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★F-15X導入は間違った選択なのか 専門家の知見に耳を傾けよう

Stealth Rules: One Expert Thinks the Air Force Should Avoid the F-15X ステルス第一で考えると米空軍はF-15X導入を避けるべきだとの専門家意見があらわれた

"Trying to adopt aircraft that belong in museums to warfare in the 21st century is a mistake."「博物館行きとすべき機材を21世紀の戦闘に投入するのは間違っている」
February 13, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-15XStealthF-35F-22MilitaryTechnologyWorld


空軍はF-15新規製造機体に無駄な予算を使うべきではない、真に必要なのはステルス機だと空軍力整備で影響を有する人物が意見を述べている。
F-15では「国家防衛戦略の要となる強力な防空体制の中で生存は望めない」とデイヴィッド・デプチュラがForbes誌の2019年2月11日付け社説意見欄に投稿している。デプチュラはF-15パイロット出身で、現在はミッチェル航空宇宙研究所の所長だ。
米空軍は2020年度予算要求に200機ほどの新規生産F-15Xを盛り込んでいると伝えられる。空軍がボーイングから調達したF-15は2001年が最後だ。
F-15Xは原型が1972年初飛行の伝説のF-15の改良版で、2019年時点で空軍は457機を運用中でC型D型を制空任務に、E型を戦闘爆撃任務に投入している。
C型D型は1980年代から運用し、E型も1990年代の高機齢になっている。C型D型は州軍の防空任務で米本土を飛んでいるが、F-15Cの二個飛行隊が日本に駐留し太平洋での有事に備えている。
世界全体では901機が稼働中で、イスラエル、サウジアラビア、韓国、シンガポール、カタールがエンジンを強化し、センサー能力を拡充した改良型を運用中だ。
F-15Xは単価80百万ドルで単座のCXと複座のEXの二型式になると The War Zone のタイラー・ロゴウェイが述べている。
ペンタゴンの費用評価事業評価部門から空軍にF-15導入を求めてきたのは空軍がF-35を予定通り調達できていないためだ。
空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将はDefense Newsに対して非ステルスのF-15Xを調達してもF-35導入に影響はないと断言した。「相互補完する。それぞれが相手の機能をもり立てる」というのだ。
F-15X選定の前にペンタゴンにはF-15Cの機材更新で明確な構想はなかった。「F-15C部隊の更新が必要なのは同機のミッションと性能がなくなるのは耐えられないから」とゴールドフェインは述べている。
デプチュラは反対意見だ。「空軍の将来の戦力構造では国家安全保障戦略の課題に答えられる機材にしっかり投資することが必要だ」としている。
「具体的には中国、ロシアは大幅に軍事力を増強させており、米国の戦略優位性を脅かしている。国防総省には空軍に旧型機の新型版を買わせようとする動きがあり、費用対効果が優れているというが原設計が1960年代で生産開始が1970年代の機体だ。博物館で展示すべき機体を21世紀の戦闘に投入すること自体が誤りだ」
F-15はF-35より飛行速度、航続距離、兵装搭載量で優れる。大きな違いはステルスだ。だがステルス性能は米領空を守るF-15Cには必須ではない。
ロッキードCEOのマリリン・ヒューソンでさえデプチュラの意見を退けている。「仮にF-15発注の場合でもF-35の発注数が減ることはない。このことはペンタゴン上層部から直接聞いており、重要な点だと思う」
だがF-15Xを巡る論争は意外に深いものがあり、どの機種を選択しても米空軍は規模拡大を図れそうにない。
2018年9月に空軍長官ヘザー・ウィルソンが第一線飛行隊を312隊の現状から386隊に拡大する構想を発表した。米海軍も287隻を355隻に増やそうとしている。
空海それぞれで規模拡大すれば数千億ドルの費用が必要だが海軍が早くも拡大構想に及び腰になったのは予想通りというところだ。
同様にペンタゴン評価部門は2019年2月に空軍の空中給油機は十分な機数があると述べ、ウィルソンが給油機を三分の一増やし386飛行隊体制を実現したいとの意見と対照を見せた。
空軍がデプチュラの反対意見とは無関係にF-15Xを導入すれば旧型F-15と一対一で交換され国内の防空任務につき、海外のハイテク戦用のF-35調達は依然ゆっくりしたペースのままだろう。■

David Axe serves as Defense Editor of the National Interest. He is the author of the graphic novels   War Fix , War Is Boring  and Machete Squad .

コメント

  1. F-15Xはどうにも眉唾っぽいんですけどねぇ・・・。
    F-35と比べて取得費用運用費ともにさして安くはないし、既存のインフラが使えると言ってもF-35用のインフラはどの道整っていくわけですから短期的には得した気分を味わえるでしょうが後々旧型機のインフラを維持しなければならなくなる費用と相殺、ないしはマイナスになりかねない。

    特に良く分らないのが『F-15発注の場合でもF-35の発注数が減ることはない』という部分で、どういうカラクリでそうなるのかが理解出来ませんね。
    F-15Xを導入するなら予算が別会計で増額されるような裏取引でもしてるとしか・・・。

    F-35を使うまでも無い任務用に安い飛行機を導入して数を補うという考え方自体は否定しませんが、それはもっと安い機材でないと意味が無いでしょう。
    結局この話の費用対効果やら戦力云々は全て建前でボーイングに仕事をまわす為の政治的茶番なのではないでしょうか・・・?

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  2. 結局、どのように使うかで、F-35A,B,CとF-15Xは使い分けられるべきだと思います。敵国に進行する場合はスティルス機がより良い選択でしょうし、米国本土の州軍の防空任務や日本列島の邀撃任務にはF-15Xでも十分使えると思います。むしろ、中露に性能を調べさせないようにF-35は邀撃には出したくないですよね。日本はF-2を含む、3機種体制を維持すると思いますが、問題は米軍。
    米軍は殆どF-35にして、州軍の防空任務にはF-16、海軍には少数のF-18にしちゃって良いのか?と思ったりします。空軍はF-15Eは残すようですが、十分な量では無いですよね。経年劣化対策も必要ですし。議会にA-10退役させてもらえなかったのは痛かったですね。F-35に問題あったら、どうするつもりなんでしょう?米国議会は予算の多寡の前に国防をどうするつもりなのか、基本方針が見えないです。

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  3. マルチスタティックレーダーとか量子レーダーなどの探知レーダーの発達で、現在F-35はステルス機としての優位性は若干存在するが、いずれステルス機は普通に探知されるようになるはずです。
    その時には、非ステルス機とステルス機の差があまり意味がなくなると思います。

    そう考えると、推力不足のF-35はドックファイトもできる早期警戒機程度の価値しかないと思います。

    前衛に、F-35を置きレーダー誘導を行い、アウトレンジになる後方のF-15Xにより長距離ミサイル弾等を打ち込む戦法が有効だと思います。

    そう考えれば、F-15Xの導入は必然じゃないでしょうか?

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  4. 昨年度のF-35納入数は91機、内米軍向けは54機に過ぎません(英他21機・日16機)
    F-35で更新したくても納入機数が足りてないという問題もあるのではないでしょうか

    ステルス性以外に問題がなく並行して調達することが可能な機材があるのですから、
    旧式化した機材の更新にF-15Xを充てるというのはベターな選択肢だと考えます

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  5. 自衛隊もF-15X導入したいですよね。F-35A,Bが147機、F-2が90機、F-15JのMSIPが100機位ですから、F-3開発するにしても、F-15の経年劣化による退役を考えると、一機種足りない。
    もう少し時間的猶予があるとしても、代わりになる機体は海外を見てもなさそうですから。独仏の機体は、恒例の予算配分や仕事の割り当てで揉めるでしようし、英国のテンペストはタイフーンが設計ミスによる耐久性の不足で運用時間が8000hrから2000hr程度まで激減したと聞いていますから、どうなることやら。と、考えると、妥当な機体が無いんですよね。さすがにスホーイはあり得ないでしょうし、中国製はもっとあり得ない。。。。
    と考えると、邀撃任務ならF-15Xで十分じゃない?というのが妥当な話に思えるのです。

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  6. 生産機体不足の面はあると思いますが、2019年に関しては、130機の生産が見込まれています。ただこれは、A,B,Cの合計で、海外販売を含みますので、空軍としてもっと機体が欲しいのでしょうね。どの機種でもそう価格は変わらないので、価格メリットはないので、生産量の問題ですね。
    ただ、F-15となるとボーイングにお仕事を回すがメインでしょう。どうせなら開発が終わっているF-16Vでもよくて、開発費は済んでいますし生産ラインもF-35と被らない工場へ移転しますので、米軍としては、運用費がかなり安いのでこちらのほうがお得ではないでしょうか。ただ、ロッキードなので、ロッキード的に避けたいでしょう。
    防空でも武装して、M1.2で200km以上飛行出来るので、F-35はむいているのでは。平時はリフレクタでごまかす手もありますし。
    マルチスタテックは機載してのFCSには無理がありますし、量子などはまだ夢でしょう。
    Xバンド以外のUHFなどでFCSも無理があります。当面は、AESAで出力勝負なので、空対空であれば、ステルスは当面有効で、一部では、米軍高官の発言で、定説とは違いF-35の方がF-22よりステルス性能が高いと言うのもあります。
    F-15が後方からアウトレンジは机上の空論では。Link16対応のAMRAAMのDなら中間誘導をF-35が支援するもできないことはないでしょうが、射程としては、こんな面倒なことをするほど長くないですし、長距離ミサイルなJNAAMはまだ実用化もされておらず、米軍導入も考えられないです。
    F-15X導入は、MIPS改修よりいいですね。現行予算で改修予算で半数は置き換えられる。
    ただ、米軍導入が決まる前提で開発費負担したくないです。FMSでボーイング生産の導入ですね。2割増くらいで、AAM-4もAAM-5も運用できなくなるのがネックですか。

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