2018年1月11日木曜日

ボーイングMQ-25をセントルイスで撮影に成功、機体の特徴が判明

新しい機体が好きな人にはたまらないでしょうね。離陸前にこの機体に目が行き、慌ててカメラを使ったようで写真は粗いものがありますが、十分特徴が分かります。本人の興奮が伝わってくる写真ではありませんか。ただし、せっかく分析しても米海軍に採用されなかったおしまいですけどね。同機は別の形に進化する可能性もあるのではないでしょうか。


Exclusive: New Photos Of Boeing's MQ-25 Tanker Drone On The Ramp In St. Louis ボーイングMQ-25無人給油機をセントルイスで激写

The images give us our first view of the entire aircraft, as well as a sense of its overall scale. 同機の全体像が初めて明らかになったのと機体の大きさもわかる


JEREMY MCGOUGH
 BY TYLER ROGOWAY JANUARY 9, 2018
ボーイングMQ-25スティングレイ空母搭載無人空中給油システム(CBARS)の進展はこれまでお伝えしている通りだ。機体正面の写真一枚が2017年12月19日に公開されその後ボーイングは短い映像でいろいろな角度で撮影したショットを慎重に編集して公開した。この映像で重要な点も分かったが同機の全体像はうかがい知れなかったし、機体の大きさも推定できなかった。今回読者の一人が同機の全体像が提供され、これまで不明だった大きさの感覚もわかってきた。
 ジェレミー・マクガウはセントルイスのランバートフィールドを今朝離陸する途中でボーイングディフェンスの広大な工場前のエプロン上に奇妙な機体に気づいた。早速数枚をスナップ撮影しこちらに送ってくれ機体がボーイングのMQ-25スティングレイなのか自信がもてず判別を求めてきた。ジェレミーの推定は正しかった。これこそボーイングファントムワークスのCBARS無人機であり、解像度が低いが写真で同機を全く新しい角度で見ることができた。
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH
JEREMY MCGOUGH

早速写真からわかることをまとめてみよう。
1)機体に通常の空気取り入れ口がない。後部も滑らかな表面になっているのは以前の推理通り整流化された空気取り入れ口が機体上部についているためだ。
2)主翼は長く薄く、巡航時、滞空時のフライトレベルに合わせ効率を追求したようだ。写真に人物も写っているのでMQ-25は主翼長はおよそ24フィート、胴体幅は10フィートで翼幅は58フィートと推定できるが大雑把な推測で実物と誤差が10フィートもあるかもしれないが、全体像はつかめる。比較するとF/A-18スーパーホーネットの翼幅が48フィートあまりである。F-14トムキャットは64フィートでE-2ホークアイは81フィートだ。MQ-25の全高は10フィートほどだろう。
3)機体後部をはじめて目にすることができた。排気口は平面状になっている。この特徴だと赤外線放出を減らせるがV字翼と合わせて排気の様子を見えにくくする。推力偏向装置が採用されているかは不明。それがあれば着艦速度を落として空母に戻れるし、発艦して滞空時間を延長し、給油時に機体を安定させることも可能だ。
4)前回お伝えしたようにMQ-25は低視認性の特徴を有する機体となっており、将来の発展型に含みを持たせているが、すべては海軍が採用した場合の話だ。またノースロップのタシットブルーに通じる構成になっているが、同時にRQ-4グローバルホークや競合相手ジェネラルアトミックスのプレデターC/アヴェンジャー無人機を原型とするCBARS提案でも同様だ。だが各機よりボーイングのクワイエットバードははるか前の1960年代に生まれている。今回のMQ-25は中高度中距離medium-altitude/medium-endurance (MAME)無人機として給油任務以外に多用な任務をこなせるだろう。
BOEING
ボーイングのクワイエットバードはタシットブルーやロッキードのハブブルー実証機より10年も前に生まれており、MQ-25にもその影響がみられる。
だがなぜ本日同機が公衆の目に触れる場所に出されたのかまったくわからない。エンジンを運転したのかタキシ―テストがはじまるのか、それとも意図があって写真撮影を許したのか。ボーイングはCBARS選定で採用されないのであれば試作機は飛行させる予定はないと言っているが選定ではまず一社選定して試作機製造させてから量産決定することになっている。

写真を見て他にわかることがあればぜひ教えてもらいたい。■

サウジアラビアがイスラエル製アンアンドーム等装備の導入に向かいそうだ

中東で北朝鮮に相当するのがイランと言う理解でいいのでしょうか。共通の敵を前に今までは考えられなかった組み合わせが実現しているようです。サウジアラビアは脅威に直面しなりふり構わずイスラエルと手を組むのでしょう。イデオロギーより現実の方が重要という例ですね。



Saudi Arabia is reportedly looking at buying Israel's anti-missile Iron Dome system

サウジアラビアがイスラエルからアイアンドーム対ミサイル装備導入を検討か
Iron Dome Israelガザ回廊から発射されたロケット弾にアイアンドーム防衛システムが対抗した。イスラエル沿岸都市アシュケロンにて。July 5, 2014. AP Photo/Tsafrir Abayov


  • サウジアラビアはイエメンのフーシ反乱勢力からミサイル攻撃数波を受けている
  • アイアンドームは実績が最も優れたミサイル防衛装備の一つ
  • サウジアラビアがイスラエル製装備を検討するのは両国にとってイラン対策を真剣な証拠だ



BERLIN – サウジアラビア政府がイスラエル製ミサイル防衛装備アイアンドームの調達でイエメンでイラン支援を受けるフーシ派の攻撃に対抗する案に前向きとスイス紙Basler Zeitungが報じている。
同紙によれば「リヤド在住のヨーロッパ武器販売業者」がサウジがイスラエル軍事装備数点の購入を検討中でアクティブ防護システム(APS)トロフィーも対象と述べている。同システムはラファエル高性能防衛システムとイスラエル航空宇宙工業のエルタグループが開発した。
Basler Zeitung紙はサウジ国防専門家がUAEのアブダビでイスラエル製軍事技術を検分したと伝えている。
サウジアラビア王国はイスラエルと国交がないが、スイス紙はサウジ-イスラエル間の情報関係協力が「さらに進んだ」と報じている。
中東問題の専門家によれば安全保障門で接近が進む両国が軍事面で協力関係を強化するのはイランの中東への影響への対処という共通目的があるためだという。
イランの代理を務めるフーシ勢力は弾道ミサイルを再氏首都、空港、さらに王の宮殿へ発射している。サウジアラビア、米国はともにイランがフーシにミサイル他軍事援助を提供し地域の安定を崩そうとしていると非難。
フーシによる12月のミサイル攻撃についてサウジ主導のイエメン展開連合軍報道官トルキ・アルマリキは「武装フーシによるこの侵略的かつ無謀な行動はイラン政府によるフーシ支援が引き続き行われている証拠だ。目的はサウジアラビア王国の安定をくずすことにある」
「イラン製弾道ミサイル兵器がテロリスト集団の手にわたっていることは地域のみならず国際間の安定にも脅威となり人口稠密都市を標的とするのは国際人道法にも違反する」(アルマリキ)

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米空軍ISR「フライトプラン」でわかる今後の動向

Air Force ISR ‘Flight Plan,’ Industry Day Coming: Stealth, Space, Cyber, & AI 米空軍ISRの「フライトプラン」が業界向けに発表され、ステルス、宇宙、サイバー、AIの活用をうたう


B-21爆撃機はステルス偵察機、情報収集機として敵領空内に深く侵入する

 By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on January 05, 2018 at 1:00 PM

CAPITOL HILL: 米空軍がハイテク開発のロードマップ「フライトプラン」を情報収集監視偵察の強化にむけてまとめている。無人機を際限なく調達して一層多くの情報を収集し、解析要員を限りなく雇用することは不可能とISR担当参謀次長ヴェラリン・「ダッシュ」・ジェイミソン中将 Lt. Gen. Veralinn “Dash” Jamiesonが説明している。新戦略では衛星、サイバー空間、F-35やB-21のような高性能航空機材、さらにインターネット上の一般公開情報に加え、人工知能も動員して莫大な量の情報分析に役立てるとある。
Air Force photo
ジェイミソン中将

構想では五か年国防計画 Five-Year Defense Plan (FYDP) への予算投入を2035年まで重視するとジェイミソン中将が説明。文書として完成するのは今春だが2月2日業界向けイベントでその先に説明する。
「ISRフライトプランでは情報収集監視偵察活動を宇宙、航空、サイバーの各分野でどう進めるかを検討する」とジェイミソン中将は空軍協会ミッチェル研究所主催のイベントで記者団に語った。
「DoD以外でどんな手段が他に使えるのかという点が最重要」とジェイミソンはペンタゴンの調達制度で開発されている「精巧なまでに」特化した高価格装備に言及している。
武装したMQ-9リーパー
多任務同時実施 Multi-Mission
ジェイミソン中将はマイク・ホームズ大将 Gen. Mike Holmes(航空戦闘軍団)と一緒に新技術の迅速な実戦化を目指しているという。戦闘航空軍団は戦闘機とISR部隊両方を運用しているがジェイミソンとしては境界線をあいまいにして同じ機体でミッションを両方実施させたいと考える。多用途機材なのに一つだけミッションをさせる余裕はないという。
新しい方法論で新装備をめざす。F-35共用打撃戦闘機が第一線に入りつつあり、B-21レイダー爆撃機の開発は時間がかかるがステルススパイ機として敵領空に侵入できる機材になり、敵脅威の位置と標的を捕捉し味方に伝えてくれるはずだ。「次世代長距離センサー機材が『爆撃機』と呼ばれる」とミッチェル研究所を率いるディヴィッド・デプチュラ退役空軍中将は語る。「いまだにF-35やF-22を戦闘機と言う人がいるが、実はちがう」
同時に空軍は既存装備に新用途を見つけられるはずとジェイミソン中将は言う。MQ-1プレデターやMQ-9リーパーに偵察ミッションやヘルファイヤーミサイル攻撃をさせる。だが空軍の定めた機材別任務命令Air Tasking Order (ATO)制定ではいまだに無人機をISRまたはCAS(近接航空支援)用と定義しているが、無人機で両方を一度に実施できる。

Army TRADOC graphic
最新版の多ドメイン戦闘の概念図改訂版では第七領域として「戦略的深部攻撃」を加え陸軍の担当範囲を超えつつ空軍の担当でもないとしている。「攻撃」を航空攻撃、ロケット攻撃、からサイバー攻撃まで広範囲にとらえており、従来の地理区分上の戦闘帯を超えている。

多ドメイン Multi-Domain
既存、将来双方の機材でミッションを多様に行わせる以外に、ジェイミソン中将は空中ISR機材に宇宙やサイバー空間で集めた情報を統合させたいと考えている。このためチャンス・「ソルティ」・サルツマン准将Brig. Gen. Chance “Salty” Saltzmanの協力を得る。准将は空軍が新しく提唱する多ドメイン指揮統制Multi-Domain Command & Controlの実現でカギを握る人物だ。
MDC2は空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将本人が高い優先度を置く構想で、単一ネットワークで空軍が運用する三つのドメインである空中、宇宙、サイバー空間内のセンサー、攻撃、支援の各機材を接続することがねらいだ。これを陸軍の多ドメイン戦闘Multi-Domain Battle構想にリンクさせる。陸空軍それぞれの多ドメイン構想ではあらかじめ担当分野を定めているが攻撃を仕掛ける敵への対応では担当にこだわらずすべてを統合していく。
次世代統合作戦の調整には大量の情報を収集、共有し活用することが必要だ。「多ドメイン指揮統制機能とはデータ融合で戦術面より上に情報を取り出すことと見ている」とジェイミソン中将は報道陣に語った。
ロッキード・マーティンのMDC2 ウォーゲーム
データ駆動 Data-Driven
多ドメイン指揮統制の一部としてジェイミソン中将は「来年再来年に」空軍がISR要員と情報処理技術部門をまとめて「データから意思決定へ」のソフトウェア実験を行うと述べた。ねらいは生データを意思決定権者に役立つ情報に変換する作業の整流化だ。
現在の情報入手は運用機材やセンサーの種類に依存することが多いとジェイミソンは述べる。分析官が手動で大量の情報から有益な情報を苦労して仕分けしており、無用な情報の山となることもある。そうではなく、空軍は「情報を武器と見て」収集方法を考慮の上、機材や兵器と同様に活用する必要があると説く。
フロントエンドではISR作業を指揮官の実際の必要に応じてカスタム化を進めるとジェイミソンは説明。例として「MQ-9に『プラグアンドプレイで各種センサーを使い分ける』オープンミッションシステムがある」と述べた。
バックエンドの解決策の一つが人工知能の利用で情報分析官が大量の情報を処理するのを助けることだ。巨大データセットで特定のパターンや異常を見つけるのはマシンラーニングやビッグデータ処理の得意分野だで、担当官に時間を作り人間の創造性と直感を最大現活用させる。そのほかにもペンタゴンのプロジェクト・メイヴン Project Maven(アルゴリズム戦機能横断チーム)とも新規の情報解析ツールの作成で共同作業しているという。

「着任すると参謀総長と次世代ISR機能の実現に向けてどうすべきか率直に話し合いました。これまでは手動作業がとても多くこのままの状態は維持できないのです」(ジェイムソン中将)■

2018年1月10日水曜日

★最新型SM-3ブロックIIAの日本導入決まる


ブロックIIAの米艦艇導入は今年開始ということですから、日本への導入も最優先で考えてもらっているということですか。イージスアショアより先にイージス艦への搭載になるのでしょうか。


Japan cleared to buy advanced SM-3

日本による高性能型SM-3調達が承認

By: Aaron Mehta    

WASHINGTON – 米国務省が日本によるスタンダードミサイル-3(SM-3)ブロックIIA四発総額推定133.3百万ドル購入を承認した。
 SM-3ブロックIIAは日米共同開発の中距離弾道ミサイル防衛装備で海外軍事販売による調達要請が国務省により承認されたこと自体は驚くべきことではない。議会でも反対にあう可能性は考えにくい。
 同ミサイルは昨2月にハワイで初の迎撃テストを行い、イージス駆逐艦またはイージスアショアで運用する。
 製造は主にレイセオンのツーソン工場(アリゾナ)とBAEシステムズミネアポリス施設で行う。最終価格は交渉結果で決まるので前述の133.3百万ドルは変更の可能性がある。
 国務省関係者が日本のSM-3導入の主な理由は北朝鮮だと背景を語ってくれた。
「主要同盟国の政治経済安定と発展がアジア太平洋で今後も継続する手段となる」と同関係者は述べる。「また日本の米国との共同作戦運用をミサイル防衛で高め、同地区内の米軍部隊への防御も強化される」
年夏に日本防衛トップ関係者はワシントンを訪問し弾道ミサイル防衛へ予算投入を増加させると確約しており、9月には日本がイージスアショアの設置場所を検討中との報道が浮上していた。■

緊急 南北高官会談をどう読むべきか

今回の会談が時間稼ぎなのか、それとも新しい可能性に道を拓くのか画注目です。しかし、金正恩のイニシアチブが大きく働いているのが気になるところですね。「悪」との共存に耐えられないと考える向きは減っていくのか、それとも事態が急変してふたたび緊張が高まるのか、予断を許さない半島情勢です。しかも「慰安婦」合意の検証結果(これ自体が矛盾した内容でしたが)も同日にソウルで発表されたのは韓国のねらいこそ正気を疑われかねないものになっています。著者は核拡散防止等を目指す民間シンクタンク Ploughshares Fundの主宰者。


North and South Korea Have a Breakthrough. What Next?

南北朝鮮に突破口が生まれた。次は何か
Ri Son Gwon shakes hands with South Korean counterpart Cho Myoung-gyon after their meeting at the truce village of Panmunjom, January 9, 2018. Reuters/Korea Pool

January 9, 2018


1月9日、南北朝鮮は高レベル協議を二年ぶりに非武装地帯で開催した。主要議題は北朝鮮の平昌冬季五輪(2月9日-25日)参加だったが、広範な対話への含みはあきらかだ。
タカ派は協議は「罠」で「くさび」として韓国を米国から引き離す狙いがあると警戒するが、今回の話し合いで核戦争寸前の状況から一歩後退するので歓迎する。開戦を食い止める能力は韓国に十分にあり、同時に米国と強い軍事同盟関係を維持している。
ドナルド・トランプ大統領は南北対話を支持している。ニッキ・ヘイリー米国連大使は金正恩が正月メッセージで韓国へ対話提案を突然し冷笑していたのだが。
トランプも当初はヘイリーと同意見でツイッターで「こっちにも核ボタンはあり、もっと大きく強力だ。しかもこちらのボタンは実際に作動する」と述べ、精神状態への疑いを広く招いた。事実マイケル・ウルフの新著Fire and Furyではトランプの北朝鮮核攻撃の脅かしのエピソードに触れている。
だがトランプはその後、トーンを変え南北協議支持にまわり、自身の功績とまで主張。「会談対話が南北で実現するのは強くしっかりした北に対するこちらの総合「力」があってこそだ。話し合いはいいことだ」
会談からすでに進展が生まれている。北朝鮮はフィギュアスケート男女ペアを参加させると同意し、国際オリンピック委員会は選手登録を延長し南北対話を助ける。開会式では南北朝鮮選手団が一緒に行進する。会談数日前に南北ホットラインが再開した。米国も韓国の要望に応じ大規模米韓演習はオリンピック閉幕まで行わないこととした。
会談は翌日も継続し、北朝鮮は李善権Ri Son-gwon「祖国平和再統一委員会」委員長を送り込み、韓国は統一相趙明均Cho Myoung-gyonを参加させている。両国が副大臣が団長だ。韓国報道機関は今回の協議から金剛山観光やケソン工業団地の再開、離散家族再会へ期待する。両国代表団はすでに各問題で長く交渉の経験がある。
米国内タカ派には今回の協議をチェンバレンのミュンヘン会談に例える動きもあり懸念を深めているが、米政府関係者に南北協議そのものへの反対はない。先週金曜日、レックス・ティラーソン国務長官は協議は「北朝鮮から話し合いたいとの姿勢のあらわれ」と述べ、トランプも日曜日に「まず両国はオリンピックを話す。出発点だ。大きなスタートだ」とツイートした。
同盟弱体化の心配に文在寅大統領は1月5日に「北朝鮮に下手に回ってまで対話を実現するつもりはない。これまでとは違う」と強調していた。保守派の朴槿恵大統領弾劾を受けて当選した文は北朝鮮に接近し懐柔すると公約していた。
北朝鮮に同様の態度を示したのは盧泰愚大統領(2003-08年)で米側にはやはり保守派のジョージ・W・ブッシュ大統領が重しになっていた。盧はブッシュ政権内のタカ派ジョン・ボルトン国連大使やディック・チェイニー副大統領などから目の敵にされていた。
今回も現政権内のタカ派が話合いそのものに反撥していわゆる「血だらけ」軍事対北朝鮮攻撃をリークするかもしれない。作戦は北朝鮮に反撃のチャンスを与えずに「北朝鮮目標を攻撃し平壌を血だらけにしこれまでの行いの代償を支払わせる」。専門家は金正恩の権力基盤が軍事力を背景とするため米攻撃を受けながら反撃の事態が発生しないとは考えにくいと大部分が見ている。
米韓同盟の「くさび」になりかねないのは米軍事行動の構想だ。文大統領は米国による対北朝鮮攻撃リスクを北朝鮮からの攻撃と同等に評価している。「北朝鮮が誤解して核兵器で我が国を脅かす事態あるいは米国が先制攻撃を実施する状況は阻止しなければ」と昨年11月に述べている。
トランプ大統領の精神状態を疑う声が大きくなる中、文他世界各国の指導者は米国指導力のブレに信をおくより自前の外交力の活用で打開策を求めようとしている。
そうなると進行中の南北会談は合同オリンピック選手団や二か月の「オリンピック休戦」より高い次元の意味が生まれそうだ。北朝鮮のオリンピック参加は南の譲歩を引き出して北に有利に働き、国際社会に対して同国の「平和愛好」姿勢を見せつける効果が期待できる。だがそれ以上に今回の突破口からオリンピック閉幕後も北の核・ミサイル問題を正面から話し合う道が開けるのではないか。
現時点ではエスカレーション回避と韓国支援が当座の目標だ。北朝鮮の核・ミサイル問題は米国が加わるまで議題にならないだろう。ジェイムズ・マティス国防長官も1月5日に「南北朝鮮の問題であり当事者でない国は深入りすべきではない」と語っているではないか。
共同軍事演習の実施時期は4月に変更されたが中止ではない。ワシントンが「フリーズにフリーズで対応する」取引(北朝鮮がテストを中止すれば米韓演習も中止する)に合意すれば米朝直接交渉が始まると信じるのであれば危険すぎる。もし北朝鮮が軍事演習の軌道修正含む内容で妥結を目指してこれば、韓国は米国を協議の場に加えるよう主張すべきだ。
果たして米国がテーブルに加わるか、果たして外交で世界最大級の核危機状況が終息するかはすべて米国史上最も予測不可能な大統領の気まぐれな気性と政治生命次第というのが不幸な点だ。■
Joe Cirincione is president of Ploughshares Fund.
Image: Ri Son Gwon shakes hands with South Korean counterpart Cho Myoung-gyon after their meeting at the truce village of Panmunjom, January 9, 2018. Reuters/Korea Pool

シリア上空のロシア機危険飛行行為はF-22をスパイのためと米空軍が説明

シリア上空での危険な事態について以前はロシア発の情報としてお伝えしていましたが、米軍側の見解が出てきました。やはりものごとは両面から見ないと実態がわかりませんね。


Aerospace Daily & Defense Report

Is Russia Spying On U.S. Stealth Fighters In Syria?

ロシアはシリアで米ステルス機をスパイしているのか

米空軍F-22ラプターがKC-10エクステンダーから空中給油を受け離れていく。不朽の決意作戦の一環としてシリア上空で。昨年撮影: USAF

Jan 5, 2018Lara Seligman | Aerospace Daily & Defense Report
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シア軍パイロットがイラク、シリアの航空作戦を利用して米軍機とくにステルスF-22ラプターの情報収集に励んでいる。
対イスラム国戦で米軍作戦の情報と戦術が「宝の山」のように手に入ったはずとヴェラリン・ジェイミソン中将(ISR担当空軍参謀次長)が議会で1月4日明らかにした。米軍機とシリア上空で隣り合わせに飛行する中でロシアは米軍機とその戦術で「貴重な知見」を入手したと中将は強調。
「敵側はこちらを注視しており、こちらから学び、イラク特にシリア上空でこちらの作戦実施方法の宝の山を掘り当てている」
ジェイミソン中将は具体的な機種に触れなかったが、ロシアが米第五世代戦闘機の実戦投入状況を初めて目にしたのは事実だ。F-22はシリアで2014年に初めて実戦投入された。
ロシア機がF-22に異常接近するのは日常茶飯事でロシアは同機の情報を収集している可能性は十分ある。
最近もF-22がロシア機と空中衝突を辛うじて回避した事案があった。12月13日にSu-25二機編隊がユーフラテス川東側の連合軍側空域に侵入した。パトロール中のラプター二機編隊がただちにSu-25を迎撃に入り、チャフやフレアを放出し緊急時防護周波数で数回にわたり空域退去をロシア機に求めた。
うち一機のSu-25がF-22に接近したのでラプターパイロットは「過激な操縦」で空中衝突を回避せざるを得なかったと空軍は説明。また別のSu-35が川を越えて侵入したためラプターが追尾した。このロシア機は連合軍側空域に40分滞空して西方面に戻った。
この12月13日の出来事はかなり危険だったがロシア側が川の西側に留まる口頭合意に違反するのはこれが初ではない。米軍パイロットはイスラム国戦闘員が敗退する中で警戒すべきロシア側の行動が増えていることに気づいていた。Aviation Weekが11月に合同航空作戦センター(CAOC)やアルダフラ基地(UAE)を訪問して確認している。
11月初めからロシア機が米および連合軍の領空に飛来するのが連日6-8回、つまりロシア・シリア側のフライトの1割になったと関係者は述べている。

悪いことばかりではない。シリア作戦で米パイロットもロシアの作戦内容を研究する機会を得たとジェイミソン中将は述べる。特に今回はロシアが精密誘導兵器を投入する過程をつぶさに見られ、航空出撃時間の長さや指揮命令機能、ISRや空中給油の状況を観察できた。■

★韓国が空母保有を表明した背景とは

ちょっとしつこいのですが、韓国が空母機能を追い求める理由について考えてみましょう。日本とは戦略の方向性が違う韓国が日本の方ばかり見ているとしたら大変不幸なことだと思います。韓国がこの構想を現実にするとしたら西側陣営に残る最後の試みになるかもしれません。


South Korea May Turn Its Assault Ships into F-35 Armed Aircraft Carriers

韓国が強襲揚陸艦をF-35運用空母に変えようとしているが
January 5, 2018


国は保有する強襲揚陸艦を空母に転用するのか。聯合通信配信の記事では韓国軍関係者が14千トンの独島級揚陸強襲艦でF-35B搭載を検討中という。
「軍上層部がF-35Bを小規模導入し就役済み艦、建造予定艦での運用を検討した」と記事が匿名軍事筋の話を伝えており、「知る限りでは構想は同艦の戦略価値を最大限にする意味で重要視されている」とも述べたという。別の匿名筋は「F-35B運用が独島や新造艦で可能なのか検討を継続する」という。
独島級は一隻が就役中でもう一隻の建造に入っている。初号艦は2005年進水し2007年に就役した。その時点で韓国は三隻を建造するつもりだったが予算制約で二隻になり、一時は二号艦予算も削除されたが現在は回復している。満載排水量は18千トンではヘリコプター15機と海兵隊員720名を搭載する。
韓国は共用打撃戦闘機開発に関与しており、F-35A40機導入を2014年に67.5億ドルで決定した。ただしF-35BSTOVL型が独島級での運用に必要だ。このため韓国が聯合通信記事通りに案を実現するのならF-35Bを追加調達し揚陸強襲艦を固定翼機運用に改装する必要がある。
どこかで聞いた話との感覚になるのは日本が全く同じことを計画中との報道があるためだ。日本が巨大ないずも級ヘリコプター駆逐艦2隻を改装するとの記事はたくさん出ており、やはりF-35Bを運用するとある。
いずも級でF-35B運用を可能にする改装が先に報道されており、匿名筋によると「飛行甲板の端にカーブ付きランプを追加し、飛行甲板の熱耐性を引き上げ、航空管制能力を強化する」のが内容だという。聯合通信記事も同様に独島級の飛行甲板をF-35Bの高温度排気に耐える形にするとしている。いずもと独島のちがいは排水量だ。National Interestに多く寄稿しているロバート・ファーレイは「14千トンの独島級はいずも小さく、性能は低くなる。独島は大改修でF-35B運用が可能となるはずで、二号艦でも大幅改修が必要だ」と解説している。ただ決定的な欠陥ではなく独島より若干大きいだけの軽空母は存在する。それでもファーレイは独島級が小型空母に転用されれば揚陸能力はあきらぜるを得ないと書いている。
ここで重要な疑問が生まれる。なぜ日韓両区が疑似空母の取得に急ぐのか、他の重要機能を犠牲にしてまで急ぐ理由は何か。つまるところ日本も韓国も外洋海軍力で兵力投射を遠距離地点に行おうとしているのではない。日本政府は中国が陸上航空基地を開戦当初に攻撃する前提で小型空母が必要と考えている。ファーレイの指摘のようにSTOVL機なら奇襲先制攻撃を受けても有効活用できるのだ。
聯合通信記事は韓国にとっての必要が明確に示していないが、日本報道が出てすぐに表れたことから自国の面子が相当大きな意味をもっているようだ。日本の意思決定でも同様に見栄が大きな要素になっている。と言うのは記事が出てきたタイミングは中国初の国産空母の完成が近づく中で出てきたためだ。皮肉なのは空母に将来があるのかと疑問を呈するものが米国で多くなっていることで、アジアで中国、ロシア、インド、日本、韓国が空母取得に走る中で、急ぐ背景に本当に意味の戦略的考察があるのか明らかではない。■
Zachary Keck (@ZacharyKeck) is a former managing editor of the National Interest.

Image: Reuters

ロサンジェルス級攻撃型潜水艦はいまだに十分な戦力を有する

ロサンジェルス級の量産は米国にとって非常によい投資だったと思います。ヴァージニア級はさらに能力が高いと思われますが、ロシア等の潜水艦技術の進展に対抗できる状態を長く続けるのが肝要ですね。


The Navy's Los Angeles–Class Submarine Is Old (But It Can Take on Any Sub on the Planet) 米海軍ロサンジェルス級は老兵になったがどの艦にも勝てる実力を保持している

January 5, 2018


ロサンジェルス級原子力攻撃潜水艦は冷戦時の米潜水艦として最大の成功をおさめた艦であった。米国は62隻建造し、これを上回るのは第二次大戦中のゲイト―級だけだ。高速かつ強力な武装を搭載した同級は徐々にヴァージニア級攻撃潜水艦に交替されつつある。
ロサンジェルス級は688級とも呼ばれ原設計は1970年代初めだ。一号艦USSロサンジェルス(SSN-688)は1976年建造された。冷戦を背景に年間3隻から5隻のペースで建造が進んだが現在のヴァージニア級は年間2隻だ。建造は20年間に及び、各型が生まれ推進方式、艦首艦尾ソナー、船体素材が改良を受けその時点の最新技術が導入された。
全長360フィート(約110メートル)潜航時排水量6,927トンのロサンジェルス級は先代スタージョン級より全長で20パーセント、排水量が50パーセント大きい。最高速度も増加し、スタージョン級は潜航時26ノットだったがロサンジェルス級は37ノットを出したといわれる。
初期建造はHY-80鋼と艦首ソナーアレイにガラス繊維強化プラスチックを使った。公式発表の最大深度は650フィート(約200メートル)だった。実用深度が950フィート(約290メートル)との情報もある。緊急時の最大深度は1,475フィート(約450メートル)と伝えられている。
涙的型船体を最初に導入したのはスキップジャック級で潜航舵をセイルにつけていた。ロサンジェルス級最終建造23隻では艦首に移して強化セールで北極海での浮上に備えた。ソ連のタイフーン級弾道ミサイル潜水艦が北極海運用を想定したことへの対抗だったらしい。
「世界の戦闘艦艇」によれば各艦にジェネラルエレクトリックS6G加圧水原子炉一基を搭載し蒸気タービンから35千馬力を生み7枚ブレイドのプロペラを回転させる。最終型数隻ではポンプジェットが採用された。緊急時の推進力用にディーゼル発電機とバッテリーも備える。
センサー装備の中心はBQQ-5ソナーで建造年次に従いBQQ-5A(V)1、BQQ-5Cから最終的に BQQ-5Dに変化した。後者はシーウルフ級にも搭載される。側面探知にはAN/BQG-5広開口アレイを使い、パッシブソナー探知にも使う。えい航式ソナーアレイの最新型がTB-29細線えい航アレイだ。艦尾の潜舵でえい航アレイを扱い、同時に7基構造の音響対抗装置も運用する。
武装533ミリ魚雷発射管4本が全艦に共通する。発射管は艦首がソナーアレイを収容するため艦体中央に配置した。発射管から合計26本を運用し、冷戦最高潮のころはMk.48ホーミング魚雷、トマホーク巡航ミサイル、ハープーン対艦ミサイル、CAPTOR機雷を運用していた。最終建造23隻には垂直発射管12基でトマホークミサイルを運用し、この方式はヴァージニア級に継承されトマホークミサイル20本の発射が可能になった。
従来からの海中、水上、打撃戦に加えロサンジェルス級では特殊作戦の支援が可能だった。一部艦はドライドックシェルターを搭載し水中要員移動機で12名のSEAL隊員を展開できた他、ゴム小舟艇4基も搭載した。この任務はオハイオ級巡航ミサイル潜水艦、シーウルフ級に継承され、後者ではUSSジミー・カーターが著名だ。
潜水艦任務の一つとして情報収集が長く実行されているが、1990年代から米潜水艦部隊は米陸軍用語の「戦場情報準備」として地上戦の実施前に情報収集を行っている。海中に対戦相手がないままの米潜水艦は敵国の沿岸ちかくに滞留し電子情報収集や監視活動を行う。ロサンジェルス級はこの任務の最前線に立ち、USSアナポリスには写真撮影用のマストを通常の潜望鏡の代わりにつけていた。
62隻のロサンジェルス級建造は1976年から1996年にかけて続いた。全艦が同時に稼働したことはない。一部初期建造艦は1995年から退役し、核燃料交換の高額費用を回避したが、その時点でも建造は続いていた。現時点で38隻が現役だ。シーウルフ級がわずか三隻で建造中止となったのは建造費の高騰と1990年代の「平和の配当」としてだった。このため688級の後継艦はヴァージニア級になり、現在も建造中だ。■
Kyle Mizokami is a defense and national security writer based in San Francisco who has appeared in the Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and the Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

This first appeared in 2016.