2014年9月17日水曜日

ISIS戦略方針をオバマ大統領演説から読み解く


ISISとの戦いはこれまでのアルカイダ等イラク、アフガニスタンの戦いと様相がちがうものになりそうです。先日のオバマ大統領演説をメッセージ面で分析したのが下にご紹介する論文ですが、筆者は現役海軍大尉とのことで論旨の展開ぶりから今後が楽しみな人のようです。時々マハンはじめとする論客があらわれるのは米海軍のおもしろいところですね。ところでISIS包囲網に日本も加わっており、今後政治面で日本の役割を真正面から論じざるを得なくなるでしょうね。なお、トヨタにはIsisという車種がありますが、早晩車名変更せざるを得ないのでは。あまり関係ありませんが。









Opinion: The Strategic Communication Goals Behind Obama’s ISIS Speech
By: Lt. Matthew Hipple, USN
Published: September 11, 2014 8:18 PM
Updated: September 11, 2014 8:18 PM

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アメリカは13年前に長期戦に突入している。9月10日にバラク・オバマ大統領は戦闘が継続中で、今度はイラク・シリアイスラム国(ISISまたはISIL)に立ち向かう旨演説したのは時期にかなうものである。

  1. 大統領演説を要約すれば、長期戦ということだ。

  1. 大統領の意図はISISの脅威を説明し、ISISを打破しアメリカがこれまでの13年間地上戦にくぎ付けとなった事態を回避することだ。アメリカはISISを滅亡させるが、アメリカ単独では実施しない。アラブ圏の友好国、イラク軍、シリア反対勢力を巻き込み、アメリカ軍事顧問団と空軍力で実施する。

  1. では今回の演説の中身から、政策そのものではなく、戦略的なメッセージ、その対象、意図する効果を論評してみたい。

全員へ:ISISとは脅威そのものであり、破壊されなければならない。


  1. 「本土では陰謀の実例はみつかっていませんが、ISIS指導部はアメリカおよび同盟国を脅かしています。情報機関によればヨーロッパ各国とアメリカ出身数千名がシリアとイラク国内で戦闘員として加わっており、訓練と実戦経験を踏んだこれら戦闘員が母国にもどり、攻撃を加える可能性があります。」

  1. とくにアメリカ国民向けに明確にISISの脅威が理解できるよう大統領は機会、能力、意図を組み合わせて説明している。ISISの残虐性は証明済みでだが、彼らの主張する目的には悪意ある人々をひきつける効果がある。これはヨーロッパの聴衆にも同じく受け止めれる。

  1. 「我が国を脅かすテロリストはどこにいようと一人残らず駆り立てると明言してきました。これは当政権の信条の中心であり、アメリカを脅かすものには安全な場所などありません」

  1. この内容に特に説明は不要だろう。

中東各国へ: 拳を、でも硬くせず

  1. 「これは我が国だけの戦いではありません。アメリカの力は決定的な結果を生みますが、イラクにかわってイラク国民が自分ですべきことを我が国が行うことはありません。同じようにアラブ各国の友好国にはすべきことがあります。対テロ作戦は一貫して休むことなく続け、ISISを除去すべく、我が国の空軍力および同盟国の地上軍を支援します。」

  1. 敵の敵と連携する事態が生まれるのを待つのか、挙国一致体制のイラク新政権が発足するのを待つのか、とはいえ大統領演説は周辺国に合衆国だけでこの事態を囲い込むつもりはなく、継続中の代理戦争は周辺国すべてを疲弊させてしまう可能性を示しているものだろう。合衆国が「飛び込んで」こないとわかれば、今回の対決中でもっとも憂慮すべき事態を引き起こすかもしれないのだ。
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  1. 演説ではイラク政府、クルド人部隊、あいまいにシリア反乱勢力へ言及があったが、個別名でのシリア反乱勢力、イラン、トルコ、ヨルダン、サウジアラビアおよび湾岸諸国もこの戦いに加わろうとしているのにもかかわらず言及されていない。何らかの意図があるのだろう。

  1. イラク政府軍とクルド戦闘部隊間に分裂があることがうかがえるが、別個に戦闘を実施する中でクルド人の功績が大なのが政治的に微妙な作用を及ぼしていることを理解すべきだ。

議会へ: しっかりと一貫性を


  1. 「総合的かつ一貫したい対テロ戦略でISISを追い詰め破壊する」

  1. 合衆国はISISを明確に相手とし、地上兵力除く多くの資源を投入していくだろう。これに驚く人はいないはずだ。だが大統領は議会に二点を伝えている。議会の承認を都度必要とせず交戦すること、およびシリアへの拡大だ。

  1. 「我が国は最強国家であり大統領と議会はともに手を携える。そのため議会の支援により世界に対してアメリカが団結して危機に対処していることを示したい。....かつてはアルカイダ支部だったものがイラクの部族間対立とともにシリア内戦も利用して支配地域を両国にまたがって拡大している」

  1. これはわかりやすい。大統領が議会の承認を求める発言をすると観測していたものがあるが、そもそも議会承認が必要なのかはっきりしない中で承認を取っているのと同じといってよい。同様にこれがISISはアルカイダと同類だと発言した理由でもある。

  1. 「追加的権限と資源を与え、ISISと対決する戦闘員の訓練および装備調達を可能とするよう議会に再度求めたい。自国民を残虐に扱うアサド政権には信頼を置くことができず、同政権は一度失った正当性を回復することはできないだろう」

  1. ここで大統領は以前からのシリアの関与についての議論を続ける格好だ。この部分はその他戦略部門の言及の中に埋もれているが、ISISの残虐性について言及してから、シリア大統領バシル・アル・アサドとの同盟関係はありえないとし、アサドも残虐性では同一だとする。現実主義者の立場ではこの点に違和感があるだろうが、大統領が演説中で示しているのはソフトパワー soft power とイデオロギー超越counter-ideologyの二点だ。これは今後も訴求される内容だろう。

アメリカ国民へ過去の「引き返せない点」は避けつつ、期待を実現せよ
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  1. 大統領は基本ルールを作って国民各層の支持を保持しようとしている。

  1. 「以前も述べたように米軍部隊は戦闘任務に投入しない。イラク地上戦へ再度引きづり込まれない。...アメリカ国民には今回はこれまでのイラク、アフガニスタンと違う戦いにしようとしている点をご理解いただきたい。米軍戦闘部隊が海外の地で交戦に巻き込まれることはない」

  1. 第一に合衆国は今回の紛争に全面参入せず、過去10年間の状況に「回帰」あるいは「巻き込まれる」ことはない。これがシリアを巡る議論の背景にある最大の懸念事項で、オバマも回避したい点だ。これには軍事作戦が知らぬ間に拡大しないかとの懸念を事前に防ぐ意味があり、議論そのものを遅らせる意図もあり、否定的な反応が起こる前に先手を打ったのだろう。

  1. 「世界にある邪悪な力をすべて消去することはできず、殺人集団は小規模とはいえ大きな害を及ぼす力を有しています....ISISのような悪性がんを根絶するには時間がかかります」

  1. 第二に、現実に即した形で期待を維持することだ。示された戦略は長期にわたるもので、「世界からすべての悪を消去できない」というのは同様の脅威がこれからも発生するとの布石だろう。大統領は簡単に勝利を収められるとの期待や勝利への確信を回避したいようで、期待が裏切られ支持がなくなることを恐れているようだ。

  1. 「軍事行動には危険がつきもので、とくに軍に身を投じる男女が任務を実施する際には危険がつきまといます」

  1. 三番目に危険対応を予め準備させることだ。現場で任務に就く兵員や上空を飛ぶ航空機ではISISによる殺害あるいは誘拐あるいは撃墜の恐れという「低リスク」があるというだけで任務達成が困難になるできなる。紛争が長期化するという現実直視をすれば当初こそ支持に盛り上がりをかくことになりそうだが、一方でより堅実かつ現実的な理解を生み、作戦維持ができることになる。

中東各国および西側出身でISISへの「転向者」へ

  1. 演説を通じ合衆国が同地区を重要視しているのがわかるが、「空軍力」、遠隔地からの「対テロ作戦」、軍事顧問団という言葉遣いから合衆国には同地区を再占領する意図がないことがわかる。そうなるとISISに対しまだどっちつかずの国や「西側諸国の帝国主義」を心配する向きとも意思を疎通させなければならない。「帝国主義」や「聖戦」を否定することで合衆国はISISは「イスラム」にあらず、イスラムとの戦闘を展開するのではないと説明できる。ただしこのメッセージが戦闘地区内に届くことはないだろう。
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  1. ただし西側諸国や比較的安定している隣接諸国にいるものにとってはISISがソーシャルメディアを駆使して聖戦を訴えていることは要注意だ。

総括:


  1. 一部で戦略案そのものに異議をとなえるものや、ソマリアやイエメンの価値を引用する部分の正確さに違和感を覚えるものがあろうが、今回の演説は今後の戦略的な意思疎通を前面に出したことでは極めて率直なものだった。

  1. なぜ合衆国がISISを相手にしなければならないのか、我が国の安全そのものがかかっていること、さらに地域内の同盟国も自国の安全を目指して努力していることがはっきりと説明された。

  1. 公職最高位にあるものでここまで意思疎通を「戦略的に」行った事例は少ない。同時にその好例だろう。
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  1. 示された方針が合衆国にとって正しい選択なのかは我ら国民が議論することであり、時間の経過ではっきりしてくるだろう。■

2014年9月16日火曜日

スコットランド独立の場合 英国防力への影響はどうなるか 投票日は9月18日


女王まで異例の発言をするなど、分離独立を食い止めようとする勢力は必死になってきました。それだけ可決の可能性が高いということでしょう。記事が取り上げている内容どおりなら英国の国防計画は破たんしてしまいそうですね。東アジアのこちらは中央集権国家タイプですので、今回の騒動もなかなか理解できないでしょうね。




Scottish ‘Yes’ Vote Could Have Major Impact On U.K. Defense

Narrowing polls in Scottish independence referendum prompt U.K. defense concerns
Sep 15, 2014Tony Osborne | Aviation Week & Space Technology
Sources: Google Maps and AW&ST Art Dept.

9月18日にせまったスコットランド有権者4百万人による住民投票結果次第で英国の国防は大きく影響を受けそうだ。選挙運動の最終段階で賛成票が多数を占める可能性が現実味を帯びてきた。
  1. 独立反対の結果でもスコットランドには現在より大きな裁量権が与えられ、英国全体に影響する政策方針の変更は避けられないだろう。.
  2. ただし政治指導層が最も恐れているのが独立賛成の結果であるのは間違いない。独立となれば300年にわたる統合が崩壊し、国防分野がまっさきに影響を受ける。英国議会もこの投票の動向を意識しイラク国内でのイスラム勢力向け空爆への参加議決を見合わせている。
  3. 2010年の戦略国防安全保障検証 Strategic Defense and Security Review (SDSR) によりスコットランド駐留部隊は大幅縮小したが、スコットランドは英海軍のトライデント戦略ミサイル原潜の母港で、核抑止力のかなめであることにかわりない。
  4. 戦闘機や陸上部隊なら簡単に南部へ駐留地を移動できるが、核抑止力はそうもいかず国防関係者にとって頭の痛いところだ。さらにスコットランドが英国に潜水艦の即時撤去を求めるかもしれない。そうなると国内には潜水艦の運用に必要なインフラは他になく、NATO、EUそれぞれの加盟国にとっても核抑止力の空白は悪い結果となる。なおスコットランドは両組織へ加盟を希望している。
  5. それでもスコットランド国民党 the Scottish National Party (SNP) のトライデントへの見解は明白だ。独立を目指す白書の中で同党は「無差別かつ非人道的な破壊力であり、人類への侮辱」とまで言い切っている。
  6. SNPの主張では独立を実現すればトライデント後継ミサイル開発から自由になれるという。開発は1,000億ポンドで20年から30年かかるとみられる。
  7. 国民党は同時にスコットランドは英国防予算340億ポンドの1割を支払っているのにその半分しか恩恵を受けていないと主張。またスコットランドが拠出をやめれば国防省が今後10年でめざす1,600億ポンドの装備調達計画で130億ポンド不足が生じると説明。
  8. 2010年度SDSRにより空軍基地が二か所閉鎖されている。英海軍は水上艦基地をスコットランドには一か所も有していないが、基地閉鎖がスコットランド選挙区では暗い材料になったのは確かだ。
  9. 独立賛成票によりスコットランドの小規模ながら重要な国防産業も域外脱出を加速化するかもしれない。もっともリスクが高いのが造船で5,000名の雇用がかかっており、海軍艦艇や潜水艦は国内建造するのが現在の方針だ。エアクラフト・キャリア・アライアンス Aircraft Carrier Alliance がエジンバラ近郊のローサイスRosyth で英国の新型空母2隻を建造中だ。造船各社は南方への移動を模索するだろう。
  10. SNPは英軍装備を引き継ぎ自国防衛を図ると綱領で発表している。人口比からスコットランドは78億ポンド相当の装備を所有すべきで、防空用にユーロファイター・タイフーン12機ないし16機、ロッキード・マーティンC-130Jは6機を委譲を希望する。ただしこの交渉は難航するだろう。
  11. 住民投票で独立が否決されれば国防関係者は安堵するだろうが、スコットランド議会への権限委譲がさらにすすめばスコットランドから隣接する各地域へ発言権が増しても、イングランド、ウェールズ、北アイルランドの各地方はスコットランドへ口出しできない。この問題は「西ロージアン問題」“West Lothian question” と呼ばれ、残る地方への権限移譲につながるかもしれない。
  12. 住民投票で可決されればSNPは独自の憲法制定に動き、2016年3月までに完全独立を目指す。■


2014年9月15日月曜日

KC-46空中給油機の初飛行日程も遅れる見込み


順調と思われていたKC-46開発ですが、思わぬところでつまづいているようです。設計段階に間違いがあったのであれば「詰めが甘い」と言われても仕方ないですね。固定価格で超過する分は海外輸出で回収するというのがボーイングの計算のようで、日本もその対象に既に入っているようです。KC-767の追加購入はKC-46に切り替えていくということでしょうか。





First Flight for KC-46 Tanker Platform Slips Further

Sep 12, 2014Amy Butler | AWIN First
Boeing

配線問題でKC-135後継機となるべきボーイング767-2Cの初飛行は早くても11月中旬と当初の6月から大きく遅れている。
  1. それでもジョン・トンプソン少将(KC-46事業責任者)Maj. Gen. John Thompson, program executive officer for the KC-46 programによればボーイングは第一期18機の納入を契約通り2017年8月に実行できると見ている。「稼働可能必要機数(equired assets available RAA)の実現に支障となる大きな問題はないが、日程管理は改善の余地がある」と9月11日にAviation Weekに発言している。
  2. ボーイングは2011年に固定価格制で44億ドル開発契約を獲得し、政府負担は49億ドルが上限となる。2013年に行った原価危険度評価では総額59億ドルとなったとトンプソン少将は述べた。差額はすべてボーイング負担で2017年を迎える事になる。最終的に空軍は179機を調達する。.
  3. ボーイングからは272百万ドルを投入し事業を予定通り進めるとの発表があった。問題は基本形767-2Cの配線だ。給油機として配線設定で空軍が二重あるいは三重の冗長性を求めているため、基本形767の配線は総延長70マイルだが、2Cでは50マイル分を追加している。冗長部分とは別に、重要システムでは安全の理由から配線間に一定の距離を保つ必要がある。今年早々にFAAテストの準備を進める中でボーイングは配線の5-10%で距離が十分に確保できていない、あるいはシールドが不十分であることに気づいた。
  4. この設計不備は「設計ツール段階に原因がある」ためとボーイング広報のキャロライン・ハッチソンBoeing spokeswoman Caroline Hutcheson は発言。「問題の本質は既に理解されており、既存技術で解決でき、追加作業を行うだけです」
  5. 配線の一部はテスト機材4機で設置ずみのためこの機材を一時的にテストから外している。残る3機は組立済みでボーイング施設内で配線取り付けを待っている状態だ。ただし、この三機の組立はほぼ同時並行で行われるので、設計見直しはフライトテストの制約となるかもしれない。
  6. 767-2Cは 767-200ERの貨物床を強化した給油輸送機仕様で貨物用扉など輸送機の特徴を持つ。操縦席は787を基本とし、予備燃料タンクと配管配線で給油用ブーム並びにミッションシステムズを運用する。ボーイングはワシントン州エヴァレット工場の民間機生産ラインで同型を組み立ててミッションシステムズは最終工程で組み付けることで最短の生産を目指している。
  7. 第一期開発用機材は2Cの呼称でFAAの追加型式証明を受ける。第二期機材がKC-46となり、初飛行は2015年4月予定でトンプソン少将によれば今のところ変更ない。しかし「4月第一週に飛行できないと、マイルストンC[ペンタゴンによる生産決定]を同年9月としているので深刻な日程遅延を毎日心配しなくていけなくなる」
  8. トンプソンはマイルストンC決定はペンタゴンの調達トップフランク・ケンドール次官が下すものでわずかに遅れても2017年8月のRAA目標が実施不可能となるわけではないという。ただし2C生産の遅れは開発生産を同時進行させるKC-46事業に影響を与える。開発開始時にはこの方針が逆にリスクを減らすと言われており、ボーイングが民間機を軍用に転換する経験が深いのがその理由だった。ただし、ペンタゴンが第一期分13機の生産を決定する時点で2Cのフライトテストは開始されたばかりのはずである。
  9. さらに同機開発では新しい「一回きりテスト」"Test Once" の考え方を導入しており、一回のテスト飛行でなるべく多くのテスト項目を各関係機関が実施することにしている。そこで遅延が発生すればさらに多くのプレッシャーが加わる。
  10. トンプソン少将は日程管理のプレッシャーを和らげる方法を検討するが、現時点では解決策を絞り込めていないという。
  11. ボーイングにとっては大日程の維持は高くつくが、トンプソンは同社にとって旨みのある事業になるはずと言う。KC-46導入へは日本と韓国が関心を示している。
  12. 配線問題が出る前にボーイング関係者からは機体完成時の価格試算は政府試算額を下回るとの見通しが出ていた。ハッチソンはトンプソン少将の見積額を否定しなかったが、「事業全体の大日程を追加コストを政府や納税者に押し付けることなく、設計通りに実現すべくボーイング負担を増やす」という。■


2014年9月14日日曜日

★★★オーストラリア潜水艦商戦へ土壇場で参入図るスウェーデン

hオーストラリアの次期潜水艦調達で伏兵が出てきました。

日本からの調達で決まり、のような報道が目立ちますが、相手はオーストラリアにも深い関係を持つしたたかなサーブです。時間はないのですが、ここに来て手を挙げる同社には一定の見込みがあること以外に調達する可能性のある他国へのアピールもあるのでしょうね。




Saab Makes Late Pitch For Australian Sub Project

Sep. 13, 2014 - 04:28PM   |  
By GERARD O’DWYER   |   Comments

HELSINKI — サーブが最後の土壇場でオーストラリア政府に潜水艦取得の方向を変えさせようと必死だ。現在、ドイツと日本のいずれかが採用になりそうなのだが。
オーストラリアの次世代潜水艦はトニー・アボットの自由党政権が国外建造艦の調達を掲げてから政争の種となっている。野党からは政府が日本の川崎重工-三菱重工製そうりゅう級選定に傾いていることへの批判があり、一方ドイツのティッセンクルップThyssen­Krupp はタイプ214潜水艦を提案している。
オーストラリア政府はまだ最終的な調達規模を決めていない。アボット政権では8隻から12隻としている。
ここにきてサーブが高性能潜水艦の受注生産提案を出してきた。サーブCEOハカン・ブスへ Håkan Buskheによれば同社はまだ正式な入札をしていないが、「もし顧客側が当社の提案に耳を傾けて頂ければ」サーブから公開入札に応じるという。
なお、オーストラリア次世代潜水艦調達は180から270億米ドル規模事業となる見込み。ここに来てサーブが手を挙げる真の理由は同社が49.6百万ドルで潜水艦事業を取得したことである。今年7月にティセンクルップのスウェーデン国内の潜水艦建造所を手に入れている。サーブが入手したのはティッセンクルップマリンシステムズ(TKMS、旧名称コッカムズKockums)および艦艇設計案である。
サーブによるTKMS買収はスウェーデン政府の後押しもあり、ティッセンクルップがスウェーデン国内の潜水艦建造技術を廃止するとの恐れもあり実現したものだ。ティッセンクルップはコッカムズを2005年に買収していた。
ドイツ親会社がTKMSの輸出営業を縮小する決定をし、オーストラリア、シンガポール、ノルウェー向け輸出の自主決定権を制限したことで、政府はテッセンクルップへの信頼を失していた。
TKMSはサーブコッカムズABへ統合されて新型A26級潜水艦の設計建造にとりかかっており、スウェーデン海軍向けにゴットランド級潜水艦の後継を狙っている。
「TKMSを参加に入れたことでサーブはオーストラリア政府に対し正式に次代潜水艦の提案が可能となりました。」とブスへは発表している。またTKMS買収でオーストラリアのコリンズ級潜水艦関連の知的所有権も手にいれたことになる。
サーブとしては潜水艦本体およびサブシステムズをスウェーデンとオーストラリア双方で制作する意向だ。またブスはA26級潜水艦(3,000トン)をスウェーデン・オーストラリア間の潜水艦技術協力案件にしてもよいと示唆している。
オーストラリアが運用中のコリンズ級は浮上時に3,050トンの通常型潜水艦で設計はコッカムズが全て行い、6隻が1996年から2001年にかけ引き渡されている。
サーブ提案はスウェーデン政府も支援すると国防相カリン・エンストローム Karin Enströmが発言している。「スウェーデン国内に高性能潜水艦を設計建造し、海外へ販売する基盤を維持することは重要。サーブはコッカムズ時代もありオーストラリアへ関心を示すのは当然」とDefense Newsに語っている。
サーブはTKMSを海洋・水上部門システムズ技術の中核に据える計画で、潜水艦開発部門はマルモMalmoにあり、カールスクロナKarlskronaに水上艦・潜水艦建造部門を構えている。
サーブは潜水艦案をオランダ、カナダ、ポーランド、ノルウェーに提出する以外に海軍兵力増強を進める東南アジアではタイやマレーシアにも関心を示している。
「スウェーデンは十分競争力がある。70年代の国防予算はGDP比3%だったのが今では1.2%になっており、厳しい予算の中で勝ち残る方法を体得している」とブスへは自信満々だ。■



2014年9月13日土曜日

米海軍のF/A-XX構想に垣間見える海軍の考え方の違い


米海軍と密接な関係にある海軍協会は海軍版のF/A-XX構想で微妙に米空軍のF-Xとの違いが生まれつつある内部事情を伝えています。空軍がこれまでの延長上の制空戦闘機を考えているのに対し、ネット中心の戦闘のセンサー搭載機で必要な能力があれば既存機の流用でもいいとこれまでにない考え方が海軍から垣間見えます。日本のF-3も流れとしてはF-Xに近いと思われますが、海軍の考え方にも参考になるものはあると思えます。人工知能だの、高エネルギー兵器だの、これまでにない趣向はあるのですが問題は価格でしょうね。とくにこれからの予算環境を考えると。


Navy Taps Industry in Quest For Next Generation Fighter

By: Dave Majumdar
Published: September 10, 2014 10:04 AM
Updated: September 10, 2014 10:05 AM
A Boeing artist's conception of a potential design for F/A-XX. Boeing Photo
ボーイングの考えるF/A-XXコンセプト。. Boeing Photo


米海軍が技術情報の交換会合へ正式に民間防衛産業の参加を要請し、2030年代をにらんだ次世代戦闘機のヒントを得たいと考えている。

  1. 交換会は技術情報会議 Technical Inerchange Meetings (TIMs) の名称でF/A-XXの代替策検討作業 analysis of alternatives (AOA) に先立ち実施する。AOAは2015年に開始。

  1. 会議では価格と現行機種スーパーホーネットやF-35CがF/A-XXの要求性能にどこまで合致するかが検討の重点だという。さらに選択肢として海軍は完全新型機または現行システムの派生型開発 family of systems (FoS) の検討もする。同時にミッションシステムズ、エイビオニクス、次世代兵装システムも検討する。

  1. 海軍関係者はロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン各社の先端技術開発チームに加え、機体コスト低減に役立つ技術要素を有する企業へも打診する方針だ。

  1. 「機体がまったくの新型機になるのかならないのか、無人機とするのか有人機とするのかも未定」と海軍関係者は語る。「むしろ将来の予算状況だとFoS方式でギャップを埋めていくことになるだろう」

  1. 海軍の選択肢の一つが最低限の予算で高性能で敵戦力に十分対抗できる武装をどう実現するかだ。
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  1. 海軍統合火器管制対空作戦能力開発構想(NIFC-CA)では一機種にすべてのセンサーを搭載する想定はない。むしろデータ活用を重視する。データでリンクされた情報はノースロップ・グラマンE-2Dのような機体からイージス巡洋艦・駆逐艦へと伝わり、目標照準情報となる他、F/A-XXが発射する兵器の照準にも利用される。

  1. 「そこでF/A-XXが機体はホーネットと大差なくても、新型兵装で射程距離延長し、担当地域での戦闘を実施のために各種兵装システムを火器管制とリンクできればよい」と海軍関係者が語っている。

  1. そうなるとF/A-XXは「ペイロード」を運ぶ「トラック」であればよいのであり、スーパーホーネットやF-35のように敵を捜索、探知、追跡、照準、交戦、評価まで自己完結型で行う必要はなくなる。

  1. これは海軍作戦部長ジョン・グリナート大将Chief of Naval Operations AdmChief of Naval Operations Adm. Jon Greenert. Jon Greenertの持論「機体よりもペイロード」に合わせることだ。

  1. 2013年末にマイク・マナジール少将(海軍航空戦闘部長)Rear Adm. Mike Manazir, the Navy’s director of air warfare がF/A-XXはミサイルに加え指向性エネルギー兵器用の出力・冷却機能を搭載し、センサーは最小のレーダー断面積目標も探知できるだろうとUSNI Newsに語っていた。マナジールはF/A-XXファミリーは戦術サイバー戦能力も備えると紹介していた。

  1. 海軍は米空軍と連携しており、空軍もF-X次期戦術航空機をロッキード・マーティンF-22AラプターとボーイングF-15Cイーグル制空戦闘機の後継機にしようとしている。共同作業しているとはいえ、各軍の想定にはまだ大きな差がある。

  1. その例としてエンジン技術を巡る見解の相違がある。空軍は次世代適応サイクル型ジェットエンジン技術に自信を持っているが、海軍航空システムズ本部の技術陣は空軍研究所の主張する適応サイクル型エンジンの長所を信じず、海軍の要求水準には対応できないと考えている。■



2014年9月12日金曜日

即時全世界攻撃構想に対しロシアは核戦力増強に走るのか


日増しに米ロの対立緊張が高まっていく観がありますが、米軍の即時全世界攻撃構想にロシアは防御を固める構えです。これは80年代のスターウォーズ計画で当時のソ連が破たんしたのとはスケールが違いますが、どこか似た構図になっています。まずロシアの言い分を聞いてみましょう。


Russia Announces Plans To Upgrade Nuclear, Air Defense Forces

Sep. 10, 2014 - 02:38PM   |  
By AGENCE FRANCE-PRESSE   |   Comments

MOSCOW 任意の目標を一時間以内に攻撃できるとする合衆国の「即時全世界攻撃」構想に対抗し、ロシアは核部隊、防衛戦力を高性能化すると副首相が9月10日に発表している。
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  1. 「即時全世界攻撃戦略には戦略核部隊や海軍部隊の能力向上で対抗する。同時に作成済みの計画に従って防空、宇宙防衛を進める」と副首相ドミトリ・ロゴジン(国防担当)Deputy Prime Minister Dmitry Rogozin が語ったとインターファックス通信が伝えている。

  1. 発言はウラジミール・プーチン大統領がロシア国防支出会議の席上で西側各国がウクライナ危機を契機にロシアに対する挑発に出ており、「NATOが復権しようとしている」と批判したのを受けた形。

  1. 冷戦時代と同じ話し方ででプーチン大統領は「新たな脅威があらわれつつある」とし、NATO軍が東欧で増強されていること、ヨーロッパとアラスカでの米軍のミサイル防衛体制、そして「即時全世界攻撃」を例に挙げた。「いわゆる全世界武装解除攻撃の理論が現実のものなろうとしている」とプーチン大統領は発言。

  1. 即時全世界攻撃構想は通常兵器により世界中どの目標も一時間以内に攻撃するものだ。

  1. 国防副大臣ユーリ・ボリソフDeputy Defence Minister Yury Borisov からは同じ10日にロシアも新兵器に対抗する技術開発を迫られるが防衛的な性質である旨強調する発言があったとRIAノヴォスティ通信が伝えている。■

ではその即時全世界攻撃構想とは何で、どこまで進んでいるのかを米議会調査局の報告書から見てみましょう。

Conventional Prompt Global Strike and Long-Range ballistic Missiles: Background and Issues

Congressional Research Service

通常型即時全世界攻撃手段と長距離弾道ミサイルに関する議会調査局報告書(2014年8月)

要約

通常弾頭即時全世界攻撃兵器 conventional prompt global strike (CPGS) により合衆国は地球上いかなる地点も一時間以内に攻撃する能力を手に入れる。紛争が発生しても初期段階から高価値の目標や急速移動中の目標を攻撃する能力を有すれば敵に対する抑止力・破壊力につながる。議会は即時全世界攻撃をおおむね支援してきたが、予算に制約を課し、CPGSが核兵器の代替ではなく合衆国保有の通常兵器能力の補完とするとことを条件に予算変更を加えてきた。CPGSは「すきま」能力であるが、ごく少数の同兵器を選択した重要目標にあてることができる。


ただし敵国が通常弾頭ミサイル発射を誤解し、核兵器搭載とみる可能性を指摘する専門家がいる。国防総省では長距離攻撃能力を実現するシステム数種を検討中である。空軍と海軍はともにそれぞれが運用中の長距離弾道ミサイルに通常弾頭を搭載する案を検討中である。

海軍はトライデントII潜水艦発射弾道ミサイルに通常弾頭を搭載しようとしてきた。2008年度に議会はこの予算を却下したが、海軍はその後も中距離弾道弾で即時攻撃の検討を続けている。

空軍は国防高等研究プロジェクト庁(DARPA)とともに国超音速滑空搬送機の開発中で、同機は改造したピースキーパー陸上配備弾道ミサイルに搭載する通常型打撃ミサイルconventional strike missile (CSM)と呼ばれる。議会は2008年度にCPGSミッションの研究開発支援予算を創設しており、2014年度の計上額は65.4百万ドルである。オバマ政権は2015年度分として70.7百万ドルを要求している。


CPGS予算要求の審議では国防総省に対して同事業の意義を再度尋ね、合衆国が紛争開始直後あるいは途中で目標を即座に攻撃する必要があるのかを問いただす可能性がある。また前線配備陸上あるいは海上兵力があるのにさらに配備の必要があるのかも問われよう。議会ではこの兵器が実現した場合に核兵器への依存度が下がるのか、合衆国の攻撃が誤解され核の使用につながらないかも併せて検討されるだろう。後者では合衆国のPGS兵器発射を探知した国が弾頭が核非核の区別ができないことがリスクになるといわれる。

議会からはこの問題の可能性をすでに提起しており、空軍により極超音速搬送システムを改造した弾道ミサイルに搭載する開発の進展を期待する専門家がいる。これは通常型攻撃ミサイルconventional strike missile (CSM) として知られる構想で、HTV-2と呼称される極超音速飛翔体だが、テストはまだ成功していない。

それに代わる滑空機はAHWとして知られ、海上配備ミサイルに搭載されるだろう。議会はその他のCPGSを実現する手段も検討する予定で、爆撃機、巡航ミサイル、スクラムジェットあるいはその他高度技術を取り上げるだろう。打ち上げ後滑空するシステムで搭載する弾頭は2010年の新START条約では制限されない。それは新規の攻撃手段となるため。ただし既存型式で大気圏再突入する飛翔体を既存型式の弾道ミサイルに搭載すれば同条約に違反することになる。




2014年9月11日木曜日

主張: ISIS打倒戦略を考える


対ISIS戦役は予想よりも長くなる、シリア空爆と簡単に言うが、防空システムが一応作動している同国はイラクとは大違い、ISISのねらいをよく見据えることが必要との主張ですね。戦術と戦略を混同しないように注意が必要ですし、予算が厳しい中で米軍も大変なことになるかもしれませんね。




Opinion: Searching for a Strategy to Defeat ISIS

By: Cmdr. Daniel Dolan, USN (Retired)
Published: September 8, 2014 3:21 PM
Updated: September 8, 2014 3:21 PM

イラク・シリア・イスラム国(ISISIまたはISIL)関連のニュースは急速に展開しており、前週の報道は過去の歴史のように聞こえるほどだ。先週は世界各地でISIS打倒の戦いに踏みきれば合衆国はバシャー・アル・アサド政権のシリア支援につながると報道していた。

  1. ただし専門家の誰も口にしていないことがある。短期的にはその通りなのだが、ISISを打倒できれば西側支援対象となる穏当な自由シリア軍がアサド政権に対抗する余地ができる。アサドの政府軍も凶悪とはいえ、他のアラブ国家を打倒する動きはとっておらず、ましてや合衆国や西側同盟国を攻撃する構えもない。端的に言えばISISが合衆国の権益に対抗する最大の脅威勢力であることは間違いない。

  1. カール・フォン・クラウゼヴィッツの戦争論では「敵のうち一つを打倒すればすべての敵を打ち負かすことになるので、戦闘ではこの一つの敵の打倒を大目的とすべきである。この敵への攻撃が紛争全体の重心点に打撃を与えことになる」としている。

  1. ISISこそ今回の衝突の重心だと主張する向きがあろう、またISIS撲滅により穏当勢力が最終的にアサド政権を打倒する機会が生まれると見る向きもあろう。望ましい結果がシリアに生まれるほうがISIS打倒よりも可能性は高いと言うのが戦略論の考え方である。

  1. アメリカ内部ではISIS対策の開始を望む向きがあるが、その先として地域内の長期戦略の策定のみならず合衆国の権益をどう保護するかを構想しておくべきである。端的に言って我が国はアサド政権を支援しているのではなく、将来における自由シリア国発足の条件を整備しているのである。議会には500百万ドルの歳出案を可決し、自由シリア軍に装備を与える機会がある。これは賢い投資でありかつ必要である。

  1. ISISが地域内最大の脅威と言う点では異論はない。アメリカ人ジャーナリストがもう一人先週殺害されたが、迅速な行動を求める声が先週までの空爆拡大は慎重に行うべしとの主張を圧倒している。「今すぐ行動を」と言うのが今日のアメリカ人大多数の明快な合言葉である。

  1. ISIS空爆をシリアに拡大するかとの問いにバラク・オバマ大統領は8月27日に合衆国は「戦略の準備ができていない」と答えていたが、大統領の真意はシリア国内のISIS攻撃の戦略方針を指していたのである。実施すれば大きなエスカレーションとなるので慎重な検討が前提だ。9月3日に海軍大学校からの生中継でチャック・ヘイゲル国防長官が米国の立場を明確にし、指導部がイラクおよびシリアで「ISILの動きを止め、打倒する」戦略をどこまで進めているのかをはっきりと説明している。

  1. これとは別にシリアが統合防空システムを運用中であることが課題だ。イラクと違いシリアは自国領空内で合衆国軍に要請したりしない。

  1. ISISと異なりシリアには米軍機を撃墜する能力がある。合衆国がこの水準の脅威に直面するのは1999年コソボ紛争以来のことで、シリア国内での軍事活動はさらに複雑な様相を示すはずだ。

  1. ISISとの対立、打倒策を模索するアメリカ指導層に参考となるのは有名な海軍戦略思考家アルフレッド・セイヤー・マハンの言葉だろう。「戦術とは人が作った道具である武器を使って世代を超えた人種の変容真価をわかちあうもの.....古くからの戦略の基礎は今も変わらず、あたかも岩の上に据えたようである」 ISISとの対決はまだ深いものではないが、マハンの知恵が示している普遍の戦略上の教義は今日でも通用する。状況が複雑だからこそ、有効な戦略がわれわれの理解の範囲の中にあることを喚起したい。

  1. ISISによる忌まわしい行為に対する感情的な反応は別にして、テロリストの行動には戦略的な論理が働いている。そもそも弱い存在のテロリストは行動することで不相応な反応を期待している。例としてオサマ・ビン・ラディンが2001年9月11日に何を考えていたかと言うと米国へのテロ攻撃で合衆国を長期にわたる高価なアフガニスタン戦に引きずり出そうとしたのだ。ビン・ラディンと配下のムジャヒディン戦士はソ連と同様に米国も痛めつけられると信じていた。実際にビン・ラディンは「アメリカを出血させ破産させるこの方針を維持し....アラーの許しを得てアルカイダの資金1ドルで敵の百万ドルを空費させるのだ」と2004年に発言している。ビン・ラディンとアルカイダは合衆国に厭戦気分を植え付けるのがねらいではなく、彼らに我が国を近づかせるのを狙っていたのだ。

  1. 「無実のアメリカ人ジャーナリストを殺害すれば目的を達せられると考えているのなら、すでにその狙いは失敗している」と発言したオバマ大統領が誤っていたらどうなるか。もしISISが失敗しなかったら。彼らの狙いが我々を戦いに引きづりこむことだったらどうなるか。

  1. 2001年当時のアルカイダのようにISISの言動には合衆国を戦いの場に誘う意図が明らかだ。アルカイダ同様にISISが「合理的に行動する」とは思えない。我々の側では理解に苦しむ点だが、これが戦略的にどんな意味を持ってくるかを説明しよう。第一に、合衆国にもっと目に見える役割を演じさせることでISISはイラク政府・軍の正当性が減ると考える。合衆国が地上軍再派遣せざるを得なくなれば顕著だ。簡単に言えば我々がプレゼンスを強化すれば今でも元気のないイラク政府がさらに弱くなる。

  1. 第二に、情報の拡散でSISにとっては新規戦闘員の勧誘が大幅に有利になる。現時点で米軍地上戦力の再派遣が非現実的であるので、ISISはまず米軍の空爆に耐えることをめざせばよい。


  1. 現在の対策は国際有志連合を形成し、シャトル外交を展開し、精密航空攻撃を実施して、機会あるごとにすべての行動を正しい方向に保つことだ。だがISISが示す脅威のレベルやISIS打倒に必要な方策には相当の犠牲と経費がかかり、9・11以来の経験を超えるものとなるかもしれない。
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  1. その分かれ目にいる今こそ第三次イラク戦争は9・11以降で最も厳しい局面で向かいつつあると言ってよい。■


2014年9月10日水曜日

オーストラリアへのそうりゅう型潜水艦導入で200億ドル商談が現実に近づく


記事通りなら大きな商談になりますね。海上自衛隊が計画中の建造隻数と同等の規模になると建造ドックが明らかに不足してしまいますがどうなのでしょう。訓練、運用でも日豪のつながりが強くなりそうです。一方、現地では造船所労働者が猛烈な反対をしていくでしょうね。今年中は目が離せないニュースになりそうです。






Report: Australia Moving Ahead With $20 Billion Japanese Sub Buy

By: Sam LaGrone
Published: September 9, 2014 12:02 PM
Updated: September 9, 2014 12:02 PM
Undated photo of Japanese Maritime Self Defense Force submarine Soryu (SS-501)
海上自衛隊の潜水艦そうりゅう(SS-501) 

オーストラリアがそうりゅう級潜水艦を日本から導入し、老朽化すすむコリンズ級に代替させる検討をしていることが現地報道news.com.au. で明らかになった。導入すれば10隻から12隻、200億オーストラリアドル(約2兆円)相当になる。

  1. 匿名政府筋を引用として同記事ではアボット政権は今年末までにディーゼル電気推進攻撃型潜水艦 (SSKs) 導入商談を発表するとしている。国産コリンズ級各艦は2026年までに退役させる。

  1. 「政府としては潜水艦建造能力のギャップをコリンズ級解体が現実のものとなる2026年以降放置できない」と同上国防筋は発言している。
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  1. これは7月の日豪両政府で決まった海洋流体工学分野での協力合意に基づくものであり、集団的安全保障に道を開く日本の憲法解釈見直しも踏まえたもの。協力関係から一気にオーストラリアによる潜水艦購入に展開する形だ。

  1. そうりゅう型SSK輸出が実現すれば、日本の海外軍事販売 foreign military sales (FMS) では大きな一歩となるが、オーストラリア国内の造船産業には打撃となる。

  1. アボット政権は以前はコリンズ級後継艦を国内建造するとしていたが、官営のASC Pty Ltd.(旧オーストラリア潜水艦会社)によるオーストラリア海軍向けホバート級駆逐艦建造で示した納期遅延、予算超過の実態からそうりゅう級購入に踏み切ることにしたもの。
Royal Australian Navy Collins-class submarine HMAS Sheean (SSG-77) near the Sydney Opera House. RAN Photo
    HMAS シーアン Sheean (SSG-77)、 写真オーストラリア海軍
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  1. その場合ASCは日本製潜水艦の保守契約を担当する見込み。

  1. そうりゅう型は三菱重工と川崎重工が交互に建造しており、通常型攻撃潜水艦としては世界トップクラスといわれる。潜水時排水量4,200トンの同艦はスウェーデン製スターリング式 V4-275R 大気非依存型推進(AIP)四基を搭載している。
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  1. 輸出の実現可能性は高いが、オーストラリア、日本双方の政府関係者から同記事へのコメントは出ていない。■

2014年9月7日日曜日

フランス強襲揚陸艦のロシア引き渡しを凍結


よく読むとフランスはロシアへの引き渡しを凍結するのであって、取り消すわけではないようです。何か裏があるのでしょう。引き渡しになればウラジオストック配備となり、太平洋の安全保障にとって懸念材料になりかねませんね。報道ではヘリ空母などと言っているようですが、立派な強襲揚陸艦です。

France Suspends $1.53 Billion Russian Amphibious Warship Deal Over Ukraine Conflict

By: Sam LaGrone
September 3, 2014 4:05 PM
An artist's rendering of the future Russian Navy amphibious warship Vladivostok. DCNS Photo
ロシア向け揚陸強襲艦ウラジオストックの想像図
DCNS Photo

フランスはロシア海軍向け強襲揚陸艦二隻合計15.3億ドル相当の商談を取り消す。ウクライナでロシア支援を受ける分離派と政府軍の戦闘が激化する中での対応とフランス政府が3日に発表。

  1. 大統領府からは「状況は深刻で、ロシアによる最近のウクライナ東部を巡る行動は欧州安全保障の根本原則を破るもの」との声明文が出ている。

  1. 「フランス大統領は休戦の可能性も見えてこない状況ではフランスはヘリコプター空母の一隻目引き渡しは認可できないと判断した」
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  1. ただし声明文では二隻(ウラジオストックとセパストポリ)を将来にわたり引き渡すことがないとは言っていない。

  1. これに対しロシア国防関係者も声明を出し「内容は楽しいものではないが、悲劇ではない。我が国の装備整備計画に影響はない。今後も国際法と成立済み契約の精神に則り行動していく」とユーリ・ボリソフ国防副大臣 Russian Deputy Defense Minister Yuri Borisov は国営メディアRussia Todayの番組で語っている。
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  1. 各種報道によれば今回のフランスの動きは米、欧による制裁措置の拡大とは別だが、艦艇2隻の引き渡し凍結は米国とウクライナから数か月にわたり批判を受けての決定だ。
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  1. ウクライナ大統領ペトロ・ポロシェンコ Petro Poroshenko は7月にマレーシア航空17便の撃墜事件後にもかかわらず商談が進展していることに「非常に失望」していると発言している。

  1. 米国政府は繰り返し艦艇売却に反対の意見を表明している。「どの国もロシアへ武器売却をすべきではない」と国務省報道官補マリー・ハーフ Marie Harf が7月の記者会見で述べている。「ミストラル級の同感の引き渡しは考えられません」


  1. ただ次の段階が見えてこない。6月にロシア水兵400名がサンナゼルに到着しており、ウラジオストックの運用訓練をするはずだった。今年末の引き渡し予定となっていたが、訓練そのものも延期となればロシア水兵はどうなるのか不明だ。

  1. 問題の強襲揚陸艦は排水量21,000トンでヘリコプター20機を運用する。ドック格納庫から上陸舟艇を発進させ、長距離なら450名、短距離なら900名の兵員を運ぶ。ロシア向けには大型ヘリコプターの収納と北極海での運用を考慮した改良がくわえられている。

  1. ロシアは二隻をウラジオストック海軍基地に配備する予定だった。■

2014年9月6日土曜日

中国 空母運用テスト中にパイロット二名を失う








Two PLA Pilots Have Died Testing Fighters for Chinese Carrier

By: Sam LaGrone
Published: September 5, 2014 5:44 PM
Updated: September 5, 2014 6:25 PM
中国の空母「遼寧」, PLAN Photo

人民解放軍空軍のパイロット少なくとも2名が空母遼寧で運用予定の機体テストで死亡したと中国国営メディアでひっそり報じている。

  1. 「パイロット二名がテスト中にその生命ををささげた」と8月27日報道で瀋陽J-15の空母運用テスト中の事故を伝えている。記事ではそれ以上の詳細は伝えておらず、機体がどうなったかも不明だ。

  1. 9月5日付のJane’s Defence Weekly では「少なくとも二機を喪失したようだ」と結論づけている。


  1. 海軍問題の専門家エリック・ワーゼイムEric Wertheim(米海軍協会発行「世界の戦闘艦艇」U.S. Naval Institute’s Combat Fleets of the World 著者)によれば今回の事故は異例ではないという。

  1. 「驚くにあたらない」とUSNI Newsに5日答えている。「空母航空隊には危険がつきもの、とくに初心者にはそうだ」

  1. 中国はソ連時代の技術に大きく依存して空母中心の打撃群の整備に乗り出した段階で、遼寧は技術実証の手段の色彩が強く、国産空母がこの後続くとみられる。

遼寧艦上で運用中のJ-15、日付不明写真 PLAN Photo

  1. J-15はライセンスを無視したスホイSu-33フランカのをコピーで中国はロシアが設計しウクライナが建造した遼寧から運用中。

  1. 中国は空母からの航空運用をブラジル海軍パイロットから学んでいると伝えられている。ブラジルは1960年代からフランス製中古空母を運用している。

  1. それでもPLAは空母での航空運用を素早く学びつつあり死傷者は米海軍実績を下回る。


  1. 2013年時点で当時の大西洋航空部隊司令官テッド・ブランチ中将 Vice Adm. Ted Branch (現海軍情報部長)は「中国は我々より早く学び、我々の得た教訓を活用するだろう」と述べていた。
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  1. 米海軍は空母ジェット機運用を体得する過程でパイロット、機体を相当喪失している。

  1. 1949年から88年にかけて「海軍と海兵隊で1,200機を喪失し、死亡は8,500名にのぼる」と「米海軍航空戦力100年史」 “One Hundred Years of U.S. Navy Airpower” の著者ロバート・C・ルーベルRobert C. Rubel.は述べている。

  1. 中国については空母戦力整備の仮定で発生した損失を中央政府が認めることは異例だ。遼寧は中国国民の文化面で大きな人気を集めており、艦と乗員は各地で崇拝の対象になっている。

  1. Jane’sによれば遼寧は四か月に及ぶ乾ドック内整備を終えて出航したばかりで、飛行テストをまもなく再開するという。■