2014年2月26日水曜日

MDA予算増額で地上配備迎撃態勢の整備をすすめるねらいは北朝鮮とイラン


MDA Budget Request To Boost GMD, Add Radar

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First

aviationweek.com February 12, 2014

昨年のテストが失敗して日が浅い中、チャック・ヘイゲル国防長官は地上配備中間コースミサイル迎撃システム Ground-Based Midcourse Defense (GMD) の開発予算を増額しミサイル防衛庁(MDA)に2015年度から19年度にかけ45億ドルを追加する。
  1. これまでペンタゴンは1,570億ドルを各種ミサイル防衛手段に投入しており、GMDもその一部。
  2. ペンタゴンの予算要求案は来月に議会に提出予定で、ヘイゲル長官はGMDの予算確保を重視している模様だ。その狙いはテスト自体が目的化している現状を打破し技術の進歩を促進し、今春の迎撃テストで結果を出すことらしい。
  3. さらに最低でも15億ドルで新型レーダーを開発し、北朝鮮が発射したミサイルの探知をめざす。また大型浮遊式宇宙配備Xバンドシステムを東海岸に移動させ、イランからの攻撃を監視させる可能性もある。
  4. MDA予算はそもそも70億ドル台へ減額されるはずが、かつての90億ドル台近くまで回復される。その背景にはGMDが不当な扱いを受けているとのヘイゲル長官の懸念がある。
  5. 北朝鮮あるいはイランのICBM攻撃に対する唯一の国土防衛手段として、GMD開発が失敗すれば国家の一大事だ。GMDの契約企業はボーイングで 2013年7月5日のテストでは難易度が低いはずの内容が実施できなかった。しかも5年前には成功していたのと同じ内容だった。ヘイゲル長官は北朝鮮の挑発的発言を意識し昨年3月にテスト実施を命じ合衆国領土を防御する有効策を示す狙いだった。
  6. それが反対にシステム有効性に疑念を持たせることになった。GMD迎撃部隊はアラスカ州フォート・グリーリー基地とカリフォーニア州ヴァンデンバーグ空軍基地に合計30基が配置されている。
  7. 失敗に終わったテストでは実弾ミサイルを警戒態勢に置き、常時発射できるようにし、世界各国に対しその有効性を示そうとしていた。実際にはレイセオン製大気圏外攻撃飛翔体 Exoatmospheric Kill Vehicle (EKV) がオービタルサイセンシズ製ブースターから切り離しに失敗している。「こんなことは60年代にいつもやっていたことだ」と業界筋は切り離しの難易度が高いはずがないという。この結果200百万ドルが無駄になったが、その原因はクランプあるいはほかの製造精度が低いハードウェアとの仮説を立てる向きもある。原因調査はまだ完了していない。
  8. その結果ヘイゲル長官はGMD予算を増額し、モニタリングを強化するとともに改修作業を進め、システム性能を引き上げることにしたと国防筋は言う。ペンタゴンにとって同システムの失敗は耐えられない。「今回の失敗は5年間の努力が失敗したことになり、国防総省と議会の間で決まったGMDの設計変更、仕様改善の凍結が失敗に終わったことを意味する」のだという。
  9. ペンタゴンは現行仕様から外れないようにしており、EKVのCE(性能向上策)Iベイスライン仕様では14回のうち8回で迎撃に成功している。2008年以降の失敗例3回のうち2回がCE-II仕様で、その内容は秘密のままだが妨害手段を回避する操縦性の改良とみられる。ペンタゴンの主任試験官からEKVの設計改良で提言が出ているが、国防総省高官は唯一の解決方法はEKVを超越した存在いわゆる共通破壊飛翔体Common Kill Vehicle (CKV)だとみているようだ。2014年度予算でその開発予算が含まれており、共通というのは GMDとSM-3イージス迎撃体で相互利用できるからだ。ただこれがどうなるかは見えてこない。ヘイゲル長官の指導でEKVに代わる手段へ進むことになる。迎撃手段の開発で全体戦略が欠如しているとの声もある。
  10. ただ迎撃手段の統一が実現するか不明で、たとえばEKVは単弾頭を目標とする設計だが、不複数弾頭を相手にできる迎撃手段が開発できるのか不明のままである。国防関係者と議会は次期迎撃手段を2020年めどで配備したいとしている。
  11. GMDの信頼性がぱっとしないのは同システムがまだ未完成だからだ。GMDは開発と配備を同時並行する構想で、ジョージ・W・ブッシュ大統領時代に「限定防衛作戦手段」との通称でいかにも作戦能力があるかのように命名されている。THAAD(最終段階高高度地域防衛システム)では10年近く設計変更で稼働できなかったのとは異なり、ホワイトハウスはGMDを「オフライン」にすることを拒否している。
  12. CKVを全面的に推進してもEKVの放棄にならず、今後も改良を続け信頼性を向上させていくだろう。
  13. 一方でペンタゴンは新型レーダーを開発し太平洋地域に配備する案を検討中だ。長距離識別レーダー Long Range Discrimination Radar (LRDR) の呼称であるが、正式には未決定だ。実現すれば飛来する弾頭とレーダーを混乱させる対抗手段を区別することができる。ビール空軍基地(カリフォーニア州)にある早期警戒レーダー、前進配備中のAN/TPY-2Xバンドレーダー、浮遊式海上配備Xバンド(SBX)レーダーならびにコブラデインLバンドレーダーの機能を強化できる。太平洋地域ではイージス艦もSPY-1レーダーを搭載している。
  14. LRDRはレーダー技術開発と生産方法の改良内容を反映して高信頼度で感受性高いシステムになっており、送受信部分、搭載する半導体、アクティブ電子スキャンアレイはSBXが生まれた1990年代から成熟化している。ただしSBXの問題点は信頼性が突如低下することがある点だ。もともとはGMDの性能を測定する技術陣の支援用に創案されたものであり、24時間の監視用途は想定外だ。ただし、GMDが実用化されるとともに北朝鮮の脅威が現実になったので、関係者は警戒用に信頼度がもっと高いシステムを希望している。
  15. このためMDAはSBXを東海岸に移送し、イランを想定した国内の対ICBM防衛体制が不十分と懸念する国会議員を安心させることとした。
  16. 一方で5年以上のブランクを経て初のGMD迎撃テストを行う検討が続いている。前回テストはFTG-06飛行追跡テストとして難易度が最も高いもので失敗に終わっているが、もう少し基本的なシナリオで実施してはどうかと考える関係者もいる。「とにかく成功例がほしい」というのが国防筋の偽らざる心境だ。
  17. FTG-06では敵目標に見立てた高性能なロッキード・マーティンLV-2にEKVのCE-Iを真正面から迎撃させている。接近速度が高いため精度と性能が問われた。
  18. MDAは同テストを再実施する必要があるが、関係者もCE-I仕様の威力を展示するのであればリスクを低くした方がいいとみており、結果的にシステムへの信頼度が回復するという。
  19. GMDテストは毎回200百万ドルほどの経費となる。MDA長官ジェイムズ・シリング海軍中将 Vice Adm. James Syring はGMD発射を再開しテストを定期的に実施することを希望している。■

2014年2月23日日曜日

F-35開発の最新状況:B型で部材亀裂発見、ソフトウェア2Bなど


More Cracks Found In F-35B's Second-Life Testing

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com February 21, 2014
Credit: U.S. Navy


F-35Bの構造支援部分で亀裂が昨年見つかっているが、これまで考えられていた以上に深刻とわかり、同型の地上試験が今年第四四半期まで中止される。
  1. 最初の亀裂が見つかったのは昨秋でセクション496主翼保持部分のバルクヘッドで即座に地上テストが停止されている。その時点でのテストは通算9,400時間相当で飛行時間換算8,000時間の二巡目に入った時点だったが原因調査が行われている。
  2. その後隣接するバルクヘッドでも亀裂が見つかったとF-35推進室が発表している。「周辺部分の追加調査でバルクヘッドのうち二点で亀裂が見つかった」
  3. 亀裂発見が8,000時間超過時点だったため、製造直後のF-35B各機の飛行テストには影響が出なかった。またその時点では、複雑な垂直飛行用ファンを持つ同型だけの問題とされた。同型を使用するのは米海兵隊だけだが、英国とイタリアも導入に前向きだ。計画推進室は海兵隊が目指す同型の初期作戦能力獲得目標2015年には影響がないという。
  4. ペンタゴンはこの問題は管理可能とみているが、失望の念は隠せない。「重大な問題と思いますが、決定的に悪いわけではありません」と調達最高責任者フランク・ケンドール Frank Kendall は語る。「根本原因の調査は進行中ですが、初期調査では問題部分の再設計が必要と判明しています。改修設計部品はロット9までに利用可能となり、影響を受けるのは2014年分のロット8になるとみています」また完成済みF-35Bでも構造強化策が必要だという。
  5. セクション496バルクヘッドの設計変更はすでに作業を開始しており、3月に実地試験をするという。さらに「隣接部分で点検が始まっており、再設計も着手しています。手直し部分がいつ手に入り装着の日程も推定していますが、改修作業のため2014年第四四半期の耐久性試験を再設定する必要が出てくるでしょう」
  6. セクション496バルクヘッドは2010年にも1,500時間超過時点で大きな亀裂が見つかっており、その際は一時的に飛行テストが中止になっている。
  7. セクション496改修で追加になる重量は2ポンド以下とみられるが、その他二か所のバルクヘッドでの追加重量については言及がない。
  8. B型でトラブルがあったが、空軍参謀長マーク・ウェルシュ大将 Air Force Chief of Staff Gen. Mark WelshはF-35Aを大量に調達する考えに変更なく、2月21日の空軍協会主催シンポジウムの記者会見でも「全体計画の進展に満足している」と発言している。
  9. 主契約社ロッキード・マーティンが度重なる計画遅延をしているのは同機運航をつかさどるソフトウェアの作成だが、ウェルシュ大将は作業は「空軍が計画する初期作戦能力獲得2016年目標に向け進行中」だという。
  10. エグリン空軍基地(フロリダ州)で同機を担当する保守整備部門の不満は同機の修理点検で予想より長時間が必要になっている点だ。次期空軍長官のデブラ・リー・ジェイムズ Debra Lee James も「現場で不満が高まっている」と指摘している。
  11. これに対しウェルシュ大将は「フライトテストの現場の考え方から作戦段階のフライトラインの考え方に切り替える必要がある」とし、以前の機種よりもF-35での不満が高まっているのは同機開発が機体配備と同時進行しているためだとする。.
  12. 同機の2Bソフトウェアが海兵隊と空軍のIOCには必要だが、今年中に完了する見込みであると、ロッキード・マーティンのF-35担当副社長ロレイン・マーティンLorraine Martinは発言している。また新型3iハードウェアのテストも今年中に恥じます。これは空軍仕様で実戦用機材に搭載されるという。.
  13. さらにF-35推進室が自動情報提供ロジスティクスシステム Automated Information Logistics System (ALIS) のSOU V2ハードウェアの審査を開始した。これはALISのハードウェアでミッション計画立案とメンテナンスで必要になるもの。現在のALISハードウェアは大型支援用機材の中に収納されているが、海兵隊は小型化し揚陸艦内で使えるように希望している。マーティンによればSOU V2ハードウェアは2015年のIOCまでに利用可能となるとし、海軍、空軍にも導入されるという。
  14. 新型ヘルメットの開発は改良型夜間視認カメラと合わせ8月に実機テストを開始する予定になっている。Gen 3ヘルメットと通称されているが、夜間の運用に必要なほか、強度の衝撃を伴う運用の際にジッター(電気信号の変調)が発生する問題の解決が求められている。■


ファイバーレーザー技術で高エネルギー兵器の実用化が進む可能性


Fiber Lasers Could Accelerate Fielding Of High-Energy Weapons


Source: Aviation Week & Space Technology

aviationweek.com February 17, 2014

航空宇宙産業特に国防部門が民間技術を利用して開発促進効果で新水準の性能を持つ装備を迅速に実用化する事例があるが、高エネルギーレーザー兵器もこの例だ。

  1. ロッキード・マーティンが電気ファイバーレーザー electric fiber lasersを利用した高出力兵器級の光線発生を実証した。ファイバーレーザーは通信、製造等に使われる民生需要で発達してきた技術だ。航空宇宙分野はこれを高出力の殺傷レベル出力の実現を求めている。
  2. 電導効率や光線の品質ではまだ改善が必要だが、ロッキードによれば30-kw級のファイバーレーザーが今後の戦術級エネルギー兵器開発の重要な一歩になるという。今回の実証は自社費用による高性能レーザー実証計画 Accelerated Laser Demonstration Initiative (Aladin) として実施されているが、同社は米陸軍からトラック搭載高エネルギーレーザー移動兵器の実証を2017年に実施する契約を交付されている。この延長で100-kw出力を2022年に実施する。
  3. 「ファイバーレーザーは指向性エネルギー兵器の将来の姿」とロッキード・マーティンの主任研究員を務めるロブ・アフザルRob Afzal, Lockheed Martin senior fellowは語る。「最高の効率が高出力域で得られ、常時30パーセントの効率で素晴らしい光線品質になりますので、長距離からこれまで以上の密度で目標に照射できます。また工業レーザー分野市場での部品技術の成果を応用できるため低価格化が期待できます」
  4. 工業用レーザーではキロワット級の光線しか利用しておらず、これを複数組み合わせて兵器級の出力を生む。光線複数の相を捜査して収束させる代わりに、ロッキードはスペクトラルビーム集束 spectral beam combining と呼ぶ技術を利用しており、アフザルは「単純だが堅実な技術」と表現する。
  5. 「プリズムを逆にしたようなものです。光線を複数集め、それぞれの波長が異なっており、格子の前で反射させます。その結果、光線が一本にまとめり、もともとの光線はぞれぞれのこっています」とアフザルは説明する。「回析が少ない形diffraction-limited performance でそれぞれのレーザーを武器級にして射程を最大化しつつ滞留時間dwell timeは最小限にできる」のだという。
  6. ノースロップ・グラマンの半導体レーザーでは2009年に100 kw出力を実証している。この技術ではダイオードを膨らませたスラブレーザー slab lasers を光学的に組み合わせており、海軍艦艇に装備開始を進めようとしている。ただファイバーレーザーなら電気効率は二倍近くになり、付属電力冷却装置も小さくできることで、全体を小さな構造にできるので、航空機やトラックへの搭載に道が開ける。
  7. スラブレーザーで拡大縮小化が難しいのは高出力を狙えば冷却が大変なことと、高温化すれば光線の方向が狂うためだとアフザルは説明する。アラディンのファイバーレーザー技術は「大型化が可能」という。「寸法の変更ではレーザーを増やしても排熱処理の心配がなく、空いたスペースに光線を集束させることが可能」
  8. このスペクトラル集束技術によりファイバーレーザー数を増やすことで高出力化が可能だ。「当社の基本構造なら 100 kw以上に拡大が可能」とアフザルは言う。「ファイバー一本あるいは全部を使い、定格出力の半分から全出力まで調整可能」だという。一本のレーザーが故障して全体が機能停止するのではなく、システムは徐々に出力が低下するという。また各レーザー自体がモジュラー構造になっており、大量生産で費用を下げることができる。
  9. この出力自由調整でファイバーレーザーには各種の機能への応用が可能だとアフザルは説明。たとえば通信や目標識別や敵のセンサーを使用不能にする、脅威対象を破壊することが選択できる。
  10. 民生部門では穴あけや溶接でファイバーレーザー市場はこの10年間で一気に拡大したとアフザルはいう。出力1から10 kw級のファイバーレーザーが市場で手に入る。工業用レーザーでは兵器で求められる光線の品質まで求められないが、部品技術の開発の方向性は共通だ。■


2014年2月22日土曜日

米空軍の新型静止軌道衛星の狙いは衛星攻撃への抑止力か


USAF Space Chief Outs Classified Spy Sat Program

By Amy Butler abutler@aviationweek.com
Source: AWIN First
aviationweek.com February 21, 2014
Credit: NASA


米空軍が打ち上げる予定の二機の新型衛星は極秘とされていた宇宙空間上の状況認識把握衛星で地球静止軌道に今年中に送られるとウィリアム・シェルトン大将 Gen. William Shelton (空軍宇宙軍司令官)が明らかにした。
  1. 宇宙機は秘密裏に空軍とオービタルサイエンシズ Orbital Sciences がGASP(静止軌道宇宙状況把握衛星事業 Geosynchronous Space Situational Awareness Program)として開発してきたものだ。
  2. 第一陣の二機に続き2016年に次の二機が打ち上げられ、静止軌道上の監視衛星群の不足を埋めるとシェルトン大将が空軍協会主催シンポジウムで明らかにした。地球静止軌道上には商用衛星多数が常駐しているほか、国家安全保障上で重要な宇宙機として宇宙配備赤外線衛星システムSpace-Based Infrared System (Sbirs) が早期ミサイル発射探知用に、高性能極高周波Advanced Extremely High Frequency (AEHF)衛星群が核戦争でも確保可能な大統領用通信手段として投入されている。
  3. SbirsやAEHFに対して「安価な一撃」が打たれるとペンタゴン業務が大変なことになるとシェルトン大将は衛星攻撃の可能性を示した。.
  4. 今回打ち上げられるGSAP衛星2機は静止軌道ベルトの上下に配置され、電子光学センサーで対象部分の各衛星他の物体の情報を収集する。シンポジウムの席上で配布された空軍資料によれば各衛星は「正確な軌道追跡および特徴」を各衛星について把握できるという。
  5. 空軍が今回の新型衛星を開発した事実自体が政府が衛星の持つ脆弱性に懸念を持っていることのあらわれだ。GPS衛星群は現在でも簡単に妨害可能である。それは各衛星の信号が比較的小出力であるためだが、今以上の効果的な妨害工作が実施される可能性、さらに運動エネルギー攻撃を危惧している。
  6. シェルトン大将は新型衛星の費用、完成までの所要期間について明示を避けた。しかし、今年中に二機を同時にデルタIVで打ち上げて相対的に安価になるはずだ。打ち上げはケイプカナベラル空軍施設(フロリダ州)で行う。
  7. 今回の機密解除を政府が認めらた理由のひとつには宇宙空間で敵対行動をとろうとする勢力への抑止力を狙うものだと国防関係者は認める。同時にホワイトハウス筋によれば宇宙活動の透明性担保もあるという。静止軌道上で制御可能な衛星の状況は敵味方同時に探知可能だ。そのため、最小限の情報を開示することは透明性にもなるが、さらに今回の衛星が攻撃能力を有しているとの懸念をあらかじめ消しておく理由もあると国防関係者は認める。ただしGSAPはロシア、中国の見解では敵対する装備とみられ、宇宙空間の軍事利用をどう管理するかの国際議論を呼ぶ可能性もある。
  8. 該当衛星が搭載するペイロードは無線周波数センサーやジャマーとみられるが詳細は非公開。.
  9. GSAPは空軍が進める宇宙空間状況把握能力向上の一環で、中位地球周回軌道上には宇宙配備宇宙監視 Space-Based Space Surveillance (SBSS) 衛星一機  がすでに投入されている。これはボーイング/ボール航空宇宙が2010年に打ち上げたもので静止軌道を下から監視するものだ。
  10. GSAPが出てきたことで空軍がなぜSBSSの後継機を出していないかがわかる。ボーイングとボール航空宇宙 Ball Aerospaceはこれを求めているのだが、GSAP衛星群の方が柔軟性が高くSBSSよりも正確な情報提供ができるためだろう。ただし、関係者は両者の性能を公に比較していない。
  11. 配布資料によればGSAPは「鮮明かつ障害を受けない点で地球周回中の宇宙物体を監視でき、天候や大気条件の障害を受けず地上配備施設による監視よりも優れている」としている。また、「GEO SSAシステムが提供するデータは軌道位置の予測を正確に行い、静止軌道上の運用の知見を伸ばすことになるので、宇宙空間での運用が安全になり、衛星衝突といった事態を回避できる」とする。
  12. 空軍はクウェジェリン環礁に宇宙フェンス施設を新設するメーカー社名をまもなく発表するとみられる。またCバンドレーダーと電子光学式望遠鏡が米国内にあるが、オーストラリアにこれを移動させ南半球の監視区域を拡大する。中国は南半球軌道上に宇宙機打ち上げを続けている。
  13. なお、GSAP衛星群の運用は第50宇宙中隊 50th Space Wing (コロラド州種リーバー空軍基地内)が行う。■


2014年2月19日水曜日

中国が対日軍事作戦を「短期かつ熾烈に」実施する可能性


Navy Official: China Training for ‘Short Sharp War’ with Japan

By: USNI News Editor
Published: February 18, 2014 1:25 PM
Updated: February 18, 2014 1:26 PM
Chinese marines assault a beach during the Mission Action 2013 exercise. Xinhua Photo


中国はこれまで台湾進攻を想定した揚陸戦の訓練を重ねてきたが、ここにきて訓練の想定を拡大し、日本が実効支配する東シナ海も対象に加えていることが米太平洋艦隊(PACFLEET)の情報部門トップから明らかになった。昨年実施したMission Action 2013演習では人民解放軍の各軍が参加し、尖閣諸島の占拠を想定していたと、PACFLEETのジェイムズ・ファンネル大佐 Capt. James Fannell(情報幕僚次長)が発言。

  1. 「Mission Action 2013は各軍を巻き込んだ大規模演習でした」とファンネル大佐はWest 2014会議(カリフォーニア州サンディエゴ)の席上で2月13日に発言している。「PLAには新しい任務が与えられており、短期間ながら高密度の戦闘で東シナ海の日本勢力を壊滅する前に尖閣諸島あるいは琉球諸島の南方を占拠する、と中国学識経験者から発言が漏れています」
  2. 昨年は中国が軍事活動を活発化させ挑発的な軍事プレゼンスを南シナ海で展開した年であった。その中心は中国が各国と問題を抱える原因となっている領土拡大の主張を示すNine Dash Lineと通称される地帯をとりまくもの。
  3. 「合衆国政府も中国が南シナ海で示している行動パターンそのものが中国による同海域の制海権の主張を反映するものとして懸念しており、いわゆる9-ダッシュ線で囲まれる
  4. 各国の反対を無視していること、および全く説明のないままあるいは国際法の原則を無視していることを問題視している」(ファンネル)
  5. 同大佐はその後中国がこの十年間に各国に示した強硬策の内容に触れ、フィリピン海南方での戦闘訓練などは中国が「航行権の保全」を狙ったものと解説。
  6. 「その訓練の翌週に東シナ海で中国艦船が火器管制レーダーを海上自衛隊艦船に照射する事件が発生している。中国はその事実を一か月にわたり否定したあと、その事実を認めたが、両艦の距離は射程距離を超えていたので危険はなかったと釈明しているが、それで済む問題ではない」
  7. ファンネル大佐は新設された中国沿岸警備隊による準軍事行動にも注意を喚起している。
  8. 「南および東シナ海での緊張は中国沿岸警備隊が中国隣接国を刺激することで悪化の一途である」
  9. ファンネル大佐によれば中国は1.6百万ドルを南シナ海の監視地点の改善にあてているという。 港湾施設、航空基地、飲料水確保および監視システムがその対象だという。「一方で中国は他国による同様の活動を挑発的と非難し、脅威を与えることで対応しようとしている」
  10. ファンネルのこの中国評価は現在米国が対中軍事関係を強化しようとするのと対照的である。
  11. 当日は海軍の作戦、立案、戦略担当のジェイムズ・フォッゴ少将Rear Adm. James Foggo が米海軍関係者とPLANの Wu Shengli提督との会談が成功裏に終わったと紹介しており、米代表団もPLAN艦艇・潜水艦を訪問しているという。しかし、代表団が帰った直後に中国は問題になっている防空識別圏(ADIZ)を東シナ海上空に設定している。米国は同時に中国艦船の今年のリムパック演習に参加させようとしている。■


2014年2月15日土曜日

米海軍次期無人機UCLASSを空対空作戦に投入する可能性を検討中


Navy’s UCLASS Could Be Air to Air Fighter

By: Dave Majumdar
USNI News, February 13, 2014 7:35 AM
X-47B Unmanned Combat Air System Demonstrator (UCAS-D) on Nov. 9, 2013. US Navy


米海軍が進める無人空母運用型空中偵察攻撃機(UCLASS) は空対空任務も実施できるようになるのか。海軍の航空戦担当マイク・マナジール少将Rear Adm. Mike ManazirはUSNI Newsのインタビュー(昨年12月20日)にその可能性を示していた。
  1. マナジール少将はUCLASSの主用途を情報収集監視偵察(ISR)および攻撃任務とするものの、ミサイル搭載の可能性を検討していると発言していた。ミサイル発射母体とした場合、F/A-18E/FやF-35Cの空対空任務を補完する無人ウィングマンになるという。
  2. 「AMRAAM(高性能中距離空対空ミサイル)を搭載したトラックのような存在になります」とマナジールは言う。「無人トラックは有人機と一緒に飛行します」
  3. マナジールの想定するUCLASSの操作はノースロップ・グラマンE-2Dホークアイあるいはロッキード・マーティンF-35Cからの遠隔操作によるもの。この構想には利点が多いと空軍予備役大佐マイケル・ピエトゥルチャCol. Michael Pietrucha(F-15Eの兵装システムズ士官で無人機専門家)がUSNIにコメントしている。
  4. 「これは荒唐無稽な話ではありません。困難なのは航空機自身に判断能力や優先順位づけができないので、戦闘機の機能を持たせるには機内にシステムを搭載することなのです」
  5. その解決方法は状況判断など人間で行う機能を戦闘機パイロットに任せることだ。そこで有人機が目標を発見、追跡、照合し、敵機との交戦は無人機に任せる。
  6. 「この点では海軍が空軍より先行しています」とピエトゥルチャは指摘し、海軍統合火器管制対空戦闘(NIFC-CA) 構想はデータリンクを利用したネットワーク化で多数の友軍機が戦闘状況を共有するものだという。
  7. NIFC-CA構想では「センサー」役の機体が捕捉した敵目標を射程内にあれば、「射撃者」役の機体ならどれでもが攻撃できる。「この問題が解決できれば、ミサイル満載の無人機ウィングマンに目標を教えればよい」
  8. ただ無人機を空対空戦に投入すると不利な点も発生する。制空任務用の戦闘機としてロッキード・マーティンF-22ラプターやボーイングF-15Cイーグルは高高度飛行と超音速飛行と組み合わせてAMRAAMに与える運動エネルギーを最大限にしつつ、長距離から発射している。
  9. これに対しUCLASSは亜音速機の設定であり、AMRAAMに与えられるエネルギーはボーイングF/A-18ホーネット以下となり、発射してもミサイル速度と高度は低く制空戦闘機の水準は期待できない。
  10. だがこの不利な点は克服できないわけではない。実際のAMRRAM発射の事例の大部分は音速以下の速度と中高度で発生しているとピエトゥルチャは指摘する。さらに亜音速無人機に運動エネルギー上の利点が生まれる条件があるという。
  11. たとえば有人戦闘機が防御態勢に入り、90度で目標敵機と方向を変えることを想定すると、有人機ではミサイル発射のチャンスは少ない。「90度旋回をすれば運動エネルギーが無駄になりますが、無人機は目標に直接接近できます」
  12. 「その場合の運動学的エネルギーは有人機よりも優秀です。なぜなら発射したミサイルには旋回後の修正が必要ないからです。無人機ウィングマンは戦闘機特有の機種を敵機に向けたまま保持する必要がなく、センサーが捕捉しておけばよいのです」
  13. しかし複雑な機構のステルス無人機は非常に高価であり、消耗品扱いは許されないだろうとピエトゥルチャは見る。
  14. 無人機を空対空戦に投入することは必然的に機体を敵の攻撃にさらす危険が増えることを意味する。しかし、それ以上にパイロットが意図的に無人機を盾にして自機を守ろうとする可能性もある。「自分の生命は代わりがききませんからね」とピエトゥルチャは言う。「コックピット内部では抽象的な思考をする余裕はなく、わたしなら無人機を自由に飛行させ人間のウィングマンでは不可能な方法で危険な脅威に対応しようとするでしょうね」
  15. ピエトゥルチャはペンタゴンが超音速無人機で有人戦闘機を全廃する日は来ないと考える。
  16. その理由はコストであり、とくに推進系のコストが劇的に上昇しても実現できる性能は有人機に劣るためだという。超音速UCAVには高推力エンジン(非常に高価格)および抗力を低く抑える機体形状の中に相当の燃料を搭載する必要があり、結局有人戦闘機と同程度の価格になってしまうからだ。
  17. 「とても高価格の機体でも有人機より性能が低ければ価値がないでしょう。それでは予算の節約になりません」■

2014年2月14日金曜日

武器密輸の北朝鮮貨物船が罰金を現金で支払いパナマ運河通過


Panamanian Official: North Korea ‘Paid Fine in Cash’ to Free Secret Arms Ship

By: USNI News Editor
Published: February 10, 2014 9:25 AM
Updated: February 10, 2014 10:03 AM
2013年7月に北朝鮮貨物船内で発見されたキューバのMiG21戦闘機を検分するパナマ調査官 REUTERS Photo

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北朝鮮は旧式武器を満載したキューバ発北朝鮮船籍貨物船をパナマ運河を通過させるため罰金を支払ったと同運河関係者から判明した。

当初の罰金百万ドルは$693,333.10に軽減されたことが運河運営の責任者ホルヘ・キハノが語ったとAFP通信が伝えている。

「北朝鮮は現金で支払ったので、同船は通過を許された」とキハノは語っている。


7月には北朝鮮船籍貨物船清川Chong Chon Gangがパナマ運河を「240メートルトンの老朽防衛装備を搭載し、内容は対空ミサイル装備ヴォルガおよびペチョラ、部品に分解されたミサイル9発、MiG-21bis戦闘機2機、および同型機用エンジン15基、すべて20世紀中ごろ製作品として修理再生用にキューバ向けに」通過させようとしていたことが明らかになっている。
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パナマは1月に同船の船員32名を解放したが、船長、一等士官と「政治委員」は武器密輸容疑で投獄したままにしている。  


空母輸送機CODの次期機種選択に動く米海軍


Decision on New Carrier Supply Plane ‘About a Year Away’

By: USNI News Editor
Published: February 12, 2014 4:45 PM
Updated: February 12, 2014 4:45 PM
A C-2A Greyhound, takes off from the flight deck of the aircraft carrier USS Theodore Roosevelt (CVN-71). US Navy Photo


米海軍は空母部隊向けの補給貨物機の後継機種選定を「およそ一年後」に控えていることが海軍航空部門トップの発言でわかった。2月11日サンディエゴでのWest 2014のパネルディスカッション席上で。
  1. 現状ではC-2Aグレイハウンドが空母艦上輸送carrier onboard delivery (COD) に1960年代末から投入されており、現在運航中の機体は1980年代に調達されたもの。
  2. 「データの吟味中で、選択肢の検討を慎重に行っている」とデイビッド・バス中将(海軍航空部隊総監)Vice Adm. David Buss, commander Naval Air Forces,が発言した。
  3. 選択肢とはノースロップ・グラマンC-2の性能改修版の導入か、V-22ティルトローター機だという。
  4. C-2の長所は海軍が早期警戒機として使用中のE-2ホークアイとの共用性であり、V-22の場合では海兵隊のオスプレイとの共用性だ。オスプレイはすでに海軍艦艇向けに使用中。
  5. そこで海軍はV-22を空母補給用に投入した場合の妥当性を検討中だ。
  6. 「選択肢はまだあるが、決定まで一年ほどの段階です」.
  7. 次期CODで求められるのはF-135エンジン(F-35C用)を空母へ搬送できる能力だ。バス中将はこの点を真剣に検討しているという。「F-135の高出力部分は怪物といってよい大きさです。この部分をどうやって輸送するかを技術的にいろいろ検討しています」■

コメント:ここでもF-35が意外なストレスを与えていますね。

2014年2月11日火曜日

アジア太平洋地区でP-8輸出へ期待するボーイング


Boeing Eyes P-8 Exports

By Bill Sweetman william.sweetman@aviationweek.com
Source: AWIN First

aviationweek.com February 11, 2014
Credit: Boeing

「4ないし5カ国」がボーイングP-8Aポセイドン海上哨戒対潜(ASW)機に強い関心を示していると、同社の宇宙防衛部門副社長(ビジネス開発戦略担当)クリス・レイモンドChris Raymond, Boeing Defense, Space & Security vice-president for business development and strategyが明らかにした。「各国が真剣に技術面で関心を示しています」とレイモンドはシンガポール航空ショー前夜に語った。「各国は飛行距離と探査範囲を分析中で、運用中の艦艇と協同運用できるか、ライフサイクルコストも検討しています」

そのうち二三カ国がアジア太平洋地区だという。(残りの一カ国は英国である可能性が高い) 検討中の各国は現時点で固定翼方式のASW機材を運用していない。

ボーイングは同社がボンバルディアチャレンジャー605の機体を改装する新型海洋監視機材がP-8他のASW機材と補完関係にあると見ている。同社はP-8から上記海洋監視機材、キングエア改装のRamis(構成変更可能な複合センサー搭載機材)さらにスキャンイーグルほか無人機まで含む機種構成で情報収集・監視・偵察(ISR)を展開するファミリーの提案に動きつつある。■


コメント 固定翼ASW機材を持たないアジア太平洋諸国ですか、ベトナムやマレーシアがその候補でしょうか。お金があるのはシンガポールですが、はたしてどの国になるのでしょうか。楽しみです。

2014年2月10日月曜日

アジア各国の戦闘機整備が急展開中---日本、韓国、シンガポール等の最新状況



Fast-Changing Trends In Asia Fighter Market

By Bill Sweetman
Source: Aviation Week & Space Technology
aviaationweek.com February 03, 2014
Credit: USAF SSGT. William P. Coleman

韓国が一度選定に傾いたボーイングF-15SEサイレントイーグルを白紙に戻し、ロッキード・マーティンF-35A共用打撃戦闘機を選んだことで、ロッキードはアジア各国をJSFで席巻できると興奮気味だが、日本が同機を選定済みで、シンガポールもまもなく正式決定するものとみられる。その他の諸国も同じ流れになるかもしれないのは中国の脅威が増大していることに加え横並び意識のせいと言われる。.
  1. 現実はもう少し複雑で多くの要因が絡んでおり、武器取引と技術移転は動的な過程だ。韓国と日本の選定結果は共に両国の国家戦略が変化していることと米国との密接な関係が背景にある。また米国が同盟各国にJSF調達を強く求めているのも事実だ。では各国別に見てみよう
  2. 【日本】F-35Aの選択は強力な統合防空体制 integrated air defense semsyst (IADS)が整備された空域内の攻撃能力に重点を最初から念頭にF-4EJ改の後継機種を模索してきた結果だ。選定基準そのものが変化しているのは日本の防衛戦略の変化を表しており、中国は仮想敵国として、日本が実効支配する領土を奪わんと長期的に狙う国とみなしている。また、攻撃能力を強化し、戦後堅持してきた武器輸出の緩和を狙っている。.
  3. 日中の緊張増大は防空部隊の緊急出動回数が増えていることで明白だ。冷戦末期の航空自衛隊のスクランブル回数は年間800回超だったが、1995年から2005年までは年間200回程度で、2012年に567回に急増している。
  4. 航空自衛隊の戦闘機部隊は1960年代から常時三機種を稼働させてきた。機体数はほぼ一定を保ちながら、2020年台にはF-15と三菱F-2に加えステルスF-35が加わる見込みだ。
  5. 現有のF-15Jには赤外線探知追跡機能が付いているが、さらに性能改修したF-15MJにはAPG-63(V)1レーダー(機械式スキャン型としては最新型)を搭載し、三菱重工製AAM-5短距離空対空ミサイル(04式空対空誘導弾)の装着が始まる。AAM-5はドイツ・スウェーデン共同開発のIRIS-TやAAM-4B(アクティブ電子スキャン方式レーダーを搭載)と外形が類似している。
  6. 航空自衛隊はF-15のうち何機の性能改修を実施すべきの決断を求められている。機材の半数近くは1980年台前半に納入されており、性能改修の実施は高費用につく。
  7. 一方で侵攻部隊の接近阻止を主任務とするF-2部隊にもAAM-5、AAM-4、改良型AESAレーダーのJ/APG-2の装着で改良が加えられており、武装ではAIM-9サイドワインダーと日本製AIM-7スパローを搭載する。
  8. 予算10億ドルでE-767空中早期警戒管制機の改修、F-15とF-2の改良をすることで日本の防空対応能力はF-4飛行隊x2の退役があっても質的に向上する。F-35AはF-4の代替都の位置づけだがF-2の攻撃任務を一部補完し、F-2を防空任務に振り向けることが可能。もしF-15旧型機の改修を実施しない方針になれば、4飛行隊規模の新型機調達につながる。
  9. ただし円安でF-35調達の大日程への影響が危惧されており、予定42機の調達完了を2023年にずらすことになりそうだ。新型ヘリ護衛艦いずも(27,000トン)の完成でF-35Bで海軍航空兵力の整備に乗り出すとの観測があったが香田洋二海将(退役)元自衛艦隊司令官は1月にワシントンでこの見方を一蹴しており、そのような防衛力整備は他方面の装備調達を諦めなければ実現できず、中短期的には不可能だとした。
  10. 日本は三菱重工の高性能技術実証機 Advanced Technology Demonstrator-X (ATD-X) ステルス試作戦闘機にも予算をつけており、これまで10年近くの開発を続けてきた。実寸大のレーダー断面積測定はフランスで2005年に実施済みだ。技術開発筋によればATD-Xの初飛行は2014年度中に実施するという。つまり2015年3月までに、ということだ。
  11. 【韓国】 F-35小規模調達に国産機の性能改修を組み合わせる方向だ。国防調達庁の決定を覆す形で11月にF-35A導入を決定した同国だが、調達数は40機で納入は2018年以降になる。なお、調達費用は当初予定していたF-15SEなら60機を買う事ができた金額だ。
  12. 今回の選定の背景には韓国の軍事戦略の変化の影響がある。北朝鮮が機動性のあるミサイルを開発中とする証拠が増えてきた。これに対し韓国政府は「圧殺連鎖」で固定式強化陣地内の目標と移動可能な兵器の双方を破壊すると反応している。F-35Aの性能諸元はこの任務の想定に合致している。その際に念頭にあるのは湾岸戦争(1991年)の「スカッド狩り」がうまく行かなかった米同盟部隊のことだ。
  13. F-35A選定は「状況に応じた抑止力」で北朝鮮の核の脅威に対抗することで新たな米韓合意に先立つ形になった。これは先制攻撃でまず北朝鮮の核攻撃能力を減じて残存能力にはミサイル防衛で対応する戦略だ。
  14. F-16改修も実施し2030年代まで同機を稼働させる。韓国国防省はBAEシステムズと昨年12月に合意形成し134機あるF-16ブロック52機材にAESA技術によるレイセオン高性能戦闘レーダー、新型ミッション用コンピュータ、新型コックピット表示装置を装備する。改修済み一号機の納入は2018年だ。
  15. そもそもBAE選定は2012年だったが、一度白紙に戻されている。その理由はF-16を第三者が改修する初事例となったこと、また米空軍がロッキード・マーティンを選定し300機を対象に同様の性能改修 Combat Avionics Programmed Extension Suite (Capes) を発注していたからだ。同様の性能改修は台湾空軍のF-16にも予定されており、韓国他に提案されていた。米空軍がレーダー選定をロッキードに一任して同社は長年のパートナーであるノースロップ・グラマンを選んだのに対し、韓国はレイセオンを選定したので競争状態となった。
  16. BAEシステムズはフォートワース事業所で開発にあたり、F-16経験者を雇用する。同社はシステム統合ラボを建設中で大型ビジネスジェット機を飛行テストベッドとしてしんgなたシステムの性能確認をする。韓国空軍のF-16機材の第一陣が今年中に現地に到着し、改修作業を開始するが、フライトテストは2016年の予定だ。改修作業の本格作業は韓国国内で実施する。
  17. BAEシステムズは世界規模で1,000機の回収需要があると見ており、海外だけでは830機に期待する。同機の機体寿命は1万時間に延長されており、旧型機の改修の投資効果は十分あるという。
  18. そこでF-35Aに切り替えたことで国産ステルス戦闘機開発にも影響が出る。同機計画は韓国航空宇宙工業 Korea Aerospace Industries と国防技術開発庁Agency for Defense Development がKF-Xとして進めているもの。最新の予算では19百万ドルが計上されて、開発経費の上限を80億ドルとし、2025年に開発完了の条件をつけている。ただし同機の輸出には米国の承認が必要だ。開発には海外の提携先が必要となり、15%の費用負担を期待されている。
  19. 【シンガポール】 アジアで次にF-35を導入するのは同国だと言われ、とくに高速道路からの運用を想定してF-35Bに関心が高いという。想定場所の長さは8,000 ft.未満が多い。F-35Aでは滑走路長が足りず、JSF計画室長クリストファー・ボグデン中将は昨年4月にシンガポールによる同機選定は数ヶ月以内に実現見込みと発言していた。
  20. 同年にシンガポール国防相ン・エン・ヘン Defense Minister Ng Eng Hen がF-35購入を独に急ぐ必要なしと発言している。F-16後継機種としてF-35を真剣に検討しているのは事実だが、まず旧型機改修を実施するとしていた。米国防安全保障協力庁 U.S. Defense Security Cooperation Agency からはシンガポール保有のF-16のAESAレーダー換装他改修60機分の実施案が提示されており、同機の耐用年数を2030年代まで延長できるという。ただし改修に高い優先順位がつくかはシンガポールが潜水艦整備などで大型投資があることを考慮すべきだ。
  21. シンガポールは米空軍・ロッキードによるF-16改修業務Capesの有望対象国であるが、国防安全保障庁の発表内容は契約企業を明示せず、新型レーダーの調達元も示していない。このことは将来のCapes改修が不確実であることを示すものであり、2015年度米国防予算削減の対象になる可能性もある。
  22. 【インドネシアとマレーシア】両国はSu-27/30を運用中で、Su-35が代替機種として提案されている。両国は次期戦闘機で米、ロ、欧州の三方向から選定する可能性があり、すでにユーロファイター・タイフーンとボーイングの高性能型スーパー・ホーネットが昨年のマレーシア航空ショーで展示されている。
  23. 【タイ】 サーブのグリペンもアジアに足場を広げる可能性がある。新型JAS39Eがすでにブラジルで選定されており、競争力が高まっている。シンガポールF-16改修は単価40百万ドルとの見積だが、同程度の費用でJAS39CをJAS39E仕様にアップグレードできるという。
  24. サーブを現在使用中なのはタイで、グリペンとともにスウェーデン空軍で使用していたサーブ340AEWを整備する計画を推進中だ。2013年にはグリペン6機とAEW2号機が納入されており、サーブはマレーシアにグリペンC/Dをリースする案を提示しており、JAS39Eにアップグレードできるとする。
  25. 【その他アジア太平洋諸国・ロシア】戦闘機選定は流動的だ。1月にワシントンの戦略国際研究所が武器流通に関する会議を主催し、米国企業の市場シェアを下げそうな要因に焦点をあてた。米国製高性能機器ではなくても「実用上十分な」システム選択が可能であることが指摘されている。
  26. 席上では米国による独占が終われば各国は防衛の後ろ盾が米国しかないので深刻な脅威に直面するとの指摘がでた。つまり装備品の新しい供給源が現れれば米国製装備との相互運用性が低くなるというのだ。
  27. またロシアはマイクロエレクトロニクス分野の基礎が不足しているため「旧式技術で食いつないでいる」との指摘があったが、「ロシアのハイテク産業は国防分野に集中している」との指摘もあり、相反する傾向があることになる。長距離地対空ミサイルの輸出事例ではロシアの地位が卓越している。もうひとつはロシアと中国の関係改善の象徴がスホイSu-35戦闘機売却の商談だ。ロシアが再度同機を中国に販売することに前向きになったのは、瀋陽J-11として中国がSu-27を不正コピーした事実を乗り越えて、ロシアの技術開発が再度活性化してきた証であり、不正コピーのリスクを軽視できるようになったのかもしれない。■


2014年2月9日日曜日

宇宙依存度が高い米国防体制は中国との軍事衝突で脆弱性を示すのか 専門家の知見に耳を傾ける米下院



U.S. Dependence on Space Assets Could be a Liability in a Conflict with China

USNI News By: John Grady
Published: January 29, 2014 10:28 AM
Updated: January 29, 2014 10:28 AM
Launch of Atlas V MUOS-2, July 19, 2013
from Cape Canaveral AFS. US Navy Photo


米国は宇宙空間で「サイバー空間と同程度」の課題に直面していると下院審議会の委員長が中国の宇宙での進展を念頭に発言した。また宇宙で米中両国が「長期間にわたる競争」に入っていることを認めている。
  1. 下院軍事委員会海洋力・兵力投射小委員会委員長のランディ・フォーブス議員(共・ヴァージニア . Randy Forbes (R-Va.)からスティムソンセンターの研究員マイケル・クレポンsenior Stimson Center associate Michael Krepon に米国の弱点は何かとの質問が出た。クレプトンからは「事実を無視することはできません。衛星は探知されてしまいます」
  2. さらに軍用民生双方で「中国の宇宙依存度は米国よりも低い」ことが次の論点だとカーネギー国際平和財団の主任研究員アシュレイ・テリス Ashley Tellis, senior associate at the Carnegie Endowment for International Peace が指摘した。
  3. エアリスアナリティックス社長ロバート・バターワースRobert Butterworth, president of Aries Analytics Inc.,からは「高エネルギー兵器などを衛星に使った場合の効果は不明」と発言あり、中国はこの分野に資金を投入する可能性があるという。
  4. 中国が2007年に軌道上でテストを実施して以来、デブリ問題が注目を集めており、敵衛星の破壊は自国の軌道上の機材も危険になることが浮き彫りとなったが、中国は直撃による破壊方法から「ソフトキル」や「視力破壊」といった非対称形式のアプローチに切り替えているとテリスは発言している。
  5. 上記三名の専門家は合衆国による今より水準の高い「宇宙用状況認識」能力開発の必要性で同じ意見であり、各種の軌道高度においてこれを実現し、攻撃を早く探知し、攻撃を仕掛けたのが誰かを特定すべきだという。バターワースは軍事衝突の際には米国の指揮命令通信網は防御された衛星システム以外に防御のない衛星にも依存しているためこれが弱点となると指摘。
  6. クレポンは「この問題では大事なのは」攻撃の発生源だという。テリスも「軍事衝突でストレスを受けるシステムもあり、攻撃の属性をはっきりさせる」べきだが、短時間でこれを実現するのは困難だという。
  7. その問題意識でクレポンは各国は「米国は各国の措置に対応できる能力を保有して」おり、このために米国にどの国に対しても優越性があるという。
  8. 開戦となれば、損傷被害が大、あるいは性能を発揮できなくなった衛星の代替手段を迅速に利用可能にすることが課題だ。テリスは米国の衛星システムは性能重視のあまり機数が少なすぎるという。「代替衛星を軌道に乗せるには時間がかかりすぎます。現状では衛星製作と軌道への運搬に予算上の問題が発生しています」
  9. 今後の展望として、軍事宇宙予算が削減対象になっていることから、バターワースは「「すごい大金」が新機軸の性能実現に必要であり、今後も軍事技術上の優位性を維持するためには「設計を根本から見直す」必要があるという。
  10. 核抑止力なら潜在的の敵の目の前に配置できるが、クレポンは「宇宙抑止力は多くが暗示的な存在ですが、敵対行動が結果をすぐ生む点が違う」という。
  11. そこで各国間で条約は無理としても「行動規範」を作り、宇宙空間上の行為を規制し、中国軍部民間関係者と宇宙関連の対話を実現することをクレポンは提唱。これは冷戦時代に前例がある。中国では軍部と民生で宇宙利用を軍主導とするか外交効果を重視するかで路線対立が生じているとクレポンは指摘する。■


2014年2月8日土曜日

ソチ五輪で危機管理として第六艦隊から二隻を黒海に派遣



U.S. Warhships Enter Black Sea in Support of Sochi Winter Olympics

By: USNI News Editor
Published: February 5, 2014 10:31 AM
Updated: February 5, 2014 11:43 AM
U.S. 6th Fleet flagship USS Mount Whitney (LCC-20) in the Black Sea in 2013. US Navy Photo
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米海軍第六艦隊の二隻が黒海に入り、ソチ冬季オリンピック開催前から同海域に展開していると海軍が発表した。
海軍によると二隻のうち第六艦隊旗艦の指揮統制艦USSマウント・ホイットニー(LCC-20)は2月4日に同海域に到着しており、もう一隻オリバー・ハザード・ペリー級フリゲイトUSSテイラー(FFG-50)が水曜日に黒海入りしている。

「二隻は黒海で通常任務の一環として同盟各国との協力関係を強化すべく、訓練や相互運用にあたる」と海軍は発表。
その文書では明示していないものの、二隻はソチでテロ攻撃が発生した際に米市民の脱出用に用いられる。
ロシアは保安体制を段階的に強化しており、イスラム過激派によるコーカサス地方の独立運動(チェチェン、ダゲスタンなど)を警戒している。

USS Taylor (FFG-50) departs Naval Station Mayport in 2014. US Navy Photo