2020年5月12日火曜日

グアムにB-1BがJASSM実弾を搭載し戻ってきたのは中国へのメッセージ


第7爆撃団が爆撃機任務部隊の展開で即応体制を示した。 PACIFIC AIR FORCES PUBLIC AFFAIR—PUBLIC DOMAIN

ッセージは明らかだ。米爆撃機隊は尻尾を巻いて逃げ出したのではない。ステルスで一撃をいつでも加えられるぞ、と言っているのだ。

「ボーン」B-1がグアム島に戻ってきた。しかもステルスAGM-158共用空対地スタンドオフミサイル(JASSMs)20本とともに、米国の太平洋での戦力を示威する形で。同ミサイルは開戦となれば初期段階で投入される装備だ。

写真ではグアムに展開したB-1BにJASSM実弾が搭載されているのがわかる。B-1Bはスタンドオフ攻撃で米国と同等戦力を有する国の最高度防備標的でさえも狙う事ができる。さらに同ミサイルの後継モデルJASSM-ERが開発中で、完成すれば600マイル地点から攻撃できる。B-1B自体も大陸間横断の長距離航続距離を誇る。

総合すれば相手国には大きなメッセージになり、まさしくこれこそが機体を派遣する目的なのだ。

USAF
珍しい角度の写真でJASSMのステルス形状、赤外線画像センサーがわかる。ミサイルの最終飛翔段階ではこのセンサーで極めて精密な標的捕捉が可能だ。

空軍が10年以上に渡るアンダーセン空軍基地への爆撃機常駐を突然中止したが、B-1Bは米本国から太平洋各地を巡行しており、遠くは南シナ海まで活動範囲に収める。今回はB-1B部隊がアンサーセン空軍基地に戻ってきたが、同地にいつまで留まるかは不明だ。

Aircraft Spots
@AircraftSpots
USAF B-1Bs WHIP01 & 02 departed Andersen AFB, Guam to conduct operations over the South China Sea via separate routes 

USAF KC-135Rs DOLE11 & 12 provided tanker support
米空軍B-1B2機はそれぞれホイップ01、02としてアンダーセンAFBを離陸し、南シナ海で別々の行動を展開した。USAFのKC-135R、ドール11、12がそれぞれ空中給油で支援した。
View image on Twitter
769
2:53 PM - May 8, 2020
Twitter Ads info and privacy
342 people are talking about this

この新しい動きの背景にペンタゴンでよく聞かれる「動的兵力配備」構想がある。つまり戦略機材を予測困難な形で展開することだ。

グアムの滑走路を使う機材は中国との開戦直後に格好の標的になるのが厳粛な事実だ。グアムにTHAAD部隊が常駐しているが、中国は防衛網を圧倒する数の弾道ミサイルで米航空戦力撃滅を狙うはずで、最低でも滑走路を使用不能にする、支援設備を破壊することで航空戦力を使えなくするだろう。

アンダーセン基地への爆撃機常駐を取りやめたのはB-1B爆撃隊を酷使しているのとは無関係のようだ。

アンダーセン空軍基地で巡航ミサイルを爆撃機に搭載することは楽な仕事ではない。同基地は拡張されてきたとはいえ、回転式爆弾倉への兵装搭載用の施設がなく、ミサイルは一本ずつ爆撃機へ搭載する必要がある。この作業に何時間もかかる。


USAF

南シナ海が加熱する中で、ペンタゴンが断続的な爆撃機派遣でメッセージを送ること自体に驚くべき要素はない。太平洋での爆撃機常駐体制は終了したが、世界でももっとも予測困難な地から戦略的に撤退したわけではないことがはっきりとわかる。■

この記事は以下を再構成したものです。



BY TYLER ROGOWAY MAY 10, 2020
THE WAR ZONE

ドイツ空軍がスーパーホーネットとタイフーンの同時採択に走った背景



愕の決定が欧州、米国双方の防衛産業に大きな影響を生む。ドイツがボーイングF/A-18Fスーパーホーネットとユーロファイター・タイフーン改良型を同時採用しパナヴィア・トーネード90機の後継機にする決定を下した。ドイツはユーロファイター90機、スーパーホーネット45機を調達する。

ドイツ国防相アネグレット・クランプ-カレンバウアーは2019年9月にトーネード後継機は「可及的且つ速やかに」必要で調達を急ぐと述べていたが、今回の決定が迅速に下ったことには驚かされる。ドイツには雇用喪失を恐れ、スーパーホーネット採用を阻止する労組の動きもあった

両型式の採用は妥協の産物だろう。ドイツはトーネードで任務としていたB61核爆弾運用をスーパーホーネットで早期に目指すはずで、(NATO共同運用だが)ドイツによる核兵器抑止力の維持のため後継機選定は待ったなしだった。スーパーホーネットには電子戦専用のEA-18グラウラーがあり、今回の契約では15機がこの型式となる。グラウラーはトーネードECR電子戦仕様機と交代する。

今回の受注は完全勝利とは言えないもののボーイングには朗報だ。同社は737 MAXの飛行停止とコロナウィルス後の受注減で苦境にある。またF/A-18E/FはフィンランドのHX選定でも有利になりそうだ。フィンランドの要求内容に将来も生産ラインが閉鎖されないことがあるためだ。米海軍向けの同機生産はF-35Cや艦載ステルス制空戦闘機への移行で減る予想だが、ドイツでの受注でF/A-18E/F生産ラインは維持できる。

両機種同時採択の決定から見えるのはユーロファイターの商品力の低さで、原因はちぐはぐな開発と資金投入が低調なことだろう。電子戦用仕様のユーロファイターは構想だけで実機生産とテストは未実施のままのため、グラウラーに対抗できなかった。ユーロファイターで装備統合の動きも鈍いことでも悪評があり、各国とも別個対応を迫られている

ただし、ユーロファイターを余分に発注したドイツは同機を捨てることができないのだろう。トーネード90機はユーロファイター(攻撃任務)とスーパーホーネット(攻撃、核攻撃、電子戦)各45機で十分で、今回発注のユーロファイターのうち45機は初期調達機材の更新用だ。ドイツのユーロファイターは旧型機を廃止しても30%増となる。合計135機の一括発注はドイツ空軍の戦力を大きく拡充することになる。■

この記事は以下を再構成したものです。



May 8, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: GermanyGerman Air ForceF/A-18 Super HornetMilitaryNATO




2020年5月11日月曜日

コロナウィルス後のPRC②(正)中国の目指す世界にさせないため西側が何をすべきか

武漢ウィルス後の世界は中国に厳しい態度をとる② (こちらが②の記事でした。おわびします)
「パンデミックが世界規模でひろがり、中国を野放しにすると破滅的な結果が生まれる実証になった。COVID-19にワクチンが必要なように、敵意を隠さず協調の意思を示さない中国共産党には予防薬が必要だ」

実的になろう。中国と西側世界の関係は変化しつつある。

以前は北京を利益を生む「小切手帳」と見る向きが多数だった。だがこれは少数派だ。中国との協調を重視する勢力でさえ困難な事態の到来を覚悟している。

中国共産党の支配下にある中国の影響力は西側社会の自由、繁栄、安全に脅威だ。米国、カナダ、欧州の協力があってこそ自由主義国家群は繁栄できる。

新冷戦時代に突入するとの見方も現実的ではない。我々は相互につながった世界、独立国家が24時間ビジネス展開する世界に生きているのであり、そこでは「自由の共通観念」として海や空の自由移動を権利として認めている。


打開策として大西洋をはさむ自由主義国家は団結して中国の役割、世界問題に中立の立場を取らないことだ。国民主権、人権、自由な企業活動を共通価値とする我々と違い、中国共産党は全て否定する。我々がこうした価値観を守らなければ、大切な世界を失う。

欧米の指導層は従来と同じ形で中国に対処すれば危険だと認識しつつある。では何をすべきか。

中国問題が全面に出てきた理由のひとつに武漢で発生したCOVID-19の大流行に中国共産党がとった驚くべき対応がある。中国政府は高い伝染性を承知しながら、自国民の海外渡航を制限しなかった。

さらに国際保健基準で定めた報告を遅らせ、ウィルスの生体標本を他国に提供せず、研究やワクチン開発をさせなかった。もっともこの逸脱は今回がはじめてではなく、中国には悪い見本の歴史がある。


世界規模のパンデミックが発生し、中国を野放しにすると大変な事態になると実証された。COVID-19にワクチンが必要なように、敵意を隠さず協調の意思がない中国共産党には予防薬が必要だ。行動を開始しよう。

NATOは中国の脅威を真剣に受け止める必要がある。中国の行動や国力はNATOの防衛能力を減少させかねない。

通信から産業制御まで、宇宙からサイバー空間まで、鉄道、橋梁、港湾まで中国は大西洋の両岸で足場を築いている。NATOが抑止力・防衛機能を発揮するために各インフラは必要だ。

中国によりスイッチを制御されたり悪意ある影響が出れば、NATO防衛体制が大きく損なわれる。NATOの抑止力維持に中国の干渉を許してはならず、外部脅威への自衛力を今後も維持する必要がある。

米国はグローバル大国であり、その権益・責任は世界規模にひろがる。その米国はインド太平洋で中国に対抗しつつ中東の安定化へも責務がある。米国が各方面で成功するためNATOに責任を果たしてもらいたい。特に欧州の安全を脅かす外部勢力への対応が必要だ。

NATOの最上位課題がロシアによる不安定工作への対抗なのは間違いない。その次に深刻な脅威が中東なのは欧州の平和安定に影響を与えるからだ。こうした現実脅威に対応すべくNATOは準備が必要だ。

強いNATOがあってこそ世界各地で中国に対応する余裕が米国に生まれる。

欧州の不安定化を狙う中国に対応すべく、EUが米国に不可欠な相手となる。


EUは中国の強奪的な振る舞いを制約してきた。特に貿易、金融、投資の各分野で顕著だ。

EUはアフリカでも米国と協力できる。アフリカは人権、経済、テロ活動、環境、公衆衛生と幅広い難題に直面し、統治機構と治安の不足が問題を悪化させている。

中国のアフリカ進出で問題は全て悪化している。中国は汚職を促進し、望ましくない貸付慣行を許し、誤った情報を拡散している。EUは米国とこうした課題の解決に加われるはずだ。

欧米の共同対応で国際機関の透明性、責任性を高めることができる。

中国共産党は積極的に自国民や関係者を各種国際機関に送り込み中国政府に従属する運営をめざしてきた。世界保健機関は氷山の一角にすぎない。この面での脅威に対応する協力相手が米国に必要だ。

中国問題への対処には強い欧米経済が不可欠だ。大西洋両岸の経済回復には相互の社会がからみあっている。

欧米の経済回復を共同作業とし、経済援助でなく投資活動と民間部門での共同事業を中心とすべきだ。

米国と欧州各国がここまでお互いを必要とする事態は今までなかった。大西洋両岸の指導層は世界で最重要な関係の強化を約束する支出を躊躇すべきではない。■

この記事は以下を再構成したものです。




F-3は第6世代戦闘機としてこんな機体になる。

本は国産設計で三菱F-3制空ステルス戦闘機の開発に乗り出した。

F-3の性能要求内容は2020年度予算に盛り込まれておらず、正式な開発は2021年に始まり、2030年に初飛行させる予定だ。

このためF-3がF-2戦闘機に交代するのは2030年代中ごろから末にかけてとなろう。

日本のテレビ番組で高推力XF 9-1ターボファンエンジン、アクティブ電子スキャンアレイレーダーがともにF-3用に開発中として2018年3月に紹介されていた。番組では開発費を5兆円と紹介していた。機体単価は200億円にのぼる。

ステルス戦闘機をめぐる日本政府の漂流

2016年に日本は技術面で大きな一歩となる高性能技術実証機(ATD)X-2心神を飛行させた。2007年に開発を始めたATDは3費用.5億ドルで、革新的なセラミックーシリコン複合材を機体に採用し、推力偏向式ターボファンでずば抜けた機体操縦性とスーパークルーズの実現をめざした。レーダー断面積は「コガネムシ」程度だったといわれる。

だがATDは技術実証機であり、量産用戦闘機の試作型ではなかった。日本政府は同機の開発を終了し、海外メーカーに情報開示を求めた。

F-22の機体にF-35の高性能エイビオニクスを搭載するロッキード・マーティンのハイブリッド案は政府に魅力的に写った。だが機体単価が215百万ドルになる予測が出た。ノースロップ・グラマン(YF-23「ブラック・ウィドウ」ステルス戦闘機を開発した)、BAe (テンペストステルス戦闘機を開発中)にも日本政府は接触した。

だがいずれも第5世代戦闘機に近く、日本がめざす第6世代機になりえなかった。

高度技術を応用する軍用航空産業では一回中断したり、技術者の退社、工場の閉鎖、技術の陳腐化が重なれば再開は困難となる。今、開発開始しないと日本は開発能力を失い、米国企業に大きく依存する体制を打破する望みが消える。

F-35対F-3

日本がF-35A、F-35Bライトニングの105機追加調達を発表し、F-3実現の道が絶たれたと感じたアナリストが多かった。また国内組立より米国から直接買い付けたほうが安価になるため一部機材は輸入に切り替えられた。

ただし、F-35はF-22のような制空戦闘機というより空対空性能もある攻撃機の性格が強い。

JASDFの主ミッションは防空だ。2018年にJASDFはロシア、中国の軍用機の接近に対応し戦闘機を一日三回発進させた。PLA空軍はJASDFに6対1の機材数優勢を誇る。最新鋭戦闘機のJ-11DやJ-20は日本の質的優位性を危うくする高性能機だ。

防空戦闘機で望ましい性能は長距離・長時間飛行、接近してくる機体が兵装を発射する前に交戦する高速飛行、視界内ドッグファイトで敵を上回る操縦性が必要だ。供用して40年のF-15JイーグルがこれらすべてでF-35を上回る。

とはいえF-35のステルス性能と強力なネットワークセンサーはF-15を上回る残存性が生む。日本はステルスと空対空戦の双方を実現する機体を求めている。

Jane’sが日本側にF-3に必要な性能で優先事項を尋ねると、「将来の航空優勢確立に必要な性能」をまず上げた。その他として、アップグレードの実施可能性、国産技術の応用、価格をとりあげた。

日本は海外輸出によるコスト削減を狙う可能性もある。軍事装備輸出は2014年に解禁ずみだ。ただし、日本製軍用ハードウェアは高価格のため成約が難しい。ステルス戦闘機は需要が高く、調達が困難になっており、輸出できたのはF-35のみだ。

F-3 はどんな機体になるのか

F-3は双発で機内兵装庫に6発を搭載する。外形スケッチが複数あるが実現の保証はない。

日本がF-3搭載を目指す技術に関する情報がある。

XF-9-1低バイパスターボファンエンジンのテストが2019年に始まった。IHIが開発した。報道では乾燥推力が11-12トン、アフターバーナー使用時は15-16.5トンだ。また1,800度の高熱に耐える。F-22のF119ターボファンではドライ推力13トン、アフターバーナー使用時は17.5トンだ。XF-9はF-119より0.5メートル短く30センチ細く空間を機内兵装搭載に使える。

防衛省は3次元推力偏向ノズルを研究中でエンジン推力を最大20度まで全方向に向ける。日本はレーダー断面積でF-3をF-22やSu-35を凌ぐ高機動戦闘機とし、ミサイルからの退避行動や視野内戦闘で高い操縦性を実現したいのだろう。

各XF-9エンジンに180キロワットとの並外れた発電容量があるので、指向性エナジー兵器のレーザーやマイクロウェーブ兵器を稼働し、敵の弾道ミサイルの回路部を焼き切るのだろう。

またF-3機体表面を「コンフォーマル」レーダーアンテナにするスマートスキンセンサーの複合材で、電磁ESMセンサーのテストもおこなっており、敵探知以外に無線周波数の発信を最小限にする自機防御技術の研究をしている。

コックピットではヘッドアップディスプレイを廃止しF-35と同様のヘルメット搭載ディスプレイとし、液晶画面を組み合わせる。マン-マシンインターフェースで人工知能も開発中で、データを最適化しパイロットの負担を軽減する。

日本は高速データリンクも研究も中で、標的情報を友軍機と共有する。数で優勢な敵への対応を念頭とし、中国のJ-20ステルス戦闘機や今後登場するH-20ステルス爆撃機へ対抗する。

X-2で実証済みでF-3に搭載される技術にEMPに強い光ファイバーによるフライ・バイ・ワイヤ、「自己修復機能型」フライトシステムで機体の損傷を自動修復する機能がある。

防衛省はロッキード、ボーイング、BAeといった海外企業に技術移転や支援をもとめ、事業の実現での負担を軽減したいとする。ただし、国内企業が主導権を握るのが条件だ。

だが、新技術の搭載、機体統合は容易ではない。またコスト目標を実現しながら連続生産するのも容易ではない。例えば米F-35では各技術の搭載統合が困難で、コスト上昇と遅延が何回にわたり発生した。新技術が同時開発中だったのも大きい。日本の技術陣はこうした課題を念頭に15年で開発を完了させる課題を展開することになる。■

この記事は以下を再構成したものです。
May 6, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanF-22F-3F-35MilitaryTechnologyStealth


2020年5月10日日曜日

コロナウィルス後のPRC② 中国の危険性を世界が認識するのが遅すぎた

中国の危険性、中国共産党の危険性への認識が世界が広まっている中、いまだにこの見方を否定する勢力が残っているのも事実です。また、すぐヘイトだ、人種差別だと騒ぎ立てる勢力があるのはいかがなものでしょうか。今回のウィルス騒動で中共が悪の根源なのは明らかです。世界は黙っていないでしょう。
国の目標は米国の国力を減退させるだけでなく、米国主導の国際秩序に代わり共産主義に基づくグローバル統治モデルの樹立にある。

外交政策は自国社会や国際政治のありかたといった観点に基礎を置くものだが、過去に縛られがちだ。▶歴史からの学びに意義はあるものの、条件が変化すれば過去は参考にならなくなる。▶冷戦期の米外交政策は共産主義を世界に拡散するソ連政府像に支配されていた。▶ソ連は米国と協調せず、競合相手であり、そのためソ連の封じ込めが必要だった。▶米国の政策決定層はこの方向を米国社会が完全支持すると見ていた。

だが冷戦の対立構造が終わると安全保障担当補佐官、国務長官を歴任したヘンリー・キッシンジャーのような戦略思考家でさえ共産中国を無害な相手と誤解し、米国にとって「責任感ある相手」とか戦略提携国とさえ見て、中国の発展を好意的に捉えていた。

中国は単なるライバルではない。強敵である。▶目指す目標は米国の弱体化だけではなく米国に代わり、また米国が作ってきた自由な国際秩序に代わり、共産党の価値観に根付くグローバル統治態勢を樹立することにある。

PRCのほうがソ連より危険だ。▶それは中国が予測困難でありながら強力だからだ。▶急速に伸長する国力とイデオロギーが合体した上に強硬な指導者習近平がある。▶習は極端な野望と自らの権力基盤の保全に偏執する人物だ。▶ソ連より予測が難しい敵が中国だ。 

米国との競争に疲弊したUSSRの過ちを中国が学習しているため、中国はソ連より強敵だ。▶中国は極度の適応力がある敵だ。適応力が優れているため、中国は敵というより協力国とみなされてきた。▶中国は協力国として重要視され、西側の経済エコシステムに組み入れられ、繁栄の享受を許されてきた。▶中国の急成長が可能となったのは自国の努力もあるが、米国の政府、産業界、金融市場、高等教育機関があったからだ。
.
米政府、産業界、知識層には今でも中国をパートナーととらえ、米中関係を「正常」状態に戻す期待が残っている。▶コロナウィルス後も米エリート層と中国実業界の密接な関係は変わりがなく、トランプが大統領の座から降りればすべて正常に戻ると考えているようだ。

だがそんな望みも中国が繰り広げる地球大プロパガンダ活動により砕かれている。中国は工作活動でソ連でも実現できなかった形で米国社会へ侵入し弱体化をはかり、機会をうかがっている。そのひとつがUsenetで、GPS情報を盗み、キャッシュを埋め込んでいる。

中国共産党の特徴をもとに中国の行動様式、戦略目標を見ると、今後中国の国力が弱体化する兆候は見えないが、経済面で力の源泉を遮断すれば変化が生じそうである。▶習近平の権力基盤を崩し退陣させればよい。

中国を変化が容易に発生する国と見るのは誤りだ。▶中国は国際機関に自国の価値観を持ち込んでおり、一帯一路も経済の外観をかぶっているだけだ。

米国は攻撃を受けたり大きな危機の発生後に、脅威が判明した場合に競合国家からの脅威に最も激しく反応する。▶ただし今回はこれが見当たらない。▶歴史を見れば真珠湾、チェコの蜂起、ベルリン危機後の米国の対応は十分なものであった。▶冷戦により高レベルの脅威が判明してもトルーマン政権の脅威対応は不十分で、ソ連の強権外交に対抗できなかった。それでも同政権が米国や同盟国のために戦略的な基盤を形作ったことは評価せねばならない。

中国との対決には脅威認識など過去を想起させる要素がある一方、米国社会の多数が中国を脅威と認めていないため、状況は冷戦時より悪いといえる。▶これは経済界のみならず安全保障分野でも見られる傾向で、米国の反応を鈍くさせる原因にもなっている。▶米政府関係者や経済界のトップに中国の脅威を過小視する傾向がある背景にはPRCによる精力的な工作活動がある。脅威と捉える傾向を最小限にさせながら必要な対応策へ集中できなくしている。▶こうした特殊な動きのため必要な対応が米国で遅れがちで危険を生んでいる。▶中国に効果を生む対応を開始する前にこちらは戦略面、道徳面で明瞭さを確立すべきだろう。■

この記事は以下を再構成したものです。


May 2, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaCoronavirusGreat Power CompetitionRise Of ChinaTrade War

Bradley A. Thayer is Professor of Political Science at the University of Texas San Antonio and is the co-author of How China Sees the World: Han-Centrism and the Balance of Power in International Politics. Lianchao Han is vice president of Citizen Power Initiatives for China. After the Tiananmen Square Massacre in 1989, Dr. Han was one of the founders of the Independent Federation of Chinese Students and Scholars. He worked in the U.S. Senate for 12 years, as legislative counsel and policy director for three Senators. @thayerhan1.


This article by Bradley A. Thayer and Lianchao Han first appeared in Real Clear Defense on April 30, 2020.

自衛隊がUFO対応方針を定めると中国が恐れる事態が生まれる理由とは



国防総省がUFO映像三点を機密解除し、各界が反応したが、日本の反応に最も驚かされた。河野太郎防衛相は4月28日記者会見で自衛隊(JSDF)にUFO遭遇時の対処方針がないため、今回の情報開示を受け準備すると述べた。

河野は自衛隊パイロットにUFO遭遇事件は発生していないと前置きしたが、実に妙な発言だ。各国の軍パイロットでUFO目撃はごく普通のことで、自衛隊の活動ぶりからすれば任務中あるいは訓練中に遭遇事案が発生していておかしくない。大臣発言をめぐり、日本国内のUFO研究団体は自衛隊パイロットが目撃を報告しても上官が取り合わないとコメントしている。

大臣から米国がUFO映像を公開した意図と背景を聴取したいとの発言もあった。DoD公式発表では映像公開は情報隠蔽の疑いを晴らし、同時に米極秘装備の映像と無関係と判明したためとある。ただし、映像公開にあたり追加説明がごくわずかなのは飛行物体の正体が依然不明であるためだ。河野大臣発言は自衛隊による対応方針を定めるにあたり追加情報を米国に要請しているのだろう。

自衛隊が対応方針整備を急ぐ背景に差し迫った理由がある。中国が新型装備の開発をすすめており、自衛隊機が遭遇する可能性が増えてきた。UFO映像撮影の標準手順が決まれば、これを使い中国機の情報収集もはかどる。また情報整理を迅速に行えれば、未確認飛行物体の正体も判明しやすくなる。

最新技術によるUFO映像の撮影と解析ははるかに向上している。このため映像が処理分析できる可能性が高くなった。これまでのUFO記録は手持ちカメラによる撮影やパイロット目撃談が多かった。最近の機体には手振れ補正の高性能カメラが標的捕捉ポッドにつき、視認映像、熱感知赤外線、通常の赤外線映像で記録可能だ。このポッドで追尾しつつレーザー距離計でUFOの正確な飛行形態が把握できる。今回公開のDoD映像もこうした装備で撮影されている。自衛隊では標的捕捉ポッドは米軍並みに使われていないが、十分な数のポッドが調達されている。


そうなると自衛隊がUFO対処方針を整備すれば有益な効果が生まれそうだ。センサー技術の進歩でUFO映像も正しく分析処理できるようになっており、情報の価値が生まれる。今回の決定は遅きに失したかもしれないが、河野大臣は今回の映像開示を利用し一気に情報収集活動を強化し、自衛隊の動きを明かにする効果を生んだ。■

この記事は以下を再構成したものです。


May 9, 2020  Topic: Security  Blog Brand: Techland  Tags: JapanUFOAliens

Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.