2014年8月27日水曜日

スコーピオン練習機型も提案するテキストロンエアランド社


何かとスコーピオンが注目されるのは明確にMarket-Inの思想を実現した機体であるためでしょう。新興国含む各国への採用が本命のようですが同機は決して途上国向けの機体ではなく、各国も空軍装備として合理的に同機を検討すべきなのではないでしょうか テキストロンエアランドは人道救難、国境監視含む多様なミッションが可能と宣伝しています。 www.scorpionjet.com


Textron AirLand Developing Scorpion Trainer Variant

Aug. 26, 2014 - 11:47AM   |  
By AARON MEHTA   |   
Textron AirLand is planning to develop a trainer variant of its Scorpion aircraft to compete for the US Air Force's T-X trainer replacement competition, as well as international markets.
テキストロンエアランドはスコーピオンを練習機に改造した機体を企画中で、米空軍のT-X競技に参加する意向のほか、海外販売を目指す。 (Textron AirLand)

CHICAGO —テキストロン・エアランドTextron AirLandはスコーピオンを改良し米空軍のT-X次期練習機の提案競争に参入する意向と分かった。同社は海外販売も視野に入れ、練習機需要を取り込みたい考えだ。なお、スコーピオンの成約例はまだない。
  1. テキストロン幹部が回答を避ける中で同社防衛事業開発担当副社長スティーブン・バーク Stephen Burke,regional vice president for military business development の発言が際立って明瞭かつ直接的だ。

  1. 「当社はT-Xに参加します」とDefense Newsに8月23日州軍協会の年次総会(シカゴ)で語っている。

  1. スコーピオンは情報収集監視偵察機能(ISR)に攻撃能力を付けた機体。昨年9月の発表以来、テキストロンはモジュラー構造を特徴だとして強調しており、バーク発言では練習機型を言及している。 「モジュラー構造により簡単に必要な性能に応じた機体に改造でき、T-Xの性能仕様にも対応可能です」

  1. 練習機型も双発、二枚尾翼と言うスコーピオンの基本設計を継承するが、主翼が短縮化され空力学的にも洗練されるほか、エンジン推力も増加する。「ISRミッションでは偵察時間が長い方がよいですね。でも一回2時間の訓練課程では性能と燃料消費率の関係がが違ってきます」(バーク)

  1. T-Xの性能要求は空軍から2016年後半に発表される見込みだ。それまではテキストロンとしてはまず練習機型を完成させて実際に飛行する予定。T-X競合の勝者はT-38練習機に代わる350機を製造することが認められるはずで、契約規模から数社が関心を寄せている。

  1. 練習機として既存機種三機がT-Xに名乗りをあげそうで、このうちBAEノースロップ・グラマンL-3シミュレーションロールスロイスが共同で設立したホーク高性能ジェット練習機システム以外に、ロッキード・マーティン韓国航空宇宙工業製T-50を、ジェネラルダイナミクスアレニア・アエルマッキと共同でT-100 を推している。

  1. ボーイングサーブとともに「完全新設計」の機体を作ると発表している。詳細は不明だが、両社はサーブ・グリペン戦闘機を原型にするものではないとしている。

  1. 「空軍はこのために全くの新型機を開発させようとは全く思っていません。そこで当社は既存機でも練習機の要求に合致していることを示すつもりです」

  1. 一方でテキストロンは同機の第一号顧客を探しているが、バークによれば真剣な商談が数件進行中といい、別の関係者も海外受注数件でローンチカスタマー複数が決まるとみている。

  1. フロスト&サリバンのアナリストであるマイケル・ブレイズMichael Blades, an analyst with Frost & Sullivanは練習機型でスコーピオンの販売はプラスとみている。モジュラー設計により基本機種を装備なしで販売すれば、米国の国際武器取引規則 International Traffic in Arms Regulations の規制を受けない。
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  1. またフロスト&サリバン作成の資料では練習機需要で今後も大きな伸びはないとしているので、コストが重要な要素だとする。テキストロンの説明ではスコーピオンの飛行時間当たりコストは$2,700でターボプロップ練習機T-6の$2,200に近い。「プロペラ機に近いところまでコストをさげられたら大きな利点になります。狙いどころは正しいとみています」(ブレイズ)

  1. バークも海外市場では同じ機体を練習用、軽攻撃用の両方に使う傾向があると指摘する。「軽攻撃機で練習用途にも使える機体だと強調しています。同じ機体で練習と攻撃の両方に使えれば、お買い得感があり、軽攻撃専用機はこちら、こっちは練習用専用機と売り込んできたやり方は変わりますね」「そこが市場のおいしい部分になり、事実、当社の狙いどころが正しいとのコメントが海外顧客から返っています」

  1. スコーピオンチームはテキストロンの広範な製品群も活用している。スコーピオン営業には同社のTRU Simulation部門によるシミュレーションも抱き合わせで提案し、同社のこれまでの整備分野の経験から有効な解決策も提供できるという。■

2014年8月26日火曜日

米陸軍の極超音速飛行試験機、打ち上げに失敗、空中破壊される


これもブラックプロジェクトなのでしょうが、実験に失敗したためあらためてその存在が表面に出てきました。極超音速飛行は課題が多いのですが、着実に開発が進んでいるようです。それにしてもなぜ陸軍が開発に絡むのでしょうか、空軍がやる気がないからでは。あるいは陸軍と言うのもフロントなのかもしれませんが。通常弾頭とはいえ、着弾すれば相当の運動エネルギーで目標を破壊するはずです。核の応酬を招かずに相手国の核施設を攻撃するというコンセプトなのでしょうね。

Army Hypersonic Test Vehicle Destroyed Following Failed Launch Test

By: Dave Majumdar
Published: August 25, 2014 5:41 PM
Updated: August 25, 2014 5:44 PM
Artist's concept of a hypersonic vehicle. DARPA Photo
極超音速飛翔体の想像図(2011). DARPA Photo


米陸軍の宇宙ミサイル防衛本部が通常型全世界即時攻撃兵器Conventional Prompt Global Strike (CPGS) のテストを本日実施したが、結果は予定通り運ばず、弾頭は空中爆破された。

国防総省は「陸軍が高性能極超音速兵器体系の試射をアラスカ州コーディアック打ち上げ施設から実施したが、異常事態によりテストは打ち上げ直後に打ち切られた。このことによる人的被害は一切発生していない」と声明文を発表した。


ペンタゴンによれば関係者が原因を調査中である。CPGSは通常兵器により地球上どの地点も一時間以内に攻撃する手段として開発中。

これまでは通常弾頭を搭載した大陸間弾道弾の開発が中心だったが、発射した場合核兵器攻撃と受け止められかねないことからペンタゴンは代替手段を模索していた。

「今回のテストは前回までの分と合わせ極超音速打ち上げ滑空技術のテータを収集し、長距離大気圏内飛行の性能を見極めるのが目的」と国防長官官房の報道官は伝えている。

「テストで得られたデータは国防総省により地上テストに活用され、モデル作成およびシミュレーションで極超音速飛行を実施したうえ、実施可能な通常型全世界即時攻撃兵器のコンセプトに応用する」

当初案ではトライデントII D5潜水艦発射型弾道ミサイルに通常弾頭を装着する予定だった。■



2014年8月25日月曜日

台湾:中国の圧力に直面しつつ模索するその国家戦略





Panel: Taiwan Facing Increasing Chinese Pressure

By: John Grady
Published: August 14, 2014 8:58 AM
Updated: August 14, 2014 8:58 AM
ROC Navy Kang Ding-class (Lafayette-class) frigate with S-70C helicopter. Taiwan Ministry of National Defense Photo
中華民国海軍フリゲート艦康定 Kang Ding級とS-70SヘリコプターTaiwan Ministry of National Defense Photo


1996年の台湾危機で中国は台湾近海にミサイルを発射したが、合衆国が空母打撃群2個を派遣して対応した。その後中国は海軍力を増強し「第一列島線」付近で影響力を増大させてきた。さらに2050年までにマリアナ諸島までを勢力圏に入れるべく原子力潜水艦や空母を建造するだろう。.

  1. 台湾の海上安全保障に関するフォーラムがヘリテージ財団主催で国連の中華人民共和国承認および米国の台湾関係法成立35周年の節目に開催された。

  1. ただし「台湾周辺の作戦には中国は原子力潜水艦は不要だ」というのは国防大学校バーナード・コール Bernard Cole (中国、太平洋地区の専門家)だ。

  1. ヘリテージ財団の主任研究員ディーン・チェン Dean Cheng, senior research fellow at the Heritage Foundation は「台湾への優先順位は中国軍部では高い」と作戦面で表現し、資源を海外に頼る台湾の海上封鎖の効果は高いと見ている。

  1. ただし中国は大型揚陸艦は建造していない(コール)。
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  1. コールによれば中国の金科玉条は「台湾の独立を認めない」ことで、国民党政権を追放した1949年から一貫して台湾に圧力をかけている。台湾は中国の接近拒否領域否定能力の向上に直面している。


  1. RAND研究所の上級政策アナリスト、コーテス・クーパーCortez Cooper によれば台湾は中国対抗策として地域内外交を展開しており、東シナ海平和構築の一環として漁業、領土、資源開発などの分野で緊張緩和をめざすとともに外部からの援助が到着するまでの自国防衛能力を拡充しようとしているという。

  1. 台湾が採択した戦略は「時間稼ぎが目標」であるが、チェンによれば中国は台湾の孤立化を一貫して狙っている。中国は台湾政府と外交関係を樹立する国家を懲罰対象としている。ハワード・マッケオン下院議員(共、カリフォーニア集、下院軍事委員会委員長)の東アジア訪問で、台湾を第一訪問先としたところ中国は急きょ予定されてた会談を一つ除き取り消ししている。

  1. 台湾の直近二政権は「国内問題を重視」する姿勢を示し、次回2016年総裁選挙では台湾独立を公約とする政党もある。台湾にとって頭の痛い安全保障上の問題は全志願兵制への移行、必要な防衛装備の選定、変化する環境の中で防衛指針をどう改変し、米国との共同運用を実現するかだとクーパーは指摘する。台湾は中国問題で「これまでとはちがうアプローチを採用する必要がある」とし、地域内紛争では中国とは「合同戦線」を張らないと域内各国に示すことがその例だという。


  1. クーパーは域内各国に対し中国からこれから台頭する大国は中国であり、米国は信頼に足るパートナーの座をすべりおりるかもしれないとメッセージが出ていると述べた。また米国が台湾、日本、フィリピンと結ぶ同盟関係は「冷戦思考の色彩を強めている」と中国は指摘している。「中国は自信を深めている」(クーパー)

  1. これに対しコールは1949年以来中国は毎回米国の意図を誤解してきたという。

  1. 中国は「マラッカのジレンマ」と呼ぶ事態でまさしく再度同じことを繰り返すかもしれないとコールは言う。マラッカのジレンマとは米国がマラッカ海峡から中国本土へ移動する原油輸送を阻止する能力を指している。現在の巨大タンカーでも同海域の移動は可能な船体サイズとなっているという。

  1. しかしチェンによれば中国も同海域はじめとする衝突点になりうる各地を重視しているという。1999年にベルグラードの中国大使館が爆撃された事件がその例だという。当時米国は爆撃は誤射と弁明しているが、中国はコソヴォでのNATOによる精密攻撃能力を理由に爆撃は故意であったと主張。「中国の視点は我々と異なる」

  1. チェンによれば中国は台湾に関しては米国に対するメッセージは一貫しており、台湾への武器売却の停止、偵察活動の中止、国家防衛権限法による台湾防衛の取り消しを求めている。「中国のたくらみに負けてはいけない」(クーパー)■



アメリカはISISを打破できるか 



ISISの勢力がここ数週間で急増しています。さらに米国を対象としたテロを計画している兆候があり、この数年間で最大の脅威となってきました。また、イラク、シリアという既存の国境区分けを否定していることでISISへの対応も地政学的に構築しなければならないようです。米国ではシリアも含めた現地への対応、しかもエスカレートしそうな規模での攻勢が必要との議論が出てきました。以下AFPが簡潔にまとめています



How can the US defeat IS jihadists?

Aug. 23, 2014 - 01:08PM   |  
By Agence France-Presse   |   Comments

WASHINGTON — バラク・オバマ大統領はイスラム国聖戦派を中東のみならず世界にとって「ガン」だとまで表現しているにもかかわらず、これまでは限定的な航空攻撃にとどまっている。
  1. 合衆国が真剣にイスラム国(IS)を打破するとしたら、外交、軍事でどんな手段が想定されるだろうか。
  2. オバマ大統領はイラク、シリアでの空爆を大幅に拡大し、西側諸国とアラブの同盟国に大義名分を共有させ現地軍の装備を強化して聖戦派に戦わせる必要があると専門家は見ている。
【軍事作戦はこうなる】
  1. イラク、シリア両国内のIS部隊に対し大規模航空攻撃が必要となり、地上戦はバグダッド中央政府、クルド人部隊、スンニ派部隊が展開するのがよいと司令官経験者たちは語る。
  2. ここ数週間で米軍が実施した空爆は数十回程度だが、IS壊滅には米軍の全力を投入する必要がある。おそらく数百機、数百回の空爆を連日実施することになる。
  3. 「空軍力を投入するのであれは集中豪雨のように投入しなければ意味がない、小雨ではだめだ」とデイブ・デプチュラ退役米空軍中将Dave Deptula, a retired US Air Force lieutenant general (アフガニスタンとイラクの航空作戦を統括、現ミッチェル航空宇宙研究所所長)は言う。
  4. 2001年のアフガニスタンで米軍機が空爆で、北部連盟が地上でそれぞれタリバンを追い出したのがこの構想の実際例、とデプチュラは言う。
  5. 航空攻撃を慎重に行うために特殊作戦部隊が必要だと主張するアナリストがいるが、デプチュラはハイテク機は地上部隊の援助無く目標を補足できるので地上部隊投入は不要と見る。
  6. 今回は強硬派でさえ地上部隊の大規模派兵を求めておらず、イラク・シリア両国の現地軍へ装備供与を拡大すべきと主張している。
  7. 安全保障補佐官補のベン・ローズDeputy National Security Advisor Ben Rhodes からは「当該国の住民にISILへ立ち向かわせることが長期戦略」との発言が出ており、イラク、クルド、スンニの各派の戦闘要員の活用を想定している。
【シリアでの軍事作戦なしでISを打倒できるか】
  1. その答えはノーだとマーティン・デンプシー統合参謀本部議長はじめ専門家、アナリストが言っている。
  2. シリアをISが聖域にするのは看過できないとデンプシー大将は言う。
  3. 米国が「正当防衛」の権利を行使しシリア国内のIS勢力を攻撃可能と主張する向きもある。根拠はシリア政府が国内数カ所で実効支配をすでに失っているためだ。
  4. ただし、その場合はシリア内戦に慎重な姿勢だった米政策を変更し、大量の武器をスンニ派(アサド政権とISに共に反抗中)に引き渡すことになる。
  5. この方向転換で米政府がシリアと和解に向かう可能性を見る向きがあるが、政府関係者はその選択肢はないと言っている。
【外交戦略で必要となるのは】
  1. 合衆国は今まで想定外と思われた同盟関係をヨーロッパ各国、サウジアラビア、イランと結ぶと見るアナリストは多い。イランにとってもIS聖戦派の打倒は目的になっている。
  2. 米国の決意の程を示すべく、オバマ大統領はIS打倒が目標だと公言する必要が出るだろう、というのはザルメイ・カリザッドZalmay Khalilzad 元在アフガニスタン、イラク大使である。
  3. 戦争にあきあきしているアメリカ国民に対しても今後の作戦の方向性とともになぜISが合衆国への直接の危険となるのかをオバマ大統領は示す必要がある。
  4. トルコに対してはシリア国境閉鎖によりIS部隊志願者の移動を阻止させ、また難民を抱えるヨルダンなど各国向け援助を増やす必要があるとアナリストは見る。
  5. 【スンニ派の役割】
  6. イラク国内のスンニ派は.シーア派優勢の中央政府から冷遇が8年間にわたっており、これがISを増長させた原因になっている。
  7. 米政府としてはハイダ・アル・アバディHaidar al-Abadiによる新政権がスンニ派も巻き込む挙国一致体制を期待しつつ国軍の改革も求めている。軍が実質上宗派構成になっているからだ。
  8. ただしイラク政府と西側がスンニ派各部族に対しIS過激派への戦闘に加わるよう説得できるかは不明だ。■


2014年8月24日日曜日

オーストラリア新型強襲艦キャンベラが海上公試を開始



日本が強襲揚陸艦を作ろうかという中でオーストラリアが一足先に建造していました。この艦を見ると日本の設計案もある程度見えてきますね。それにしてもカーフェリーのような大きな胴体を見ると優雅さは見えてきませんね。

Largest ship ever built for the Royal Australian Navy begins final sea trials

By David Szondy
August 22, 2014

Nuship Canberra transiting the waters of Jervis Bay, New South Wales (Photo: RAN)
オーストラリア海軍史上最大の艦艇が公試に入った。27,800トンのキャンベラは二隻建造する上陸ヘリコプタードック(LHD)艦の一隻目でオーストラリア海軍は「空海地揚陸戦用としては世界最高性能の艦」と称する。
キャンベラはウィリアムズタウン造船所から今月はじめにニューサウスウェールズに向けて出発しており、同地で主契約社BAEによる公試を受けた後、今月終わりにウィリアムズタウンへ戻る。

公試が終わり、海軍に引き渡されると同艦はHMASキャンベラ(LHD02)として就役する。
Nuship Canberra starts sea trials (Photo: BAE Systems)

起工は2009年9月、進水は2011年2月だった。船体はスペインがモジュラー方式で建造してからはしけでウィリアムズタウンのBAE社造船所にて艦橋を構成するモジュラーやレーダー、通信監視システム等を搭載した。

全長230 m 全幅32 mのキャンベラは防衛任務に加えて大規模人道援助任務も想定し、喫水は7 mと浅く、沿海部や小規模港湾の利用を想定している。巡航速度15ノット、最高速力20ノット超で航続力は9,000カイリ(16千 km)。

艦内に病院設備をもち、5,000食を一日あたり提供する他、重車両を搭載するデッキを4層、乗員兵員居住区、ヘリコプター格納庫、そしてヘリコプター甲板があり、スキージャンプによりAV-8ハリアーやF-35BライトニングIIの運用が可能だが、固定翼機の運用は通常は想定していない。船体は開放式で上陸用舟艇4隻を運用する。
Bridge of Nuship Canberra (Photo: BAE Systems)

キャンベラの海軍への引き渡しは年末の予定で、姉妹艦アデレードに建造中のノウハウを応用する。■


2014年8月23日土曜日

中国の米軍機への異常接近が危険度を増している 今回はP-8A対J-11B



Chinese Fighter Buzzes US Patrol Aircraft

Pentagon: Intercept is 'Very Dangerous, Very Unprofessional'

Aug. 22, 2014 - 03:12PM   |  
These images of the Chinese J-11B fighter were taken from a US P-8A Poseidon aircraft over the South China Sea on Tuesday. The fighter is seen beginning a pass under the Poseidon, then crossing the P-8A's nose and showing weapons — a display of potentially hostile intent.
P-8Aが撮影したJ-11B、この後同機はポセイドンの下部を通過したBy CHRISTOPHER P. CAVAS   |   Comments

WASHINGTON — 米海軍P-8A哨戒機が南シナ海公海上空で中国戦闘機による迎撃といやがらせを8月19日に受けていたことをペンタゴンが22日に認めた。
  1. 中国機の飛行は「極めて接近し、極めて危険、好戦的かつプロらしくないもの」だったとペンタゴン報道官ジョン・カービー海軍少将が報道陣に語り、今回の事件を2001年以来最も危険な事例になったと述べた。
  2. 問題の中国機は瀋陽J-11BフランカーBで所属は人民解放軍空軍。同機はP-8Aの通過飛行を3回繰り返している。
  3. 発生地点は海南島の東135マイル地点だとペンタゴンは発表し、同空域は国際法により軍事活動が「航行と上空飛行の自由を行使」できる地点であることを強調している。
  4. 「三回の通過飛行のうち中国J-11は米軍機の直下50ないし100フィートで飛行している」とペンタゴンは発表。
  5. 「またP-8Aの機首から90度方向で通過し、P-8Aに対して武装を誇示している。この際に中国機パイロットはP-8Aを視認しておらず空中衝突の可能性があった。中国機パイロットはP-8の真下、横を飛行し、最小20フィートしか離れていなかった。その後、機を安定させた後横転し、P-8から45フィートで飛行していた」
  6. このP-8Aはフロリダのジャクソンビル海軍航空基地第45哨戒隊所属で嘉手納空軍基地から西太平洋で飛行していたもの。
  7. 今回と類似しているのは好戦的な中国機が米海軍EP-3EエリアスII情報収集機にちょっかいを出してきた2001年の海南島付近の事例だ。この際はJ-8迎撃機がEP-3Eに衝突している。中国パイロットは死亡、損傷を受けたEP-3Eは海南島に緊急着陸を迫られた。機内の最高機密の破棄は全部できず、中国側に見られている。
  8. EP-3E乗員は中国に11日間抑留され、離陸を中国が拒否したため、機体は分解され米国へ送付されたままになっている。
  9. 海南島には滑走路多数と潜水艦基地があり米国等過各国が関心を示す地点になっている。.
  10. 「今回の事件は米軍機に対する非常識的、プロらしからず、かつ危険な迎撃が増えていることの一環で、2013年末から急増している。問題の中国機が海南島から発信したのは間違いない。同様の事件は3月、4月、5月に発生している。迎撃機の乗員が好戦的になっていること、我が方の乗員の安全への配慮が欠如していると明らかになっていることに憂慮している」(ペンタゴン)■

コメント 以前に紹介した中国空軍のおかしな慣行(高卒をそのまま採用して同じ基地に貼り付ける)が原因で国際法など尊重する余地がないパイロットが危険な離れ業を行っているのでしょうか。しかし、軽はずみなパイロットの行為だけとは思えず背後に何らかの組織の意思を感じますが、事故とならないことを祈るばかりです。

2014年8月22日金曜日

F-16複座型飛行停止措置の影響はどうなるか



機体強度で疑問が出たのは複座型ですが、F-35のつまづきがいろいろ出てきた兆候を示しているのでしょう。西側の機材は今後やりくりが大変そうです。

Pentagon Tells International Partners to Inspect F-16B Fleet for Cracks

Aug. 20, 2014 - 05:22PM   |  
By AARON MEHTA   |   Comments
PAF at Red Flag
Pakistan Air Force F-16B models take part in a 2010 Red Flag exercise at Nellis Air Force Base, Nev. The Pentagon has told international operators of the F-16B model to inspect their jets for cracks. (Airman 1st Class Daniel Phelps / US Air Force)

WASHINGTON — ペンタゴンはF-16Dの機体で見つかった亀裂の原因調査と修理にとりかかる一方、F-16BおよびD型を運用する同盟各国に点検を慎重に行うよう勧告している。
  1. 亀裂が見つかったのは7月31日でその後時系列技術命令がすみやかに発出され、F-16D全機の点検を実施している。その結果、157機のうち82機が飛行停止となっている。
  2. 点検命令は世界各国で運用中のF-16BとF-16Dも対象となることを米空軍は確認している。米空軍ではB型は全機退役しているが、トルコ、イスラエル、ベルギー、オランダ、パキスタン、デンマーク、ノルウェーが使用中だ。
  3. ペンタゴンが発表した通達では損傷個所は「キャノピー枠の縦通材の亀裂で前後のパイロット座席の中間でみつかったもの」としている。該当部分は機体の枠組みでコックピット部分を取り巻くもの。キャノピーは下げられると縦通材の上に置かれる。
  4. F-16のB型D型はともに複座型。空軍はD型機材が長期間飛行停止となった場合の影響をどう緩和するかを検討中だが相当数が飛行停止となると訓練の実施に影響が出る懸念がある。
  5. 「稼働可能な機材を使い、作戦運用、訓練、待機態勢への影響を緩和する検討をしています。計画済みの飛行訓練やF-16Dによる慣熟工程の遅れによる影響は今後飛行停止措置をとかれる機体が何機あるのか次第で変わってきます。本件ン関する専門職が対策を検討中です」とカーラ・グリーソン空軍少佐が空軍教育訓練本部の報道官として質問に答えている。「現時点での観測では訓練の遅れは8から12週に相当します」
  6. ただしこの数字はあくまでも予測であり、基地ごとに利用可能な機材数が異なってくるほか、天候と言う外的条件も入ってくる。
  7. 空軍の発表では亀裂が最も大きかった機材はルーク空軍基地配属のもので、同基地の35機すべてに亀裂がみつかったという。同様にケリー分とん地(テキサス州)では州空軍が運用する10機で、ツーソン州軍空軍基地では18機中17機に亀裂が発見された。
  8. 亀裂の原因は現在調査中だ。メーカーのロッキード・マーティンは「積極的にF-16を運用中の各国と共同して点検で解明した事象の解決を目指している」と同社スポークスマン、マーク・ジョンソンは声明文を発表している。
  9. 「縦通材調査は進行中で、現時点で何が原因なのかはわからない」と空軍航空戦闘軍団から声明文が出ている。
  10. 「10年以上連続して運用していることで機体への影響があったのだろう。今回見つかった事例は逆に言えば空軍による定期修理点検作業の正しさならびに作業にあたる空軍要員の徹底した仕事ぶりを反映している」
  11. さらに空中戦闘軍団の運用するF-16Dのうち亀裂が見つかった二機の飛行再開は「4ないし6か月以内」との見通しを発表している。
  12. 可能性のある修理方法は「外部ストラップ修理」と呼ばれる、縦通材に溶接あるいはドリルで補強材を付ける方法だ。もう一つ考えられるのは縦通材を完全交換することだが、費用が高くつく。上記の長期解決方法は早ければ9月から開始されるだろう。
  13. 一方で、空軍は損傷部分周囲にファスナーをとりつける方法も検討している。ファスナーは飛行時間で50から100時間有効で、その後に大規模修繕をすることになる。この場合は亀裂が小さい機体にしか使えず、一時しのぎで利用可能な飛行時間でとりあえず訓練等の遅延を防げる。
  14. 今回発見された亀裂は「旧式機材の老朽化と恒常的な資材不足」が背景になると指摘するのはリチャード・アバウラフィア Richard Aboulafia (Teal Groupのアナリスト)だ。「これからは攻撃機の老朽化に直面することになる」
  15. アバウラフィアは同様の問題が今後も発生すると警告している。とくに空軍が既存機の近代化よりも新型機の調達を優先しているからだという。その背景には予算不足とF-35や長距離爆撃機開発が進行中であることがある。
  16. 空軍も機材老朽化の問題を認識している。2015年度予算で空軍はF-16耐用年数延長プログラムService-Life Extension Program (SLEP)に予算を計上し、戦闘用エイビオニクスプラグラム拡張一式 Combat Avionics Programmed Extension Suite (CAPES)の予算を後回しにした。
  17. CAPESがF-16の性能向上に求められているのも事実だが、機体そのものが耐用年数を超えてしまえば装備として意味がなくなる。アバウラフィアも空軍がこれから高機齢の機材をどのように維持していくのか興味深い課題だとしている。 ■



2014年8月20日水曜日

☆☆ 5年後に日本にも強襲揚陸艦が生まれそう 海自の航空戦力拡大か




Japanese Advance Plans For Another Air-Capable Assault Ship

Tokyo advances plans for another large aviation-capable ship
Aug 19, 2014Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

防衛省は大型揚陸強襲艦を最低一隻建造し、海軍航空戦力を拡大する意向。この関連でベル・ボーイングV-22オスプレイの販売拡大が実現する可能性が高くなる。
  1. 同艦の就役は2019年3月と予定され、以前は2020年代とされていたものを前倒しする。防衛省は調査費を平成27年度予算に概算要求すると時事通信が伝えている。

  1. 想定される任務として日本の島しょ部の防衛増強の一環とすることがあり、中国と紛争の種となる尖閣諸島(釣魚台原文ママ)があり、リアンクール岩礁(原文ママ)でも北朝鮮、韓国と主権を巡り対立があるのを日本政府が考慮しているのだろう。

  1. 日本には小型のおおすみ型揚陸艦があるが、追加して大型艦を建造するのはオスプレイまたはヘリコプターあるいは両方を導入する可能性を示している。平成26年度からの5か年計画ではオスプレイ17機の導入を想定しているが、この揚陸強襲艦は原案に見られず、搭載機も想定に含まれていない。

  1. 問題の島しょ部には空港設備がなく、尖閣諸島は日本本土から遠く離れている。ヘリコプターは宮古島から飛行できるが、尖閣は200キロメートル先で、大量物資は海上輸送に頼り、上陸用にヘリコプターを使うことになる。海上自衛隊はエアクッション揚陸艇や水陸両用車両は平時のみ、あるいは低脅威環境でだけ使用可能としているが、敵前で垂直搬送する可能性を排除していないようだ。

  1. 今回の提案で示された建造日程を見ると防衛省が仕様を決定済みだとうかがわれる。根拠として艦の設計完了に一年しか想定していない。通常は大型艦は三年を必要とする。予算がつくことを前提に「防衛省は要求性能や規模を平成27年度から検討し、平成31年度からの就役を目指す」とする時事通信報道があり、おそらく防衛省内の説明内容を踏まえているのだろう。

  1. 昨年12月に採択された防衛大綱では平成30年まで三か年かけて大型強襲艦の建造の可否を決めることにしていた日本が計画を加速化していることを示すものだ。日本語表現のあいまいさから艦が一隻なのか複数か不明だが、海上自衛隊の戦闘艦艇は最低二隻を建造するのが常なので、すくなくとも一隻目について言及したものなのだろう。

  1. 防衛省の示すおおまかな性能要求では「多用途艦(あるいは複数艦)で指揮統制が可能で、大量輸送ならびに揚陸作戦の航空運用が可能」であることとしている。小野寺五典防衛相は7月8日に企画立案を加速化すると述べていた。そのため本構想はかなり確実なものと思われる。

  1. 小野寺大臣他関係者がUSSマキンアイランドをサンディエゴにて7月に視察しており、ワスプ級の船体で全通飛行甲板を持つ設計が日本が望む設計案とみられる。さらに短距離離陸垂直着陸型のロッキード・マーティンF-35Bの運用を想定しているだろう。

  1. 全通型甲板を持つ強襲揚陸艦は航空母艦ではないが、航空運用を重視した設計の可能性はある。ただし、日本特有の官僚主義が戦術航空戦力を前面に掲げさせない可能性もある。

  1. だが隠し通せない面もある。スキージャンプは同盟国が保有するF-35Bのためと説明がつくかもしれないが、揚陸強襲艦として設計される大型艦は輸送容量を最優先し、機関出力を大きく設定する必要はない。おおすみ級は22ノット設計で、米海軍の揚陸輸送での標準速度と同じだ。一方で日本の戦闘艦は30ノット以上を出す性能がある。

  1. そこで参考になるのがイタリア艦カヴール Cavour (27,500トン)で、軽空母に輸送能力を付与した設計になっている。戦車含む車両運搬能力、兵員居住区を備えて、速度は28ノットとしているのは上陸舟艇用のドックを有していないためだ。

  1. 時事通信報道による建造日程は実施可能とうかがえる。IHIマリーン・ユナイテッド(原文ママ)はこれまでひゅうが級ヘリコプター艦2隻を予定通り2007年と2009年に各就役させており、大型艦建造の間隔として2年間は十分と示している。いずも級ヘリコプター空母2隻が計画されており、一番艦は2015年に、二番艦はおそらく2017年に就役する。それぞれ建造期間は3年である。仮に今回の強襲艦の全体規模が同程度なら建造開始を2016年に設定することが可能で、2019年に完成するはずだ。

  1. ただし「強襲艦」より威圧感の少ない名称が選ばれ災害救難が強調されるだろうと朝日新聞は報じている。

  1. それはさておき、防衛省は英米海軍による強襲艦運用の実例を研究中であるが、両国ともに該当艦に災害援助任務は想定していない。むしろ揚陸輸送艦の主要任務は明確に戦力投射power projectionそのものである。■

コメント 元記事は英文だけに率直な言い方が目立ち、海上自衛隊は海軍、強襲艦の役割は戦力投射とはっきり言っていますね。しかし日本では国内向けに駆逐艦を護衛艦、揚陸艦を輸送艦と呼んでいる始末。強襲艦のどこが問題なのでしょうか。そろそろ日本語を政治的に捻じ曲げる慣行を見直していいのではないでしょうか。



イラク モスルダム奪回に空爆を投入




U.S. Fighters Strike ISIS Near Mosul Dam

By: Dave Majumdar
Published: August 19, 2014 10:11 AM
Updated: August 19, 2014 10:12 AM
F/A-18E Super Hornet, attached to the Tomcatters of Strike Fighter Squadron (VFA) 31, launches from the flight deck of the aircraft carrier USS George H.W. Bush (CVN-77) on July 31, 2014. US Navy Photo
トムキャッターズ戦闘攻撃飛行中隊(VFA31)所属のF/A-18EスーパーホーネットがUSS ジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)から発艦する。撮影 July 31, 2014. US Navy Photo


米軍の空爆がイラクのクルド人部隊による北部イラクの戦略上重要なモスル・ダムの奪回に道を開いた。それに先立つ三日間で米軍は空爆35回を同ダムを占拠するイラク・シリア・イスラム国(ISISあるいはISIL)の戦闘部隊に与えていた。

  1. 「撃破した目標は90個以上で、車両、装備、陣地を含む」とペンタゴン報道官ジョン・カービー海軍少将Rear Adm. John Kirby が声明文を発表している。「イラク軍はダムを奪回し、さらに同地区の支配を強化しているところ」

  1. モスルダム の位置関係はここをクリックしてください。

  1. 空爆に投入された戦闘攻撃機、爆撃機、無人機は米空軍と米海軍の機体。
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  1. 米軍はイラク軍による奪回作戦を迅速に支援する必要に迫られていた。ISIS戦闘分子が老朽化進むモスル・ダムを適正に維持できていない兆候があったからだ。さらにISISがダムを破壊し、広範囲な浸水を現実にする可能性が本当にあった。
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  1. 今回の米軍空爆で一時的にISISの攻勢が鈍っているが、航空作戦が長期的に効果を維持してこれ以上の米軍の介入を回避できるかは不明。

  1. 米海軍はUSSジョージ・H・W・ブッシュ(CVN-77)から航空作戦を8月初旬から実施している。米空軍に英空軍が加わりISISを目標とした航空作戦を展開している。■

 



2014年8月19日火曜日

米海軍 X-47Bとスーパーホーネットの同時艦上運用実証に成功





Navy Flies Manned, Unmanned Carrier Jets Together For First Time

Aug. 18, 2014 - 05:44PM   |  
By MEGHANN MYERS   |   The X-47B Unmanned Combat Air System Demonstration conducts flight operations aboard the aircraft carrier Theodore Roosevelt on Sunday. The aircraft completed a series of tests demonstrating its ability to operate safely and seamlessly with manned aircraft.
.X-47B無人戦闘航空機実証型が空母セオドア・ローズベルト艦上での運用を17日行ない、有人機との運用を安全かつ円滑に実施できることを証明した。(MCSA Alex Millar/Navy)
The goal for the day was to launch and land the Hornets within 90 seconds of the X-47B. After a couple tries, the team was able to land the X-47B, fold its wings and move it out of the way to make way for the manned jet within 90 seconds.
MCSA Alex Millar/Navy

NORFOLK, VIRGINIA — — 8月17日、米海軍は空母艦上で無人機X-47BとF/A-18の同時運用実験に成功した。
ヴァージニア州沿岸にてホーネット2機とX-47B1機が発艦と着艦を同じパターンで繰り返し、無人機の離発艦が安全に行えること、着艦後すみやかに移動して有人機の着艦に支障がないことを試した。
海軍の無人戦闘航空機システムの空母運用実証で初の試みとなったとマット・ウィンター少将 Rear Adm. Mat Winter (海軍航空システムズ本部の無人航空攻撃機システム責任者)が語っている。
今回のテストは海軍にとって無人機による航空攻撃、偵察技術の進歩で大きな一歩となり、今後の空母航空戦力に無人機の技術をどう応用すべきかを理解する機会となった。
「無人機のみの編成はありえない。有人機と無人機を組み合わせていく」(ウィンター)
X-47Bの機体は全幅62フィートとF/A-18Eスーパーホーネットよりも17フィートも大きい。
自律運用のため、地上から遠隔操作は不要だ。事前プログラムどおりの飛行パターンを実施するので、飛行甲板の要員は艦への接近時にコースをそれないようにボタンを押すだけでよい。
X-47Bは今回の実証でプログラム数種を実施したとUCAS-D主査ボー・デュアルテ大佐 Capt. Beau Duarteは発表。そこには発艦、追い風での飛行、旋回し空母へ戻る経路をとる、着艦、主翼折り畳み等だという。.
当日の目標はX-47Bの90秒以内にホーネットを発着艦させることで、数回の試行ののち、X-47Bを着艦、主翼格納、移動させその後に続くホーネットの着艦に備える一連の動きを90秒以内に完了させることに成功した。
ホーネットは60秒以内の間隔で運用している、とウィンターは述べる。テストは今週も続き、デュアルテ大佐は間隔を詰める試行もしてみるという。「両機種でどんな相互作用が発生するかを確かめたい。それを今後の運用に役立てたい」
次の目標は無人機への空中給油で、これには新たなソフトウェアが必要となるという。
X-47Bの予算は2015年まで確保ずみだが、その後は不透明だ。 しかし同機の技術はこの後に続く無人艦載空中偵察攻撃機(UCLASS)に役立てるとウィンターは言う。
UCLASSが空母に搭載される2020年ないし2021年までに同機の運用をだれに任せるのかなど米海軍は運用方法に加えて同機を空母航空隊にどう取り入れるかを決めなければならない。
「操作をするのがパイロットなのか、海軍航空士官なのか下士官なのか、いずれにせよ初期の段階までに決めなければならない」とデュアルテは言う。
また得られる成果からX-47Bの偵察攻撃能力は独立した飛行隊として適切な水準なのか、あるいは現行のE-2ホークアイやF/A-18攻撃隊を補助する水準なのか判定するとウィンターは言う。


2014年8月17日日曜日

☆ 少しずつ見えてきた第六世代戦闘機の構想





Next-Generation Fighter, Directed Energy Weapons May Converge


Aug 5, 2014Amy Butler | Aviation Week & Space Technology

F-22の高コストはステルス性能が理由だが、兵装庫は小さくなってしまった。Credit: U.S. Air Force

新しい形態の脅威が発生しつつあり、厳しい予算環境、特にロッキード・マーティンF-35が予算を食う中で、米空軍は「第六世代」次期制空戦闘機のあるべき性能の検討を開始している。
  1. 戦闘航空軍団司令官マイク・ホステジ大将 Air Combat Command Chief Gen. Mike Hostage によると次世代戦闘機が有人、無人となっても構わず、あるいは戦闘機の形態をとらない可能性も排除しないという。「単座戦闘機の形でなくてもよいかも」とも発言している。「キーボードのエンターキーを押して敵が墜落するのであればそれでもよい」
  2. 調達作業が「拷問に近い」ため、「実用化がすでに遅れている」とし、既存機種の改修用予算を流用して次期戦闘機開発の資金とするリスクもあえて受け入れるとも発言。想定しているのは戦闘用エイビオニクスプログラム拡張一式 Combat Avionics Programmed Extension Suite の開発とF-16の耐用年数延長だが運用機材数の減少は避けられない。
  3. 「第六世代機」は「第五世代機」をステルス性、速度、エイビオニクス・センサーの融合でF-22やF-35を超えた機体と想定している。今後登場する長距離打撃爆撃機(空軍は80から100機の調達を想定)とも連携して運用する。
  4. 第五世代機だけの部隊編成を想定した空軍構想は雲行きが怪しくなっている。F-35の飛行条件が制約されるのは「一時的」で、ホステジ大将は同機で最近見つかった低圧タービンの回転部分の過剰摩擦が2016年8月想定のF-35A初期作戦能力の実現に支障を及ぼすとは考えていない。
  5. F-22とF-35の兵装庫が小さいことをホステジ大将は懸念している。ともに地上攻撃用の小口径爆弾8発までしか搭載できない。ステルス性能のため搭載スペースで制約が発生したためだ。
  6. ただし、ペンタゴンは秘密裏に予算を計上して火力増大をめざしているいるとホステジは暗示している。一時は空軍はいわゆる共用二重用途制空ミサイルJoint Dual-Role Air Dominance Missile (JDRADM)を推進し、Amraamの空対空性能にレーダー攻撃可能なHARMミサイルの空対地能力を一つにまとめようとしていた。これはその後次世代ミサイル計画と呼称されたが、とん挫したといわれるものの、一部筋によれば研究は極秘のうちに継続しているという。
  7. また空軍が指向性エネルギーを第六世代機に搭載する選択肢も検討している可能性がある。ホステジ大将も研究成果の進展から十分な可能性があると認めている。ただし第六世代機の実用化までに指向性エネルギーが兵装として成熟するかは定かではない。
  8. 指向性エネルギーは将来の機材に採用をめざす空軍技術5分野の一つで、他には無人機、ナノテクノロジー、極超音速飛行、自動化がある。これらはこのたび公表されたAmerica’s Air Force: A Call to the Future”で今後の予算手当が必要な戦略的対応の対象とされている。■