2016年7月11日月曜日

★中国のミサイル原潜>どこまで進展しているのか>どれだけの脅威になるのか



北朝鮮よりはるかに整備された中国の核戦力についてこの国はあまりにも無知かつ安閑としているのは不思議なことです。まさか中国のミサイルが日本へ照準を合わせていることを知らないというのでしょうか。さらに論文にあるように段階式に確実に中国海軍はミサイル原潜運用能力を整備してきますから時限爆弾の上に我々は座っているようなものです。中国が貿易主要相手国の日本を攻撃するわけがないと能天気なことを言うのであれば現実政治が見えていないことになりますね。

The National Interest

The Future of China's Nuclear Missile Submarines: How Worried Should America Be?


Big choices ahead for Beijing.
July 7, 2016
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  1. 中国の国防外交政策を西側が分析が難しいのは中国が世界の通例と異なる形で行動することが多いためだ。例として中国が重視する海軍力開発では細部へのこだわりに10年以上もかけている。それでも中国が運用中の空母は一隻だけだし、海外拠点はジブチの「支援基地」だけだ。同基地は米国など各国軍の基地に隣接するが侵攻拠点とはいいがたい存在だ。
  2. 独自方式をとる中国の軍事戦略の中でも核戦略部門ほどその傾向が鮮明な例はない。1960年代70年代通じ「最小抑止力」に中国が自制していたのは事実で、背景に投入資源が相当制約されていたことがある。中国が米ロに相当する大量の核兵器保有を模索していたら今頃は整備が完了していたはずである。その代わりに中国は国内交通体系に投資する賢い選択をし、高速鉄道網などが完成した。その中でも中国が潜水艦搭載核兵器体系を継続して開発していることに関心が集まる。そこで今回は中国の海中配備核兵器の進展について中国の核戦略思想家 Wu Rigiang 呉日強(中国人民大学)の解説が今年初めのModern Ships(現代艦船)(出版元CSIC造船コングロマリット)に掲載されているのでこれを元に論証したい。
  3. 分析は2015年11月の人民海軍記事で中央軍事委員会が「南海艦隊潜水艦41号艦の乗員」を作戦可能になったと発表したことからはじめている。また2015年4月南海艦隊に実戦に近い長距離パトロール航海の実施の命令が出たことを報じている。その後に続くのが驚くべき内容で「これまで中国の戦略核ミサイル潜水艦が戦略パトロール任務に投入されたことはない」というくだりだ。PLA海軍が潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM(を初めて発射してほぼ30年になるが、深刻な問題があるようだ。
  4. 呉教授は中国の海洋核戦力への米国の脅威を歯に衣着せぬ言い方で説明している。「もし米SSNが中国の潜水艦基地付近をうろついて中国潜水艦を追跡し、開戦となり命令が下れば米潜水艦は中国潜水艦を攻撃するだろう。これは米国の標準戦術だ」 同教授は中国SSBN部隊整備と米国のABM弾道ミサイル迎撃手段の開発を連関させている。教授はソ連時代の戦略ミサイル潜水艦の展開範囲が限られていたため米ミサイル防衛は北半球に集中させておけばよかったと指摘し、次のように提言している。「中国の戦略ミサイル潜水艦が南太平洋からミサイルを発射すれば米ミサイル防衛体制には面倒なことになるだろう」 そこで教授は日本と共同開発中のSM-3ブロック2Aが中国の潜水艦発射ミサイルの実効性を阻む存在と見ている。
  5. 同教授の分析で最も興味深いのは中国がロシア同様の方法を採択するのか、あるいはアメリカに似た選択でSSBN整備を進めるのかという点だ。ソ連が冷戦末期に取った考え方は「防御砦」モデルだと呉教授は言い、戦略ミサイル潜水艦の防御に多様な手段を投入できる利点がある。ただこの方式の欠点は防御に多数の装備を当てる分だけ、それら装備の本来ミッションがおろそかになる点だ。これに対しアメリカ方式は「自律運用型」と教授は述べ、米海軍式のSSBN運用には高度のステルス性能、優秀な音響特性が必要だと指摘する。
  6. 中国沿岸にソ連式の「防御砦」を設定しようとすると渤海は深度が足りず、黄海と東シナ海は深度は潜水艦のステルス性には適するが、敵の侵入は容易だ。そこで南シナ海はどうかというと、深度はいいが音響特性が潜水艦が潜むには不利で残存性も望ましくなく、かつ海域を封鎖することもできない。「もちろん原子力潜水艦の待機海域は国家の極秘情報である」と呉教授は述べるが、PLANの声明文を引用し、配置場所を南海艦隊管轄海域で「長距離パトロール」だと述べている。
  7. そのほかのSSBN配置方式について同教授は簡潔に「連続海中パトロール」を維持するのかと現在英国で議論になっている点を紹介し、反対派が「費用が高くつく」ことを理由にしていると述べる。さらに米情報機関の報告を引用し、094型SSBN潜水艦四隻が建造ずみで、五番艦も建造中であることから中国は連続パトロール体制を確立するとしている。SSBNに対する指揮命令の伝え方が困難であることから教授は中国も専用の中継通信機材(米海軍のE-6TACAMOに類似)が必要だと主張。
  8. ただし当面は地上配備核ミサイル部隊を前面に立てるべきと教授は述べる。「移動式地上発射ミサイルの位置を突き止めるのは簡単ではない」 中国には真に威力のあるSSBN部隊整備を急ぐべきとの意見があるが、教授はまだ能力向上が必要な段階だと指摘した。たとえば、JL-3SLBM(射程12,000キロ)が実戦化すれば「中国沿岸部から米国を直接狙うことで各潜水艦の運用が柔軟になる」と説明。t.
  9. 同論文の結論はいささか予想外だ。「現時点では中国核攻撃潜水艦SSNs整備への要求が戦略ミサイル潜水艦をはるかに上回っている」とし、教授の言いたいことは新世代の静かな中国原子力攻撃型潜水艦の登場で西太平洋の海軍力地図が変わるということなのだろう。また新型潜水艦は東太平洋に進出して米西海岸の海上交通を攻撃する、あるいは陸上攻撃用巡航ミサイルを米本土に向けて発射するかもしれない。だが呉教授の理由付けの中心は静かで威力あるSSN部隊の整備がSSBN部隊の前提だということだ。また「原子力潜水艦の運用経験」を最重要視するが、中国と言えどもこれは一夜にして獲得できない。
  10. 論文から中国の水中抑止力整備やPLAN一般の目指す方向性で違いが見えてくる。中国の海軍力整備は極めて迅速に進んでいるが、同時に慎重でステップを踏む建造方式も明らかで自制しているようだ。先を見つつ洞察力のある米指導部は米国も自制することで中国が最も機密性が高く威力もある戦力を一定の統制下に置くことになると自覚すべきだ。

著者 ライル・J・ゴールドステインは米海軍大学校の中国海洋研究院で准教授を務める。上記分析は本人の個人的見解によるものであり、米海軍あるいはその他米政府機関による評価ではない。


2016年7月10日日曜日

★★歴史に残る機体⑤ 史上最悪の戦闘機リスト




The National Interest

The Five Worst Fighter Aircraft of All Time

The worst of the "flying coffins."
October 12, 2014

一世紀を超える軍事航空の歴史で、「空飛ぶ棺桶」の異名が付いた戦闘機が複数生まれている。軍事では限界への挑戦は技術だけでなく人体機能でも同じで、この傾向は戦闘機で特に強い。戦闘機の操縦は極めて危険だが空中戦で銃撃を受けたいと思う者はいない。
高性能戦闘機は苦難の歴史だ。エンジン、兵装、機体に少し手を入れるだけで駄作機がエリート戦争マシンに変身する。歴史上の傑作機でも最初はパイロットが不信感をもつことはよくあるがエリートの座も長く続かず、第一次、第二次大戦で特にその傾向が強く、導入一年もすれば戦術の革新のため「空飛ぶ棺桶」になっている。
傑作機と駄作機の違いは実は驚くほど小さい。その基準を見極めるため、戦闘機はその国の戦略装備であり評価は次の観点で行うべきだ。
  • その機体は戦術任務をこなせなかったのか。同時期の他機種と比べ低性能だったのか。
  • その機は戦闘に間にあったのか。同機の操縦で自軍パイロットに敵軍戦闘機より多くの死者を生んでいないか。
  • その国の資源を無駄に使う機体になっていないか。

歴史を通じて最低の戦闘機を選出るにあたり、生産500機以上の戦闘機とし、生産機数は( )で示した。したがってXF-84Hサンダースクリーチのような珍作は該当しない。


Royal B.E.2 (3500)  

実際の空中戦が発生する前に航空機を準備したためパイロット、技術陣ともに苦悩の連続だった。ロイヤルB.E.2は本格生産された軍用機として最初の機体のひとつで、3,500機が製造された。初飛行は1912年で1919年まで供用されたが優秀な機体が登場して出番はどんどん少なくなっていった。

B.E.2は第一世代の戦闘機に対して望ましくない要素を示した機体であった。操縦視界が悪く、信頼度が低く、操縦が難しく、低速で武装も軽微すぎた。フォッカー・アインデッカーの登場でB.E.2は脆弱性を露呈した。改良策が逆効果になり機重が増し、事故多い危険な機体となった。

最初の戦闘機に落第点をつけるのは心苦しいが、B.E.2の低い操縦性と信頼性に加え同機を過剰に投入した英国の決定から同機がリストに入った。なお、英国飛行隊が後継機を投入できなかったことで初の独立航空部隊となった英空軍創設の主張を助けた効果もある。

Brewster Buffalo (509)

全長が短く、ずんぐりした魅力の欠けるバッファローが実戦化されたのは三菱A6MゼロやBf-109といった圧倒的性能を有する機体と同じ年だ。陸上および空母運用をともに想定したバッファローの初陣はフィンランドだった。設計途中で重量が増加したのは兵装を増やし、燃料も追加し、装甲板をつけたためだ。このため恐ろしく出力不足となり、対抗相手へ操縦性で劣ることになった。フィンランド空軍のバッファローはソ連と開戦直後は互角に奮闘していたが、東南アジア各地の英連邦やオランダのパイロットは日本戦闘機になぶり殺しにされている。さらに熱帯地方の高温環境で性能が劣化したのは致命的だった。

海兵隊パイロットがバッファローを「空飛ぶ棺桶」と称したのはミッドウェー海戦後のことで、同機が日本に無残なほど撃墜されたためだ。米海軍は同機より優秀なグラマンF4Fワイルドキャットを急いで配備した。
Lavochkin-Gorbunov-Gudkov LaGG-3 (6528)
軍装備の近代化とは時間との戦いで、1930年代のソビエト連邦は軍事産業再建の中で他国より一歩遅れた技術を中心に生産を最適化していた。LaGG-3は初飛行が1940年だが、ドイツの侵攻時にソ連空軍の主力機だったことが不幸を呼び、同機のロシア呼称からパイロットは「ニス塗りの保証付き棺桶」と呼ばれてしまった。

就役開始はBf-109より後なのにLaGG-3は空戦ではいいところがなく、さらに軽量木材機体に低出力エンジンを組み合わせたことで重量級のドイツ戦闘機に対して戦術的な優位性は困難になった。敵弾命中でばらばらになった。ソ連のパイロット養成も低い水準のため、ドイツやフィンランドのパイロットにとって驚くほど簡単に撃墜できる機種だった。LaGG-3の生産は1942年に終了予定だったが、ソ連軍事複合体の都合で1944年まで生産された。

Century Series (F-101 (807), F-102 (1000), F-104 (2578), F-105 (833))   

センチュリーシリーズから一機選ぶのは難しい。空軍が戦略爆撃思想を重視してソ連との核戦争を第一に考えていた時代の産物だ。戦術航空軍団は自ら「戦略的」になることで課題解決しようとし、迎撃機でソ連爆撃を捕捉撃墜し、戦闘機も大型化し核兵器を搭載することを考えた。このため米空軍の戦闘機各種は北ベトナム空軍の小型で操縦性の高いMiG戦闘機に対応できなくなっていた。
ただし全部が失敗作ではない。F-100は第二世代戦闘機として妥当な機種だし、F-106の迎撃機性能は申し分ない。それ以外の各機には戦略思想と技術企画の方向の誤りで何らかのトラブルがついてまわった。マクダネルF-101ヴードゥーは迎撃機から戦闘爆撃機に転用されたが意義がよくわからない機体で、コンヴェアーF-102デルタダガーは迎撃機、戦闘爆撃機いずれでも性能不足だった。ヴィエトナムにも短期間投入されたが一番の功績は遠隔操作標的機への改装だった。
ロッキードF-104スターファイターは高速で美しいが死の罠となった機体で、「空飛ぶ棺桶」のあだ名は10万飛行時間につき30件の事故率が原因で「有人ミサイル」とも呼ばれた。カナダのF-104では50パーセントが事故で喪失し、ドイツは30%を失った。巨大なリパブリックF-105サンダーチーフは核爆撃機として設計され、通常爆撃ミッションには不向きなのにヴィエトナム戦で無理やり投入され、MiG各機やSA-2ミサイルの格好の餌食になった。
センチュリーシリーズの製造元は各社いろいろで想定任務内容も異なる。相当の機数が調達されたがすべての機体に同じ問題が見つかっている。つまり米空軍が核戦略爆撃以外の戦闘の構想に失敗したことだ。

Mikoyan-Gurevich MiG-23 (5047) 
MiG-23フロッガーはF-4、F-111といった米国製戦闘機へのソ連の対抗策だ。強力な可変翼戦闘機で攻撃と迎撃の双方をこなした。
だがフロッガーは操縦、保守整備ともに怪物だった。米「レッドイーグル」パイロットはソ連機の性能を評価するのが仕事で、フロッガーを大惨事が必至の失敗作と評した。1984年にロバート・M・ボンド中将が米空軍所属のフロッガー操縦中に死亡している。大型の機体となったフロッガーにはそれ以前のMiGの長所だった低視認性が欠けていた。
MiG-23は当初ワルシャワ条約参加国の各空軍に配備する予定だったが、各国はMiG-21の供用継続を好んだ。MiG-23の輸出条件は低価格の目玉商品だったが安全運航は極めて難しいものだった。設計上の問題でエンジンは短時間で燃え尽き、海外の導入国も同機の運用を急速に減らす結果になった。フロッガーの実戦記録はシリア、イラク、リビアが主でしかも芳しいものではない。そのため就役したMiG-21より先にMiG-23の姿が軍から消えたのは驚くことではない。

まとめ
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リストに将来加わりそうなのがF-35共用打撃戦闘機で、生産は500機の大台を超える予定だ。機種の戦略的な価値は供用期間全体を見て初めてわかる。JSFがこのリストにいつ加わるかは不明だが、一つだけ言えるのはF-35がこのリスト各機の事故発生率に近づくことはないだろう。ただしJSFの機体価格が巨額になっていることから将来的にリスト入りは十分ありうると思われる。
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選外: ジェネラルダイナミクスF-111アードヴァーク、マクダネルダグラスF-4ファントムII、メッサーシュミットBf110、ボルトン-ポール・ディファイアント、フェアリー・フルマー、スホイSu-7フィッター
Robert Farley is an assistant professor at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs.He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat. Follow him on Twitter:@drfarls.
All Images: Wikicommons.


2016年7月8日金曜日

★★F-35で中国、ロシアに勝てるのか

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F-35で本当に大丈夫なのかと言われても当面この機体しかないわけで、その意味でロッキードの宣伝に踊らされた西側世界は本当に不幸としか言いようがありません。確かに同機には新趣向の技術もあり、これまでの戦闘攻撃機の概念を変えるインパクトもあるのですが、いかんせん実用化に時間がかかっている割には実現できている当初の性能水準が少なく、一方で記事がいうような対ステルス技術も進歩しているわけでF-35も安閑としていられないはずで、海軍のようにステルスを軽視し攻撃力を重視する選択にも一理あるかなという見方もあるでしょう。

The National Interest

Is the F-35 a Lethal 'Velociraptor' or Easy Prey for Russia or China?

Image: Lockheed Martin/Flickr.
July 7, 2016

  1. 米海兵隊航空部門トップがロッキード・マーティンF-35B共用打撃戦闘機(JSF)を好意的に評価する見解を下院軍事員会で証言した。7月6日。ステルス新型ジャンプジェット機は訓練期間中は暫定ソフトウェアを搭載し、想定する性能の一部しか発揮できていない。
  2. ジョン・デイヴィス中将(海兵隊航空部門次長)はF-35の兵器戦術教官教程での状況が向上していると述べている。演習では既存機種のボーイングAV-8Bハリヤー、F/A-18C、EA-6Bが高度防空網想定では半数の機体しか目標に達しなかったのに対し、F-35は全機が到達しながら被害を受けていないという。
  3. 「F-35は24対ゼロですべての目標を破壊した」とデイヴィス中将は述べ、「ジュラシックパークの恐竜ヴェロキラプトルさながらすべて殺害しています。実にうまくやりとげてくれます」
  4. デイヴィス中将はF-35Bを投入する想定の高性能防空網の詳細は触れなかったが、海兵隊は作戦即応態勢監査を同機で実施済みで、飛行隊も追加編成すると述べた。ただし現在のF-35Bは当座しのぎの性能しかなく、飛行性能や兵装搭載で制約がついている。機体の成熟化に応じて空軍、海軍、海兵隊はハイエンドで互角能力を持った敵との戦闘に備え、訓練を拡大する必要が生じる。
  5. マイク・マナジール少将海軍戦闘システムズ作戦副部長にデイヴィスと並び証言し、ネットワーク戦によりペンタゴンは訓練の新方式の確立が求められると述べた。ハイエンドのロシアあるいは中国兵装の模擬手段としてマナジールはコンピュータシミュレーションの応用にふれた。「F-35のような第五世代戦闘機では戦闘の進め方自体が違い、ネットワーク化戦闘の演習に米本土の四分の三ほどの広さが本来必要になります」と述べ、「このためウェスト空軍少将が提示したようなライブ仮想発展型訓練live virtual constructive trainingになるはずです」
  6. 仮にペンタゴンが同機の完全性能をシミュレーションで試すことが可能としてもF-35が最新の中国機やロシアの統合防空体制にどこまで有効に対処できるかで疑問が残る。特にロシアは庁はネットワーク型レーダー網でUHFとVHFを20年以上試用し、米ステルス技術に対抗しようとしている。中でもノースロップ・グラマンB-2スピリット戦略爆撃機を狙っている。「戦闘機のステルス性能の優劣よりもこちらの機体があちらの長波UHF/VHFレーダーの前でどこまでステルス性能を発揮できるかが問題です。このレーダーは低視認性機体からも全体像をもっと多く返すように設計されています」とマイク・コフマン(海軍解析研究所でロシア軍事技術を専門とする研究者)がNational Interest誌に語っている。「JSFならかわせるかもしれませんが、高価な機体なので潜り抜けられないと厄介です」
  7. コフマンはF-35にもうひとつ深刻な問題があると指摘する。米海軍パイロットに単発エンジンに不安を感じているという。F-35が搭載するプラット&ホイットニーF135エンジンはきわめて強力で43千ポンドの推力を発生するが、同時に極めて高温となる。ロッキードF-22ラプターのF119エンジンでは排気を整流し赤外線を下げているが、F-35では排気を探知しにくくする工夫がないといってよい。ロシアには高性能赤外線センサーがあり、F-35排気の特徴から機体を探知する装備を開発する可能性がある。「世界中で最も高熱を発するエンジンといってよい」とコフマンは指摘する。
  8. せっかくペンタゴンが各軍共通の機体として導入したのに、同じ問題がついてまわることになるのかもしれない。
Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


2016年7月7日木曜日

★★南シナ海に日本のプレセンスが必要な理由を説明する一等海佐

先日の海上幕僚長もそうでしたが、米国で見解を発表する方が楽なんでしょうか。国内の言論空間はそんなに窮屈なんでしょうか。もっと国民に現実を知らせる必要があると思いますし、言いたいことはいっぱいあるはずなのに我慢されているのでしょうか。原文は極めて明快に論理を展開されており、英語としても立派なものです。国内でももっと説明してもらいたいですね。


The National Interest



Why the South China Sea Needs Japan's Navy Boosting Tokyo's presence is key to regional security.





February 2, 2016


  1. 冷戦終結後25年になるが、海上自衛隊(JMSDF)は冷戦時の海軍兵力のままだ。米海軍大学校のジェイムズ・ホームズ教授が提起したようにJMSDFは米海軍と連携した隙間戦力でソ連の脅威に対抗する想定で生まれ、対潜戦や掃海作業で傑出した能力を整備してきた。今日のJMSDFは目標を切り替え、新しい安全保障上の役割を域内で世界規模で米国のパートナーとして「積極的平和貢献」を希求すべきではないだろうか。
  2. 21世紀の変化の中で、安全保障を最も現実的に達成する方法としてJMSDFにはいわゆる「非戦闘作戦」(NCMO)の実施が一層求められており、人道支援災害救助や海賊対策をアジア太平洋で米海軍と協力して進めていくだろう。
  3. すでに動きが出ている。日米防衛ガイドラインが2015年8月に改訂され日米の安全保障協力は今後強化されていくだろう。日米同盟がアジア太平洋での安全保障の枠組みで中心的存在になっており、今後は日本の役割が一層大きくなってバランスをとるとともに日本は米国側同盟国との協力を強化していくだろう。フィリピンとオーストラリアが例だ。


南シナ海は新しい舞台
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  1. 米海軍はJMSDFとともにアジア太平洋の海洋安全保障で最前線に立っている。東シナ海(ECS)や南シナ海(SCS)の周辺国に脅威が発生しているが、SCSは中国海軍にとってインド太平洋地区での兵力投射で重要な通過地帯となり、インド太平洋で存在感を増して来た中国は一層自己主張を強めている。
  2. 中国が国際規範を無視してまで自らの国益を軍事力、経済力を背景に主張するつもりなのか大きな疑問が浮上している。南シナ海では中国が人工島を建設し、領海主張を拡大する中で国際ルールが定める「航行の自由」が問われる典型例となっている。
  3. 中国は平和的な意図で建設的態度をとっていると当然のように主張する。中国はSCSの定義として「平和、友好、協力の海」で、李克強首相が2015年11月第十八回ASEAN-中国サミットでSCSの平和安定を目指す提案を発表している。興味深いのは同提案では域外国(例 米国)は域内関係国によるSCS内平和安定確保の努力(つまり中国による周辺国へのお膳立てのこと)を尊重し支持すべきだと明確に主張している点だ。.
  4. 米国と日本はSCS問題に懸念を表明し航路安全をどう確保するのか、埋蔵されている石油ガス鉱脈をどう共有するかの点に触れている。とくに両国は航行の自由が中国により脅かされる可能性を懸念している。域内各国は中国が国益を強硬に追求する事態は歓迎しない。だからこそ中国の行動へ躊躇せず対応する必要があるのであり、艦船商船に公海を通航する権利を保障する海洋ルールは積極的に守る必要があるのだ。
  5. 一部に日米両国はSCSでは外部勢力であり域内問題に介入すべきでないとの意見もあるが、米国は太平洋海上強国として長年にわたり域内の平和安定を守っている存在であり、日米関係は地域全体の安定の基礎だ。JMSDFは同盟国として米国とアジア太平洋で一層大きな役割を果たす体制を構築すべきである。SCS問題にも日本が新しい切り口で解決策を模索し、JMSDFも対応策を検討すべきだ。日本側は米国は世界の警察官として機能できないとオバマ大統領など米国指導層が発言しているのを真摯に受け止めるべきだ。


軍事力の新しい重要性


  1. 習近平主席は中国は周辺国へ主導権を発揮すべきと主張している。PLAは装備近代化を続けており、局地戦準備を進めている。
  2. 国力増大中の中国はアジア太平洋の支配を求めていくだろう。習の「一帯一路」構想では大陸国家としての中国がアジア太平洋を影響圏に収め、域内の政策決定を支配しようとする。日米両国は域内の安全に及ぼす中国の影響力を挑戦ととらえるべきだ。
  3. 日本はASEAN加盟国とのつながりを強化し、中国の台頭に対してアジア太平洋内の海洋国家との連携で均衡を取ろうとしている。日本はこれまでの厳格な自国領土領海に限定した防衛方針化を大幅に変える必要があり、域内の各国を支援した新しい安全保障での役割を希求すべきだ。
  4. 必要な対策が実行に移されている。たとえばJSMDFはソマリア沖海賊対策を2009年3月から実施中だ。遠隔地運用によりJMSDFの基本任務でも再考が必要となり、局地防衛から米海軍はじめ同盟各国、協力各国との作戦に完全参画して世界各地の海上交通路を守る重要性を認識するに至った。(アデン湾はヨーロッパとアジアをスエズ運河経由でつなぐ、世界有数の船舶交通路である)
  5. インド洋と太平洋をつなぐ南シナ海で航行の自由が保障されることが世界経済に不可欠だ。米国は世界各地でのコミットメントもあり、航行の自由を単独で守れないが、ASEAN各国も責任を果たせない。そこで日本が手を差し伸べるべきだ。
  6. ただし海上自衛隊がこれ以上関与すると歴史問題にぶつかる。過去の軍国主義がASEAN各国に負担を与えた。ただし戦後70年をかけ日本は平和主義により信頼を回復したといえる。今日の日本は戦前の日本と全く異なる国家である。この点を明確に示し、日米同盟は問題が発生する前に行動をとるべきだ。そこで日比両国関係が重要になる。日本の装備をフィリピンから運用し、米軍と共同作戦すればSCSの平和と安定が保てるからであり、米軍機能を補強し、フィリピンによる監視偵察機能の強化につながる。


南シナ海NCMOの利点


  1. そこでJMSDFは何ができるか。まず非戦闘海洋作戦(NCMO)として情報収集監視偵察があり、平時の南シナ海でカギとなる機能でフィリピン他ASEAN加盟国を支援できる。NCMO任務をJMSDFは米海軍・海兵隊と調整する実力を有しているのは数十年にわたり米軍と相互運用を高い次元で演習しているからだ。日本がSCSでNCMOを実施すれば以下五つの利点がある。
  • まず、日本が米国の主要同盟国として「積極的平和貢献」で安全保障での新しい役割を果たせば日米同盟が強化される。
  • 次に日本がアジア太平洋でNCMOミッションのような平和的安全保障策を実施すれば積極的安全保障姿勢を示することになる。
  • 三番目に域内の平和安定を維持することで国際社会に貢献しながら、現状維持を破る意思はないと示せる。
  • 四番目に中国も裨益する。中国と日本には防衛協力で域内の平和と安定を共に守る絶好の機会となる。前提は日本が米国とともに域内の平和安定を積極的に守ることだ。
  • そして五番目に日本に大きな恩恵が生まれる。JMSDFはその最新装備を駆使し新しい安全保障モデルを提示するが、NCMOミッションが中心になる。
  1. 日本が戦後の局地防衛から脱する動きを示していることに懸念を示す向きが多数ある。ただしJMSDFにとってこの変化は積極的かつ責任ある役割に移行する機会であり、日本が有する能力を米国並びにその他アジア太平洋内の同盟国、協力国に提供することにつながる。新しい役割を果たす日本により域内の平和と安定が保証され、二十一世紀に世界経済の中心に躍り出る同地域を支えることになる。
  2. 三本の矢を束ねれば強靭な一本の矢より強くなるのである。

下平拓哉一等海佐は米海軍大学校の共同軍事作戦学部で客員教授とLNO連絡官を兼ねる初の日本出身者である。なお記事中の見解は著者個人のものであり、JMSDF、防衛省、日本政府の公式政策の見解を反映するものではない。

リムパックにロシアスパイ艦がまとわりつく。中国は今のところ動きなし。


 Russian Spy Ship Now Off Hawaii, U.S. Navy Protecting ‘Critical Information’

By: Sam LaGrone
July 6, 2016 2:42 PMUpdated: July 6, 2016 6:16 PM

Undated photo of Russian spy ship Pribaltika (SSV-80) with its old hull number CCB-80. Sources confirmed the ship is operating off the coast of Hawaii.
ロシアスパイ艦プリバルティカ(SSV-80) 撮影日時不詳。複数筋から同艦がハワイ沖に展開中であると判明した。


ハワイ沖合にロシアのスパイ艦一隻が到着しておりRim of the Pacific 2016演習を監視する動きを示している
  1. ロシア海軍バルザム級「汎用情報収集艦がハワイ沖公海に最近到着し、リムパック演習の開始を待っている」と太平洋艦隊広報官クリント・ラムズデン大尉がUSNI Newsに今週述べた。「同艦がいても演習実施には影響なく、当方はすべての対策で機微情報を守っている」
  2. 冷戦時にロシアスパイ艦が米沿岸沖合で演習の通信傍受をすることはよくあったが、最近までロシアは監視活動が低迷していた。
  3. 「以前はスパイ艦が定期的に出動しこちらも洋上で遭遇することがありましたが、きわめて安全かつプロ意識豊富に動いているのがわかりましたよ。通信傍受が主な任務だったようです」とブライアン・クラーク(戦略予算評価センターで海軍関係研究員)は海軍作戦部長付補佐官当時を回顧している。
  4. 2014年にロシアがクリミア地方をウクライナから奪ったことを受けロシア海軍の活動が冷戦終結後では見られなかった活発さを取り戻した。
  5. リムパックには25カ国50隻、航空機200機、人員25千名が参加することからロシアが傍受にいそしむのは理解できるとクラークは述べた。「異様な感じがするのはしばらくあちらが活動していなかったからです」
  6. 米海軍は同艦の詳細情報を明らかにしなかったが、USNI Newsの求めに応じた専門家は同艦はプロジェクト1826バルザム級のプリバルティカ(SSV-80)でロシア太平洋艦隊所属で母港はウラジオストックと推察している。
  7. リムパック演習での通信傍受やレーダー波など電子信号を集める情報集活動にプリバルティカを派遣されたのだろうとクリス・カールソン退役海軍大佐は解説してくれた。「プリバルティカは大型で長距離航行に耐える設計でハワイには2004年にも来ており、今回もロシアが送り込んだことに意味があります」
  8. ロシアにはさらに新型の汎用情報収集艦もあるが、「新型ユーリ・イワノフ級(プロジェクト18280)情報収集艦があと数年で就役する前に旧型になるバルザム級で米海軍はじめ各国が参加する海軍演習の監視をするのがいいと判断したのでしょう」とエリック・ワーザイム(米海軍協会編世界の戦闘艦隊の著者)は見解をUSNI Newsに語っている。
  9. 2014年のリムパックでは中国人民解放軍海軍が招かれざるスパイ艦一隻を送り、演習を監視した。中国はこれとは別に四隻の艦船を米国が招へいする形で演習に参加させていた。そのためこのスパイ艦を中国が派遣したことは各国で関心を集め、中国は苦しい説明を迫られた。
  10. 今回のリムパックでは中国は招へい対象の5隻以外にスパイ艦を送り込む兆候は見られないと複数筋が語っている。■

空軍長官はF-22生産再開に冷淡な姿勢




SecAF James Is Cool To F-22 Restart

By COLIN CLARK on July 06, 2016 at 4:01 AM

f-22raptor
PENTAGON: F-22生産再開は「費用が法外な規模」と空軍長官デボラ・リー・ジェイムズが発言した
  1. ジェイムズ長官はワシントン記念碑を見下ろすペンタゴンEリングの長官執務室で取材に応じ、空軍は空優勢2030構想を進め第六世代戦闘機あるいはシステム体系のシステムの概念を初めて定義づけようとしていると説明。F-22の設計が始まった1980年代後半と今では変化が明白でF-22が想定した脅威が今では「大きく変わっている」と述べ、同機は「傑作機」であり当初設定にない用途でも有益性を実証したと説明している。
  2. 前空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が生産再開を公言したが、ジェイムズ長官が上げた再生産の功罪を引用していた。「突飛な発想ではないでしょう。F-22の性能と搭乗員の技量はずばぬけています。期待通りの成果を出している機体」とウェルシュは5月に発言していた。
  1. それ以降F-22ライン再開の議論が活発化している。ロッキード・マーティンはF-35共用打撃戦闘機を今後数十年にわたる主力製品と位置付けており、同社が議論に火をつけたのではないようだ。下院は国防予算認可法案に最低でも194機のF-22の生産再開をした場合の費用面検討結果を来年1月1日までに提出するよう空軍長官に求める文言をわざわざ加えたほどだ。
  2. だが生産再開となれば空軍は費用の数百億ドルを別事業から捻出せざるを得ず、現状でも予算管理法による強制削減措置への対処を迫られている。
  3. F-22生産再開を強く推してたランディー・フォーブス下院議員は下院軍事員会シーパワー兵力投射小委員会の委員長をまもなく退く。フォーブスはヴァージニア州で議席を守れず、スコット・テイラーという州議員、元海軍SEAL隊員という無名の新人に敗れている。

2016年7月6日水曜日

南シナ海に広大な海軍演習海域を設定した中国の不穏な動き



不利な判定が出ることを織り込んで中国はなりふり構わず力で南シナ海を支配していくことを誇示するのでしょうか。中国の常識が世界の常識からどんどんはずれていけば、面子を重んじる中国が理屈に合わない行動に出る可能性が高いと思います。また米軍はじめ各国部隊も静観できず、なんらかの行動に出れば常識の通じない中国側が予想外の反応を見せて、一触即発状態になりかねません。ここまで状況がホットになっているのに日本は鈍感ですね。

China Declares a No-Sail-Zone in Disputed Waters During Wargame

The area is larger than the US state of Maine.
BY ECHO HUANG YINYIN
JULY 5, 2016
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  1. 中国が南シナ海で軍事演習を今週開始した海域は米メイン州より広い。
  2. 中国語による発表では演習は7月5日から11日までで中国の領海主張に対する国連仲裁裁定結果が言い渡される前日までだ。中国は裁定内容は無視すると公言しており、そもそも仲裁手続きに参加していない。
  3. 声明では正確な座標情報で演習地を指定しており、海南島から南へ中国が実効支配するパラセル諸島(ヴィエトナムも領有を主張)に達する海域だ。ヴィエトナム外相は演習への抗議を7月4日に発表している。.
  4. 中国は演習海域への船舶立ち入りを禁止している。該当する海域は10万平方キロに及ぶ。これは48百万人が暮らすフィリピンのルソン島の11万平方キロに匹敵する規模だ。
  5. 今回発表の演習海域は船舶で混雑する航路と近接するが、重複していない。
  6. 中国ネチズンからは演習に興奮する向きもあり、中国の実力を誇示できるとする一方で憂慮する声もSina News WeiboやFT
  7. Chinese に見られる
  8. 演習開始日は米独立記念日の翌日であり、終了日の7月11日が国際法廷の結果発表の前日という微妙なタイミングになっている。■