2021年8月25日水曜日

カブール撤収最終段階で装備品の破壊を想定する米軍。人員搬送を急ぐが、8月31日までの作戦完了は疑問。一方、タリバンはアフガン国民の空港移動を阻止。状況が流動的すぎる。

 自衛隊もいやおうなしにこうした状況に放り込まれます。今やどんな情報でも活用すべきでしょう。こうした記事が少しでも役に立てばいいのですが。

 

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ハミド・カルザイ国際空港の衛星写真。アフガン空軍や米軍の機材はタリバンの手に落ちる前に破壊する案がある。

 

ミド・カルザイ国際空港に展開する米軍は撤収作戦の最終段階で本国に移動できない装備等は破壊することが判明した。ペンタゴン確認した。作戦終了期限が8月31日に迫っている。米軍部隊は梱包作業に入るが、避難民をどの程度搬送できるかが課題となる。タリバン側はアフガン国民の国外脱出を阻止すると公言している。

 

ペンタゴン報道官ジョン・カービーは米陸軍ハンク・テイラー少将(統合参謀本部で撤収作戦を指揮)とともにカブール撤収の最終段階について述べたが、情勢が極めて流動的だと強調した。カービーは予定通りなら米軍完全撤収は8月31日までに完了すると述べた。

 

「人員装備の撤収は各地の例と同じく展開する」「人員と合わせ装備品の撤収も重要だ。必要なら装備品はハミド・カルザイ空港で破壊処分する」(カービー報道官)

 

報道官は破壊処分の方法について詳しく述べなかったが、撤収期限は確実に近づいている。米軍は7月にバグラム基地で規模不詳だが弾薬類を処分しており、人員撤収を先に完了していた。

 

破壊対象になりそうな装備品には大型かつ高価なものがある。国務省は7機あるCH-46Eシーナイトヘリコプターは持ち帰らず現地で処分すると発表している。ニューヨークタイムズはロケット対抗迫撃砲(C-RAM)防衛装備は米大使館閉鎖時に敷地内で破壊したと報じている。走行できなくなった軽装甲車両も放置された。

 

ハミド・カルザイ国際空港内でアフガニスタン軍所属だった兵器装備品等の破壊命令が米軍部隊に下るかが注目される。米政府は空爆により各種兵装類、装備品を破壊し、タリバンの手に落ちるのを阻止するとの報道が出ている。

 

「こうした撤収作戦では想定外の事態も発生するが、極めて慎重に事を進める必要がある」とカービー報道官は空港での米軍園あ国軍への危険があることを認め、同時に避難民への脅威が差し迫っていることに触れた。「各段階を追って着実に進め安全安心をわが国のみならずその他国の人員に確保することが最上段に来る」

 

また部隊撤収や装備品搬送についてペンタゴンから逐一報告する予定はないとし、「情報の保全で脆弱性を予防するため」とした。

 

撤収の最終段階に疑問が集まるのは、米国人に合わせその他国さらにアフガン避難民の全員を予定通り撤収させるのは不可能だからだ。米軍は空輸能力を日々拡大しているが、避けられない事実としてのしかかっている。本日の記者会見でもテイラー少将から米政府はここ24時間で毎時1,000名を輸送しているが、まだ不足だと認めた。

 

米政府のみならず各国で大きな議論の対象になっているのは期限となっている8月31日を延長できるかだ。G7首脳陣から本日出たせいめいぶんでは「撤収作戦での軍事支援を終了させる一方的な日時設定を回避する」よう求めている。

 

下院軍事委員会のアダム・スミス委員長はハミド・カルザイ国際空港における緊急作戦を継続する緊急対応策があると記者会見で明らかにした。合わせてジョー・バイデン大統領は8月31日期限を遵守する姿勢との報道もある。もちろん緊急対応策があるといっても実施は全く別の話である。

 

その中核部分はカブールでの空輸能力にかかっており、妨害なく進められるか、あるいは最悪の状況はタリバンの意向に振り回されることだ。米政府関係者は米軍部隊がタリバンと衝突している事態は公然の秘密といsており、ワシントンポストは中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官がタリバン共同設立者アブドル・ガニ・バラダーと秘密会合を持ったことを伝えており、撤収期限問題も当然話し合われたはずだ。

 

タリバンは米軍部隊及び各国軍はすべて8月31日までの撤収を求めており、バーンズ-バラダー会談含む米側との交渉結果とは関係ないとする。

 

こうした状況の複雑さに加え、タリバンから本日発表があり、ハミド・カルザイ国際空港に向かうアフガン国民を阻止しているという。「カブール空港に通じる道路は閉鎖した。外国人は通行できるが、アフガン人は使用を許していない」とタリバン広報官ザビフラ・ムジャヒドが本日の記者会見で明らかにした。「医師、技術者等教育を受けた国民は国内で必要だ」

 

米政府や外国政府関連で協力したアフガン人でタリバンの報復を恐れるものがそのまま空港への移動を阻止されることになる。すでにその事態が発生しているとの報道もあるが、タリバンが正式な方針としていることが問題で米政府他各国政府が必要なアフガン人をどうやって国外脱出させるか考えなくてはならない。

 

カブール撤収作戦では米軍他各国軍の今後は不透明なことがわかる。撤収期限延長が実現しないと米軍部隊は期限前から梱包作業を開始する必要がある。撤収作戦は後戻りが効かず、空港内の各部隊のリスクは高いままだ。

 

撤収期限過ぎても米軍をカブールに駐留させることになればタリバンとの交戦をしながら、撤収作戦を続けることになる。保安状況が急激に悪化すれば、米軍部隊のリスクはさらに悪くなり、攻撃を受けつつ撤収を展開することになる。

 

その時点で空輸は装備品より人員に中心をおくことになるのは容易に想像できる。たとえば、ヘリコプター一機でC-17A輸送機の貨物スペースを占領してしまうが、人員なら数百名を運べる。地上支援体制に限界があるため、固定翼機やヘリコプターで空中給油能力がある機体は空中給油を受けている。カブールを最後に撤収するのは米陸軍のエリート部隊である第160特殊作戦航空連隊(SOAR)になりそうだ。

 

こうした状況のもと、各種装備品などは現地で破壊処分を迫られそうだ。

 

Update 3:20 PM EST:

 

ホワイトハウス声明ではジョー・バイデン大統領がG7首脳jとアフガニスタン情勢を協議したとある。声明では米軍の撤収作戦は予定通り8月31日期限のままとあるが、同時にバイデン大統領から「必要に応じ期限を調整する緊急策」を求める発言もあった。■

 

US Prepared To Destroy Equipment It Can't Airlift Out Of Kabul As Withdrawal Deadline Looms (Updated)

With the priority being placed on getting people out of the Talian-controlled country, getting even high-tech weapons out may not be possible in time.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 24, 2021


2021年8月24日火曜日

クイーンエリザベス打撃群が米軍、オランダ軍とフィリピン海で実弾砲撃演習を実施した。

 Royal Navy CSG Fires On Uninhabited Island In The Pacific

英空母打撃群の各艦が太平洋で実弾射撃演習を展開した。 Royal Navy picture

 

 

海軍空母打撃群が実弾射撃訓練を実施した。米国とともにインド太平洋でのグローバル展開は新しい段階に入った。

 

以下英海軍公式発表より

 

HMSクイーンエリザベス、HMSケント、HMSディフェンダー、HNLMSエヴァーツェンで構成するCSGは遠征打撃群7及び第31海兵遠征部隊とともにフィリピン海で無人島にむけ二日間におよぶ集中砲火訓練を展開した。

 

西太平洋マリアナ諸島のファラロン・デ・メディニラ暗礁に向けF-35の三機編隊(2機はHMSクイーンエリザベス、1機は強襲揚陸艦USSアメリカ所属)とHMSケント、ディフェンダー、HNLMSエヴァーツェンが猛烈な攻撃を加えた。

 

米海兵隊の統合攻撃現場統制官 (JTACs) が先に現地に上陸し、F-35及び艦艇による砲撃を調整し、攻撃効果を標的に集中させた。

 

これが二週間に及ぶ英空母打撃群による米軍との共同訓練の幕開けとなった。英CSGはグアム寄港を終えたばかりだ。

演習日程は高密度で初日からF-35編隊が支援し、その後CSG各艦が到着し通信を確立した。

 

F-35B、迫撃砲、海軍艦砲を調整し、大火力が生まれた。

 

「米遠征打撃群7との調整で合同で攻撃力が実現したのは素晴らしい。英国オランダの艦艇にF-35Bが加わった。中口径砲の実弾発射は初めての経験だ」

 

HMSケントの砲撃士官コンラッド・ロルフ中佐がこう語っている。

 

米海兵隊が同島に先に上陸し、迫撃砲陣地を設営した後、艦艇と通信を確立した。海軍部隊は島の西方に展開した。

 

米海兵隊がケント、ディフェンダー、エヴァーツェンの各艦に砲撃位置を指示し、英艦の4.5インチマーク8砲、オランダ艦のオト・メララ127mm54口径砲が砲撃した。

 

「HNLMSエヴァーツェンにとっても英米軍と合流司砲撃を展開したのは特別な機会になった」

オランダ海軍でエヴァーツェン艦長のリック・オンゲリング中佐が語った。

「各国部隊がそれぞれの装備品で訓練を行うこと自体が貴重な機会だ」「地上、空中、海上からの砲撃の合同効果を目にするのはすごい体験だった」(ディフェンダー艦長ヴィンセント・オーウェン中佐)

 

英空母打撃群と米遠征打撃集団7の合同訓練はまだ続く。■

 

Royal Navy CSG Fires On Uninhabited Island In The Pacific

Martin Manaranche  23 Aug 2021

 


MQ-25がE-2Dへの空中給油に成功。無人空中給油機能は着々と実用化に向かっています。

 


MQ-25スティングレイがE-2Dへ初の空中給油を実施した。Aug.18 at MidAmerica Airport in Illinois. (photo courtesy of Boeing)



海軍が開発中の無人艦載給油機がE-2Dへの空中給油に成功した。8月18日、ミッドアメリカ空港(イリノイ州)上空で行った。

 

ボーイング社所有のMQ-25テスト機(T-1)がE-2Dへ燃料を移送した。E-2DはE-2の最新型で2019年に空中給油対応改修を受けていた。「MQ-25はE-2含む各機に空中給油を提供することになる」とチャド・リード大佐(海軍無人艦載航空機材開発主査)が述べている。「今回のフライトでスティングレイの艦隊運用が加速化し、空中給油により空母航空団各機の運用範囲が大きく伸びる」




今回のテストは6月のF/A-18スーパーホーネットへの空中給油成功に続く2回目となった。


今回は6時間に及ぶフライトとなり、海軍試験評価飛行隊20(VX20)所属機がT1に接近し、編隊飛行しつつ、ドローグの伸展ぶりをチェックし、MQ-25テスト機と校正対空速度220ノット高度10千フィートで接続した。テストでは両機間の空流の相互作用の評価も目的とした。結果から誘導制御方法の修正の必要性を判定しソフトウェア改訂を進める。開発日程に影響をはない。


T1テストは数カ月続き、飛行限界性能を順次引き上げていくほか、エンジンテスト、さらに空母艦上取り回しも試したのち、MQ-25の技術製造開発仕様機材が来年納入される。


「MQ-25は海軍航空戦力を一変させる最新技術の無人機だ」とマイケル・フランス大佐(海軍航空指揮統制兵たん航空団(ACCLW)司令)が述べる。「艦隊統合チーム(FIT)がスティングレインの導入を心待ちにしており、同機の画期的な機能による機動力、兵力投射能力の向上に期待している。空母打撃群にとっても初めて敵地奥深くからリアルタイム情報が入るので攻撃決定が迅速に運ぶことになる」


ACCLWはMQ-25をE-2、C-2とあわせ空母航空団に統合する役目を果たす。スティングレイによりE-2Dの戦闘統制機能で有効時間が伸びる効果が期待される。


そこでMQ-25AのFITはPMA-268及びボーイング社とともにエンドユーザーとなるMQ-25操作員には機体テスト中の段階から情報を提供している。海軍は新規に第10無人艦載多任務飛行隊(VUQ-10)を今年遅くに発足させ、その後VUQ-11、-12の二個飛行隊を加える。


MQ-25は世界初の無人艦載機となり、空中給油に加え情報収集監視偵察機能という重要な役割を実現し、空母航空団の有効範囲を拡大し、柔軟かつ威力を持った運用の実現を助ける存在となる。スティングレイは海軍が目指す21世紀の艦隊戦力拡大の一歩となる。


なお、MQ-25ならびにスティングレイは海軍省の商標である。■


今回の記事はNAVAIRの公式発表をもとに構成しました。

MQ-25 achieves another first, conducts air-to-air refueling with E-2D

Published:

Aug 19, 2021


2021年8月23日月曜日

航空自衛隊機カブールへ派遣。一方、米国は戦後三回目の民間予備機を動員し、避難民などの国外脱出を助ける。カブール空港の状況など現地からの情報をご覧ください。

航空自衛隊はC-2、C-130Hを合計3機派遣することになりました。現地情報が混とんとしており危険なミッションになりそうです。再び空虚な政争の材料とすることなく、現地残留邦人や大使館等で日本に協力した現地人を無事脱出させることができるよう祈りましょう。ただし、大使館員が真っ先に脱出したというのはいかがなものなんでしょうか。


USMC

イラク帰還の米海兵隊員がマーチ航空予備基地(カリフォーニア)に到着した。機体はチャーター機。2004年



米軍がこれまで運用されることが少なかった民間エアライン・チャーター会社の機材利用に踏み出した。各社は機材を提供し、有事の作戦要求にこたえる。アフガニスタン脱出作戦が展開中である。20社程度が民間予備航空機部隊に加わり機材乗員を24時間程度提供するがハミド・カルザイ国際空港へ直行せず、中間地点まで運ばれた避難民を最終目的地へピストン輸送することなる。


ペンタゴン発表ではロイド・オースティン国防長官が米輸送軍団 (TRANSCOM)に命じ民間予備航空機部隊Civil Reserve Air Fleet (CRAF)の第一段階を発令する。動員されるのはアメリカンエアラインズデルタエアラインズアトラスエアオムニエアの各社で各社三機を提供する。さらにユナイテッドエアラインズが4機を提供するほか、ハワイアンエアラインズは2機を出す。米軍関係者は合計18機の型式に触れていない。


国防総省、商務省はCRAFを1951年発足させた。ベルリン空輸作戦の経験がその前にあり、民間機を臨時に活用する制度が生まれた。


エアライン、チャーター会社がCRAFに加入しており、TRANSCOMが契約相手となる。加入は完全自発的とされっるが、加盟会社は英字の米軍人員貨物輸送時に優先利用される。


各社機材は性能により国内専用あるいは国際輸送に割り振られる。「国際部門のCRAFに加わる会社は最低でもCRAF任務達成可能な機材が4割あることが条件」と空軍は述べている。CRAF加盟会社は各機に乗員チーム4組を準備する必要がある。米軍では加盟会社は点検整備や安全運航基準も満たす必要があるとする。


2021年8月時点で24社がCRAFに加わっており、提供機材は450機に上る。このうち413機は国際運行に耐える機材で、残る37機は国内専用となる。機数は毎月変動する。また加盟会社数も変動する。何もなければ機材は通常の民生輸送を続ける。


予備機を今回投入するが三段階に分かれる。第一段階が現在進行中で今回のアフガニスタン脱出支援のように地域内緊急事態に対応する。第二段階では投入機数が増え、大規模な戦闘や国家動員体制に備える。


「通告後に加盟会社がCRAF向け機材提供を24-72時間以内に実現することなっており、時間数は段階ごとに異なる」と空軍は説明している。TRANSCOMは空軍の航空機動軍団(AMC)を通じ提供CRAF機材の運用を統括するが、各エアラインがあくまでも自社機材の運用に責任を有する。


予備機材が投入されたのは過去2回しかない。初回投入は1990年の湾岸戦争時で二回目は2003年の米主導イラク作戦の際だった。だがCRAF機材は演習によく動員されている。


「CRAF動員により国防総省は民間航空機の機動性を利用でき米市民や関係人員の国外脱出を進める国務省を支援できる。特別移民査証を有するもののほかリスクが高い個人を脱出させる」とペンタゴンは公式声明を発表。「CRAF機材はハミド・カルザイ国際空港には乗り入れず、臨時安全地帯からの移動に投入される。CRAF動員により空輸能力は軍本来の能力を超える規模となり、軍用機はカブールでの運用に集中できる」


昨日の報道ではチャーター会社でCRAF加盟企業が「警告命令」を受け取り、機体提供が迫っていることを知らされたとある。チャーター便はすでに米軍のカブール空輸の大きな柱で、17千名(大部分が米国人以外)を週末にカブールから脱出させたという。


ただし、避難民処理の能力不足や補給面、手続き面で障害が発生しており、カタールのアルウデイド航空基地のハンガー内ではアフガン避難民多数がすし詰めになっている。避難民は足止めされ別地点に移送されることになっていた。アルウデイド基地での滞留は先週悪化し、ハミド・カルザイ国際空港の出発便が8時間にわたり停止となる措置が8月19日から20日にかけ発生したほどだ。


米国はドイツのラムステイン航空基地へ避難民を搬送しており、さらにカタール、クウェイトが到着地点に加わった。ラムステイン行のフライトでは妊婦が産気づき米空軍第86救命隊が機内で出産を助けた。C-17Aはアフガニスタン国外脱出のイメージと結びついた。


米政府は各国と協議中で避難民受け入れを一時的にせよ求めている。すでに承諾した国もある。ただし、肝心のフライトがまだ実現していない。


CRAF機材の投入で補給面のストレスが減るかもしれない。米軍機はもっと危険なカブールでの運用に集中できそうだ。またハミド・カルザイ国際空港の混雑度も緩和されよう。ランプが不足し一本しかない滑走路を活用せざるを得ず、機体多数が地上待機を迫られている。


これとは別にハミド・カルザイ国際空港へたどり着くのは難問だ。空港を一歩出ると状況は混とんとしており、死の影もあり、保安上の懸念は日一日と増えている。昨日も米国務省から米国民に不特定の保安上の脅威のため空港へ近寄らないよう通達があり、米政府から連絡がある場合に限り空港へ移動してよいとある。その後の報道でISISの一派がアフガニスタンにおり、避難作戦を標的とするテロ攻撃を準備中とある。


こうした状況でフランス・英国の部隊はカブール市内で外国人および高リスクのアフガニスタン国民を空港へ誘導している。ドイツ軍もヘリコプターで同様の支援を提供すると発表した。米軍もカブールで同様の作戦を一例実施した。ペンタゴンは引き続き部隊増派の予定はないとしている。


こうしてみると予定した撤収作戦を米軍が実施可能となるのはまだ数週間先のようだ。とはいえ、この段階でCRAFの投入のみを決めた理由が理解できない。カブールが陥落すれば米政府のため働いていたアフガン国民数千名がタリバンの報復の対象となり、国外脱出が必要となることは以前から想定できていた。8月31日のデッドラインで撤収を完了させる必要があり、CRAF動員が遅れたことは理解に苦しむ。


同時に各国国民をハミド・カルザイ国際空港から妨害なく脱出させられるかはタリバン次第だ。タリバンは権力掌握をねらっているが、国内に武装抵抗の動きも出てきた。米軍は反タリバン勢力を空爆で支援するか明言を避けている。

 

今回のCRAF機材動員はアフガニスタン脱出を迅速かつ円滑に進めるための選択であることは明らかだが、今なぜこれを必要なのかは今後説明が必要だろう。■

 

What The Civil Reserve Air Fleet Is And Why It's Been Activated For The Third Time In 70 Years

 

The fleet can dramatically bolster the Pentagon's own air transport capabilities and that is what it will do for the evacuation of Afghanistan.

BY JOSEPH TREVITHICK AUGUST 22, 2021

 

 

Contact the author: joe@thedrive.com



 

タリバンが捕獲した航空機等装備品は脅威にならないとしながら、落ち着いたら空爆で破壊を目指しそうな米軍の今後の動きに注目だ。

  

アフガニスタン・カンダハール基地のフライトラインに駐機中のA-29に向かうアフガン軍パイロット。Sept. 10, 2017, at Kandahar Airfield, Afghanistan. (Staff Sgt. Alexander W. Riedel/U.S. Air Force)

 

リバンがカンダハール飛行場を占拠すると、機体とポーズをとる戦闘員の写真がソーシャルメディアにすぐ現れた。米製ブラックホークやソ連時代のMi-17ヘリコプターの姿が写っていた。

 

次にマザリシャリフ空港を占拠し、さらに写真が流出し、A-29攻撃機やMD-530多用途ヘリコプターの姿が写っていた。

 

そしてアフガニスタン全土がタリバン支配下になると、今や問題はタリバンがアフガン空軍機材を入手するかではなく、何に使うのかになってきた。また米軍はどんな手を打つのだろうか。

 

アフガン空軍の保有機材211機のうち167機の固定翼機回転翼機が6月30日時点で稼働状態にあったとアフガニスタン再建担当特別監査官報告にある。

 

うち何機がタリバンに捕獲されたか国防総省から発表は出ていない。一部はアフガン空軍パイロットが国外へ移動させているものの総数も把握できていない。

 

ペンタゴンでの記者会見でハンク・テイラー少将(統合参謀本部地域作戦副部長)がこれ以上の機材の捕獲を防ぐべく米軍が何らかの行動を取る情報はないと8月16日述べている。

 

アフガニスタン従軍経験のあるブラドレー・バウマンはブラックホークパイロットで今回の米軍撤退を苦々しく思い、Defense Newsに対し、「ハンヴィー数百両、火砲その他装備に加え航空機も捕獲されたのは間違いない」「米軍に困った事態になる。こうした装備の予算を出したことだけでなく、タリバンが利用するからだ」と述べた。

 

バイデン政権は最高優先順位をアフガニスタンからの米国人脱出に置くべき、とバウマンは言い、アフガニスタンに残留する米製装備をことごとく破壊すべきであり、アフガン空軍の機材も同様だと述べた。

 

「今これを実行すれば、タリバンもカブール空港の撤収作戦への妨害をやめるはず。米国人全員が国外に出て、同時に協力してくれたアフガン国民も脱出させられる」

 

「これがすんだら、タリバンの捕獲機材すべてを破壊すればよい。絶対これを実行すべきだ」

アフガン空軍はA-29攻撃機を23機、C-130輸送機4機と軍用仕様のセスナ・キャラバン33機を運用していたことが特別監査官報告書でわかる。

 

ヘリコプターは150機ほどで、UH-60ブラックホーク多用途ヘリのほか、武装型MD-530に加えソ連製Mi-17もある。

 

中でも最も威力があるのがA-29スーパートゥカーノで、ブラジルのエンブラエルが製造し米企業シエラネヴァダが米製センサーや兵装の統合を担当した。

 

ジェット戦闘機並みの速力、機動性はないものの、A-29はゲリラ戦に最適化し、低速低空飛行で地上標的を狙う。同機は比較的未熟なパイロットでも操縦でき厳しい環境でも飛べる。

 

こうした特徴からアフガン空軍に最適の機材であるが、米軍に脅威を与えないと戦闘航空軍団を率いるマーク・ケリー大将は評している。

 

「M16銃からA-29まで敵の手に落ちた装備に心配があることは理解できるが、実際にどう使われるかは不明だ」とケリー大将はDefense News取材の8月16日に述べていた。「ただしA-29は最先端技術の機体ではない」「同機の性能やコンピュータ処理能力はこちら側を心配せせる内容ではない」

 

タリバンが捕獲機材を売却するとしても、ロシアや中国を利する機密技術を搭載した機材は皆無だとTealグループの航空宇宙アナリストのリチャード・アブラフィアは解説している。「ロシアや中国にとってスーパートゥカーノや初期型のブラックホークの入手は簡単だが、搭載技術はきわめてローテクだ。」

 

捕獲機材を運用したくてもタリバンには数々の障害が横たわる。

 

まずタリバンには訓練を受けたパイロットが不足しており、各機の装備を使いこなせず、兵装の運用ができないとケリー大将は指摘する。「それでも飛行させるのは可能だろう」「だが地上攻撃の前に自分たちの安全が危険となる」

 

最終的にタリバンも訓練を受けたパイロットを確保するだろうが、「こちら側の真剣な脅威になるとは思えない」とケリー大将は評した。

 

タリバンにはもっと大きな障害があり、それはコストであり、専門知識であり、機体維持に必要な補給支援活動、飛行前後の活動であり、保守管理や必要部品の調達だ。だが、解決が不可能な課題ではないとバウマンも指摘する。「タリバンがパイロットを見つける可能性があり、こうしたパイロットが寝返る可能性もある」「米国に反する外国が援助する可能性もある」

 

これに対しアブラフィアは搭載兵装がアフガニスタン市民あるいはその他国の住民に向けられればタリバンの目指す国内統治の効果を下げることになると指摘。

 

「いったん間違えば9/11以前の状況に戻り、テロ集団が同国に集まる」「現時点で組織化された抵抗運動は同国内に存在しない。またタリバンも周辺国に戦闘を挑もうとしていないが、もし挑戦すれば難航するだろう」

 

国外脱出相次ぐ

 

軍用機の多くが国外脱出しており、タリバンが手にできるのは少数機に限られる。

 

土曜日夜にアフガン空軍固定翼機、ヘリコプターがそれぞれ3機と2機タジキスタンに到着し、ヘリコプターには143名が乗っていた。タジキスタンは各機に着陸許可を与えたとニューヨークタイムズが報じた。

 

アフガン空軍はウズベキスタンへも脱出している。

8月16日にウズベキスタン検察庁は機種不詳の固定翼機22機、ヘリコプター24機で空軍隊員等585名が8月14日15日の二日間で到着したと発表している。

 

同庁からはA-29だけで3機が着陸許可を8月15日に申請し、ウズベク空軍のMiG-29がエスコートしていたが、MiG-29とA-29で空中衝突が発生したとの発表も出ている。両機パイロットとも脱出し無事だった。■

605

The Taliban have access to US military aircraft. Now what happens?

 

By: Valerie Insinna 

605


2021年8月22日日曜日

核兵器だけじゃない。北朝鮮の化学兵器の脅威をもっと真剣にとらえるべき。本当に面倒な国になっている原因は目的のためには手段を問わないとする思考方法にあるのではないか。

 

NK News

 

朝鮮には5000トンもの化学兵器貯蔵量があり、有事に使用する可能性は高い。

北朝鮮の化学兵器は核兵器の影に隠れることが多くなっている。しかし、危険度は高いままだ。朝鮮人民軍(KPA)が劣勢になれば、化学兵器の投入が一層重要になる。北朝鮮が化学兵器を使用する可能性はほぼ確実で、群衆制御から致死性の高い神経ガスまでの使用が想定される。

 

化学兵器を前線で使えば、局地的戦術的な優位性を実現できる。また航空基地を攻撃すれば敵戦力を無力化できる。北朝鮮にはミサイルや火砲が豊富にあるので、遠隔地攻撃も可能だ。北朝鮮が化学兵器攻撃を非武装地帯からプサンまで南朝鮮全域を対象に展開する事態が発生しそうだ。

 

有事となれば、KPAの化学兵器脅威の除去は運搬手段が多数あることから不可能になる。

 

北朝鮮の化学兵器使用原則

 

北朝鮮は大量破壊兵器の定義を独自に解釈している。核兵器は戦略抑止力と位置付け、金王朝の存続を守るカギだ。北の核兵器は戦時シナリオでは投入想定がないようだ。使用すれば南朝鮮と米国が北朝鮮政権を崩壊させる動きに出るからだ。

 

これに対し化学兵器投入は実際に想定がある。北朝鮮軍は化学戦環境下での運用を日頃から訓練しており、化学防護装備や検知装置は国産調達している。その一部がシリアで発見されている。

 

化学兵器で期待される効果として、まず敵防衛体制の制圧があり、KPAは米韓連合軍に勝利を収めるつもりだ。化学防護服を着用すれば兵員の動きは鈍くなり、防衛体制は分散して化学兵器の効果を最小化しようとする。北朝鮮は化学兵器を初期段階で投入して、戦闘の行方を有利に進めようとするだろう。戦闘が続けば、不確実性が高まり、化学兵器の投入効果は減るどころか逆効果にもなりかねない。

 

北朝鮮が保有する化学兵器の種類

 

北朝鮮は広範な種類の化学物質をそろえており、任務に応じて選択するものと思われる。化学兵器の効果は一時的な無力化から致死性までそれぞれだ。

 

南朝鮮国防部の2012年推定では北朝鮮は2,500トンないし5,000トンの化学兵器を保有しているとある。年間生産は平時で4,500トン、戦時で12,000トンとの推定だ。

 

北朝鮮の化学兵器は五種類に分類される。騒擾対策、窒息性、血液剤、水疱性、神経性だ。このうち、騒擾対策用にはアダムサイト(DM)、CN、CSの各ガスがある。こうしたガスは「催涙」ガスの特徴があり、群衆を解散させるものの健康な成人なら致死性はない。

 

これと別に窒息性ガスがあるといわれ、呼吸系に悪影響を与える効果がある。吸気が短時間でも病院治療が必要となる。より長く吸気すれば死に至る。KPAは塩素ガス、ホスゲンガスを使用するとみられる。

 

血液剤には水酸化シアンや塩化シアンがある。

 

北朝鮮にはマスタードガスもあり、皮膚に作用し水疱を発生するほか、眼球や鼻などの粘膜も悪影響を受ける。

 

さらに北朝鮮には高度の致死性がある神経ガスもあるといわれ、窒息を起こす。サリン、ソマン、タブン、VM、VXがある。

 

運搬手段

 

北朝鮮にはこうした化学兵器の運搬手段が長距離ミサイルから特殊部隊まで多数ある。南朝鮮以遠も攻撃可能で、理論上はロシアや中国の国境地帯も含まれる。

 

重要なのは戦場使用なら比較的短距離運用で事が足りることだ。朝鮮半島は朝鮮中国国境から南端まで500マイルに満たない。ピョンヤンからDMZまで100マイル、ソウルからDMZも120マイルだ。

 

ロケットやミサイルが北朝鮮が化学兵器投入にまず利用される手段となる。米国防総省の2014年推計では北朝鮮の短距離ミサイル発射装備は100基未満で、そのうちToksa/KN-02は射程75マイルで、スカッドミサイルも最大射程は185マイルから625マイル程度だ。こうした装備品は国境付近に配備する必要がある。

 

だがノドンミサイルは射程800マイルで南朝鮮からさらに日本も標的に収める。

 

野砲も化学兵器発射に利用できる。北朝鮮にはロケット発射機5,100門、自走砲4,400門があるとの推定がある。ロケット砲は122ミリ以上、野砲は152ミリ以上あれば化学砲弾を運用できる。

 

北朝鮮人民空軍は化学兵器運用能力を有するが、機材が老朽化し信頼性が低下しており、南朝鮮の防空網を突破できる可能性は低い。とはいえ、Su-7BMK「フィッター」18機、Su-25「フロッグフット」32機に化学兵器搭載が可能だ。

 

北朝鮮の大規模な特殊部隊には有事に重要な任務が想定されており、化学兵器の運用もある程度行われるだろう。潜入訓練を受けており、化学兵器使用で混乱が生まれそうだ。

 

北朝鮮は探知されずに化学兵器を分散するべく潜水艦や無人機を利用するだろう。さらに未発見トンネルも使い南朝鮮の背後に化学攻撃をしかける想定もある。

 

標的はどこか

 

北朝鮮が化学兵器使用をいとわない理由としてハイテク装備の他国との関係を変えることがある。最重要標的は国境を挟み展開する南朝鮮軍部隊で、地上攻勢支援として化学兵器を投入し突破口を開き、ソウル攻略からその先も狙う。

 

航空基地も攻撃対象で、一時的にせよ航空活動を止めれば、米韓両軍の航空戦力の優位性を無効にできる。テグ航空基地がROK空軍のF-15K戦闘爆撃機の拠点となっており、米軍のクンサン、オサン両基地も北朝鮮ミサイル攻撃の対象になりそうだ。

 

プサンはじめ港湾も攻撃対象で米国の援軍部隊が到着する地点となる。ROK陸軍の補給処を攻撃すれば前線への追加部隊を遅らせる効果が生まれる。

 

北朝鮮特殊部隊が民間を標的にする可能性がある。政治家、重要インフラ他高価値の民間標的が狙われればパニックとなり、政府への信頼も下がる。東京で1995年に発生したサリンガス襲撃事件でも一般市民の士気が下がり、パニックが生まれた。いったんパニックに陥ると市民は厄介な問題となる。道路交通をふさぎ、戦闘から逃避するだろう。

 

さらに朝鮮半島外に展開する米軍施設も化学攻撃の標的になりうる。嘉手納航空基地、三沢航空基地や横田航空基地は日本から米航空戦力を支える重要拠点だ。さらに横須賀基地、厚木基地、佐世保基地も米海軍の重要施設だ。グアムには潜水艦部隊、爆撃機部隊があり、北朝鮮のテポドン長距離ミサイルの射程に入る。

 

結論

 

北朝鮮は化学兵器を本当に使用するだろうか。同国の通常兵力の劣化からガス兵器投入の必要度が高まる。KPAには戦場の行方を左右する決定的な兵器が少なく、まして単独で投入する手段は少ない。

 

これまでは化学兵器を投入すれば米韓両国から「大量報復」を招くだけと思われてきた。だが、米韓連合軍がKPA撃滅を目指し核兵器除くあらゆる手段を投入してくるはずだ。北朝鮮の視点ではこの状況なら化学兵器使用に政治的な障害はなくなるとみるはずだ。

 

シリア国内での化学兵器使用に西側がうまく対応できていないことからガス兵器の「レッドライン」警告の空虚さを露呈してしまった。シリア住民への化学攻撃と米軍部隊への攻撃はまったくちがうが、はっきりしているのは化学兵器使用のタブーが消えたことだ。

 

北朝鮮の化学兵器の脅威は現実のもので戦時に使用される可能性は高い。有事となれば米韓連合軍の最適戦略は北朝鮮の指揮命令系統を寸断したのちに攻勢をかけることだろう。北朝鮮参謀部が命令を下すのも正確な情報も受け取れなくなれば、化学攻撃の立案も困難になる。国連軍が迅速な行動を取れば、移動速度の低い火砲部隊、ミサイル部隊は絶好の標的となる。

 

北朝鮮の化学兵器の脅威を緩和するのに最大の効果を発揮する手段は撤去交渉だろう。化学兵器すべてといわず大部分の廃棄で説得が成功すれば、有事の民間人、兵員への脅威が減る。さらに朝鮮半島内外にも広がる。だが歴代の米政権は関心を払ってこなかった。北朝鮮から化学兵器が消える日を世界が本当に期待するなら、社交性欠如の同国と協議を今すぐにでも開始すべきだ。■

 

 

Its Not Just Nuclear: North Korea Also Has 5,000 Tons of Chemical Weapons

by Kyle Mizokami

August 21, 2021  Topic: North Korea  Region: East Asia  Blog Brand: The Reboot  Tags: MilitaryTechnologyNorth KoreaNuclear WeaponsChemical Weapons

Its Not Just Nuclear: North Korea Also Has 5,000 Tons of Chemical Weapons

 

Kyle Mizokami is a writer based in San Francisco who has appeared in The Diplomat, Foreign Policy, War is Boring and The Daily Beast. In 2009 he cofounded the defense and security blog Japan Security Watch. You can follow him on Twitter: @KyleMizokami.

This was originally published in March 2015.