2020年11月15日日曜日

第六世代ステルス戦闘機は米国で完成している。予想より10年も早く飛行できた理由とは....

 第六世代ステルス戦闘機は米国が各国に先駆け飛行を開始させたようです。F-35で20年以上たっても完成しない間に技術は一気に次の段階に進んだのでしょうか。また数年で完成したのはなぜでしょうか。今回の記事はその片鱗に触れていますが、はいそうですか、と簡単に納得できない点もあります。ただし、航空機製造の技術体系が大きく変わるパラダイムシフトが米国で実現したのは事実のようですね。

 

USAF

 

国の謎に包まれた第六世代ステルス戦闘機は想定より5ないし10年も早く飛行を開始した。空軍の次世代制空戦闘機(NGAD)構想が始まり数年経過しているが、実機登場は2030年以降と見られていた。

この背景になにがあったのだろうか。考えられるのがデジタルエンジニアリングで試作機、設計図面、技術詳細を仮想再現し、テストや解析を「金属切り出し」より先に完了してしまうことだ。この作業で第六世代ステルス戦闘機は完成したのだろう。

空軍調達トップのウィリアム・ローパー博士がデジタルエンジニアリングを大々的に提唱している。ローパーがデジタルエンジニアリングの論文 “There is No Spoon: The New Digital Acquisition Reality”を発表している。 

「『デジタル三本柱』とはデジタルエンジニアリング・マネジメント、アジャイルソフトウェア、オープンアーキテクチャアであり、これがステルスに貢献する。次のパラダイムシフトは軍用分野でこの三技術で優位を確保することだ。より良いシステムを構築するのではなく、システムをよりよく構築することで、設計が短縮され、機体組立がスムーズになり、アップグレードが容易になる」

仮想シミュレーションや高度コンピュータ技術で設計が迅速化された以外に試作機多数の製造が不要となりコストが下がった効果が大きい。歴史を眺めるとペンタゴンで新型機というと、短くても10年かけ設計審査、各種調達段階を経たのちに試験開発にさらに数年をかけてきた。

ではどうやって第六世代機特有の技術詳細を試作機の飛行前に実現できたのだろうか。ここに高度デジタルエンジニアリングやコンピュータモデリングの妙義があり魔法がある。仕様が多数あってもシミュレートし仮想評価できる。ローパー論文ではデジタルエンジニアリングでは想像、直観といった人間特集の認知力を使い新装備品システムの開発を進めるとある。

大気の状態、空力学の諸現象、熱特徴、機体外部の構成、エンジン性能のすべてが正確に高度アルゴリズムで再現できる。完璧な際限が不可能な要素もあるが、デジタルエンジニアリングの効果は実証ずみだ。こうした効果からローパーがいうようにデジタルエンジニアリングが重要な検討の「水準を上げる」効果を示し、設計陣も可能性の幅を広げた。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why An Air Force 6th-Gen Stealth Fighter is Here Almost 10 Years Early

by Kris Osborn - Warrior Maven

-- Kris Osborn is the Managing Editor of Warrior Maven and The Defense Editor of The National Interest --

Kris Osborn is defense editor for the National Interest*. Osborn previously served at the Pentagon as a Highly Qualified Expert with the Office of the Assistant Secretary of the Army—Acquisition, Logistics & Technology. Osborn has also worked as an anchor and on-air military specialist at national TV networks. He has appeared as a guest military expert on Fox News, MSNBC, The Military Channel, and The History Channel. He also has a Masters Degree in Comparative Literature from Columbia University.* 


2020年11月14日土曜日

北朝鮮海軍がイルカを軍用用途に訓練中か。衛星画像で浮かび上がった疑惑。

 


HI Sutton Image Used with Permission

 

朝鮮がイルカ等を軍用用途に投入するため訓練を展開しているとする証拠が衛星画像で浮上してきた。

 

イルカなど海生哺乳類の訓練で先陣を切ったのは米海軍で、サンディエゴを本拠に海軍用途への利用を模索した。この用途のための投資は並大抵の国では不可能だ。これまでロシア海軍が黒海、北極海の基地で同じ用途を模索している例が唯一だった。

 

画像情報収集により北朝鮮が早ければ2015年10月に同じ目的で作業を開始していたと判明した。西海岸ナンポの海軍施設で確認された。北朝鮮は海軍近代化の一環でこの事業を進めているようだ。

 

衛星画像では造船施設と石炭搬送用ふ頭の間に茶色の水面があり、ここに動物を飼っている。ただしこの囲いは連続使用されていないようで、訓練は付近の海軍部隊が行っている。その後主要施設は同地を流れる川の付近に移動しており、イルカ飼育と思われる活動は2016年10月に拡張された。

 

米海軍、ロシア海軍の事例が参考となる。米国はイルカ、アシカを訓練し、ロシアはシロイルカ、イルカ、アシカを対象としている。米海軍はイルカ等をヴィエトナム、湾岸戦争で実際に利用した。ロシアはシリアに投入しか可能性がある。ノルウェーに現れたシロイルカがロシア海軍の活動と関係していた可能性がある。ノルウェー沖合でロシアがシロイルカに何をさせていたかは議論の的だ。

 

今回の北朝鮮画像の囲いの大きさから対象はイルカと推測される。

 

また養殖魚用の囲いの可能性もある。北朝鮮は近年魚類の養殖に力を入れており、各地で養殖魚を算出している。多くは軍が運営している。だが、囲いの形状が異なる。各地の養殖施設とも異なる。

 

海生哺乳類は訓練すれば海底で物を拾わせることが可能だ。同じ技で海底の物体を検分させることも可能で、ケーブルほかソナーアレイも対象となる。


HI Sutton Image Used with Permission

 

海生哺乳類を海軍基地の防御に投入することも可能だ。また訓練すれば敵ダイバーを見つけ出すこともできる。潜水して侵入する人員はイルカやアシカのスピードにかなわない。またこうした哺乳類は濁った海水や暗い水中でも「視認」できる特徴がある。ただし、ダイバーが味方なのか敵なのか識別はできないので、対象にブイをつけその後の追跡に役立てることしかできない。とはいえ訓練は可能だ。敵の侵入者なら手りゅう弾を投下したり、網で捕獲できる。

 

首都ピョンヤンではイルカ水族館で訓練もしており、その知見が軍用用途に転用されていても突飛な発想ではない。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

New Evidence Suggests North Korea has a Naval Marine Mammal Program


By: H I Sutton

November 12, 2020 4:57 PM

   

 


2020年11月12日木曜日

低地球周回軌道で一時間以内で世界いかなる場所にも貨物人員を送り届ける....米陸軍がこの構想を実現しようとしている

 軍は世界いかなる場所へも補給物資を送れる「ロケット貨物便」に注目している。

 

こんなシナリオだ。戦闘部隊が世界のはてに展開中で、弾薬糧食が必要だ。そこで特別航空補給を要請する。米輸送本部が承認し、貨物を載せた低地球周回軌道便が打ち上げられる。一時間足らずで5.56mm弾、おいしそうなピザのMREが届き、部隊は気分を一新し士気が高まる....

 

補給ポッドを宇宙から送り込む構想はSFのようだが、真剣に検討していると米陸軍は認めている。

 

「80トンの貨物となるとC-17一機分だが、世界中いかなる地点に一時間未満で送り届けられる」と輸送本部司令のスティーブン・R・リヨンズ大将が空輸給油協会開催の10月のリモート会議で発言した。「これからの兵力投射方法を打ち破る形に挑戦したい。ロケット貨物輸送もその一部だ」

 

リヨンズ大将はこれ以前に全国国防輸送協会のイベントでペンタゴンが航空宇宙企業のスペースXと協同研究開発契約を締結し、外宇宙に輸送経路が確立できるか検討すると発表していた。

 

輸送本部は「商用宇宙輸送手段を利用し、まず部品部材、さらにゆくゆくは人員を世界中いかなる地点に迅速輸送することで緊急事態や自然災害に対応できると着目」しているとニラフ・ラッド空軍中佐が述べている。中佐は宇宙輸送の主任研究員である。

 

国防企業間で「宇宙空間を介しての輸送について利用可能性、技術・事業面での実施可能性の検討が進行中で、輸送本部は国防総省のグローバル輸送部隊として役割が与えられる」と同本部は発表している。「貨物人員輸送ではスピードが重要だ。ここに大きな可能性が秘められている」とリヨンズ大将は発言。

 

Senior Airman Ian Dudley, 30th Space Wing Public Affairs photojournalist, photographs an unarmed Minuteman III intercontinental ballistic missile during an operational test at 2:10 a.m. Pacific Daylight Time Wednesday, Aug. 2, 2017, at Vandenberg Air Force Base, Calif.

非武装のミットマンIII大陸間弾道ミサイルがヴァンデンバーグ空軍基地から試射された。

Senior Airman Ian Dudley, 30th Space Wing Public Affairs photojournalist, Wednesday, Aug. 2, 2017,Photo via DoD

 

 

宇宙空間を利用した輸送手段の評価の次段階は来年で、輸送本部は「産業界や戦闘部隊と協力し長距離地点間輸送構想を2021年に実施する」と米陸軍が公表している。

 

「民間宇宙輸送手段を提供する企業が常識を破る手段を開発中でその進展は実に早い。2021年の実証で人道救難物資を送り届けることになるだろう。ロケット輸送ミッションは現実となる」(リヨンズ大将)

 

長期目標は宇宙輸送手段の試作型を製造し、輸送本部に空中、海上、陸上の輸送を補完する手段を今後5年から10年以内に実現することにある。スペースXとの研究契約でこの目標が実現できるかが注目される。

 

「スペースXの最新情報については開発は非常に進んでいるとだけお伝えしておく」とリヨン大将は以前述べていた。

 

一つ確かなのはロケット貨物輸送はハインラインの「宇宙の歩兵」構想につながることで、筆者は構想を支持する。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

 

US Army Developing 'Rocket Cargo' To Transport Gear To Troops Via Space

JARED KELLER16 HOURS AGO


TAGSSPACEXROCKETSOUTER SPACENEWSMILITARY TECHRESUPPLY INBOUNDU.S. TRANSPORTATION COMMANDU.S. SPACE FORCEU.S. ARMYRESUPPLY


2020年11月10日火曜日

F-15EXの納入に備える米空軍。一方、日本向けF-15JSIはEXの機能ほぼ全部を搭載する構想と判明。ただし、フライバイワイヤを除く。

 規製造のF-15が納入されるのは2004年以来となるが、米空軍が準備を進めている。来年早々にボーイングF-15EX二機がエグリン空軍基地(フロリダ)に到着し試験用途に投入される。最新鋭のF-15EXは今後15年かけて200機調達が予定されている。

F-15EXにはイーグルドライバーが熱望してきた装備がほぼ全部ついてくる。フライバイワイヤ制御、兵装装着部の追加、電子戦装備を一新し、高性能レーダー、超高速コンピュータ、一体型燃料タンク、さらに強化構造だ。 


ただし同機は第四世代機のままで、ステルス性能は1974年にロールアウトのF-15Aと大差ない。防空圏内作戦では低視認性が必須とされるので、同機は新型といっても敵防空圏の手前に留まり、防空体制が打倒されるまで待つことになる。


空軍予算にF-15EXが登場したのは2018年のことでジェイムズ・マティス国防長官(当時)がペンタゴンの分析結果を受け入れ、攻撃力増強とともにF-35Aを製造するロッキード・マーティンへ競争原理を働かせる意図もあった。


前空軍長官ヘザー・ウィルソンは空軍は実はF-15EXを望んでいなかったと明かしている。2004年以降の米空軍方針は「旧型機の新造機材」は導入せず、第五世代機に集中するとしていた。


空軍は戦闘機部隊の強化につながるとF-15EXを歓迎したものの、予算はきびしいままだった。もともとF-15C/Dの後継機とされたF-22が、予定の381機調達は実現せず、186機で打ち止めとなった。グローバル規模の部隊展開の要求では機齢が若いF-15C200機を当初想定より長く供用する必要がある。


それから11年経過し、F-15C/D各機は摩耗し、空軍関係者は修理しながらの供用は費用対効果が劣ると指摘している。安全性確保のため高負担の点検を続け、構造部品を使用可能に保つ必要がある。 


F-15EX一号機がボーイングのセントルイス工場で最終組み立てに入っている。ボーイングは自社費用でまず2機の製造を始め、想定より早く完成させようとしており、テストは2021年早々に始まりそうだ。空軍契約は今年7月に公布された。 Eric Shindelbower/Boeing


イーグル部隊の維持が予算を食いつぶすとデイヴィッド・S・ネイホム中将(計画担当副参謀長)が悲鳴を上げている。


旧型機運用で空軍には多方面で負担になっているとネイホムは認めている。「単に経費の問題以外にリスクが高いのが問題だ」と経年変化で飛行制限も発生しているという。空軍はすみやかにF-15EXを導入し、F-15C/Dと交代させるべきだという。


ボーイングはF-15EXの機体価格を80百万ドルとしており、F-35Aと大差ないが、運用コストで差が出る。退役したばかりのデイヴィッド・L・ゴールドフェイン大将はF-35の時間当たり飛行経費が35千ドルのまま変わらないことに警戒していたが、F-15は27千ドルだ。空軍はF-35でブロック4仕様を中心にしたいとするが、同型機の生産はまだ始まっていない。


参謀総長チャールズ・Q・ブラウンジュニア大将にとって、どちらかを選択すればよいという問題ではない。「あくまでも性能だ」とDefense One が主催した10月のオンラインイベントで発言していた。参謀総長は「F-35を重要視する」としながらF-15EXは「機会となる」と述べた。海外顧客がこれまでF-15の性能向上に多大な投資をしてくれたおかげで、空軍は自ら開発投資をせずに第四世代機の強力な性能を手に入れることができる、というのがブラウンのいいぶりだ。

 

サウジアラビア、カタールがあわせて50億ドルを負担し、それぞれの仕様のF-15開発が実現したとボーイング副社長プラット・クマールが10月取材で述べており、米空軍はその恩恵を利用しているわけだ。


F-15EXは実はF-15QA(カタール向け)とほぼ同じである。そのQA型はF-15SAサウジアラビア向けが原型で、デジタルフライバイワイヤを初めて導入している。


クマールは空軍がF-15EXを採用したことで今後海外でも同型機の導入にはずみがつくとみており、イスラエル、日本、カタール、韓国、サウジアラビアを想定している。


「世界各国が米空軍の買い物を注視していますよ」とクマールは言い、「世界各地の既存顧客から関心が寄せられています」。イスラエルが新型F-15に関心を寄せているが、日本はEXと同じ機能を導入しようとしている。ただし、フライバイワイヤは除外されているという


ボーイングのテストパイロットはF-15QAの飛行特性はF-15C/DさらにE型とほぼ同じであるが、性能限界にもっと早く到達できるとし、米空軍の旧型イーグルからの機種転換は楽だという。ただしEXの新型「グラスコックイット」表示に慣れる必要がある。C/D型やE型では1980年代物の計器が今も使用されている。


今年8月に航空戦闘軍団司令を退いたジェイムズ・M・ホームズ大将はEX導入を支持したのは議会が予算を付けてくれたことに加え、機体価格が導入可能で初号機が「生産ラインから出てすぐ飛行可能」だからだと発言していた。ただし、敵防空圏に接近できない制約がつくが、EXは本土防空任務や敵の脅威度が高くない場合に有効に投入できると見ていた。


空軍内部でも将来の部隊編成の姿でた結論は出ていない。当面はF-15EXがF-15C/Dの任務を引き継ぐ。ただし、将来はEXがE型の対地攻撃任務の一部をこなすという。E型は2030年代に退役をはじめる。EXは複座構造だが空軍は同機をパイロット一名で運用すると公式に発言している。

new F-15sGraphic: Dash Parham and Mike Tsukamoto/staff

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「EXはストライクイーグルで運用中の兵器すべてを搭載可能。プラス数点を追加できる」とボーイング関係者は述べる。


ボーイングはF-15EX関連で12億ドルをまず今年7月に受領した。契約では固定価格にコストを付加し、コストに応じ報奨金が出る構造で、200機調達の場合の最大費用を228.9億ドルに設定したが、空軍はこれまで144機の購入しか公言していない。これと別にGEエイビエーションは1億ドルでGE-F110-129エンジン19基をEXテスト機材用に製造する。F-15SA、QAでも同じエンジンを使う。レイセオンテクノロジーズ傘下のプラット&ホイットニーにはF-15EX用にエンジンを自社費用で開発し代替策とすることを空軍が許している。


空軍のかかげる防空計画案ではF-15EXを76機必要としているが、議会は空軍から戦闘機調達戦略方針の提出がないとこれ以上の導入は認めないとしている。


共用性によりF-15C/D飛行隊はF-15EXに三か月以内の機種変更が可能となるとゴールドフェイン大将は述べており、既存の地上支援施設がそのまま使え、新規設備の必要はほぼない。これに対し、F-15C/D部隊がF-35に機種変更しようとすると数年間かかる。機種が全く違うと訓練も必要なためだ。米空軍からすれば迅速に導入可能な点がEXの最大の利点だ。


F-15EXでは今後のアップグレードを視野に入れているとクマールは説明している。


「主翼を改良しており、基地での点検さらに補給処での点検を不要にしました」といい、デジタル技術で再設計した主翼はボーイングのセントルイス工場で作業員10名程度がロボットと製造している。対して以前の型式では86名が作業していた。デジタル製造技術により作業エラーや手直しが減っている。


また「オープンミッションシステムとオープンアーキテクチャ」が特徴とクマールは述べており、空軍のアジャイルソフトウェア開発で「先駆者になるという。 DevSecOpsと呼ばれるソフトウェア開発で時間短縮をねらう方法だ。


米空軍の調達トップ、ウィル・ローパーはF-15EXを「初日から進化する設計」と述べ、進展が著しい通信やデータ共有装備に対応していくと説明している。



F-15EXは「将来の新技術をすばやく搭載可能」で「空軍の技術テスト機材」になれるとクマールは説明している。同機に搭載したコンピュータの処理能力が最速であること、光ファイバーネットワークが搭載され、機内に余裕があることが理由だ。


F-15EXの防御手段はイーグル・パッシブ警告残存システム(EPAWSS)と呼ぶ新型電子戦装備だ。EPAWSSの機能は極秘扱いだが、関係者は各種脅威対象を探知、捕捉、識別し、電子攻撃が可能だと述べている。テスト用EXの最初の二機にもEPAWSSが搭載されるが、ボーイングによればその後のテスト用8機でさらに性能向上させたEPAWSSをテストするという。なお、EPAWSSはF-15Eにも搭載される。


F-15EX価格にEPAWSSは含まれているとクマールは述べ、同様にレイセオンのAPG-82(V) 1レーダーもついてくる。同レーダーは空軍がC/D型、E型に導入を始めている。


80百万ドルの機体価格に含まれるものにスイート9共用運用飛行プログラム、MIDS/JTRS(多機能情報分散システム・共用戦術無線交信システム)がある。これはソフトウェアにより設定変更可能な無線装置だ。目標捕捉システムを搭載した共用ヘルメットは政府支給品として搭載する。


価格に含まれていないのはその他のセンサーで、スナイパーやライテニングポッド、リージョン赤外線捜索追跡(IRST)ボッドが例だという。


またボーイングによればF15EXのペイロードはF-15Eより28パーセント増え、兵装装着ポイントが二つ追加されたという。この追加で装着時の柔軟性が増えるというのが同社の説明である。

F-15EXの機体中央パイロンは全長22フィート、重量7千ポンドまでの兵器を搭載できる。この想像図では極超音速ミサイルを発射している。Sherif Wagih/Boeing


地域作戦司令官の一部からは担当地域を考慮した「別の装備品搭載」を求める声が出た。「2千ポンド爆弾7発を搭載する要求があり、EXはこれが可能で大きな効果が生まれる。その他の地点では目標が多数あるため小直径爆弾28発」の運用が意味を持ってくる。EXはこうした兵装を搭載しながら空対空ミサイル4本を搭載可能で、空対地任務もこなす。空軍はEXを当初こそ空対空任務に投入し、F-15Cと交代させる予定で、空対空ミサイル12本を搭載しながら追加兵装ポイントにはAIM-120あるいはAIM-9が搭載できる。


最初の機体はエグリン基地に契約上の予定より9か月早く到着する。ボーイングは自社資金を投入してまで納入が迅速に行えることを空軍に見せつけた。


「最初の二機は契約交付から数か月で納入できることに興奮状態です。空軍はすぐ機体を飛ばせます」とクマール。「この二機でほぼ二年間にわたり飛行させるとロット1の残り機材が納入され、データ収集に利用します」


サウジアラビア政府はF-15SAの飛行テスト経費を米空軍に支払っており、フライバイワイヤ初の採用となった同型機をテスト部隊があらゆる角度から試している。カタール向けの機体はサウジ仕様機とさして変わらないのでテストの規模は小さく、焦点はレーダー、画像ディスプレイ、コンピューターに当てられている。


EXで新趣向となるのがスイート9運用飛行プログラムと新型兵装管制一式でミサイル試射が必要となる。

 

新型シミュレーターもあるが、F-15C/DあるいはE型用のシミュレーターも最小限の手直しで使えるとボーイングは説明している。また新規に建屋等大型出費が不要だという。同様にF-15EXは国防総省の戦闘演習シミュレーションに簡単に統合できる。


F-15EXでは空軍の通常の性能要求設定手続きやその後に続く開発段階を不要としたので、事業でつきものの各段階通過手順は適用されないいとクマールは述べている。「通常と異なる。マイルストーンCの判断」として重要設計審査ではなく統合設計審査と呼ぶベンチマークは使うのだという。


「すぐ本格生産可能な機体ですので」統合運用テスト評価の「直後に生産に移せる」という。


ボーイングはF-15EXを月産4機のペースで生産する。ここに外国向け機体も含む。だがF-15EXの機数が十分そろうまでF-15C/D部隊は供用を続けられるのか。■                 


この記事は以下を再構成したものです。


Joining Up on the F-15EX


By John A. Tirpak

Nov. 1, 2020


2020年11月9日月曜日

米海兵隊は中国海軍をミサイルで狙い、各地を迅速移動する戦術構想を訓練中。

 

 

海兵隊が火力を迅速展開する新方式で訓練中だ。HIMARSミサイル攻撃を展開すれば海兵隊に実用的かつ残存性の高い対艦攻撃能力が実現する。

海兵隊の迅速展開訓練から西太平洋における米軍の軍事戦略が垣間見える。

 

2018年12月7日に第352海兵燃料補給輸送隊がM142高度機動ロケット発射機(HIMARS)をカリフォーニアのキャンプペンドルトンからユタのダグウェイ試射場まで移動させ、演習を展開した。

 

HIMARSは車輪つきだが自重12トンあり、各種対地攻撃ロケット弾を発射できる。KC-130J輸送機から展開し、訓練弾を発射し、またKC-130Jで原隊に戻った。

 

 

航空機による迅速展開演習は米陸軍が先行し陸軍では「HIMAR迅速展開」(HIRAIN)と呼んでいる。

 

新型装備、新型戦術と組み合わせHIRAINにより米軍部隊は長距離砲兵部隊を迅速移動させ敵軍を混乱させるのが目的だ。この手法で米軍は西太平洋で中国の動きを封じようとする。

 

中国は日本列島からフィリピンへ伸びる「第一列島線」を中国の影響圏ととらえ、中国共産党は貿易、外交、軍事脅威を使い影響力を行使している。有事になればこの列島線で多数地点を占拠するだろう。

 

ペンタゴンはこの動きを困難にしたいとする。航空・海軍戦力が米戦略の中心であることにかわりはないが、地上部隊へも固有の役割が期待される。H.R.マクマスター米陸軍大将(退役)は短期間ながらトランプ大統領の安全保障担当補佐官を務め、陸軍に「陸地からの兵力投射」を期待している。オバマ政権で海軍次官だったジャニーン・デイヴィッドソンも「陸軍に艦船を攻撃させる」よう動いたと発言。海兵隊には陸軍と同程度の装備品が多数あり、敵艦攻撃も可能だ。

 

近い将来の戦闘で中国艦艇が日本あるいはフィリピン近隣の諸島へ向け移動中としよう。海兵隊のロケット中隊が輸送機で諸島の一つに迅速移動し、中国艦へ数発発射する。その間輸送部隊が待機する。「発射するたびに部隊は別の場所に隠れ、次の発射命令を待つ」とRANDコーポレーションが2017年に構想を発表していた。

 

「遠隔島しょ部分の防御を強化し、隣接水域に海軍部隊が展開すれば低コストで戦略上の優位性が大きく確保できる」と海軍大学校のジェイムズ・ホームズ教授も2014年に提案していた。

 

陸軍は構想の一部を現実的な条件で訓練している。2018年のリムパック演習では陸軍HIMARS部隊が除籍した海軍強襲揚陸艦ラシーンをロケット弾5発で沈めた。発射地点は50マイル先で無人機が射撃を調整した。

 

とはいえ、無誘導227ミリロケット弾(弾頭200ポンド)を40マイル先から運用するHIMARSは理想的な対艦兵器とはいえない。

 

そこでHIMARSで誘導式610ミリ陸軍戦術ミサイルATACMS(弾頭500ポンド)を190マイル地点から発射させればよい。2016年に陸軍はシーカーの改良で艦船攻撃の効果を増大する作業を開始した。

 

海兵隊はHIMARS発射機に専用対艦ミサイルの導入を検討中だ。2018年にアリゾナでの試射では、F-35ステルス戦闘機から標的情報をロケット部隊に送信し、命中精度を引き上げようとした。海兵隊のF-35Bは地上のコンテナを探知し、データリンクでGPS座標をHIMARS要員へ送った。

 

HIMARSにより海兵隊に実用に耐えつつ残存性が高い対艦攻撃能力が実現する。そこにF-35を加え、ロケット攻撃の命中精度が向上する。また発射部隊は迅速空輸により敵の反撃を逃れ、敵は所在をつきとめようと懸命になる、という目論見だ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

How Would U.S. Marines Fight China in a War? This Photo Is a Hint.

 

November 7, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Reboot  Tags: MarinesArmyF-35MilitaryTechnologyHIMARS

by David Axe 

 

David Axe is the author of the new graphic novels MACHETE SQUAD and THE STAN.


2020年11月8日日曜日

2020年選挙で負けたのは左翼勢力。保守勢力が2022年中間選挙に勝利すれば、2024年大統領選の勝者は?

 Reuters

 

 

治でも人生同様に願い事すべてがかなうわけではない。現在の潮流のままだと大統領選挙の最終結果を裁判所で決める事態にはならず、ジョー・バイデンが次期大統領になる。筆者の最初の対応はフェイスブック上の民主党支持の友人多数にメッセージを送ることだった。「ジョー・バイデン当選なら、そちらが次の四年間苦しむことになる」

 

選挙結果は収穫でもあり、種まきにもなる。当選しても次回での敗北がはじまっていることもあり、逆も真なりだ。筆者は今回の選挙結果で四つの可能性を指摘していた。

  1. バイデンが大勝し民主党が上下両院で多数になる。

  2. バイデンが辛勝し、民主党が下院を共和党が上院を制する。

  3. ドナルド・トランプが僅差で当選し、民主党が下院、共和党が上院で多数派となる。

  4. トランプと共和党が世論調査に反する結果をだし、共和党が上下両院で多数派となる。

このうち、2と3が一番可能性が高いとみていた。

4.6K

Game Change

 

さて結果だが、筆者の見立てははずれたようだ。

 

当面は民主党支持者の願いが実現し、ジョー・バイデンがドクター(看護師なのか)ジル・バイデンと2021年1月に宣誓式に臨むとしよう。ではその後四年間の米政治はどうなるのか。

 

バイデンの大統領就任で政界地図はどう変わるか。今回の投票結果にヒントがある。民主党支持が堅固なカリフォーニア州でさえ、今回左翼陣営による動議、住民提案、住民選挙はことごとく失敗し、保守勢力の提案が可決されている。ここに選挙民の潮流が見える。ドナルド・トランプが選挙期間中に分断意識を高めたのとは無関係だ。成立した「リベラル」提案の内容はドラッグ保有の規制緩和、厳罰処置の緩和のみだ。これでは左翼リベラル勢力が勝利を威張れる内容ではない。

 

左寄り富豪のマイク・ブルームバーグなど大金を州レベル自治体レベルの選挙に投入したものの、共和党は全米各地で減衰どころか実力を発揮し増勢の動きも示し、政界地図は書き換えられ今後の動向に影響が出てくる。

 

下院では選挙前の大手メディアは民主党大勝を予測し、ナンシー・ペロシが次期議会を仕切るとみていた。上院ではやはり大口献金を左寄り富豪層から受け民主党が多数を占めると見られていたが、共和党院内総務ミッチ・マッコネルは以前同様に共和党多数勢力の中心人物のままだ。

 

皮肉にも今回の選挙結果でバイデン政権が成立しても共和党がトランプ政権時代より有利になる。

 

なぜか。大統領任期の中間点となる2022年に中間選挙が控える。中間選挙ではほぼ毎回ホワイトハウスに控える政党が負けることになっている。1966年に共和党は議員を若返りさせ、1968年のリチャード・ニクソン当選を予期させる勝利を得た。1978年には全国運動中のロナルド・レーガンが共和党立候補者を助け、自身の大統領候補指名の地盤を築き、1980年に大統領に当選し共和党は上院を確保した。クリントン政権中にギングリッチ革命がおこり、アイゼンハワー時代以来初めて共和党が下院で多数派となり、オバマ政権第一期中にも共和党が多数勢力となった事例がある。

 

オバマ、クリントンともに党内で人望があり、年齢も若く、弁舌達者だった。このためともに再選された。だが、弱い指導力(例 ジミー・カーター)、政治的に疎い(例 ジョージ・ブッシュ父)あるいは極端に二重人格かつ予測不可能(例 トランプ)の場合は中間選挙の退潮が自らの再選の望みを絶つ出発点となっている。

 

では2022年の中間選挙はバイデン政権にどんな結果をもたらすのか、トランプが再選してもレイムダック大統領のままで共和党が上院で多数派を維持し、下院でも勝利していた可能性は低い。

 

ジョー・バイデンが大統領になれば共和党に好結果が生まれるといっても過言ではない。

 

トランプの政治遺産が効果を出す可能性も残っている。ドナルド・トランプは一個人であり運動でもある。個人としてずばぬけた強さを誇り、弱点もある。だがそれ以上にその運動は愛国主義、楽観主義さらに弁解の余地なく米国の過去、現在、未来へに対する責任感がもとになった圧倒的な積極性が売り物だ。近年の共和党大統領候補と異なり、トランプは黒人社会、ラティノ有権者と夢と希望を共有した。この二つが今や有権者で比重を増している。国境線堅持を回復するとの公約は二大政党が支持している。だがなんといっても憲法を守る姿勢の健全な姿勢の連邦栽判事をこれだけ多く指名してきた実績がこれから長年にわたり米国民個々人の権利を守る効果を発揮する。

 

ドナルド・トランプ再選が実現しなくても、本人が生んだ運動は今後も米国民全員ではなくても響きつづけるはずだ。本人が表舞台から去っても残したメッセージが輝きを強める場合が実現しそうだ。■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

Why the Left was the Real Loser in the 2020 Election

 

by Aram Bakshian Jr.

 

Aram Bakshian Jr. served as an aide to presidents Nixon, Ford and Reagan and has been widely published here and overseas on politics, history, gastronomy and the arts.

Image: Reuters


次期SSBNコロンビア級の建造にGO。二番艦はUSSウィスコンシンに。12隻建造で核抑止力の維持へ。

 

建造に入る次期弾道ミサイル潜水艦(SSBN)コロンビアの想像図。海軍は同艦含め12隻

を建造する。(Navy)

 海軍はジェネラルダイナミクス・エレクトリックボートにコロンビア級弾道ミサイル潜水艦一号艦の完全建造とともに二号艦USSウィスコンシンの事前調達費用を94.7億ドルで進める契約を交付した。

 

この発表でコロンビア級事業の初期段階が完結した。海軍はコロンビア級を最優先事項としている。12隻建造し、オハイオ級と交代する。一号艦コロンビアは2031年に哨戒航海を開始し海洋抑止力を維持する。

 

DoD契約情報は「コロンビア級一号艦二号艦のSSBN826、SSBN827の建造・試験以外に関連設計作業・技術支援が含まれる」とする。

2020年代後半に建造が本格化し、海軍は毎年一隻の調達を目指す。

 

「実施準備が整った。契約が成立し本格建造に移る」と海軍の研究開発調達責任者ジェイムズ・グーツが述べた。「設計と合わせ事業そのものが従来型の潜水艦以上の成熟度を示している。さらに完成度をあげ、先行建造から本格建造に移る。さらに毎年一隻の建造に移行する」

 

肝心なのは初号艦を予定通り建造することとグーツは続けた。「一号艦を完成するのは大仕事だが、初めてなので重要だ」「ただそれで終わりではない。事業を完結させ国の要求に応える必要がある」

 

二号艦も契約に盛り込まれた。海軍関係者は2024年予定のオプションが行使でき、本格建造費用について協議は不要ということだと解説した。

 

コロンビア事業は巨額規模となる。海軍試算で一隻あたり75億ドルになる。2026年になると毎年一隻のコロンビア級調達になるが、そのためFY21予算で200億ドルを計上していることで規模が想定できる。コロンビア級だけで海軍の建造費を38パーセント消化するが、海軍が中国の脅威を意識して整備が必要と判断しているからに他ならない。

 

1月にコロンビア級の予算規模について海軍作戦部長マイケル・ギルデイ大将は海軍力整備には予算増が必要と述べた。「海洋部門で優勢を維持したいなら、海軍作戦を分散実施するためには、前方で一定の規模で作戦展開するためにはもっと隻数が必要だし、そう、もっと予算が欲しい」

 

ジョー・コートニー下院議員(民、コネチカット)は選挙区にエレクトリリックボート(EB)社があり、今回の契約は潜水艦産業基盤の勝利と評価し、年間二隻のヴァージニア級建造にあらたにコロンビア級が加わることを歓迎した。「EBにとって大きな一歩となるだけでなく地域経済にも将来につながる大きな意味がある」と述べ、「長年にわたる建造技術の蓄積にさらに今後数十年間分の作業が加わり、雇用以外に好影響が生まれる」■

 

この記事は以下を再構成したものです。

 

US Navy inks $9.4B contract for two Columbia-class nuclear missile submarines

By: David B. Larter