対してオバマ政権は拒否権の行使でけん制している。この意向は6月24日に議会に送付され、下院軍事委員会が先週決議した2010年度国防予算に上記二件を取り入れたことへ明白に反対の立場を示すもの。

ゲイツ国防長官は4月6日に米空軍にはF-22は合計187機で十分と発言している。また、F136エンジンは不要、プラットアンドホイットニーのF135だけでF-35の装備用には十分だとも考えている。しかし、ゲイツ長官の方針が下院軍事委員会で6月17日にわずかな票差で覆され、2010年度には360百万ドルでF-22を12機購入し、600百万ドルでF136開発を完了させ、生産型エンジン4基を購入する内容が盛り込まれた。下院軍事委員会は国防予算の審議と承認にあたる小委員会のひとつにすぎないが、上院で大統領拒否権を覆すには上院で60票が必要となる。

オバマ政権には議会にも同調者がある。拒否権を示唆した前日にバーニー・フランクス下院議員が下院軍事委員会決議に対する批判を行った。「もしここで譲歩してしまえば、国防予算の無駄を省こうとする努力に悪影響がでる。ここで踏ん張れば何百億ドルが浮く」(同議員) 

オバマ政権は同じく下院軍事委員会がジェネラルアトミックスMQ-1Cスカイウォリアー無人機予算を半額としたこと、ロッキードC-5Aの退役を先送りする内容で決議したことにも反対の意思を表明している。軍用輸送機では下院がC-17の追加購入の予算を追加計上している。

コメント:F-22の話題には皆さんも多大のご関心をお持ちのことと思います。はやくも大統領拒否権の話題が出てきました。上院の60票というのはそんなにハードルが高くないと思いますが、ゲイツ国防長官のようにF-22を新型戦争には対応できない旧思考の産物と考える人たちには、地元雇用の維持のためにF-22生産を継続したい議員の動機は理解できないのでしょうね。わが国にとっては旧思考であろうとF-15の戦闘能力の延長戦で導入する機材はF-22しかないのですが。