2020年5月30日土曜日

地磁気減少と国家安全保障の関係:地球環境に大きな変化が起こる前兆か

大西洋上の問題だからと安閑としていられません。この惑星上の生命を守っているのは放射線から守るシールドがあってこそで、地磁気の減少でこのシールドが弱まれば、まずガンの発症が増えたり、地震が増えるでしょう。あるいは磁極逆転になるのか。人類の存続があやうくなるのでは

大西洋上空に地磁気が弱い箇所があり、ここ50年で規模を拡大しながら年間12マイル西に移動している。

南大西洋上空異常現象と呼ばれ、地球を守る磁場が消えれば、危険な太陽放射線にさらされる危険事態が発生しかねない。▶欧州宇宙局ESAは異常現象がここ5年で二方向に分離したと報告。一つがアフリカ南西の洋上で、もうひとつは南アメリカ方面だ。▶「南大西洋上空異常現象の東側部分は10年前に登場し、最近は大きく発達している」とドイツ地球科学研究所が指摘している。▶地磁気全体は200年でおよそ9%減少しているとESAはまとめている。▶異常現象が二分化した理由は科学陣でも解明していない。地球内部の核の動きとの関係の解明が急務という。

磁場の衰弱は衛星や宇宙機にも影響を与える。▶太陽光中の高電荷粒子が増えれば地球を守るシールドを通過しやすくなる。▶低地球軌道上の宇宙機や衛星が粒子を浴びればハードウェアの損傷や故障発生につながる。また内部の電子装備の機能が低下し、重要なデータ収集機能が遮断されたりコンピュータ部品の劣化が進む原因となる。

さらに国際宇宙ステーションの問題がある。2018年度の研究報告によれば異常現象部分を通過するとステーション内部の人員は「強度の放射線に数分間被爆する」とある。

地球の磁場は地表1800マイル下にある外核の流体状の鉄の渦巻移動が生んでいる。▶変化を正確に観測するためESAはSwarm衛星3機を利用している。■

この記事は以下を再構成したものです。
May 29, 2020  Topic: Space  Region: Space  Blog Brand: Techland  Tags: SatellitesSpaceSpace ForceMagnetic FieldEarthOrbit



Ethen Kim Lieser is a Science and Tech Editor who has held posts at Google, The Korea Herald, Lincoln Journal Star, AsianWeek and Arirang TV. He currently resides in Minneapolis.

2020年5月28日木曜日

パンデミック後のPRC⑥ 科学技術振興で反撃に出る米国

 

(Mark Schiefelbein/AP)



見対立があたりまえの米議会も中国への怒りで団結している。

米議会は1,000億ドルを全米科学財団に投じ人工知能、量子コンピュータ、高度通信技術、ロボット工学他の研究を促進させる。超党派提案で上院の民主党議員トップが仕切っている。
上院の民主党院内総務チャック・シューマー議員がまとめた無限のフロンティア法案では全米科学財団を全米科学技術財団に改名し、「DARPA並みの権限」を有する技術局を創設し研究開発契約を交付させる。5年間で1,000億ドルを投じる。
普段は分断ばかり目立つ議会だが、中国への怒りでひとつにまとまってきた。下院は水曜日にイスラム少数民族の人権抑圧に対し中国関係者を制裁する法案を、上院は香港で取締りを強める中国への懲罰を検討した。
シューマー法案にはトッド・ヤング(共、インディアナ)も共同発起人だ。下院版は下院軍事委員会メンバーのロー・ハナ(民、カリフォーニア)、マイク・ギャラガー(共、ウィスコンシン)両議員の共同提案。
「歴史的低金利の時代に官民連携で科学技術の大幅な進歩をめざし連邦政府に研究開発事業をさせる」と上記4名の議員はUSA Todayに意見表明している。
「わが国が回復に向かう中、中国が力をつけてきたのを意識すべきだ。強権的政治思想の中国指導部はこの機会を捉え米国を追い抜こうと技術革新へ支出を増やしており、米国民の将来の安全繁栄が脅かされかねない」
法案内容のまとめを見ると、提案にある技術局は以下の技術分野に重点的に資金を回す。
  • 人工知能と機械学習
  • 高性能コンピュータ処理、半導体、高性能コンピュータハードウェア
  • 量子コンピュータ、情報システム
  • ロボット工学、自動化、高性能製造技術
  • 自然環境災害の予防
  • 高性能通信技術
  • バイオテクノロジー、合成バイオロジー
  • 高度エナジー技術
  • サイバーセキュリティ、データ保存管理技術
  • 素材工学、その他重要分野に関連が深い工学や採掘技術
法案では100億ドルで国内少なくとも10箇所の技術ハブを選定し「中核技術の研究開発・製造のグローバルセンター」にするとある。
シューマー議員は原案を昨年11月に提示し、中国を意識した技術の「壮大なる挑戦」としてドナルド・トランプ大統領や上院多数派院内総務ミッチ・マッコンネル(共、ケンタッキー)の支持を得ていたものの、「全面的支援」ではなかったという。
議員スタッフによれば法案提案では2021年度国防認可法(NDAA)に同じ内容を盛り込ませようとしている。上院では6月初めに原案を準備する予定になっている。
シューマーは中国に厳しい態度で臨むトム・コットン上院議員ほか上院軍事委員会メンバーと国防認可法にフェンタニル制裁法を盛り込むことに成功した。同法のねらいは中国含む外国がフェンタニル等合成麻薬を蔓延させた際への対抗にある。
同法案が上程された2019年4月に上院版のNDAA法案もあり、ともに一ヶ月後に通過している。2020年度版NDAAは2019年12月に可決しているがやはりこの内容が盛り込まれていた。
同法案にはハンディキャップがいくつもつく。まず7,000億ドルというNDAA法案の値札を見れば進歩派民主党議員も保守派共和党議員同様に意気消沈するはずと議会スタッフのひとりは述べている。一方でCOVID-19関連対策を見れば議会も大盤振る舞いを許す姿勢を示している。
「現時点で1兆から3兆ドルを口にしており、1,000億ドルなど大金ではない」と同上議会スタッフは述べているのだが。■

この記事は以下を再構成したものです。

By: Joe Gould 

2020年5月24日日曜日

中国を制圧する海軍力のカギは各国が運用するF-35B空母だ


 この記事は日本含む「連合国」の視点ですが、見方を変えると包囲され封鎖される中国にとっては不安で仕方ないでしょうね。F-35Bを各国が供用すれば大きな効果が生まれそうですね。日本についてはいずも級で知見を積んで更に大型艦の建造に進むのか、注目です。

F-35Bは短距離離陸垂直着陸(STOVL) 性能を有する第5世代共用打撃戦闘機(JSF)だ。B型はF-35AやC型と異なり、リフトファンと推力偏向エンジンで短い滑走路で離陸し、垂直着陸できる。このため小型空母や強襲揚陸艦でも運用できる。

JSFは大量配備の第5世代戦闘機として世界唯一の存在だ。第5世代機は敵機を先に探知しながら敵に探知されない点で従来型機材と一線を画し、大幅な戦力増強が期待できる。敵を目隠しして戦うようなものだ。

第5世代機の戦力と柔軟性を組み合わせ連合国側の航空戦力運用艦船数は三倍となる。ここから中国への海軍戦力の優位性が生まれる。F-35Bは当初AV-8Bハリヤー後継機として近接航空支援用と見られていたが、同機の性能は底にとどまらず、航空、海洋両面で優勢確保に投入してこそ真価を発揮できる。

ステルス性能、長距離センサー性能に加えレイセオンのAIM-120 AMRAAM空対空ミサイルを機内搭載し世界最高の制空戦闘機となる。ただし、F-22には劣る。共用打撃ミサイル(JSM)、ロッキードの長距離対艦ミサイル(LRASM)がF-35Bに長距離対水上艦、対地攻撃能力を付与する。JSMは機内兵装庫に搭載可能でステルスを犠牲にしない。

AN/APG 81は戦闘機搭載レーダーとして最高性能で、電子スキャンアレイで海上捜索から空中での敵機捜索まで各種用途に使える。ソフトウェアの継続改良で能力拡張する。高高度でF-35のセンサーは水平線超え探知が可能で、水上艦を上回る探知距離が実現する。長距離攻撃手段と長距離を見通す目が組み合わされF-35Bは敵より先に探知し撃破できる。

米国の原子力空母ニミッツ級10隻はカタパルト発進と拘束ワイヤー着艦対応のF-35Cを運用する。各艦は圧倒的戦力を有する。ただし原子力空母部隊の整備には巨額予算が必要で、米国以外の各国では実現が困難だ。この敷居をF-35Bが下げ第5世代機の艦艇搭載を実現できる。

米海軍にも通常型の強襲揚陸艦9隻があり、STOVL戦闘機運用が可能だ。原子力空母の半分の大きさしかなく、航空戦に特化していないが、各艦で米海軍戦力を大幅増強できる。F-35Bは2015年に初期作戦能力を獲得し、米海軍は第5世代機運用空母が10隻から19隻へ倍増できることを理解できた。

各国の合計11隻の海軍艦艇で第5世代戦闘機運用が可能となる。下にSTOVL運用艦のリストを示す。

  • 日本* 2
  • イタリア* 1 (さらに建造中1)
  • スペイン 1
  • オーストラリア** 2
  • 韓国 1(さらに海上公試中1)

* F-35B引き渡しが始まっている、あるいは発注中
** F-35B運用に艦艇改修が必要

F-35B運用艦の実現は困難でなく、シンガポールでさえ導入を検討中だ。同国はF-35B十数機の導入を発表し、STOVL空母の国内建造もしたいとする。人口五百万の都市国家でも実施可能ということは同機導入で戦力整備の様相が一変することを意味する。

ここには中国が発足させたばかりの空母部隊が影響を与えている。中国は中型空母二隻を運用するが、発艦方式、機関ともに最低水準だ。

米国の大型空母と違い、中国空母にはカタパルトがない。第4世代のJ-15艦載戦闘機は短距離離陸性能がなく、アフターバーナーをフル稼働させランプから離陸する。このためペイロードと航続距離が制約され、F-35Bの戦闘半径より相当短い距離しか対応できない。中国空母は複雑かつ面倒で低効率の石油燃焼ボイラーを使うため航続距離に制限がつきながら、人員多数を投入する非効率な運用となっている。こうして中国艦は低性能なのに高価格の空母になっている。これでは連合国側の第5世代機運用艦隊に対抗すべくもない。中国が連合国側の空母搭載機に対峙すれば、機体の作戦距離、速力、センサー性能で一方的な戦いになるだろう。

また連合国側のSTOVL運用艦の新鋭推進方式は長期間稼働しながら整備や大修理は最小で収まる。中国艦は連合国側の3割4割の稼働しかできない。この差により米国や同盟国側は中国経済の存続を否定する戦力を今後も維持できる。

中国経済にはペルシア湾からのエナジー、アフリカの資源、欧州米国の輸出市場が不可欠だ。とくにペルシア湾のエナジーがなければ中国経済は数週間で崩壊する。有事の海上輸送を確保するため、中国海軍は西太平洋、インド洋双方で支配権の確立が必要だ。この任務達成はかなり困難で、連合国艦艇の一部が出動するだけで不可能になりかねない。

ヨーロッパ艦艇5隻がインド洋にローテーション配備され、ディエゴ・ガルシアやペルシア湾の基地が支援すれば、創設から日が浅い中国外洋部隊に手に余る存在となる。ヨーロッパ各国が艦艇派遣しなくてもニミッツ級空母打撃群単独で同じ効果を生む。他方で東アジア4カ国のF-35B運用艦が東シナ海への侵入経路を封鎖すれば中国で最重要の海上交通路が打撃を受ける。さらにオーストラリアの二艦でマラッカ海峡の海上交通を遮断する。こうした作戦は南シナ海や中国の沿海部に進入せず中国の戦術機の挑戦を受けずに達成できる。

各国SVOTL艦艇の2割だけ出動しても中国海軍へ対応は可能で、太平洋から紅海に至る中国海運を寸断すれば同国経済は崩壊する。

F-35開発テストの進捗がなかなか完了しないことで複雑な機構のSTOVL型機にこれだけの時間と費用をかける価値があるのか疑う向きもある。ただし、同機でしか得られない効果を考えると連合国側のSTOVL運用艦で10機といわず30機あるいはそれ以上を搭載すれば真価を実証するはずだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

May 23, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: ChinaJetsF-35Xi JinpingNavy


Merrick "Mac" Carey is a former senior Capitol Hill aide who is now CEO of the Lexington Institute, a public policy think tank in Arlington, Virginia.

パンデミック後のPRC⑤ 中国は超大国の座につく試験に不合格

日本国内では緊急事態宣言の解除、営業自粛の撤廃など身近な問題に議論の焦点があるようですが、全く異なる地図になった世界情勢には関心を払う余裕がないようです。こういう事態だからこそ余裕ある向きには未来を設計する能力を発揮してもらいたいものです。

世紀にわたり驚異的成長を達成してきた中国は超大国へあと一歩に近づいていたが、コロナウィルスの犠牲になったようだ。パンデミックは中国に責任ある超大国の姿を示す絶好の機会のはずだったが、目論見は未達成に終わった。
世界がコロナウィルス危機発生前より強い敵意を示すのに中国は気づいている。原因の多くは中国自身にあり、対策の誤りや初期段階で情報を抑制し、他国に責任転嫁し、影響力を誇示するような稚拙な対応も一因だ。▶昨年12月初旬にウィルスは把握されていたようだが、中国官憲は新型ウィルスを話題にした医師団を処分し、標本は破棄させた。▶発症の中心地武漢に厳しい移動制限を課した時点で百万単位の住民がすでに移動していた。

中国は全面的プロパガンダ工作を開始し、自らの過ちを隠し無責任対応から目をそらせるべく、米国が発信元だと世界に告げてしまった。▶世界は中国が無実と信じず、逆に米国は対応を硬化し中国は敵対勢力だとの確信を深めた。中国の大失態やその後のプロパガンダ工作は米国でもまれな超党派合意を生んだ。▶共和民主両党は中国には強硬な態度で臨むしかないと理解し、中国当局は信頼できず、パンデミックは中国に責任があると共通認識に至った。ハード、ソフト両面で大幅な余力がある米国は独裁的な敵勢力に極めて危険な存在だ。


米国外に目を転じると、中国は自国イメージ改善を試みたものの失敗している。ヨーロッパでは中国提供の医療物資で不良品が多数見つかった。オランダはマスク数十万点を受取り拒否した。スペインも検査キットで不良品が相次ぎ返品している。

中国人主人公が米国傭兵を撃破する人気映画にあやかり中国の積極的外交姿勢は「戦狼」と呼ばれるが、対外関係で裏目に出ている。オーストラリアがウィルスの発生原因を尋ねたところ、中国国営メディアはオーストラリアは「中国という靴の底に張り付いたガム」と表現した。オーストラリアが中国との通商関係を悪化させようとしており、「オーストラリア産ワインやビーフはもういらない」とまで駐オーストラリア中国大使に発言させた。これでは戦狼というよりマフィア流の外交ではないか。

中国は米国と親密な協力国の怒りを買ってしまった。ドイツ紙ビルドが中国に賠償金数百億ドルを求め、ベルリンの中国大使館はドイツ国民から白い目で見られる存在になっている。フランスでは中国外交官が同国では介護施設で高齢者を意図的に死亡させていると批判しフランス当局が譴責処分を与えた。

中国国内で外国排斥の動きが高まりアフリカ諸国との関係で悪影響が出ている。広州でパンデミック最中にアフリカ国民排除の声が高まった。アフリカ各国の関係者が警戒の声を上げている。

外交面では中国は世界の大勢と反する動きで悪い結果を生んできた。中国最大の情報機関で習近平の直轄機関といわれる国家保安省とつながる中国シンクタンクの報告書では反中国感情は1989年の天安門事件並のまで高まっていると指摘している。

トラブルは外交面にとどまらない。経済は50年で初の縮小となり、2020年第1四半期は6.8%減少に終わった。小売販売と工業出荷はともに大きく前年比で縮小し、失業率が上昇中だ。経済刺激策があっても今年の経済成長はよくて低調といったところだろう。

低成長が政治安定性に悪影響を及ぼす可能性がある。中国共産党の統治モデルは経済拡大と生活水準の安定的向上で正当性を維持することにある。経済悪化で国内不満が高まれば、兵力投射も成約を受けかねない。

パンデミックが数ヶ月経過する中で、中国は自国のソフトパワーが減退し、経済が悪化しながら世界が非友好的になってきたのを自覚している。端的に言えば、中国は指導的立場につく試験に不合格となり、超大国の地位を目指す動きも頓挫したのである。

外交では不合格となったが次の課題は中国経済の回復が米国・米国の同盟国より先行し、世界経済を牽引できる強さを示せるかだ。だが世界経済の回復を牽引するため海外で指導力の発揮が必要だが、中国は準備不足を露呈している。■

この記事は以下を再構成したものです。

May 23, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: CoronavirusChinaEconomic GrowthPandemic

Jeffrey Cimmino is a program assistant in the Global Strategy Initiative in the Scowcroft Center for Strategy and Security at the Atlantic Council. His writing has appeared in the National Interest, National Review, the Washington Free Beacon, the Washington Examiner, Spectator USA, and other publications.
Image: Reuters.

2020年5月23日土曜日

米海軍が水上艦レーザーでUAV撃墜に成功

USN CAPTURE
ンアントニオ級揚陸艦USSポートランドが新型指向性エナジー兵器で小型無人機の撃墜に成功した。
米太平洋艦隊がレーザー兵器システム実証装置(LWSD) Mk2MoD0のテスト結果を5月22日に発表した。テストは5月16日に太平洋上の非公表地点で実施された。海軍は「システムレベルでの高出力半導体レーザー試射として初」としているが、同艦からレーザー発射が以前あったかは明らかにしていない。
「ポートランドでテスト運用した半導体レーザー兵器システム実証装置は今後の兵装システムに新しい道を開いた」とポートランド艦長キャリー・サンダース大佐が声明文を発表。「UAVを対象に半導体レーザー兵器システム実証装置を海上で作動させ貴重な情報が得られた」
SUNDIEGOLIVE.COM CAPTURE
USSポートランドに搭載されたレーザー兵器


LWSD Mk 2 Modはノースロップ・グラマンが開発し、半導体レーザー技術成熟化(SSL-TM)の一環で2019年末にサンディゴでポートランドに搭載された。
USN
USSポートランドがLWSD Mk 2 Mod 0を作動させた。2020年5月16日


LWSD Mk 2 Modの出力は150キロワットで無人機や小型舟艇多数の襲撃への防御手段となる。レーザーは同時に光学センサーやシーカーを無効にできる。フルモーションビデオカメラも搭載すれば標的の追尾と照準合わせ以外に監視にも使える。
海軍が開発中のレーザー装備にはSSL-TMも含み4種類の装備があり、今後高性能レーザー兵器の実現への踏石となる。アーレイ・バーク級駆逐艦USSデューイも海軍用光学眩惑攻撃装置(ODIN)と思われる装備が搭載している。
USN

米海軍は以前から作戦級レーザー兵器を艦艇に搭載している。USSポンスがAN/SEQ-3レーザー兵器システム(LaWS) を搭載し、2014年から2017年まで中東に展開した。ノースロップ・グラマンがLaWSおよび海上レーザー実証装置(MLD)を開発した。ともにLWSD Mk 2 Mod0(150キロワット)の開発に有益な情報を提供した。MLDは15キロワット級、AN/SEQ-3が30キロワット級だったので今回は大幅に出力増となった。
「新しい装備の性能向上により水上戦の様相が一変する」とポートランド艦長サンダース大佐が述べている。今回の成功で海軍のめざす指向性エナジー兵器開発の大胆な目標に一歩近づいた。■
この記事は以下を再構成したものです。

The Amphibious Warship USS Portland Has Shot Down A Drone With Its New High-Power Laser


2020年5月20日水曜日

中国の新型ステルス爆撃機H-20はいつ公表になるのか




テルス爆撃機の目標はレーダーに姿を見られないことだが、中国軍は次世代爆撃機の公表時期を念入りに検討しているといわれる。同機の登場を心待ちにしてきた軍事筋も今年11月まで待たされそうだ。

西安H-20の実機公開は今年の珠海航空ショーになりそうだ。ただしそれまでにコロナウィルスが制圧されるのが条件だ。今年秋に再度ウィルスが猛威をふるっていれば、公開は延期されるだろう。

「珠海航空ショーは中国の大国ぶりと疾病制御を顕示する場になる。外部世界に中国の防衛産業の健在ぶりを示すはずだ」と匿名筋がサウスチャイナ・モーニング・ポストに述べていた。

ハリウッド映画そっくりの手法で同機の一部が2019年の人民解放軍空軍の創立70周年パレードにあらわれていた。

今年の航空ショーで実機が登場すれば、その攻撃範囲に収まる各国、つまり日本、南朝鮮、オーストラリア、さらにグアムで緊張が高まるはずだ。

米国防総省(DoD)の予想は同機の航続距離は5,300マイル、亜音速飛行で極超音速ミサイル4発を搭載とある。
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ICBM、潜水艦発射ミサイルとならび中国に「核三本柱」の一部となる。米国は常時抑止効果を実現しているが、中国もこのレベルに到達すれば域内の構図が変化するのは確実だろう。

毎年恒例の議会向け報告書でDoDは中国が三本柱の実現に近づいていると指摘していた。

「中国指導部は同機の公表で域内バランスが変化するか慎重に検討中で、特にCovid-19パンデミックで緊張が高まっている域内情勢を考慮している」と別の匿名筋がサウスチャイナ・モーニング・ポストに語っている。

ただし、上記議会向け報告書は機材や兵装があるだけでは核の三本柱は成立しないと指摘している。

「正しく機能させるためには訓練ほか多数の作業が必要だ」とインド太平洋地区の安全保障担当国防次官補ランドール・シュライバーが述べている。中国軍は「その方向に進んでおり、実用に耐える装備を三分野で整備中だ」という。

西安H-20が三本柱の一つになるのは確実としても、期待される性能の実現まで時間がかかりそうだ。エンジン問題のため速力は設計想定を達成できない。とはいえ、H-20が米F-35共用打撃戦闘機への対応手段となる可能性がある。米国と同盟国が次世代戦闘機多数を域内に配備すれば、中国としてもH-20の配備を急ぐ必要を感じるはずだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

May 5, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: H-20 BomberH-20Xian H-20MilitaryDefenseTechnology