2016年7月22日金曜日

★新型ジャマー装備NGJの性能に期待




米空軍がEF-111以降の電子支援機を調達する予定がないまま、海軍機に依存する状態が続いており、海軍海兵隊のEA-18Gの存在は大きくなっていますが、敵レーダーを妨害するジャマーは旧態依然のままでした。そこで新型ジャマーの開発が進んでいましたが、どうやら実用化にめどがついたようです。オープンアーキテクチャーはLRSBでも謳っていますがどうやら今後の装備では合言葉になりそうですね。それだけ装備類の開発ペースが早くなっていることの裏返しでしょう。


Navy's Next-Generation Jammer Will Attack Multiple Enemy Air Defenses at Once

KRIS OSBORN
05/03/2016

米海軍の次世代ジャマーの実戦化が2021年までに実現すると、多数のレーダーを同時に妨害し将来登場する高性能防空体制にも対応できる。
  1. 米海軍は電子戦ジャミング技術をさらに進め、探知されずに敵目標の破壊が可能な強力ハイテク装備の実現を目指している。
  2. 「敵の防空システムにこちらの攻撃部隊を発見できなくするのが狙いです。防御対象は機種を問いません。敵防空網を制圧しミッションを続けさせるのが目的です。この装備で機体が生き残ることは絶対確実になりませんが、兵装を投下して帰還することはできます」とアーネスト・ウィンストン中佐(電子攻撃装備整備担当)がScout Warrior取材に答えた。
  3. 次世代ジャマーNGJは全長15フィートのポッドでEA-18Gグラウラーに搭載しレーダーを妨害する電子信号を発信する。レーダーは電磁信号を前面に送り反射から標的の位置、大きさ、形状、速度他を解析する技術だ。ただし電磁信号が干渉を受けたり、妨害つまり「ジャム」されると探知ができなくなる。新型ジャマーは敵戦闘機がミサイルを標的に「ロック」するのを妨害する機能がある。
  4. 「周波数多数を同時にジャムするのも可能で、迅速かつ効率よく行えます」(ウィンストン中佐)
  5. 新技術に高出力レーダー技術があり、アクティブ電子スキャンアレイAESAと呼ばれる。「実用化すればAESA技術応用の空母電子攻撃ジャミングポッドでDoD装備で唯一の存在になります。海軍はジャミング能力の向上、柔軟運用、戦力増が一度に手に入ります」
  6. 実戦投入は2021年までに実現する見込みで既存のALQ 99電子戦ジャマーを置き換える。
  7. ALQ 99の欠点は設計が40年前で脅威対象の進歩特にデジタル化に対応できなくなっていることだフェイズドアレイレーダーの出現や出力増処理能力が高くなり使用波形も高度化し脅威が変化中とウィンストン中佐は説明する
  8. そこで次世代ジャマーは「オープンアーキテクチャー」設計思想を採用し、ソフトウェア、ハードウェア双方で新技術を随時採用して脅威の進化に対応する。
Raytheon
  1. 例えば脅威の形式をライブラリー化あるいはデータベース化し、レーダー警戒受信機に取り入れればパイロットは敵の脅威の存在がわかる。新型機が敵に出現すればシステムをアップグレードして情報を追加できる。
  2. 「脅威ライブラリーを受信機とジャマーにも取り入れれば新型レーダーにも対処できます。新規脅威が出現すればジャミング方法も追加します。EA-18グラウラーのミッションプランシステムでプログラムできます」(ウィンストン中佐)
  3. レーダー警戒受信機は純然たる防御技術だが、NGJはジャミング能力を攻撃用途に切り替えF/A-18スーパーホーネットやF-35共用打撃戦闘機など各種攻撃機を支援できる。「地対空ミサイルの迎撃飛翔航路を変える事が可能です。敵のレーダー信号を妨害するのです」とウィンストンは説明してくれた。
  4. 特にB-2ステルス機や戦闘機の防御にNGJが大きな威力を発揮する。将来は開発中の長距離打撃爆撃機やF-35多用途ステルス戦闘機が加わる。敵レーダーを遮断、妨害、あるいは「盲目に」して友軍攻撃機が目標空域に侵入し攻撃を加え無事に帰還するのを助ける。
  5. レーダー探知を逃れる触れ込みのステルス機も無敵ではなくなりつつありNGJの意義は重要だ。
  6. ロシアのS-300ならびにS-400地対空ミサイルのような最新式装備はステルス機を長距離で探知でき、使用周波数帯も広がっている。将来は処理能力が高い装備が出現し、デジタル化とネットワーク化が進むとみられる。

Boeing
  1. 「多機能レーダー対応は単機能レーダーより難易度が高いが、次世代ジャマーの出力は大幅に上がり、対応できるはず」とウィンストン中佐は述べた。「防御側と攻撃機はずっとイタチごっこでこちらがステルス機を開発すれば、相手は対抗技術を導入します。そこでジャミング性能を引き上げる必要があります」
  2. NGJでは監視レーダー、交戦レーダー双方に対応する。後者は高周波で標的を捕捉追尾し、防空網に破壊させるのが目的で前者は敵機侵入を知らせるのが目的だ。
  3. 「標的交戦用のレーダーあるいは指揮統制レーダーの照準範囲は極めて狭く、そこちらは敵にいわばストローで空を覗く状況にし探査範囲を更に狭くさせている間に攻撃機を送りこみます」
  4. ただし中佐はNGJで敵の無線交信、アンテナあるいは別の電子信号を攻撃する能力があるのか明言を避けた。「無線周波を出すものでNGJの対応周波数帯内は全部ジャムできます」とだけ説明している。
  5. 米海軍は10億ドルでNGJの技術生産開発(EMD)のインクリメント1をレイセオンへ単独契約で交付している。
  6. 米海軍はNGJを135セットを調達しグラウラーに搭載する。ウィンストン中佐は別機種へも搭載する可能性を示した。
  7. 「電子戦では大きな一歩になります」とレイセオン・スペースアンドエアボーン・システムズの社長リック・ユースが語る。「NGJはスマートポッドで現時点で最高性能の電子攻撃技術を応用し敵脅威の進化に簡単に対応できます。高度技術で戦場での技術優位性を確立し、ミッションを成功させ無事帰還させるはずです」■
- Kris Osborn can be reached at Kris.Osborn@Scout.com


★米空軍が低価格多用途機スコーピオンの性能評価を実施する



いよいよ米空軍も無視できなくなったのか、スコーピオンを海外案件の名目で性能評価することになりました。同機は従来の常識を破る価格のため軍用機の既存体制を破りかねないと白い目で見られていたのでは。F-35がCAS任務を本当に実施できるか疑問ですが、機体単価が何分の一のスコーピオンで任務をこなせるのであれば、F-35の意義がなくなってしまいますからね。高価格機は調達数が少なくなりますから、このような低価格機を調達するのは理にかなっています。とはいえ、ローエンドと片付けるのはまだ早いでしょう。完全自社資金開発であることも含め、今後注目の機体ですね。

Air Force to Certify Scorpion Jet, Broadening Its International Appeal

Valerie Insinna, Defense News11:22 a.m. EDT July 21, 2016
Scorpion(Photo: Textron Airland)
WASHINGTON — 米空軍が自ら調達する予定のない機体の性能テストをする初めての事例が生まれるその結果で同機の海外販売にはずみがつくと期待される
  1. 7月20日空軍は協力研究開発合意Cooperative Research and Development Agreement (CRADA) をテキストロン・エアランドと締結したと発表し同社のスコーピオンの性能評価を行う認証が交付すれば同機の海外向け直接販売の可能性が開けるあるいは空軍が同機を導入する場合の調達工程が早まる
  2. 「今回は初の事例で米空軍が調達契約をまとめていない機体の性能評価をCRADAで行うのは初めて」と米空軍の性能評価部門が声明文を発表。
  3. テキストロンがスコーピオンをロールアウトしたのは2013年で米軍と海外顧客むけに売りだそうとした。売り込み文句はISR、対ゲリラ戦、近接航空支援、国境海上監視など多様な任務を経済的に実施できるという触れ込みだった。同機は社内資で開発製造され機体価格はわずか20百万ドルで時間あたり運行費用は3千ドルだ。
  4. だがこれまで関心を示したのはひとつだけで先週のファーンボロ国際航空ショーでタレスキネティックからスコーピオンで英国の航空支援国防運用練習機Air Support to Defence Operational Training (ASDOT) へ参画を表明したのが唯一の事例だ採用となればテキストロンは機体10ないし25機を提供しキネティックとタレスが装備の統合事業者として合成練習シミュレーションセンサーを搭載する
  5. テキストロンはCREDA関連の質問は米空軍へするよう求めているが声明文を発表している。
  6. 「テキストロン・エアランドは米空軍が初のDoD契約非対象機材の航空機性能評価を実施する大きな一歩が実現することを嬉しく思います」
  7. 空軍の評価項目には機体の安全性も含まれる。今回空軍はDoD非採用機体(NDMA)室を創設し、ペンタゴンが採用していない機材でも性能評価をし貴重な情報を得ることができるようにした。NDMAは4月にライトパターソン基地(オハイオ)に開設済みだ。■


2016年7月21日木曜日

トルコクーデター事件続報、事件後の空軍は粛清対象か


本当に今回のクーデターでは大統領は危機一髪だっととよくわかります。機転のきいた行動を取れたトルコ国民はすばらしいですね。それだけ統制が取れていないということなのかもしれませんが。空軍はこれでは粛清の嵐で当面戦力が低下したままでしょうね。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to

A Turkish F-4. Photo via Wikipedia

Pilots Flying Old F-4 Fighters Were the Turkish President’s Most Loyal Aerial Defenders

But the aging planes couldn’t match the rebels’ F-16s

by DAVID AXE
7月15日夜、トルコ軍一部がエルドアン大統領に反旗を翻し蜂起し、あと一歩で大統領を殺害あるいは身柄拘束するところだった。
  1. 大統領に忠実な軍部隊は少数にとどまり、その一つがエスキシェヒルEskisehir第一主力ジェット戦闘機基地で、F-4Eファントム2020戦闘機がエルドアンの護衛に発進したのはクーデターが成功しそうと思われた暗い時間帯のことだった。.
  2. だが老朽化した戦闘機隊は反乱軍指揮下のF-16の敵ではなかった。
  3. クーデターの先棒を担いだのは空軍だった。数ヶ月前から計画していたのは明らかで反乱軍は国外追放中のモスレム宗教家フェトゥラ・ギュレンに感化されたといわれ、F-16を4機、KC-135給油機の4機、UH-60輸送ヘリコプター数機、AH-1攻撃ヘリ一機、AS532救難ヘリコプター2機、C-160とC-130輸送機6機、さらに新型A400輸送機の2機を確保していた。
  4. 7月15日午後10時、F-16の二機編隊が第四主力ジェット基地のあるアンカラ北方アキンチ Akinciを離陸し、反乱軍の航空管制官の指示でアンカラ上空を低空飛行しヘリコプターと合流すると政府官庁、警察施設、情報機関に銃撃を加え、報道では親大統領派数十名が死亡している。
A Turkish F-16. Photo via Wikipedia
  1. エルドアン大統領は地中海の保養地で休暇中だった。クーデター発生の内通を受け、ガルフストリームVIP仕様機でイスタンブールへ向かった。だが反乱軍が空港を制圧しているのを知る。ガルフストリームは空港周囲を旋回飛行すると、反乱軍F-16が向かってきて、大統領機を撃墜する動きを示す。
  2. あるいは反乱軍首謀者は大統領の殺害ではなく身柄を拘束して革命法廷に立たせるつもりだったのかもしれないクーデター司令部から大統領機をアンカラのアキンチ基地に着陸させろとの命令が出ていた....エルドアンを生け捕りにするねらいがあった」と中東の軍事航空に詳しいババク・タグヴァイーが War Is Boring に解説している
  3. ビナリ・ユルドゥルム首相が空軍に大統領警護を求めたといわれる。だが空軍の主要基地は大部分が求めに応じていない。第三主力ジェット基地は南部のコニアにあり、F-16を発進させ大統領を「エスコート」することに合意したものの、反乱軍機の撃墜は拒否した。
  4. エルドアンの側につくのは第一主力ジェット基地だけだった。だがタグヴァイーによれば同基地配備の機材は改修を受けたと言ってもヴィエトナム戦時代のF-4が50機ほどあるが、新型空対空ミサイルがなく、反乱軍機撃墜は不可能だったという。
  5. 一方、エルドアン大統領機のパイロットはトランスポンダー信号を切り替えターキッシュエアラインズ定期便に見せかけ、機体外部の照明を切ったことで大統領の命を救った。
  6. 大統領派部隊がイスタンブール空港を奪取するとガルフストリームは安全に着陸した。その後CNNを通じて大統領は乗機の防御策は明言しなかったが、反乱軍F-16が低空で超音速飛行していたと述べている。
  7. エルドアンは支持者に蜂起を呼びかけた。市民数千名が街頭へ出て反乱軍を圧倒した。第一主力ジェット基地のF-4編隊がやっと飛来した。反乱軍のF-16を撃墜する代わりにアキンチ基地の滑走路を爆撃し、反乱軍の主力航空勢力を足止めにした。
  8. クーデーターは7月16日に終結した。死亡300名近く、うち100名が反乱勢力だった。生き延びたエルドアン大統領は軍にクーデター支持の疑いのある7,000名の逮捕を命じうち数百名が高官だった。
  9. タグヴァイーのF-4についての見解には異論があり、軍事方面を専門とするトルコ記者アルダ・メヴルトグルはWar Is Boringに以下述べている。「F-4関連の話は真実ではありません。軍の大半は共和国体制に忠実で、声rがクーデター失敗の原因です」
  10. もしタグヴァイーが正しければ、クーデター後の粛清で精鋭部隊と基地司令部が排除され、旧型F-4と大統領に忠実度を示した乗員が空軍の中核となるだろう、一時的にせよ。■

イラク、シリア、アフガニスタン航空作戦の最新データから見えてくる戦略上の失敗とは


これもオバマ政権の失敗では。イスラム国をもっと早く叩くべきであったのに小出しに航空兵力を投入して貴重な時間を空費したこと。米地上軍の投入をためらい、イラク他の地元兵力武装勢力を主役に立てた分、訓練や整備に時間がかかっています。砂漠や高地で酷使された各種機材の更新が今後たくさん必要になりますがF-35やLRSB等の大型案件に予算が吸い込まれ、結果として米空軍は戦力減少に向かうでしょう。イスラム国ははやく消滅させたほうがいいのは自明の理なのでせっかく勢いのついてきた作戦を今後も継続してもらいたいですね。日本も貢献できることがあるはずですね。

 Airstrikes Up In Iraq & Syria, Afghanistan Eats ISR: CENTCOM

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on July 20, 2016 at 4:00 AM


月別兵器投下量(緑シリア-イラク、赤アフガニスタン)
Sydney J. Freedberg Jr. graphicUS CENTCOM data
  1. アメリカは全く違う戦争を2つ同時に実施している。国防総省発表の最新データからイスラム国向け航空作戦はほぼ四ヶ月の小康状態からふたたび激しくなっていることがわかる。一方でアフガニスタンでの空爆はイラク、シリアと比べればごく小規模であるが、アフガニスタンの荒れた広い国土に驚くべき量の偵察活動が展開されている。
  2. 米中央軍CENTCOMの最新データを分析し、双方の戦闘状況を把握した。CENTCOMが昨日公表した報告書で月ごとに爆弾が何発投下されミサイルの発射本数もわかる。6月が極めて活発で記録に並ぶ量が投下されている。
  3. 圧倒的多数の97.1%がダーイシュ(自称イスラム国のアラブ語頭文字による蔑称)向けで、6月に米軍はイラク、シリアで合計3,167発を投下しているのに対しアフガニスタンでは62発だった。

近接航空支援ソーティー数
Sydney J. Freedberg Jr. graphicUS CENTCOM data

  1. アフガニスタンでの交戦規則が厳格になったことに注意が必要だ。国境なき医師団の病院への誤爆で42名死亡した事件が引き金になったが現在は緩和されており、タリバンへの空爆は増える傾向にある。だが基本構造には変化はない。米軍はイラク-シリアを重視し、ダーイシュを叩き、イラク軍の前進を助けているが、アフガニスタンでは基本的に軍事顧問団の役割に徹している。
  2. 空爆の代わりに米軍はアフガン政府軍に情報収集監視偵察(ISR)能力を大量に提供している。データを見るとアフガニスタンでのISRフライト回数はイラク、シリアの二倍程度になっている。言い換えれば、イラク、シリアでは近接航空支援任務2回につき一回のISRフライトがある。ISRを実施理由では空爆目標に関する情報が一番多い。アフガニスタンではおそらく同国地上部隊の要望が中心なのだろう。
  3. 数字から一つわかることがある。空爆回数が減ってもISRの要請は減っていない。偵察は絶えず必要であり、無人機部隊がぎりぎりまで酷使されている。
ISRソーティー回数、月別
Sydney J. Freedberg Jr. graphicUS CENTCOM data
  1. 輸送機も酷使されている。二方面の航空作戦で今年前半だけで空輸フライトが4,500回を数え、各種補給品を米軍、連合軍向けに運んでいる。
  2. 次に空中給油がある。給油機は高経年化が目立ち後継機種の確保に空軍は躍起だ。基地が近くに確保できず米軍戦闘機は航続距離が短いため空中給油一回か2回がないと目標まで到達できない。
  3. 空中給油機にアフガニスタンが悪評なのは国土が広く拡散しているためだ。インド洋上の空母から発艦する攻撃戦闘機は一回のソーティーで何度も空中給油する必要がある。だがアフガニスタンでの空中給油機のソーティーは平均一日あたり13回とイラク、シリアの34回と比べ半分以下だ。それだけシリア、イラク上空にはお腹をすかした戦闘機が多く飛んでいるのだ。
  4. 大まか数字ではこれ以外の詳細が見えてこない。たとえばAWACS空中指揮命令機は少数だが重要な機材だ。またデータは最終的には戦略の兆候を示し、グラフの折れ線は状況を知るためのものでありそれ自体が目的ではない。そこでアメリカの空軍力権威に意見を求めてみた。
一日あたりのソーティー数
Sydney J. Freedberg Jr. graphicData courtesy David Deptula, Mitchell Institute
  1. 「CENTCOMがイスラム国を標的に作戦レベルをあげているのはよいことだ」とデイヴィッド・デプチュラ退役空軍中将、元F-15パイロットは語る。「(だが)シリアとイラクで層別すると、シリア内のイスラム国向け空爆は活発さを欠いている」という。
  2. デプチュラの数えたところダーイシュ相手の空爆は平均一日15ソーティーで72発を投下しており、うちイラクが9ソーティ、シリアはわずか6ソーティーだ。砂漠の嵐作戦の空爆でデプチュラも立案に加わったが、一日で1,241ソーティーで5,294発を投下している。2003年のイラク侵攻では633ソーティーで973発だったのはスマート爆弾が広く投入されたのが大きい。セルビアの1999年連合軍作戦でさえ298ソーティーで359発投下していた。

一日あたり投下数
Sydney J. Freedberg Jr. graphic
Data courtesy David Deptula, Mitchell Institute
  1. その一日あたり15ソーティーでデプチュラが指摘するのはイラク9に対してシリア6というバランスの悪さだ。イスラム国の中枢はシリアだ。ビル・ミッチェルやジウリオ・ドゥウエが説いた空軍力理論ではまず敵の力の源泉を叩くべきで、戦線付近を空爆で苦しめるのはその後でよい。
  2. 「最新の数字から現在の陸軍主導の(地上戦中心)戦略ではイラクの主権回復をまず達成してからシリアのイスラム国対応にとりかかろうとしているが、これではあべこべだ」とデプチュラは指摘する。デプチュラはワシントンDCでミッチェル空軍力研究所所長を務めている。「この地方での米安全保障の中核的利益はイスラム国に聖域を認めないことでテロ輸出を止めることのはず。イラク軍の代理を務めることではない」
  3. 進展がゆっくりとしかも小出しの投入によりイスラム国に時間の余裕を与えてしまい西欧への影響力拡大を許したため「オーランド、パリ、ブリュッセル、ニース、それからこれからもっと多くの場所でテロ襲撃が起こる」とデプチュラは述べた。
  4. 「二年前に米主導の連合軍は総合的な戦略で迅速かつ効果的にイスラム国の実行能力を解体する方向でまとめておくえきだった」とデプチュラはいうが、今からでも方向転換はできるはずだ。「シリアのイスラム国相手の空爆は一日六回という小規模から適度な規模に引き上げるべきで、イスラム国の構成要素をそのまま粉砕する作戦を迅速に行う戦略に焦点を合わすべきだ」■

2016年7月20日水曜日

ポケモンGOが米軍基地を侵略中



これはどこが面白いのでしょうか。外に出かけるのはいいことですが、これでは他の歩行者や車に迷惑にならないのでしょうか。人口稠密な東京でこんなことをされては大変でしょう。ましてや軍でも流行るとは理解ができません。そんなことを言う当方は古いのでしょうか。ポケモンは英語になっていますが、モンスターたちの名前は言いやすいように買えられているようですね。日本ではまだ公開前ですが、在日米軍基地ではすでに使われているんですね。
イラク北部に現れた『ゼニガメ』 Louis Park photo via Facebook

War Is BoringWe go to war so you don’t have to

‘Pokemon Go’ Invades America’s Military Sites

Military officials are wary of both troops and civilians trying to catch ’em all

by KEVIN KNODELL

ポケモンGOがアメリカを侵略している。7月6日の公開から無料の拡張現実ゲームaugmented reality gameで数百万人があちこちをを探索している。
その中に米軍施設もある。7月11日にワシントン州のルイス-マッコード共用基地JBLM広報部から軍事基地内を踏破する際にはくれぐれも注意を呼びかける発表が出ている。
「ポケモンGOの発表以来、運転中あるいは歩行中にアプリを見ながら仮想ポケモンを追跡して事故やけがをする事件が発生しています」とあり、「ポケモンGO初心者がJBLM内で使う際には、ポケモンを規制地区あるいは立ち入り禁止地区、事務棟、基地内住宅内で使わないこと」
海外展開中の軍人民間人も同アプリを使い世界各地でポケモン探しに夢中になっている。スターズ・アンド・ストライプス紙は日本でサーバーのテスト中に第374医療グループの病院ロビーでチャルメルオンCharmanderを捕らえた者、同紙の横田基地内の支局でゼニガメSquirtleを捕獲した者が出たと報じている。 
同日に海兵隊の公式ツイッターアカウント上にポケモンが試射場に現れた写真が掲載され、「火線から離れて、ピカチュー、安全規則違反ですよ!」とキャプションにあった。
ポケモンGOへの反応は熱中するか反発するかの両極端である。熱烈な支持者は郷愁を誘うオリジナル版ゲームの魅力を再び感じる。人々を外出させ、すべての年齢層と背景の違う人々でも普通では不可能なやり取りが可能だ。またカフェやレストランへの集客効果もある。
だが反対者にとっては迷惑そのもので人々は住宅地区でばらばらに目的もなくぶらついて想像の世界の生物を追い求めている。このアプリの利用者がサイバー攻撃の標的になるとの懸念も生まれている。
またこのアプリで犯罪が発生したとの報道もある。多くはガセネタだが、デジタル生物を真夜中にダラス郊外で追跡中の二名が強盗にあった。別の例では犯罪者が同アプリをつかい、疑いを持たないポケモントレーナーから金品を奪ったとミズーリ警察が発表している。
「ポケモンGOの地理位置情報を悪用して被害者の現れる場所を犯罪者があらかじめ予測している」と警察は注意喚起している。
だが反対に米海兵隊員二名がゲームをしている最中に犯罪を未然に防いでいる。両名は怪しい男性が子どもたちに近づくのを目にし、この男を追跡し警察を呼んだところ、男性は殺人未遂犯だと判明した。
ポケモンを探す兵士。Photo via Facebook/Army WTF! Moments ポケモン捕獲で車列が止まる
別の例ではアプリで19歳のシャリア・ヒギンスがワイオミングのビッグウィンド川で水死体を発見している。本人は水中ポケモンを探していた。「このゲームがなければあんなところへは行かなかったでしょう」と本人はCNNに語っている。
ヒギンスは死体に出会った際にまず認識できなかったと認めている。「スマホを見ながら歩いていたので」
上記のJBLM発表はアプリのプレイヤーに周囲に注意するよう求めている。「駐車場、横断歩道他に注意して。顔を上げてスマホから視線を外し、横断の前に左右をよく見て」と注意喚起している。「ポケモンはすぐに消えないので安心してください」
だが別の軍事施設で出た公示はそこまでユーモアがない。アーリントン国立墓地ANCにポケモンを求めてさまよう人々が発生している。アーリントンは戦没者の最後の休息地だ。
「アーリントン国立墓地に埋葬されている方への尊厳として、当地を訪れる方全員には最高水準の礼儀作法をお願いしています」と同墓地職員がフェイスブックに記している。「ポケモンGOなどゲームを神聖な土地でプレイするのは相応しくない行為であり、ANCを訪問される際はそのような行為はご遠慮ください」
ポケモンのようなカルチャー現象がここまでの関心あるいは懸念を軍関係者から招くのはこれが初めてではない。1999年に国家安全保障庁がフォートミード本部内でファービーFurbyのプレイを禁止している。ファービーは周囲の人々の言葉を真似るので、極秘扱いの情報を口にした場合に真似るだけでなく保存する可能性があったからだ。
NSA職員向けの案内ではファービーを庁内で見かけた際は「保安担当の指示を仰ぐべし」と求めていた。
だが軍上層部の思いと関係なくポケモンGOは生活の中に入ってきそうだ。公開数日にして利用者数はツイッターを超える勢いだ。
イラク戦でも利用者が生まれた。イラク北部で民兵部隊に加わる元海兵隊員ルイス・パークがフェイスブックで自身の機関銃の前でゼニガメと出会ったと伝えている。
「モスル最前線でのポケモン捕獲一号となった。ダーエシュもポケモンバトルで挑戦してみろ。迫撃砲なんか目じゃない」とパークは記している。■



★★★F-3事業に参画意欲を見せるボーイング、ロッキード・マーティン




Boeing, Lockheed Martin emerge as early rivals for Japan's fighter contest


Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly
19 July 2016
  
Japan's Mitsubishi F-2 multirole fighter aircraft. Source: Japanese Air Self-Defense Force

  1. 航空自衛隊JASDFがめざすF-2多用途戦闘機の後継機種をめぐり、ボーイングロッキード・マーティンがともに参画の意向を表明した。
  2. IHS Jane’sが両社へ7月19日照会したところともに日本での実績をもとに同事業参入を目指していることがわかった事業規模は200億ドルといわれる
  3. 防衛省は情報提供要求RfIを発出済みで、2018年4月までに「次期戦闘機」の決断を下すとみられる。
  4. F-2は2000年代に三菱重工業MHIとロッキード・マーティンの共同事業で製造され、2027年ごろまでに全機退役する。
  5. ボーイング広報によれば同社はF-2後継機の要求内容を検討中だという。「日本で当社の存在意義を大きくする方策は常に考えており、日本での安全保障ニーズに応えたい」
  6. ロッキード・マーティン広報は「日本から各社に情報の要求が出ているが、当社もこれまでの日本との関係をさらに強化する今回の機会を活用したい」とし、「F-35事業とF-2でMHIと実績が成果を生んでいることは誇り」とする。
  7. RfIは6月に出ており、各国の戦闘航空機メーカー宛に送付されている。RfIは7月はじめに締め切られており、米二社に加えユーロファイターSaabもプレゼンを8月末に行う見込みだ。
  8. RfIは既存機種での検討の一助にするほか、各社の事業参加への意欲をさぐることのがねらいだ。MoDはF-2後継機を純国産あるいは共同開発ですすめるかの決断を下すが、後者の場合は既存機種を原型にするとみられる。■


2016年7月19日火曜日

「人工島建設続ける」予想通りのPLAN司令官発言、議論にならない中国の態度


中国側が自己中心的な発言を延々と陳述するのを米側はどんな気持ちで聞いていたのでしょうか。米側が冷静な分だけ中国はますます異常さをさらけだしているのではないでしょうか。訪中の後の作戦部長に注目ですね。南シナ海では国際パトロール体制を早く実現したほうがいいと思うのですが。

PLAN’s Wu to CNO Richardson: Beijing Won’t Stop South China Sea Island Building

By: Sam LaGrone
July 18, 2016 6:17 PM

Chief of Naval Operations Adm. John Richardson meets with Adm. Wu Shengli, Commander of the People's Liberation Army Navy (PLAN) on July 18, 2016. US Navy Photo
7月18日、ジョン・リチャードソン海軍作戦部長が人民解放軍海軍司令官呉勝利提督と会見した。
. US Navy Photo


米海軍トップとの会見で人民解放軍海軍のトップが南シナ海スプラトリー諸島で人工島構築を中止する意向はないと断言した。中国国営メディアが伝えている。

  1. 呉勝利海軍大将と米海軍作戦部長ジョン・リチャードソン大将の会談の席上、国営メディア新華社は呉から中国はフィリピン近くの人工島数カ所の工事は完成させる、先週下された国際仲裁裁定の結果は無関係と発言したと伝えた。「南沙諸島(スプラトリー)の建設工事は絶対中止しない。南沙は中国固有の領土であり、建設は合理的範囲内であり、正当であり、合法的だ」と述べた。
  2. 「軍事力で中国を脅かそうとすれば反対の効果が生まれるだけだ」と呉は各地の防衛体制を強化する権利が中国にあると発言したと国営メディアは伝えている。
  3. この会見とは別に中央軍事委員会の副主任が航行の自由作戦を今後も外国海軍が南シナ海で行えば危険な事態になると警告している。
  4. 「外国軍艦が航行の自由を行うことで南シナ海の航行の自由が脅かされ、破局に至る可能性がある」と孫建国海軍大将が清華大学で土曜日に講演したとサウスチャイナ・モーニング・ポストが伝えている。
  5. 米海軍は昨年10月以来南シナ海で航行の自由作戦を三回実施し、中国の神経を苛立たせていた。
  6. 呉提督は南シナ海での安全保障をめぐる米中協力は「唯一の正解」だと述べた。呉とリチャードソンは三時間半に渡り海の上の問題をめぐる意見交換をしている。
  7. 「今回の会談は極めてオープンかつ広範で隠し立てせず行えたと思う。両国関係のすべてを協力できる分野から連携の可能性まで話、リムパックへの参加とか、親善訪問などのほかCUES取り決めで海上遭遇を安全に行うことまで話し合った」とリチャードソンの音声声明を米海軍が公開した。
  8. 「そうした分野での期待とは対照的に南シナ海問題は深刻で、仲裁内容もあり、この問題ではお互いに率直かつ誠意を持って望まないと解決はありえないとわかった。双方ともに両国関係が極めて重要であると認識しており、海軍同士で互恵関係としていく責任がある」
  9. リチャードソン作戦部長は北京を離れ、中国北海艦隊で潜水艦学校を視察したあと空母遼寧(CV-16)に乗艦する。■

★トルコクーデターで危機一髪だったエルドアン大統領、空軍の動きを中心にロイターが伝える



エルドアン大統領は強運の持ち主のようですね。今回のお粗末なクーデター事件の背景がよくわかります。なんか中途半端な反乱軍の動きですが、拙速になった理由があったのですね。一応戦略的にも重要なトルコの政体が転覆することなく良かったと思います。

At height of Turkish coup bid, rebel jets had Erdogan's plane in their sights

ANKARA/ISTANBUL | BY HUMEYRA PAMUK AND ORHAN COSKUN
クーデター事件被害者の葬儀で群衆に手を振るエルドアン大統領イスタンブール, July 17, 2016. REUTERS/ALKIS KONSTANTINIDIS

先週発生したトルコのクーデターで、反乱軍F-16の二機編隊がタイイップ・エルドアン Tayyip Erdogan大統領の搭乗機を視認していたが、大統領は難を逃れていた。
  1. 大統領は先週金曜日にクーデター発生の報を聞き、休暇中の保養地マルマリスMarmarisからイスタンブールへ戻る途中だった。
  2. 「二機のF-16が大統領機に嫌がらせをし、護衛の別のF-16二機にレーダーロックオンをした」と内部事情に詳しい軍の元関係者がロイターに語っている。「射撃しなかった理由は謎だ」
  3. 反乱部隊はマルマリスで襲撃しようとし、大統領が移動したあと同地を爆撃したとエルドアン大統領は述べている。上記高官も「数分の差で殺されるところだった」と述べている。
  4. マルマリスのホテルにヘリコプターで兵士25名が降下したのは大統領の移動直後で、明らかに大統領の身柄拘束をねらったものだとCNNトルコが報じている。
  5. ビナリ・イディリム Binali Yildirim 首相もイスタンブールで狙われたが間一髪で逃れたと関係者は述べている。
  6. ウェブサイトのフライトトラッカーFlight trackerによればガルフストリームIVビジネスジェット機(トルコ政府保有)がダラマン Dalaman 空港(マルマリスから1.25時間ほどの距離にある)を金曜日2240 GMTに離陸している。
  7. 銃声と爆発音はイスタンブール、アンカラの両都市で金曜日夜を通し聞かれたが、反乱部隊はトルコ情報機関本部と議会を首都アンカラで制圧しようとした。一時は国営テレビ放送で全国に外出禁止令を伝えさせようとした。
  8. だがクーデターの陰謀はエルドアン大統領に忠実を示す部隊による制圧で失敗し、大統領はCNNトルコに携帯電話から出演し、国民に街頭に出て支持を示すよう求めた。
  9. 今回の事件で290名以上の生命が失われ、うち104名がクーデター支持勢力で残りは一般市民と警察官である。
  10. 航空関係の反乱勢力の中心はアキンチ Akinci 空軍基地、アンカラから50キロ北東、のようで、少なくともパイロット15名が反乱部隊司令官の命令に従ったと上記元軍関係者が述べている。
  11. 国軍司令官フルシ・アカールHulusi Akarは反乱の最中に身柄を拘束されたが、後に救出された。アキンチ基地のジェット戦闘機は反乱部隊が操縦しイスタンブール、アンカラの上空を繰り返し低空飛行した。ソニックブームで民家の窓が破れ、住民が混乱した。
  12. アンカラ西方のエスキセヒルEskisehir基地からもジェット戦闘機が緊急離陸し、アキンチ基地を空爆し反乱部隊を制圧しようとした。反乱部隊の機体は空中給油を受け夜通し飛行を続けたと上記政府高官が述べている。
  13. この給油機はトルコ南部のインチリック Incirlik 基地から離陸しており、基地司令官は日曜日に逮捕されたと関係者が明かした。インチリック基地は米軍はじめ連合軍がイスラム国空爆の基地として利用している。
  14. 首都アンカラで関係者三名が元空軍司令官であり、高等軍事評議会(YAS)の一員、アキン・オズトゥルク Akin Ozturkが今回の陰謀を操った一人と断定している。オズトゥルクはじめ数千名の軍人が逮捕され、手錠をかけられ警察本部に連行されるオズトゥルクの写真が公表された。
  15. オズトゥルクは今年8月にYASを退任する予定で、本人の経歴が国軍ウェブサイトに残っており、生年は1952年だ。
  16. 二番目の首謀者としてムハレム・コセ Muharrem Koseの名前が上がっている。参謀総長付の法律顧問を務めていた人物だと上記首都関係者三名が述べた。コセはアメリカ在住の聖職者フェトゥラ・グレンFethullah Gulenの信奉者で、エルドアン大統領はグレンのネットワークがクーデターを実行したと非難している。
  17. コセは不適切な行為により3月に職を解かれたが、軍は除隊していないと関係者が明らかにした。本人の所在は不明。
  18. エルドアン政権は以前からグレンの信奉者が「並行政府機構」として司法、警察、軍、メディアを巻き込み、権力奪取を狙っていると追求しており、グレンは嫌疑を否定していた。
  19. エルドアン自身の政治基盤はイスラム主義にあるが、軍とは難しい関係を経験してきた。軍はトルコ世俗主義の守護者と自負し、三回のクーデターのほか、四回目ではイスラム主義手動の政府を政権の座から追い出した実績がある。
  20. クーデター失敗で将校数百名が逮捕されたが、エルドアン政権は司法の力で軍内部の反乱の芽を潰した格好だ。一部の嫌疑は解かれ、身柄拘束が止まっているが、軍内部の士気は傷つき、反感に火をついた。
  21. クーデター首謀者は軍内部でもっと支援が得られると楽観視していたようだ。
  22. カーネギーヨーロッパで客員研究員を務める元トルコ外交官シナン・ウルゲン Sinan Ulgenは「利用可能な装備が不十分で戦略目的の達成にはお粗末な装備しか準備しなかった。以前のクーデター成功例より今回は実施能力が相当低かった」と述べている。
  23. 一時はCNNトルコの放送を沈黙させ、放送局から局員を排除していた。放送再開でアンカーウーマンのネブシン・メングNevsin Menguは反乱部隊隊員は若く「目に恐怖が見え、献身的態度や決心のほどは見られなかった」と述べている。
  24. 前出元軍関係者によればクーデター首謀者が実施を焦ったのは政府の監視を受けているとわかったためだろうという。「明らかに準備不足でした。計画が漏れて、監視対象になったとわかったので、予定より早く行動に移す必要が生まれたのでしょう」
  25. またエルドアン大統領に群衆を動員する力があると見抜けず、大統領支持派は街頭に出てイスタンブール、アンカラ、その他で戦車やジェット機をものともしなかった。
  26. アキンチ基地があるカザン市の市長報道補佐官を務めるセルタック・コッチSertac Kocによれば地元住民はジェット機離陸が増えているのに気づいたという。
  27. 「ジェット機がアンカラの議会を攻撃し、イスタンブールの市民を狙ったと知り、自主的に住民は基地に移動し、やめさせようとした」とロイターに電話で伝えてきた。「住民は自分たちの車で道路を封鎖し、わらを燃やして離発着時の視界を妨害しようとし、基地への送電線を切断した」
  28. 反乱部隊が発砲し、住民7名が死亡したとコッチは述べ、全国では更に数十名の一般市民が命を失うトルコ史上最悪の流血の夜となった。■
(Additional reporting by Tom Miles in Geneva, Paul Taylor in Brussels; Writing by Nick Tattersall; editing by David Stamp)