スキップしてメイン コンテンツに移動

2060年代まで第一線戦闘機として使いたいUSAFの期待にF-22は応えられるか

米国の国防戦略構想で中国、ロシア相手のハイエンド戦が前面に出てきましたが、現時点のF-22が第四世代機より見劣りする面があり、しかも機数があまりにも少ないのは痛いところでしょうね。生産ラインを早期閉鎖してしまった決定を悔やむことになるのか、F-35/F-15Xの組み合わせで今後踏ん張るのか、苦しい状況になりそうです。


The F-22 Raptor: The World's Most Dangerous Fighter Jet Until 2060?

F-22ラプターは世界最強戦闘機として2060年まで活躍できるのか
February 23, 2019  Topic: Security  Blog Brand: The Buzz  Tags: F-22F-22 RaptorF-35U.S. Air ForceStealth Fighter
こに来てF-35とF-15Xに関心が集中しており、米空軍の主力航空優勢戦闘機であるF-22ラプターの存在が霞んでいる観がある。
ラプターは2000年代初頭の就役時には世界最高の戦闘機と言われていたが、センサー、レーダー、データリンク各技術はその後も改良されてきた。
ただしラプターが受けてきた改修はF-15やF-16より小規模で今や時代遅れの部分もある。たとえばF-16、F-15、F/A-18にはJHMCSミサイル誘導技術が搭載されており、パイロットは敵機の方向を見ればロックされる。だがF-22には同技術は導入されていない。
USAFはソフトウェアでF-22性能改修を目指し、同機は搭載センサーの活用度を引き上げているが、ハードウェア改修は小幅だ。センサーやレーダーの性能向上と小型化が進む中でこの方針でいいのか。
答えは複雑だ。F-22の機体はUSAF機材中で最も高性能の「シャーシ」であるが、偏向推力とスーパークルーズ性能、ステルス性のためセンサーの追加装備はポッドも含めステルスを犠牲にしない限り困難であり、性能改修の可能性を狭めている。また2011年に生産ラインが閉鎖されたことも性能改修で制約条件になっている。
そこで米空軍はこの解決をどう目指すのか。F-22での最新の性能改修は二段階で、ベイスライン3.2Bと性能改修6のふたつだ。目標は最新の空対空ミサイル搭載とネットワーク戦能力の向上にある。
AIM-9XおよびAIM-120D空対空ミサイルをF-22搭載のエイビオニクスで運用可能とする。AIM-9Xは2014年から運用を目指してきたが改修作業は先送りされてきた。
ミサイルは2017年に搭載可能になったが本来一緒に運用するはずのJHMCSが搭載されていない。最新改修でJHMCSに似たヘルメットがF-22で利用できるようになる。逆にUSAF、米海軍ではAIM-9XとJHMCSの組み合わせを2010年代初頭から使っている。
F-22改修に暗号化技術が加わる。これは敵の電子戦環境でも問題なく作動するものでLink-16「送信」モジュールでF-22も他機種のレーダー等標的情報を共有しながら送信できるようになる。これまではLink-16「受信」モジュールのみ搭載されていた。
F-35が優れたセンサー性能で戦場の様相を伝える標的機の役目に成功をおさめたことでUSAFもF-22のデータリンク改修に踏み切ったのだろう。
新型データリンクとミサイルの組み合わせでF-22は性能改修型の第4世代機と兵装・ネットワーク機能で互角になる。F-35はセンサー性能で先を進むことに変わりはない。
F-22センサー改修の予算確保は2020年代に実現の見込みで電子光学モジュールとしてF-35のEOTSやDAS装備に近いものが搭載され、高度のジャミング環境でも支障なく運用できるようになる。これはF-15Xの性能を意識したものだ。
イラク、アフガニスタン両戦線でF-22はF-35の前に精細を欠いていたが今や超大国間対決が再び脚光を浴び性能改修が必要との意識だ。
実は性能改修は2013年から企画されていたが、最近になり予算化され、2019年度予算で高い優先順位がついた。すべて順調ならF-22は2060年代まで航空優勢の実現の尖兵となり、現在計画中の第六世代戦闘機と交替することになる。■
Charlie Gao studied Political and Computer Science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national security issues.

Image: Wikimedia

コメント

  1. F-22は改修して仮にF-35レベルのアビオニクスを搭載しても、多くの紛争に関わる米国での使い勝手は悪いと思います。
    一つ目は、メンテナンス性が非常に悪く、かつ、整備費用が高価である事。特にラインが既に閉じ、保守部品の入手が難しく、一部は3Dプリンタで作っているようですが、実運用に耐えられるだけの部品を用意できるのかという疑問。
    二つ目は、機数自体が180機程度しかなく、かつ、費用面で増産が難しい。これで世界各地に展開する部隊に実戦で使えるだけの数を配備できるのかという疑問。

    これらを考えると、F-35が主力機で足りないところをF-16、F-18、F-15Eで補い、F-22は特別な場合にのみ起用されるという形しか思い浮かばないです。これだけ使い勝手がわるいと、2060年より前に退役になる可能性が高い気がします。

    返信削除
  2. 当初から予定されていたインクリメント3.5Bとアップデート6が遅れているのが、元ネタの記事ですね。
    F-35と被るので、ロッキードがやる気がないのか?予定より遅れているので、緊急対応プロジェクトになって、そろそろリリースみたいなので、記事が出てきたと思います。
    これで、AIM9Xblock2とAIM120Dがフル運用できるようになり、Link16もフル対応になります。素晴らしい。
    ただ、当初予定していたJHMCSは問題が解決できずに除外されてしまいました。これが残念です。
    予算も今ついたかのような記事ですが、これも間違いだと思います。遅れていただけだと。
    Link16送信搭載もだいぶ前から決まっていたことです。IRSTは、2024年を目指して、新規開発で予算もついたみたいです。これもF-15Xなどは関係なく、当初から搭載予定でしたが、価格の都合で搭載されなかったもので、搭載スペースなどは、既に確保されています。これこそ、F-35のEODASが素晴らしいのに刺激されたのだと思います。
    F-22のコーティングメンテが大変なのと、やはり運用費が高止まりなのが弱点です。
    制空性能は、素晴らしく、F-15などでは歯が立たないので、米空軍の虎の子の地位は変わらないでしょう。ただ、F-35に対しては、センサーで大きく負けていますので、厳しいかな。
    M1.5でスーパークルーズして制空戦闘が可能で機体性能では勝っているのですが。
    IRSTが早く搭載されてほしいです。
    次期戦闘機が決まるまでは、米空軍の頂点に君臨し続けると思います。第六世代機なんて開発できるのかな?
    イラク、アフガニスタンでF-35の前で精彩をかいたとありますが何を言っているか?分からないです。
    この場合、F-15やF-16でもオーバースペックでコイン機で十分でしょう。
    4世代機は、ファイターマフィアを黙らせることが出来れば、UAVで更新でいいと思いますが、無理でしょうね。

    返信削除

コメントを投稿

コメントをどうぞ。

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

日本の防衛産業が国際市場でプレイヤーになれるか試されている。防衛面の多国間協力を支える産業が真の国際化を迫られている。

  iStock illustration CHIBA, Japan —  インド太平洋地域での中国へのヘッジとして、日米含む多数国が新たな夜明けを迎えており、軍事面で緊密化をめざす防衛協力が進む 言うまでもなく日米両国は第二次世界大戦後、米国が日本に空軍、海軍、海兵隊の基地を設置して以後緊密な関係にある。 しかし、日本は昨年末、自国の防衛でより積極的になることを明記した新文書を発表し、自衛隊予算は今後10年間で10倍になる予想がある。 政府は、新しい軍事技術多数を開発する意向を示し、それを支援するために国内外の請負業者に助けを求める。 日米両国軍はこれまで同盟関係を享受してきたが、両国の防衛産業はそうではない。 在日米国大使館の政治・軍事担当参事官ザッカリー・ハーケンライダーZachary Harkenriderは、最近千葉で開催されたDSEIジャパン展示会で、「国際的防衛企業が日本でパートナーを探すのに適した時期」と述べた。 日本の防衛装備庁の三島茂徳副長官兼最高技術責任者は会議で、日本が米国ならびに「同じ志を持つ同盟国」で協力を模索している分野を挙げた。 防衛省の最優先課題のひとつに、侵略を抑止する防衛システムの開発があり、極超音速機やレイルガンに対抗する統合防空・ミサイル防衛技術があるという。 抑止力に失敗した場合を想定し、日本は攻撃システムのアップグレードを求めており、12式地対艦ミサイルのアップグレード、中距離地対空ミサイル、極超音速兵器、島嶼防衛用の対艦ミサイルなどがある。 また、高エナジーレーザーや高出力マイクロ波放射技術など、ドローン群に対抗する指向性エナジー兵器も求めている。無人システムでは、水中と地上無人装備用のコマンド&コントロール技術を求めている。 新戦略の発表以来、最も注目されている防衛協力プログラムは、第6世代ジェット戦闘機を開発するイギリス、イタリアとの共同作業「グローバル・コンバット・エアー・プログラム」だ。 ハーケンライダー参事官は、日本の新しい国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛予算の増強は、「時代の課題に対応する歴史的な資源と政策の転換」につながると述べた。 しかし、数十年にわたる平和主義的な政策と、安全保障の傘を米国に依存してきた結果、日本の防衛産業はまだ足元を固めらていないと、会議の講演者は述べた。 三菱重工業 、 川崎

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックIIAとSM