2017年8月29日火曜日

★8月29日北朝鮮ミサイル 速報)平壌国際空港から発射か


日本国内に落下物がないから安心のようですが、本質を見失っていませんかね。そういえばミサイル防衛で落下物が発生するから危険、と主張する議員もいましたね。またミサイル防衛をすれば挑発行為で攻撃を受けるから反対との別の議員もいましたね。条件反射的な報道もすぐ鎮静すると思いますが早く本質の議論に向かわないといけません。


North Korea fires missile over Japan in aggressive test 

北朝鮮が日本上空を飛ぶミサイル発射に踏み切る


In this Saturday, Aug. 26, 2017, file photo, a man watches a screen showing an image of North Korean leader Kim Jong Un, at the Seoul Train Station in Seoul, South Korea. (Lee Jin-man/AP)

SEOUL, South Korea — 北朝鮮が弾道ミサイル一発を平壌から発射し日本上空を通過し太平洋に着水した。米国に近い同盟国の領土上空を飛翔させたのは米韓合同軍事演習への反撥と見られる。
韓国統合参謀本部によれば飛翔距離は2,700キロで最大高度550キロで北海道上空を通過した。日本上空通過は2009年以来のことで米本土を狙う核ミサイル開発で北朝鮮がまた一歩実現に近づいたといえる。
今年に入って北朝鮮のミサイル発射が今までより早いペースで実施されており、トランプ大統領の第一期が終わる2021年早々には北朝鮮が長距離ICBMの実戦化を達成すると見る専門家もいる。
韓国軍によれば発射地点は平壌国際空港のある順安(スナン)で、空港滑走路を使い道路移動式ミサイルを発射する可能性が現実のものとなった。
今回の発射の前に短距離弾道ミサイル三発を日本海に打ち込んでおり、一か月前にICBMの二回目の発射をしたばかりだ。
極東研究所(ソウル)の研究員Kim Dong-yubによれば今回発射されたのは火星-12中距離ミサイルの可能性が高く、ムスダンの可能性もあるという。または固形燃料式の北極星-2も考えられるとする。
日本上空を初めてとんだ北朝鮮ロケットは1998年の多段式「テポドン-1」で1,500キロ飛翔し太平洋に着水した。2009年に再び日本を飛び越えたロケットは衛星を搭載し、北朝鮮は成功したと主張するが、米北米防空司令部は軌道飛行を確認していない。国連も衛星発射は長距離ミサイル技術の開発を禁じる措置を逃れる隠れ蓑に過ぎないと非難している。
平壌はこれまでも米韓軍事演習を北朝鮮侵攻作戦の予行演習だと非難しており、経済的にひっ迫する中で対抗せざるを得ない不満を感じていると見る専門家もいる。■

★イスラエルがF-35追加調達で50機体制を2024年に実現する



日本より先に進んでいますね。しかも調達を何回かに分けて都度量産効果による機体価格低下の恩恵を受けているところはさすがイスラエルですね。イスラエル独自の装備に関心が集まりますがご存知の方いらっしゃいますか ところでネタニヤフ首相の兄弟はあのエンテベ空港強襲作戦で戦死したイスラエル軍将校だった野をご存知ですか

Purchase finalized for 17 more F-35 stealth fighter jets
F-35の17機追加調達がまとまる

F-35 jets in action (Photo: IDF Spokesperson's Unit) (Photo: IDF Spokesperson's Unit) Yoav Zitun|Published:  27.08.17 , 13:35
(Photo: IDF Spokesperson's Unit)


イスラエル国防省がロッキード・マーティンとF-35追加調達で合意し、これで50機体制となる。平均機体価格は100百万ドルへ低下した。

  1. 追加調達するのはF-35A(アディール)17機で50機体制が実現すると二個飛行隊が編成可能となる。契約では引き渡しは2024年12月に完了する。
  2. 国防省調達部門が米国で米政府JSF担当長と合意書にサインし、オプション権を行使し17機導入が決まった。追加購入は先に安全保障内閣にが調達の権限を行使し承認していた。
  3. 「この十年でイスラエル国防省がF-35購入の署名をしたのはこれで三回目」と訪米団長のドゥビ・ラヴィが述べている。「米側は生産が増えるたびに機体単価を下げている。今回の契約では米側事業責任者がメーカーにうまく交渉してくれたおかげで平均機体単価は100百万ドルを切っている。前回調達した機体と比べると相当の値下げだ」
  4. 初回導入の単価は19機を単価125百万ドルで購入した。二回目は単価112百万ドルで14機を購入。イスラエルは次回交渉では90百万ドルを割ることを期待している。  
  5. 今回の値下げはペンタゴンが50機を新規発注したことを受けている。イスラエル購入の機体が米空軍向けより高いのは独自装備の搭載が理由だ。イスラエル国防軍が要望した装備である。
Prime Minister Netanyahu climbing into one of the already-delivered F-35s (Photo: Motti Kimchi) (Photo: Motti Kimchi)
ネタニヤフ首相がイスラエルに到着したF-35機内に入る。(Photo: Motti Kimchi)
  1. 国防相アヴィグドール・リーバーマンAvigdor Liebermanは今回の調達合意形成を称賛しており、「17機追加導入の意味は大きい。空軍力が大きく伸びる」と述べている。
  2. 「F-35飛行隊は技術の粋を集め、IDFの実力を引き上げイスラエルが直面する国防上の課題に応える存在だ。イスラエル国民の安全を守る中心と言ってよい。その守備範囲は国境線にとどまらずはるか先に伸びている」
  3. イスラエルは全50機のF-35Aを整備することになったが、そのうち5機がすでに引き渡されており、2021年になるとさらに33機がそろう。
  4. イスラエルが調達するのはA型通常離着陸型だがイスラエル国産の高性能装備を搭載し他にはない性能を発揮する。■

2017年8月28日月曜日

★C-2のUAE向け輸出は成約するか



C-2は開発に手間取り、防衛省の調達機数も毎年わずかなのでメーカーにうまみのある事業ではないはずです。そこに外需が加わってどのくらいビジネスが変わるでしょうか。政府とメーカーが一体となり海外営業をかけてもらいたいものですが、今回の案件は実態はどうなのでしょうか。川崎重工も自由に発言できない環境だとしたら問題です。またとにかく政権のあらを探す傾向のある野党からすればまた攻撃材料とばかりとびつくのかもしれませんが、トンデモ質問にならないようしっかりリサーチしてもらいたいものです。

Japan in talks to export defense aircraft to UAE

日本がUAEと軍用機輸出を協議中

Deal could open way for Japan to export finished military equipment
成約すれば防衛装備で初の完成品輸出となる
C-2 輸送機

Nikkei Asian Review August 27, 2017 12:49 am JST
TOKYO -- 日本が初の防衛装備完成品輸出に一歩近づいている。
  1. 航空自衛隊の最新鋭輸送機C-2をアラブ首長国連邦に売却する案件で日本政府が検討に入っていることが日経新聞取材で土曜日に判明した。
  2. 関係省庁が同機の性能諸元含む資料をUAEに開示する。次に両国間で防衛装備品及び技術輸出に関する条約締結が成立するとC-2のUAE売却が可能となる。
  3. 川崎重工業が開発したC-2は20トン搭載時に航続距離は7,600キロあり、ロッキード・マーティンC-130のおよそ二倍だ。
  4. C-2は機体の大きさを活かして水陸両用車両、戦闘車両を搭載して遠隔地まで輸送できる。現在の機体価格は190億円だ。
  5. UAEからC-2数機購入希望が伝えられ防衛省は経済産業省と技術情報をUAEへ開示ずみだ。両国政府で最終価格と導入機数のつめがおこなわれている。
  6. 日本は紛争当事国への防衛装備品、技術の輸出を禁じており、UAEがイエメンでサウジアラビア主導の有志連合軍に加わっていることが懸念材料だ。
  7. 日本政府が本案件の可否を審査するが、別の防衛省関係者によればUAEはイエメンで「介入を主導する立場ではない」ので成約すると見ている。■

悲劇の重巡インディアナポリスの艦体が海底で発見された


重巡インディアナポリスの沈没は米海軍には後味の悪い大戦末期の出来事で日本海軍の橋本艦長も米本国の海軍法廷に証人召喚され、米艦長は自殺したんでしたっけ。原爆を下ろした後だったので広島投下は回避できできませんでしたが。しかしお金に余裕がありちゃんとした意思があるといい結果が生まれますね。


Billionaire Paul Allen Finds Lost World War II Cruiser USS Indianapolis in the Philippine Sea

大富豪ポール・アレンが第二次大戦で沈没した巡洋艦USSインディアナポリスをフィリピン海中で発見


USSインディアナポリス、1937年真珠湾にて。 US Navy Photo


 By: Ben Werner
August 19, 2017 12:30 PM • Updated: August 20, 2017 11:26 PM

巡洋艦USSインディアナポリス(CA-35)が日本潜水艦の魚雷二本で沈没して72年たつが、太平洋の18,000フィート(約5,500メートル)下で沈没した艦が8月19日に発見された。

マイクロソフトの共同創設者、大富豪で事前活動家のポール・アレン率いる捜索チームが海軍歴史伝統本部(NHHC)の支援を受け、過去に何度も試みられつつ誰も成功しなかったインディアナポリスをこのたび発見し、第二次大戦中の米海軍関連の悲劇に幕が下りる。

View image on TwitterView image on Twitter
We've located wreckage of USS Indianapolis in Philippine Sea at 5500m below the sea. '35' on hull 1st confirmation: http://paulallen.com

「勇敢なるUSSインディアナポリス乗員、その家族の名誉を称え同艦を発見できたことで第二次大戦を本当に幕引きできる」とアレンは8月19日に声明文を発表している。「同艦乗員の勇気、忍耐、犠牲と悲劇的結果にアメリカ国民全員が深く感謝している。艦の残りの部分の捜索は今後も続けるが、今回の発見で一つの幕が下りる」

1945年7月30日、第二次大戦の最終段階でインディアナポリスはティニアン島への原爆「リトルボーイ」搬送の秘密任務を終えたばかりだった。広島に投下され終戦につながった爆弾だ。艦はわずか12分で沈没し、遭難信号を送る間もなく、救命装備を展開する暇もなかったと海軍歴史伝統本部が述べている。任務が極秘だったため同艦の航行予定は共有されていなかった。

乗組員の水兵・海兵隊員1,196名中800名が沈没時に生存していたが、その後海上を5日間漂流するうち、脱水、溺死、サメ襲撃により救助されたのはわずか316名だった。

「発見できてよかった。72年は長かった」と生存者のアーサー・リーナーマン(93歳)が述べている。「長年見つかることを祈っていた。海で生活をを共にした仲間が失われるのは本当に悲しいことだが艦が発見されれば区切りがつくと思っていた。捜索が成功して嬉しい。発見場所とどこまで深い場所で艦が休んでいるのか知りたい」

同艦の史実はほぼ伝承の域になっている。理由の一つが1975年の映画「ジョーズ」で、インディアナポリス沈没時の話を登場人物のクイントがしている。

アレンによる発見の一年前にNHHC学芸員リチャード・ハルヴァーが揚陸艦LST-779の記録から雷撃を受ける数時間前のインディアナポリスを視認した事実をつかんでいる。同学芸員の調査で捜索範囲が当初想定されていた海域より西方に設定されたのだ。ただし捜索範囲は太平洋上600平方マイル(約1,500平方キロ)に及んだ。

「これまでインディアナポリス発見を目指したチームが失敗に終わったのは深度2マイル以上の深さに沈没しているためであり、間違った場所を捜索していたため」とハルヴァーはNHHCから昨年出た研究書で解説していた。「歴史記録にある沈没地点はまちがっており、遭難信号を受信していないこともその理由。連合軍情報部はイ-58潜水艦が東京に打電した電文から雷撃による沈没があったと知ったものの艦名を特定できず、また日本海軍の通信文中の雷撃位置も把握できなかった」

アレンの捜索チームは13名体制で正確な位置を把握し今後数週間以内に現場から実況中継をする。米国法規に準拠して沈没艦は戦時墓標の扱いとし現場を保存する。インディアナポリスは米海軍の所有物であり、正確な位置は今後も米海軍が機密事項扱いとする。

捜索チームは捜索活動で一貫して海軍当局と協力し、今後も現存する元乗組員19名を尊重し、遺族にも配慮して活動を続ける。■

2017年8月27日日曜日

8月26日発射の短距離ミサイルはすべて正常に飛翔したと米軍が発表を訂正


やはり米韓演習を黙って見ておれずミサイル発射に踏み切りましたが、ICBMではなく短距離ミサイルを日本海に向け撃ったのは標的想定が日本なのが明らかです。EEZに着水しなかったらよい、という話ではありません。同時発射で精度をそこそこ確保できれば恐ろしい脅威です。戦後72年の今、日本の安全が一番危うくなっています。

 

NK Missile Tests Didn't Fail, US Military Says in Revised Report

北朝鮮ミサイルの失敗は誤報と米軍が訂正


This photo reportedly shows the July 28 launch of a Hwasong-14 ICBM at an undisclosed location in North Korea. (Korean Central News Agency/Korea News Service via AP)
7月28日発射された北極星-14型ICBMと言われる写真。発射地点不詳。 (Korean Central News Agency/Korea News Service via AP)
Fox News | 26 Aug 2017
  1. 北朝鮮が8月26日に発射した短距離ミサイル三発はすべて飛翔に成功していた。当初失敗と発表していた米軍が訂正した。
  2. 韓国統合参謀本部によれば発射地点は東海岸で155マイル飛翔した。韓米両軍が解析中だが今のところ詳細発表はない。
  3. 米太平洋軍報道官デイヴィッド・ベンハム中佐から二発が「飛翔中に故障」し三発目は「発射直後に爆発した」と発表していたが、太平洋軍は評価を見直し、ミサイル飛翔は成功だったと韓国軍評価と一致する内容になった。
  4. 韓国大統領府は国家安全保障会議を招集し、今回のミサイル発射をとりあげた。今回の発射は7月の大陸間弾道ミサイル発射以来となった。
  5. 今回の発射は米韓合同軍事演習の五日目のことで北朝鮮は演習を開戦準備の一環と非難していた。朝鮮半島では晩夏と春季にそれぞれ展開される演習で緊張が高まる。
  6. 今回の発射前に北朝鮮国営メディアは金正恩が特殊部隊の訓練視察の様子を伝えており、金正恩は部隊に「無慈悲に敵部隊を一掃し一挙にソウルを占領して半島南部へ進軍する」と訓示した。
  7. 朝鮮中央通信は「標的命中コンテスト」に軍用機、多連装ロケット発射機、推進式銃弾が投入され、韓国の白ニョン島、延坪島を模した標的に特殊部隊がゴムボートで「奇襲上陸」したという。
  8. 国境地帯に位置する両島はたびたび軍事対立の舞台となっており、2010年には北朝鮮砲兵隊の攻撃で韓国海兵隊員二名、一般市民二名が犠牲となった。
  9. 北朝鮮の核開発の進展に対応し韓国でも軍備増強の動きが強まっており、米国と弾頭数上限の緩和ならびに米軍のミサイル迎撃装備の増強で協議が始まっている。
  10. 韓国も国産ミサイル玄武2型(射程約500マイル)のテストを行っている。戦力化すれば韓国が進める「キルチェーン」先制攻撃の重要要素になる期待が高まっている。■
Fox News' Lukas Mikelionis, Lucas Tomlinson and the Associated Press contributed to this report.

★日本向けオスプレイ一号機が姿を現しました



早く日本の空で日本人操縦の姿を見たいです。塗装は海上自衛隊向けと思うほどのスキームになっているのは海上運用を強く意識したためでしょうか。迷彩塗装より格好いいですね。呼称はV-22になるのでしょうか。


Here Is Japan’s First V-22: The First Osprey Tilt-Rotor Aircraft For A Military Outside Of The U.S.

日本向けV-22初号機は米国外向け初のオスプレイ


日本向けV-22初号機がアマリロでエンジンテスト中に撮影された

日本向けV-22オスプレイ全17機の一号機がベルヘリコプターのアマリロ組立施設(テキサス)で初飛行準備に入っている。
日本向けV-22は米国外の軍組織が導入する初の機体となる。写真はポール・ローレンス・ブレイメンが2017年8月24日に撮影した。日本向けカモフラージュ塗装を施し、初飛行前エンジンテストをしていた。
陸上自衛隊が受領するV-22ブロックC機体は米海兵隊がMV-22として運用中の機体と同じだ。
オスプレイは災害救援活動も行う想定だが、揚陸作戦支援に投入すべく米軍(米海兵隊、米空軍)との共同作戦能力も備わる。
機体17機と関連部品装備合わせて陸上自衛隊への売却総額は30億ドルに及ぶ。導入は2015年に決まったが、沖縄での同機にはティルトローター構造のハイブリッド機として事故が多発するとの懸念で批判がついてまわっている。■
Image credit: Paul Lawrence Braymen


歴史に残る機体(14)ダグラスA-4スカイホーク


小型で使い勝手が良かったのでしょうね。ただし電子装備などの拡張スペースが足りず後年は苦しい対応もあったようですが、費用対効果の高い機体だったようです。

 

How the A-4 Skyhawk Ruled the Skies

空を制したA-4スカイホークの歴史
August 20, 2017


  1. 今日のジェット戦闘機では大型化、複雑化の代償で価格が上昇気味だ。一方で合理的な価格ながら歴史に残った機材もある。その例がA-4スカイホークで使い勝手の良い小型機でいながら大量の搭載能力を発揮し米航空機史に残る機材となり、同様にイスラエル、アルゼンチンにも意義深い機材になった。
  2. 1952年、ダグラス航空機のエド・ハイネマン技師が米海軍のAD1スカイレイダー後継機を検討していた。ピストン戦闘爆撃機として空前の大きさの機材の後継機が逆に最も小型かつ軽量のジェット機として提案された。ハイネマンはあらゆる角度からスカイホークの重量と複雑度を削り、生まれたのは全長12メートル空虚重量僅か5トンの機体だった。主翼はデルタ形状だが小型で翼幅8メートルを切り、空母搭載で折りたたむ必要がない。小型化に加え短距離離着陸性能が実現し、スカイホークは1956年の供用開始からその使い勝手の良さを発揮し、とくに飛行甲板が短い通常型空母で多用された。
  3. エンジンはJ65ターボジェットで、スカイホークは敏捷性はあるが最大速度も毎時670マイル程度と高速機でなかった。初期型はレーダーがなく、敵戦闘機に熱追尾式サイドワインダーミサイルと20ミリ機関砲二門で対抗した。だがスカイホークの任務は対地攻撃でそのためハードポイント三か所で合計8千から10千ポンドの兵装を吊り下げ、核兵器にも対応していた。
  4. 安価ながら信頼性に富み、効果が高い機材で海軍、海兵隊が大量発注し、生産は各型式あわせ2,500機に上った。1960年代初めには各空母にスカイホーク攻撃飛行隊が少なくとも二個搭載され、初の原子力空母には四個飛行隊があった。エイビオニクスを改良し、空中給油能力を付与したB型が生まれた。この場合の空中給油は僚機のスカイホークへの給油だ。専用給油機材が登場し、給油機型は前世紀末までに退役しているが、この発想がスーパーホーネットで復活している。レーダー装備したA-4Cがその後登場し、全天候飛行性能と夜間性能が向上した。
ベトナム戦争で最初と最後の投下を実施
  1. 1964年8月2日、駆逐艦USSマッドクスが北ベトナム魚雷艇部隊とトンキン湾で交戦した。二日後、攻撃の第二波がレーダー探知された。この第二波は技術上のエラーだと判明するのだが、ジョンソン大統領は即座に北ベトナム空爆の開始を命じ、ヴィンの魚雷艇基地や石油貯蔵施設を標的とした。海軍はスカイホーク隊を発進させベトナムに投下した760万トンの爆弾の第一号はスカイホークが投下した。
  2. 当時の米軍機の攻撃方式は高高度から精密誘導兵器を投下し対空機関銃や小型ミサイルの射程外から安全を確保していた。誘導対空兵器はまだ完成の域に達していなかったのだ。攻撃機は上空から旧式重力落下式爆弾を投下したり、機関砲で地上を掃射した。対空砲の密集地点へ接近する必要があり、米軍も痛い被害にあっていた。
  3. ヴィンへの初回空襲では対空火砲でA-4二機を喪失し、リチャード・セイザー大尉が戦死、エヴァレット・アルバレスJr中尉は射出脱出し米パイロット捕虜第一号となった。攻撃隊には後の海軍中将ジェイムズ・ストックデール(1992大統領選挙でロス・ペローの副大統領候補として出馬)もおり、1965年に被弾し捕虜生活を送っている。
  4. ベトナム戦争がエスカレートする中で、スカイホークは働き馬となり、地上攻撃数千ソーティーをこなし、フエ攻防戦やアンロックの戦いでも重要な役割を果たした。新型A-4EとF型が登場しハードポイントの二か所追加で搭載量が増え、エンジンはJ52に変わり、航法用ドップラーレーダーを採用し、攻撃目標データ処理のコンピュータも加わった。F型では「ハンプ」と呼ぶコックピット後方のエイビオニクス用スペースが特徴だ。誘導兵器の運用も広がり、AGM-12ブルパップミサイル、AGM-45シュライク対レーダーミサイルでハノイの対空ミサイル陣地を攻撃した。
  5. そのころにはA-7コルセアが大型空母でA-4に代わり導入されていたがスカイホークの短距離離着艦性能を小型空母や海兵隊航空隊が重宝した。海兵隊はA-4で前方進出航空基地から出動した。
  6. ベトナム戦初期にA-4は北ベトナムのMiG-17と対戦している。ミグは操縦性が高く、機関砲を搭載し最大速度はスカイホークよりわずかに早い程度だ。だがセオドア・スワーツ少佐はMiG-17を対地攻撃用非誘導式ズーニロケット弾で撃墜している。
  7. 同じロケット弾が空母運用史で最悪の事故の原因となった。1967年7月29日にUSSフォレスタル艦上のF-4ファントムの搭載ズーニ一発で過電流が発生し艦上で発射されてしまった。ロケット弾は前にいたスカイホークの燃料タンクに命中し、ジェット燃料が散布され、着火し破片が甲板に散乱した。一分後にスカイホークの千ポンド兵装に引火し、鎮火に駆け付けた経験豊かな消防隊の命を奪った。結局、乗員134名が死亡し、スカイホーク一個飛行隊分が全損となった。
  8. 幸運にもその場を退避できたのが若き日のジョン・マケインで現在アリゾナ州選出上院議員だ。マケインの乗機A-4Eは発火した機材と同列にあった。発火したと見るやマケインは機外に飛び出した。四か月後の1967年10月26日にマケインはハノイ発電所を爆撃中にSA-2対空ミサイルが主翼を引き裂いた。マケインは機外脱出しハノイ北方トルクバック湖に着地し捕虜となり、6年間収容された。
  9. ベトナム戦末期でも海軍海兵隊のスカイホークはあいかわらず多数の出動をし、結局195機を喪失した。海兵隊所属のスカイホークによる1973年の空襲が米軍機によるベトナム戦最後の攻撃となった。
  10. その後もスカイホークは米軍装備として残った。海兵隊は信頼度高い対地支援機として手放すのがつらかったらしく、高性能のA-4Mを調達したほどだ。高性能エンジンに換装し、機関銃弾を追加し、初期のマーヴェリックミサイルやレーザー誘導爆弾の運用が可能となった。この型はハリヤーが登場した1980年代まで供用された。高速だが鈍重なファントムを飛ばしていたブルーエンジェルス曲技チームは1974年から1986年まで同機を使った。
  11. スカイホークは「アグレッサー」機として海軍の訓練飛行で引っ張りだこだった。皮肉にもMiG-17と飛行速度と操縦特性が似ているせいだった。トップガン学校でも多用され、ファントムやトムキャットのパイロットに低速ながら操縦性能が優れる敵機への対応方法を教えた。高信頼性、簡潔な機体構成、運用経費が低い(F-15が毎時42千ドルに対し3千ドル)ことが組み合わさり、スカイホークは1990年代になっても練習に多用された。現在も民間企業が軍用練習機として使用中。
中東の鷲として
  1. ベトナム戦争たけなわのころ、中東でもアラブ・イスラエルの紛争が熱くなっていた。スカイホークはここでも最前線で奮闘した。A-4の90機がヘブライ語でアイート(鷲)と命名され、イスラエル空軍に1967年で供用開始された。機体はA-4H型に改装され、テイルパイプ延長が特徴で熱特徴を下げようとしたのだ。A-4HではJ52エンジンに換装され機関砲も強力な30mmアデン砲に代わった。イスラエル軍は地上掃射機能を重視した。1973年にはさらに強力なA-4Mを調達し、イスラエル制式名をA-4Nとした。
  2. スカイホークはイスラエル空軍の主要攻撃機材となり、エジプトとの大消耗戦の初期から活躍した。5機がエジプトのMiG-21の餌食となったが、1970年5月にはイスラエルのスカイホークガMiG-17を非凡な方法で返り討ちにしている。以下はエズラ・ドータン大佐の回想だ。
  3. MiGの高度まで下降し、うち一機の尾部についた。両方のポッドから50メートルで発射したところ、ロケット弾はゆっくりとMiGの下を通過し、パイロットは気づいていないようだった。そこで二回目の斉射をしたところMiGは大爆発して視野から消えた。
  4. ドータン大佐は残るMiG-17の四機編隊を追い、低高度でその一機を追い詰めた。
  5. その機は乾河に逃げ込むつもりで鋭くバンクした。こちらは570ノットは出ており、追い抜かないように注意した。減速にあらゆる手段を使った。操縦かんを引いたのは接近しすぎたためで敵機は距離を広げたが二機の追いかけっこだった。敵機が右バンクするとこちらも同じ操作をした。今度は急角度で左バンクした。こちらも追随した。その後敵機に機関砲を斉射した。左主翼が引き裂かれMiGは右にロールし地上に激突した。
  6. ただしスカイホークは1973年のヨムキパー戦争で多大な損害にあう。進軍するエジプト機甲部隊攻撃に向かったが、MiG-21が上空援護にあたっていたうえ、長距離性能のあるSA-6地対空ミサイル部隊がスエズ運河に展開していた。イスラエル地上部隊が侵攻部隊を叩くまでSAMが恐るべき威力を発揮した。イスラエルの喪失は53機に上り、当時供用中のスカイホークが200機だったので大損害だ。
  7. 手荒い扱いをうけたがイスラエル空軍で重要な役割をその後も続け、レバノン戦でもMiG-17を一機撃墜している。イスラエル最後の機材が訓練用途から退役したのは2015年だった。
英海軍の悩みの種
  1. 1982年、アルゼンチン軍がフォークランド諸島を占拠した。英国はこれに対し揚陸任務部隊を派遣し、奪還を図った。アルゼンチンに対抗できる海軍力がなく、陸上基地から発進の戦闘機で英海軍艦船に対抗させた。
  2. アルゼンチンのエタンダール戦闘機がエクゾセ対艦ミサイル(射程43マイル)で艦船二隻を沈めたことはよく知られている。だが当時のアルゼンチンに空中発射式エグゾセは4発しかなく、対艦攻撃は古めかしい方法で実施せざるを得なかった。スカイホークB型C型あわせ48機が動員され、海軍もA-4Qを飛ばした。米国の武器禁輸措置で射出脱出できない機材もあり、防御装備もほとんどなく、戦闘空域に到達するため途中KC-130ハーキュリーズの給油に頼らざるを得なかった。
  3. 到着すると各機は英海軍の高高度対応シーダートミサイル防衛の中を突っ切り、シーハリヤーの哨戒空域を避け、接近すれば短距離シーウルフ、シーキャットの個艦防御手段をかいくぐり通常爆弾を艦の真上から投下するのだった。艦船には4.5インチ複用砲があり、空中炸裂弾を撃って来る。アルゼンチン側に不運だったのは信管故障の多発で、直撃したのに不発におわることもあった。
  4. 英軍がフォークランド上陸を開始するとアルゼンチン航空部隊は5月21日からのサンカルロス戦に全力投入し、5日間にわたる激烈な海空戦でスカイホーク部隊のほぼ半数22機を喪失した。このうちシーハリヤーが8機を、対空砲火が2機、ミサイルと事故で残りを撃墜している。
  5. 一方でA-4により駆逐艦コベントリー、フリゲート艦アンテロープおよびアーデント、上陸支援艦ガラハドが喪失させられ、駆逐艦フリゲート艦多数が損傷している。
  6. スカイホークには別の武勇伝がある。クウェート空軍が29機を運用していたが、サダム・フセインの軍が同国を侵攻した1990年8月2日、A-4KUがイラク特殊部隊を満載したヘリコプター3機を撃墜し、メディナ装甲師団の戦車部隊に掃射攻撃を加えた。二日目に入るとクウェート空軍は砂漠地帯の道路から発進した。航空基地がイラク空爆で使用できなくなったためだ。クウェートが屈服するとA-4全機はサウジアラビアに退去した。米国主導の連合軍が砂漠の嵐作戦で1991年にクウェートが解放されると、クウェート空軍スカイホーク部隊は戦闘ミッション数千回をこなし、一機をレーダー誘導ミサイルで喪失している。あるクウェート空軍パイロットは自分が使っていた基地内事務棟を500ポンド爆弾で自ら粉砕する珍しい体験もしている。
  7. その他にもインドネシアがA-4で東チモールの反乱勢力を鎮圧している。マレーシア、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドの各国空軍もスカイホークを運用し後者3カ国はそれぞれA-4S、G、Kと呼称していた。
  8. アルゼンチン、ブラジルはともにスカイホークを供用中だ。ブラジル機はクウェート空軍から購入したもので、大幅改修された。長年にわたり、南米唯一の艦載戦闘機だったが、空母サンパウロ(旧フォッシュ)が2017年2月に退役した。しかしブラジルのスカイホークAF-1は退役しておらずアルゼンチン空軍には改修型A-4Rファイティングホークが残っている。
今も残るスカイホークの偉業
  1. A-4は簡素な設計、費用効果が高い特徴という近年の戦闘用航空機でともすれば軽視されがちな特徴を実現した機材だ。軽量かつ取扱いが容易で相当の打撃力を発揮しつつ不必要な装備は省いている。
  2. だがスカイホークの物語にも別の面がある。米、イスラエル、アルゼンチンの各国パイロットは敵防空網の中に飛び込む急降下攻撃で相当の被害にあった。
  3. スカイホークの機体価格は750千ドルで現在の6ないし7百万ドルに相当する。今日のペンタゴンはF-35ステルス戦闘機でこの13倍の価格を支払っている計算になる。
  4. それだけの負担で得られる効果を相殺できるか考える必要があるが、改めてスカイホークを操縦したパイロットの勇気には敬意を感じる。危険なミッションに投入されがスカイホークは今日では受入られない大損害を経験しているのだから。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
Image: U.S. Navy

2017年8月26日土曜日

米、中、露の爆撃機が日本周囲を飛行する特異な日になった8月24日


8月23日から24日にかけて特異な飛行が日本・韓国周囲で発生してたことが分かりました。これが「特異」なのかこれからも発生するのかが問題でさらに朝鮮半島情勢も加味するとその意図を正確に理解していかねばなりませんね。航空自衛隊のスクランブル回数もこれでは増えるばかりです。大丈夫でしょうか。

U.S., Chinese And Russian Bombers Each Flew Air Patrols Over East China, Sea Of Japan Close To The Korean Peninsula In Last 24 Hours

米、中、露三国の爆撃が24時間以内に東シナ海、日本海上空から朝鮮半島付近まで飛行していた


 Aug 24 2017 - 0 Comments

 

  1. 8月24日にはロシアのTu-95ベア編隊も韓国領空近くへ進出していた。
  2. Tu-95MS戦略爆撃機二機が韓国の防空識別圏に侵入し、韓国空軍戦闘機がスクランブルし「侵入機」を数マイル離れた地点から追尾した。この出来事はロシアが朝鮮半島に接近飛行すること自体がまれなため注目される。
  3. 一般的にADIZは「陸上あるいは海上の空域で国家安全保障の観点から民間機の識別、位置情報および管制を行う場所」とされる。
  4. ADIZは領土の先にまで設定されるので該当国は敵意ある航空機への対応時間で余裕が生まれる。許可なく識別圏内を飛行する機体は脅威対象と認定され敵機の扱われることとなり、戦闘機による迎撃対象となりVIDすんわち視覚上の識別を受けることになる。
  5. 「ロシア機編隊は昨日午前、韓国防空識別圏に侵入し韓国空軍機が緊急発進した」と韓国聯合通信が軍関係者の発言を伝えている。ただしロシア機は韓国領空を侵犯していないと空軍は説明。
  6. ロシア国防省によればベア編隊はスホイSu-35S戦闘機編隊およびA-50早期警戒管制機が支援した。航空自衛隊も迎撃対象とした。
  7. ロシアは近隣国の防空識別圏を認めず圏内に侵入する場合もあり、この場合なんらかの国防関連の意図があると思われる。2017年5月3日にはTu-95MSベア二機にSu-35SフランカーE二機編隊とA-50メインステイの支援を受けアラスカADIZ内に侵入し米空軍F-22ラプター二機がチャリオット南方50カイリ地点で迎撃している。
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23 AUG : JASDF Fighters scrambled to intercept 2x RuAF Tu-95 Bears over the Sea of Japan & Pacific Ocean

  1. ただしこの24時間以内に飛行したのはロシア機だけではない。8月24日、航空自衛隊は中国空軍の西安H-6K長距離戦略爆撃機6機編隊を韓国防空識別圏の南方で迎撃している。下に日本を目指した同編隊の航路を示す。
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24 AUG : JASDF Fighters scrambled to intercept 6x Chinese AF H-6's over the East China Sea & Pacific Ocean

  1. さらに同地域では米空軍B-1Bランサー爆撃機も常時活動しており、CBP(連続爆撃機プレゼンス)をグアムのアンダーセン空軍基地から展開している。報道によれば8月24日にはグアムから韓国へB-1二機が飛んでいる。

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At present 2xB-1B bmbrs (cs Deaf01flt) are on the route from Guam twrds Taiwan (prob a FONOPS over S.CH.Sea). MARSA tnkrs (cs Cylon21flt).

  1. アジア太平洋地区ではB-52、B-2爆撃機も核抑止力任務を米本土およびアンダーセン基地から定期的に展開している。その中で中国ADIZを侵害することもある。2013年11月にはB-52爆撃機二機がグアムを飛び立ち、東シナ海上空のADIZに侵入し中国が設定した規則を無視した。この際は尖閣諸島上空の飛行を意図的に回避している。■
A big thank you to @phxasc for the heads-up!
Top image credit: Sputnik News