2017年7月13日木曜日

マラバール演習2017が始まったが、日本国民が戦略思考できるのはいつ?


写真は今回の演習のものではなく、くらま(DD-144)が写っているので以前の共同演習の際のものですね。日本国内でこの演習の意義、インド太平洋の秩序の維持=中国へのメッセージの重要性を理解している人がどのくらいいるのでしょうか。オーストラリアが中国マネーに目がくらみふらついているのは中国にとって奇貨なのでしょうね。しかし海上自衛隊はいつになったら「護衛艦」の名称をやめるのでしょうか。国内向け海外向けでつかいわけるのはダブルスピークのようですね。

US, India and Japan launch joint naval exercises to keep China in check

米、印、日共同海軍演習の狙いは中国へのけん制だ

By: Vivek Raghuvanshi, July 11, 2017 (Photo Credit: MCSN Alonzo M. Archer/US Navy)

NEW DELHI —米国、インド、日本三カ国の海軍がマラバール2017演習をベンガル湾で開始した。
  1. 米海軍USSニミッツ、インドのINSヴィクラマディティア、海上自衛隊からJSいずもの空母三隻が参加し、第21回演習は7月10日から17日の会期で幕を開けた。今回の狙いのひとつがインド洋で存在感を高めつつある中国の動きへの対抗だと専門家はみている。
  2. 米第11打撃群司令ウィリアム・バーン少将はチェンナイに集まった報道陣にマラバール2017の戦略的なメッセージは国名は出さずに「誤解の可能性を排除」することで、「こちらは結束している」と示すことと述べている。
  3. グルプリ―ト・クラナ(インド海軍大佐・国家海洋財団専務理事)は「マラバールの本質はインドと米国の共同演習であり、日本も参加して拡大したが各国の国家戦略をインド太平洋地区で集結させ、海洋軍事協力体制を機能させることにある」と述べる。
  4. 「今年の演習の特色は空母運用、防空、対潜戦(ASW)、水上戦、臨検拿捕(VBSS)、捜索救難、共同操艦、戦術行動」だとインド国防省の公式報道資料にある。
  5. インド海軍の花形は空母INSヴィクラマディティアと搭載航空部隊で、誘導ミサイル駆逐艦ランヴィール、ステルスフリゲート艦カモルタ、ミサイル海防艦コラおよびクリパン、ロシア製シンドゥゴーシュ級(キロ級)潜水艦一隻、給油艦INSジョティ、米国製長距離哨戒機P-8Iが加わる。
  6. 米海軍はニミッツ級空母と艦載機に加え、タイコンデロガ級巡洋艦プリンストン、アーレー・バーク級駆逐艦キッド、ハワード、シャウプ、ロサンジェルス級潜水艦1およびP-8A一機を派遣。
  7. 日本はヘリコプター空母JSいずもにSH-60Kヘリコプターを搭載し、ミサイル駆逐艦JSさざなみと派遣している。
  8. マラバール演習は1992年に米印共同演習として始まり、2015年に日本が加わり三カ国体制となった。
  9. その途中の2007年に日本、オーストラリア、シンガポールが招待され五カ国演習になっている。
  10. だが中国が演習拡大に外交面から反対姿勢を取り、再び米印二カ国演習の形にもどったが2015年に日本が正式に加わった。
  11. 「インド、日本、米国の三カ国に比べるとオーストラリアは戦略上の優先順位を明確にしておらず三カ国に加わり中国の横暴な行動を『緩和』する役目を果たしていない」とクラナは見る。
  12. オーストラリアの参加を実現する条件としてクラナは「インドにとってオーストラリアとの協力はインド洋の秩序維持で極めて重要です。そのためマラバールにはぜひ参加してもらいたいが、中国に対するあいまいな姿勢を直してもらわないといけません」と述べる。
  13. 「マラバール演習の背景にはインド、米国、日本の三カ国が中国海軍の劇的な拡大と活動増強の現実を憂慮していることがあります」とプロバル・ゴッシュ退役インド海軍大佐・国防アナリストは言う。「インドは中国の潜水艦、水上艦、給油補給艦がインド洋に大挙出現していることを懸念しています」■

2017年7月12日水曜日

★★次世代戦闘航空機の姿をゼロベースで構築中の米空軍の動きに注目


A screen grab showing Northrop Grumman's new sixth-generation fighter concept from a commercial that premiered Feb. 7, 2016, during the Super Bowl. (Northrop Grumman)
戦闘機の形にはならない、ドッグファイトは想定しないとなると米空軍の文化そのものの破壊になり自由な発想から考え直しているのがわかります。米海軍はこれに対して従来型の延長で次期F/A-XXを考えているのでしょうか。そのため米空軍とは別の開発プロセスに入っているのでしょうか。数年後に研究成果の提言が出てくるのに期待しましょう。
Thinking Outside the Box for the Air Force’s Next-Gen Aircraft
空軍の目指す次世代機を自由に発想するとこうなる

 POSTED BY: ORIANA PAWLYK JULY 11, 2017


  1. 米空軍が目指す次世代軍用機は従来の概念では分類できない機体になりそうだ。
  2. 航続距離はF-22ラプター、F-35共用打撃戦闘機より長くなるが、爆撃機のように特定任務に特化せず、ステルス塗料を使わない可能性もある。レーザーを搭載し残存性を高めるだろう。
  3. 上記は専門家が話題にしている内容で空軍は次世代機を敵防空網を突破し敵装備に打ち勝ち、ハイエンド脅威に対抗できる能力を実現しようとしている。
  4. 「検討を進めるうちに戦闘機という用語は使わないことになった」とアレクサス・グリンケビッチ准将(Enterprise Capability Collaboration Team室長)だ。ECCTは昨年、空軍の次世代航空優勢維持構想Air Supeority 2030を発表している。
  5. 研究報告では現状の戦闘機の欠点を把握し次世代の航空機、センサー、兵装でますます増大しながら予測困難な脅威環境に対抗させるべきとする。
  6. 「航空戦闘がドッグファイトを意味した時代は終わった」「ネットワークを構築し敵防空網を突破するため航続距離、残存性、威力を実現することだ」とグリンケヴィッチは語る。チームにはトム・コグリトー大佐がコンセプト構築主任として、ジェフ・セイリングが主任アナリストとして加わっており、三名は空軍協会ミッチェル研究所主催のイベントに招かれた。
  7. コグリトーからは別研究で求められる属性を把握したと紹介し、有人無人、航続距離、兵装種類を検討したという。結果は来年発表する。
  8. グリンケヴィッチは例として「ずっとステルスを唯一無二の存在としてきたことは全体として間違いだった。ステルス性能が高い方がいいと考えていた。残存性を論じる際は電子戦能力によるテコ入れが必要だし、スピードがモノをいう場合が多い」
  9. 准将はステルスは「入場料」だがスピードなど他要素も使い「脅威効果を軽減する」のだという。
  10. さらに「センサーがもっと重要だとわかりました」とし、長距離センサーで弾道ミサイルや巡航ミサイルを識別することを重要視しているのは「センサーにより撃破できるだけでなくスタンドオフ兵器を遠距離運用できるようになるからだ」
  11. 指向性エネルギーが次世代機の「ウェポンシステム」の一部になるのだろうか。また現行機にも搭載されるのか。まだ肉付けの途中だとセイリングは述べる。「指向性エネルギーはもうすぐ実用化できます。相当の進展が生まれています」
  12. セイリングによるとレーザーは「期待が高いが統合化が相当必要で機体搭載できる状態ではない」という。
  13. 防御用か攻撃用なのかは「システムとしてどう統合するかの問題」だという。
  14. ただしコグリトーはレーザーは正式要求の装備に入っていないという。つきつめればA2ADとして知られる高度の接近阻止領域拒否防空体制でレーザーでどこまで残存性を期待できるかだという。「レーザー以外の選択肢も検討しています」というが詳細に触れていない。
  15. 「弾薬類も急速に進化する必要があります」とグリンケヴィッチは述べた。「脅威内容の進展に応じて多様化していくでしょう」■

写真は ノースロップ・グラマンが2016年2月のスーパーボウルCMで見せた第六世代戦闘機コンセプト。(Northrop Grumman)


2017年7月11日火曜日

北朝鮮の衛星監視体制強化が待ったなしになり民生小型衛星連続打ち上げに期待する米国の安全保障体制



北朝鮮全土を衛星監視しているとは思えなかったのですが、三分の一未満というのはショックですね。全土カバーにざっと50基の衛星が必要ということなので北朝鮮上空を周回中の米衛星は15-16基なのでしょうか。日本の情報収集衛星はじゃあ何をしているのかまったくわかりません。北朝鮮でさえこの状況なら中国が移動式ミサイルを整備したらお手上げですね。これを補うため超高高度にとどまる無人太陽光飛行船多数を運航するのはどうでしょうか。

Graphic: Capella Space

Tiny Satellites From Silicon Valley May Help Track North Korea Missiles

シリコンヴァレー企業の小型衛星で北朝鮮ミサイルの居場所を探知

By DAVID E. SANGER and WILLIAM J. BROAD JULY 6, 2017
  1. 北朝鮮が初の大陸間弾道ミサイルを発射したが、ペンタゴンおよび情報機関は数年間前から警告していた。スパイ衛星で監視していたが北朝鮮の進展ぶりが速いだけでなく、監視対象が局所的過ぎ米国は今回のミサイル発射準備を探知できなかった。
  2. このため米早期警戒体制の補強策が緊急かつ迅速に求められている。発射前に攻撃する能力が同時に必要だ。最も興味を惹かれるのがシリコンヴァレー発の解決策の採用でオバマ政権時代に小型かつ安価な民生衛星を導入し標的場所の駐車場にある自動車の数を把握したり作物の生育具合を監視していた。
  3. ペンタゴンで高度の機密性を有する数十億ドル単位の衛星を多用してきた向きはこの新しい動きに抵抗あがる。だが北朝鮮ミサイル開発がここまで進み、ついに小型衛星群を打ち上げる野心的な構想の計画を立てるに至った。
  4. 衛星多数を同時に打ち上げるが、軌道に留まるのは一年せいぜい二年で新しい軍事緊急対応策「キルチェーン」実行に必要な対象地を監視させる。開戦やむなしとなれば先制攻撃する新戦略の一環として衛星画像で北朝鮮の発射地点、核施設、核製造施設を識別する。
  5. 数分でも事前警告が出せれば在韓米国人数万人、数百万人の韓国、日本国民の生命を救えるかもしれない。
  6. 「金正恩はミサイル実戦能力の整備に突き進んでいる」とロバート・カーディロ国家地球空間情報局長官が述べている。同局は衛星による地図作成を統括する機能があり、長官は北朝鮮のICBM発射前に述べていた。「向こうの加速化に対しこちらも加速している」
  7. 衛星の軌道上運用予定を国防関係者が口にすることはないが事は緊急だ。先週火曜日の北朝鮮ミサイル発射はPang Hyon航空機工場の新規地点から移動式発射台で行われた。ペンタゴン報道官ジェフ・ディヴィス大佐はミサイルは「従来の型と全く違う」と述べた。
  8. 移動式だと夜間悪天候でも有効なレーダーセンサーで探知をめざす衛星でも難題だ。スパイ衛星の監視範囲は北朝鮮全土の三分の一に満たない。
  9. 米情報機関は今回のミサイル発射の兆候を数日前に探知していたと国防情報局広報官ウィリアム・マークス中佐は述べる。とはいえペンタゴンは誤った評価をしていた。米太平洋軍は中距離弾道ミサイルと発表していた。数時間後にレックス・ティラーソン国務長官から北朝鮮が発射したのは大陸間弾道ミサイルでアラスカまで到達可能と発表した。
  10. トランプ政権は民生用レーダーで北朝鮮の脅威に対応しようとしている。前政権から秘密工作も継承し、北のミサイル発射を妨害しようとしているが、効果は一定せずかつ間にあわないことが多い。
  11. ICBMテストの翌日に米韓両国が行ったミサイルテストが新戦略の一部のようだ。ミサイル発射は北朝鮮指導部が暮らす平壌攻撃を想定している。
  12. キルチェーンは先週の米韓共同声明文にも出ており、韓国新大統領文在寅には方向転換となる。これまで文は先制攻撃構想の検討を禁じており、金正恩執行部を除去する米韓勢力の動きの脅迫観念に取りつかれた北朝鮮を資するだけだとしていた。
  13. 文大統領は南北直接対話の復活を公言し、以前の政権で本人が首席補佐官時代に名付けたいわゆる太陽政策に言及していた。
  14. だがトランプ大統領は圧力をかけるため艦船を集結させ、制裁強化やミサイル防衛体制整備に動いた。北が六回目の核実験または米本土到達可能なミサイルの発射に踏み切れば軍事行動のオプションも加わる。
  15. 「脅威は極めて切迫している」とH.R.マクマスター安全保障担当大統領補佐官は新アメリカ安全保障センター主催の会合で発言。「そのため今までと同じ対応はできない。以前失敗した方法はくりかえせない」
  16. そこで衛星では民生技術の活用をめざす。カリフォーニアのグーグル本社を望む国防総省のビルにオフィスを構えるラジ・シャーは国防イノベーション実験部門DIUxの長で民生小型レーダー衛星技術に広く投資中で、今年末または2018年初めにはペンタゴンが利用できるとみている。
  17. 「大変難易度の高い挑戦です」とシャーは語る。イラクでF-16のパイロットだったシャーはシリコンバレーでの経験をアシュトン・カーター国防長官(当時)に売り込み、カリフォーニア事務所に抜擢されたのだ。「利用できる技術を軍用に改修するのがカギです」
  18. シャーの部隊はシリコンヴァレーの新興企業カペラスペースCapella Spaceに投資しており、今年末にレーダー衛星一号を打ち上げる予定だ。衛星多数を打ち上げれば対象地を毎時監視できると同社は述べている。
  19. 「衛星の大きさはバックパック程度です」と同社創設者パヤム・バナザデは語る。イランで生まれ、テキサス大とNASAジェット推進研究所で衛星設計を学び、ミニチュア化が得意だ。軌道上でアンテナと太陽光パネルを伸長する。
  20. 衛星の構成部品は「すべて小型化しています」とし、「次世代の衛星はもっと小さくなります」という。
  21. 国家地球空間情報局もペンタゴンの例を見てシリコンヴァレーの中心地サンホセに連絡事務所を開き、衛星レーダーデータ技術を有する企業の取り込みを狙う。
  22. 政府関係者が北朝鮮の衛星監視偵察機能の不足を認めるのはまれなことだが、ウィリアム・J・ペリー元国防長官がこう発言している。もし北が米国あるいは同盟国を狙いミサイルをくり出してきても「探知できない可能性が高い」
  23. 更に状況を悪くしているのは北朝鮮が固体燃料の利用を昨年から始めたことだ。液体燃料方式のミサイルは燃料充填に数時間から数日かかるが、固体燃料ミサイルは事前警告無しで発射できる。
  24. 打ち上げ準備作業の探知を雲の有無、天候状況に関係なく行い、ミサイル等の軍事装備の移動状況を監視するカギは衛星を常時待機させることだ。宇宙空間にレーダーを配備すると巨額の費用が必要であった。巨大アンテナと大出力の電力も必要だった。
  25. 2007年の議会予算局試算ではレーダー衛星21基を軌道配備すると940億ドルとしていた。一基あたり40億ドルになる。この試算が出たのは北が初の核実験を実施した直後でミサイルや移動発射台の追跡が衛星で可能なのかに話題が集まり、衛星35基から50基があれば偵察が迅速に行えるとしていた。
  26. 新世代の小型かつ安価な衛星ならその目標が実現しやすくなる。カペラはレーダー衛星の今年末の初打ち上げに続き36基を軌道に乗せる予定で議会調査報告の方向に沿う。
  27. カペラ以外の民間企業も新世代レーダー衛星の打ち上げを狙い、アーサスペースシステムズUrsa Space Systems(ニューヨーク州イサカ)、アースキャストUrtheCast(カナダ、ヴァンクーヴァー)、イセエIceye(フィンランド)がある。各社ともシリコンヴァレーと強いつながりがある。
  28. 国家地球空間情報庁の民生技術利用事業ではカナダ、イタリア、ドイツからレーダー衛星を購入し民生新型技術の評価を目指す。
  29. カーディロ長官は新規民間企業との連携で北のミサイル等の監視能力不足を埋めることを期待している。「新規企業でも古手企業でも不足分を埋められるならそれで十分だ」■
Eric Schmitt contributed reporting from Washington.


2017年7月9日日曜日

ISISを1,000キロ地点から巡航ミサイル攻撃<ロシアも長距離精密誘導攻撃能力を手に入れた模様


技術は水の流れのようなもので堰を作って止めた気になっても結局流れを止めることができません。米技術の優位性が揺らいでいます。21世紀に入りアフガニスタン、イラク等の技術格差が大きい相手に有利な戦いを展開してきた米国ですが、その間にロシア、中国さらにイラン等が着実に技術力を引き上げて、今や互角の技術を有する相手との戦いを想定せざるを得なくなっているのは皮肉な歴史の進展です。ただ米国も黙って状況を見ているわけではなく、さらに先を行く技術を実用化していくはずです。

One of Russia's Most Deadly Bombers Now Has a Scary New Capability

ロシア最強の爆撃機に恐るべき新能力が付与されている

July 5, 2017


  1. ツボレフTu-95MSベア戦略爆撃機に機内で目標再設定できる新型巡航ミサイルの導入が始まっている。飛翔中に目標変更も可能でロシア軍に新しい形の戦力が生まれる。
  2. ロシア国防省は本日の発表ではTu-95MS爆撃機隊が最新X-101巡航ミサイルでシリア国内のISISを攻撃したとし、同ミサイルの射程は4,500キロだという。
  3. 「7月5日戦略ミサイル母機Tu-95MSはロシア連邦内エンゲルス飛行場を離陸し、空中給油を受けたあと(シリアアラブ共和国の)ハマおよびホムスのISIS拠点を最新巡航ミサイルH-101で攻撃した」とロシア国防省がフェイスブックで伝えた。
  4. 「この攻撃でアケルバット近郊の武器弾薬庫三棟および指揮命令拠点が破壊された。攻撃は高精度H-101でおよそ1,000キロ地点から実施された」
  5. Tu-95MSはSVPシステムを装備し乗員が飛翔中のミサイルの標的を再設定できるようになる。同装備はまだ広く導入されておらず、何機に搭載したか不明だ。
  6. 「新装備の爆撃機導入が進んでいます」とワシリー・カシン(モスクワ高等経済学研究所内欧州国際総合研究センター主任研究員)がNational Interestに述べている。「巡航ミサイル発射の前に標的設定できます」
  7. さらに発射後にミサイルの標的再設定が可能だ。カシンはX-101の標的再設定能力を伝える複数報道があると指摘するが、実戦化はまだとはいえ開発が着実に進んでいるのは確かだ。
  8. 「米軍に倣い開発中なのだろう」とカシンは述べる。「爆撃機の側が準備できておらず性能をフルに活用できていない」
  9. SVP装備のTu-95MS搭載は、各機が定期整備改修に入るたびに実施されているようだ。
  10. この分野でのロシアの開発成果には目を見張るものがあるが「ロシア軍にとって大きな一歩で作戦の柔軟度や効果を引き上げ、戦闘状況に応じた攻撃が可能になります」とマイク・ガンジンガー(戦略予算評価センターで航空戦力アナリストを務める元B-52パイロット)がNational Interestに語る。
  11. 「発射後に標的の再設定可能な兵器が手に入ると大きな意味があります。向こうはこの能力を実用化するでしょう。さらに将来は兵器間でやり取りすることになれば戦闘の様相は大きく変わります」
  12. 長距離精密兵器は米国の独占分野ではなくなった。■

Dave Majumdar is the defense editor for The National Interest. You can follow him on Twitter: @Davemajumdar.
Image: Creative Commons.

米本土ミサイル防衛のシミュレーションをノースロップ・グラマンが公開



We Ran a Simulated ICBM Attack on the United States to Find Out: Could We Stop One?

米本土へのICBM攻撃シミュレーションを視察して:攻撃阻止は可能なのか


Jul 06 2017
By Tom Demerly

 

  1. ノースロップ・グラマン社の弾道ミサイル防衛技術実証の実情を見る機会を得た。
  2. 将来のいつか、外交手段で解決できなくなったとの想定だ。米海軍艦船が某敵対国家の潜水艦と衝突した。米空軍偵察監視機材が国際空域ぎりぎりの地点で攻撃を受ける。ならず者国家は弾道ミサイルテストを続ける。
  3. 宇宙軍団の監視衛星がミサイル発射を探知したのは現地時間0234時、標準時1734GMT、サンフランシスコは日曜日午前10:34のことだった。
  4. 早期警戒監視の画面が無音で赤く点滅する。赤い円弧が囲む。速度、高度などデータが自動表示される。海上配備レーダーから情報が入る。もっと多くのデータが利用可能となる。軌道、加速度、最高高度、再突入地点、大気圏内減速が判明する。そこからミサイルの推定命中地点を割り出す。
ミサイル発射の瞬間 (credit: Northrop Grumman)

  1. 記者は椅子に座りICBMが米本土西海岸に向かう様子を見ていた。ミサイルは最高地点に達し、攻撃の最終段階に入る。変化が早い。見ていて汗が出た。実にリアルだ。ミサイルが目標に向かい高度を下げると減速するが、それでも相当の高速だ。
  2. 米本土がならず者国家が発射したICBMの攻撃下にある。米本土が攻撃を受けるのは第二次大戦後初の事態となる。迎撃戦が始まった。
  3. 情報機関の分析官は脅威の推定損害規模は中程度だとわかっているが、なすすべがない。弾頭は小さいようで、現在の標準から見て粗削りだ。機能しないかもしれない。誘導システムは精密ではないかもしれない。弾頭が太平洋上に落ちる、あるいはカリフォーニア州の山脈部分に落下するかもしれないし、サンフランシスコのマーケットストリートと六番街の金融地区交差点上空で爆発するかもしれない。放射性物質が市内に拡散するかは爆発高度により変わる。あるいは不発かもしれない。
  4. だがそれが今回の攻撃の主要ポイントではない。大事なのはならず者国家が米政府に意思を明確に伝えていることだ。そちらに到達できるぞ。攻撃の意思があるぞ。もはや安全ではないぞ。
  5. 本誌The Aviationistはノースロップグラマン社の厳重な保安体制施設で米本土の弾道ミサイル防衛の現状と将来の姿を知る機会を得た。そこで見たのはアジア大陸の某所から打ち上げられたICBMを迎撃するという背筋の凍る思いの演習だった。(編集部注 ノースロップ・グラマン社要請で敵性国家の国名を具体的に示さないことで了承した。
  6. ノースロップ・グラマンのケン・トドロフ(グローバル防空ミサイル防衛部長)が本誌に語った。「これは文字通りロケット科学の世界です」
  7. トドロフはICBM発射シミュレーションを統括し、ノースロップ・グラマン製造の弾道ミサイル防衛システムズを使った。同社の地上配備中間軌道防衛(GMD)システムへ新規技術が投入されている。一部はまだ運用が始まっていないが、ICBM防衛には不可欠の技術要素だ。脅威を与えるならず者国家が太平洋地区の国だとすればノースロップ・グラマンの新技術は単に重要だけでなく本国防衛に不可欠だ。
  8. GMDのような装備がなければわが西海岸は歴史上はじめてICBM核攻撃にさらされる。
  9. 各種センサーからのデータが洪水のように入り、ICBMの追尾状況がわかる。部屋全体ほどの幅がある大型画面でミサイルを追尾する。個別画面でも同じ状況がわかる。不気味なほど静かだ。
ICBMによる米西海岸攻撃シミュレーションの画面 (credit: TheAviationist.)

  1. 「地上配備迎撃ミサイル発射。アラスカ、フォート・グリーリーから」とシステム操作員が告げる。上昇中の迎撃ミサイルの軌跡が画面に現れる。弧を描き加速しているのがわかり、飛来するICBMの降下軌道に重なっていく。
  2. 「地上配備迎撃ミサイル発射、カリフォーニア、ヴァンデンバーグ空軍基地」と二番目の軌跡が画面に現れた。米西海岸からの発射だ。米ミサイル二発が今空中にあり、ノースロップ・グラマンの新技術により迎撃データと標的情報が混合され中間段階での迎撃データを出していく。
  3. いろいろな線が音もなく合流し明るい照明の「Y」字形が画面にあらわれる。別の画面ではICBMが下降に入る弧を描き、迎撃ミサイルも弧を作り迎撃に向かう。
  4. 「大気圏外で弾丸に命中させるようなものです」とトドロフが説明する。ミサイル三本の軌跡が巨大画面で合流する。今命中させようとしている発射体は時速1万マイルだが大きさはゴミ箱くらいだ。
  5. ICBMの飛翔には四段階ある。発射打ち上げ段階が迎撃上で一番難しいが、発射地点を探知できる。上昇段階はイージス戦闘システムで探知されやすくRIM-156やRIM-174スタンダードミサイルを艦船あるいは地上施設から発射して対応する。三番目が「中間段階」でICBMを大気圏外でTHAADミサイルあるいは現在開発中の別装備で迎撃する。
  6. 目の前の巨大ディスプレイでいろいろな線が合流してきた。
  7. 太平洋東側のカリフォーニア州上空の大きな「Y」字がはっきりしてきた。音はまったくなく、三本のミサイルを示す記号が消える。迎撃が成功した。ノースロップ・グラマンの新技術を使って太平洋上空でICBMを破壊し、米本土は無傷だった。
ミサイル発射シミュレーションでICBMの追尾の詳細画面 (credit: The Aviationist)

  1. その後、地上配備中間軌道迎撃(GMD)による2017年5月30日の弾道ミサイル迎撃実証実験の成功例の実際の映像を観た。地上配備迎撃ミサイルはヴァンデンバーグ空軍基地(カリフォーニア)から発射され、「対ミサイル」ミサイルは大気圏外命中発射体が搭載されていた。迎撃に成功し、模擬ICBM(太平洋ケジェリン礁から発射)を破壊した。再突入段階の高高度で直撃した。この実証は弾道ミサイル防衛システムの成功例とされている。
  2. ノースロップ・グラマンのミサイル防衛体制への貢献度は大きい。2017年初めにケン・トドロフは報道陣に「議会各位には脅威が増大する中で本土防衛を実現する難題がのしかかっている。国防予算が減少気味の現在、本土を現実の脅威、増大する脅威から守る手段となる『槍先』の整備に最高優先度をつけるのが重要ではないでしょうか」と述べていた。
  3. 現実の見出しから太平洋地区から発射されるICBM脅威は現実になったのがわかる。ミサイル防衛体制の整備は米国の最優先課題と言ってよい。■
Note: The Aviationist.com wishes to thank Lauren A. Green, Manager, Branding and External Communications for Northrop Grumman Mission Systems and the entire team at Northrop Grumman for their kind assistance with this article.

2017年7月8日土曜日

暑さ対策に世界最高の水泳環境の写真をどうぞ



暑いですね。少しでも涼しくなるようせめて写真だけでもお楽しみください。説明抜きで。


21 stunning photos prove the US Navy and US Marine Corps have the best diving boards and swimming pools

米海軍海兵隊の隊員には洋上勤務で休憩時間は少ないが「水泳タイム」に大部分を使う。隊員は艦付近を自由に泳ぐごとが許され、監視員がサメに目を光らす。以下21枚の写真は米海軍海兵隊の隊員諸君が最高の飛び込み台、水泳環境に恵まれていることの証明だ。

A sailor from the USS Mobile Bay jumps into the Pacific Ocean.

A sailor from the USS Mobile Bay jumps into the Pacific Ocean.

Sailors assigned to the Arleigh Burke-class guided-missile destroyer USS Halsey swim in the Philippine Sea.

Sailors assigned to the Arleigh Burke-class guided-missile destroyer USS Halsey swim in the Philippine Sea.

Sailors and Marines aboard the USS Essex run into the Celebes Sea.

Sailors and Marines aboard the USS Essex run into the Celebes Sea.

Plunging into the Mediterranean Sea from the USS Carl Vinson.

Plunging into the Mediterranean Sea from the USS Carl Vinson.

A sailor from the USS Antietam joins his fellow crew in the Indian Ocean.

A sailor from the USS Antietam joins his fellow crew in the Indian Ocean.

A Marine from the USS Kearsarge dives into the waters of Aqaba, Jordan.

A Marine from the USS Kearsarge dives into the waters of Aqaba, Jordan.
US Navy Photo

A sailor jumps from the USS Jason Dunham into the Mediterranean Sea.

A sailor jumps from the USS Jason Dunham into the Mediterranean Sea.

Sailors play football in the well deck of the USS Cleveland off of the coast of Espiritu Santo, Vanuatu.

Sailors play football in the well deck of the USS Cleveland off of the coast of Espiritu Santo, Vanuatu.

Sailors and Marines from the USS Iwo Jima enjoy the Gulf of Aden.

Sailors and Marines from the USS Iwo Jima enjoy the Gulf of Aden.

Sailors jump from the USS Dwight D. Eisenhower into the North Arabian Sea.

Sailors jump from the USS Dwight D. Eisenhower into the North Arabian Sea.

Sailors from US 7th Fleet flagship USS Blue Ridge participate in a swim call after a Crossing the Line ceremony.

Sailors from US 7th Fleet flagship USS Blue Ridge participate in a swim call after a Crossing the Line ceremony.

Sailors and Marines from the USS Mesa Verde swim in the Mediterranean Sea.

Sailors and Marines from the USS Mesa Verde swim in the Mediterranean Sea.

Sailors and Marines aboard the USS Fort McHenry jump off the stern gate into the Mediterranean Sea.

Sailors and Marines aboard the USS Fort McHenry jump off the stern gate into the Mediterranean Sea.

Sailors jump from the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower in the North Arabian Sea.

Sailors jump from the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower in the North Arabian Sea.

A sailor jumps off the stern gate of the USS New Orleans during a swim call in the Gulf of Aden.

A sailor jumps off the stern gate of the USS New Orleans during a swim call in the Gulf of Aden.

Sailors during a swim call jump off an aircraft elevator aboard the Nimitz-class aircraft carrier USS Carl Vinson into the Arabian Sea.

Sailors during a swim call jump off an aircraft elevator aboard the Nimitz-class aircraft carrier USS Carl Vinson into the Arabian Sea.

Sailors from the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower jump into the North Arabian Sea.

Sailors from the aircraft carrier USS Dwight D. Eisenhower jump into the North Arabian Sea.

Sailors and Marines aboard the multipurpose amphibious-assault ship USS Bataan dive off the stern gate during a swim call in the Mediterranean Sea.

Sailors and Marines aboard the multipurpose amphibious-assault ship USS Bataan dive off the stern gate during a swim call in the Mediterranean Sea.

Sailors aboard the USS Thach participate in a swim call during the Crossing the Line ceremony weekend, which commemorates a sailor's first crossing of the equator, in the Pacific Ocean.

Sailors aboard the USS Thach participate in a swim call during the Crossing the Line ceremony weekend, which commemorates a sailor's first crossing of the equator, in the Pacific Ocean.

Sailors assigned to the USS Carl Vinson swim during a swim call in the Arabian Sea.

Sailors assigned to the USS Carl Vinson swim during a swim call in the Arabian Sea.

Military personnel watch as sailors from the USS Cleveland swim near Papua New Guinea.