2020年4月27日月曜日

いずもを正規空母に改装しF-35C運用を可能にしたらどうなるか大胆に想像


海上自衛隊艦艇は数隻ずつ建造され、確実に進化させており、いずも級のあとに本格的空母が建造されると見る向きも多いと思います。その中でいずもを正規空母にしたらどうなるか、というのが今回の大胆な記事の趣旨です。が、3万トン弱の艦容では意味のある機材運用は無理では。やはり次世代の大型「空母」を最初から建造するのを待つべきなのでしょうか。

これがリークされたいずも改装案のスライドの一部のようです。



本のいずも級「ヘリコプター駆逐艦」2隻はヘリコプター空母から小型航空母艦に改装され、スキージャンプ方式飛行甲板でF-35を運用するはずだ。

では、いずも級をカタパルト式空母にしたらどうなるか

国防関係のウェブサイトに1枚の写真が掲載された。明らかにリークのパワーポイントスライドでいずもが小型正規空母としてF-35Cをカタパルトで運用する姿となっている。

興味をそそられるのはスライド下部にジェネラルアトミックス・エレクトロマグネティックスの社名がついていることだ。リーパー、プレデター無人機のメーカーとして有名なジェネラルアトミックスは電磁航空機発艦システム(EMALS)や高性能拘束装置(AAG)のメーカーでもあり、EMALS、AAGは従来の蒸気カタパルトや拘束装置に代わり新型フォード級空母に採用されている。

スライドに詳細情報はない。(ジェネラルアトミックスにNational Interestが照会したが現時点で無回答)だが上部には「JMSDF(海上自衛隊)の航空機:E-2C/E-2Dホークアイ、F-35CライトニングII、H-60シーホーク、V-22オスプレイ、その他?」の表記がある。改装後のいずもの上面図・側面図は空母らしくなり、F-35の二機が前方でカタパルト発艦に備え、その他7機のF-35、E-2一機が駐機し、ヘリコプターがブリッジ近くに、さらにV-22らしき機材が後部に見える。

いずも、かがの2艦は異色の艦艇だ。スキージャンプではなく全通型の飛行甲板を備え、短距離離陸機の運用ができない。だがカタパルト、拘束装置も搭載せず、通常型艦載機の発艦着艦にも対応できない。

ただし、F-35Cとカタパルトでいずもが劇的に変わるというのは決して誇張ではない。F-35Bは短距離離陸垂直着陸(STOVL)により短い飛行甲板から発艦し、ヘリコプターのように着艦できる。これでカタパルトや拘束装置は不要となる。その意味で陸上運用型のF-35Aやカタパルト発艦式のF-35Cよりも運用は柔軟となる。だが代償もある。F-35Bでは性能、飛行距離、ペイロードがいずれもF-35Cより劣る。

スキージャンプ式でF-35B十数機とヘリコプター数機を運用するのと、通常型空母でF-35CさらにE-2早期警戒機を運用するのでは空母航空戦力の使い方としてどちらがよい効果をあげるだろうか。

ジェネラルアトミックスが事業獲得をねらい構想を立てたのか、それとも日本政府がもっと戦力の高い解決策を積極的に模索しているのか現時点では不明だ。いずも級の改修工事が来年始まるが、スキージャンプ方式を採用する可能性が高い。日本はF-35Bの42機調達を決定している。日本政府としては存在感を高め戦闘能力も向上してきた中国海軍へ対抗手段がほしいところだ。

とはいえ、カタパルト発艦方式に改装したいずもへの疑問も残る。EMALSカタパルトは問題解決が必要な装備だ。電磁式で軽量化が可能で短い間隔で機体を発艦させられるが、信頼性が障害で、トランプ大統領もフォード級空母を蒸気式にもどすよう要求しているほどだ。

もっと大きな問題はフォード級が満載排水量10万トン、英国のクイーンエリザベス級空母(スキージャンプ方式、F-35Bを36機搭載)が65千トンなのに対し、いずも、かがはわずか27千トンで甲板長も800フィートしかない。フォードは1,100フィートだ。いずも級に電磁カタパルト装置を搭載する艦内余裕はあるのだろうか、拘束装置や十分な機数の航空団を収容できるのだろうか。

フォード級の建造単価は130億ドル、クイーンエリザベスは60億ドルだが、いずも級ヘリコプター空母は10億ドルをわずかに上回る。通常型空母に改装し機材もそろえるといくらかかるのか。その数字に興味を覚える。■

この記事は以下を再構成したものです。


April 26, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35CJapanNavyMilitaryTechnologyWorld

2020年4月26日日曜日

最新型F-15QAから見える米空軍向けF-15EXの性能水準と期待


F-15イーグルの最新型が初飛行に成功した。

2020年4月14日、F-15QA初号機がセントルイスのランバート国際空港を離陸した。F-15QAはF-15Eが原型。豊かな産油国カタールは2017年にF-15QA計36機を60億ドルで発注した。▶これまでカタール空軍は1990年代製のミラージュ2000を12機運用していたが、今回のF-15QAの36機以外にダッソー・ラファール36機とユーロファイター・タイフーン24機も発注している。▶つまり、同国は西側主要メーカー各社の新型機を調達し、機材数の拡充とともに各種性能を手に入れようとしている。反面、各機材の維持管理が高額につく。

基本形のF-15は50年前の設計だが、QA型は初期のF-15Aと比較すれば相当の進歩を遂げている。QAはフライ・バイ・ワイヤの飛行制御、 AN/APG-82(V)1高性能電子スキャンアレイレーダー、パイロット、後席の兵装システム士官向けに共用型ヘルメット搭載照準システムを提供し、エンジンは最新のジェネラル・エレクトリックF110-GE-129となっている。▶また兵装ハードポイントが追加され、空対空ミサイル最大16本を搭載できるが、航続距離と最大速力を犠牲にする。▶「高性能版F-15QAは戦闘の様相を一変させる性能とともに高度製造技術の応用で生産効率を高めている。飛行時間あたり経費は同クラスの他機の半分程度でありながらペイロード、航続距離ともに増えている」とボーイングは声明文を発表している。

米空軍はF-15QAとほぼ同等の新規製造F-15EX144機を調達し、240機あるF-15C型D型を更新する。▶米議会はF-15EXの8機を10億ドルで調達する2020年度予算を承認している。価格は予備部品を含む。▶米空軍はF-15EXを平時の国内防空に投入し、ステルス性の欠如が大きな欠点にならないとする。▶有事にはF-15EXは長距離極超音速ミサイルを発射しつつ、戦闘用無人機編隊の統制機ともなるはずだ。■

この記事は以下を再構成したものです

Could this be a preview of what the F-15EX could be like? 
by David Axe 
April 17, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyAir ForceU.S. Air ForceF-15F-15QA

F-22は2060年代まで最先端戦闘機として供用を狙う(予算が全て計上されれば)




能改修が予定通りすべて実現すれば、F-22は最高水準の制空戦闘機のまま2060年代まで君臨し、第6世代戦闘機と交代する。

F-35やF-15Xに関心が集まる中、米空軍の主力制空戦闘機F-22ラプターの影が薄かった。

2000年代初頭に供用開始した当時、ラプターは世界最高水準の機体だったが、ラプターの性能向上改修はF-15、F-16と比べると頻度が少なく、一部で旧式化してきた。たとえば、F-16、F-15、F/A-18はJHMCSミサイル照準技術を導入し、パイロットは敵機へ視線を向けるだけでよいが、F-22に導入されていない。

米空軍はF-22改修をソフトウェアで対応し、ハードウェア改修は最小限で兵装を統合してきた。だがレーダーや電子光学センサーは小型化し性能向上している。

F-22の機体はUSAF供用中の機材では最高性能の「シャーシ」で、推力偏向やスーパークルーズ性能を実現したが、ステルス性のためセンサーやポッドを搭載できない構造だ。さらに製造は2011年に終了しており、機体性能の改修の余地は限られる。

F-22の最新の改修はハードウェアとソフトウェアに及び、ベースライン3.2B、アップデータ6とそれぞれ呼称される。目標は最新の空対空ミサイルの導入とネットワーク戦能力の向上だ。

AIM-9X、AIM-120D空対空ミサイルをF-22のエイビオニクスで対応可能とする。AIM-9Xは2014年からF-22へ導入予定だったが、何度も延期されてきた。

同ミサイルは2017年に利用可能となっており、いよいよJHMCSヘルメットをF-22に導入する。

改修では新型暗号技術も導入し、厳しい電子戦環境でもF-22を対応可能とする。Link-16データリンクの送信モジュールを組合わせF-22は他機種とレーダー・標的情報を送受信し共有可能となる。現状ではF-22でLink-16の「受信」しかできない。

戦闘状況を把握するセンサーで旧型機に情報共有する機能をF-35が実現したことで、USAFもF-22のデータリンク性能向上に向かうのだろう。

データリンクとミサイル更新を組み合わせたF-22は最新第4世代機と肩を並べる。F-35はセンサー技術で依然として先を走る。

ただし、F-22のセンサー性能改修の予算計上は2020年代後半で、F-35のEOTS、DASの各装備と似た電子光学モジュールを導入する。この改修でF-15Xと同等になる。

イラク、アフガニスタン戦の現場でF-22がF-35の後塵を拝する事態があったが、超大国間の戦闘に焦点を合わせる中、F-22に再び脚光があてられている。

性能改修構想は2013年からあったが、予算手当がつき優先順位を高めたのは2019年度以降である。すべて予定通りならF-22は2060年代まで最先端制空戦闘機の座を維持し、第6世代戦闘機に交代する。■

この記事は以下を再構成したものです。

These Upgrades Will Keep The F-22 Raptor Combat Ready Until 2060

When a sixth-generation fighter will take over.

April 23, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-22 RaptorF-35U.S. Air ForceStealth Fighter


Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues. This article first appeared earlier this year.

2020年4月25日土曜日

コメント機能について


厳しい状況が当面続きますが、皆様お変わりありませんか。

さて、当ブログへのコメント記入がしにくくなっているとのご連絡をいただいています。ロボットではないことを証明するのが大変とのことで、当方でも調べてみましたが、Bloggerの設定のようで当方ではコントロールできません。

あるいはこの点で知識がある方がいらっしゃれば、ご教示いただきたく思います。

当ブログでは多様な意見を歓迎しますので、コメントはすべて掲載しています。

今後もよろしくご指導ご鞭撻ください。

令和2年4月25日
Moneyfreedom


主張 金正恩死亡に世界はどこまで備えているか

金正恩が死亡した、あるいは植物人間状態との報道が世界を驚かせています。韓国政府のみちがう反応を示しているのが妙ですが。


朝鮮の緊急事態に「外部世界」の準備態勢は整っているだろうか。

金正恩の死去あるいは重篤な健康状態により国家指導者の機能を果たせなくなった場合、北朝鮮政策はどうなるか。▶状況が一変した場合には、めぼしい成果を上げていない北朝鮮対策のどこに手を加えるべきか。▶朝鮮半島で再度危機的状況が発生した場合にどう対応すべきだろうか。▶北朝鮮体制に変化が発生すれば、同国を注視してきた専門家は今でも困難な状況がさらに悪化する。▶北朝鮮はあいまいさ、隠蔽、錯覚を日常茶飯事に使い存続してきた国だ。▶北朝鮮で緊急事態が発生しても「鏡に映る姿は現実より大きかったり、小さかったり、楽観あるいは悲観的に写り、現実より小さかったり、実際より混乱して見える」ことがありうる。▶すべてを疑ってかかり、客観視し、誇張せずにとらえるべきだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why We Really Don't Know What Happens If Kim Jong-un Dies

There are more questions than answers.
by Soo Kim 
April 23, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaKim Jong-unSuccessionKim Yo-jongDPRK

Soo Kim is a Policy Analyst at the RAND Corporation.

2020年4月19日日曜日

日本の金融機関も北朝鮮のサイバー脅威に対策を打つべきだ。



北朝鮮の悪辣なサイバー作戦が金融機関を標的にしている。


米連邦捜査局(FBI)、国務省、財務省、国土保安省は北朝鮮による悪辣なサイバー脅威へ注意喚起する文書を4月15日公表した。▶北朝鮮が金融システムの混乱を狙っていると米政府が警告している。

「北朝鮮のサイバー脅威は国際社会、ネットワーク管理者、一般社会で現実になっていると警告する」とあり、「朝鮮民主人民共和国(DPRK)による悪辣なサイバー活動は米国のみならず広く国際社会に脅威で、とくに国際金融システムの機能、安定性に大きな脅威だ」▶国家情報局による世界脅威評価の昨年版では北朝鮮のサイバー犯罪による被害額は金融界だけで11億ドル相当とある。▶北朝鮮はサイバー攻撃で得た財源で大量破壊兵器や弾道ミサイルを製作していると米政府は分析。▶「北朝鮮によるサイバー犯罪行為に米国は強い懸念を示し、こうした活動をHIDDEN COBRAと呼称している」「DPRKにはサイバー妨害行為・破壊工作で米国の重要インフラに被害を与える能力がある。DPRKはサイバーで金融機関から資金を盗む能力もある」

北朝鮮はサイバー犯罪集団を国家的に支援し、ハッカー、暗号化専門家、ソフトウェア開発者を使い「スパイ活動、サイバー窃盗を金融機関やデジタル外貨為替を狙い展開し、海外メディアには政治的な情報操作を狙っている」と同上文書は解説。▶北朝鮮のサイバー犯罪活動能力は向上しており、各種マルウェアによる世界各地でのサイバー攻撃の手口は巧みになっている。▶「国際社会、ネットワーク管理者、一般社会は北朝鮮のサイバー脅威への警戒を緩めず、損害を広げない協調行動をとるべきだ」(米政府)▶国務省ではDPRKによる悪意ある行為がサイバー空間で見つかった場合の通報へ報奨金制度を提供している。

国土保安省のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティー庁(CISA)による報告書ではDPRKのサイバー攻撃の手法や仕組みの詳細を解説し、サイバーリスク管理の向上に役立つ情報を各機関に提供している。▶FBIは民間産業向け公告を出しており、サイバー脅威の最新情報を提供している。またサイバーセキュリティ専門家やシステム管理者向けにはデジタル脅威への対応策を開示している。▶国防総省は米サイバー司令部で、DPRKによる悪意あるサイバー活動を積極的に追跡中で、金融機関を標的とするマルウェアも見つけた。同本部によるマルウェア情報は@US_CYBERCOM and @CNMF_VirusAlertのツイッターアカウントで公開されておりサイバーセキュリティの強化に利用できる。■
この記事は以下を再構成したものです。

United States Warns of Increasing Cyber Threat from North Korea

The Cyber Edge
April 15, 2020
Posted by Kimberly Underwood


F-3は国内開発へ舵を切った

日本単独で戦闘機開発が完了できるのかというご意見もありましょうが、軍用機の常識を破る開発事例になれば日本の技術力としても腕の見せどころとなるでしょう。期待しましょう。

F-2後継機を米国をパートナーとして開発すると見られていた航空自衛隊が方針転換し、国産開発に向かう。

日本の防衛産業は開発で中心の役割を最初から想定し、2030年代中ごろまで数百億ドル規模の事業になると見ている。日本政府は昨夏から米国、英国と協議し、両国の主要企業ロッキード・マーティン、ボーイングBAEシステムズがパートナー候補といわれていた。

先月末時点で日米協力が深化すると思われていた。日本は英国を主要パートナーから排除し、日米同盟の枠組で技術先進性を追求する方が得策と判断していた。

「日本主導の開発としつつ国際協力の可能性も排除しない」と防衛装備庁はJane'sに3月に述べていた。「防衛省は相互作戦態勢、費用対効果、技術信頼性の観点で米英両国と協議を続けている。両国との協力の可能性は引き続き模索していく」

ところが日本は西側同盟国との共同開発ではなく自力での第6世代機開発を目指す。「F-3」と呼ぶ新型機はF-2「4+世代」小型機と交代する。事業規模は400億ドルとの試算がある。

日本はF-1攻撃戦闘機、F-2軽量多任務戦闘機の二機種を製造している。前者は英国のジャギュア、後者は米F-16ファイティング・ファルコンとの関連がある。このうちF-1は2006年に退役ずみだ。F-2は新型機の供用開始まで現役にとどまり、1990年代に三菱重工を主契約企業としロッキード・マーティンを筆頭協力企業として開発された。

単独態勢のままだと日本は研究開発費用含む巨額コストを自己負担することになる。
F-3戦闘機の機体単価は185百万ドル超となる見込みで、開発費用の回収のため日本は機体輸出をねらいそうだ。政権与党の自民党は次期戦闘機の輸出可能性で検討を開始した。■

この記事は以下を再構成したものです。

Sorry, F-35: Japan to Develop Sixth-Generation Fighter on its Own

And we can tell you all of the reasons why.
April 18, 2020  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: Sixth-Generation FighterJapanSecurityMilitaryF-35

2020年4月18日土曜日

空飛ぶ自動車の実現は米空軍が先行、3年で本生産開始で新しい産業が生まれる


ウーバーによる飛行車コンセプト

動垂直離着陸(eVTOL)技術による「飛行車」の本格生産が三年以内に始まると、米空軍で調達を統括するウィル・ローパーが述べている。
この性能で軍のミッションは「従来の二次元から三次元へ」拡大し、「機動性」も強化されるとローバーは述べ、空軍は民間企業への資金提供で「最高度機動車両」 “Agility Prime” と呼ぶeVTOL装備の実現を目指している
今月末にも各社の構想案が空軍に披露される。現在想定中のeVTOL車両は小型で輸送能力は数名程度。
eVTOL車両の性能でミッション実施が可能か見極めてから今後の調達規模を決めるとローパーは述べており、「兵站任務に投入可能となれば大量購入するが、保安救難用途なら小規模調達になる」
ローパーは大型飛行車で貨物、小型車では特殊部隊の輸送を想定していると以前語っていた。
ローパーは空軍の安全認証を民間企業に付与し、最高度機動車両の飛行時間を計上させることで「新型車両の利用を後押しし、FAA型式証明の取得が早まる」と見ている。
空軍ライフサイクル管理センター(AFLCMC)の発表では最高度機動車両について4月27日に「仮想立ち上げ式典」を行い、各社の構想発表とともに、官民の投資機関を模索する。ローパーが基調講演を行うが、COVID-19のパンデミックにより予定を変更し仮想イベントとして実施すると説明。「イベントでは空軍と業界のつながりを強め、組織横断で新しい航空宇宙分野の立ち上げをめざす」(AFLCMCによる説明)
最高度機動車両構想ではeVTOL車両メーカーの競作から本生産委託先を決める。同構想のウェブサイトで公表中の文書では空軍は12月17日までに飛行試験の実施を求め、第1段階で以下の性能諸元の実現を各社に求めている。
  • 3-8名の搭載
  • 航続距離100マイル以上
  • 時速100マイル以上
  • 連続使用60分以上
第二段階で大型の貨物人員車両を目指す、とローパーは述べている。
最高度機動車両構想は軍の各種組織が共同推進する点で他に例を見ない。AFLCMC以外に空軍研究本部(AFRL)、空軍戦闘統合性能実現部門(AFWIC)、AFWERX、AFVenturesが関与する。後者はヴェンチャーキャピタルと各社を結ぶ機能を果たす。
ローパーはこの動きにより有望な市場で米国の立場が有利になる以外に米空軍が期待する「イノベーションパートナー」として民生部門が機能できるか実証する狙いもあると解説。
ローパーにより民生部門の研究開発成果を活用し中国に差をつける効果がDoDに生まれており、今や技術革新が新しい戦場になっている。■
この記事は以下を再構成したものです。

Roper Sees Air Force ‘Flying Cars’ In Production By 2023

"We are going to accelerate this market for domestic use in a way that also helps our military," Roper stressed. "The Air Force is all in."

on April 16, 2020 at 7:15 PM

2020年4月16日木曜日

野心的な英国ステルス戦闘機テンペストに実現の芽はあるのか

ンペストは英国が2030年代の供用開始をねらう国産双発ステルス戦闘機だ。同機には第6世代機の技術が盛り込まれ、無人飛行、極超音速兵器、指向性エナジー兵器、小型無人機の大群の運用が可能となる。だが、ブレグジット後の防衛協力としてドイツ、フランスとの連携も想定する。

英政府は「チームテンペスト」に20億ボンド(26億ドル)で初期開発作業を進めさせる。主契約企業BAEシステムズが中心となり、英空軍、ロールスロイス(エンジン)、MBDA(兵装)、レオナルド(センサー、エイビオニクス)が参画する。

 設計は2020年代始めに完成し、試作機が2025年に飛行し、2035年に第一線に投入される。RAFでは第4世代機タイフーン戦闘機の後継機となり、F-35ステルスジェット戦闘機を補完する。開発期間の17年という設定はステルス戦闘機の複雑さと高価格を考えれば野心的と言える。
  テンペストのモックアップは大型単座双発の機体でデルタ翼で尾翼はF-22並に内側に傾斜している。飛行制御に資する設計でステルスよりも動的性能を重視しているとみるアナリストもいる。大型機体は航続距離とともに兵装搭載量でテルスモードのF-35がスより有利だ。だが、最高速度、航続距離、レーダー断面積などの性能諸元は非公表だ。
 ロールスロイスはテンペストのエンジンは適合サイクルターボファンで軽量複合材で作るという。タービンコアの磁石で大容量発電を実現する。
 余裕ある発電容量は指向性エナジー兵器の動力源に最適で、レーザーから高周波まで各種が想定されているのだろう。テンペストでは指向性エナジー兵器を「非運動性」用途に使う想定のようで、敵のセンサーを妨害または破壊するだろう。
 ミーティア長距離空対空ミサイル、SPEAR-3巡航ミサイルがモックアップと合わせて展示され、次世代「深部攻撃」ミサイル(音速の5倍で飛翔する極超音速兵器で迎撃は極めて困難)、さらに大量の小型無人機を攻撃手段とする。パイロットの負担軽減のため、基地には人工知能を搭載し、無人機の制御を最適化するようマシンが学習していく。
 F-35同様にテンペストはパッシブ、アクティブ双方の各種センサーを搭載し、パイロットはヘルメットを通じ状況把握し、これまでのコックピットディスプレイパネルはなくなるかもしれない。「協調型交戦」技術でテンペストはセンサーデータを友軍の機材艦船あるいは地上部隊と共有し、「設定可能」通信装置やデータリンクを使う。これにより一機のセンサーデータが共有され、敵に探知されず別の機体がミサイルを発射できる。
 ただし、F-35のネットワーク接続コンピュータでハッキングの恐れがあらわれたため、テンペストの発表では「サイバーアタックへの対応」が特に強調されていた。テンペストが「有人操縦を選択」した場合にこれが課題となる。つまり同機は遠隔操縦で飛行可能で、パイロットが搭乗する必要はない。無人航空戦闘機材がこれからの航空戦で重要となると見られ、有人操縦は必要な場合に実施される。危険なミッションでパイロットの生命を守る効果が生まれる反面、価格面や性能で有人機より不利となる。
 テンペストが思惑通りに実現するか予断を許さない。テンペストの前にBAEには複座スルス戦闘機構想レプリカがあったが、2005年に打ち切りとなった。そこでの技術的知見からBAEはF-35事業で重要な事業者になった。英国はF-35Bの48機受領をめざし、クィーンエリザベス級空母での運用を予定している。英空軍向けにF-35を90機別途調達する予定もある。テンペストでF-35調達に影響はないと英空軍は強調するものの予算動向は予測し難い。
 ただし、現時点のテンペストはブレグジットで欧州市場から締め出される英国には政治ゲームの駒だ。わずか数ヶ月前にドイツとフランスがダッソーエアバスの共同作業で第6世代ステルス戦闘機「次世代戦闘航空システム」(FCAS)を提唱し、英国企業の参加も呼びかけていた。
 ともに他国へ売り込みが実現しないと高額すぎる事業になる。20億ポンドは大金だが、テンペスト開発が順調に進んだ場合の費用の1割相当に過ぎない。望ましいシナリオは「欧州型」ステルス戦闘機として両事業の統合だ。FCASの想定性能を見るとテンペストに近いことがわかる。
 そうなるとテンペストとは英国の航空宇宙産業にステルス戦闘機を製造する基盤を残しながら、EU加盟国に次期戦闘機開発に加わる誘いの手段となる。現にエアバス・ディフェンスCEOダーク・ホークはテンペスト事業を「歓迎する」と述べている。英国がスウェーデンと提携する可能性の観測が度々でており、BAEがトルコのTAIと提携し同国のTF-Xステルス戦闘機の生産に協力する合意をしたことに注目だ。
 英国、フランス、ドイツが同時に第6世代ステルス戦闘機の実現に向かう格好だが、各国政府が長期に渡る財政支出に耐えられるのか、国際協力のゆくえ、ヨーロッパ初のステルスジェット戦闘機開発との技術課題に応えられるかは時がたたないと答がでない。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why Britain's Tempest, And Not The F-35, Is The Future Of Air Combat

Drone swarms, lasers, and more.
April 16, 2020  Topic: Security  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWeaponsWarJetsF-35Tempest