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カンボジアでの中国開発は軍事基地建設が真の狙いではないか

ASEANは結束力も弱く、中国としては自国にたなびくカンボジア、ラオスあたりを借金漬けにして言うことを聞かせたいのでしょう。南シナ海は軍事化しないなどと平気で嘘を言える国ですから信用できませんが、本当にカンボジアに軍事拠点ができれば、大変なことになります。本当に中国はいろいろお騒がせなことをしてくれますね。


Is Cambodia’s Koh Kong project for Chinese tourists – or China’s military? カンボジア・コッコン開発は中国旅行者向け事業か中国の軍事利用が目的なのか

  • 中国企業Union Development Groupによる開発は順調なようだ
  • 滑走路が異常に長い空港、港湾浚渫工事を見ると中国の軍事拠点づくりではないかと疑う向きがある


Published: 7:03am, 5 Mar, 2019


A satellite image of the suspiciously long runway at the airport in Koh Kong. Photo: Handout
衛星画像に現れたコッコンの怪しい大型滑走路。Photo: Handout


国が海外で大金を気前良く使う自国旅行客向けに海外観光地の開発に関心を示すのは極めて普通のことで、カンボジア沿岸にカジノ、ゴルフ場、豪華リゾートの開発が進んでいる。


カンボジアはコッコン地方の一等地および全海岸線の2割に相当する部分で中国企業Union Development Group(UDG)に観光業のメッカの建設を許可し、賃貸料は年間百万ドルと破格の条件だ。


これは表向きの説明だ。今回の条件があまりにも虫がよく、中国には別の思惑があるのではないかとの見方が出ている。中国は軍事利用をねらっているのではないか。


こうした見方が広がってきたのは欧州宇宙機関が配信した衛星画像で建設中の滑走路が民間機向けに不要なほど長いと判明したためだ。


カンボジア側は大深度港湾開発は中国の軍事利用の意図と無関係と繰り返し説明しているが、滑走路が浮上して軍民両用の狙いがあるのではとの疑いが強まっている。


「滑走路は3,400メートルでプノンペン国際空港より長く、中国空軍の機材全部が運用可能」と戦略国際研究所のアジア海洋透明性確保事業の責任者グレゴリー・ポーリングが述べている。


「純然たる民間用ならこんなに場所に建設するのは妙だ。近くにあるのはコッコンカジノ・リゾートだけだ」(ポーリング) コッコンの建設工事はここ数ヶ月止まったままとの報道がある。


事業が軍事用途なのかについてポーリングは「火は見えないが煙はたくさん出ている」としつつ「東南アジアで中国の軍事力展開を受け入れる国がはカンボジアだ」と述べた。


Sceptical: US Vice-President Mike Pence is concerned the Koh Kong project has a military use. Photo: AFP
米副大統領マイク・ペンスはコッコン事業に軍事利用の狙いがあると疑う Photo: AFP


衛星画像から滑走路建設が見えるが、マイク・ペンス副大統領がカンボジア首相フン・センに軍事転用への懸念を伝える書簡が昨年11月に送っている。


滑走路はその後ほぼ完成しており、連邦航空局がボーイング787-900に推奨する2,800メートルを大幅に超えている。


UDGは民間企業とはいえ、事業は政府肝いりとの疑いが持たれている。元副首相で一帯一路構想を推進する张高丽Zhang Gaoliが同事業を初期段階から支援し、同社とカンボジア政府の合意形成を取り仕切っていた。また現地には中国共産党関係者が繰り返し視察しており、政治協商会議副議長王钦敏Wang Qinmin もその一人だ。


民間事業だが実態には疑念が強い。西側軍事専門家のひとりは「UDGは対象地区の商業価値について一貫した見方がないようだ。おそらく軍用も視野に入れている」と述べる。


カンボジア国防省報道官Chum Socheatに連絡を試みたが接触できず同国政府報道官Phay Siphanはカンボジア政府の監督の有無について「わからない」と答えた。


だがNaresuan大学の研究員ポール・チェンバースはフン・センが中国に海軍基地設置を認めようとしているとカンボジア政府高官がこっそり話してくれたと本誌に述べている。


チェンバースはコッコン事業を中国がラオス、スリランカで進める事業になぞらえた。スリランカは Hambantota港の使用権を中国に99年有効で貸与している。これは同国が同港湾建設で中国の貸付に返済不能となったためだ。


Controversial: the Chinese controlled port in Hambantota, Sri Lanka. Photo: AFP
スリランカのハムバントタ港は中国の支配におちた. Photo: AFP

「スリランカは中国依存度を高めすぎたあまり港湾を中国に手渡すはめになった。同じことがカンボジアでも起こりうる」(チェンバース)


カンボジアへの経済援助で2016年の中国は36パーセントを占め、海外投資では30パーセントだった。昨年に中国は5.58億ドル追加しコメ40万トンを輸入すると約束した。EUや米国が人権問題からカンボジアへ制裁措置を取る中、カンボジアは中国依存をさらに高めそうだ。


UDGの事業用地はカンボジアに契約終了の2108年に返還されるが、中国が恒久的所有権を主張すると見る向きもある。


スティムソンセンターの中国研究部門長Yun SunはUDG港湾施設には「軍事転用の余地がある」とし、「中国がジブチ、スリランカ、パキスタン、ビルマで行ってきた軍民両用型開発のパターンそのものだ」という。
.
中国をめぐり紛糾は避けられない。


コッコン開発プロジェクトの場所は戦略的な位置にあり領土問題やマラッカ海峡経由のエネルギー輸入といった微妙な問題につながる南シナ海とちかく、台湾も無関係ではない。


港湾施設はタイで構想がある運河をはさみ、中国はマラッカ海峡を通らずにエネルギー資源の輸入が可能となる。さらに軍事基地として中国は南シナ海ににらみを効かせる。


Chinese Premier Li Keqiang hosts Cambodian Prime Minister Hun Sen at the Great Hall of the People in Beijing. Photo: AFP
中国首相李克強がカンボジア首相フン・センの北京訪問を人民大会堂で迎えた。 Photo: AFP


前出チェンバースはカンボジアが中国と軍事的つながりを強化しており、中国軍艦の寄港、両国部隊の軍事演習が増えているのは中国がカンボジアに軍事面で関心を見せている証拠だとする。


フン・センは軍事基地設置は同国憲法違反と発言していたが、チェンバースは中国に法治主義はあてはまらないという。


土地使用権の付与は法的に疑わしい。書類上の面積より三倍も大きく、しかも国立公園内にある。前述のSunは「フン・センは憲法違反を無理やり合憲といいくるめるのでは」


ジブチで中国が利用した抜け穴がある。コッコンには軍事基地はないと否定しながらフン・センに外国軍隊は国連ミッション除き置けないという。ジブチの中国基地は海賊対策のUN活動支援用という説明だが、UNは同基地に干渉できず、中国は自由に同基地を利用している。


チェンバースは中国からの投資や援助の増加でフン・センが「中国の路線に傾いている」と警句している。


「米国等が神経質になるのはカンボジア政府が意図的かつ無邪気に中国依存をどんどん強めており、気がつくとカンボジアが東南アジアで中国の軍事経済両面の中心地になることだ」(チェンバース)


このパターンだと軍事基地化が次の段階なのは明らか、とチェンバースは言い、実現すれば米中の地政学面の対立を激化させるという。


チェンバースによればカンボジア政府関係者は大部分がフン・センの中国服従路線を喜んで受け入れ利益を得ようとしており、反対勢力に流れを止める力はないという。■

コメント

  1. こうした国外の中国の進出も注意が必要ですが、日本国内の中国の侵入も要注意です。既に少なくない土地を買収しているようですし、様々な制限をかけないと、後々厄介なことになるでしょう。

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  2. ぼたんのちから2019年3月22日 10:48

    本記事のコッコン開発は、中国の「一帯一路」政策の一環であり、将来、マレー半島の最狭部クラ地峡に運河を作り、その場合のインドシナ半島の入出荷港・地を作ろうとするものだ。また、中国雲南からラオス、カンボジアを通る陸路の終着点を作ることでもある。
    この開発プロジェクトは、最近持ち上がったことでなく、10年以上前から計画されており、今までその危険性を認識してこなかったものだ。
    「一帯一路」政策は、表面は経済政策であるが、裏面は軍事戦略であることは、皆様ご存知にことと思う。
    コッコンは将来の運河の南シナ海側の防衛拠点となる。また、中国の南シナ海支配の西側の補強拠点となり、空港に軍用機を配置するとベトナム、南シナ海西側を睨むことになる。コッコンが巨大基地化するとベトナムは身動きが取れないだろう。
    中国によるカンボジア支配、コッコンの基地化を防ぐ手段は、今のところ見当たらない。
    カンボジアは、かつて毛主義者のポル・ポト派が国民を虐殺・減員し、中国の紅衛兵を迎え入れようとしたが、今度は隠れ毛主義者の政権下の中国からCCP・PLAを迎え入れようとしているのかもしれない。

    返信削除

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