スキップしてメイン コンテンツに移動

貨物搭載量2トンのドローンが中国で飛行開始。PLAが南シナ海人工島への物資補給に投入する可能性。それ以外に中国は無人機による貨物輸送ネットワーク構築を構想しているようだ。(The War Zone)

 Chinese drone maker Tengden says it has conducted the first flight of a new cargo drone with a multi-metric-ton cargo capacity.  

CCTV via China Daily


民生需要以外にTengdenの大型貨物ドローンは、紛争時に、遠隔地への物資補給に役立つ可能性があることに注目すべきだ


国のドローンメーカーTengden四川腾盾科创股份有限公司は、最大積載量約2,000キログラム(4,410ポンド)の新型無人貨物機の初飛行に成功した、と発表した。同社は、中国で最大となる名称未定の双発ターボプロップ無人機を商業オペレーターに売り込んでいる。しかし、軍事利用の可能性も明らかで、特に南シナ海の島嶼前哨基地のような遠隔地にある人民解放軍(PLA)部隊への物資供給に役立つ可能性がある。

 中国国営メディアによると、新型のTengden貨物ドローンは、中国南西部の四川省の自貢鳳鳴総合空港 Zigong Fengming General Airportで週末に約20分間の初飛行に成功した。 

 同社は、名目上は民間企業だが、人民解放軍とのつながりが深い。

 高翼式の無人機は、翼幅が約53フィート(16.1メートル)で、全高15フィート(4.6メートル)強と伝えられている。また、内部のペイロードスペースは約424立方フィート(12立方メートル)と言わる。無人貨物機は三輪式の着陸装置を備え、通常の滑走路での離着陸を想定している。

Tengdenの新型貨物ドローンを上から見た図。 CGTN


貨物の積み下ろし方法はまだ明らかでないが、初飛行の映像では、同機には、後部胴体の左側に比較的大きな横開きドアが1つ、前方に別の小さなドアがついているようだ。


初飛行中のTengdenの新型貨物ドローンを側面から見たところ。貨物ドアと思われるものが、主翼の後ろの胴体左側に見える。もうひとつは機首近くにあるかもしれない。 CCTV via China Daily

 Tengdenは、ペイロード容量以外の性能について、詳細を公表していない。機体前方の胴体上部に衛星通信に使用される大型の白いアンテナドームが搭載されており、管制官との直接接続により、基本情報の伝達も視認外で行う。 

 貨物運搬用無人航空機ではA地点からB地点への航行能力が必要であり、これは事前にプログラムされたルートを使用して、自律的または半自律的に行う。より高度な自律飛行システムは、人間の手を借りずに離着陸したり、動的にルートを変更したりできるようにするために必要となる。出発地と着陸地に発進と回収の設備があれば、無人機のターミナル操作を制御することも可能だが、その場合、無人機をいつでもどこへでも飛ばせるというわけにはいかなくなる。

 Tengdenの新型機は、中国航空工業集団(AVIC)がペイロード容量約700キログラム(1,540ポンド)の貨物用無人機HH-100を発表してからおよそ2か月後に登場した。HH-100の初飛行は、距離にして約35キロ(22マイル)を飛行し、飛行時間は不明だが、6月12日に行われた。

 AVICの無人貨物輸送機は時速186マイル(時速300キロメートル)で巡航し、高度16,400フィート(5,000メートル)まで上昇でき、満載で323マイル(520キロ)の飛行が可能になると述べている。

 Tengdenは、貨物用ドローン「TB-001D スコーピオンD」を2022年に初飛行させている。4発エンジンのスコーピオンDは、新型機よりも翼幅が大きいものの、小型で、公称ペイロードは約3,000ポンド。Tengdenは過去にも、さらに大型のジェットエンジン搭載の双胴型貨物ドローンを提案している。また、他の中国企業も、大型の貨物運搬用ドローン設計に取り組んでいる。

 ロイター通信による今日の報道によると、「ドローン製造で世界トップの同社は、より大きなペイロードをテストしている。中国が制限を緩和し、低高度経済の構築を奨励しているためだ。中国航空規制当局は、2030年までに2兆元(2790億ドル)規模の産業に成長すると予測しており、2023年から4倍に拡大する見込みである」・

 中国はすでに、Feihong-98(FH-98)無人機を使用するなど、無人商業貨物便を実施している。複葉機のFH-98は、1947年に初飛行し、現在も世界中で軍事および商業目的で使用されている有名なソビエト製An-2のクローンYun-5Bを無人機にしたもの。先週、中国・海南島でFH-98が墜落したという未確認情報が流れた。

 Tengdenはすでに、情報収集、監視、偵察(ISR)ミッションや小型精密弾頭を使用した運動攻撃を実行可能な中高度長時間滞空型(MALE)軍用無人機のメーカーとしてその地位を確立している。TengdenのMALE無人機は中国人民解放軍で運用されており、台湾や日本の一部地域で長距離ミッションを遂行している。


翼と機体下部にさまざまなミサイルを装備したTengdenのTB-001スコーピオン。VCG/VCG via Getty Images撮影

2021年、東シナ海上空で日本の航空機が迎撃した別の中国製TB-001。自衛隊


 すでに述べたように、Tengdenは中国軍と密接な関係にある。中国軍が同社の新型機、あるいはTB0DスコーピオンDやAVICのHH-100など、貨物輸送任務用の機種に関心を持っていることは想像に難くない。中国には、ますます高性能化しているY-20ファミリーをはじめ、従来型貨物機が数多く存在している。同時に、中国軍はすでに、滑走路の容量が限られている遠隔地や過酷な環境の場所に基地を設置している。無人機は、有人貨物機が最適ではない、あるいはまったく運用できない地域での日常の補給活動に非常に役立つ可能性がある。中国西部内陸部の遠隔施設では、無人航空機による物流能力が有益となる可能性がある。

南シナ海南端に位置する中国の島嶼前哨基地を示す地図。中国はさらに北の他の島々も軍事化している。国防総省

 さらに、中国軍は、中国本土から遠く離れた場所で遠征作戦を実施する能力を拡大することに明確な関心を示している。貨物用ドローンは、将来的にそのような任務を支援するために使用できる能力のひとつとなる可能性がある。活発な紛争やその他の高リスクのシナリオでは、貨物用航空機の乗組員を危険にさらすことなく部隊に補給を行うオプションとして、ドローンはさらなる価値を提供することになるだろう。

 米軍、特に米海兵隊も、将来の遠征作戦や分散作戦の支援を目的として、無人貨物航空システムの導入を検討している。しかし、Tengdenの新型機は、特に航続距離という点において、米軍が現在検討しているものよりも高い能力水準を示している。この分野への関心が高まっているとはいえ、米国の航空業界で大型で航続距離の長い無人輸送機設計の開発が同様に急増しているわけではない。

 424立方フィートの内部空間を持つ無人機は、輸送以外の他の用途にも適応できる可能性を秘めている。Tengdenは、既存のMALE製品ラインにさまざまなセンサーシステムや兵器を統合する経験を有している。同社の新型機は、兵器以外のペイロード、例えば小型無人機群の打ち上げプラットフォームとして構成できる可能性がある。

 また、2019年に、民間航空会社ガルーダ・インドネシア航空と中国の北京航空航天大学無人機システム研究所(Beihang UAS Technology)が、ハルビンBZK-005無人機の貨物輸送バージョンを運用を中心とした提携を発表したことも興味深い。「UAV(無人航空機)の使用は、ガルーダ・インドネシアが市場の需要と貨物収入の機会を獲得する上で理想的な選択肢です。特に、マルク諸島、パプア、スラウェシなどの空港施設が限られた遠隔地を結ぶ場合、その傾向が顕著です」と、ガルーダ航空の貨物・事業開発担当ディレクター・モハマド・イクバルは当時、FlightGlobalの取材に対して語っていた。それ以来、インドネシアとの契約がどう進展しているのかは不明だ。


 BZK-005はもともとISRミッション用に設計されたもので、現在も中国人民解放軍で任務に就いている。

BZK-005。中国のインターネット


 中国企業が提供する大型貨物ドローンが増加している中、Tengdenの新型機は、中国や各国が無人航空機による物流能力に強い関心を寄せている実態を明確に示している。中国軍にとって、無人貨物輸送機は、遠隔地にいる部隊への補給に特に役立つ可能性がある。■


Chinese Cargo Drone Capable Of Carrying Two Tons Has Flown

Large cargo drones like the new Tengden design could help China keep its remote outposts supplied, especially during a conflict.

Joseph Trevithick

Posted on Aug 12, 2024 2:45 PM EDT

https://www.twz.com/air/chinese-cargo-drone-capable-of-carrying-two-tons-has-flown


コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM