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GMが米国務省に装甲SUVサバーバンを10年間生産する契約交付を受けた----国務省の装甲車両は5千両近くが各地で運用中。日本は?

 

このブログで自動車の話題を扱うのは珍しいのですが、気分転換に掲載することにします。The War Zoneの記事からです。


Front 3/4 view of GM Defense’s Heavy-Duty Sport Utility VehicleGM Defense

VIP保護用に強化されたサバーバンをGMディフェンスが10年間にわたり国務省に納入する

ェネラルモーターズの子会社GMディフェンスは、国務省(DoS)からヘビーデューティ仕様のシボレー・サバーバンの本格生産契約を受注した。危険な海外での要人輸送や、米国内での機密性の高い移動に国務省の外交安全保障局(DSS)が、使用する。

同社は11月30日、DoSから10年間のIDIQ(Indefinite Delivery Indefinite Quantity)生産契約を受注し、装甲強化型サバーバンを生産すると発表した。GMディフェンスによると、契約の上限額は3億ドルだが、需要が高まれば、この額は拡大する可能性がある。

GMは、今回のIDIQ契約締結により、このスケジュールが早まったかどうかは不明だ。今後10年間の生産で、年間200台がDSSや他の連邦政府機関に供給される可能性がある。DoSが現在、単独で装甲強化SUVを何台保有しているかは不明だ。同省監察総監室の報告書によると、2016年時点でDoSは全世界で4,546台の各種「アクティブ装甲車」を保有していた。

今回のIDIQ契約締結は、GMディフェンスが6月30日にヴァージニア州スプリングフィールドで、防護SUV「サバーバン」のプロトタイプ10台の最初の1台をDSSに引き渡した直後に行われた。これに先立ち、DSS関係者は6月29日、ウェストヴァージニア州のサミット・ポイント・レースウェイでGMディフェンスと会い、プロトタイプ車両の性能に関する説明とデモンストレーションを行った。

GMディフェンスのスティーブ・デュモント社長は、「GMディフェンスにとって非常に重要なプログラムであり、GMの実績ある商用プラットフォームと世界トップクラスのエンジニアリングおよび製造プロセスを活用し、国務省に世界初の車両を提供する能力を示すものです。当方のチームの全員が、国務省のミッションを支援するため最高の車両を確実に提供するために、国務省とのパートナーシップを約束しました。当社は、このパートナーシップを継続し、エキサイティングなこの新プラットフォームを世界中の米国政府および同盟国の防衛・安全保障の顧客に提供することを楽しみにしています」。

今回の新型装甲強化SUVは、普通のシボレー・サバーバンのように見えるかもしれないし、実際、市販車両と同じ部品をいくつか共有しているが、GMディフェンスがDSSでの役割のために一から設計したものである。

SUVにはGMディフェンスの新しい「eBOF」とサスペンションが採用された。eBOFは「electric body on frame」の略で、「重いペイロードをサポートし、バッテリー電気および水素燃料電池推進システム、保護と生存性を満たす装甲、ミッションの追加装備のための大きなペイロード容量に対応できる」ように設計された新しいシャシー・アーキテクチャだ。

特注SUV装甲車の生産は、DSSにとって重要な意味を持つ。まず、車両を完全解体し装甲パネルを溶接し、強化ガラスを取り付け、その他重要な生存能力にむけたアップグレードを行う。しかし、装甲SUVではメンテナンスが困難となり、特に総重量の増加やサポート性の欠如のため、性能を発揮するのに苦労しているのが現状だ。

今回のIDIQ契約締結に関連しGMディフェンスが述べているように、新型装甲サバーバンの自社設計と製造は、「優れた車両性能を提供すると同時に、製造とリードタイムの効率を改善し、エンドユーザーへの車両納入を迅速化する」。さらに、GMディフェンスは「強固なメーカー保証と車両寿命の延長により、現在の多段階のアフターマーケットによる装甲化プロセスと比較して付加価値を提供する」と同社は述べている。DSSが過去に標準化された装甲SUVの運用に苦戦していたことを考えれば、新型輸送車の獲得に向けた進展が歓迎されるのは間違いない。

もちろん、GMディフェンスの量産型装甲サバーバンの導入後も、DSSのサービスや、より広範な米国政府および国防総省全体で、装甲SUVに対するニーズは残る。2021年、国防総省はフォード・モーター・カンパニーと共同で、フォード・エクスペディションで装甲を強化した次世代大型支援用多目的商用車(LSUV)の設計に関する別契約をバテル社に発行した。

OEMによる標準化された専用モデルは、装甲化サバーバンやそのその他SUVを同様の役割に運用している部隊にとっては、魅力的な選択肢となりうる。米国シークレット・サービスや特殊作戦司令部もここに含まれる。また、外国の顧客が興味を持つ可能性もある。

国内外で注目を集めるVIPを輸送する任務をシボレー・サバーバンが、いつ開始するか、目が離せない。■



Armored Suburban Designed By GM For State Department Gets Production Order


BYOLIVER PARKEN|PUBLISHED DEC 1, 2023 3:06 PM EST

THE WAR ZONE


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