2020年4月29日水曜日

歴史に残らなかった機体15 メッサーシュミット110




1930年代中葉のナチドイツには問題がひとつあった。ハインケル111のような双発中距離爆撃機は1,500マイルの戦闘半径があったが、単発戦闘機メッサーシュミット Bf 109 はわずか400マイルだった。1939年当時の航空兵力信奉者は爆撃機が敵防空網を突破できると信じていたとはいえ、ドイツは目的地まで援護し帰還可能な長距離戦闘機の必要性を感じていた。

解決策がメッサーシュミット110双発戦闘機で、外観は小型爆撃機そのものだった。初期型のBf 110Cでも戦闘行動半径1,500マイルを実現し、単発機を上回る武装の機関砲4門、機関銃4本を前方に、さらに後部銃手が機関銃で後部に食いつく敵機を追い払うはずだった。最高速度350マイルは第二次大戦初期の戦闘機の多くを上回っていた。

戦闘機の設計では全てが思い通りに実現しない。燃料を大量搭載するため機体は大型化され重戦闘機となった。大型で重量がますため双発とし、重量が追加された。その結果、Bf 110 の機体重量は4トンと、Bf 109の2倍になった。

同機は駆逐戦闘機と呼ばれ、重戦闘機へのドイツの信頼の象徴となった。ドイツ空軍ではエリート部隊とされ、1939年の開戦時にはポーランドの複葉機や援護無しでドイツへ飛来した英爆撃機を駆逐した。

ところが英国の戦いが1940年夏に始まるとルフトバッフェはそれまでの地上部隊への航空支援と全く異なる状況に入った。フランスやノルウェイを離陸した攻撃部隊に対しBf 109は航続距離が圧倒的に足りず、ロンドン上空で10分しか余裕がない始末だったので爆撃機部隊は英空軍の迎撃を食らった。

長距離援護戦闘機の必要性を痛感したルフトバッフェはエリート部隊のBf 110の投入に踏み切った。低速のボーランド軍複葉機が相手と違い、RAFのハリケーン、スピットファイヤは高速で、Bf 110は単発戦闘機の前に操縦性、加速性がいずれも劣ることを思い知らされた。爆撃機の護衛を放棄し、Bf 110部隊は弧を描く飛行で各機を防護する必要に追い込まれ、RAF戦闘機を近づけさせないようにするのが精一杯だった。

英国の戦いでドイツ空軍はBf 110を237機投入し、223機を喪失した。犠牲者の一人が空軍司令ヘルマン・ゲーリングの甥ハンス-ヨアヒム・ゲーリングだった。

だがこれでBf 110の供用が終わったわけではない。北アフリカ戦線、ロシア戦線では有益な対地攻撃機の評価を得た。英国のブリストル・ボーファイターも同じ経緯をたどった。レーダーを搭載したBf 110は夜間戦闘機として新境地を開き、援護なしで飛ぶRAFランカスター爆撃機をドイツ上空で狩った。さらに機関砲を増設し、対空ロケット弾も搭載したBf 110が米軍のB-17、B-24が無援護で飛来してきたのでこれに大損害を与えた。だが制空戦闘機としてのBf 110は終焉した。

1944年に入ると米P-51マスタングが時速450マイル、戦闘半径1,600マイルで高い操縦性を発揮し、このことが痛感されたのである。ドイツ上空を飛び回るマスタング、サンダーボルトに対しBf 110は狩るどころか狩られる立場に転落した。

マスタング登場で第二次大戦時の重戦闘機構想は破綻した。P-51で高速、高操縦性と航続距離を兼ね備えた戦闘機が実現した。マスタングがBf 110を駆逐するのは大いにあり得たが、逆は不可能だった。

重戦闘機構想は今日も残るが、かなり抑えられた形だ。大型のF-15と軽量のF-16という組み合わせを語る際は高性能だが非常に高価な機体に対し安価だが性能が限定された軽戦闘機という文脈で語っている。

航空工学や搭載武装の技術が変化し、第二次大戦式の重戦闘機の必要は消えた。当時の戦闘機には機関砲、機関銃しか武装の選択がなかったので射程位置につくため高速度と操縦性が求められた。今日の最新鋭機F-35はスピード、操縦性を犠牲にする代わりにセンサー性能と空対空ミサイルで敵より先に攻撃を加える。大型機は大量の燃料搭載が必要だったが、今日では空中給油機の助けで戦闘機は長距離飛行が可能となっている。

Bf 110構想は優秀な技術解決策と目されたのに急速に陳腐化してしまう好例だ。1930年代末のRAFは複葉機も運用しており、Bf 110はあたかも今日のF-22や朝鮮戦争時のF-86のような最先端機に見えたはずだ。だがドイツは機体やエンジン技術の進展でBf 110と同程度の航続距離が実現することを予期しておくべきだったのだろう。

結局、「駆逐戦闘機」構想は挫折したのである。■

Nazi Germany's "Destroyer" Heavy Fighter Was Powerful, But Was Too Large For The Job

 

It could barely maneuver. 
April 27, 2020  Topic: History  Region: Europe  Blog Brand: The Buzz  Tags: HistoryDefenseTechnologyAir PowerWorld War II

Image: Wikimedia

2020年4月28日火曜日

ボーイング、エンブラエル提携解消でC-390の行方が不安となる



KC-390
ーイングエンブラエルの共同事業合意が破棄され、エンブラエルC-390ミレニアム軍用輸送機の海外販売が困難になりそうだ。▶共同事業案ではエンブラエルが51%、ボーイング49%の所有権を持つはずだったが、両社で最終合意できず不成立になったとボーイングは4月25日に発表。
共同事業案は欧州委員会の認可待ちだった。新会社発足の前に予備的措置の「マスター取引合意」で業務開始していた。▶ただしマスター合意事項では4月24日が合意形成の最終日だったが、形成できず両社は予備的合意を延長しないことで意見が一致したとボーイングは述べている。▶ボーイングは合意できなかった条件内容を明らかにせず、論評も避けている。エンブラエルも問合わせに対応していない。
C-390は双発軍用輸送機でブラジル空軍向けにエンブラエルが開発し、当初はKC-390として空中給油機兼輸送機としていた。▶両社は昨年11月のドバイ航空ショーでC-390ミレニアムに名称変更し、共同事業体名称をボーイング・エンブラエル-ディフェンスとすると発表し、各国の軍用市場参入を狙っていた。
今後のC-390の海外向け営業は困難の連続となる。各国とも輸送機を選択済みのためだ。さらに戦術輸送機の需要は比較的小さい。▶さらに市場は今後数年にわたり厳しい状況となる。Tealグループ予想では市場規模は2027年までに36.2億ドル規模と42%縮小する。生産規模も年間56機と24%減る。▶現在供用中の軍用輸送機は総数869機でロッキード・マーティンのC-130(L-100)が2割を占める。さらにC-130の大部分は米空軍が運用中だ。
ボーイングと共同事業体を立ち上げエンブラエルは米国内に生産拠点を置きC-390を米国向けに販売する予定だった。ボーイングを通じ米国に生産ラインがあれば米国の有償軍事援助制度でC-390の各国向け販売が楽になるはずだった。▶今やこうした目論見が消えた。
ボーイングはエンブラエルと2012年に調印の提携関係は残し、C-390の販売、サポートを共同実施するとしている。ただし、同社は共同事業体構想と販売合意の違いを説明していない。
2019年11月以降ではエンブラエルはKC-390をブラジル空軍に2機納入しており、あと25機を引き渡す。ポルトガル向けに5機の確定受注があり、アルゼンチン、チリ、コロンビア、チェコ共和国が計27機の購入意向を示している。■
この記事は以下を再構成したものです。
By Garrett Reim26 April 2020

2020年4月27日月曜日

いずもを正規空母に改装しF-35C運用を可能にしたらどうなるか大胆に想像


海上自衛隊艦艇は数隻ずつ建造され、確実に進化させており、いずも級のあとに本格的空母が建造されると見る向きも多いと思います。その中でいずもを正規空母にしたらどうなるか、というのが今回の大胆な記事の趣旨です。が、3万トン弱の艦容では意味のある機材運用は無理では。やはり次世代の大型「空母」を最初から建造するのを待つべきなのでしょうか。

これがリークされたいずも改装案のスライドの一部のようです。



本のいずも級「ヘリコプター駆逐艦」2隻はヘリコプター空母から小型航空母艦に改装され、スキージャンプ方式飛行甲板でF-35を運用するはずだ。

では、いずも級をカタパルト式空母にしたらどうなるか

国防関係のウェブサイトに1枚の写真が掲載された。明らかにリークのパワーポイントスライドでいずもが小型正規空母としてF-35Cをカタパルトで運用する姿となっている。

興味をそそられるのはスライド下部にジェネラルアトミックス・エレクトロマグネティックスの社名がついていることだ。リーパー、プレデター無人機のメーカーとして有名なジェネラルアトミックスは電磁航空機発艦システム(EMALS)や高性能拘束装置(AAG)のメーカーでもあり、EMALS、AAGは従来の蒸気カタパルトや拘束装置に代わり新型フォード級空母に採用されている。

スライドに詳細情報はない。(ジェネラルアトミックスにNational Interestが照会したが現時点で無回答)だが上部には「JMSDF(海上自衛隊)の航空機:E-2C/E-2Dホークアイ、F-35CライトニングII、H-60シーホーク、V-22オスプレイ、その他?」の表記がある。改装後のいずもの上面図・側面図は空母らしくなり、F-35の二機が前方でカタパルト発艦に備え、その他7機のF-35、E-2一機が駐機し、ヘリコプターがブリッジ近くに、さらにV-22らしき機材が後部に見える。

いずも、かがの2艦は異色の艦艇だ。スキージャンプではなく全通型の飛行甲板を備え、短距離離陸機の運用ができない。だがカタパルト、拘束装置も搭載せず、通常型艦載機の発艦着艦にも対応できない。

ただし、F-35Cとカタパルトでいずもが劇的に変わるというのは決して誇張ではない。F-35Bは短距離離陸垂直着陸(STOVL)により短い飛行甲板から発艦し、ヘリコプターのように着艦できる。これでカタパルトや拘束装置は不要となる。その意味で陸上運用型のF-35Aやカタパルト発艦式のF-35Cよりも運用は柔軟となる。だが代償もある。F-35Bでは性能、飛行距離、ペイロードがいずれもF-35Cより劣る。

スキージャンプ式でF-35B十数機とヘリコプター数機を運用するのと、通常型空母でF-35CさらにE-2早期警戒機を運用するのでは空母航空戦力の使い方としてどちらがよい効果をあげるだろうか。

ジェネラルアトミックスが事業獲得をねらい構想を立てたのか、それとも日本政府がもっと戦力の高い解決策を積極的に模索しているのか現時点では不明だ。いずも級の改修工事が来年始まるが、スキージャンプ方式を採用する可能性が高い。日本はF-35Bの42機調達を決定している。日本政府としては存在感を高め戦闘能力も向上してきた中国海軍へ対抗手段がほしいところだ。

とはいえ、カタパルト発艦方式に改装したいずもへの疑問も残る。EMALSカタパルトは問題解決が必要な装備だ。電磁式で軽量化が可能で短い間隔で機体を発艦させられるが、信頼性が障害で、トランプ大統領もフォード級空母を蒸気式にもどすよう要求しているほどだ。

もっと大きな問題はフォード級が満載排水量10万トン、英国のクイーンエリザベス級空母(スキージャンプ方式、F-35Bを36機搭載)が65千トンなのに対し、いずも、かがはわずか27千トンで甲板長も800フィートしかない。フォードは1,100フィートだ。いずも級に電磁カタパルト装置を搭載する艦内余裕はあるのだろうか、拘束装置や十分な機数の航空団を収容できるのだろうか。

フォード級の建造単価は130億ドル、クイーンエリザベスは60億ドルだが、いずも級ヘリコプター空母は10億ドルをわずかに上回る。通常型空母に改装し機材もそろえるといくらかかるのか。その数字に興味を覚える。■

この記事は以下を再構成したものです。


April 26, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-35CJapanNavyMilitaryTechnologyWorld

2020年4月26日日曜日

最新型F-15QAから見える米空軍向けF-15EXの性能水準と期待


F-15イーグルの最新型が初飛行に成功した。

2020年4月14日、F-15QA初号機がセントルイスのランバート国際空港を離陸した。F-15QAはF-15Eが原型。豊かな産油国カタールは2017年にF-15QA計36機を60億ドルで発注した。▶これまでカタール空軍は1990年代製のミラージュ2000を12機運用していたが、今回のF-15QAの36機以外にダッソー・ラファール36機とユーロファイター・タイフーン24機も発注している。▶つまり、同国は西側主要メーカー各社の新型機を調達し、機材数の拡充とともに各種性能を手に入れようとしている。反面、各機材の維持管理が高額につく。

基本形のF-15は50年前の設計だが、QA型は初期のF-15Aと比較すれば相当の進歩を遂げている。QAはフライ・バイ・ワイヤの飛行制御、 AN/APG-82(V)1高性能電子スキャンアレイレーダー、パイロット、後席の兵装システム士官向けに共用型ヘルメット搭載照準システムを提供し、エンジンは最新のジェネラル・エレクトリックF110-GE-129となっている。▶また兵装ハードポイントが追加され、空対空ミサイル最大16本を搭載できるが、航続距離と最大速力を犠牲にする。▶「高性能版F-15QAは戦闘の様相を一変させる性能とともに高度製造技術の応用で生産効率を高めている。飛行時間あたり経費は同クラスの他機の半分程度でありながらペイロード、航続距離ともに増えている」とボーイングは声明文を発表している。

米空軍はF-15QAとほぼ同等の新規製造F-15EX144機を調達し、240機あるF-15C型D型を更新する。▶米議会はF-15EXの8機を10億ドルで調達する2020年度予算を承認している。価格は予備部品を含む。▶米空軍はF-15EXを平時の国内防空に投入し、ステルス性の欠如が大きな欠点にならないとする。▶有事にはF-15EXは長距離極超音速ミサイルを発射しつつ、戦闘用無人機編隊の統制機ともなるはずだ。■

この記事は以下を再構成したものです

Could this be a preview of what the F-15EX could be like? 
by David Axe 
April 17, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyAir ForceU.S. Air ForceF-15F-15QA

F-22は2060年代まで最先端戦闘機として供用を狙う(予算が全て計上されれば)




能改修が予定通りすべて実現すれば、F-22は最高水準の制空戦闘機のまま2060年代まで君臨し、第6世代戦闘機と交代する。

F-35やF-15Xに関心が集まる中、米空軍の主力制空戦闘機F-22ラプターの影が薄かった。

2000年代初頭に供用開始した当時、ラプターは世界最高水準の機体だったが、ラプターの性能向上改修はF-15、F-16と比べると頻度が少なく、一部で旧式化してきた。たとえば、F-16、F-15、F/A-18はJHMCSミサイル照準技術を導入し、パイロットは敵機へ視線を向けるだけでよいが、F-22に導入されていない。

米空軍はF-22改修をソフトウェアで対応し、ハードウェア改修は最小限で兵装を統合してきた。だがレーダーや電子光学センサーは小型化し性能向上している。

F-22の機体はUSAF供用中の機材では最高性能の「シャーシ」で、推力偏向やスーパークルーズ性能を実現したが、ステルス性のためセンサーやポッドを搭載できない構造だ。さらに製造は2011年に終了しており、機体性能の改修の余地は限られる。

F-22の最新の改修はハードウェアとソフトウェアに及び、ベースライン3.2B、アップデータ6とそれぞれ呼称される。目標は最新の空対空ミサイルの導入とネットワーク戦能力の向上だ。

AIM-9X、AIM-120D空対空ミサイルをF-22のエイビオニクスで対応可能とする。AIM-9Xは2014年からF-22へ導入予定だったが、何度も延期されてきた。

同ミサイルは2017年に利用可能となっており、いよいよJHMCSヘルメットをF-22に導入する。

改修では新型暗号技術も導入し、厳しい電子戦環境でもF-22を対応可能とする。Link-16データリンクの送信モジュールを組合わせF-22は他機種とレーダー・標的情報を送受信し共有可能となる。現状ではF-22でLink-16の「受信」しかできない。

戦闘状況を把握するセンサーで旧型機に情報共有する機能をF-35が実現したことで、USAFもF-22のデータリンク性能向上に向かうのだろう。

データリンクとミサイル更新を組み合わせたF-22は最新第4世代機と肩を並べる。F-35はセンサー技術で依然として先を走る。

ただし、F-22のセンサー性能改修の予算計上は2020年代後半で、F-35のEOTS、DASの各装備と似た電子光学モジュールを導入する。この改修でF-15Xと同等になる。

イラク、アフガニスタン戦の現場でF-22がF-35の後塵を拝する事態があったが、超大国間の戦闘に焦点を合わせる中、F-22に再び脚光があてられている。

性能改修構想は2013年からあったが、予算手当がつき優先順位を高めたのは2019年度以降である。すべて予定通りならF-22は2060年代まで最先端制空戦闘機の座を維持し、第6世代戦闘機に交代する。■

この記事は以下を再構成したものです。

These Upgrades Will Keep The F-22 Raptor Combat Ready Until 2060

When a sixth-generation fighter will take over.

April 23, 2020  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-22 RaptorF-35U.S. Air ForceStealth Fighter


Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues. This article first appeared earlier this year.

2020年4月25日土曜日

コメント機能について


厳しい状況が当面続きますが、皆様お変わりありませんか。

さて、当ブログへのコメント記入がしにくくなっているとのご連絡をいただいています。ロボットではないことを証明するのが大変とのことで、当方でも調べてみましたが、Bloggerの設定のようで当方ではコントロールできません。

あるいはこの点で知識がある方がいらっしゃれば、ご教示いただきたく思います。

当ブログでは多様な意見を歓迎しますので、コメントはすべて掲載しています。

今後もよろしくご指導ご鞭撻ください。

令和2年4月25日
Moneyfreedom


主張 金正恩死亡に世界はどこまで備えているか

金正恩が死亡した、あるいは植物人間状態との報道が世界を驚かせています。韓国政府のみちがう反応を示しているのが妙ですが。


朝鮮の緊急事態に「外部世界」の準備態勢は整っているだろうか。

金正恩の死去あるいは重篤な健康状態により国家指導者の機能を果たせなくなった場合、北朝鮮政策はどうなるか。▶状況が一変した場合には、めぼしい成果を上げていない北朝鮮対策のどこに手を加えるべきか。▶朝鮮半島で再度危機的状況が発生した場合にどう対応すべきだろうか。▶北朝鮮体制に変化が発生すれば、同国を注視してきた専門家は今でも困難な状況がさらに悪化する。▶北朝鮮はあいまいさ、隠蔽、錯覚を日常茶飯事に使い存続してきた国だ。▶北朝鮮で緊急事態が発生しても「鏡に映る姿は現実より大きかったり、小さかったり、楽観あるいは悲観的に写り、現実より小さかったり、実際より混乱して見える」ことがありうる。▶すべてを疑ってかかり、客観視し、誇張せずにとらえるべきだ。■

この記事は以下を再構成したものです。

Why We Really Don't Know What Happens If Kim Jong-un Dies

There are more questions than answers.
by Soo Kim 
April 23, 2020  Topic: Politics  Region: Asia  Blog Brand: Korea Watch  Tags: North KoreaKim Jong-unSuccessionKim Yo-jongDPRK

Soo Kim is a Policy Analyst at the RAND Corporation.

2020年4月19日日曜日

日本の金融機関も北朝鮮のサイバー脅威に対策を打つべきだ。



北朝鮮の悪辣なサイバー作戦が金融機関を標的にしている。


米連邦捜査局(FBI)、国務省、財務省、国土保安省は北朝鮮による悪辣なサイバー脅威へ注意喚起する文書を4月15日公表した。▶北朝鮮が金融システムの混乱を狙っていると米政府が警告している。

「北朝鮮のサイバー脅威は国際社会、ネットワーク管理者、一般社会で現実になっていると警告する」とあり、「朝鮮民主人民共和国(DPRK)による悪辣なサイバー活動は米国のみならず広く国際社会に脅威で、とくに国際金融システムの機能、安定性に大きな脅威だ」▶国家情報局による世界脅威評価の昨年版では北朝鮮のサイバー犯罪による被害額は金融界だけで11億ドル相当とある。▶北朝鮮はサイバー攻撃で得た財源で大量破壊兵器や弾道ミサイルを製作していると米政府は分析。▶「北朝鮮によるサイバー犯罪行為に米国は強い懸念を示し、こうした活動をHIDDEN COBRAと呼称している」「DPRKにはサイバー妨害行為・破壊工作で米国の重要インフラに被害を与える能力がある。DPRKはサイバーで金融機関から資金を盗む能力もある」

北朝鮮はサイバー犯罪集団を国家的に支援し、ハッカー、暗号化専門家、ソフトウェア開発者を使い「スパイ活動、サイバー窃盗を金融機関やデジタル外貨為替を狙い展開し、海外メディアには政治的な情報操作を狙っている」と同上文書は解説。▶北朝鮮のサイバー犯罪活動能力は向上しており、各種マルウェアによる世界各地でのサイバー攻撃の手口は巧みになっている。▶「国際社会、ネットワーク管理者、一般社会は北朝鮮のサイバー脅威への警戒を緩めず、損害を広げない協調行動をとるべきだ」(米政府)▶国務省ではDPRKによる悪意ある行為がサイバー空間で見つかった場合の通報へ報奨金制度を提供している。

国土保安省のサイバーセキュリティ・インフラセキュリティー庁(CISA)による報告書ではDPRKのサイバー攻撃の手法や仕組みの詳細を解説し、サイバーリスク管理の向上に役立つ情報を各機関に提供している。▶FBIは民間産業向け公告を出しており、サイバー脅威の最新情報を提供している。またサイバーセキュリティ専門家やシステム管理者向けにはデジタル脅威への対応策を開示している。▶国防総省は米サイバー司令部で、DPRKによる悪意あるサイバー活動を積極的に追跡中で、金融機関を標的とするマルウェアも見つけた。同本部によるマルウェア情報は@US_CYBERCOM and @CNMF_VirusAlertのツイッターアカウントで公開されておりサイバーセキュリティの強化に利用できる。■
この記事は以下を再構成したものです。

United States Warns of Increasing Cyber Threat from North Korea

The Cyber Edge
April 15, 2020
Posted by Kimberly Underwood


F-3は国内開発へ舵を切った

日本単独で戦闘機開発が完了できるのかというご意見もありましょうが、軍用機の常識を破る開発事例になれば日本の技術力としても腕の見せどころとなるでしょう。期待しましょう。

F-2後継機を米国をパートナーとして開発すると見られていた航空自衛隊が方針転換し、国産開発に向かう。

日本の防衛産業は開発で中心の役割を最初から想定し、2030年代中ごろまで数百億ドル規模の事業になると見ている。日本政府は昨夏から米国、英国と協議し、両国の主要企業ロッキード・マーティン、ボーイングBAEシステムズがパートナー候補といわれていた。

先月末時点で日米協力が深化すると思われていた。日本は英国を主要パートナーから排除し、日米同盟の枠組で技術先進性を追求する方が得策と判断していた。

「日本主導の開発としつつ国際協力の可能性も排除しない」と防衛装備庁はJane'sに3月に述べていた。「防衛省は相互作戦態勢、費用対効果、技術信頼性の観点で米英両国と協議を続けている。両国との協力の可能性は引き続き模索していく」

ところが日本は西側同盟国との共同開発ではなく自力での第6世代機開発を目指す。「F-3」と呼ぶ新型機はF-2「4+世代」小型機と交代する。事業規模は400億ドルとの試算がある。

日本はF-1攻撃戦闘機、F-2軽量多任務戦闘機の二機種を製造している。前者は英国のジャギュア、後者は米F-16ファイティング・ファルコンとの関連がある。このうちF-1は2006年に退役ずみだ。F-2は新型機の供用開始まで現役にとどまり、1990年代に三菱重工を主契約企業としロッキード・マーティンを筆頭協力企業として開発された。

単独態勢のままだと日本は研究開発費用含む巨額コストを自己負担することになる。
F-3戦闘機の機体単価は185百万ドル超となる見込みで、開発費用の回収のため日本は機体輸出をねらいそうだ。政権与党の自民党は次期戦闘機の輸出可能性で検討を開始した。■

この記事は以下を再構成したものです。

Sorry, F-35: Japan to Develop Sixth-Generation Fighter on its Own

And we can tell you all of the reasons why.
April 18, 2020  Topic: Technology  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: Sixth-Generation FighterJapanSecurityMilitaryF-35