2016年9月6日火曜日

★★中国は超大型機An-225を入手して何をするのか



中国には技術を自国で物にするためには時間と労力が必要だとの認識が近代化開始からずっと欠けたままです。今回も金の力で苦境にあるウクライナから技術を獲得する良い取り引きができたと思っているのでしょうが、長い目で見ればどうなのでしょう。戦略では長期的な視点が目立つ中国が技術戦略ではどうして同じことができないのか。それは科学技術の意義が理解されていないためとズバリ指摘しておきます。An-225は確かに巨大ですが、あまり意味のない機体でしょう。

War Is BoringWe go to war so you don’t have to
Antonov Airlines’ An-225. Karlis Dambrans photo via Flickr

China to Build the World’s Largest Plane — With Ukraine’s Help

The An-225 could assist Beijing’s space program, or something else

by ROBERT BECKHUSEN

  1. ウクライナの航空機メーカー、アントノフはソ連時代の伝説的企業でロシアのクリミア侵攻で存続が危うくななった。同社の主要顧客であるロシア政府が一夜にして望ましくない顧客に変身したためだ。
  2. 以前にも苦い経験はあった。ソ連時代の1980年代にアントノフは世界最大の輸送機An-225ムリヤ(「夢」)を企画し現在一機だけ飛行可能な状態にある。
  3. 今日ではこの唯一の機体が民生貨物輸送機として超重量級発電機、タービンブレイド、石油掘削装置まで運んでいる。興味深いことにアントノフはもともと同機をスペースシャトル搬送用に使おうとしていた。
  4. さこで中国が同型機をまず一機生産させようとしており、追加もありうる。
  5. 両国は協力取り決めに8月30日に調印し、未完成のままのAn-225二号機を完成させ中国航空工業集団に納入する。「第二段階でAn-225のライセンス生産を中国国内で認める」とアントノフは報道資料で説明。
  6. An-225ムリヤはNATO呼称コサックでAn-124ルスランを大幅に改造したものだ。An-124はロシア空軍で最大の輸送機として供用中で世界最大の軍用輸送機だ。だがAn-225は機体をさらに大きくしエンジン二基を追加し、貨物床を強化したうえ、主翼を延長し、尾翼もふたつになっている。このためムリヤは最大離陸重量が700トンと747より200トン多く、エアバスA380-800Fよりも50トン多い。An-225の翼幅は世界最大の290フィートで怪物航空機といってよい。ただし翼幅の最大記録はH-4ハーキュリーズが保持している。とはいえAn-225の機体重量は世界最大だ。
  7. 現在唯一のAn-225は初飛行が1988年だが、ブラン宇宙シャトル計画が1993年に打ち切られ、ウクライナは二番機を製作途中でモスボール状態にしていた。アントノフはこの二号機の生産を再開し中国へ納入する。
  8. 同社は二号機の機体状況を写したキエフ工場内写真を公開した。
The second, incomplete An-225. Antonov photos
  1. ミリヤはZMKBプログレスD-18ターボファン6基を搭載し、各51,600ポンドの水力を生む。車輪32個を搭載し(A380は22個)、巡航速度ほぼ500マイルで貨物満載して9,500マイルの飛行が可能だ。
  2. だがAn-225案件はウクライナ航空産業が深刻な状態にあり顧客がないことを示している。
  3. アントノフはソ連からウクライナが独立したためウクライナ企業とななったが、ソ連崩壊後も主にロシア向けに頑丈な輸送機を以前同様に設計していた。
  4. 同社は設計のみで生産していなかった。ただし2009年に製造部門に進出し、キューバや北朝鮮向け旅客機も製造したとニューヨーク・タイムズが報道している。
  5. だがアントノフは危うい状態にあった。ロシアのウクライナ東欧侵攻で環境が悪化し、ウクライナのロシアとの防衛関係は停止状態となった。
  6. 予想通りアントノフは苦境に立ち、危うくウクライナ航空産業を道連れにするところだった。「アントノフはウクライナの切り札だ。世界のどこにも負けない輸送機を産んだ企業だ」とウクライナの軍事アナリスト、ヴァレンチン・バドラクがNYタイムズに2014年語っていた。「同社の消滅は片腕を失うのと同じ」
  7. 同社はなんとか生き延び、2016年1月にウクライナはアントノフ資産を精算し、国営軍事複合企業体クラボロンプロム傘下に移した。
  8. そこで世界最大の航空機を入手する中国の意図が問題になる。詳細不明とはいえ、大型航空機案件では目に見えるものを信じろというのが鉄則だ。
  9. ロシアの航空専門家、ワシリー・カシンは中国にはAVIC中国航空宇宙工業という大企業があるが、今回の買い手AICCはずっと小規模の企業だと注意喚起している。
  10. 「今回の取引は中国がこれまで軍事用途の技術を入手してきたのと同じパターンで、ウクライナにとっては同社は貿易上の中間業者に過ぎない」とカシンはロシア国営報道機関スプートニクに述べている。
ソ連の宇宙シャトルであるブランがAn-225の機体に乗り第38回パリ国際航空宇宙ショー(1989年)に展示されていた。 Photo via Wikipedia
  1. An-225には戦略軍事輸送上の欠陥がある。機体が大きいため最大離陸重量では滑走路長が11,500フィート(約3,500メートル)必要で目的地も限られる。これでは戦略用途には不利だ。Popular Mechanicsによると軍事用途の輸送事例として2002年に米軍部隊をオマーンまで輸送している。
  2. 中国にも大型ジェット輸送機の必要があるだろうが、大量の機材が必要であり、運用確立のために今後数十年に渡り数百万人時間をかける必要がある。
  3. 高価かつ高度に特化した怪物超大型機がその目標に寄与できるのだろうか。中国空軍が大型機を生産運用する経験を必要としているのは事実だが。現在唯一の国産戦略級ジェット輸送機は西安Y-20で2013年に初飛行している。
  4. アントノフは知的所有権の譲渡は合意していない。中国にAn-225の知財は渡さないと説明している。
  5. だが中国版An-225では現在のウクライナ同様に世界各地への同機運行が発生するはずだ。このため同機運行に乗り気な民間会社が必要になる。現在An-225を運行するのはアントノフエアラインだけだが年間飛行回数は一回か2回しかない。
  6. もう一つの可能性はソ連がもともとAn-225に期待したのと同様のスペースシャトル搬送だ。
  7. 中国がソ連時代のブランやNASAスペースシャトル同様の高額で非効率な有人シャトル建造に乗り出す可能性は極めて低い。だがミリヤは中国の宇宙計画を小型宇宙機を搭載したロケットを空中発射することで支援できるはずだ。
  8. 中国が空中発射式の無人宇宙機神龍Shenlongを実験していることは知られている。西安H-6爆撃機が搭載するのがまず視認された。超大型支援機なら今後登場するはずの大型宇宙機を搭載できるだろう。
  9. ソ連がAn-225を打ち上げ母機として宇宙機MAKSを運用しよとしていたことを忘れてはならない。ミリヤでは再利用可能なロケット推進宇宙機を機体上部に搭載し、高度28,000フィートで降下し速度を稼いでからMAKSを切り離し滑空させる構想だった。
  10. だが端的に言って中国の意図がまったくわからない。また未完の二号機がウクライナを離れる日が本当に来るのかもわからない。■


2016年9月5日月曜日

★歴史に残る機体10 Tu-95ベアはロシアのB-52,旧式化したとはいえ威力は十分




The National Interest

The Tu-95 Bear: Russia Has Its Very Own B-52 Bomber

She might be old but she packs a big punch.
An air-to-air overhead view of a Soviet Tu-95 Bear aircraft. Wikimedia Commons/U.S. Navy

September 3, 2016



ツボレフTu-95「ベア」ほど特徴的な機体は珍しい。四発の戦略爆撃機で哨戒機でもあり、一角獣のような空中給油管がついた形状はまるで前世紀から蘇った怪獣のようだが実際に第2次大戦直後に生まれて今日も運用されている。

ただし外見にだまされないように。60年に渡りTu-95が軍務についてこられたのは大ペイロードで長距離飛行できるからである。つまりTu-95はロシア版のB-52であり、洋上飛行を得意とし欧州、アジア、北米の防空体制に挑戦してきた。

冷戦時の核爆撃機として

  1. ベアは第二次大戦時の米国航空兵力に匹敵する戦略爆撃機を熱望した戦後のソ連で生まれた機体だ。ソ連立案部門は1950年に四発爆撃機で数千マイルを飛行して米国を爆弾12トンで攻撃できる機体を求めた。
  2. ただし当時のジェットエンジンは燃料消費が多すぎた。そのためアンドレイ・ツボレフ設計局はNK-12ターボプロップ4発に反転プロペラを選択した。
  3. NK-12にはプロペラ二基がつき、二番目のプロペラを逆回転させ第一プロペラが生むトルクを打ち消し、速力を確保する。反転プロペラは効率が高い反面、製作コスト維持コストが高くなるだけでなく信じられない程の高騒音を生むため、広く普及しなかった。Tu-95飛行中の騒音は潜水艦やジェットパイロットからわかるほどだといわれる。
  4. ただしTu-95ではこの選択が効果を上げた。巨大なTu-95は最速のプロペラ機であり、500マイル時巡航が可能だ。プロペラ直径は18フィートもあり、先端では音速をやや上回る速度になる。後退翼を採用したプロペラ機としても希少な存在だ。
  5. Tu-95は巨大な燃料搭載量があり、9,000マイルを機内燃料だけで飛べる。後期モデルでは特徴的な空中給油管を搭載してさらに飛行距離を伸ばした。冷戦時の警戒飛行は10時間におよんでいたが、実際はその二倍程度の飛行が可能だった。
  6. Tu-95の乗員は6名から8名と型式により異なる。パイロット2名、航法士2名のほかは機関銃やセンサーの操作員だ。原型ベアは23ミリ機関砲二基を搭載していた。だが長距離空対空ミサイルの登場でこの装備は陳腐化し後期型では尾部だけとなった。(尾部機関銃でB-52は2ないし3機をベトナム戦で撃墜している)
  7. ベアの当初想定ミッションは明白だった。冷戦が熱い戦争に発展した場合に数十機がばらばらに北極海を飛び越えて核爆弾を米国に投下するはずだった。途中でミサイルや防空網の犠牲となっても数機は突破できる想定だった。
  8. 米軍の作戦構想を真似てソ連も24時間滞空待機する核爆撃機を運用していた。
  9. 核実験にも投入された。Tu-95Vが投下したのは史上最大の核爆弾で1961年にセヴェルヌイ島で爆発した50メガトンの爆弾の王様Tsar Bombaだった。同爆弾は地表から4キロ上空で爆発し、きのこ雲を40マイル先まで送った。衝撃波で投下したベアも高度を数千メートル失ったが、パイロットは制御を取り戻し、基地に帰還している。乗員は生存可能性は50パーセントしかないと知らされていた。
洋上哨戒機として
  1. 1960年代に入るとソ連は米本土に爆撃機で核爆弾を投下する方式では戦果が望めないと賢明な判断をし、弾道ミサイルの費用にはかなわないことがわかった。そこでTu-95新型にはこれまでと異なるミッションが想定された。
  2. 同機を長距離巡航ミサイルの母機に使う構想が生まれた。Tu-95Kは大型のKh-20核巡航ミサイル(NATO名称AS-3カンガルー)を搭載した。同ミサイルの有効射程は300から600キロでMiG-19の胴体をモデルとし主翼を取り外した形状だった。
  3. もう一つのミッションが米空母打撃群の追尾飛行だった。探知船舶を広い海洋の各所に配備するのは難しい課題だった。だがもし米空母群の位置が判明すれば、陸上から爆撃機多数を飛ばし攻撃できる。ベアなら洋上を何時間も飛行して広大な海洋をカバーできるので米艦隊捜索用にうってつけの機材だった。
  4. Tu-95RT洋上偵察型はこのため専用に製造された機体で水上捜索レーダーを胴体下のポッドに搭載し、さらに捜索用のプリスター型観測窓を設けた。
  5. 有事になれば敵艦隊の位置を追跡することは有益であり、さらに米海軍には航空攻撃を受ける可能性という心理的圧迫をかけられる。米空母からはつきまとうベアを追い払おうと戦闘機を緊急発進させることがよくあった。ベアと戦闘機が一緒に収まる写真は冷戦時の象徴だった。
その他各型
  1. 試験機材のベアは多数あり、Tu-95LALは原子炉を搭載し推進動力とした。Tu-95KにMiG-19戦闘機を搭載し空中母艦としようとした。
  2. 量産型にはTu-95MR偵察機、改良型Tu-95K、KMがあり、後者はKh-22ミサイル運用能力がついた。
  3. ソ連は対潜哨戒偵察機をベアから専用機材Tu-142として製造している。この開発の背景にはポラリス潜水艦発射弾道ミサイルの恐怖があった。Tu-142はベルクート(ゴールデンイーグル)水上探索追跡レーダーで識別できる。尾部ブームにMAD磁気異常探知装置をつける。Tu-142は機体を若干延長してセンサー類を搭載している。
  4. 冷戦期に搭載システムを数回アップグレードしており、米潜水艦技術の進展に追随した。現在はTu-142MZがあり、RGB-16、RGB-26ソノブイを搭載しエンジン出力を強化している。数回に渡りTu-142は米潜水艦追跡に成功している。 二機のみ製造されたTu-142MRはロシア潜水艦との通信専用機材だ。
  5. ロシア海軍航空部隊が今日でもTu-142を15機運用している。そのうち一機がシリアで最近目撃されている。シリア反乱勢力の位置情報をつかもうとしたのか米艦隊を追尾したのだろう。
  6. 1988年からインド海軍はTu-142MK-Eを8機運用中で、近くP-8Iポセイドン12機に更改される。
  7. ベアはロシア初のAWACSたるTu-126となった他、Tu-114旅客機型はフルシチョフを無着陸11時間でモスクワからニューヨークへ運んだ。ただし今日では両機種とも飛行していない。
  8. Tu-95として今日も稼働中なのはTu-95MSが50機あり、Tu-142を元に開発し、Kh-55ミサイル(AS-15)を運用する。この機体は最近になり巡航ミサイル16発を搭載する改装を受け、新型航法目標捕捉システムを取り付けた。Kh-55は核、非核弾頭の双方あり射程も3千キロから300キロまで別れる。
  9. Tu-95MSMが発射するはKh-101および核Kh-102ステルスミサイルは低空飛行で低レーダー断面積を誇る。射程は5,500キロにまで及ぶ。
  10. これだけの威力を誇るものの、ベアも老朽化には勝てない。2015年夏には二年間で二機に喪失事故が発生したため全機飛行停止措置となった。
現在の状況
  1. 21世紀に入ってもベアは相変わらず太平洋大西洋上空を飛んでいる。主要任務は他国の偵察だ。
  2. Tu-95がイングランド沿岸沖、カリフォーニア沖50マイル地点、アラスカの防空識別圏内、日本の領空内を飛行する事案が発生している。接近飛行で相手国の迎撃戦闘機の出動を誘発させているが、他国領空の侵犯は通常は行っていない。
  3. 冷戦時にはこうした哨戒飛行は通常の事だったが、プーチンが2007年に再開させた。真意はロシアが今でも核搭載爆撃機を各国に飛ばす能力があると誇示するものだ。
  4. 米RC-135スパイ機の飛行で中国、ロシアの戦闘機も迎撃することがあるが、RC-135は非武装機だ。
  5. ベアはステルス性は皆無であり、最新鋭の防空体制では残存は期待できないが、巡航ミサイル発射により敵防空網に接近せず初回攻撃を実施できる。
  6. 2015年11月に就役後59年が経過してTu-95は爆撃機として初めて戦闘に投入された。ロシア国防省公表のビデオによれば巡航ミサイルを発射し、シリア反乱勢力の拠点を破壊している。ロシアが初めて巡航ミサイルを空中、海上双方で投入したことは自国軍事力を世界に世界に誇示する意味があったと解釈された。
  7. 今日のロシア軍には各種爆撃機がありペイロードも選択の幅が広く、Tu-95より高速飛行可能な機材もある。ただし、ベアは大型巡航ミサイルの運用に最適であり、太平洋大西洋で監視の目を提供しているのだ。■

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: An air-to-air overhead view of a Soviet Tu-95 Bear aircraft. Wikimedia Commons/U.S. Navy


2016年9月4日日曜日

もし戦わば③ ヒトラーがロシア侵攻をしていなかったら第二次大戦の行方はどうなっていたか



The National Interest


What If Hitler Never Invaded Russia During World War II?

A German Panzer V in Romania. Wikimedia Commons / Bundesarchiv, Bild 101I-244-2321-34 / Waidelich / CC-BY-SA 3.0
This might be just the ultimate “what-if.”
August 27, 2016
  1. 歴史上で最も大きな出来事の一つがアドルフ・ヒトラーによるソ連侵攻)1941年6月22日)であった。
  2. バルバロッサ作戦によりナチスドイツの戦争は弱体化していた英国相手の一方向戦から双戦線戦に変わった。東部戦線にドイツ陸軍部隊のほぼ四分の三が投入され、ドイツ軍死傷者の三分の二が発生している。
  3. そこでヒトラーがロシア侵攻を実施していなかったらどうなるだろうか。第三帝国とヒトラーの考え方はドイツが敵の攻撃を受けるのうを待つわけに行かないというものだった。事実、ナチドイツとソ連が交戦を避ける事態は想像しずらいが、ロシア侵攻が発生しなかった場合を考えてみたい。
  4. 一つの可能性は1941年に英本土を侵攻することで、欧州戦は早期終結し、第三帝国の軍事力は東部戦線に集中投入されていただろう。英本土侵攻が1940年にイングランド南部での強襲上陸作戦で提案されていたが単に先送りになっていたはずだ。問題はドイツ海軍が英海軍と圧倒的に数的に劣勢のままであったことだ。一年の猶予の間に英国は英空軍を補強し、フランス陥落で混乱した陸軍師団も再編しただろう。英国はレンドアンドリース方式で米国から装備を受け取っていただろう。米国は1941年9月までに船団護衛を北大西洋で行っていた。その数カ月後に米国は正式に参戦している。日本が太平洋で勢力圏を拡大していたが、米国は英国の占領を回避すべく兵力を集中していたはずだ。
  5. もっと可能性が高いのはヒトラーが東部ではなく南方へ軍を進めた可能性だ。西ヨーロッパの大部分が1940年夏には支配下に入り、東欧がドイツと同盟を結ぶか、無力化となる中で、ヒトラーは1941年中頃までに決断していたはずだ。本能の命じるままあるいはイデオロギーに従ってソ連に向かうか、ドイツ支配圏に真空空間を作っていたはずだ。ロシア打倒はヒトラーが共産主義との戦いを不可避と見ており、破滅的な結末を期待していたはずだ。
  6. ヒトラーが地中海方面に転じ、中東に向かった可能性もある。エーリッヒ・レーダー提督がこの作戦を好ましく考えていた。現実の第2次大戦ではロンメルの北アフリカ作戦がロシア戦線と平行して展開されていた。架空想定では北アフリカが主戦場となる。
  7. 一つの可能性にフランスに圧力を加え、スペインに中立を捨てさせ、ドイツ軍がスペインに進軍しジブラルタルを奪取することがある。これで英国は地中海への直行航路を失う。(フランスがいうことを聞かない場合はスペインを直接侵攻し、ジブラルタルはどちらにせよ占領されただろう) さらにロンメルのアフリカ軍団を補強し、リビヤ、エジプトを経由しスエズ運河を確保することがある。さらに中東の油田地帯まで侵攻していたかもしれない。あるいはロシア侵攻が1942年に開始されていたらコーカサス経由でロシアを南部、西部両面から押さえ込んでいたかもしれない。一方で鉄鋼等の資源を陸上装備生産から大量のUボート建造に切り替えていたら英国の海上補給路を断つことができたはずだ。
  8. このドイツ戦略は効果を上げただろうか。ドイツにとって地中海戦略はソ連侵攻とは全く異なる。3百万に及ぶ膨大な枢軸側陸上兵力を投入する戦いと違い、艦船、航空機が中東方面に進出する小規模地上部隊を支援していたはずだ。ソ連が中立のまま独ソ条約に従って資源供給していたら、ドイツは空軍兵力を地中海に集中させていたはずだ。ドイツ空軍は1941年から1942年にかけ英海軍を傷めつけていただろう。独空軍が全力投入された場合の威力は相当のものだったはずだ。
  9. 反面で中東攻勢の補給活動は困難を極めたはずだ。その理由に距離とともにイタリアの燃料輸送能力の不足がある。ドイツは空軍、海軍は強力と行っても陸軍あってのものだった。米国が1941年12月に参戦したことで、1941年から1942年にかけての主戦場はドイツ-イタリアの海軍部隊、空軍部隊がアフリカ軍団を補給するのを断つことだったはずだ。英米軍は近東で防衛・反抗に出ていただろう。
  10. そこでもう一つ疑問が出る。もしヒトラーがバルバロッサ作戦を中止せず、かわりに1942年夏まで実施を先送りしていたらどうなっていただろうか。枢軸側が中東を確保しソ連がドイツ-イタリア連合軍の侵攻に対処しつつコーカサスまで侵攻を許していたら(おそらくトルコは枢軸側についていただろう)。ドイツにまた一年の余裕が生まれ、西ヨーロッパ占領地帯の資源を活用できていたはずだ。
  11. その反面、赤軍の1941年6月時点の状態はスターリンの粛清によりひどい状態にあり、まだ再編中だった。そこで一年間の余裕があれば、部隊再編とともに新装備のT-34戦車やカチューシャロケット連装砲の導入が進んでいたはずだ。バルバロッサ作戦開始を1942年と想定すると、英国は降伏していないと仮定し、英米連合軍の反攻を恐れ西部戦線んお防護を固めた上でドイツはロシア攻撃に入っていただろう。
  12. ドイツの戦術レベルが高かったことともに実戦経験が豊富なこともあり、ドイツ軍には1942年バルバロッサ作戦発動時には優位性があったはずだ。それでも赤軍は1941年のような壊滅的損失は被らず、バルバロッサ作戦発動が遅れても結局ソ連軍に有利に働いたものと思われる。
Michael Peck is a contributing writer for the National Interest. He can be found on Twitter and Facebook.
Image: A German Panzer V in Romania. Wikimedia Commons / Bundesarchiv, Bild 101I-244-2321-34 / Waidelich / CC-BY-SA 3.0

★中国の国産新型爆撃機開発が成功する可能性は



エンジンの裏付けがないままの新型機開発、ここにも中国の技術体系のいびつさ、ものづくりへの熱意の不足が見えてきますね。

The National Interest


China Is Building a New Long-Range Bomber


September 3, 2016


  1. 中国人民解放軍空軍(PLAAF)が新型長距離戦略爆撃機を開発中だが、詳細はほとんど不明だ。現行主力爆撃機は巡航ミサイルを搭載する西安H-6Kで1950年代のソ連Tu-16バジャーを大幅改造している。だが、同機には敵防空網侵入も米本土攻撃の航続距離もない。
  2. 「新世代長距離爆撃機を開発中で将来その姿をあらわす」とPLAAF参謀総長Ma Xiaotian馬騎天が9月1日にPLAAF航空大学(吉林省長春)で述べたと環球時報が伝えた。ただし馬上将は新型爆撃機の詳細に触れていない。
  3. 中国による新型爆撃機の開発自体は驚くべき話ではない。太平洋の広大さを考えれば大ペイロードを搭載し長距離飛行する能力は有益だ。中国本土を離れれば航空兵力投射用に使えるのは人工島上の脆弱な施設しかない。大型長距離爆撃機があれば米軍を長距離攻撃可能となる。
  4. 新型爆撃機編隊が巡航ミサイルを搭載すれば、米空母打撃群を洋上攻撃する能力がH-6Kより向上する。これは冷戦時にソ連がツボレフTu-22M3バックファイヤーで狙っていた攻撃に類似する。また米軍活動に不可欠なハワイのような拠点を遠距離攻撃できる。
  5. また、十分な航続距離、ペイロード運用能力、対地攻撃巡航ミサイルの組み合わせで米大陸部も次世代中国爆撃機の攻撃範囲に入る。その反面、開戦となれば米国には中国本土攻撃をためらう理由はない。
  6. 中国の新型長距離爆撃機がボーイングB-52やTu-95のような巡航ミサイル母機、あるいは超音速機としてツボレフTu-160ブラックジャックに似た機体になるのか、それともステルス機ノースロップ・グラマンB-2スピリット同様になるのか不明だ。ステルス機の成都J-20、瀋陽J-31の開発で実力を示していることから、低視認性機体になる可能性は充分ある。
  7. ただし中国の課題はジェットエンジンで信頼度の高いエンジンの国産開発に成功していない。これがアキレス腱だと北京政府も認識しているようで、是正に乗り出している。習近平はAero Engine Corporation of China (AECC)を先月発足させ、ガスタービンエンジン技術で先進国水準に追いつくのを目指している。環球時報は李克強首相自らが高性能エンジン開発は民生、軍事両面で優先事項だと指示していると伝えた。
  8. 高性能エンジン開発で革新性を発揮していない中国が信頼性の高い生産可能なエンジンの技術をマスターするのは時間の問題だろう。この点さえ克服すれば、中国の航空工業、空軍力は一気に発展するはずだ。
Dave Majumdar is the defense editor for the National Interest. You can follow him on Twitter: @davemajumdar.


2016年9月3日土曜日

★★★F-35が演習で110機を「撃墜」



F-35を含めた統合運用の演習ですか。電子戦機材は海軍に頼る必要があるので、日頃から共同訓練をしているのでしょうね。演習とはいえ14機のF-35Aで110機を撃墜できれば文句はでないでしょう。広報担当も張り切ってたくさん写真をとって記事も全部一人でまとめています。羨ましい仕事ですね。

F-35A completes largest deployment to date

By Senior Airman Stormy Archer , 33rd Fighter Wing Public Affairs / Published September 01, 2016

An F-16 Fighting Falcon, E-3 Sentry, F-35A Lightning II, F/A-18 Super Hornet and an EA-18 Growler are set up in a static display Aug. 29, 2016, during Exercise Northern Lightning at Volk Field, Wis. Northern Lightning allowed all five of these aircraft the opportunity integrate and operate in a joint environment while performing counter air, suppression and destruction of enemy air defense and close air support in a contested environment. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
F-16ファイティングファルコン、E-3セントリー、F-35AライトニングII、F/A-18スーパーホーネット、EA-18グラウラーの各機がノーザンライトニング演習で集まり、フォークフィールド(ウィスコンシン)で地上展示されている。2016年8月29日撮影。ノーザンライトニング演習では合計5機種を統合運用し、航空優勢が確保されていない空域を想定し各種ミッションを実施した。 (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)

A U.S. Air Force F-35A Lighting II, F-16C Fighting Falcon and a U.S. Navy F/A-18F Super Hornet fly in formation during Exercise Northern Lighting Aug. 31, 2016. Northern Lightning is a tactical-level, joint training exercise that emphasizes fifth and fourth generation assets engaged in a contested, degraded environment. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. DeAndre Curtiss)
米空軍のF-35AライトニングII、F-16Cファイティングファルコン、米海軍F/A-18Fスーパーホーネットがノーザンライトニング演習で編隊飛行中。演習では第四世代機材を航空優勢が確立できていない環境でどう活用するかが主眼だった。(U.S. Air Force photo/Staff Sgt. DeAndre Curtiss)

A 33rd Fighter Wing F-35A Lighting II approaches a 126th Air Refueling Wing KC-135 Stratotanker to refuel during Exercise Northern Lighting Aug. 31, 2016. Northern Lightning is a tactical-level, joint training exercise that emphasizes fifth and fourth generation assets engaged in a contested, degraded environment. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. DeAndre Curtiss)
ノーザンライトニング演習で第33航空団所属のF-35AライトニングIIが第126空中給油隊所属のKC-135ストラトタンカーに接近している。Aug. 31, 2016. (U.S. Air Force photo/Staff Sgt. DeAndre Curtiss)

An F-35A and an FA-18 Super Hornet fly in formation over Volk Field Wis. during Northern Lightning, Aug. 23, 2016. Northern Lightning is a tactical-level, joint training exercise that emphasizes fifth and fourth generation assets engaged in a contested, degraded environment. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)

An F-35A and an FA-18 Super Hornet fly in formation over Volk Field Wis. during Northern Lightning, Aug. 23, 2016. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
Lt. Col. Andrew Faulkner, 33rd Fighter Wing F-35A pilot, prepares to take off in an F-35A Aug. 26, 2016, during exercise Northern Lightning at Volk Field, Wis. Northern Lightning is a joint total force exercise between the Air National Guard, Air Force and Navy conducting offensive counter air, suppression and destruction of enemy air defense and close air support. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)Lt. Col. Andrew Faulkner, 33rd Fighter Wing F-35A pilot, prepares to take off in an F-35A Aug. 26, 2016, during exercise Northern Lightning at Volk Field, Wis. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
33rd Aircraft Maintenance Squadron crew chiefs greet 33rd Fighter Wing pilots as they step to their jets during exercise Northern Lightning Aug. 26, 2016, at Volk Field, Wis. Northern Lightning is a joint total force exercise between the Air National Guard, Air Force and Navy conducting offensive counter air, suppression and destruction of enemy air defense and close air support. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)33rd Aircraft Maintenance Squadron crew chiefs greet 33rd Fighter Wing pilots as they step to their jets during exercise Northern Lightning Aug. 26, 2016, at Volk Field, Wis.  (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
An 11th Strike Fighter Squadron FA-18F Super Hornet lands at Volk Field, Wis. Aug. 22, 2016, during Northern Lightning. Northern Lightning is a tactical-level, joint training exercise that emphasizes fifth and fourth generation assets engaged in a contested, degraded environment. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)An 11th Strike Fighter Squadron FA-18F Super Hornet lands at Volk Field, Wis. Aug. 22, 2016, during Northern Lightning. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
A 132nd Electronic Attack Squadron EA-18 Growler taxis down the flighline at Volk Field, Wis. during Northern Lightning Aug. 22, 2016. Northern Lightning is a tactical-level, joint training exercise that emphasizes fifth and fourth generation assets engaged in a contested, degraded environment. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)A 132nd Electronic Attack Squadron EA-18 Growler taxis down the flighline at Volk Field, Wis. during Northern Lightning Aug. 22, 2016. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
58th Aircraft Maintenance Unit weapons load crew members assemble a GBU-12 during Exercise Northern Lightning Aug. 30, 2016, at Volk Field, Wis. Northern Lightning is a joint total force exercise between the Air National Guard, Air Force and Navy conducting offensive counter air, suppression and destruction of enemy air defense and close air support. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)58th Aircraft Maintenance Unit weapons load crew members assemble a GBU-12 during Exercise Northern Lightning Aug. 30, 2016, at Volk Field, Wis.  (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
58th Aircraft Maintenance Unit weapons load crew members unload a GBU-12 from an F-35A during exercise Northern Lightning Aug. 31, 2016, at Volk Field, Wis. During the exercise, 33rd FW pilots were able to execute offensive counter air, suppression of enemy air defenses, destruction of enemy air defenses, and the employ GPS-guided munitions  for close air support. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)58th Aircraft Maintenance Unit weapons load crew members unload a GBU-12 from an F-35A during exercise Northern Lightning Aug. 31, 2016, at Volk Field, Wis. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)


33rd Aircraft Maintenance Squadron Airmen perform a maintenance inspection on an F-35A during Exercise Northern Lightning Aug. 30, 2016, at Volk Field, Wis. Northern Lightning is a joint total force exercise between the Air National Guard, Air Force and Navy conducting offensive counter air, suppression and destruction of enemy air defense and close air support. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)33rd Aircraft Maintenance Squadron Airmen perform a maintenance inspection on an F-35A during Exercise Northern Lightning Aug. 30, 2016, at Volk Field, Wis.  (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)

Lt. Col. Brad Bashore, 58th Fighter Squadron commander, prepares to take off in an F-35A during exercise Northern Lightning Aug. 26, 2016, at Volk Field, Wis. Northern Lightning is a joint total force exercise between the Air National Guard, Air Force and Navy conducting offensive counter air, suppression and destruction of enemy air defense and close air support. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)Lt. Col. Brad Bashore, 58th Fighter Squadron commander, prepares to take off in an F-35A during exercise Northern Lightning Aug. 26, 2016, at Volk Field, Wis.  (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)
33rd Fighter Wing Airmen board a C-17 Globemaster III Aug. 19, 2016, at Eglin Air Force Base, Fla. The C-17 transported 33rd FW members to Volk Field, Wis. to take part in Northern Lightning, a tactical-level, joint training exercise that emphasizes fifth and fourth generation assets engaged in a contested, degraded environment. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)33rd Fighter Wing Airmen board a C-17 Globemaster III Aug. 19, 2016, at Eglin Air Force Base, Fla. (U.S. Air Force photo by Senior Airman Stormy Archer)

Volk Field, Wis. --第33戦闘航空団がこれまでで最大規模のF-35展開を8月31日にウィスコンシンのフォークフィールドで今年のノーザンライトニング演習終結とともに終了した。

ノーザンライトニングは戦術レベルの合同訓練演習で各種機材及び地上装備を航空優勢が確保できていない環境で戦闘に投入するリハーサルである。
第33戦闘航空団は人員150名以上とF-35Aを14機を投入し二週間にわたり現実感あふれる状況でF-35をどう展開し維持するかで腕を磨いた。
空軍は同機の初期作戦能力獲得を今年8月に宣言し、中心は同機作戦能力の完全獲得に移り、今回の演習で得た結果は今後のF-35A飛行隊の展開に役立つことになる。
「同機とその性能にはまだ成熟化が必要な要素が残っている」とブラッド・バショア中佐(第58戦闘機中隊指揮官)が述べた。「現在のF-35でも相当の威力があり敵はおじけつくはず。今回の演習で同機が戦闘に投入できる状態だと実証できましたが、まだよちよち歩きの状態です」
ノーザンライトニング演習で第33飛行団は合計110機以上の「敵機」撃墜判定を得て、138ソーティーでGBU-12を24発投下した
演習中に同航空団は制空攻撃、敵防空網制圧、敵防空体制破壊、GPS誘導爆弾による近接航空支援を行っている。
「この演習でF-35の信頼度が高まりました」と第33航空団パイロットのマーク・シェネル大尉は言う。「相手に自機が見えていないと信じこむのは難しいものがありますが、第四世代機の前で飛ぶとF-35のステルス性能が宣伝通りすごいとわかります。ステルスだと仕事がやりやすいですし、敵に知られることなく優位な場所を確保することができます」
第33航空機整備隊の要員は演習中は高テンポで整備作業を行い、本拠地以外の場所で手際よく少ない時間と資源で各機の運用を期待通りに実現した。
「これだけの規模の航空機展開を支援したのは初めてです」と第33AMXS航空機整備隊で副官を務めるクリスタ・ウッデン中尉が語った。「補給系統で展開中をシミュレートして、出撃を成功裏に補給面から支援しました」
F-35AはF-16ファイティングファルコン、F/A-18スーパーホーネット、E/A-18Gグラウラー、E-3セントリーの各機種と同演習に参加し、共同で威力を発揮しつつ残存性の高い攻撃態勢を実現した。合同運用により得た知見は将来の各機共同作戦で効果を発揮するだろう。
「F-35Aと一緒に飛ぶことで他では得られない性能が実現しました」とオースティン・ケネディ大尉はE/A-18グラウラー電子戦士官として語っている。「F-35のおかげで第四世代機では対応不可能な強力な敵脅威への対応が可能になりました」「低視認性でこちらのジャミング効果が高くなり、仕事はずっと楽になりました」
ノーザンライトニング演習での動的脅威環境には第五世代戦闘機用に地上、空中で特別の脅威対象が準備され、空域は高度50千フィートまで及び、各軍用に実弾投下含む訓練領域を確保した。
「州軍航空隊の尽力により今回の演習が実現しました。ダルースとマディソンの州軍航空隊には敵役を演じてもらい感謝しています。演習で赤軍の役を演じるのは楽しいことばかりでなくとくに性能が劣る際はそうですが、各隊がいなかったら今回の演習は実現できなかったでしょう」■


★米空軍QF-4が最後のフライトから無事帰還 撃墜に忍びなかったのか ミサイルはF-35が発射



米軍では第二次大戦から無人機に改装した戦闘機を使っており、標的機として各種老朽機材を投入しています。F-4もアメリカの空から消える日が来たのですね。日本ではまだまだ現役ですが。国土の違いなのか、財務省の国有財産処分方針の違いなのか日本では無人標的機というものは知りませんが、ここらに無人機への認識の違いがあるのかもしれません。
ちなみにドローンという言葉をマスメディアで根付かせたのはヒラリーでその理由はmanという単語が一部に入っているからです。嫌な女です。

USAF QF-4 Phantom is shot at by an F-35 with two AIM-120s during last unmanned mission (and survives)

Aug 31 2016 - By David Cenciotti

最終フライトで無人ファントムはF-35の標的となりAIM-120ミサイル二発が発射されたが、無事帰還してきた。

  1. 米空軍からQF-4無人機の最終飛行状況の映像画像が公開された。興味深いことに無人標的機の最後のご奉公は8月17日のF-35ミッション支援だった。
  2. 第八十二空中標的飛行隊のロナルド・キング中佐によれば同機へF-35ライトニングIIがAIM-120AMRAAM二発を発射したしたという。兵器テストの詳細な条件やシナリオはわからないが、不調でミサイル発射が失敗したのか、中止になったのか、あるいは命中しなかったのか(命中精度100%のミサイルは存在しない)不明だが、無人ファントムはホローマン空軍基地に無傷で帰還している。
  3. QF-4が撃墜されなかったことからテストがAIM-120ミサイルの命中精度を確かめる内容ではなく、F-35の標的追尾能力とAMRAAM誘導を試したのではないか。ミサイルの命中範囲まで入れば自動誘導で無人機に向かったはずで、わざわざ高価な無人標的機を破壊する必要はない。AIM-120は命中直前に自爆するよう設定できる。
  4. だが一部読者から以前のテストで物議をかもした「不発」事例があったと指摘する向きがあろう。(「無人機は有視界範囲位にありAIM-120Cは命中前に自爆するよう設定されていた」) また別のテストでは(AIM-9X関連など)QF-4やもっと高価なQF-16にミサイル直撃(「発射後、ミサイルは目標を捕捉し迎撃パターンに乗り無人機を破壊、F-35初の空対空戦命中となり、無人標的機撃墜に成功したパイロットが使う無線交信『ブーラブーラ』を発した」
  5. QF-4が今年12月をもって終了する中で8月17日の無人機ミッションは最終フライトとなった。82空中無人標的飛行隊は12月1日にQF-16へ機種転換する。
  6. ホローマン空軍基地(ニューメキシコ)はQF-4が配備された唯一の基地で、第82隊は本拠地がティンドールAFB(フロリダ)でQF-16を2014年以来運用している。
  7. キング中佐はUSAF配信資料で「ほろ苦い気分」と評し、「F-4はヴィエトナム戦で忠実に働き、湾岸戦争まで第一線にありました。退役し飛行機の墓場に行っても国のために役立つことは同機の設計陣、テストパイロット、整備陣がこの長い期間に渡り同機を支えた証であり、同機が偉大な機体であることの証であり、その偉大さは最新機、最新装備のテストにも役立ったことが自ら証明しています」
Image credit: U.S Air Force

映像はここをご覧ください。https://youtu.be/6s7LMuHWQrk